JP2012178982A - 刈払機 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却ファンの構造を複雑化することなく、クラッチハウジングの剛性を十分に確保でき、かつ遠心クラッチを効率よく冷却できる刈払機を提供すること。
【解決手段】エンジンの駆動力をクランクシャフトから駆動シャフトに伝達する遠心クラッチ20と、冷却ファンおよび遠心クラッチを覆う合成樹脂製のクラッチハウジング23と、クラッチハウジング23の内部に保持されるとともに、駆動シャフトと遠心クラッチ20とを連結する連結軸を支持するベアリングを備えた刈払機であって、クラッチハウジング23の内部の遠心クラッチ20の外周側には、該遠心クラッチ20を囲む立上壁26を含んで形成されたボリュート状の送風空間27が設けられ、立上壁26には、送風空間27を流れる冷却空気を内方側の送風空間53に流入させる流入開口28,29と、送風空間53を流れる冷却空気を送風空間27に流出させる流出開口52とが設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、刈払機に係り、特に遠心クラッチの冷却構造の改良に関する。
エンジンを駆動源とした刈払機が知られている。刈払機では、駆動源からの駆動力が遠心クラッチを介して操作杆内のシャフトに伝達され、この駆動力にてシャフトの先端側に設けられたチップソーやナイロンカッター等のアタッチメントが回転駆動される。
遠心クラッチは、エンジンのクランクシャフトに連結された取付プレートと、取付プレートに回動自在に取り付けられて遠心力に応じて回動するクラッチシューと、径方向外方に回動したクラッチシューと摩擦係合するとともに、前記シャフトの基端側が連結されるクラッチドラムとを備え、互いに摩擦係合したクラッチシューおよびクラッチドラムを介して駆動力が伝達される。
このような遠心クラッチは、クランクシャフトに取り付けられて回転する冷却ファンの外側に位置しており、全体がクラッチハウジングで覆われている。クラッチハウジング内には、クラッチドラムに連結されたシャフトを支持するベアリングが保持されている。
クラッチハウジングの材料としては、金属製の場合もあるが、軽量化のために合成樹脂製の場合もある。合成樹脂製のクラッチハウジングでは、クラッチシューとクラッチドラムとの摩擦で生じる摩擦熱の影響を受け易い。
このため、例えばナイロンカーターでのナイロンヘッドの長さを長くし、短時間で大量の草を刈ろうとすると、シャフト側での負荷が大きくなってクラッチドラムとクラッチシューとの間での滑りが連続的に生じることになり、遠心クラッチが高温となる。この結果、遠心クラッチからの輻射熱により、クラッチハウジングが自身の軟化温度を超える程に加熱されて変形し、ベアリングの脱落を招くという問題がある。
そこで、従来のクラッチハウジングでは、遠心クラッチの外周に対応させて多数の外気吸入用のスリットを設けてある。すなわち、冷却ファンで吸引される冷却空気をそれらのスリットを通して吸入することで、冷却空気によって遠心クラッチを冷却し、高温になるのを抑制している(例えば、特許文献1)。
特開2001−355446号公報
しかし、特許文献1では、クラッチハウジングに設けられたスリットから冷却空気を効率的に吸引できるよう、冷却ファンの複数の羽根が円盤状のロータの表裏両面に設けられており、冷却ファンの構造が複雑になるという問題がある。
また、冷却空気の吸引量を稼ぐために、多数のスリットがクラッチハウジングに設けられており、クラッチハウジングの剛性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、冷却ファンの構造を複雑化することなく、クラッチハウジングの剛性を十分に確保でき、かつ遠心クラッチを効率よく冷却できる刈払機を提供することにある。
第1発明に係る刈払機は、エンジンと、エンジンのクランクシャフトに取り付けられる冷却ファンと、先端にアタッチメントが取り付けられる駆動シャフトと、前記エンジンの駆動力を前記クランクシャフトから前記駆動シャフトの基端に伝達する遠心クラッチと、前記冷却ファンおよび前記遠心クラッチを覆う合成樹脂製のクラッチハウジングと、前記クラッチハウジングの内部に保持されるとともに、前記駆動シャフトと前記遠心クラッチとを連結する連結軸を支持するベアリングを備えた刈払機であって、前記クラッチハウジングの内部の前記遠心クラッチの外周側には、該遠心クラッチを囲む立上壁を含んで形成されたボリュート状の送風空間が設けられ、前記立上壁には、前記ボリュート状の送風空間を流れる冷却空気を該立上壁で囲まれた内方側の送風空間に流入させる流入開口と、前記内方側の送風空間を流れる冷却空気を前記ボリュート状の送風空間に流出させる流出開口とが設けられていることを特徴とする。
第2発明に係る刈払機では、前記流入開口の直ぐ下流側には、前記ボリュート状の送風空間を塞ぐことで冷却空気を前記流入開口内に案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
ここで、「下流側」とは、冷却空気の流れ方向の下流側のことである。
第3発明に係る刈払機では、前記案内部は、前記クラッチハウジングの内面と前記立上壁にわたって形成されたリブであることを特徴とする。
第4発明に係る刈払機では、前記案内部は、前記エンジンに取り付けられる排気マフラと前記エンジンのシリンダとの間に配置されるマフラプレートの一部であることを特徴とする。
第5発明に係る刈払機では、前記流出開口は、前記流入開口の上流側に設けられていることを特徴とする。
ここで、「上流側」とは、冷却空気の流れ方向の上流側のことである。
第1発明によれば、冷却ファンで吸引された冷却空気は、クラッチハウジングに設けられたボリュート状の送風空間を流れるのであるが、この際、送風空間を形成している立上壁には流入開口および流出開口を設けるので、冷却空気が流入開口から流入して、立上壁の内方に形成された送風空間を流れることとなり、この送風空間内に収容された遠心クラッチを冷却できる。そして、冷却後の冷却空気は、流出開口から流出し、ボリュート状の送風空間に戻る。
従って、遠心クラッチを冷却ファンで吸引された冷却空気によって効果的に冷却できるうえ、クラッチハウジングに多数のスリットを設ける必要がなく、クラッチハウジングの剛性も良好に確保でき、かつ冷却ファンとしても、クラッチハウジングの多数のスリットから冷却空気を吸引する必要がないことで、その構造が複雑化する心配がない。
第2発明によれば、流入開口の直ぐ下流側に案内部を設けるため、案内部に当接した冷却空気を流入開口へスムーズに案内でき、遠心クラッチへと冷却空気を効率的に送風できる。
第3発明によれば、補強用のリブが案内部を兼用しているので、案内部としては冷却空気を案内する目的だけのために特別な形状を有している訳ではない。従って、案内部を設けてもクラッチハウジングの構造が複雑になるおそれがなく、樹脂成形も容易に行える。
第4発明によれば、マフラプレートの一部が案内部として機能するから、冷却空気を案内するためだけの案内部を特別に設ける必要がなく、やはり構造が複雑になるのを抑えつつ、冷却空気を効率的に流入させることができる。
第5発明によれば、流出開口が流入開口の上流側に設けられているので、流入開口から流入した冷却空気が遠心クラッチの外周を回りながら流出開口へ向かわせることができ、冷却空気の流れの中に遠心クラッチを良好に曝すことができ、遠心クラッチを効率的に冷却できる。
本発明の一実施形態に係る刈払機の本体を示す分解斜視図。 刈払機のクラッチハウジングの内部構造を示す図で有り、図2のIII−III線断面図。 クラッチハウジングの縦断面図。 本実施形態の効果を説明するための図である。
図1〜図3において、刈払機1は、単気筒2ストロークエンジン4を主要構成として含む本体2と、本体2に基端が連結された操作杆3と、操作杆3の先端側に取り付けられるチップソーやナイロンカッター等のアタッチメントと、操作杆3の途中に取り付けられたハンドル等を備えている。エンジン4としては、4ストロークエンジンを用いてもよい。
本体2において、エンジン4にはキャブレタ5が取り付けられ、キャブレタ5にはエアクリーナ6が取り付けられる。エンジン4の当該キャブレタ5とは反対側には、排気マフラ7が取り付けられている。エンジン4の下方には、燃料タンク8が取り付けられ、燃料タンク8内の燃料がキャブレタ5に吸い上げられる。
エアクリーナ6は、キャブレタ5にスクリュー止めされるクリーナケース61と、クリーナケース61に収容されるスポンジ状のエレメント62と、クリーナケース61に操作スクリュー63によって取り付けられるクリーナカバー64とで構成される。
エンジン4の図示しないクランクシャフトの一端側には、引きひも付きの操作ノブ91を有したリコイルスタータ9が取り付けられ、クランクシャフトの他端側には、複数の羽根11を有した冷却ファン10と、遠心クラッチ20のクラッチシュー側の組立体とが取り付けられている。
遠心クラッチ20は、冷却ファン10の外側に取り付けられており、前記クラッチシューを含む組立体の他、遠心力で径方向外方に回動したクラッチシューと摩擦係合するクラッチドラム21を備えている。クラッチドラム21には連結軸22が取り付けられている。連結軸22には、操作杆3内に回転自在に収容された駆動シャフト31がスプライン結合される。
冷却ファン10および遠心クラッチ20は、合成樹脂製のクラッチハウジング23で覆われている。このクラッチハウジング23は、エンジン4のクランクケースと一体に形成されたファンハウジング41にスクリュー止めされる。クラッチハウジング23は、本体2側に向かって拡開したラッパ状であり、その内部にはクラッチドラム21の連結軸22を支持するベアリング24がインサートモールド等によって保持されている。
以上の刈払機1では、エンジン4の動力は、クランクシャフトから遠心クラッチ20を介して駆動シャフト31に伝達され、駆動シャフト31からその先端の適宜なギヤ装置を介してアタッチメントに伝達される。この際、ファンハウジング41の対向面42には開口部43が設けられ、クランクシャフトと一体で回転する冷却ファン10により、エンジン4と燃料タンク8との間を通して開口部43から冷却空気が吸引され、エンジン4のシリンダ4A側に送られる。
以下には、エンジン4の冷却構造と併せて遠心クラッチ20の冷却構造について説明する。
冷却空気吸引用の開口部43が設けられたファンハウジング41には、外周に沿って立設した第1立上壁44が設けられている。第1立上壁44は、冷却ファン10の軸方向と同じ方向に立設しており、対向面42に対して冷却ファン10側に突出して設けられている。第1立上壁44は、ファンハウジング41の外周において、排気マフラ7側から冷却ファン10の下側を通ってキャブレタ5側まで連続しており、キャブレタ5側に向かうに従って冷却ファン10の外周から離間している。
第1立上壁44のそのような形状により、ファンハウジング41には、冷却ファン10との間でボリュート(渦巻き)状の第1送風空間45が形成されている。開口部43から吸引された冷却空気は、冷却ファン10の回転方向からすると、図1中の矢印A1に示すように、第1送風空間45内を下方から上方に向かって流れ、上方位置でシリンダ4A側へ案内される。
ここで、シリンダ4Aと排気マフラ7との間には、排気マフラ7からの輻射熱がシリンダ4A側に伝達されるのを遮断する平面L形状のマフラプレート71が設けられている。マフラプレート71の下部側の一部は、第1送風空間45を遮っており、冷却空気が排気マフラ7近傍から外方に抜け出るのを抑制し、マフラプレート71に当たってシリンダ4Aの周囲に回るようにしている。
一方、クラッチハウジング23の外周には、冷却ファン10側に向かって立設した第2立上壁25が設けられている。クラッチハウジング23をファンハウジング41に固定した際には、第1、第2立上壁25,44の互いの対向端面同士が当接される。さらに、本実施形態では、クラッチハウジング23の内部にも、冷却ファン10側に向かって立設した円筒状の第3立上壁26が設けられている。この第3立上壁26は遠心クラッチ20を囲んでいるとともに、その外径寸法は冷却ファン10の外径寸法と略同じである。
従って、クラッチハウジング23の内部には、第2立上壁25と第3立上壁26との間の空間により、第1送風空間45と略同様なボリュート状の第2送風空間27が形成されることになる。第1、第2送風空間27,45は互いに連通しており、冷却ファン10で吸引された冷却空気は、図2、図3中に矢印A2で示すように、第2送風空間27をも流れるようになる。
また、第3立上壁26の上部側の部分には、切欠状の第1流入開口28が設けられ、その下流側(冷却空気の流れ方向の下流側の意)には、同様な第2流入開口29が設けられている。そして、第1流入開口28の直ぐ下流側には、クラッチハウジング23の内面と第3立上壁26とにわたる案内部としてのリブ51が第2送風空間27を遮るように設けられ、第2流入開口29の直ぐ下流側には、第2送風空間27の最下流部分を塞ぐようにして案内部としての前述のマフラプレート71が位置している。
これに対して、第3立上壁26の第1流入開口28の上流側(冷却空気の流れ方向の上流側の意)には、切欠状の流出開口52が設けられている。すなわち、第2送風空間27を流れる冷却空気は、その上部側においてリブ51に当たって案内され、第1流入開口28から第3立上壁26で囲まれた内部の第3送風空間53内に入り込む(矢印A3参照)。
また、第2送風空間27を流れる冷却空気のうち、第1流入開口28から流入せずに通過した冷却空気の一部、および第1送風空間45を流れる冷却空気の一部は、マフラプレート71に当たって案内され、第2流入開口29から第3送風空間53内に入り込む(矢印A4参照)。
そして、第3送風空間53内には遠心クラッチ20が収容されていることから、遠心クラッチ20は、第3送風空間53内に流入した冷却空気で冷却される(矢印A3〜A6)。この後、冷却空気は、流出開口52から第2送風空間27に戻り、エンジン4側に流れるか、再度第3送風空間53に入り込んで遠心クラッチ20を冷却する。
以上に説明した本実施形態によれば、冷却空気が第3送風空間53内を流れる構造にしたので、第3送風空間53内に配置される遠心クラッチ20を冷却空気にて良好に冷却でき、クラッチハウジング23が変形してベアリング24が脱落する程の高温に達するのを防止できる。しかも、クラッチハウジング23の第3立上壁26に種々の開口28,29,52を設けるだけでよいから、構造も簡単であり、クラッチハウジング23に冷却空気の吸引用の多数のスリットを設ける必要がなく、剛性も確実に維持できる。
図4には、第3立上壁26や、これに設けられる開口28,29,52が存在しない従来の刈払機(1点鎖線)と、本実施形態での刈払機1(実線)とを用いた場合の実験結果が示されている。このような実験は実施形態での刈払機1でいうと、遠心クラッチ20のクラッチドラム21側に対してクラッチシュー側を常時滑らせるようにし、この状態でベアリング24の温度を測定した。
実験の結果、従来の刈払機では、ベアリング24の温度が最大で240℃以上まで上昇し、約220℃に達した時点でクラッチハウジング23の変形が認められた。
これに対して、本実施形態の刈払機1では、最大187℃程度であり、クラッチハウジング23の変形は認められなかった。
従って、本発明の有効性が確認された。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の前述した目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、第3立上壁26や各開口28,29,52を有するクラッチハウジング23は、刈払機1に始めから取り付けられていたものとして説明したが、従来の刈払機のクラッチハウジングを前記実施形態のクラッチハウジング23に交換してもよく、交換後の刈払機は本発明に含まれる。
前記実施形態では、第3立上壁26に第1流入開口28および第2流入開口29の両方が設けられていたが、少なくともいずれか一方の開口が設けられていればよく、開口を幾つ設けるかや、各開口の開口面積をどの程度の大きさにするかは、エンジン4の排気量等を勘案して、その実施にあたって適宜決められてよい。
前記実施形態では、第1流入開口28および第2流入開口29のそれぞれが切欠状であったが、四角形や円形など、閉じた開口形状で開口していてよく、その開口形状は任意である。
本発明は、肩掛け式、背負い式といった携帯形式に関係なく、両方の刈払機に利用可能である。
1…刈払機、4…エンジン、10…冷却ファン、20…遠心クラッチ、23…クラッチハウジング、24…ベアリング、26…立上壁としての第3立上壁、27…ボリュート状の送風空間である第2送風空間、28…流入開口である第1流入開口、29…流入開口である第2流入開口、31…駆動シャフト、51…案内部であるリブ、52…流出開口、71…案内部であるマフラプレート。

Claims (5)

  1. エンジンと、
    エンジンのクランクシャフトに取り付けられる冷却ファンと、
    先端にアタッチメントが取り付けられる駆動シャフトと、
    前記エンジンの駆動力を前記クランクシャフトから前記駆動シャフトの基端に伝達する遠心クラッチと、
    前記冷却ファンおよび前記遠心クラッチを覆う合成樹脂製のクラッチハウジングと、
    前記クラッチハウジングの内部に保持されるとともに、前記駆動シャフトと前記遠心クラッチとを連結する連結軸を支持するベアリングを備えた刈払機であって、
    前記クラッチハウジングの内部の前記遠心クラッチの外周側には、該遠心クラッチを囲む立上壁を含んで形成されたボリュート状の送風空間が設けられ、
    前記立上壁には、前記ボリュート状の送風空間を流れる冷却空気を該立上壁で囲まれた内方側の送風空間に流入させる流入開口と、前記内方側の送風空間を流れる冷却空気を前記ボリュート状の送風空間に流出させる流出開口とが設けられている
    ことを特徴とする刈払機。
  2. 請求項1に記載の刈払機において、
    前記流入開口の直ぐ下流側には、前記ボリュート状の送風空間を塞ぐことで冷却空気を前記流入開口内に案内する案内部が設けられている
    ことを特徴とする刈払機。
  3. 請求項2に記載の刈払機において、
    前記案内部は、前記クラッチハウジングの内面と前記立上壁にわたって形成されたリブである
    ことを特徴とする刈払機。
  4. 請求項2に記載の刈払機において、
    前記案内部は、前記エンジンに取り付けられる排気マフラと前記エンジンのシリンダとの間に配置されるマフラプレートの一部である
    ことを特徴とする刈払機。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の刈払機において、
    前記流出開口は、前記流入開口の上流側に設けられている
    ことを特徴とする刈払機。
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