本発明の第1の実施形態に係る凝縮水排出装置を、図1〜4を用いて説明する。図1は、本実施形態の凝縮水排出装置100を備える自動車1を示す概略図である。図1中、凝縮水排出装置100は、概略的に示されている。
図1に示すように、自動車1は、エンジン10と、一対の前輪2と、一対の後輪3と、アクセルペダル4と、アクセルセンサ5と、メインECU6とを備えている。凝縮水排出装置100は、エンジン10の一部である。自動車1は、後述されるエンジン10が備える機関部分20が発生する駆動力を前輪2に伝達する伝達機構を備えている。自動車1は、機関部分20が発生する駆動力によって走行可能となる。
アクセルペダル4は、運転者が車を走行する際に踏み込むペダルである。アクセルセンサ5は、アクセルペダル4の踏み込み量を検出する。アクセルセンサ5は、メインECU6に連結されている。アクセルセンサ5は、検出結果をメインECU6に送信する。メインECU6は、自動車1の様々な制御を行う。メインECU6は、アクセルセンサ5の検出結果に基づいて、後述されるエンジンECU60に出力の要求を送信する。
図1に示すように、エンジン10は、機関部分20と、吸気系30と、排気系40と、ターボチャージャ50と、エンジンECU60とを備えている。
機関部分20は、エンジン10において燃焼室が設けられる部分である。本実施形態では、機関部分20は、レシプロ式のディーゼル機関であり、シリンダブロック600とシリンダヘッド601とから構成されている。機関部分20は、4気筒を備えている。なお、図1中では、1つの燃焼室21を示している。燃焼室21には、燃料を噴射するインジェクタ23が設けられている。
ターボチャージャ50は、後述される吸気通路31中に設けられるコンプレッサホイールと、後述される排気通路41中に設けられるタービンホイール55とを備えている。
吸気系30は、機関部分20に、空気A、または、空気Aと排気Hとの混合気Mとを導く。吸気系30は、吸気通路31と、エアクリーナ32と、エアフローセンサ33と、低圧排気還流装置用スロットルバルブ装置34と、ターボチャージャ50のコンプレッサホイールと、インタークーラ35と、高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36と、凝縮水排出装置100とを備えている。
吸気通路31は、空気A、または、空気Aと排気Hとの混合気Mとが流動する。吸気通路31は、吸気通路本体31aと、吸気マニホールド31bとを備える。吸気マニホールド31bは、機関部分20の各燃焼室21に連通している。吸気通路本体31aは、吸気マニホールド31bに連結されている。吸気通路本体31aは、吸気マニホールド31bに連通している。なお、ここで言う吸気通路本体31aとは、吸気通路31において吸気マニホールド31b以外の部分を示す。
エアクリーナ32は、吸気通路31中に設けられている。エアクリーナ32は、外部から導かれる空気Aを濾過する。エアフローセンサ33は、吸気通路31においてエアクリーナ32の下流に設けられている。エアフローセンサ33は、吸気通路31を流れる吸入空気量を検出する。
低圧排気還流装置用スロットルバルブ装置34は、吸気通路31においてエアフローセンサ33の下流に設けられている。低圧排気還流装置用スロットルバルブ装置34は、吸気通路31中においてエアフローセンサ33の下流に配置されるスロットルバルブ34aと、スロットルバルブ34aを回転することによって吸気通路31内でのスロットルバルブ34aの姿勢を変化するバルブ駆動部34bとを備えている。スロットルバルブ34aは、一例として、バタフライバルブである。吸気通路31内でスロットルバルブ34aの姿勢が変化することによって、低圧排気還流装置用スロットルバルブ装置34を通過する空気Aの量が調節される。言い換えると、スロットルバルブ34aの開度が調節される。
図中、ターボチャージャ50のコンプレッサホイールは、後述されるタービンホイール55の奥に配置されており、それゆえ、図中には示されていない。コンプレッサホイールは、吸気通路31においてスロットルバルブ34aの下流に設けられている。インタークーラ35は、吸気通路31においてコンプレッサホイールの下流に設けられている。インタークーラ35内を空気A、または、空気Aと排気Hとの混合気Mが流れる。インタークーラ35は、外部の空気との間で熱交換をすることによって、インタークーラ35内を流れる気体を冷却する。インタークーラ35は、本発明で言う冷却部の一例である。
高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36は、吸気通路31においてインタークーラ35の下流であって吸気マニホールド31bよりも上流に設けられている。高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36は、吸気通路31においてインタークーラ35の下流に配置されるスロットルバルブ36aと、吸気通路31内でのスロットルバルブ36aの姿勢を調節するバルブ駆動部36bとを備える。
バルブ駆動部36bがスロットルバルブ36aを回転することによってスロットルバルブ36aの姿勢を調節すると、スロットルバルブ36aの開度が調節されて、スロットルバルブ36aを通過する空気Aまたは混合気Mの量が調節される。
また、スロットルバルブ36aの開度が調節されることによって、吸気通路31においてスロットルバルブ36aの上流と下流とで圧力差を作ることができる。スロットルバルブ36aの開度を小さくすると、言い換えるとスロットルバルブ36aを絞ってスロットルバルブ36aを通過する気体の流量を小さくすると、スロットルバルブ36aの下流に対して上流の圧力を高くすることができる。
凝縮水排出装置100については、後で詳細に説明する。
排気系40は、各燃焼室21から排出される排気Hを外部へ導く。排気系40は、排気通路41と、ターボチャージャ50のタービンホイール55と、触媒装置42と、温度センサ44と、酸素濃度検出センサ45と、NOxトラップ触媒装置43と、低圧排気還流装置70と、高圧排気還流装置80と、酸素濃度検出センサ90とを備えている。低圧排気還流装置70は、本発明で言う排気還流装置の一例である。
排気通路41は、機関部分20の各燃焼室21から排出される排気Hが流動する。排気通路41は、排気通路本体41aと、排気マニホールド41bとを備えている。排気マニホールド41bは、各燃焼室21に連通している。排気通路本体41aは、排気マニホールド41bに連通している。排気通路本体41aは、排気通路41において排気マニホールド41b以外の部分を示す。タービンホイール55は、排気通路本体41aに設けられている。
触媒装置42は、排気通路41においてタービンホイール55の下流に設けられている。触媒装置42は、ハウジング42cと、酸化触媒42aと、DPF(Diesel Particulate Filter)42bとを備えている。ハウジング42cは、排気通路41の一部を構成している。DPF42bと、酸化触媒42aとは、ハウジング42c内に収容されている。酸化触媒42aは、DPF42bよりも上流に位置している。
DPF42bは、排気H中に含まれる煤などのディーゼルパティキュレートマターを捕集する機能を有する。酸化触媒42aは、排気H中の未燃成分を酸化する機能を有する。触媒装置42は、本発明で言う浄化部の一例である。
温度センサ44は、排気通路41においてDPF42bの直ぐ下流に設けられている。本実施形態では、一例として、ハウジング42cに設けられている。温度センサ44は、排気通路41においてDPF42bの直ぐ下流を流れる排気Hの温度を検出する。
酸素濃度検出センサ45は、排気通路41において触媒装置42の下流に設けられている。酸素濃度検出センサ45は、排気H中の酸素濃度を検出する。
NOxトラップ触媒装置43は、排気通路41の一部を形成するハウジング43aと、ハウジング43a内に収容されるNOxトラップ触媒43bとを備えている。ハウジング43aは、排気通路41において触媒装置42の下流に設けられている。NOxトラップ触媒43bは、排気H中のNOxを捕集し浄化する機能を有してNOxを窒素に還元する機能を有している。
低圧排気還流装置70は、本発明で言う排気還流装置70の一例である。低圧排気還流装置70は、低圧排気還流装置用通路71と、低圧排気還流装置用クーラ72と、低圧排気還流装置用バルブ装置73とを備えている。
低圧排気還流装置用通路71の一端74は、排気通路41において酸素濃度検出センサ45の下流であってかつNOxトラップ触媒装置43の上流の位置に連通している。低圧排気還流装置用通路71の他端75は、吸気通路31においてコンプレッサホイールとスロットルバルブ34aとの間に連通している。低圧排気還流装置用通路71は、排気通路41と吸気通路31を連通している。低圧排気還流装置用クーラ72は、低圧排気還流装置用通路71中に設けられている。
低圧排気還流装置用バルブ装置73は、低圧排気還流装置用通路71の他端75に設けられている。低圧排気還流装置用バルブ装置73は、バルブ73aと、バルブ73aを駆動するバルブ駆動部73bとを備えている。バルブ73aは、他端75を開閉する。
バルブ駆動部73bによってバルブ73aが移動されて、バルブ73aが他端75を開く状態であると、言い換えると、バルブ73aが開くと、低圧排気還流装置用通路71を通って排気Hが吸気通路31に流入する。バルブ73aが他端75を閉塞する状態であると、言い換えると、バルブ73aが閉じると、排気Hは、吸気通路31に流入しない。
高圧排気還流装置80は、高圧排気還流装置用通路81と、高圧排気還流装置用クーラ82と、高圧排気還流装置用バルブ装置83とを備えている。高圧排気還流装置用通路81の一端84は、排気マニホールド41bに連通している。高圧排気還流装置用通路81の他端85は、吸気通路31において、スロットルバルブ36aの下流に連通している。高圧排気還流装置用通路81は、排気通路41と吸気通路31とを連通している。高圧排気還流装置用クーラ82は、高圧排気還流装置用通路81に設けられている。
高圧排気還流装置用バルブ装置83は、高圧排気還流装置用通路81の他端85に設けられている。高圧排気還流装置用バルブ装置83は、バルブ83aと、バルブ83aを駆動するバルブ駆動部83bとを備えている。バルブ83aは、他端85を開閉する。
バルブ駆動部83bによってバルブ83aが移動されて、バルブ83aが他端85を開く状態であると、言い換えると、バルブ83aが開くと、高圧排気還流装置用通路81を通って排気Hが吸気通路31に流入する。バルブ83aが他端85を閉塞する状態であると、言い換えると、バルブ83aが閉じると、排気Hは、吸気通路31に流入しない。
酸素濃度検出センサ90は、排気通路41において触媒装置42の下流に連結されている。
エンジンECU60は、エアフローセンサ33と、温度センサ44と、酸素濃度検出センサ45とに接続されている。エアフローセンサ33と温度センサ44と酸素濃度検出センサ45とは、検出結果をエンジンECU60に送信する。エンジンECU60は、温度センサ44の検出結果に基づいて、温度センサ44の上流に位置する酸化触媒42aとDPF42bとの温度を検出する。本実施形態では、エンジンECU60は、温度センサ44の検出結果に対応する、酸化触媒42aの温度、DPF42bの温度の情報を備えている。この情報は、例えばマップなどである。エンジンECU60は、この情報に基づいて、酸化触媒42aの温度とDPF42bの温度とを得ることができる。
エンジンECU60は、メインECU6に接続されており、メインECU6から指示を受ける。エンジンECU60は、低圧排気還流装置用スロットルバルブ装置34のバルブ駆動部34bと、高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36のバルブ駆動部36bと、低圧排気還流装置用バルブ装置73のバルブ駆動部73bと、高圧排気還流装置用バルブ装置83のバルブ駆動部83bとに接続されており、これらバルブの開閉を制御する。また、エンジンECU60は、インジェクタ23の動作を制御する。
具体的に説明すると、メインECU6は、アクセルセンサ5の検出結果に基づいて、エンジンECU60に出力の要請を出す。エンジンECU60は、メインECU6からの指示に基づいて、または、機関部分20の運転状態に応じて、バルブ駆動部34b,36b,73b,83bと、各インジェクタ23との動作を制御する。
つぎに、凝縮水排出装置100について説明する。凝縮水排出装置100は、タンク装置101と、導入通路102と、排出通路103と、カバー部材104と、吸気通路用圧力センサ105と、排気通路用圧力センサ106(排気通路圧力検出手段)とを備えている。図2は、排気マニホールド41bの近傍を示すとともに、排気マニホールド41bが一部切断された状態を示している。
図2に示される、排気マニホールド41bと、機関部分20との配置関係を説明する。図2において、機関部分20は、排気マニホールド41bの奥に配置されている。また、図2中、各燃焼室21が並ぶ方向Cを矢印で示す。
車体上下方向Bについて説明する。図2中、車体上下方向Bは、前輪2と後輪3などの車輪が取り付けられた自動車1が平面上に置かれたときに、この平面に垂直な方向に平行とする。そして、上記垂直な方向のうち、平面において自動車1が置かれた側から平面に向かう方向を下方向とし、この反対方向を上方向とする。なお、自動車1が平面上におかれた状態とは、車輪がこの平面に接触しており、自動車1が走行可能な姿勢でおかれた状態である。重力の作用する方向に垂直な平面上に自動車1が置かれると、重力の作用する方向が下方向となる。
図3は、図2中に示されるF3―F3線に沿って示す断面図である。図2,3に示すように、タンク装置101は、排気マニホールド41bに対して車体上下方向Bに沿って上方に位置している。タンク装置101は、排気マニホールド41bに対して離間している。また、タンク装置101の全体は、車体上下方向Bに沿って見たときに排気マニホールド41bに重なっている。言い換えると、タンク装置101の全体は、車体上下方向Bに沿って見たときに、排気マニホールド41bの外観を形成する縁の内側に位置している。タンク装置101は、ブラケット107によって機関部分20に固定されている。
図4は、タンク装置101の内部を示している。図4に示すように、タンク装置101は、タンク110と、流動抑制筒111と、気液分離板112と、タンク用圧力センサ113(タンク内圧検出手段)とを備えている。タンク用圧力センサ113は、図1にのみ示されている。タンク110は、入口用貫通孔116と出口用貫通孔117以外の箇所が液密に密閉される筒状である。タンク110の外観を形成する壁部201の底壁部202は、排気マニホールド41bに対面している。
流動抑制筒111は、複数の貫通孔が形成される多孔板が筒状に形成されることによって構成されている。流動抑制筒111の両端は、開口している。本実施形態では、大きさの違う2つの流動抑制筒111が設けられている。小さい方の流動抑制筒111は、大きい方の流動抑制筒111の内側に収容されている。各流動抑制筒111の車体上下方向Bに下端の全域は、タンク110の底面に接触した状態で、この底面に固定されている。
車体上下方向Bに垂直な方向に沿ってタンク110の内面114と外側の流動抑制筒111との間には、隙間が形成されている。車体上下方向Bに垂直な方向に沿って一方の流動抑制筒111と他方の流動抑制筒111との間にも隙間が形成されている。なお、流動抑制筒111の数は、2つに限定されるものではない。1つでもよい。好ましくは、複数であるとよい。複数である場合は、図4に示すように、大きい流動抑制筒111内に小さい流動抑制筒111が収容される。
気液分離板112は、複数の貫通孔が形成される多孔板であり、一例として平板である。本実施形態では、一例として、気液分離板112は、3つ設けられている。各気液分離板112は、タンク110内において車体上下方向Bに沿って流動抑制筒111の上方に配置されている。気液分離板112の各々は、互いに離間しており、周縁の全域がタンク110の内面114に接触した状態で、内面114に固定されている。
図1に示すように、タンク用圧力センサ113は、タンク110内に設けられており、タンク110内の圧力を検出する。タンク用圧力センサ113は、エンジンECU60に接続されている。タンク用圧力センサ113は、検出結果をエンジンECU60に送信する。
タンク110において車体上下方向Bにそって上壁部115には、入口用貫通孔116と、出口用貫通孔117とが形成されている。
図1に示すように、導入通路102は、例えば管部材で形成されており、インタークーラ35とタンク110とに連通している。導入通路102の一端は、インタークーラ35内の空気Aまたは空気Aと排気Hとの混合気Mが流動する流路において、凝縮された凝縮水がたまりやすい部位に連通している。凝縮された凝縮水がたまりやすい部位は、本実施形態では、インタークーラ35内の空気Aまたは空気Aと排気Hとの混合気Mが流動する流路において車体上下方向Bに最も下端の位置に連通している。
なお、インタークーラ35内において空気Aまたは空気Aと排気Hとの混合気Mが流動する流路において凝縮水がたまりやすい部位は、インタークーラの構造によって異なる。インタークーラ内において空気Aまたは空気Aと排気Hとの混合気Mが流動する流路において凝縮水がたまりやすい部位は、実験などによって求めることができる。
ここで、インタークーラ35とタンク装置101との位置関係を説明する。本実施形態では、タンク装置101は、インタークーラ35に対して車体上下方向Bに下側に配置されている。なお、タンク装置101とインタークーラ35とは、車体上下方向Bに見たときに重なっていなくてもよい。
導入通路102は、入口用貫通孔116に連結されている。入口用貫通孔116の縁は、導入通路102が連結されることによって液密にシールされる。または、液密にシールするために、シール部材が用いられてもよい。
導入通路102は、タンク110内に連通している。導入通路102によって、インタークーラ35とタンク110とが連通する。インタークーラ35内で凝集した凝縮水Wは、導入通路102を通ってタンク110内に導かれる。入口用貫通孔116には、車体上下方向Bに沿って気液分離板112よりも下方に凝縮水Wを導く管部材118が取り付けられている。
タンク110内には、耐食性を高める処理が施されている。本実施形態では、タンク110の内面114と、管部材118と、後述される管部材119と、流動抑制筒111と、気液分離板112とには、耐食性を向上するために、ニッケル系の金属がコーティングされている。
排出通路103は、例えば管部材で形成されている。排出通路103の一端は、出口用貫通孔117に連結されている。出口用貫通孔117の縁は、排出通路103が連結されることによって気密にシールされる。または、気密にシールするために、シール部材が用いられてもよい。出口用貫通孔117には、タンク110内に向かって延びる管部材119が連結されている。管部材119は、気液分離板112と接触しない位置まで、車体上下方向Bに沿って延びている。
図1に示すように、排出通路103の他端は、排気通路41において触媒装置42の上流であってかつターボチャージャ50のタービンホイール55下流の位置に連結されている。排出通路103を介して、タンク110内と排気通路41とは連通している。排出通路103内には、蒸気調節バルブ装置120が設けられている。
蒸気調節バルブ装置120は、排出通路103内に設けられるバルブ本体121と、排出通路103内でのバルブ本体121の位置を調節するバルブ駆動部122とを備えている。バルブ本体121は、排出通路103を塞ぐ位置と、排出通路103を開く位置との2つの位置を変位可能である。バルブ駆動部122は、エンジンECU60に接続されている。バルブ駆動部122は、エンジンECU60によって制御されて、バルブ本体121を塞ぐ位置または開く位置に位置決めする。排出通路103と蒸気調節バルブ装置120とは、本発明で言う排出手段の一例を構成している。
図2,3に示すように、カバー部材104は、タンク装置101の全体と、排気マニホールド41bの全体とを覆っている。カバー部材104は、一例として、ブラケット400を介して排気マニホールド41bに固定されている。図3には、ブラケット400の一部が図示されている。なお、カバー部材104の固定構造は、上記以外の構造であってもよい。タンク101を固定する固定具として、ブラケット400以外の固定具が用いられてもよい。
カバー部材104は、車体上下方向Bに沿って上方に位置する上壁部104aと、機関部分20とタンク装置101との間に配置される側壁部104bと、タンク装置101を挟んで側壁部104bの反対側に配置される側壁部104cと、側壁部104b,104cを連結する側壁部104d,104eとを備えている。
図2に示すように、上壁部104aは、排気マニホールド41bとタンク装置101とに沿って形成されている。この点について具体的に説明すると、排気マニホールド41bが延びる方向である方向Bは、本実施形態では、一例として車体上下方向Bに垂直な方向である。
そして、タンク装置101は、車体上下方向Bに見たときに、排気マニホールド41bの中央に重なる。排気マニホールド41bとタンク装置101とは、T字を逆さまにした形状を構成する。上壁部104aは、T字を逆さまにした形状である。このため、上壁部104aと排気マニホールド41bとの間の隙間、上壁部104aとタンク装置101との隙間とは、小さく形成されている。
側壁部104b〜104eは、タンク装置101の周方向に連結されている。側壁部104bは、車体上下方向Bに沿ってブラケット107まで延びている。側壁部104c〜104eは、車体上下方向Bに沿って排気マニホールド41bの下端よりも下方に延びている。
図1に示すように、吸気通路用圧力センサ105は、インタークーラ35内の流路内の圧力を検出する。本実施形態では、インタークーラ35内の圧力は、吸気通路31においてインタークーラ35の上流の位置の圧力と同じである。このため、本実施形態では、吸気通路用圧力センサ105は、一例として、吸気通路31においてインタークーラ35の上流に設けられている。吸気通路用圧力センサ105は、エンジンECU60に接続されている。吸気通路用圧力センサ105は、検出結果をエンジンECU60に送信する。
排気通路用圧力センサ106は、排気通路41において排出通路103が連結される部位に作用する圧力を検出する。本実施形態では、排気通路用圧力センサ106は、排気通路41において、触媒装置42の上流であってかつ、タービンホイール55の下流の位置に設けられている。本実施形態では、一例として、ハウジング42cに設けられている。排気通路用圧力センサ106は、排気通路41内の圧力を検出する。排気通路用圧力センサ106は、エンジンECU60に接続されている。排気通路用圧力センサ106は、検出結果をエンジンECU60に送信する。
つぎに、凝縮水排出装置100の動作を説明する。エンジンECU60は、メインECU6からの指示によって排気Hを吸気通路31に導く場合、低圧排気還流装置用バルブ装置73を開く。このことによって、排気Hの一部は、低圧排気還流装置用通路71を通って吸気通路31に導かれる。
吸気通路31に排気Hが導かれることによって、空気Aと排気Hとの混合気Mが形成される。排気Hは、水蒸気を含んでいる。ここで言う水蒸気は、水が蒸発して気体となったものであり、凝結して水の細かい粒となったものなどの液体は含まない。このため、混合気Mも水蒸気を含む。混合気Mは、コンプレッサホイールを通過した後、インタークーラ35に流入する。混合気Mは、インタークーラ35を通過することによって冷却される。混合気Mが冷却されることによって、混合気M中の水蒸気が凝縮されて凝縮水Wができる。
エンジンECU60は、排気Hが吸気通路31に戻される際には、蒸気調節バルブ装置120を開く。そして、高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36のスロットルバルブ36aの開度を調整する。具体的には、インタークーラ35内の圧力をP1とし、タンク110内の圧力をP2とすると、P1>P2となるように、スロットルバルブ36aの開度を調整する。
エンジンECU60は、吸気通路用圧力センサ105と、タンク用圧力センサ113との検出結果から、圧力P1,P2を得ることができる。P1>P2となることによって、インタークーラ35内で凝縮された凝縮水Wは、導入通路102を通ってタンク110内に導かれる。タンク110内に導かれた凝縮水Wは、タンク110内にたまる。
タンク110は、自動車1の走行に起因する振動によって揺れる。このとき、凝縮水Wは、流動抑制筒111に形成される複数の孔を通ることによって、タンク110内で大きく揺れることが抑制されるので、当該揺れに起因して音が発生することが抑制される。
図2,3に示すように、タンク110は、車体上下方向Bに沿って排気マニホールド41bの上方に位置している。カバー部材104内の空気は、排気マニホールド41bによって暖められると、車体上下方向Bに沿って上方に移動する。暖められた空気は、タンク110にぶつかる。タンク110は、排気マニホールド41bによって暖められた空気がぶつかることによって昇温される。タンク110の壁部201において、底壁部202と底壁部202の近傍の部位は、本発明で言う受熱部として機能する。
タンク110内にためられた凝縮水Wは、上記のように昇温されたタンク110を介して昇温される。この結果、凝縮水Wは、タンク110内で蒸発する。蒸発して気体となった水蒸気Vは、タンク110内で上方に移動する。タンク110内で上方に移動した水蒸気Vは、気液分離板112にぶつかる。ここで言う水蒸気Vは、水が蒸発して気体となったものであり、凝結して水の細かい粒となったものなどの液体は含まない。タンク110と排気マニホールド41bとは、本発明で言う蒸発手段の一例を構成している。
水蒸気Vが気液分離板112にぶつかることによって、水蒸気Vとともに上昇した水滴、または、水蒸気Vの一部が凝結して水の細かい粒となったものが、水蒸気Vから分離される。
エンジンECU60は、温度センサ44の検出結果に基づいて触媒装置42の酸化触媒42aの温度とDPF42bの温度とを算出している。エンジンECU60は、触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定すると、タンク110内の水蒸気Vを排気通路41において触媒装置42の上流に戻す。エンジンECU60は、本発明で言う浄化装置温度算出手段の一例を兼ねている。
なお、触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定する状態は、酸化触媒42aの温度が、耐熱温度を超えて触媒の劣化が急激に進行する温度になっている状態、または、DPF42bの温度がその耐熱温度をこえてクラックの発生や溶損に至るおそれのある状態である。これら温度は、予め得ることができる温度であり、エンジンECU60に予め記憶されている。エンジンECU60は、温度センサ44の検出結果に基づいて得られる酸化触媒42aの温度とDPF42bの温度が、上記2つの温度のうち少なくとも1一方の温度をこえていると、触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定する。
より具体的には、酸化触媒42aの温度がその耐熱温度を超えている状態、または、DPF42bの温度がその耐熱温度をこえている状態のいずれいか一方の状態になると、エンジンECU60は触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定する。これら耐熱温度は、本発明で言う所定温度の一例である。
触媒装置42の温度が上昇する場合は、以下の場合がある。DPF42bが捕集した煤が燃焼することによって、DPF42bの温度が上昇する。また、Noxトラップ触媒43bに吸着されたサルファをパージする際に、エンジンECU60は、ポスト噴射を行う。ポスト噴射が行われると、排気H中の未燃燃料の成分が多くなる。このため、排気H中の未燃成分が酸化触媒42aで酸化されることによって、酸化触媒42aの温度が上昇する。また、酸化触媒42aで昇温された排気Hの熱によってDPF42bも昇温する。
なお、触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定する際に用いられる温度は、上記の2つの温度だけではなく、例えば、より安全を考慮してより低い温度に設定されてもよく、任意に決定できる。
エンジンECU60は、触媒装置42の温度が上昇しすぎていると判定すると、蒸気調節バルブ装置120を開く。そして、高圧排気還流装置用スロットルバルブ装置36のスロットルバルブ36aの開度を調整する。具体的には、インタークーラ35内の圧力をP1とし、タンク110内の圧力をP2とし、排気通路41において蒸気が戻される位置の圧力をP3すると、P1>P2>P3となるように、スロットルバルブ36aの開度を調整する。
P1>P2>P3となることによって、液体が分離された水蒸気Vは、排出通路103を通って排気通路41において触媒装置42の上流に確実に導かれる。触媒装置42の上流に戻された蒸気は、触媒装置42を通過する際に、酸化触媒42aとDPF42bとを冷却する。酸化触媒42aは、蒸気によって冷却されることによって、温度が耐熱温度をこえることが抑制される。DPF42bは、蒸気によって冷却されることによって、耐熱温度をこえることが抑制される。
このように構成される凝縮水排出装置100では、インタークーラ35で凝縮した凝縮水Wは、タンク110に導かれるので、凝縮水Wがインタークーラ35内にたまるとともに蒸発することが抑制される。このことによって、インタークーラ35が腐食することを抑制することができる。また、インタークーラ35の耐食性を向上する処理が不要またはその処理の程度を小さくすることができるので、コストの高騰を抑えることができる。
さらに、吸気通路31においてインタークーラ35の下流に、凝縮水Wが飛散することがないので、吸気通路31においてインタークーラ35の下流が腐食することを抑制することができる。特に、吸気通路31中に酸素濃度検出センサなどのセンサが設けられる場合、これらセンサは、水分の付着が故障の原因となる場合がある。本実施形態のように、インタークーラ35の下流に凝縮水Wが飛散することが抑制されることによって、吸気通路31においてインタークーラ35の下流にセンサなどの水分が故障の原因となる部品が設けられても、これら部品が故障することを抑制することができる。
さらに、吸気通路31においてインタークーラ35の下流の耐食性を向上する処理が不要またはその処理の程度を小さくすることができるので、コストの高騰を抑えることができる。
また、気体となった水蒸気Vを利用して、酸化触媒42aとDPF42bとを冷却している。このため、酸化触媒42aが過冷却されることを抑制することができる。この点について具体的に説明する。酸化触媒42aに、液体の凝縮水Wが戻されると、酸化触媒42aは、過冷却される。しかしながら、気体である水蒸気Vによって冷却されることによって、酸化触媒42aは、過冷却されない。さらに、液体ではなく水蒸気Vが酸化触媒42aに導かれることによって、酸化触媒42aが浸食、損傷されることを抑制できる。
また、凝縮水Wを蒸発する手段として、排気通路41を熱源として利用することによって、別途に凝縮水を加熱する手段を必要としないので、凝縮水排出装置100の構成を簡素にすることができる。さらに、排気通路41において温度が高い排気マニホールド41bを熱源として利用することによって、凝縮水Wを効率よく蒸発することができる。
また、タンク110が排気マニホールド41bに対して車体上下方向Bに沿って上方に位置することによって、排気マニホールド41bの熱を利用してタンク110の凝縮水Wを効率よく蒸発させることができる。
また、排気通路41の一部として排気通路41のうち温度が高い排気マニホールド41bに対して車体上下方向Bに沿って上方にタンク110を配置することによって、排気マニホールド41bが有する熱を有効に利用することができる。
また、タンク110の全体が排気マニホールド41bに車体上下方向Bに重なることによって、排気マニホールド41bの熱が効率よくタンク110に伝わるようになる。
また、カバー部材104を備えることによって、排気マニホールド41bの熱がタンク110に効率よく伝わるようになる。
また、凝縮水Wは、蒸発して気体となった水蒸気Vとして排気通路41に戻されるので、排気通路41に設けられるセンサなど水分の付着が故障の原因となる部品を故障させることがない。
また、流動抑制筒111と、気液分離板112とは、タンク110に接続されているので、タンク110の外から伝わる熱が流動抑制筒111と気液分離板112とを介して凝縮水Wに効率よく伝達されるので、凝縮水Wの蒸発を促進することができる。
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る凝縮水排出装置を、図5を用いて説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、排気系40は、NOxトラップ触媒装置43に代えてNOx選択還元触媒装置46を備える点と、尿素添加インジェクタ47を備える点とが、第1の実施形態と異なる。また、エンジンECU60は、第1の実施形態の動作に加えて、さらに、尿素添加インジェクタ47の動作を制御する。他の点は、第1の実施形態と同じである。
図5は、本実施形態の凝縮水排出装置100を備える自動車1を示す概略図である。図5に示すように、また、上記したように、本実施形態の排気系40は、Noxトラップ触媒装置43に代えてNOx選択還元触媒装置46を備えるとともに、尿素添加インジェクタ47を備える。
NOx選択還元触媒装置46は、排気通路41の一部を形成するハウジング46aと、Nox選択還元触媒46bとを備える。ハウジング46aは、排気通路41において低圧排気還流装置用通路71の一端74の下流に設けられている。Nox選択還元触媒46bは、ハウジング46a内に収容されている。NOx選択還元触媒46bは、排気H中のNoxを吸着するとともに、還元剤として尿素が添加されると、NOxを還元する機能を有する。
尿素添加インジェクタ47は、排気通路41において、NOx選択還元触媒装置46の上流に配置されており、Nox選択還元触媒46bに向かって尿素を噴射する。尿素添加インジェクタ47は、尿素を蓄えるタンク500に連結されており、尿素が供給される。
エンジンECU60は、尿素添加インジェクタ47の動作を制御する。具体的には、エンジンECU60は、例えばディーゼル機関部分20の運転時間などからNOx選択還元触媒46bが吸着したNOxを還元する時期になったと判定すると、尿素添加インジェクタ47を制御して、尿素添加インジェクタ47から尿素を噴射させる。
一方、NOx選択還元触媒46bでNOxを還元する場合、NOx選択還元触媒46bに供給される排気H中のNO(窒素)と、NO2との割合が、一対一であることが好ましい。NO2を生成するためには、酸化能力の高い酸化触媒が必要である。このため、本実施形態の酸化触媒42aは、排気H中のNOとNO2との割合が、一対一となる程度の酸化能力を有している。酸化触媒42aの酸化能力が上記のように高いことによって、DPF42bの再生時などにポスト噴射をすると、酸化触媒42aの温度が上昇する。
本実施形態であっても凝縮水排出装置100は、第1の実施形態と同様に動作する。
本実施形態のように、酸化触媒42aの酸化能力が比較的高く、それゆえ、酸化触媒42aの温度が耐熱温度域をこえる温度まで上昇しやすい場合であっても、触媒42aの温度を活性温度域内にとどめることができる。
なお、第1,2の実施形態では、タンク110内には、耐食性を向上するための処理として、ニッケル系の金属がコーティングされている。しかしながら、これに限定されない。たとえば、タンク110内に、排気を浄化する触媒がコーティングされてもよい。触媒がコーティングされることによって、凝縮水Wとともにタンク110内に導かれる排気Hを浄化することができる。
または、第1,2の実施形態のタンク110内には、耐食性を向上する処理に加えて、上記された触媒のコーティングが施されてもよい。
また、第1,2の実施形態では、凝縮水Wを蒸発するための蒸発手段として、タンク110と、排気通路41とを利用している。しかしながら、排気通路41を利用しない構造であってもよい。例えば、凝縮水Wを蒸発するための蒸発手段は、熱源として加熱ヒータを備えてこの加熱ヒータによって凝縮水Wを蒸発させてもよい。
また、第1,2の実施形態では、凝縮水Wを蒸発するための熱源として、排気マニホールドが用いられた。しかしながら、例えば、排気通路において、排気マニホールド以外の部分が用いられてもよい。この場合、タンク装置が第1,2の実施形態において、排気通路において排気マニホールド以外の部分が排気マニホールドに置き換えられる。排気通路において排気マニホールド以外の部位は、排気の熱によって高温になるので、第1,2の実施形態と同様の効果が得られる。なお、好ましくは、第1,2の実施形態のように、排気マニホールドが用いられるとよい。
また、第1,2の実施形態では、タンク110は、排気マニホールド41bの車体上下方向Bに沿って上方に配置されている。しかしながら、タンク110は、排気マニホールド41bから熱が伝達されて凝縮水Wが蒸発される位置にあればよい。このため、タンク110は、排気マニホールド41bに接触していてもよい。または、タンク110は、タンク110の一部が排気マニホールド41bの内部に入り込んでいてもよい。
なお、第1,2の実施形態では、タンク110は、底壁部202と、底壁部202の近傍の部分とが本発明で言う受熱部の一例として機能している。例えば、タンク110は、受熱部として、フィンなどの熱を受ける部分を備えてもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。