JP6115347B2 - 凝縮水処理機構 - Google Patents
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Description
また、排気中の窒素酸化物(以下、「NOx」という)を低減させるために、排気の一部を吸気通路に還流させて新気とともに再燃焼させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)システムが実用化されている。
通常、排気には、燃焼により生成された水蒸気が含まれるため、新気よりも多くの水蒸気が含まれている。このため、低圧EGRで還流された排気を含む吸気が、過給機で圧縮されインタークーラで冷却されることにより、吸気中の水蒸気が凝縮して水(以下、「凝縮水」という)が生成される場合がある。
そこで、低圧EGRを備えた吸排気系において、インタークーラで生成された凝縮水を処理する技術が開発されている。かかる技術が、例えば特許文献1〜3に開示されている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(3)前記吸気通路の前記凝縮水通路の前記一端部と前記凝縮水通路の前記他端部との間に介装されたスロットル弁を備えたことが好ましい。
(5)前記凝縮水通路の前記一端部は、前記吸気通路を形成する吸気管に形成されたスリット又は細孔であることが好ましい。
(6)前記凝縮水通路の前記一端部は、前記吸気通路のなかで鉛直高さが最も低い部分に接続されたことが好ましい。
なお、本実施形態でいう上流及び下流は、吸気,排気又は凝縮水の流れる方向を基準にしている。
〔1.構成〕
〔1−1.エンジン及びその吸排気系〕
まず、図1を参照して、エンジン並びにその吸気系及び排気系の構成を説明する。
〔1−1−1.エンジン〕
エンジン1は、ディーゼルエンジンであり、シリンダヘッド2,シリンダブロック3及びクランクケース4を有している。なお、エンジン1は、図示省略するが気筒を複数有する多気筒エンジンとして構成されている。
クランクケース4には、その内部にエンジンオイル6が貯留され、クランク軸4aが収容されている。このクランク軸4aは、その入力側がピストン3aとコネクティングロッド3bを介して接続され、その出力側がエンジン1の出力軸(図示略)と連結されている。したがって、クランク軸4aの回転数は、エンジン1の回転数と同じ又は対応したものとなっている。
また、エンジン1には、クランク軸4aの回転角度を検出し、この回転角度からエンジン1の回転数(以下、「エンジン回転数」という)を検出するクランク角センサ90が付設されている。
次に、エンジン1の上流側に設けられた吸気系の構成を説明する。
吸気系には、吸気管10及びこれに介装又は付設された各装置と、吸気管10とエンジン1の吸気ポート2aとの間に介装されているインテークマニホールド(以下、「インマニ」と略称する)19とが備えられている。
吸気管10及びこれに介装又は付設された各装置とインマニ19とは、それぞれの内部に吸気通路10A(図1では一箇所にのみ符号を付す)を形成している。
吸気管10には、上流から順にエアクリーナ20,第一スロットル弁21,ターボチャージャ(過給機)50のコンプレッサ50a,インタークーラ22,第二スロットル弁23が配置されている。
インタークーラ22は、吸気の冷却装置である。このインタークーラ22では、ターボチャージャ50により圧縮されて上昇した吸気温度が低下され、吸気の空気密度の低下が回復される。
次に、エンジン1の下流側に設けられた排気系の構成について説明する。
排気系には、エキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」と略称する)39と、この下流側に接続された排気管30及びこれに介装又は付設された各装置とが備えられている。
エキマニ39と排気管30及びこれに介装又は付設された各装置とは、それぞれの内部に排気通路30A(図1では一箇所にのみ符号を付す)を形成している。
エキマニ39には、後述する高圧EGRシステム52が接続されている。
排気管30には、上流から順に上述のターボチャージャ50のタービン50b,一次排気処理装置40,二次排気処理装置41が配置されている。
また、一次排気処理装置40には、DPF40bの上流と下流との差圧を検出する差圧センサ94が付設されている。
また、DOC40aによる酸化熱により、一次排気処理装置40下流側の二次排気処理装置41に吸蔵された硫黄成分が放出(いわゆるSパージ)されるようになっている。
二次排気処理装置41は、排気中に含まれるNOxを浄化するためのものである。具体的に言えば、二次排気処理装置41は、バリウムやカリウムなどの塩基類を吸蔵材に使用し、NOxを硝酸塩として吸蔵するものである。このように、二次排気処理装置41は、発熱せずに排気を浄化処理する。
本吸排気系には、吸気系と排気系に跨って低圧EGRシステム51及び高圧EGRシステム52が設けられている。これらのEGRシステム51,52は、排気を吸気に還流させることによりNOxを低減させるためのものである。
低圧EGR弁51eは、低圧EGRシステム51による排気の還流量を調整するものであり、開度調整可能な弁として構成されている。
高圧EGRクーラ52dは、低圧EGRクーラ51dと同様に構成された冷却装置であり、また、高圧EGR弁52eは、低圧EGR弁51eと同様に構成された開度調整可能な弁である。
次に、上記したエンジン1の吸排気系に適用される凝縮水処理機構60の構成について説明する。
凝縮水処理機構60は、ターボチャージャ50で圧縮された吸気がインタークーラ22で冷却されることにより生成された凝縮水を処理するための機構である。具体的には、最低部10aに溜まろうとする凝縮水を吸気通路10Aの系外に導いて貯留し、凝縮水を気化させて吸気通路10Aに排出させるため、または、凝縮水が燃焼室5に流入しても支障のないときに凝縮水を吸気通路10Aに排出させるためのものである。
なお、下記では、凝縮水通路60Aを二つに分けたものを用いて説明する。具体的には、凝縮水の流通する順に、タンク62までの第一凝縮水通路61Aと、タンク62よりも下流の第二凝縮水通路61Bとの二つに分けて説明する。
凝縮水管61は、凝縮水が流入する側の端部(凝縮水通路60Aの一端部61aと対応する)が吸気管10の最低部10aに接続され、凝縮水が流出する側の端部(凝縮水通路60Aの他端部61bと対応する)がインマニ19に接続されている。吸気通路10Aのうち、凝縮水管61により形成される凝縮水通路60Aの一端部61aと他端部61bとの間には、第二スロットル弁23が設けられている。したがって、凝縮水通路60Aの一端部61aは、吸気通路10Aの第二スロットル弁23よりも上流側に接続され、凝縮水通路60Aの他端部61bは、吸気通路10Aの第二スロットル弁23よりも下流側に接続されている。
スリット11は、吸気管10に沿う吸気の流通を妨げないような大きさ又は配置で設けられている。ここでは、複数のスリット11が千鳥状に配置され、各スリット11の長手方向が吸気の流通方向に沿うように配向されたものを例示する。複数のスリット11の千鳥状配置によれば、スリット11の大きさの設定自由度を確保しやすく、各スリット11の長手方向を吸気の流通方向に沿わせることにより、吸気の流通を妨げ難くすることができる。ただし、スリット11の配向及び配置は何れも任意であり、その他の配向や配置を採ることができる。
タンク62は、オイルクーラ9と熱移動可能に設けられている。具体的には、タンク62は、オイルクーラ9と一体に設けられている。このタンク62には、その内部に貯留された凝縮水の水位を検出する水位センサ99が付設されている。
次に、凝縮水処理機構60を制御する制御装置100の構成を説明する。なお、制御装置100は、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される電子制御装置である。
本実施形態では、制御装置100により実施される制御のうち、EGRシステム51,52の制御及び凝縮水処理機構60の制御に着目して説明する。
低圧EGRシステム51は、主に低圧EGR弁51eの開度が調整されることにより制御され、副次的に第一スロットル弁21の開度が調整されることにより制御される。これらの弁51e,21の開度が調整されることで排気の還流量が制御され、低圧EGRシステム51が制御される。
制御装置100は、センサ90〜94による検出情報に基づいて、上記のEGRシステム51,52にかかる弁21,23,51e,52eの開度を制御し、排気の還流量を制御する。
凝縮水処理機構60は、開閉弁64或いは第二スロットル弁23の開度が調整されることにより制御される。以下、凝縮水処理機構60の制御について、凝縮水又は凝縮水蒸気を排出する排出制御を説明する。
排出制御には、第一室62Aから第二室62Bに凝縮水が溢れ出ていないときに実施される第一排出制御と、第一室62Aから第二室62Bに凝縮水が溢れ出たときに実施される第二排出制御とがある。
なお、第一排出制御が実施されるときには第二排出制御は実施されず、逆に、第二実施制御が実施されるときには第一排出制御は実施されない。
第一排出制御では、開閉弁64が開状態にされる。なお、第一排出制御では、第二スロットル弁23は制御されず、そのスロットル開度は任意である。
制御装置100は、第一室62Aから第二室62Bに凝縮水が溢れ出ていなければ第一排出制御を実施し、第一室62Aから第二室62Bに凝縮水が溢れ出ていれば第二排出制御を実施する。
この制御装置100は、第一室62Aから第二室62Bに凝縮水が溢れ出たか否かは、水位センサ99による検出情報に基づいて、判別可能になっている。このため、制御装置100は、水位センサ99による検出情報に応じて第一排出制御又は第二排出制御を実施する。
本発明の一実施形態にかかる凝縮水処理機構60は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
新気の吸気は、エアクリーナ20を経て、第一スロットル弁21のスロットル開度に応じて絞られる。この下流の低圧EGRシステム51の他端部51bでは、低圧EGR弁51eの開度に応じて還流された排気と新気とが合流した吸気がターボチャージャ50のコンプレッサ50aにより圧縮される。
この凝縮水は、吸気管10の最低部10aに溜まろうとするが、この最低部10aに接続された凝縮水処理機構60の一端部61aから吸気系の系外に導かれる。この凝縮水は、第一凝縮水通路61Aを流通してタンク62の第一室62Aに流入する。そして凝縮水は、オイルクーラ9と熱移動可能に設けられたタンク62の第一室62Aに貯留される。
したがって、本実施形態の凝縮水処理機構60によれば、凝縮水が吸気通路10Aに溜まることが無く、凝縮水の巻き上げを防止することができる。
なお、第一排出制御が実施されたときに、凝縮水蒸気が第一凝縮水流通路61Aを流通して吸気通路10Aに排出されたとしても、タンク62から凝縮水が排出されるわけではないので、凝縮水の吸気通路10Aへの排出による不具合を抑制することができる。
さらに、タンク62が満杯でないとともに、吸気通路10Aに凝縮水を排出すると支障をきたすときに、開閉弁64を閉鎖して凝縮水を貯留する貯留制御が実施されれば、タンク62が凝縮水で満杯になるまでは、凝縮水の吸気通路への排出による不具合を回避することができる。これにより、適切な凝縮水の処理に寄与する。
また、第二排出制御が実施されれば、凝縮水通路60Aの一端部61aと他端部61bとの間に設けられた第二スロットル弁23の開度を調整することにより、凝縮水通路60Aの他端部61bの吸気圧よりも一端部61aの吸気圧が高くされるため、凝縮水を排出することができる。
凝縮水通路60Aの一端部は、吸気通路10Aの鉛直高さが最も低い部分を形成する最低部10aに接続されているため、効率良く凝縮水を吸気系外に導くことができる。
凝縮水通路60Aの一端部は、吸気通路10Aを形成する吸気管10の最低部10aに形成されたスリット11であるため、吸気の流通を妨げることがなく、凝縮水を凝縮水処理機構60に導入することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態では、最低部10aが吸気管10のなかで最も鉛直高さが低いものを説明したが、最低部10aは、少なくともインタークーラ19よりも下流側の吸気通路10Aのなかで最も低い部分であればよい。この場合も、最低部10aに溜まろうとする凝縮しは、凝縮水処理機構60により適切に処理される。
また、ターボチャージャ50に替えて、エンジン1の出力軸により駆動されるスーパーチャージャを用いてもよい。
また、開閉弁64が開度を調整可能な弁として構成されているものを上述したが、開閉弁64は、開閉状態が開状態と閉状態との二つの状態が切り替わるだけの二方弁であってもよい。
また、ディーゼルエンジンを例に挙げて上述したが、これに替えてガソリンエンジンを用いてもよい。この場合、燃料としてガソリンを用いるのは勿論、インジェクタや後処理装置などの構成がガソリンエンジンに対応したものになる。
5 燃焼室
9 オイルヒータ
10 吸気管
10a 最低部
10A 吸気通路
11 スリット
19 インテークマニホールド
22 インタークーラ
23 第二スロットル弁
30 排気管
30A 排気通路
39 エキゾーストマニホールド
50 ターボチャージャ(過給機)
51 低圧EGRシステム
52 高圧EGRシステム
60 凝縮水処理機構
60A 凝縮水通路
61A 第一凝縮水通路
61B 第二凝縮水通路
61 凝縮水管
61a 一端部
61b 他端部
62 タンク(貯留部)
62a 流入口
62b 流出口
62c 仕切壁
62A 第一室
62B 第二室
64 開閉弁
93 リニア空燃比センサ
99 水位センサ
100 制御装置
Claims (6)
- エンジンの吸気通路において吸気を過給する過給機よりも下流側に介装され、前記過給機により過給された吸気を冷却するインタークーラと、
前記エンジンの排気通路と前記吸気通路の前記過給機よりも上流側とを接続するEGR通路と、
一端部が前記吸気通路の前記インタークーラ又は前記インタークーラよりも下流側に接続され、他端部が前記吸気通路の前記一端部よりも下流側に接続され、前記インタークーラで生成された凝縮水が流通する凝縮水通路と、
オイルを冷却するオイルクーラと、
前記オイルクーラと熱移動可能に前記凝縮水通路に介装され、前記凝縮水を貯留する貯留部と、
前記凝縮水通路の前記貯留部よりも下流側に介装され、開状態で前記貯留部と前記凝縮水通路の前記他端部とを連通し、閉状態で前記貯留部と前記凝縮水通路の前記他端部との連通を遮断する開閉弁とを備え、
前記貯留部は、
流入口が設けられた第一室と流出口が設けられた第二室との上部を連通しつつ前記第一室と前記第二室とを仕切る仕切壁を有する
ことを特徴とする、凝縮水処理機構。 - 前記貯留部は、前記オイルクーラと一体に設けられた
ことを特徴とする、請求項1記載の凝縮水処理機構。 - 前記吸気通路の前記凝縮水通路の前記一端部と前記凝縮水通路の前記他端部との間に介装されたスロットル弁を備えた
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の凝縮水処理機構。 - 前記開閉弁は、その開度を調整可能な弁である
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の凝縮水処理機構。 - 前記凝縮水通路の前記一端部は、前記吸気通路を形成する吸気管に形成されたスリット又は細孔である
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の凝縮水処理機構。 - 前記凝縮水通路の前記一端部は、前記吸気通路のなかで鉛直高さが最も低い部分に接続された
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の凝縮水処理機構。
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