JP2012179835A - 光学フィルムの製造方法及び製造装置、光学フィルム、偏光板並びに液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法及び製造装置、光学フィルム、偏光板並びに液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液流延法において、流延膜への同伴風の泡の巻き込みを十分抑制し、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルムの光学品質の劣化を回避する。
【解決手段】移動する支持体12上にダイス11から樹脂溶液51を流延させて流延膜52を形成させる流延工程を有する光学フィルムの製造方法において、流延工程中は、ダイス11から吐出された樹脂溶液51が支持体12上に接地するまでの流延リボンRよりも支持体12の移動方向の上流側の支持体12上の空間に、空気よりも密度が小さい気体を供給する。この製造方法では、支持体12の幅手方向の外方側から内方側に向けて気体を供給すること、支持体12の上方から支持体12に向けて少なくとも流延リボンRの幅に亘って気体を供給すること、標準状態(0℃、1気圧)における気体の密度は1kg/m(ntp)以下であること、気体の温度は−50℃〜20℃であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法及び製造装置、この製造方法又は製造装置により製造された光学フィルム、この光学フィルムを保護フィルムとして有する偏光板、並びに、前記光学フィルム又は前記偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
従来、光学フィルムを製造する方法の1つとして、溶液流延法(溶液流延製膜法)が知られている。溶液流延法は、原料の樹脂を溶媒に溶解し、必要に応じて、可塑剤、マット剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種の添加剤を加えて樹脂溶液(ドープ)を調製する。調製した樹脂溶液をダイスから吐出し、無端ベルトやドラム等の移動(走行や回動)する支持体の上に流延させる。形成された流延膜(ウェブ)を支持体上で所望の残留溶媒量となるまで乾燥させた後、支持体から剥離し、剥離した樹脂フィルムを各種の搬送装置で搬送しつつ、延伸装置や乾燥装置等を通過させることにより、光学フィルムを製造する方法である。
光学フィルムの用途の1つである液晶表示装置(LCD)は、低電圧、低消費電力であり、IC回路への直結が可能であり、薄型化が可能であることから、液晶TV、パーソナルコンピュータ、携帯用端末、デジタルスチルカメラ、ムービーカメラ等の表示装置として広く採用されている。液晶表示装置は、基本的構成として、液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板は、一定方向の偏波面の光だけを通すので、液晶表示装置においては、電界による液晶の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、偏光子の両面に保護フィルムを積層した構成である。光学フィルムは、この偏光板の保護フィルムとして広く採用されている。
液晶表示装置の品質向上に伴い、偏光板の品質向上、ひいては保護フィルムの品質向上が要求されている。特に、近年では、液晶表示装置の大型化、薄型化が進むに伴い、光学フィルムにも、高品質を維持しつつ、光学フィルムの大型化(広幅化)、薄型化(薄膜化)が要求されている。そのため、広幅化、薄膜化され、かつ良好な平面性を有する光学フィルムが要求されている。
ところで、溶液流延法において、支持体の幅手方向に温度ムラが生じ、これが原因となってフィルムの光学品質が劣化するという問題がある。例えば、一般に、流延膜は支持体よりも狭い幅に流延される。そのため、支持体の幅手方向の端部(本明細書において「幅手方向の端部」のことを「側縁部」という)が流延膜で覆われずに露出し、流延膜を支持体上で乾燥させるための温風やヒータの熱が支持体の側縁部に直接当たり、支持体の側縁部が中央部よりも高温になる。このような支持体の幅手方向の温度ムラの結果、支持体の移動に伴い発生する同伴風(支持体に引き摺られて移動する支持体上の空気の層)の温度が支持体の側縁部において中央部よりも高くなり、同伴風が流延リボン(ダイスから吐出された樹脂溶液が支持体上に接地するまでの部分)に衝突したときに、相対的に高温でエネルギーが高い同伴風が流延リボンの側縁部に衝突することとなり、流延リボンの側縁部ないし流延膜の側縁部において同伴風の泡の巻き込みが発生する。そして、この泡の巻き込みに起因して、流延膜の剥離時に剥離張力が流延膜の幅手方向に均一に作用せず、流延膜の支持体からの剥離性が低下して、製造された光学フィルムの幅手方向に光学ムラが生じるのである。
この問題に対しては、例えば特許文献1に記載されるように、支持体の側縁部に冷風を送風することが考えられる。これにより、支持体の側縁部の温度が下がり、流延膜の側縁部における同伴風の泡の巻き込みが抑制される。しかし、高速生産によって支持体の移動速度が速くなると、支持体の側縁部を冷却できる時間が短くなり、冷却期間が不足して、結果的に泡の巻き込みが十分抑制されない可能性がある。
特開2005−47141号公報(段落0037、図2)
そこで、本発明の目的は、溶液流延法において、流延膜への同伴風の泡の巻き込みを十分抑制し、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルムの光学品質の劣化を回避することである。
本発明の光学フィルムの製造方法は、移動する支持体上にダイスから樹脂溶液を流延させて流延膜を形成させる工程(流延工程)を有する光学フィルムの製造方法であって、前記工程中は、ダイスから吐出された樹脂溶液が支持体上に接地するまでの流延リボンよりも支持体の移動方向の上流側の支持体上の空間に、空気よりも密度が小さい気体を供給することを特徴とする。
この構成によれば、溶液流延法において、流延工程中は、流延リボンよりも上流側(本明細書において、「上流」、「下流」とは、特に断りのない限り、支持体の移動方向に関していう。)にある支持体上の同伴風の一部又は全部が、空気よりも密度が小さい気体で置換される。そのため、たとえ支持体の幅手方向に温度ムラが生じ、同伴風の幅手方向にも温度ムラが生じて、同伴風が流延リボンに衝突したときに、流延リボンないし流延膜に同伴風の泡の巻き込みが発生する可能性があっても、同伴風の一部又は全部が空気よりも密度が小さい気体で置換されるから、同伴風が流延リボンに衝突したときのエネルギーが低くなる。その結果、流延膜への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制され、流延膜の支持体からの剥離性の低下が抑制されて、製造された光学フィルムの幅手方向に光学ムラが生じる問題が回避される。よって、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルムの光学品質の劣化が回避される。
前記製造方法においては、支持体の幅手方向の外方側から内方側に向けて気体を供給することが好ましい(この気体の供給方式を便宜上「横型」と記す場合がある)。同伴風のうち支持体の側縁部における同伴風が優先的に置換されるため、前述したように、支持体の側縁部が中央部よりも高温になるというパターンの幅手方向の温度ムラが発生した場合に、より一層効率よく、同伴風が流延リボンに衝突したときのエネルギーを低くでき、流延膜への同伴風の泡の巻き込みを抑制でき、製造された光学フィルムの光学品質の劣化を回避できるからである。
横型の場合、1×10−6〜1×10−4/分の流量で気体を供給することが好ましい。供給する気体の流量が多すぎて流延リボンが気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、支持体の側縁部における同伴風を確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できるからである。
また、前記製造方法においては、支持体の上方から支持体に向けて少なくとも流延リボンの幅に亘って気体を供給することも好ましい(この気体の供給方式を便宜上「縦型」と記す場合がある)。同伴風が幅手方向に全面的に置換されるため、例えば、支持体上での流延膜の乾燥温度が比較的高い等の理由により、支持体の中央部が側縁部よりも高温になるというパターン、又は、支持体の側縁部に加えて支持体の中央部も高温になるというパターンの幅手方向の温度ムラが発生した場合に、より一層効率よく、同伴風が流延リボンに衝突したときのエネルギーを低くでき、流延膜への同伴風の泡の巻き込みを抑制でき、製造された光学フィルムの光学品質の劣化を回避できるからである。
縦型の場合、1×10−2〜1×10m/分の流量で気体を供給することが好ましい。供給する気体の流量が多すぎて流延リボンが気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、支持体の中央部における同伴風も確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できるからである。
前記製造方法においては、標準状態(0℃、1気圧)における気体の密度が1kg/m(ntp)以下であることが好ましい。標準状態における空気の密度が1.29kg/m(ntp)なので、確実に空気よりも密度が小さい気体を供給できるからである。
前記製造方法においては、気体の温度は−50℃〜20℃であることが好ましい。供給する気体の温度が相対的に低いため、より一層効率よく、同伴風が流延リボンに衝突したときのエネルギーを低くできるからである。
本発明の光学フィルムの製造装置は、移動する支持体上にダイスから樹脂溶液を流延させて流延膜を形成させる工程(流延工程)が行われる光学フィルムの製造装置であって、ダイスから吐出された樹脂溶液が支持体上に接地するまでの流延リボンよりも支持体の移動方向の上流側の支持体上の空間に気体を供給する気体供給装置が備えられ、この気体供給装置は、空気よりも密度が小さい気体を供給し、前記工程中は前記気体供給装置が作動されることを特徴とする。
この構成によれば、前記光学フィルムの製造方法と同様、溶液流延法において、流延工程中は、流延リボンよりも上流側にある支持体上の同伴風の一部又は全部が、空気よりも密度が小さい気体で置換されるため、同伴風が流延リボンに衝突したときのエネルギーが低くなり、流延膜への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制され、剥離性の低下が抑制されて、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルムの光学品質の劣化が回避される。
本発明の光学フィルムは、前記製造方法又は前記製造装置により製造されたことを特徴とする。この光学フィルムは、流延膜への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この光学フィルムは、高速生産されても、また広幅であっても、高品質なものである。
本発明の偏光板は、前記光学フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする。この偏光板は、保護フィルムとして用いている光学フィルムが、流延膜への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この偏光板は、大型であっても高品質なものである。
本発明の液晶表示装置は、前記光学フィルム又は前記偏光板を用いたことを特徴とする。この液晶表示装置は、偏光板の保護フィルムとして用いている光学フィルムが、流延膜への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この液晶表示装置は、大型であっても高品質なものである。
本発明によれば、溶液流延法において、流延膜への同伴風の泡の巻き込みを十分抑制し、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルムの光学品質の劣化を回避する対策が提供される。その結果、幅手方向の光学ムラが抑制された高品質な光学フィルムが得られ、この光学フィルムを用いた偏光板、液晶表示装置が得られる。本発明は、高速生産されても、また広幅であっても、高品質を維持した光学フィルムの製造、ひいては液晶表示装置の大型化に寄与し得るものである。
本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造装置の概略構成図である。 図1の光学フィルムの製造装置の(a)要部拡大側面図、(b)要部拡大平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの製造装置の(a)要部拡大側面図、(b)要部拡大平面図である。 本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの製造装置の概略構成図である。 本発明の第4の実施形態に係る光学フィルムの製造装置の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<光学フィルムの製造装置>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造装置1の概略構成図である。この光学フィルムの製造装置1は、溶液流延法により光学フィルムを製造するものであって、流延装置10、延伸装置20、乾燥装置30、及び巻取装置40を有する。
流延装置10は、ダイス11、支持体である無端ベルト12、剥離ロール13、及び気体供給装置14を備える。ダイス11は、原料の樹脂を溶媒に溶解し、必要に応じて、可塑剤、マット剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種の添加剤を加えて調製された樹脂溶液(ドープ)51を吐出し、移動(走行)する無端ベルト12上に流延させて流延膜(ウェブ)52を形成させる(流延工程)。無端ベルト12は、一対のロール12a,12a間に巻き掛けられ、図中の矢印方向に走行することにより、形成された流延膜52を搬送する。流延膜52は、この搬送中に、温風が吹き付けられる等して、無端ベルト12上で所望の残留溶媒量となるまで乾燥される。剥離ロール13は、搬送されてきた流延膜52を無端ベルト12から剥離し、剥離した流延膜52(樹脂フィルム53)を延伸装置20に送る。気体供給装置14は、後述するように、流延リボンR(ダイス11から吐出された樹脂溶液51が無端ベルト12の上に接地するまでの部分:図2参照)よりも上流側(本実施形態において、「上流」、「下流」とは、無端ベルト12の移動方向(図1の矢印参照)に関していう。以下同じ。)の無端ベルト12上の空間に気体を供給する。
なお、ダイス11の上流側に減圧チャンバを備えてもよい。その場合は、減圧チャンバは、気体供給装置14のさらに上流側に備えられる。減圧チャンバは、流延リボンRの上流側の空間を減圧することにより、無端ベルト12の移動に伴い発生する同伴風(無端ベルト12に引き摺られて移動する無端ベルト12上の空気の層)を吸引排除し、流延リボンRのバタツキを抑えるものである。
延伸装置20は、剥離された流延膜52である樹脂フィルム53を、例えば搬送ロール等の各種の搬送手段で搬送しつつ、クリップテンターやピンテンター等を用いて、長手方向(搬送方向(Machine Direction:MD方向))及び/又は幅手方向(搬送方向と直交する方向(Transverse Direction:TD方向))に延伸する。
乾燥装置30は、延伸された樹脂フィルム53を搬送しつつ所定温度に加温して溶媒を蒸発させる。
巻取装置40は、乾燥された樹脂フィルム53を光学フィルムとしてロール状に巻き取る。
なお、本実施形態では、光学フィルムとして、セルローストリアセテート等のセルロースエステル樹脂(以下、単に、セルロースエステルという場合がある)を含む光学フィルム(すなわちセルローストリアセテートフィルム又はセルロースエステルフィルム)が製造される。もっとも、これに限らず、例えば、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含む光学フィルムが製造されてもよい。
[ダイス]
ダイス11から吐出される樹脂溶液は、例えば、セルローストリアセテート等のセルロースエステル樹脂を、該セルロースエステル樹脂の良溶媒を含む溶媒に、溶解釜を用いて溶解することにより調製される。樹脂溶液中のセルロースエステル樹脂の含有量は、例えば15〜30質量%であることが好ましい。
セルロースエステル樹脂の溶解には、常圧で行う方法、溶媒の沸点以下で行う方法、溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報又は特開平9−95538号公報に記載されるように、冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されるように高圧で行う方法等、種々の溶解方法を用いることができる。これらのうちでは、溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
樹脂が溶媒に溶解された後、樹脂溶液は、濾材で濾過され、かつ脱泡される。濾過は、捕集粒子径が0.5〜5μmで、濾水時間が10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
樹脂溶液は、例えば加圧型定量ギヤポンプ等の送液ポンプによりダイス11に送られる。ダイス11は、吐出口の形状が調整可能なものが好ましい。また、流延膜52の膜厚を均一にし易い加圧ダイスが好ましい。加圧ダイスとしては、コートハンガーダイスやTダイス等があり、いずれも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために、加圧ダイスを2基以上並べて配設し、樹脂溶液を分割して吐出してもよい。
ダイス11から樹脂溶液を吐出する吐出速度は、無端ベルト12による流延膜52の搬送速度との兼ね合いや生産性等を考慮して、例えば、50m/分〜200m/分程度であることが好ましい。
[無端ベルト]
無端ベルト12は、表面(キャスト面)が鏡面仕上げされた金属製のベルトである。無端ベルト12は、流延膜52の剥離性の観点から、例えばステンレス鋼製が好ましい。無端ベルト12の幅(全幅)は、光学フィルムの広幅化に寄与し、保護フィルムや偏光板ひいては液晶表示装置の大型化に寄与し得る観点から、例えば、2400mm〜3000mm程度が好ましい。ダイス11によって流延される流延膜52の幅(流延幅)は、無端ベルト12の幅を有効活用する観点から、無端ベルト12の幅(全幅)に対して80〜99%の幅が好ましく、例えば、2000mm〜3000mm程度である。
このように、本実施形態では、流延膜52は無端ベルト12よりも狭い幅に流延される。そのため、無端ベルト12の幅手方向の端部(側縁部)が流延膜52で覆われずに露出し、流延膜52を無端ベルト12上で乾燥させるための温風やヒータの熱が無端ベルト12の側縁部に直接当たり、無端ベルト12の側縁部が中央部よりも高温になる。このような無端ベルト12の幅手方向の温度ムラの結果、無端ベルト12上の空気の層である同伴風の温度が無端ベルト12の側縁部において中央部よりも高くなり、同伴風が流延リボンRに衝突したときに、相対的に高温でエネルギーが高い同伴風が流延リボンRの側縁部に衝突することとなり、流延リボンRの側縁部ないし流延膜52の側縁部において同伴風の泡の巻き込みが発生する。そして、この泡の巻き込みに起因して、流延膜52の剥離時に剥離張力が流延膜52の幅手方向に均一に作用せず、流延膜52の無端ベルト12からの剥離性が低下して、製造された光学フィルム53の幅手方向に光学ムラが生じる可能性がある。
無端ベルト12は、ロール12a,12aの回動により上側走行部及び下側走行部がそれぞれ反対方向に水平移動し、上側走行部の始端部にダイス11から流延された流延膜52を下側走行部から上側走行部への湾曲移行部の途中まで搬送する。流延膜52は、この搬送中に、無端ベルト12上である程度まで乾燥される。この乾燥は、一般には、例えば、無端ベルト12の上方から温風を吹き付けて加温する方法、無端ベルト12の裏面に温風を吹き付けて加温する方法、無端ベルト12の上方にヒータを配置して加温する方法、無端ベルト12の裏面にヒータを配置して加温する方法等によって行われ、必要に応じて適宜選択し、組み合わせることが可能である。
乾燥の際の流延膜52の温度は、溶媒の蒸発に要する時間や搬送速度や生産性等を考慮して、−5〜70℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。流延膜52の温度が高すぎると、流延膜52が発泡したり、流延膜52の平面性が劣化する傾向がある。
温風を吹き付ける場合、その風圧は、溶媒蒸発の均一性等を考慮して、5〜5000Paであることが好ましい。温風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト12の走行方向に数段階の温度に分けて吹き付けてもよい。温風の温度は、例えば30〜65℃程度が好ましい。
無端ベルト12の上に流延膜52を形成した後、無端ベルト12から流延膜52を剥離するまでの時間は、作製する光学フィルムの膜厚、使用する溶媒によっても異なるが、無端ベルト12からの剥離性を考慮して、0.1〜5分間の範囲であることが好ましい。
無端ベルト12による流延膜52の搬送速度V1は、光学フィルムの高速生産に寄与し得る観点から、例えば、50m/分〜200m/分程度であることが好ましい。また、ダイス11からの樹脂溶液51の吐出速度V2に対する、無端ベルト12による流延膜52の搬送速度V1の比(V1/V2:ドラフト比)は、0.8〜2.0程度であることが好ましい。ドラフト比がこの範囲内であると、安定して流延膜52を形成させることができる。一方、ドラフト比が大き過ぎると、流延リボンRが無端ベルト12に引っ張られることにより、いわゆるネックインと呼称される現象が発生し易くなる。
[剥離ロール]
剥離ロール13は、乾燥された流延膜52を無端ベルト12から剥離する。この剥離時の剥離張力は、50〜1000N/mの範囲が好ましい。また、剥離時の流延膜52の残留溶媒量は、無端ベルト12からの剥離性、剥離後の搬送性、製造される光学フィルムの物理特性等を考慮して、30〜200質量%であることが好ましい。
ここで、残留溶媒量は、次式で定義される。
残留溶媒量(%)={(流延膜の加熱処理前の質量−流延膜の加熱処理後の質量)/流延膜の加熱処理後の質量}×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理である。
[延伸装置]
延伸装置20は、無端ベルト12から剥離された流延膜52である樹脂フィルム53の幅手方向の両端部をクリップテンターやピンテンター等で把持して樹脂フィルム53を長手方向(MD方向)及び/又は幅手方向(TD方向)に延伸する。
ここでの樹脂フィルム53のTD方向の延伸率は、0〜50%程度であることが好ましい。一般に、延伸率を高くすると、光学フィルムの光学値が不均一になり易い。しかし、ここでの樹脂フィルム53のTD方向の延伸率を0〜50%とすると、光学フィルムの光学値が不均一になることを抑制できる。したがって、光学値が均一で、かつ広幅の光学フィルムを得ることができる。また、光学フィルムの幅が広いと、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率の点からも好ましい。
ここで、TD方向の延伸率は、次式で定義される。
TD方向の延伸率(%)={(フィルムの所定位置における延伸後の幅手方向の長さ−フィルムの所定位置における延伸前の幅手方向の長さ)/フィルムの所定位置における延伸前の幅手方向の長さ}×100
なお、フィルムの幅手方向の長さは、C型JIS1級の鋼製スケールで測定した値である。
また、MD方向の延伸率は、次式で定義される。
MD方向の延伸率(%)={(延伸後のフィルムの搬送速度−延伸前のフィルムの搬送速度)/延伸前のフィルムの搬送速度}×100
[乾燥装置]
乾燥装置30は、複数の搬送ロールを備え、そのロール間を樹脂フィルム53を蛇行状に通過させる間に樹脂フィルム53を乾燥させる。その際、加熱空気、赤外線等を単独で用いて乾燥してもよいし、加熱空気と赤外線とを併用して乾燥してもよい。簡便さの点から加熱空気を用いることが好ましい。乾燥温度としては、樹脂フィルム53の残留溶媒量により、好適温度が異なるが、乾燥時間、収縮ムラ、伸縮量の安定性等を考慮し、5〜200℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよい。また、一定の温度で乾燥してもよいし、例えば2〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥してもよい。
[巻取装置]
巻取装置40は、延伸装置20で延伸させ、乾燥装置30で乾燥させた樹脂フィルム53を必要量の長さに巻き芯に巻き取る。なお、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮による擦り傷や巻き緩み等を防止するために、室温(例えば20℃等)まで冷却することが好ましい。巻き取りに使用する機器は、特に限定なく使用でき、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
ここで巻き取る光学フィルムの幅は、例えば、1000mm〜3000mmであることが好ましい。このような広幅の光学フィルムは、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率の点から好ましい。また、光学フィルムの膜厚は、偏光板や液晶表示装置の薄型化(薄膜化)や、フィルムの生産安定化等に寄与し得る観点から、例えば、5μm〜100μmであることが好ましい。ここで、膜厚とは、平均膜厚のことであり、例えば、東京精密社製の膜厚測定器DH−150や、ミツトヨ社製の接触式膜厚計等を用いて、光学フィルムの長手方向及び幅手方向に20〜200箇所、膜厚を測定し、その測定値の平均値を膜厚として示した値である。
また、光学フィルムの幅手方向及び長手方向の膜厚偏差は、光学フィルムの良好な平面性が確実に維持されて、光学フィルムの光学特性がより一層優れるという観点から、0.1μm〜1.5μmであることが好ましい。
<本実施形態の特徴>
図2は、図1に示した光学フィルムの製造装置1の(a)要部拡大側面図、(b)要部拡大平面図である。図2は、無端ベルト12の上側走行部の始端部付近(ダイス11周辺)を拡大して示している。なお、図1、図2は、気体供給装置14が横型である場合を示している。
図2に示すように、ダイス11の上流側に気体供給装置14が備えられている。なお、前述したように、ダイス11の上流側に減圧チャンバが備えられる場合は、気体供給装置14は減圧チャンバの下流側に備えられる。気体供給装置14は、流延工程中は作動されて、流延リボンRよりも上流側の無端ベルト12上の空間に気体を供給する。気体供給装置14が供給する気体(供給気体)は、空気(同伴風を構成する気体)よりも密度が小さい気体である。
この構成によれば、溶液流延法において、流延工程中は、流延リボンRよりも上流側にある無端ベルト12上の同伴風の一部又は全部が、空気よりも密度が小さい気体で置換される。そのため、たとえ無端ベルト12の幅手方向に温度ムラが生じ、同伴風の幅手方向にも温度ムラが生じて、同伴風が流延リボンRに衝突したときに、流延リボンRないし流延膜52に同伴風の泡の巻き込みが発生する可能性があっても、同伴風の一部又は全部が空気よりも密度が小さい気体で置換されるから、同伴風が流延リボンRに衝突したときのエネルギーが低くなる。その結果、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制され、流延膜52の無端ベルト12からの剥離性の低下が抑制されて、製造された光学フィルム53の幅手方向に光学ムラが生じる問題が回避される。よって、たとえ高速生産されても、製造された光学フィルム53の光学品質の劣化が回避される。
なお、気体供給装置14の上流側に減圧チャンバを備える場合は、減圧チャンバで吸引排除し残した同伴風の残部の一部又は全部が、空気よりも密度が小さい気体で置換されることになる。
供給気体としては、空気よりも密度が小さければ特に限定されない。毒性や危険性が低いもの、反応性が小さいもの等が好ましい。例えば、窒素、ヘリウム、アンモニア、ネオン、これらの2種以上の混合物、さらにはこれらと空気との混合物等が挙げられる。なお、標準状態(ntp:0℃、1気圧)における密度は、空気が1.29kg/m(ntp)、窒素が1.25kg/m(ntp)、ヘリウムが0.18kg/m(ntp)、アンモニアが0.77kg/m(ntp)、ネオンが0.90kg/m(ntp)等である。
本実施形態においては、気体供給装置14は横型である。すなわち、ダイス11よりも上流側で、無端ベルト12を幅手方向に挟んで、無端ベルト12の側縁部の外方に、一対の気体供給装置14,14が向かい合って備えられている。各気体供給装置14は、無端ベルト12側の端面(縦面)に気体供給口を有し、この気体供給口を介して、無端ベルト12の幅手方向の外方側から内方側に向けて気体を供給する。これにより、同伴風のうち無端ベルト12の側縁部における同伴風が優先的に供給気体で置換される。そのため、無端ベルト12の側縁部が中央部よりも高温になるというパターンの幅手方向の温度ムラが発生した場合に、より一層効率よく、同伴風が流延リボンRに衝突したときのエネルギーを低くでき、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みを抑制でき、製造された光学フィルム53の光学品質の劣化を回避できる。
本実施形態においては、気体供給装置14は、無端ベルト12のキャスト面(表面)の直上方において、無端ベルト12のキャスト面と平行に、無端ベルト12の幅手方向〜上流側に、気体を供給する。これにより、同伴風が効率よく供給気体で置換される。
本実施形態においては、気体供給装置14は、無端ベルト12の移動速度や置換しようとする空間の体積等にも依存するが、例えば、1×10−6〜1×10−4/分の流量で気体を供給する。これにより、供給気体の流量が多すぎて流延リボンRが供給気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、無端ベルト12の側縁部における同伴風を確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できる。より好ましい流量は、例えば、1×10−5〜1×10−4/分である。
別の観点からいえば、気体供給装置14は、置換しようとする空間における同伴風の流量をAとすると、例えば、0.8×A〜2.0×Aの範囲内の流量で気体を供給することができる。これによっても、供給気体の流量が多すぎて流延リボンRが供給気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、無端ベルト12の側縁部における同伴風を確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できる。より好ましい流量は、例えば、1.0×A〜1.5×Aの範囲内である。
なお、置換しようとする空間における同伴風の流量Aは、例えば、無端ベルト12の側縁部の長さ(無端ベルト12の幅手方向における長さ)をa、気体供給装置14の気体供給口の高さをb、無端ベルト12の移動速度をvとしたときに、式「A=a×b×v」に従い算出される値とすることができる。
本実施形態においては、標準状態(0℃、1気圧)における供給気体の密度は、1kg/m(ntp)以下であることが好ましい。標準状態における空気の密度が1.29kg/m(ntp)なので、確実に空気よりも密度が小さい気体を供給できるからである。そのような気体としては、例えば、ヘリウム(0.18kg/m(ntp))、アンモニア(0.77kg/m(ntp))、ネオン(0.90kg/m(ntp))等が挙げられる。これらの2種以上の混合物でもよい。さらには、密度が1kg/m(ntp)以下である限り、これらと空気との混合物でもよい。
本実施形態においては、供給気体の温度は、−50℃〜20℃であることが好ましい。供給気体の温度が相対的に低いため、より一層効率よく、同伴風が流延リボンRに衝突したときのエネルギーを低くできるからである(同伴風の冷却効果)。なお、供給気体の温度が−50℃未満の場合は、使用できる気体が限られてしまうという不利益や、そのような低温の供給気体が流延リボンRに衝突することにより、流延膜52が局所的に過度に冷却され、光学品質が却って低下するという不利益等が生じる可能性がある。より好ましい温度は、−20℃〜10℃である。
<光学フィルムの製造方法>
以上のような構成の光学フィルムの製造装置1を用いることにより、移動する無端ベルト12上にダイス11から樹脂溶液51を流延させて流延膜52を形成させる工程(流延工程)を有する光学フィルム53の製造方法であって、流延工程中は、流延リボンRよりも上流側の無端ベルト12上の空間に、空気よりも密度が小さい気体を供給する、光学フィルム53の製造方法が実施され得る。
そして、そのような製造方法又は前記製造装置1によって製造された光学フィルム53は、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この光学フィルム53は、高速生産されても、また広幅であっても、高品質なものである。
<他の実施形態>
図3を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同じ又は相当する構成要素には同じ符号を用い、特徴部分のみ説明する。
図3に示すように、本実施形態においては、気体供給装置15は縦型である。すなわち、ダイス11よりも上流側で、無端ベルト12の上方に、無端ベルト12の幅手方向に延びる気体供給装置15が備えられている。気体供給装置15は、無端ベルト12側の端面(下面)に気体供給口を有し、この気体供給口を介して、無端ベルト12の上方から無端ベルト12に向けて、少なくとも流延リボンRの幅に亘って(図例では無端ベルト12の全幅に亘って)、空気よりも密度が小さい気体を供給する。これにより、同伴風が幅手方向に全面的に置換される。そのため、例えば、無端ベルト12上での流延膜52の乾燥温度が比較的高い等の理由により、無端ベルト12の中央部が側縁部よりも高温になるというパターン、又は、無端ベルト12の側縁部に加えて無端ベルト12の中央部も高温になるというパターンの幅手方向の温度ムラが発生した場合に、より一層効率よく、同伴風が流延リボンRに衝突したときのエネルギーを低くでき、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みを抑制でき、製造された光学フィルム53の光学品質の劣化を回避できる。
本実施形態においては、気体供給装置15は、ダイス11の樹脂溶液吐出口と平行に、無端ベルト12のキャスト面に対して垂直方向〜上流側に、気体を供給する。これにより、同伴風が効率よく気体で置換される。
本実施形態においては、気体供給装置15は、無端ベルト12の移動速度や置換しようとする空間の体積等にも依存するが、例えば、1×10−2〜1×10m/分の流量で気体を供給する。これにより、供給気体の流量が多すぎて流延リボンRが供給気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、無端ベルト12の中央部における同伴風も確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できる。より好ましい流量は、例えば、1×10−1〜1×10m/分である。
別の観点からいえば、気体供給装置15は、置換しようとする空間における同伴風の流量をBとすると、例えば、0.8×B〜2.0×Bの範囲内の流量で気体を供給することができる。これによっても、供給気体の流量が多すぎて流延リボンRが供給気体で押圧される等の不具合(その結果、光学品質が劣化する)を回避しつつ、無端ベルト12の中央部における同伴風も確実に空気よりも密度が小さい気体で置換できる。より好ましい流量は、例えば、1.0×B〜1.5×Bの範囲内である。
なお、置換しようとする空間における同伴風の流量Bは、例えば、無端ベルト12の幅(全幅)をc、気体供給装置15の気体供給口から無端ベルト12のキャスト面までの距離をd、無端ベルト12の移動速度をvとしたときに、式「B=c×d×v」に従い算出される値とすることができる。
次に、図4を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第1、第2の実施形態と同じ又は相当する構成要素には同じ符号を用い、特徴部分のみ説明する。
図4に示すように、本実施形態においては、光学フィルムの製造装置1は、横型の気体供給装置14と縦型の気体供給装置15との両方を備えている。前述したように、横型の気体供給装置14は、無端ベルト12の中央部の同伴風も置換されるが、専ら、無端ベルト12の側縁部の同伴風の置換を行い、縦型の気体供給装置15は、無端ベルト12の側縁部の同伴風も置換されるが、専ら、無端ベルト12の中央部の同伴風の置換を行う。そのため、本実施形態においては、横型の気体供給装置14と縦型の気体供給装置15との両方を備えることにより、より一層効率よく、同伴風が幅手方向に全面的に置換されることとなり、その結果、より一層効率よく、同伴風が流延リボンRに衝突したときのエネルギーを低くでき、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みを抑制でき、製造された光学フィルム53の光学品質の劣化を回避できる。
なお、図例では、横型の気体供給装置14を縦型の気体供給装置15の上流に配置したが、これに限らず、状況等に応じて、縦型の気体供給装置15を横型の気体供給装置14の上流に配置しても構わない。
次に、図5を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。なお、第1〜第3の実施形態と同じ又は相当する構成要素には同じ符号を用い、特徴部分のみ説明する。
図1〜図4に示した光学フィルムの製造装置1は、支持体として無端ベルト12を用いたものであったが、これに代えて、図5に示すように、支持体としてドラム16を用いた光学フィルムの製造装置1であってもよい。ドラム16は、移動(回動)することにより、その周面上に形成された流延膜52を搬送しながら乾燥させる。ドラム16は、表面(キャスト面)が鏡面仕上げされた金属製のドラムが好ましい。ドラム16は、流延膜52の剥離性の観点から、例えばステンレス鋼製が好ましい。そして、このような構成の光学フィルムの製造装置1において、横型の気体供給装置14及び/又は縦型の気体供給装置15をダイス11の上流側に備えるのである。
<光学フィルム>
前述したように、本実施形態では、代表例として、セルローストリアセテート等のセルロースエステル樹脂を含む光学フィルムが製造される。
前述したように、例えば溶解釜を用いて、セルロースエステル樹脂等からなる熱可塑性樹脂を、良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに可塑剤や紫外線吸収剤等の添加剤を添加して樹脂溶液(ドープ)を調製する。
ついで、溶解釜で調整されたドープを、例えば加圧型定量ギヤポンプを通して、導管によって流延ダイス11に送液し、無限に移送する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルト12よりなる支持体上の流延位置に、流延ダイス11からドープを流延する。
熱可塑性樹脂溶液(ドープ)として、例えばセルロースエステルを用いる場合、セルロースエステル溶液の固形分濃度は、15〜30質量%であるのが、好ましい。セルロースエステル溶液(ドープ)の固形分濃度が、15質量%未満であれば、支持体上で充分な乾燥ができず、剥離時にドープ膜の一部が支持体上に残り、ベルト汚染につながるため、好ましくない。また固形分濃度が30質量%を超えると、ドープ粘度が高くなり、ドープ調整工程でフィルター詰まりが早くなったり、支持体上への流延時に圧力が高くなり、押し出せなくなるため、好ましくない。
本実施形態の溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上、3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内方向リタデーション(Ro)、及び厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができるのである。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
ここで、面内方向リタデーション(Ro)は、次式で定義される。
面内方向リタデーション(Ro)=(Nx−Ny)×d
なお、Nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、Nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、dは屈折率の測定点におけるフィルムの厚み(nm)である。
また、厚み方向リタデーション(Rt)は、次式で定義される。
厚み方向リタデーション(Rt)=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
なお、nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。
本実施形態において、面内方向リタデーション(Ro)は、例えば、自動複屈折率測定装置(王子計測機器社製の「KOBRA−21ADH」)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下、波長590nmで求めることができる。
本実施形態に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本実施形態において、セルロースエステルの数平均分子量は、30000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに50000〜200000が好ましい。
本実施形態において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
本実施形態による光学フィルムの製造方法において、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒という。
良溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、ジクロロメタン(塩化メチレン)、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル及びジクロロメタンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることで、ウェブをゲル化させ、ウェブを丈夫にして、支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないことなどからエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たす好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶媒として最も好ましい溶媒は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶媒である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
本実施形態におけるフィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤等を含有させてもよい。
本実施形態において使用する可塑剤としては、特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたり、フィルムからブリードアウトあるいは揮発しないように、セルロース誘導体や加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物と、水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができるが、特に好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本実施形態に用いられる多価アルコールは、つぎの一般式(3)で表される。
一般式(3):R1−(OH)n
式中、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表わす。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
好ましい多価アルコールの例としては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本実施形態の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが、さらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では、小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を、好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることができるが、本実施形態では、リン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことが好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満、好ましくは0.1質量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤の使用量は、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。可塑剤の使用量が、セルロース誘導体に対して1質量%未満では、フィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため、好ましくなく、20質量%を越えると、フィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、好ましくない。
本実施形態におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えば日本アエロジル株式会社製のアエロジル200、200V、300、972、972V、974、202、812,805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.05〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加された粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
ここで、微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.04〜1.0質量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.8質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.04質量%未満では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が1.0質量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶媒を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。高圧分散装置とは、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名、マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
本実施形態において、微粒子は、低級アルコール類を25〜100質量%含有する溶媒中で分散した後、セルロースエステル(セルロース誘導体)を溶媒に溶解したドープと混合し、該混合液を支持体上に流延し、乾燥して製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルムを得る。
ここで、低級アルコールの含有比率としては、好ましくは25〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%である。
また、低級アルコール類の例としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
低級アルコール以外の溶媒としては、特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
微粒子は、溶媒中で1〜30質量%の濃度で分散される。これ以上の濃度で分散すると、粘度が急激に上昇し、好ましくない。分散液中の微粒子の濃度としては、好ましく、5〜25質量%、さらに好ましくは、10〜20質量%である。
フィルムの紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
本実施形態において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本実施形態において、有用な紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン326(いずれもBASFジャパン社から商業的に入手し得る)を、好ましく使用できる。
また、本実施形態において使用し得る紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本実施形態において、これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステル(セルロース誘導体)に対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5質量%が好ましい。紫外線吸収剤の使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不充分の場合があり、紫外線吸収剤の多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合があるので、好ましくない。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
また、本実施形態の光学フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、特開平6−148430号公報及び特開2002−47357号公報に記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。とりわけ特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号公報に記載の一般式(3)(6)(7)で表される高分子紫外線吸収剤が、好ましく用いられる。
酸化防止剤は、一般に、劣化防止剤ともいわれるが、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。すなわち、液晶画像表示装置などが高湿高温の状態に置かれた場合には、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えばフィルム中の残留溶媒中のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸などによりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0質量%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
本実施形態において、最終的に製造された光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムは、含水率としては0.1〜5%が好ましく、0.3〜4%がより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
本実施形態において、最終的に製造された光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムは、透過率が88%以上であることが望ましく、さらに好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは92%以上である。
本発明が対象とする光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に液晶ディスプレイに用いられる機能フィルムのことであり、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムを含むものである。
本実施形態に係る光学フィルムは、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板用保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
<偏光板>
本実施形態に係る光学フィルムを偏光板用の透明保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本実施形態に係る光学フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には本実施形態に係る光学フィルムを用いても、別の偏光板用保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては1液型であっても良いし、使用前に2液以上を混合して使用する型であっても良い。
また上記粘着剤は有機溶媒を媒体とする溶媒系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型等の水系であってもよいし、無溶媒型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
本実施形態に係る偏光板は、偏光子と、前記偏光子の表面上に配置された透明保護フィルムとを備え、前記透明保護フィルムが、前記光学フィルムである。前記偏光子とは、入射光を偏光に変えて射出する光学素子である。
前記偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸することによって作製される偏光子の少なくとも一方の表面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて、前記光学フィルムを貼り合わせたものが好ましい。また、前記偏光子のもう一方の表面にも、前記光学フィルムを積層させてもよいし、別の偏光板用透明保護フィルムを積層させてもよい。この別の偏光板用透明保護フィルムとしては、例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。あるいは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを用いてもよい。この場合は、ケン化適性が低いため、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
前記偏光板は、上述のように、偏光子の少なくとも一方の表面側に積層する保護フィルムとして、前記光学フィルムを使用したものである。その際、前記光学フィルムが位相差フィルムとして働く場合、光学フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に実質的に平行または直交するように配置されていることが好ましい。
また、前記偏光子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものとがある。前記ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレンで変性された変性ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく用いられる。
前記偏光子は、例えば、以下のようにして得られる。まず、ポリビニルアルコール水溶液を用いて製膜する。得られたポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸させた後染色するか、染色した後一軸延伸する。そして、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を施す。
前記偏光子の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
該偏光子の表面上に、セルロースエステル系樹脂フィルムを張り合わせる場合、完全ケン化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせることが好ましい。また、セルロースエステル系樹脂フィルム以外の樹脂フィルムの場合は、適当な粘着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
上述のような偏光板は、透明保護フィルムとして、本実施形態に係る光学フィルムを用いることによって、この光学フィルムは、変形が充分に抑制されているので、例えば、液晶表示装置に適用した際に、コントラストの向上等の、液晶表示装置の高画質化を実現できる。また、偏光板の透明保護フィルムとして適用された光学フィルムは、湿度変化による寸法変化も抑制されているので、例えば、液晶表示装置に適用した際に、いわゆる、コーナーむらの発生も抑制できる。
このように、本実施形態に係る偏光板は、偏光子と、前記偏光子を挟むように偏光子の両側に配置された2枚の透明保護フィルムとを備える偏光板であって、前記2枚の透明保護フィルムのうちの少なくとも一方が、前述の光学フィルムであることを特徴とする偏光板である。この偏光板は、保護フィルムとして用いている光学フィルムが、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この偏光板は、大型であっても高品質なものである。
<液晶表示装置>
本実施形態に係る光学フィルムを液晶偏光板用保護フィルムとして貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することが出来るが、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。本実施形態に係る偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。
本実施形態に係る偏光板は反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型(FFS方式も含む)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜け等もなく、その効果が長期間維持される。
また、色ムラ、ギラツキや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置された2枚の偏光板とを備え、前記2枚の偏光板のうち少なくとも一方が、前記偏光板である。なお、液晶セルとは、一対の電極間に液晶物質が充填されたものであり、この電極に電圧を印加することで、液晶の配向状態が変化され、透過光量が制御される。このような液晶表示装置は、本実施形態に係る偏光板を用いることによって、偏光板用の透明保護フィルムとして、変形が充分に抑制されている光学フィルムが用いられているので、コントラスト等が向上された、高画質な液晶表示装置となる。また、偏光板に、湿度変化による寸法変化が抑制された光学フィルムを透明保護フィルムとして備えたものを用いているので、いわゆる、コーナーむらの発生も抑制できる。
このように、本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶セルと、前記液晶セルを挟むように液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板とを備える液晶表示装置であって、前記2枚の偏光板のうちの少なくとも一方が、前述の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置である。この液晶表示装置は、偏光板の保護フィルムとして用いている光学フィルムが、流延膜52への同伴風の泡の巻き込みが十分抑制されて製造されたものであり、良好な光学品質を有している。よって、この液晶表示装置は、大型であっても高品質なものである。
以下、実施例を通して、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
<試験1>
[セルロースエステル溶液(ドープ)の調製]
下記の原料を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過し、ドープを調製した。
(ドープ組成)
・セルローストリアセテート(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)を100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤)を8質量部
・エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤)を2質量部
・塩化メチレン(良溶媒)を440質量部
・エタノール(貧溶媒)を40質量部
・チヌビン109(紫外線吸収剤、BASFジャパン社)を0.5質量部
・チヌビン171(紫外線吸収剤、BASFジャパン社)を0.5質量部
・アエロジル972V(マット剤、日本アエロジル社)を0.2質量部
[セルロースエステルフィルムの製造]
図1、図2に示した光学フィルムの製造装置1に類似の装置を用い、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムを製造した。まず、下記の条件でドープをダイスから吐出し、支持体上に流延させた。その際、流延工程中は、横型気体供給装置から流延リボンの上流側の支持体上の空間に向けて気体の供給を行った。
(流延条件)
・支持体:ステンレス鋼製無端ベルト
・支持体移動速度:100m/分
・ドープ温度:30℃
・無端ベルトの幅:2400mm
・流延膜の幅:2000mm
・気体供給装置:横型
・供給気体の種類:空気(密度:1.29kg/m(ntp))
・供給気体の温度:25℃
・供給気体の流量:1×10−5/分
支持体上に形成された流延膜(ウェブ)を、支持体の上方から45℃の温風を10m/秒の風速で吹き付け、支持体の裏面に40℃の温風を10m/秒の風速で吹き付けることにより、支持体上で乾燥させた後、剥離ロールで支持体から剥離した。剥離時のウェブの残留溶媒量は80質量%であった。
剥離した樹脂フィルムを搬送しつつ、第1乾燥装置を蛇行状に通過させて、80℃で1分間乾燥させた。次に、延伸装置(2軸延伸テンター)を通過させて、100℃の雰囲気下で、幅手方向(TD方向)に25%の延伸率で延伸した。延伸時のウェブの残留溶媒量は3〜10質量%であった。次に、第2乾燥装置を蛇行状に通過させて、125℃で乾燥させた。次に、20℃に冷却し、巻取装置で巻き取ることにより、膜厚が50μm、幅が2200mmの光学フィルム(セルロースエステルフィルム)を製造した。
<試験2>
表1に示すように、供給気体を空気とアンモニアとの混合物(密度:1.05kg/m(ntp))に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験3>
表1に示すように、供給気体をネオン(密度:0.90kg/m(ntp))に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験4>
表1に示すように、供給気体をアンモニア(密度:0.77kg/m(ntp))に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験5>
表1に示すように、供給気体をヘリウム(密度:0.18kg/m(ntp))に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験6>
表1に示すように、供給気体を二酸化炭素(密度:1.98kg/m(ntp))に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験7>
表1に示すように、気体の供給を行わなかった他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験11>
表2に示すように、供給気体の流量を5×10−7/分に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験12>
表2に示すように、供給気体の流量を1×10−6/分に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験13>
表2に示すように、供給気体の流量を1×10−4/分に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験14>
表2に示すように、供給気体の流量を2×10−4/分に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験21>
表3に示すように、供給気体の温度を20℃に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験22>
表3に示すように、供給気体の温度を−50℃に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験23>
表3に示すように、供給気体の温度を−55℃に変更した他は、試験3と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験31>
表4に示すように、気体供給装置を縦型に変更し(図3に示した光学フィルムの製造装置1に類似の装置を用いた)、支持体上での流延膜の乾燥温度を65℃(上方)及び60℃(裏面)に変更し、供給気体の流量を1×10−1/分に変更した他は、試験1と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験32>
表4に示すように、供給気体を空気とアンモニアとの混合物(密度:1.05kg/m(ntp))に変更した他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験33>
表4に示すように、供給気体をネオン(密度:0.90kg/m(ntp))に変更した他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験34>
表4に示すように、供給気体をアンモニア(密度:0.77kg/m(ntp))に変更した他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験35>
表4に示すように、供給気体をヘリウム(密度:0.18kg/m(ntp))に変更した他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験36>
表4に示すように、供給気体を二酸化炭素(密度:1.98kg/m(ntp))に変更した他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験37>
表4に示すように、気体の供給を行わなかった他は、試験31と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験41>
表5に示すように、供給気体の流量を5×10−3/分に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験42>
表5に示すように、供給気体の流量を1×10−2/分に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験43>
表5に示すように、供給気体の流量を1×10m/分に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験44>
表5に示すように、供給気体の流量を1.5×10m/分に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験51>
表6に示すように、供給気体の温度を20℃に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験52>
表6に示すように、供給気体の温度を−50℃に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<試験53>
表6に示すように、供給気体の温度を−55℃に変更した他は、試験33と同様にして光学フィルムを製造した。
<評価方法>
[幅手光学値]
製造した光学フィルムの遅相軸方向の屈折率(Nx)及び進相軸方向の屈折率(Ny)を、自動複屈折率測定装置(王子計測機器社製の「KOBRA−21ADH」)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下、波長590nmで、光学フィルムの幅手方向に10mmの間隔で測定した。また、各測定点における光学フィルムの厚み(d)を、接触式膜厚計(ミツトヨ社製)を用いて測定した(nm)。得られた各測定値から、各測定点における面内方向レタデーション(Ro)を、式「Ro=(Nx−Ny)×d」に従い算出した。算出した面内方向レタデーション(Ro)の最大値と最小値との差を算出し、下記の基準で評価した。結果を表1〜表6に示す。
(評価基準)
◎:面内方向レタデーション(Ro)の最大値と最小値との差が1.0以下であった。
○:面内方向レタデーション(Ro)の最大値と最小値との差が1.0を超え、2.0以下であった。
△:面内方向レタデーション(Ro)の最大値と最小値との差が2.0を超え、4.0以下であった。
×:面内方向レタデーション(Ro)の最大値と最小値との差が4.0を超えていた(実用上(例えば偏光板の透明保護フィルムとして用いて)問題のあるレベル)。
Figure 2012179835
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<結果考察>
[表1]
試験2〜5は、試験1、6に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の密度が空気の密度よりも小さかったためと考えられる。試験2〜5のうちでも、試験3〜5は、幅手光学値の結果がさらに良好であった。これは、供給気体の密度が1kg/m(ntp)以下であったためと考えられる。なかでも、供給気体の密度が最も小さかった試験5は、幅手光学値の結果が最も良かった。
[表2]
試験12、13は、試験11、14に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の流量が1×10−6〜1×10−4/分の範囲内にあったためと考えられる。試験11は、供給気体の流量が前記範囲より少なかったため、同伴風の置換がやや不十分であったものと考えられる。試験14は、供給気体の流量が前記範囲より多かったため、流延リボンRに若干の影響が及んだものと考えられる。
[表3]
試験21、23は、試験3、23に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の温度が−50℃〜20℃の範囲内にあったためと考えられる。試験3は、供給気体の温度が前記範囲より高かったため、同伴風の冷却効果(エネルギーの低減効果)がやや不十分であったものと考えられる。試験23は、供給気体の温度が前記範囲より低かったため、流延膜が局所的に過度に冷却され、光学品質が若干低下したものと考えられる。
[表4]
試験32〜35は、試験31、36に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の密度が空気の密度よりも小さかったためと考えられる。試験32〜35のうちでも、試験33〜35は、幅手光学値の結果がさらに良好であった。これは、供給気体の密度が1kg/m(ntp)以下であったためと考えられる。なかでも、供給気体の密度が最も小さかった試験35は、幅手光学値の結果が最も良かった。
[表5]
試験42、43は、試験41、44に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の流量が1×10−2〜1×10m/分の範囲内にあったためと考えられる。試験41は、供給気体の流量が前記範囲より少なかったため、同伴風の置換がやや不十分であったものと考えられる。試験44は、供給気体の流量が前記範囲より多かったため、流延リボンRに若干の影響が及んだものと考えられる。
[表6]
試験51、52は、試験33、53に比べて、幅手光学値の結果に優れていた。これは、供給気体の温度が−50℃〜20℃の範囲内にあったためと考えられる。試験33は、供給気体の温度が前記範囲より高かったため、同伴風の冷却効果(エネルギーの低減効果)がやや不十分であったものと考えられる。試験53は、供給気体の温度が前記範囲より低かったため、流延膜が局所的に過度に冷却され、光学品質が若干低下したものと考えられる。
1 光学フィルムの製造装置
10 流延装置
11 ダイス
12 支持体(無端ベルト)
13 剥離ロール
14 気体供給装置(横型)
15 気体供給装置(縦型)
16 支持体(ドラム)
20 延伸装置
30 乾燥装置
40 巻取装置
51 樹脂溶液(ドープ)
52 流延膜(ウェブ)
53 樹脂フィルム(光学フィルム)
R 流延リボン

Claims (11)

  1. 移動する支持体上にダイスから樹脂溶液を流延させて流延膜を形成させる工程を有する光学フィルムの製造方法であって、
    前記工程中は、ダイスから吐出された樹脂溶液が支持体上に接地するまでの流延リボンよりも支持体の移動方向の上流側の支持体上の空間に、空気よりも密度が小さい気体を供給することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 支持体の幅手方向の外方側から内方側に向けて気体を供給することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 1×10−6〜1×10−4/分の流量で気体を供給することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 支持体の上方から支持体に向けて少なくとも流延リボンの幅に亘って気体を供給することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 1×10−2〜1×10m/分の流量で気体を供給することを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 標準状態(0℃、1気圧)における気体の密度が1kg/m(ntp)以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 気体の温度は−50℃〜20℃であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 移動する支持体上にダイスから樹脂溶液を流延させて流延膜を形成させる工程が行われる光学フィルムの製造装置であって、
    ダイスから吐出された樹脂溶液が支持体上に接地するまでの流延リボンよりも支持体の移動方向の上流側の支持体上の空間に気体を供給する気体供給装置が備えられ、
    この気体供給装置は、空気よりも密度が小さい気体を供給し、
    前記工程中は前記気体供給装置が作動されることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法又は請求項8に記載の光学フィルムの製造装置により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
  10. 請求項9に記載の光学フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  11. 請求項9に記載の光学フィルム又は請求項10に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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