JP2012180967A - 粉体連続焼成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱途中に粉体から揮発した成分を分離できる粉体連続焼成装置を提供する。
【解決手段】炉内を移動する炉床に原料粉体を連続して供給し、原料粉体を加熱して揮発成分を除去する揮発炉と、炉内を移動する炉床に揮発炉から排出される原料粉体を連続的に供給し、原料粉体をさらに加熱して焼成する焼成炉とを、中間ホッパを介して接続し、中間ホッパに一定量以上の原料粉体を貯留することによって、揮発炉の炉内空間と焼成炉の炉内空間とを原料粉体により隔離する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉体連続焼成装置に関する。
リチウムイオン二次電池用負極活物質は、一般に、炭素粉体等の原料粉体を1000℃から1300℃の不活性雰囲気中で焼成して製造される。そのような粉体の焼成は、こう鉢に原料粉体を充填したものを連続してローラハース炉等で加熱して行うことが一般的である。
また、粉体を連続して焼成する装置としては、特許文献1に記載されているように、トンネル炉を直線的に貫通するベルトコンベア(主にスチールベルト)の上に連続して粉体を積載して加熱するベルト式焼成炉や、特許文献2に記載されているように、円弧状の炉体を貫通するように回転する環状の円盤の上に連続して粉体を積載する回転炉床炉が知られている。
また、特許文献1には、炉内に雰囲気ガスを充填するために、炉体の入口および出口に、無端ベルトに圧接されるシールローラを設けて炉内と炉外とを隔離する技術も記載されている。
また、炭素系の原料粉体を例えば焼成する場合、例えば特許文献3に記載されているように、500℃から750℃の温度範囲において、原料粉体から炭化水素ガスやタールが揮発することが知られている。
焼成した粉体は、最終的にある程度冷却してから回収する必要があるため、焼成装置の最終段には、冷却帯が設けられる。原料粉体から揮発したタール等は、炉内の低温部や冷却帯において製品粉体に凝縮して付着成長し、炉壁の輻射率や製品の品質を低下させる。また、揮発したタールは1000℃を超えるような高温になると熱分解炭素を発生し、炉材に沈着して炉を劣化させる。
粉体の加熱途中に揮発したタール等の成分は、分子運動によって雰囲気ガス中に拡散し、また、搬送されている粉体に随伴する雰囲気ガスの移動に伴って炉の下流側に移動する。炉内の雰囲気ガスを吸引して強制排気し、揮発した成分が炉の下流側に移動しないようにするためには、相当量の雰囲気ガスを吸引する必要があるため、炉内空間に多量の不活性ガスおよび熱を供給する必要がある。したがって、吸引によって揮発成分を分離すると、製造コストが高くなる。
特許第2643086号公報 特許第4312773号公報 特開2002−130627号公報
前記問題点に鑑みて、本発明は、加熱途中に粉体から揮発した成分を分離できる粉体連続焼成装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明による粉体連続焼成装置は、炉内を移動する炉床に原料粉体を連続して供給し、前記原料粉体を加熱して揮発成分を除去する揮発炉と、炉内を移動する炉床に前記揮発炉から排出される原料粉体を連続的に供給し、前記原料粉体をさらに加熱して焼成する焼成炉とを有するものとする。
この構成によれば、揮発炉においてタール等を完全に揮発させた粉体を、分離されたより高温の焼成炉に導入するので、揮発した成分が高温の焼成温度に晒されたり、焼成炉の冷却帯に進入したりしない。これにより、タール分が加熱されて熱分解炭素を生じたり、冷却された製品粉体に凝縮付着したりすることがない。
また、本発明の粉体連続焼成装置において、前記揮発炉の炉体と前記焼成炉の炉体とは、中間ホッパを介して接続されており、前記中間ホッパに一定量以上の前記原料粉体を貯留することによって、前記揮発炉の炉内空間と前記焼成炉の炉内空間とを前記原料粉体により隔離してもよい。
この構成によれば、原料粉体の層によって揮発炉内の雰囲気ガスと焼成炉の雰囲気ガスとを分離するので、揮発炉内の雰囲気ガス中に拡散したタール分等が焼成炉内に進入しない。
また、本発明の粉体連続焼成装置において、前記中間ホッパは、貯留する原料粉体の高さを一定量以上に保つように、前記焼成炉の炉床に前記原料粉体を排出するための開口の大きさを調整してもよい。
この構成によれば、原料粉体の層の厚みが確保できるので、揮発炉内と焼成炉との隔離が確実になる。
また、本発明の粉体連続焼成装置において、前記揮発炉は、ローラに掛け渡された無端ベルトからなる直進炉床を有し、前記焼成炉は、環状の耐熱材からなる回転炉床を有してもよい。
この構成によれば、揮発炉を安価なベルト型の炉とし、焼成炉を耐熱性の高い回転型炉とすることで、安価で信頼性の高い装置となる。
また、本発明の粉体連続焼成装置において、前記揮発炉は、当該揮発炉の炉体の前後で前記無端ベルトを挟み込むシールローラと、当該揮発炉の炉体と前記シールローラとの間を気密に封止するカバーとを備えてもよい。
この構成によれば、揮発炉の内部空間を外気から遮断することができ、タール分等が装置外部に漏れることを防止できる。
また、本発明の粉体連続焼成装置において、前記揮発炉は、当該揮発炉の炉体の下流側の前記シールローラの直前に、前記無端ベルトを冷却するための冷却装置を備えてもよい。
この構成によれば、シールローラに耐熱性が要求されなくなるので、安価でシール性の高い材料を使用してシールローラを形成できる。
本発明の粉体連続焼成装置は、原料粉体から揮発成分を除去する低温の揮発炉と、揮発成分を除去した原料粉体を焼成する焼成炉とを接続してなるので、揮発した成分が、焼成温度まで加熱されたり、冷却された最終製品に凝縮付着したりしない。このため、製品の品質が高く、炉の寿命も長い。
本発明の実施形態の粉体連続焼成装置の平面図である。 図1の粉体連続焼成装置の展開断面図である。 図1の粉体連続焼成装置の中間ホッパの拡大断面図である。
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1および図2に、本発明の1つの実施形態である粉体連続焼成装置1を示す。粉体連続焼成装置1は、直線状の揮発炉2と、円環状の焼成炉3とからなる。尚、図2は、原料粉体の搬送方向に沿って焼成炉3を展開した断面図である。揮発炉2は、例えば約750℃の炉温であり、原料粉体からタール等の揮発性成分を揮発させて除去するものである。焼成炉3は、例えば約1300℃の炉温であり、揮発炉2で揮発性成分を除去した原料粉体をさらに加熱して焼成し、所望の製品粉体に変成させるものである。
揮発炉2は、トンネル状のマッフル構造とした炉体4を直線的に貫通して周回する無端のスチールベルト5を有する。スチールベルト5は、炉内で方向転換するように、複数のローラ6に掛け渡されて駆動されるコンベアベルトである。揮発炉2は、スチールベルト5の上に、原料粉体を一定の厚みで積載する定量供給装置7を有する。つまり、スチールベルト5は、原料粉体を担持して炉体4を直線的に通過する直進炉床となる。炉体4の炉内空間には、不活性ガス(例えば窒素)が導入されるようになっている。さらに、揮発炉2は、炉体4内の原料粉体から排出されるガスに含まれる有害物質を燃焼分解する排ガス処理装置8を有する。
また、揮発炉2は、炉体4の前後に、スチールベルト5を気密に挟み込むシールローラ9がそれぞれ設けられている。そして、炉体4の端部とシールローラ9との間は、それぞれ、カバー10,11によって封止されている。つまり、炉体4の入口および出口は、シールローラ9およびカバー10,11によって封止されており、炉内空間が外部から隔離されている。揮発炉2の後端部のカバー11は、焼成炉3に気密に接続された中間ホッパ12と一体に形成されている。つまり、揮発炉2と焼成炉3とは、中間ホッパ12を介して気密に接続されている。
焼成炉3は、円を途中で切ったCの字状の炉体13と、炉体13を貫通して回転する環状の、グラファイトのような耐熱材で形成された回転炉床14とを有する。回転炉床14の上面には、炉体13を貫通した中間ホッパ12から原料粉体が略一定の厚みで連続的に積載される。炉体13の下流には、回転炉床14上の粉体を冷却する冷却帯15が設けられ、冷却帯15の下流には、粉体を真空吸引して回収する回収装置16が配設されている。また、焼成炉4にも、不活性ガスが供給され、炉体13内の原料粉体から排出される揮発成分を燃焼分解する排ガス処理装置17が設けられている。
図3に、中間ホッパ12を詳しく示す。中間ホッパ12は、焼成炉3の炉体13の上部を貫通し、下端が回転炉床14の表面に近接している。中間ホッパ12は、下端部の回転炉床14の回転方向下流側に原料粉体Pを排出するための開口が形成されており、その開口の高さを変更するために、シリンダ18によって上下するゲート19を備えている。ゲート19は、上昇位置と下降位置とをシリンダのストローク調整等によって予め設定できるようになっている。これによって、回転炉床14には、ゲート19の高さ(開口面積)に比例した量の原料粉体Pが供給される。
また、中間ホッパ12は、焼成炉3の炉体13の上部において断面積が大きくなっており、ある程度の原料粉体Pを貯留できるようになっている。そして、中間ホッパ12は、粉体面の高さを検出する2つのレベルスイッチ20,21を備える。レベルスイッチ20は、粉体レベルの許容範囲の上限を検出し、レベルスイッチ21は、粉体レベルの許容範囲の下限を検出する。
本実施形態の粉体連続焼成装置1では、レベルスイッチ20が、中間ホッパ12内の原料粉体Pの粉体面の高さが上限以上であることを検出したなら、ゲート19を上げて回転炉床14上に形成される原料粉体Pの層の厚みを大きくする。これにより、中間ホッパ12から回転炉床14に供給する原料粉Pの量を揮発炉2から排出される粉体量よりも多く、中間ホッパ12内の粉体レベルを低下させる。
また、レベルスイッチ21が、中間ホッパ12内の原料粉体Pの粉体面の高さが下限以下であることを検出したなら、ゲート19を下げて回転炉床14上に形成される原料粉体Pの層の厚みを小さくし、中間ホッパ12から回転炉床14に供給する原料粉体Pの量を揮発炉2から排出される粉体量よりも少なくして、中間ホッパ12内の粉体レベルを上昇させる。
このため、ゲート19は、揮発炉2の定量供給装置7の設定値に応じた粉体量を、中間ホッパ12から回転炉床14に供給するための理論高さよりも僅かに高い位置と、僅かに低い位置とのいずれかに位置決めされるように予め設定、つまり、シリンダ18のストローク等が製造条件に応じて予め調整される。
このように、本実施形態の粉体連続焼成装置1では、常に、中間ホッパ12の中に一定レベルの原料粉体Pが貯留されているため、揮発炉2の炉内およびカバー11の中の雰囲気と、焼成炉3の炉内とは、常に、十分な厚みの原料粉体Pの層によって隔離(遮断)される。そのため、揮発炉2と焼成炉3との間で雰囲気の干渉(流入、流出)が起きることがないので、揮発炉2内で揮発したタール分が焼成炉3内に進入しない上、それぞれの炉内雰囲気の温度が保たれる。
また、本実施形態の粉体連続焼成装置1は、下流側のシールローラ9の直前に、スチールベルト5を挟み込み、外周が断熱材で覆われた水冷ジャケット構造の冷却装置22を備えており、スチールベルト5を冷却してからシールローラ9で圧接して封止するようになっている。これにより、シールローラ9は、高温に晒されることがないため、一般的なゴムライニングを施した構造等で形成できる。また、図示するように、例えば金属からなるバックアップローラ23を設け、バックアップローラ23にシールアタッチメント24を当接させることで、シールローラ9の摩耗を防止できる。
また、レベルスイッチ21の代わりに、粉体の高さをリニアに検出できるレベル検出器で粉体の高さを常時監視し、シリンダ18の代わりに、パルスモータとボールねじを用いた機構等によってゲート19の高さを連続的に制御してもよい。
1…粉体連続焼成装置
2…揮発炉
3…焼成炉
4…炉体
5…スチールベルト(直進炉床)
9…シールローラ
10,11…カバー
12…中間ホッパ
13…炉体
14…回転炉床
18…シリンダ
19…ゲート
20,21…レベルスイッチ
22…冷却装置

Claims (6)

  1. 炉内を移動する炉床に原料粉体を連続して供給し、前記原料粉体を加熱して揮発成分を除去する揮発炉と、
    炉内を移動する炉床に前記揮発炉から排出される原料粉体を連続的に供給し、前記原料粉体をさらに加熱して焼成する焼成炉とを有することを特徴とする粉体連続焼成装置。
  2. 前記揮発炉の炉体と前記焼成炉の炉体とは、中間ホッパを介して接続されており、前記中間ホッパに一定量以上の前記原料粉体を貯留することによって、前記揮発炉の炉内空間と前記焼成炉の炉内空間とを前記原料粉体により隔離することを特徴とする請求項1に記載の粉体連続焼成装置。
  3. 前記中間ホッパは、貯留する原料粉体の高さを一定量以上に保つように、前記焼成炉の炉床に前記原料粉体を排出するための開口の大きさを調整することを特徴とする請求項2に記載の粉体連続焼成装置。
  4. 前記揮発炉は、ローラに掛け渡された無端ベルトからなる直進炉床を有し、前記焼成炉は、環状の耐熱材からなる回転炉床を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の粉体連続焼成装置。
  5. 前記揮発炉は、当該揮発炉の炉体の前後で前記無端ベルトを挟み込むシールローラと、当該揮発炉の炉体と前記シールローラとの間を気密に封止するカバーとを備えることを特徴とする請求項4に記載の粉体連続焼成装置。
  6. 前記揮発炉は、当該揮発炉の炉体の下流側の前記シールローラの直前に、前記無端ベルトを冷却するための冷却装置を備えることを特徴とする請求項5に記載の粉体連続焼成装置。
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