JP2012176708A - 電動式ドア制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドアの位置検出手段6、速度検出手段7a,7b、戸閉検知手段5と、ドア開閉時の速度制御推力を生成する速度制御手段2と、ドアに挟まれた物体を引き抜けるような定常押し返し推力と速度指令値とを発生するドア指令発生手段1と、ドア指令発生手段1からの制御選択指令に従い、速度制御推力または定常押し返し推力を選択して出力する指令選択手段3と、選択推力に従いドアに推力を与えるドア駆動機構4と、位置検出値に基づき押し返し制御推力を生成して指令選択手段に入力する手段8〜13,15〜17とを備え、指令選択手段3は、制御選択指令に従い、戸閉検知信号が出力されてから一定時間は定常押し返し推力を選択し、その後に押し返し制御推力を選択して出力する。
【選択図】図1
Description
また、非特許文献1には、ドアに機械的なバネやダンパが取り付けられているのと同等の動作をモータ制御による電気バネや電気ダンパによって実現し、全閉状態にある電車用ドアが外力によって開けられる場合に大きな抗力を発生すると共に、ドアが閉まる際の速度を適切に制御して手指や荷物等を挟み込んだ際の危険性を除去する制御技術が開示されている。
また、非特許文献1には、ドアに衣服や荷物等の物体を挟み込んだ場合にこれらを引き抜くための制御手段が、具体的に開示されていない。
しかしながら、この先願発明は、全閉状態のドアが外力によって無理やり開けられるのを防止することを主目的としており、非特許文献1と同様に、ドアに物体を挟み込んだ場合の対策については言及されていない。
しかし、ドアに衣服等の物体が挟まれた場合に、電車が発車するまでの間は僅かな外力で物体を引き抜くことができ、電車が発車した後は、外力によってドアが簡単に開くことのないようなドア制御装置の提供が強く求められている。
そこで、本発明の解決課題は、ドアに挟まれた物体を僅かな外力で引き抜くことができると共に、電車の走行中には外力によってドアが開けられるおそれがなく、構造が簡単で利便性、安全性の高い電動式ドア制御装置を提供することにある。
ドアが全閉状態であることを検出して戸閉検知信号を出力する戸閉検知手段と、
全閉状態のドアに物体が挟み込まれた際に前記物体を引き抜けるような推力を定常押し返し推力として発生する手段と、
前記定常押し返し推力よりも大きい押し返し制御推力を生成する手段と、
ドアの位置検出値及び前記戸閉検知信号に応じて発生する制御選択指令に従い、前記定常押し返し推力または前記押し返し制御推力のいずれかを選択して出力する指令選択手段と、
前記指令選択手段から出力された推力に従って電動機を運転することによりドアに推力を与えるドア駆動機構と、を備えたものである。
また、機械的なロック手段を用いずにドアを電気的にロックする方式であるため、構造の簡略化が可能であり、製造、組立、調整に要するコストを削減することができる。
図1は、本実施形態に係る電動式ドア制御装置のブロック図であり、この制御装置は、速度制御部100と押し返し制御部200とから構成されている。
速度制御手段2は、速度検出手段7aから入力された速度検出値Vmが前記速度指令値Vbに一致するように速度制御推力Fvbを演算し、この速度制御推力Fvbを指令選択手段3に出力する。
この「押し付け制御モード」は、ドアに挟まれた衣服や荷物等の物体を引き抜くことができる程度の推力をドアに与えるための制御モードであり、定常押し返し推力Fconsを所定値に設定することにより、ドアに挟まれた物体の引き抜きに必要な外力を任意に調整可能となっている。
なお、図1において、14は押し返し時間用タイマであり、このタイマ14の動作については後述する。
押し返し制御部200は、外力によりドアが開かれることを検出する部分と、開かれるドアに対して閉める方向の押し返し制御推力Fpbを生成する部分とから構成されている。
図2は速度検出手段7bの説明図、図3は加速度検出手段8の説明図であり、これらの図において、sはラプラス演算子、ω1,ω2はカットオフ周波数である。
ここで、信号のカットオフ周波数ω1,ω2は、制御周期や機械的振動などの影響を安定化するため、本発明が適用されるシステムに合わせて調整する必要がある。
速度押し返し制御手段10は、速度検出値Vmに基づいて外力によりドアが開かれることを検出し、速度押し返し推力指令Fvelを出力する。
加速度押し返し制御手段11は、加速度検出値Accmに基づいて外力によりドアが開かれることを検出し、加速度押し返し推力指令Faccを出力する。
これらの押し返し制御手段9〜11は、外力によってドアが開かれない場合にはいずれも推力指令としてゼロ(すなわち、初期値としてゼロ)を出力するものである。図1では、検出応答性の違いから3種類の押し返し制御手段9〜11が実装されているが、本発明が適用されるシステムの特徴に合わせて1つ以上の押し返し制御手段を備えればよい。
図4において、ドアの位置検出値(全閉状態をゼロと定義する)Pmが位置判定値X1より大きければ、外力によってドアが開かれたと見なし、位置押し返し推力指令FposをFpos=Pm×K1により演算する(ステップS1 YES,ステップS2)。ここで、機械的ガタや電車の振動などにより誤検出が発生するため、位置判定値X1の調節によって検出感度を最適値に調節することが望ましい。また、K1は応答感度を決定するための位置押し返し係数であり、任意に設定可能である。
位置検出値Pmが位置判定値X1以下であれば、位置押し返し推力指令Fposをゼロとする(ステップS1 NO,ステップS3)。
図5において、ドアの速度検出値Vmが速度判定値X2より大きければ、外力によってドアが開かれたと見なし、速度押し返し推力指令FvelをFvel=Vm×K2により演算する(ステップS11 YES,ステップS12)。ここで、K2は応答感度を決定する速度押し返し係数であり、任意に設定可能である。また、速度検出値Vmが速度判定値X2以下であれば、速度押し返し推力指令Fvelをゼロとする(ステップS11 NO,ステップS13)。
速度検出値Vmが大きいということは、ドアが強い力で開かれようとしていることと同義であり、ドアをより強い推力で押し返すことでドアを開けにくくする制御が可能となる。また、機械的ガタや電車の振動などにより誤検出が発生するため、速度判定値X2の調節によって検出感度を最適値に調節することが望ましい。
図6において、ドアの加速度検出値Accmが加速度判定値X3より大きければ、外力によってドアが開かれた見なし、加速度押し返し推力指令FaccをFacc=Accm×K3により演算する(ステップS21 YES,ステップS22)。ここで、K3は応答感度を決定する加速度押し返し係数である。また、加速度検出値Accmが加速度判定値X3以下であれば、加速度押し返し推力指令Faccをゼロとする(ステップS21 NO,ステップS23)。
加速度検出値Accmが高いということは、ドアが強い力で開かれようとしていることと同義であり、ドアをより強い推力で押し返すことでドアを開けにくくする制御が可能となる。前記同様に、機械的ガタや電車の振動などにより誤検出が発生するため、加速度判定値X3の調節によって検出感度を最適値に調節することが望ましい。
既に明らかなように、押し返し制御手段9〜11の制御動作は、いずれも位置検出手段6による位置検出値Pmに基づいており、位置検出手段6として例えば0.1[mm]以上の分解能を有する高精度な位置検出器を用いれば、全閉状態にあるドアが外力によって開かれたことを瞬時に検出して押し返し制御動作に反映させ、ドアを開けようとする外力に対して十分大きな押し返し推力指令Fpiを生成することができる。
例えば、電車の走行中において、理想的にはドアが戸閉検知スイッチ5のストローク(約2[mm])以上開かないことが要求されるが、本実施形態によれば、少なくとも約0.5[mm]開いたことを検出して「押し返し制御モード」に切り替えることが可能である。
なお、後述するように、振動抑制フィルタ12の動作時間は振動抑制タイマ13によって演算される。また、押し返し時間用タイマ14は「押し付け制御モード」から「押し返し制御モード」へ切り替える時間を計測するためのものである。
電車用ドアのように、駆動対象物が比較的大きく重量もある場合、急激な推力変動を与えると駆動対象物に振動が発生することは容易に想像可能である。この実施形態のように、「押し返し制御モード」によってドアへの推力が急激に増加するシステムでは、推力を即座に減少させるとドアに振動が発生し、この振動によるドアの動きからドアが再度、開かれたと誤認される結果、振動を繰り返す現象が発生する。この現象を抑えるために、振動抑制フィルタ12を設けて押し返し推力指令Fpiから振動抑制推力指令Fpを生成し、この振動抑制推力指令Fpを一定時間、ドアの推力に反映させてドアの振動を抑制することが有効である。
なお、上記振動抑制機能は本発明に必須の構成要件ではないが、より良い制御を実現するためには実装することが望ましい。
まず、押し返し推力指令Fpi(初期値はゼロである)が振動抑制推力指令Fpより大きい場合(ステップS31 YES)、即座に押し返し指令を与えるためFpにFpiを代入し(ステップS32)、振動抑制のために押し返し推力指令Fpiを一定時間保持するべく振動抑制タイマ13の値Tmr1に所定の振動抑制時間T1を設定する(ステップS33)。なお、FpはFpiに基づいて生成されるため、ステップS31においてFpiと比較されるFpは前制御周期のFpである。
ステップS35の数式においてsはラプラス演算子を示し、ステップS36の数式においてT0は制御周期を示す。
図7に示したような振動抑制フィルタ12を用いることにより、高速な押し返しと振動抑制とを実現することができ、押し返し制御モードにおける安全性を高めることができる。
ドアが閉まってから一定時間経過後に制御モードを切り替える方式は、ドア指令発生手段1及び押し返し時間用タイマ14を用いれば容易に実現可能であり、電車走行中に制御モードを切り替える方式は、前述した走行中状態信号RunCを利用して容易に実現可能である。
図8(a)→同(b)→同(c)の動作により、全開状態のドアDが全閉状態になると、戸閉検知スイッチ5から戸閉検知信号Dcsmが出力される。この状態で、図1のドア指令発生手段1は制御選択指令Selを指令選択手段3に送り、「押し付け制御モード」を選択させる。これにより、指令選択手段3は、ドア指令発生手段1からの定常押し返し推力Fconsを選択推力Fsとして出力する。図8(d)に示すように、「押し付け制御モード」における定常押し返し推力Fconsを比較的小さくすることにより、ドアDに衣服や荷物等の物体が挟まれたとしても僅かな外力によってドアDを開けることができる。
なお、電車が走行を開始すると、走行中状態信号RunCもオンになる。
従って、戸閉検知信号Dcsmがオンしてから押し返し時間用タイマ14による設定時間が経過するまでの時間、あるいは、戸閉検知信号Dcsmがオンしてから走行中状態信号RunCがオンになるまでの時間を「押し付け制御モード」とし、それ以後は「押し返し制御モード」に切り替えるような運用が可能である。
従って、利用者にとって利便性、安全性の高い電動式ドア制御装置を提供することができる。
2:速度制御手段
3:指令選択手段
4:ドア駆動機構
5:戸閉検知手段
6:位置検出手段
7a,7b:速度検出手段
8:加速度検出手段
9:位置押し返し制御手段
10:速度押し返し制御手段
11:加速度押し返し制御手段
12:振動抑制フィルタ
13:振動抑制タイマ
14:押し返し時間用タイマ
15〜17:加算手段
100:速度制御部
200:押し返し制御部
D:電車用ドア
Claims (6)
- 電動機により駆動されるドアの位置を検出する位置検出手段と、
ドアが全閉状態であることを検出して戸閉検知信号を出力する戸閉検知手段と、
全閉状態のドアに物体が挟み込まれた際に前記物体を引き抜けるような推力を定常押し返し推力として発生する手段と、
前記定常押し返し推力よりも大きい押し返し制御推力を生成する手段と、
ドアの位置検出値及び前記戸閉検知信号に応じて発生する制御選択指令に従い、前記定常押し返し推力または前記押し返し制御推力のいずれかを選択して出力する指令選択手段と、
前記指令選択手段から出力された推力に従って電動機を運転することによりドアに推力を与えるドア駆動機構と、
を備えたことを特徴とする電動式ドア制御装置。 - 請求項1に記載した電動式ドア制御装置において、
前記押し返し制御推力が、前記位置検出値,速度検出値または加速度検出値のうち一つ以上の情報から生成した押し返し推力指令を含むことを特徴とする電動式ドア制御装置。 - 請求項2に記載した電動式ドア制御装置において、
前記押し返し制御推力によってドアに発生する振動を抑制するための振動抑制推力指令を、前記押し返し推力指令から生成する手段を備えたことを特徴とする電動式ドア制御装置。 - 請求項3に記載した電動式ドア制御装置において、
前記振動抑制推力指令と前記定常押し返し推力とを加算して前記押し返し制御推力を生成する手段を備えたことを特徴とする電動式ドア制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載した電動式ドア制御装置において、
前記指令選択手段は、前記制御選択指令に従い、前記戸閉検知信号が出力されてから一定時間は前記定常押し返し推力を選択して出力し、その後に前記押し返し制御推力を選択して出力することを特徴とする電動式ドア制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載した電動式ドア制御装置において、
前記指令選択手段は、前記制御選択指令に従い、電車が走行中であることを示す走行中状態信号が入力されると、前記押し返し制御推力を選択して出力することを特徴とする電動式ドア制御装置。
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