<1.概要>
図1は、医療用実習模型100の概要を説明するための図である。図1に示した医療用実習模型100は、例えば人体の一部または全部を模した生体模型として構成されるものであり、複数の部品模型を所定の装着部位に装着することで、ひとまとまりの構造体を形成する。なお、部品模型とは、ある模型に対して部品として着脱交換可能に装着される模型を意味する。医療用実習模型100においては、RFID(Radio Frequency IDentification)を利用して、装着されている部品模型に関する情報の管理が行われる。
具体的に、図1に示した例では、医療用実習模型100は、生体の各部を模した複数の第1模型110a,110b,110c,110dと、複数の第2模型120a,120bと、第3模型130aとで構成されている。第1模型110a,110bは、第2模型120aに着脱交換可能に装着される部品模型となっている。また、第1模型110c、110dは、第2模型120bに着脱交換可能に装着される部品模型となっている。さらに第2模型120a,120bは、第3模型130aに着脱交換可能に装着される部品模型となっている。
第1模型110a〜110dの各々には、第1RFIDタグ110aT,110bT,110cT,110dTが取り付けられている。また第2模型120a,120bには、それぞれ第2RFIDタグ120aT,120bTが取り付けられている。さらに、第3模型130aにも、第3RFIDタグ130aTが取り付けられている。
第1RFIDタグ110aT〜110dTは、それぞれが取り付けられている第1模型110a〜110dについて、個体識別するための識別情報を保持している。例えば、第1RFIDタグ110aTは、第1模型110aについての識別情報を保持している。医療用実習模型100は、第1RFIDタグ110aT〜110dTに保持されている識別情報によって、第1模型110a〜110dのそれぞれを、RFIDに関する公知の技術を使って容易に識別できるように構成されている。
第2RFIDタグ120aT,120bTは、それぞれが取り付けられている第2模型120a,120bの識別情報を保持している。さらに、第2RFIDタグ120aT,120bTには、第2模型120a,120bの各々に装着されている第1模型110a,110bまたは第1模型110c,110dについての組合せを示す組合せ情報が保持される。
図1に示した例では、第2RFIDタグ120aTが取り付けられた第2模型120aに、第1模型110a,110bが装着されている。したがって、第2RFIDタグ120aTには、第1RFIDタグ110aT,110bTの保持する識別情報に基づき、第1模型110a,110bの組合せを示す組合せ情報が保持される。また、第2RFIDタグ120bTには、第1RFIDタグ110cT,110dTの保持する識別情報に基づき、第1模型110c,110dの組合せを示す組合せ情報が保持される。この組合せ情報は、該装着された模型(第1模型)に取り付けられているRFIDタグ(第1RFIDタグ)に保持されているデータに基づく。
また、第3RFIDタグ130aTは、第3模型130aに関する識別情報と共に、第3模型130aに装着された模型(第2模型)についての組合せを示す組合せ情報を保持している。この組合せ情報は、該装着された模型に取り付けられているRFIDタグ(第2RFIDタグ)に保持されたデータに基づく。
第1RFIDタグ110aT〜110dTが保持する情報は、第1模型110a〜110dのそれぞれ固有の識別情報である。これに対して、第2RFIDタグ120aT,120bTおよび第3RFIDタグ130aTには、各模型に固有の識別情報だけでなく、装着される模型を管理するためのデータがさらに保持される。
なお、図1では図示を省略しているが、RFIDタグの情報を読み取ったり、もしくは、書き込んだりするために、読取手段、書込手段が適宜用意される。例えば第2模型120a,120bに読取装置、書込装置を備えてもよい。この場合、第1模型110a〜110dがそれぞれ装着されたときに第1模型110a〜110dのそれぞれに取り付けられた第1RFIDタグ110aT〜110dTから識別情報を読み取り、第2模型120a,120bの第2RFIDタグ120aT,120bTに第1模型110a,110b、第1模型110c,110dの組合せ情報がそれぞれ記録されるようにしてもよい。同様に、第3模型130aにも読取装置、書込装置を備えてもよい。
ただし、第1RFIDタグ110aT〜110dTおよび第2RFIDタグ120aT,120bTから一括してデータを読み取る読取装置、または、第2RFIDタグ120aT,120bTおよび第3RFIDタグ130aTに一括してデータを書き込む書込装置を医療用実習模型100に設けてもよい。また、第3RFIDタグ130aTに一括して第1RFIDタグ110aT〜110dTおよび第2RFIDタグ120aT,120bTのデータを書き込む書込装置を、医療用実習模型100に設けるようにしてもよい。また、読取手段、書込手段は、医療用実習模型100の外部に設けられていてもよい。
第2RFIDタグ120aT,120bTは、第1模型110a〜110dについての識別情報を管理する管理用タグとなっている。そして、第2RFIDタグ120aT,120bTに保持されたデータは、第3RFIDタグ130aTによって管理される。このように、本願の医療用実習模型100においては、ある模型に装着される部品模型が、RFIDの技術を利用して階層的に管理されている。
図1中、破線枠で囲んで示したように、複数の第1模型と該複数の第1模型を装着する単一の第2模型のみで、医療用実習模型100aを構成することも可能である。また、第3模型130aが部品模型として装着される模型を医療用実習模型とする構成としてもよい。この場合には、該医療用実習模型に取り付けられたRFIDタグによって、第3模型130aを管理するようにしてもよい。
このような場合にはRFIDタグ130aTからデータを読み取ることによって、第3模型130aに装着された部品模型(第2模型)が装着されているかを容易に把握する事ができる。さらに、その部品模型(第2模型)にどのような部品模型(第1模型)が装着されているかも把握することができる。
また、上記の医療用実習模型100aを利用する場合には、RFIDタグ120aTかデータを読み取ることによって、第2模型120aに装着された部品模型(第1模型)を容易に特定することができる。
医療用実習模型100は、実習目的に対応したものを用意することが望まれるため、部品模型の組合せも膨大になる。そこで、上述した管理態様を採用することによって、部品模型の組合せパターンが膨大にある場合にも、実際に装着されている部品模型の組合せを容易に特定することができる。
<2.より具体的な実施形態>
<2.1. 第1実施形態>
図2は、実施形態に係る医療用実習システム10Sの全体を示す外観図である。また、図3は、情報処理装置8と医療用実習装置10の構成要素との間の接続例を示すブロック図である。医療用実習システム10Sは、歯科実習において使用される実習装置本体部を構成する医療用実習装置10と、医療用実習装置10との間で各種データをやり取りする情報処理装置8とで構成されている。
医療用実習装置10は、診療台1、診療台1に取り付けられる頭部模型2(医療用実習模型)、トレーテーブル3、診療器具4を備えている。また、医療用実習装置10は、診療台に搭載されるモニター5、無影灯6L、撮像部7を備えている。
診療台1は、頭部模型2を載置するための頭部載置部Pを備えている。頭部載置部Pは、手動または電動で、上下に起こしたり、または、左右に転倒させたりすることが可能となっている。頭部模型2と頭部載置部Pとは首部202(図5参照)を介して連接されている。実習者が頭部模型2に対して処置を行いやすい角度または位置に合わせて、頭部模型2を配置できるように構成されている。トレーテーブル3は、診療台1から延びるアームに接続されており、診療台1に対して手動で回動できるように構成されている。
診療器具4は、例えばエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピース等の切削工具やスケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジ等で構成される。なお、診療器具4は、これらに限定されるものではなく、口腔カメラや光重合照射器(いずれも図示せず)等であってもよい。また、診療器具4は、ミラーまたは注射器等、駆動部を持たない器具で構成されていてもよい。
実習中における診療器具4の作動状態を示す駆動情報は、情報処理装置8の情報処理本体部81に収集される。診療器具4の駆動状況は、診療器具4の内部や診療台1またはトレーテーブル3等に設けられた診療器具駆動検出部41によって監視され、診療器具の駆動内容が駆動情報として情報処理装置8に出力される。なお、診療器具4の駆動を制御するための駆動制御手段(図示しないフートコントローラーや各スイッチ等)に対して行われる操作者(実習者)の操作内容を、診療器具駆動検出部41が検出するようにしてもよい。この場合には、診療器具4の駆動状況が間接的に検出される。
モニター5は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)モニター等で構成される。モニター5には、後述する頭部模型2に装着された模型についての情報が表示され得る。また、モニター5には、実習に当たって必要となるカルテ情報等が表示されてもよい。なお、モニター5は、省略することも可能である。
無影灯6Lおよび撮像部7は、多関節ライトアーム6Aに取り付けられている。多関節ライトアーム6Aにより、実習者は、無影灯6Lおよび撮像部7を所定の範囲内で任意の位置に固定することができる。
撮像部7は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等で構成されている。撮像部7は、実習中の実習者の動作(例えば、患者に対して行われる施術)を撮像して、取得した画像データ(または映像データ)を情報処理装置8に出力する。なお、実習中に実習者が発した音声を検出する音声検出部を設けて、情報処理装置8に出力するようにしてもよい。また、撮像部7は、省略することも可能である。
情報処理装置8は、情報処理本体部81、表示部82、入力部83を備えている。情報処理本体部81は、CPU、ROM、RAMを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。情報処理本体部81と医療用実習装置10とは、ケーブル等で有線通信するよう接続される。ただし、情報処理本体部81と医療用実習装置10との間で、無線通信が行われるようにしてもよい。また、情報処理本体部81は、医療用実習装置10から離れた遠隔地に設置することも可能である。この場合、情報処理本体部81と医療用実習装置10とが、インターネット等のネットワークを利用して通信可能に接続することができる。
なお、診療台1または頭部模型2等にコンピュータを設け、該コンピュータに、情報処理本体部81の機能の一部または全部を持たせてもよい。
図3に示したように、情報処理本体部81は、頭部模型2に装着される部品模型に関する模型情報、実習時に利用される実習用プログラム、実習履歴情報、実習者を特定し得る実習者に関する実習者IDデータを記憶する記憶部84と接続されている。なお、記憶部84は、情報処理装置8の一部であるような構成でもよい。また、記憶部84は、インターネットやLAN等のネットワークを介して、情報処理本体部81と通信可能に接続されていてもよい。このような場合、記憶部84に対して、情報処理本体部81以外の他のコンピュータからネットワークを介してアクセスさせることが容易となり、データ取得またはデータ送信の自由度を高めることができる。また、記憶部84は、複数の記憶装置で構成され、それぞれが情報処理本体部81とネットワークで接続されているように構成してもよい。
後述するように、頭部模型2に装着される部品模型には、各部品模型毎に付与される識別情報を保持するRFIDタグ2Tが取り付けられている。情報処理本体部81は、CPUが所定のプログラムにしたがって動作することにより、RFIDタグ2Tに保持されているデータから、頭部模型2に装着されている部品模型を特定する照合部811として機能する。照合部811は、頭部模型2から送られてくる識別情報を記憶部84の模型情報と照合することにより、該識別情報に対応する部品模型を特定する。この照合部811による特定により、頭部模型2に装着されている部品模型に関する情報が、モニター5に表示される。なお、情報処理本体部81に印刷手段(プリンター85)を接続して、照合部811による特定結果を印刷物として出力するようにしてもよい。また、プリンター85は、省略することも可能である。
実習用プログラムは、実習シナリオの進行を制御するために、情報処理本体部81のCPUが実行するプログラムである。この実習シナリオは、歯科実習において実習者、または、実習者及び患者(頭部模型2)が行う基本的な行為や発声等を時系列に整理した情報である。医療用実習装置10においては、例えば、う蝕治療、印象採得、形成、口腔検査、麻酔、ラバーダム防湿等の実習を行うための実習シナリオが用意される。実習シナリオについては、例えば本願出願人に係る特開2010-55068号公報に開示された実習シナリオ、もしくはこれに類似するものを適宜採用することができる。
なお、照合部811は、医療用実習装置10の構成によっては、省略することが可能である。例えば、各RFIDタグから読み取られる情報(識別情報を含む。)の中に、該RFIDタグが取り付けられた部品模型の種別や情報処理本体部81が実行すべき実習用プログラム(またはそれを示す情報)等が含まれているような場合、医療用実習装置10は、その情報をそのまま利用して表示部に表示したり、医療実習を進行したりすることができる。つまりこの場合、識別情報を照合する処理が不要となる。
また、情報処理本体部81は、CPUが所定のプログラムにしたがって動作することによって、医療用実習装置10において実施された実習内容の記録である実習履歴情報を取得する実習履歴情報取得部812として機能する。実習履歴情報は、診療台1に内蔵された姿勢検出部12から送られてくるデータ、診療器具駆動検出部41から送られてくるデータ、撮像部7から送られてくるデータ等で構成される。また、実習者に関する個人情報や実習が行われた日時等の情報が実習履歴情報に含まれていてもよい。
また、頭部模型2または頭部模型2に装着される部品模型に、実習者が行った処置内容を検出するセンサ2Sを取りつけ、該センサ2Sから送られてくるデータを実習履歴情報としてもよい。例えば、歯牙模型を切削する処置を検出する場合、切削がどのように行なわれたか、どの程度まで行われたか等の実習内容が、歯牙模型もしくはその近傍に取り付けられた光学センサ、圧力センサまたは電圧センサ等で検出される。その他にも、各種実習に対応したセンサを設けてもよい。
図4は、頭部模型2の一例を示す外観図である。また、図5は、図4に示した頭部模型2の顔面模型21aを開いた状態を示す図である。頭部模型2は、首部202に対し連接固定されている。頭部模型は首部に対して変位可能な構成であってもよい。頭部模型2は、顔面模型21a、眼球模型21b、耳模型21cおよび鼻模型21dを含む顔模型21を備えている。また、頭部模型2は、上顎模型22aと下顎模型22bと舌模型22cとを備えている。
顔面模型21aの表面側は、人体の顔面皮膚を模した形態の模型であり、ゴム、シリコンまたは合成樹脂素材等の弾性素材で構成される。本実施形態では、顔面模型21aは、皮膚を模した顔面カバー211と、顔面カバー211の背面側で顔面カバー211に装着される頭蓋部カバー212とで構成されている。頭部模型2の口の部分に当たる、頭蓋部カバー212の切欠部OPの内径は、顔面カバー211の切欠部OPの内径より大きく形成されている。これにより、患者が開口する際の皮膚の柔軟さが、実習時において再現される。顔面カバー211および頭蓋部カバー212は、それぞれ取付ブラケット213に取り付けられている。
図5に示したように、取付ブラケット213の一方の腕部を上方に持ち上げることで、頭蓋部カバー212が上方に持ち上げられる。このとき、顔面カバー211の裏側に隠れていた顎模型取付部22Sも持ち上げられて外部に露出される。この状態で顎模型取付部22Sに上顎模型22aおよび下顎模型22bがそれぞれ装着される。
上顎模型22aおよび下顎模型22bには、複数の歯牙模型221が着脱交換可能に装着される。歯牙模型221は、切歯、犬歯、小臼歯および大臼歯といった、人体の各種歯牙を模した人工歯牙である。歯科実習においては、健康な歯牙、または、う蝕、損傷(欠け)、歯周病、変色等の各種状態にある歯牙を模した歯牙模型が組み合わされて適宜利用される。上顎模型22aおよび下顎模型22bには、このような歯牙模型221が歯列弓状に並べられ、装着される。なお、歯牙模型221は、上顎模型22aまたは下顎模型22bに対して、ビスを使って固定されるようにしてもよいし、磁石等を利用して固定されるようにしてもよい。また、本実施形態では、上顎模型22aと下顎模型22bとを分離して扱っているが、これらを1つにしたもの顎模型として採用してもよい。なお、各模型には、該模型に関する識別情報等を保持したRFIDタグが、それぞれ設けられる。
図6は、頭部模型2に装着される各種の部品模型を示すブロック図である。
既に述べたように、頭部模型2には、顔模型21(顔面模型21a、眼球模型21b、耳模型21c、鼻模型21d)、および、顎模型(上顎模型22a、下顎模型22b)、および舌模型22cが着脱交換可能に装着される。また、頭部模型2には、咽喉部を模した咽喉模型22d、および、頭髪(人工頭髪も含む。)を束にして形成される髪型模型23が着脱交換可能に装着される。
なお図6では、上顎模型22aに装着される歯牙模型221として、3本の歯牙模型221a,221b,221cのみを図示している。しかしながら、この数は自由に変更できるものである。つまり、2本以下、または、4本以上の歯牙模型221が上顎模型22aに装着してもよい。下顎模型22bについても、3本の歯牙模型221d,221e,221fのみを図示しているが、この数も適宜変更することができる。
図6に示したように、頭部模型2および頭部模型2に装着される各模型には、RFIDタグが取り付けられている。具体的に、歯牙模型221a〜221cには、RFIDタグ221aT、221bT、221cTがそれぞれ取り付けられている。また、歯牙模型221d〜221fの各々には、RFIDタグ221dT,221eT,221fTがそれぞれ取り付けられている。これらのRFIDタグ221aT〜221fTには、各歯牙模型221a〜221fを個体識別するための識別情報が保持されており、所定の読取手段によって読み出すことが可能となっている。RFIDタグ221aT〜221fTのそれぞれは、各模型の外側に取り付けられてもよいが、各模型の外観を損なわないように、好ましくは、各模型の内部に設置される。
RFIDタグ221aT〜221fTに保持された識別情報は、歯牙模型221毎に割り当てられる識別コードとなっている。なお、識別情報として、各歯牙模型についての製造番号(ロット番号等を含む)または製造年月日等、個体を識別し得るような情報であってもよい。識別情報によって歯牙模型221を管理することにより、各歯牙模型221について、その種類(臼歯や犬歯、または、歯の位置を示す番号等)や、モデルとなっている症状(う蝕の進行程度、損傷や変色の度合い等の各種症例の状態)といった個々の歯牙模型221固有の仕様情報を、情報処理本体部81の照合部811によって、容易に特定できる。
舌模型22c、咽喉模型22dにも、それぞれRFIDタグ22cT,22dTが取り付けられている。RFIDタグ22cT,22dTには、舌模型22cまたは咽喉模型22dを個体識別するための識別情報がそれぞれ保持されている。また、顔面模型21a、眼球模型21b、耳模型21cおよび鼻模型21dの各々には、RFIDタグ21aT,21bT,21cT,21dTがそれぞれ取り付けられている。これらのRFIDタグ21aT〜21dTにも、各々が取り付けられている模型を個体識別するための識別情報が保持されている。また、髪型模型23は、RFIDタグ23Tが取り付けられている。RFIDタグ23Tは、髪型模型23を識別するための識別情報を保持している。
上顎模型22aおよび下顎模型22bには、RFIDタグ22aT,22bTがそれぞれ取り付けられている。RFIDタグ22aT,22bTそれぞれには、上顎模型22aまたは下顎模型22bを個体識別するための識別情報が保持されている。また、上顎模型22aおよび下顎模型22bには、既に述べたように、複数の歯牙模型221a〜221cまたは複数の歯牙模型221d〜221fが部品模型として装着されている。RFIDタグ22aT,22bTの各々には、装着されているこれらの部品模型の組合せについての情報が保持される。
例えば、RFIDタグ22aTについては、上顎模型22aに取り付けられている歯牙模型221a〜221cの組合せを示す組合せ情報が保持される。具体的には、RFIDタグ221aT〜221cTに保持されている全識別情報が、組合せ情報としてRFIDタグ22aTに保持される。このような組合せ情報をRFIDタグ22aTに保持させることで、上顎模型22aにとりつけられている部品模型(歯牙模型221a〜221c)の組合せを容易に管理し把握することが可能となる。例えば、RFIDタグ221aに保持されたデータを読み取ることで、歯牙模型221a〜221cという組合せの歯牙模型が上顎模型22aに装着されていることを容易に把握することができる。ここで、RFIDタグからのデータの読み取りと、RFIDタグへのデータの書き込みについて、図7を参照しつつ説明する。
図7は、上顎模型22aと該上顎模型22aに取り付けられた複数の歯牙模型221a〜221cを示すブロック図である。図7に示したように、上顎模型22aには、読取装置24aと、書込装置25aとが設けられている。読取装置24aは、歯牙模型221a〜221cのRFIDタグ221aT〜221cTからデータを読み取る機能を備える。また、書込装置25aは、RFIDタグ22aTにデータを書き込む機能を備える。読取装置24aおよび書込装置25aは、共通する機能的要素を共有化することで一体的に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
読取装置24aによるRFIDタグからの情報読取方法は、例えば電磁誘導を利用してデータを読み取るパッシブ方式や、RFIDタグから発せられる電磁波を受信するアクティブ方式等、従来のRFIDで用いられている公知の技術や、もしくはこれに類似する技術を適宜採用することができる。
書込装置25aは、読取装置24aによって取得される識別情報(ここでは、歯牙模型221a〜221cの識別情報)をRFIDタグ22aTに書き込む。このようにして、上顎模型22aに装着された歯牙模型221a〜221cの組合せ情報が、上顎模型22aに取り付けられているRFIDタグ22aTに記録されることとなる。
図6に戻って、下顎模型22bのRFIDタグ22bTには、下顎模型22bの識別情報と共に、上述の上顎模型22aの場合と同様、歯牙模型221d〜221fの組合せを示す組合せ情報が保持されている。図示を省略するが、下顎模型22bについても、RFIDタグ221d〜221fから識別情報を読み取る読取装置と、これらの識別情報に基づいて、RFIDタグ22bTに組合せ情報を書き込む書込装置とが設けられている。
なお、本実施形態では、下顎模型22bに対して舌模型22cおよび咽喉模型22dが部品模型として装着されるように構成されている。このため、下顎模型22bのRFIDタグ22bTには、RFIDタグ22cTやRFIDタグ22dTのそれぞれに基づき舌模型22cと咽喉模型22dとについての組合せ情報も記録される。
また、顔模型21には、RFIDタグ21Tが取り付けられている。RFIDタグ21Tには、顔面模型21a、眼球模型21b、耳模型21c、鼻模型21dの組合せを示す組合せ情報が保持されている。なお図示を省略するが、顔模型21においても、図5に示した上顎模型22aと同様に、RFIDタグ21aT〜21dTから識別情報を読み取る読取装置と、これらの識別情報に基づいて、RFIDタグ21cTに組合せ情報を書き込む書込装置が設けられている。
頭部模型2に取り付けられたRFIDタグ2Tは、頭部模型2の識別情報が保持されている。また、RFIDタグ2Tには、RFIDタグ21T,22aT,22bT,23Tに保持されている情報に基づき、顔模型21、上顎模型22a、下顎模型22bおよび髪型模型23の組合せを示す組合せ情報が保持される。頭部模型2についても、図5に示した上顎模型22aと同様、読取装置24bおよび書込装置25bが設けられている。読取装置24bは、RFIDタグ21T,22aT,22bT,23Tに保持された識別情報および組合せ情報を読み取る機能を備える。また、書込装置25bは、読取装置24bによって読み取られたデータに基づき、各模型の組合せ情報をRFIDタグ2Tに書き込む機能を備えている。
ここで例えば、上顎模型22aに装着される歯牙模型221a〜221cのいずれかが、他の歯牙模型(歯牙模型Xとする。)に交換された場合を想定する(図6および図7を参照)。読取装置24aによって、該歯牙模型Xに取り付けられているRFIDタグから識別情報が読み取られると、書込装置25aによりRFIDタグ22aTに新たな組合せ情報の書き込み(または既に書き込まれた情報を更新する書き換え)が行われる。RFIDタグ22aTの新たな組合せ情報が読取装置24bによってさらに読み取られると、書込装置25bによって頭部模型2のRFIDタグ2Tに新たな組合せ情報が書き込まれることとなる。したがって、歯牙模型Xに交換されたとしても、上顎模型22aに装着された歯牙模型の新たな組合せを、RFIDタグ2TあるいはRFIDタグ22aTに保持されたデータを参照することによって把握することができる。
以上のように、本実施形態の頭部模型2によると、RFIDタグ2Tから組合せ情報を読み取るだけで、頭部模型2に装着されている顔模型21、上顎模型22a、下顎模型22bおよび髪型模型23を容易に特定することができる。このとき、上顎模型22a、下顎模型22b、顔模型21に装着されている部品模型についても特定することが可能となっている。つまり、階層的に各模型のRFIDタグを取り付けることによって、頭部模型2に装着されている模型を効率的に管理することができる。また、RFIDタグを利用した認証システムは、比較的低コストで実現することができるため、装置コストの上昇を低く抑えることができる。
RFIDタグ22aTは、上顎模型22aに装着されている歯牙模型221a〜221cの組合せを管理する管理用RFIDタグとなっている。同様に、RFIDタグ21T,22bTについても、それぞれ、顔模型21または下顎模型22bに装着されている模型の組合せを管理する管理用RFIDタグとなっている。さらにRFIDタグ2Tは、頭部模型2に装着される模型(上顎模型22a、下顎模型22b、顔模型21、髪型模型23)の組合せを管理する管理用RFIDタグとなっている。
これらの管理用RFIDタグが保持する情報を常に最新のものとするため、読み取りの対象であるRFIDタグからのデータの読み取りと、書き込み対象である管理用RFIDタグのデータの更新とが、所定時間毎に実施されることが望ましい。ただし、管理用RFIDタグのデータ更新のタイミングは、これに限定されるものではない。例えば、実習者等が新たな模型を装着したときに、実習者等が情報処理装置8等を介して所定の操作入力を行うことで、管理用RFIDタグのデータが随時更新されるようにしてもよいし、模型の装着を情報処理装置本体部81等で認識されると、情報処理本体部81のCPUが所定のプログラムにしたがって動作するようになっており、自動的に最新のデータに更新されるような構成であってもよい。
{管理態様の変形}
上述した識別情報、組合せ情報の管理態様は一例に過ぎない。例えば、顔模型21のRFIDタグ21Tを省略して、RFIDタグ21aT〜21dTに保持されている識別情報に基づき、顔面模型21a、眼球模型21b、耳模型21c、鼻模型21dの組合せを示す組合せ情報を頭部模型2のRFIDタグ2Tに保持させるようにしてもよい。
また、読取装置24a,24bおよび書込装置25a,25bのような読取手段、書込手段は、必ずしも、上顎模型22a、下顎模型22b、顔模型21および頭部模型2のそれぞれに設ける必要はない。例えば、読取装置24a(または読取装置24b)により、一括して、頭部模型2または頭部模型2に装着された部品模型のRFIDタグからデータを読み取るようにしてもよい。また、書込装置25a(または書込装置25b)により、一括して、頭部模型2および頭部模型2に装着された部品模型のRFIDタグに対して、データを書き込むようにしてもよい。このような場合、読取手段または書込手段を減らすことができる分、模型の構成の簡素化、軽量化およびコスト低下を図ることができる。
また、医療用実習模型である頭部模型2の外部(例えば、図2や図3に示した情報処理装置8等)に、一括して、頭部模型2または頭部模型2に装着された部品模型の各RFIDタグからデータを読み取る読取手段を設けてもよい。また、情報処理装置8等の外部に、一括して、頭部模型2または頭部模型2に装着された部品模型の各RFIDタグに対してデータの書き込みを行う書込手段を設けてもよい。このとき、読取手段および書込手段は、一体でも別体でもいずれの構成でもよい。この場合、頭部模型2および頭部模型2に装着される各模型に、読取装置または書込装置を設ける必要がなくなるため、各模型の構成を簡素化できる。これにより、各模型の軽量化、小型化およびコスト低下を図ることができる。
また、医療用実習装置10は、情報処理装置8または医療用実習装置10に設けられた実習者ID情報取得部E(図2,図3参照)により、実習者のID情報も取得する。ここでは実習者の顔情報、指紋情報または網膜情報等の生体情報の取得、または、学生証などのIDカードを用いた画像認識またはカード情報の読み取りにより、実習者を特定し得る実習者のID情報が取得される。取得された実習者のID情報に基づき、情報処理本体部81の一部を成す照合部811により、例えば記憶部84等に予め登録された実習者IDデータとの照合から、該当する実習者の氏名や顔写真等の個人情報が検索、特定される。
照合部811による実習者の特定結果は、表示部82等の表示装置に表示されるようにしてもよい。このとき、装着されている上顎模型22aおよび下顎模型22bに関する識別情報も一体的に表示することによって、どの実習者がどのような医療用実習模型を組み合わされた上顎模型22aおよび下顎模型22bを使用するかを容易に把握することが可能となる。なお、実習者のID情報の取得は、医療用実習模型の装着前、医療実習中、もしくは、医療実習後等、任意のタイミングで行うことが可能である。
また、医療用実習装置10は、実習履歴情報取得部812により、医療実習に関する実習履歴情報を取得する。上述したように、実習履歴情報には、例えば実習が行われた際の、日時情報、場所情報、実習者のID情報、実行された実習シナリオ、および、実習状況を示すデータ等が含まれる。取得された実習履歴情報は、実習履歴情報取得部812で医療用実習模型100(頭部模型2)の識別情報に関連付けされて、記憶部84に格納される。なお実習中または実習後に、実習者のID情報と実習履歴情報を表示部82等に一体的に表示するようにすることで、実習者毎にどのような医療実習が行われたかを容易に把握することができる。このとき、識別情報も表示するようにすることで、どの実習者が、歯牙模型や、上顎模型22aおよび下顎模型22bなどの各医療用実習模型がどのように組み合わされたどのような医療用実習模型2を使って、どのような実習を行ったかを容易に把握することが可能となる。
また、情報処理装置8は、情報処理装置8に接続されている評価部(不図示)により、所定基準に基づいて、実習内容を評価する。評価部(不図示)は、実習履歴情報に基づいて実習内容を評価した実習評価情報を取得する。また、評価部(不図示)は、評価者が評価入力部(不図示)を介して入力する入力情報を実習評価情報として取得するようにしてもよい。このようにして取得された実習評価情報は、上顎模型22aおよび下顎模型22bに装着された各種模型(例えば歯牙模型)に取り付けられているRFIDタグの識別情報と共に関連付けされて記憶部84に格納される。
医療実習が完了した時点で、情報処理装置8は、上顎模型22aおよび下顎模型22bに装着された部品模型(歯牙模型221a、221b、221c等)の使用状況を読取装置24a(24b)で読み取る。例えば歯牙模型221aについて切削実習が行なわれた場合は、歯牙模型221a、221b、221c等(医療用実習模型)の実習履歴情報や実習を行なった実習者のID情報等を読取装置24a(24b)で読み取った後、書込装置25a(25b)により、取得された歯牙模型221a、221b、221c等に関する日時情報、場所情報、実習者のID情報、実行された実習シナリオ、および実習状況を示すデータ等の各種情報を書き換えて、書き換えられた情報がそれぞれのRFIDタグ221aT、221bT、221cTに保存される。書込装置25a(25b)は、情報処理装置8に接続されているので、記憶部84に記憶されている実習履歴情報または実習評価情報を示すためのリンク付されたデータ(リンク情報)を、上顎模型22aおよび下顎模型22bの歯牙模型221a,221b,221cに取り付けられるRFIDタグ221aT、221bT、221cTに記録することができる。これにより、RFIDタグ221aT、221bT、221cTのデータが更新される。この時、上顎模型22aおよび下顎模型22bに装着された歯牙模型221a,221b,221cに書き込まれる情報が、具体的な使用状況を含んでいることが好ましい。すなわち、切削に関する医療実習に使用された歯牙模型には「切削使用済」という情報が更に記録される。この記録については、RFIDタグ221aTには「切削使用済」という情報を新規に書き込むのであってもよいし、RFIDが予め保持する「未使用」という情報を「切削使用済」という情報に書き換えるのであってもよい。使用状況に関する情報は、行なわれた医療実習内容に応じて、適宜付される。このように歯牙模型の実習履歴や、実習者のID情報や、更に使用状況に関するデータをを該模型のRFIDタグに記録することによって、該模型に関してどの実習が誰によってどのようになされたかという一連の使用状況に関する履歴を管理することができるという効果が奏される。
また、これらの実習履歴や実習者のID情報、実習シナリオ、実習の評価データ等は、歯牙模型のみならず、これらの歯牙模型が装着される上顎模型、下顎模型のRFIDに書き換えられて記録されてもよいし、これらの上顎模型、下顎模型が装着される頭部模型のRFIDも含めて医療用実習装置を構成する全ての構成部品のRFIDのデータが全て書き換えられて記録されるようにしてもよい。これらの構成部品のRFIDのデータは、情報処理装置8に記録(保存)される。
このように、医療用実習模型について、第1RFIDタグ110(221aT、221bT、221cT)に記録されたリンク情報をトリガとして、実習者ID情報や実習履歴情報および実習評価情報などを情報処理装置8から読み出すことで、医療用実習模型100を使って行われた医療実習の履歴内容やその評価内容や実習を行なった実習者のID情報を容易に取得し、管理することができるようになる。なお、各種情報を読み出すためのトリガは、リンク情報とすることもできるが、実習者のID情報や、模型の識別情報をトリガとして、該情報にリンク付けられた各種情報を取得するような構成とすることもできる。あるいは、識別情報に関連付けされた実習履歴情報または実習評価情報を、医療用実習模型の情報処理装置8に格納すれば、リンク情報を読み出すのではなく、情報処理装置8から直接これらの情報を取得し管理することも可能となり、情報処理装置8に接続されている表示部82では、頭部模型2を構成する上顎模型22a、下顎模型22bの他、上顎模型22aに装着される歯牙模型や下顎模型22bに装着される歯牙模型の識別情報、識別情報に基づく各医療用実習模型の組合せ情報、実習履歴情報、実習評価情報、実習者ID情報を関連付けして表示することが出来るという効果が奏される。
また、これらの情報を上記情報処理装置8と書込装置を介して各上下の顎模型や各歯牙模型に設けたRFIDタグに記録(保存)することが出来るので、各歯牙模型や顎模型を頭部模型から取り外されるなどして何の模型であるか把握が困難な場合でも、RFIDタグに保存された情報を読み出せれば、直ぐにその模型が誰に使用され、いつ、どのような実習が行なわれたのかを把握できるという効果が奏される。
<2.2. 第2実施形態>
第1実施形態では、実習時の処置対象となる医療用実習模型として、頭部模型2を採用しているが、医療用実習装置10に適用される医療用実習模型は、頭部模型2のみのものに限られるものではない。なお、以下の説明においては、第1実施形態の場合と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る医療用実習システム10SAを示すブロック図である。本実施形態に係る医療用実習装置10に使用される医療用実習模型は、人体の頭部を模した頭部模型2Aと、胴体を模した胴体模型9と、手(主に、腕部分と掌部分等で構成される)を模した手模型9Aと、脚を模した脚模型9Bとで構成された人体全身模型となっている。図8中、破線で示したように、胴体模型9は、その上部に頭部模型2Aと、手模型9Aと、脚模型9Bとが、着脱交換可能に装着されるよう構成されている。
また、頭部模型2A、胴体模型9、手模型9A、脚模型9Bには、それぞれRFIDタグ2AT,9T,9AT,9BTが取り付けられている。RFIDタグ2AT,9T,9AT,9BTには、それぞれが取り付けられている模型の識別情報が保持されている。また、RFIDタグ2ATには、頭部模型2Aに装着される部品模型(図9で詳細に説明する。)の組合せを示す組合せ情報が保持されている。また、RFIDタグ9Tには、胴体模型9に装着される部品模型(内臓模型群90。図10で詳細に説明する。)についての組合わせ情報が保持される。
なお、RFIDタグ2AT,9AT,9BTに保持されているデータは、それぞれ胴体模型9の内部を通る配線を通して情報処理本体部81に送信される。しかしながら、胴体模型9の内部を通過することなく、情報処理本体部81に送信されるようにしてもよい。
{頭部模型の構成}
図9は、医療用実習模型10の頭部模型2Aを示す図である。本実施形態に係る頭部模型2Aには、部品模型として右耳模型21cRおよび左耳模型21cLが着脱交換可能に装着される。さらに、右耳模型21cRおよび左耳模型21cLの各々には、部品模型として内耳模型211c、中耳模型212c、外耳模型213cが着脱交換可能に装着される。
また、頭部模型2Aには、部品模型として右眼球模型21bRおよび左眼球模型21bLが着脱交換可能に装着される。右眼球模型21bR、左眼球模型21bLには、部品模型として角膜模型211b、水晶体模型212b、硝子体模型213bがそれぞれ着脱交換可能に装着されるように構成されている。また、頭部模型2Aには、部品模型として顔面模型21aが装着される。そして顔面模型21aには、部品模型として口腔内部の粘膜を再現した口腔粘膜模型211a、上唇模型212a、下唇模型213aが着脱交換可能に装着されるように構成されている。
また、各模型には、RFIDタグが取り付けられており、第1実施形態と同様に頭部模型2Aに装着された各模型を階層的に管理するように構成されている。
具体的に、右耳模型21cRおよび左耳模型21cLのそれぞれに装着される内耳模型211c、中耳模型212cおよび外耳模型213cには、RFIDタグ211cT,212cT、213cTがそれぞれ取り付けられている。また、右眼球模型21bRおよび左眼球模型21cLのそれぞれに装着される角膜模型211b、水晶体模型212bおよび硝子体模型213bには、RFIDタグ211bT,212bT,213bTがそれぞれ取り付けられている。また、顔面模型21aに装着される口腔粘膜模型211a、上唇模型212aおよび下唇模型213aの各々には、RFIDタグ211aT,212aT,213aTがそれぞれ取り付けられている。
RFIDタグ211aT〜213aT,211bT〜213bT,211cT〜213cTには、それぞれが取り付けられる部品模型についての識別情報が保持されている。例えば、RFIDタグ211cTには、RFIDタグ211cTが取り付けられている内耳模型211cについての識別情報が保持されている。
また、右眼球模型21bR、左眼球模型21bL、右耳模型21cR、左耳模型21cLの各々には、RFIDタグ21bRT,21bLT,21cRT,21cLTがそれぞれ取り付けられている。これらRFIDタグ21bRT,21bLT,21cRT,21cLTには、それらが取り付けられている模型(右眼球模型21bR、左眼球模型21bL、右耳模型21cRまたは左耳模型21cL)の識別情報と、該模型に装着された部品模型の組合せ示す組合せ情報が保持される。
例えば、RFIDタグ21cRには、RFIDタグ21cRが取り付けられている右耳模型21cRについての識別情報と、右耳模型21cRに装着されている内耳模型211c、中耳模型212cおよび外耳模型213cの組合せを示す組合せ情報が保持される。この組合せ情報は、RFIDタグ211cT〜213cTに保持されている識別情報に基づくものとなっている。つまり、RFIDタグ21cTは、内耳模型211c、中耳模型212c、外耳模型213cの組合せを管理する管理用RFIDタグとなっている。なお、鼻模型21dについては、例えば、右耳模型21cRのRFIDタグ21cRT、または、左耳模型21cLのRFIDタグ21cLTによって管理するようにしてもよい。
頭部模型2Aに取り付けられたRFIDタグ2ATには、頭部模型2Aについての識別情報と、右耳模型21cR、左耳模型21cL、右眼球模型21bR、左眼球模型21bL、顔面模型21a、上顎模型22a、下顎模型22bおよび鼻模型21dについての組合せを示す組合せ情報が保持される。
本実施形態では、第1実施形態で使用されていた顔模型21が省略されている。そして、右耳模型21cR、左耳模型21cL、右眼球模型21bR、左眼球模型21bL、顔面模型21aおよび鼻模型21dの組合せ情報が、頭部模型2AのRFIDタグ2Tにて管理されるように構成されている。
このように頭部模型2Aでは、第1実施形態に係る頭部模型2とは異なる組合せで各模型を管理される。しかしながら、第1実施形態でも説明したのと同様に、頭部模型2Aに取り付けられたRFIDタグ2ATから組合せ情報を読み取ることによって、頭部模型2Aに装着されている部品模型を特定することができる。したがって、本実施形態に係る頭部模型2においても、装着された部品模型の管理を容易に行うことが可能となっている。
{胴体模型の構成}
図10は、図8に示した内臓模型群90の構成を詳細に示すブロック図である。図10に示したように、本実施形態の胴体模型9には、内臓模型群90として、消化器系の臓器を模した臓器模型(食道模型901、胃模型902、小腸模型903、大腸模型904、肝臓模型905、膵臓模型906)、呼吸器系の臓器を模した臓器模型(肺模型907)が着脱交換可能に装着される。さらに、胴体模型9には、循環器系の臓器を模した臓器模型(心臓模型908、脾臓模型909)、内分泌系の臓器を模した臓器模型(右副腎模型910R、左副腎模型910L)、泌尿器系の臓器を模した臓器模型(右腎臓模型911R、左腎臓模型911L、膀胱模型912)が着脱交換可能に装着される。また、胴体模型9には、内臓模型群90として、内臓筋である横隔膜を模した横隔膜模型913が着脱交換可能に装着される。
また、胴体模型9に装着される模型のうちのいくつかは、さらに部品模型が装着されるように構成されている。例えば、小腸模型903には十二指腸模型914が装着可能であり、大腸模型904には虫垂模型915、結腸模型916、直腸模型917が装着可能となっている。また、肺模型907は、右肺模型907Rおよび左肺模型907Lが装着可能となっている。さらに、左肺模型907Lおよび右肺模型907Rには、それぞれ気管模型918,肺胞模型919が装着可能となっている。また、肝臓模型905には、胆嚢模型920が装着可能となっている。
図9および図10中破線で示したように、咽喉模型22dと食道模型901とは、頭部模型2Aが胴体模型9に装着される際に、相互に接続される構造としてもよい。このように模型どうしを実際の生体器官の接続関係に合わせて接続するように構成することで、より生体に近いリアルな医療用実習模型を提供することができる。これと同様に、食道模型901と胃模型902、胃模型902と小腸模型903、小腸模型903と大腸模型904が接続されるようにしてもよい。また、その他の模型についても、破線で結ぶ組合せで接続するようにしてもよい。勿論、破線で結ばれた模型同士以外を接続するようにしてもよい。
胴体模型9に装着される模型の各々には、RFIDタグが取り付けられている。食道模型901、胃模型902、小腸模型903、大腸模型904、肝臓模型905、膵臓模型906、肺模型907、心臓模型908、脾臓模型909、右副腎模型910R、左副腎模型910Lには、RFIDタグ901T,902T,903T,904T,905T,906T,907T,908T,909T,910RT,910LTがそれぞれ取り付けられている。また、右腎臓模型911R、左腎臓模型911L、膀胱模型912、横隔膜模型913、十二指腸模型914、虫垂模型915、結腸模型916、直腸模型917、気管模型918,肺胞模型919、胆嚢模型920には、それぞれ、RFIDタグ911RT,911LT,912T,913T,914T,915T,916T,917T,918T,919T,920Tが取り付けられている。これらのRFIDタグには、自身が取り付けられている模型についての識別情報が保持されている。
また、小腸模型903のRFIDタグ903Tには、RFIDタグ914Tに保持された十二指腸模型914についての識別情報が保持される。また、大腸模型916のRFIDタグ916Tには、RFIDタグ915T〜917Tに保持された識別情報に基づき、虫垂模型915、結腸模型916、直腸模型917の組合せについての組合せ情報が保持される。また肝臓模型905のRFIDタグ905Tには、RFIDタグ920に保持された胆嚢模型920についての識別情報が保持される。さらに、右肺模型907RのRFIDタグ907RTおよび左肺模型907LのRFIDタグ907LTには、それぞれに装着されている気管模型918および肺胞模型919の組合せを示す組合せ情報が、RFIDタグ918T,919Tに保持された識別情報に基づき、保持される。
また、肺模型907のRFIDタグ907Tには、RFIDタグ907RT,907LTに保持されたデータ(右肺模型907Rおよび右肺模型907Lの識別情報と、気管模型918および肺胞模型919の組合せ情報)に基づき、右肺模型907Rと左肺模型907Lについての組合せ情報が保持される。つまり、RFIDタグ907RT,907LTは、それぞれ右肺模型907Rおよび左肺模型907LTに取り付けられた部品模型(気管模型918および肺胞模型919)を管理するための管理用RFIDタグとなっている。
さらに胴体模型9に取り付けられたRFIDタグ9Tには、RFIDタグ901T〜909TおよびRFIDタグ910RT,910LT,911RT,911LT,912T,913Tから読み取ったデータに基づいて、胴体模型9に取り付けられている部品模型の組合せを示す組合せ情報が保持される。つまり、胴体模型9は、食道模型901、胃模型902、小腸模型903、大腸模型904、肝臓模型905、膵臓模型906、肺模型907、心臓模型908、脾臓模型909、右副腎模型910R、左副腎模型910L、右腎臓模型911R、左腎臓模型911L、膀胱模型912および横隔膜模型913を階層的に管理する管理用RFIDタグとなっている。
例えば、胴体模型9のRFIDタグ9Tには、RFIDタグ904Tに保持されたデータ(大腸模型904についての識別情報と、虫垂模型915、結腸模型916および直腸模型917についての組合せ情報)とが保持される。したがって、RFIDタグ9Tに保持されたデータを読み取ることによって、「大腸模型904に、虫垂模型915、結腸模型916および直腸模型917が装着されている」ことを把握することが可能となる。
胴体模型9に装着される内臓模型群90を、階層的にRFIDタグ9Tで管理することによって、胴体模型9に装着されている部品模型の管理を効率的に行うことができる。
なお、胴体模型9に装着される部品模型の管理態様は、上述のようなものに限定されない。例えば横隔膜よりも上側にある器官を模した内臓模型群と、横隔膜よりも下側にある器官を模した内臓模型群とに分けて、各内臓模型群の組合せをRFIDタグでそれぞれ管理するようにしてもよい。また、肺模型907と心臓模型908とを共通のRFIDタグで管理するようにして、心肺模型としてまとまりのある構成とすることもできる。
また、内臓模型群90として上げた各部品模型について、さらに部品模型が装着される構成としてもよい。例えば、心臓模型908については、左右の心室模型および左右の心房模型を着脱交換可能に装着するように構成してもよい。この場合は、左右の心室模型および左右の心房模型に、識別情報が保持されたRFIDタグを取り付け、RFIDタグ908Tにこれらの組合せを示す組合せ情報が保持されるようにすればよい。また、胴体模型9に対して、骨系や筋肉系、血管系、神経系等の各器官を模した模型が着脱交換可能に装着されるように、胴体模型9を構成することも可能である。
<2.3. 第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係る実習者用実習台Aの構成を示すブロック図である。また、図12は、第3実施形態に係る指導者用実習台Bの構成を示すブロック図である。
実習者用実習台Aは、パーソナルコンピュータで構成された通信情報処理部50(通信手段)を備えている。この通信情報処理部50には、通話のためのマイクMCおよびスピーカーSP、画像表示のためのモニター51、CCDカメラ53と、CCDカメラ53で撮像された映像を保存するための画像記録装置55が接続されている。また、通信情報処理部50には、評価装置Sが通信可能に接続されている。
評価装置Sは、インターフェースI/Fを備えており、そのインターフェースI/Fに、根管長を測定する測定装置や、切削圧を検出する切削圧検出装置が接続される。これにより、評価装置Sに、医療用実習模型(頭部模型2等)を使用して実習した実習結果を実習データとして取り込まれる。評価装置Sは、所定の評価プログラムを実行することにより、取り込んだデータを所定の評価基準に基づいて評価することにより、実習者の技能を評価する。
なお、評価装置Sを設ける代わりに、実習評価者(指導者等)が実習者の手技を評価して、その評価結果を入力するための評価入力手段を設けてもよい。また、外部装置において、評価された結果を入力するデータ入力手段を設けてもよい。
指導者用実習台Bは、実習者用実習台Aと同様に、パーソナルコンピュータで構成された通信情報処理部60(通信手段)を備えている。この通信情報処理部60には、通話のためのマイクMCおよびスピーカーSPと、画像表示のためのモニター61、CCDカメラ63と、CCDカメラ63で撮像された映像を保存する画像記録装置65と、保存された映像を必要に応じて編集するためのAVコントローラ67とが接続されている。また、通信情報処理部60には、指導者用実習台Bの動作モードの切り替えを行うための同時切替部69が接続されている。
同時切替部69は、通信情報処理部60が、実習者用実習台Aに対する指導情報の送信と、音声および画像の送信と、を切り替えて行うために設けられている。操作者は、同時切替部69を操作することによって、特定の実習者との情報交換と、指導情報の提供と、を切り替えて行うことができる。
図13は、複数の実習者用実習台Aと指導者用実習台Bとの接続した実習管理システムWを示す図である。複数の実習者用実習台Aのそれぞれには、医療用実習模型としての頭部模型2が設置されており、ハンドピース、注射器、スケーラ、ミラーなどの診療器具(診療器具4に相当する。)が備えられている。
実習者用実習台Aの通信情報処理部50は、クライアント端末、指導者用実習台Bの通信情報処理部60は、サーバー装置として機能する。通信情報処理部50,60は、信号線Lを通じて接続され、いわゆるLANシステムを構築している。なお、通信情報処理部50,60は、赤外線や省電力電波等を利用した無線LAN接続されていてもよい。また、通信情報処理部50,60をインターネット等のネットワークに接続することにより、遠隔地にあるサーバー装置に各種データを保存したり、あるいは保存されたデータを取得したりすることも可能である。
この実習管理システムWによると、実習時にCCDカメラ53、スピーカーSPおよびマイクMCを用いて取り込まれた音声付きの実習画像が、実習者用実習台Aに表示される。これにより、実習者は実習者用実習台Aにおいて、自分の実習状況を確認することができる。
また、実習画像は、通信情報処理部50に保存されたり、必要に応じて指導者用実習台Bの通信情報処理部60に送信されて保存されたりする。このような実習時の記録はファイル情報として順次蓄積され、必要に応じて、指導者用実習台Bまたは実習者用実習台Aにおいて再生することも可能である。
また、指導者はCCDカメラ63で撮像した模範的な診療要領を、全実習者や特定の実習者のクライアント端末に送り、モニター51に表示刺せて見せることができる。もちろん、特定の実習者用実習台Aにおいて、CCDカメラ53によって撮影した実習画像を、模範的な診療要領として、別の実習者のクライアント端末に送信するようにしてもよい。
また複数の実習者の実習画像を指導者用実習台Bのモニター61に画面分割で同時に映し出したり、あるいはタイムシェアリング方式で順次に映し出したりして、実習画像を観察することができる。
指導者用実習台Bでは、複数の実習者の実習結果に対する評価を集中的にオンライン観察できるように構成すれば、指導者側で実習評価を迅速に把握できるので、より一層効率的よく指導できる。
この実習管理システムWにおいては、指導者は、マイクMC、スピーカーSP、CCDカメラ53,63、モニター51,61を用いることにより、画像や音声を交えて複数の実習者に一斉指導をすることができる。また、必要に応じて、実習者は、特定の実習者に対してのみ、その者の能力に応じた個別指導を行うこともできる。特に、指導者用実習台Bと実習者用実習台Aとは、画像情報だけではなく、音声情報も同時に沿う方向で交換することができる。このため、指導者は、実習者の能力に応じた個別指導を効果的に行うことができる。
また、通信情報処理部50を照合部811として機能させることにより、頭部模型2のRFIDタグ2Tからデータを読み取ることによって、頭部模型2に装着された部品模型を容易に特定することができる。この特定結果をモニター51に表示させること等により、頭部模型2に装着する部品模型の組合せが膨大に存在したとしても、実習者がその組合せを容易に把握することができる。また、特定結果を通信情報処理部60に送信することによって、指導者が模型部品の組合せを把握できるようにしてもよい。
<3. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の人体または人体の一部を模した医療用実習模型の実施形態については様々なバリエーションが考えられる。例えば、大人、子供、老人や、男性、女性や、肥満痩身や、背高、背低などをモデルとした模型を使用できるようにしてもよい。また、顎模型については、正常な顎、無歯顎や、上顎前突、反対咬合、過蓋咬合、開咬や、叢生、乱杭歯、空隙歯列、埋伏歯などを再現用の医療用実習模型(顎模型)を使用できるようにしてもよい。例えば、歯牙模型については、健康な歯牙の他、う蝕、損傷(欠け)、歯周病、変色等の各種症例を再現した医療用実習装置(歯牙模型)を使用できるようにしてもよい。
例えば、上記実施形態では、人体または人体の一部を模した医療用実習模型を例に挙げて説明しているが、例えば人間以外の動物の体(または動物の体の一部)を医療用実習模型として使用してもよい。このような場合にも、装着される模型部品の管理を効率的に行うことができる。また、動物を模した医療用実習模型においても、大人、子供、老体、雄、雌、など、様々なバリエーションの模型の形態を使用できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、各種情報処理をCPU、RAM等を用いてソフトウェア的に実現するようにしているが、その機能の一部または全部を、専用の回路によってハードウェア的に実現するようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。