以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る携帯型プリンター1の外観構成が表された斜視図である。以下では、図1中、左下方向を前方、右上方向を後方、右下方向を右方として説明する。
携帯型プリンター1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器2(後述の図4参照)より有線通信あるいは無線通信を介して受信した印刷データをカット用紙に印刷する。この携帯型プリンター1は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充電式電池10(後述の図2等参照)を電源として駆動可能であり、様々な場所に携帯して使用することができる。
携帯型プリンター1は、樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略直方体形状のハウジング100を備えている。このハウジング100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102と、トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103とを備えている。印刷時には、トップカバー101とカバー部材103との間に形成された挿入口104にカット用紙が挿入される。挿入されたカット用紙は、挿入口104の下方に設けられたガイド部材120により、後述するプラテンローラー111とサーマルラインヘッド112との圧接部P(後述の図2等参照)に案内され、印刷完了後にカバー部材103とアンダーカバー102との間に形成された排出口107より排出される。あるいは、印刷完了後のカット用紙は、挿入口104より排出される。
尚、図1において、符号106はキー操作部、符号30は電源キー(後述の図4参照)、符号40はフィードキー(後述の図4参照)、符号24はUSB端子(後述の図4参照)、符号Mは用紙合わせ位置表示である。
図2を用いて、携帯型プリンター1の内部構造を説明する。図2は、携帯型プリンター1の内部構造が表された側断面図であって、上記図1の切断線II−IIによって携帯型プリンター1が切断された側断面図である。
携帯型プリンター1のハウジング100内には、プラテンローラー111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。プラテンローラー111は、ハウジング100の内部に設けられた一対のサイドシャーシ部材(不図示)により回転自在に支持されており、駆動モーター11(後述の図4参照)により回転駆動させることでカット用紙を搬送する。サーマルラインヘッド112は、後方側端部に軸部材113を備えた放熱板114上に設けられており、この放熱板114は、上記一対のサイドシャーシ部材(不図示)により軸部材113を中心に回動可能に支持されている。また、アンダーカバー102の内表面に設けられたメインシャーシ部材150には、上記サーマルラインヘッド112を支持する放熱板114をプラテンローラー111側に回動付勢する複数のコイルバネ115が設けられている。これにより、サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラー111に圧接可能となっており、印刷時にはプラテンローラー111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通されたカット用紙に所望の印刷を行う。
通常の印刷時においては、カバー部材103を閉じた状態で挿入口104にカット用紙を挿入することで、カット用紙がガイド部材120に案内されつつプラテンローラー111により搬送され、サーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。紙詰まり等が生じた場合には、カバー部材103を開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラー111がリリースされ、容易にカット用紙を引き出すことが可能となる。
ハウジング100の後方側には、略棒状の充電式電池10を収容するバッテリー収納室105が設けられており、このバッテリー収納室105にはバッテリ室カバー170が着脱可能に設けられている。当該バッテリー室カバー170を取り外した状態では、バッテリ収納室105がハウジング100の背面部分に開口する。
尚、図2において、符号101はトップカバー(上記図1参照)、符号107は排出口(上記図1参照)、符号60は制御基板、符号61は凹部、符号155はバネ支持軸部である。複数の凹部61と複数のバネ支持軸部155には、コイルバネ115がそれぞれ挿通・挿着される。
図3を用いて、カット用紙の搬送経路Uを説明する。図3は、ガイド部材120、プラテンローラー111、及びサーマルラインヘッド112の相対位置関係が表された側断面図であって、部分的に拡大された側断面図である。図3に示すように、カット用紙の搬送経路Uは、挿入口104からガイド部材120の傾斜面122及びプラテンローラー111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pを経て排出口107に至る経路である。すなわち、排出経路Uは、主としてガイド部材120のプラテンローラー111及びサーマルラインヘッド112に対する相対位置関係によって画定される。
尚、図3において、符号114は放熱板(上記図2参照)、符号113は軸部材(上記図2参照)である。
図4を用いて、携帯型プリンター1の機能構成を説明する。図4は、携帯型プリンター1の機能構成が表されたブロック図である。
携帯型プリンター1は、CPU12を有している。このCPU12は、SDRAM13の一時記憶機能を利用しつつROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンター1全体の制御を行う。
CPU12は、携帯型プリンター1の電源オン・オフ処理を行う電源回路15と、プラテンローラー111を駆動する駆動モーター11の駆動制御を行うモーター駆動回路16と、サーマルラインヘッド112の駆動制御を行うサーマルヘッド制御回路17とに接続されている。
また、CPU12は、用紙検出センサー18と、用紙送り操作を行うためのフィードキー40と、電源のオン・オフ操作を行うための電源キー30とに接続されている。CPU12は、用紙検出センサー18の検出結果に基づき、挿入口104にカット用紙が挿入されているか否かを検出する。また、CPU12は、電源キー30又はフィードキー40が押し下げられた場合に、当該押し下げられたキーに対応した処理を実行する。すなわち、フィードキー40が押し下げられると、CPU12は、モーター駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モーター11を駆動させてプラテンローラー111を正転させ、カット用紙を所定量搬送するフィード処理を行う。また、携帯型プリンター1の電源オフ状態で電源キー30が押し下げられると、CPU12は、電源回路15に制御信号を出力して電源のオン処理を行い、電源オン状態で電源キー30が押し下げられると、電源回路15に制御信号を出力して電源のオフ処理を行う。
なお、フィードキー40は、例えば、カット用紙の搬送方向途中位置から印刷を開始するために用紙送りをする場合や、搬送方向長さが所定の長さよりも長いカット用紙を用いた場合において印刷終了後にカット用紙を排出するような場合に、操作される。
また、CPU12は、USBインターフェース駆動回路21と、無線通信部22と、赤外線通信部23とに接続されている。USBインターフェース駆動回路21は、USB端子24(上記図1参照)に接続されたUSBケーブル(不図示)を介して、外部機器2との間で行われる通信の制御を行う。また、無線通信部22は、外部機器2との間で行われる赤外線以外の電波による無線通信の制御を行う。また、赤外線通信部23は、外部機器2との間で行われる赤外線通信の制御を行う。
無線通信と赤外線通信との通信手段の切り替えは、次のような操作を介して行われる。すなわち、電源のオフ状態にて、フィードキー40が押し下げられた状態で、電源キー30も押し下げられた場合、CPU12は、電源のオン処理を実行するとともに、通信手段の切り替えを実行する。従って、通信手段が無線通信である場合に上記切替操作が行われると赤外線通信に切り替えられ、通信手段が赤外線通信である場合に上記切替操作が行われると無線通信に切り替えられる。
このような構成において、携帯型プリンター1で印刷する際には、操作者はPC端末や携帯電話機等の外部機器2において、カット用紙に印刷する印刷データの入力を行うとともに、印刷開始コマンドの入力を行う。これにより、外部機器2から携帯型プリンター1に、上記USBケーブル、又は、無線通信若しくは赤外線通信を介して、印刷データが送信され、携帯型プリンター1において印刷データに基づいた印刷が行われる。
そのため、携帯型プリンター1では、図5のフローチャートで表された制御プログラムがCPU12によって実行される。図5に表された制御プログラムでは、先ず、S11において、初期処理が行われる。この処理では、携帯型プリンター1におけるプリンタシステムに関する一般的な初期化がなされる。その後は、S12に進む。
S12では、電源キー30がオフか否かが判定される。ここで、電源キー30がオフである場合(S12:YES)には、S13に進む。S13では、電源のオフ処理が実行される。その後は、図5に表された制御プログラムが終了される。これに対して、電源キー30がオンである場合(S12:NO)には、S14に進む。
S14では、ホスト端末から印刷指令があるか否かが判定される。この判定を具体的に言えば、例えば、PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照)から印刷開始コマンドが受信されたか否かが判定される。ここで、ホスト端末から印刷指令がない場合(S14:NO)には、上記S12に戻って、上記S12以降の各処理が繰り返される。これに対して、ホスト端末から印刷指令がある場合(S14:YES)には、後述するS15の印刷動作制御処理が実行された後、上記S12に戻って、上記S12以降の各処理が繰り返される。
図6は、上述したS15の印刷動作制御処理の制御プログラムが表されたフローチャート図である。図6に表された制御プログラムでは、先ず、S21において、電源OKか否かが判定される。この判定を具体的に言えば、電源回路15(上記図4参照)の電源が所定電圧であるか否かが判定される。ここで、電源NGである場合(S21:NO)には、すなわち、電源回路15(上記図4参照)の電源に異常があるときには、S26に進む。
S26では、エラー処理がなされる。この処理を具体的に言えば、例えば、ホスト端末(PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照))にエラー通知が送信される。また、携帯型プリンター1のハウジング100に不図示のLEDが設けられている場合には、そのLEDが赤点滅などに制御される。その後は、上記図5の上記S12に戻る。
これに対して、電源OKである場合(S21:YES)には、すなわち、電源回路15(上記図4参照)の電源に異常がないときには、S22に進む。S22では、電池OKか否かが判定される。この判定を具体的に言えば、充電式電池10(上記図4参照)の充電容量が所定容量より大きいか否かが判定される。ここで、電池NGである場合(S22:NO)には、すなわち、充電式電池10(上記図4参照)の充電容量が所定容量以下のときは、バッテリーエンプティであるので、上述したS26のエラー処理が実行された後で、上記図5の上記S12に戻る。
これに対して、電池OKである場合(S22:YES)には、すなわち、充電式電池10(上記図4参照)の充電容量が所定容量より多いときには、S23に進む。S23では、温度OKか否かが判定される。この判定を具体的に言えば、サーマルラインヘッド112の温度が検出され、その検出温度が所定温度より高いか否かが判定される。尚、サーマルラインヘッド112の温度に代えて、携帯型プリンター1の内部温度や駆動モーター11の温度としてもよい。ここで、温度NGである場合(S23:NO)には、すなわち、サーマルラインヘッド112の検出温度が所定温度より高いときには、ヘッド保護のため、上述したS26のエラー処理が実行された後で、上記図5の上記S12に戻る。
これに対して、温度OKである場合(S23:YES)には、すなわち、サーマルラインヘッド112の検出温度が所定温度以下のときには、S24に進む。S24では、カット用紙OKか否かが判定される。この判定は、用紙検出センサー18からの検出信号に基づいて行われる。ここで、カット用紙NGである場合(S24:NO)には、上述したS26のエラー処理が実行された後で、上記図5の上記S12に戻る。
これに対して、カット用紙OKである場合(S24:YES)には、後述するS25の印刷処理が実行された後で、上記図5の上記S12に戻る。
図7は、上述したS25の印刷処理の制御プログラムが表されたフローチャート図である。図7に表された制御プログラムでは、先ず、S31において、後述する印刷データ解析処理が行われる。その後は、S32に進む。
S32では、モーター駆動処理が行われる。この処理では、上記S31の印刷データ解析処理に基づいたモーター駆動制御が実行される。すなわち、駆動モーター11の正転・逆転に関するモーター制御がモーター駆動回路16を介してなされる。その後は、S33に進む。
S33では、駆動モーター11の駆動中にエラーが発生したか否かが判定される。ここで、駆動モーター11の駆動中にエラーが発生した場合(S33:YES)には、S34に進む。S34では、モーター停止処理が行われる。この処理では、駆動モーター11の停止に関するモーター制御がモーター駆動回路16を介してなされる。その後は、S35に進む。
S35では、エラー処理が行われる。この処理を具体的に言えば、例えば、ホスト端末(PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照))にエラー通知が送信される。また、携帯型プリンター1のハウジング100に不図示のLEDが設けられている場合には、そのLEDが赤点滅などに制御される。その後は、上記図5の上記S12に戻る。
これに対して、上記S33において、駆動モーター11の駆動中にエラーが発生していない場合(S33:NO)には、S36に進む。S36では、印字処理が行われる。この処理は、モーター駆動回路16やサーマルヘッド制御回路17を介してなされる。その後は、S37に進む。
S37では、受信した全データを印字したか否かが判定される。この処理を具体的に言えば、ホスト端末(PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照))から受信した印刷データの全てが印刷されたか否かが判断される。ここで、受信した全データを印字していない場合(S37:NO)には、上記S32に戻って、上記S32以降の各処理が繰り返される。これに対して、受信した全データを印字した場合(S37:YES)には、S38に進む。
S38では、モーター停止処理が行われる。この処理では、駆動モーター11の停止に関するモーター制御がモーター駆動回路16を介してなされる。尚、駆動モーター11の逆転が停止される場合には、プラテンローラー111から離れたカット用紙であっても、用紙検出センサー18によって検出されるので、カット用紙がプラテンローラー111から離れても、駆動モーター11の逆転が停止されない。そこで、駆動モーター11の逆転が停止される場合には、印刷した印字領域分(上余白分を含む)の送りを行った後で、駆動モーター11の逆転が停止される。その後は、S39の印刷完了処理が行われた後、上記図5の上記S12に戻る。
次に、上述した図7のS31の印刷データ解析処理について説明する。図8は、上述した図7のS31の印刷データ解析処理の制御プログラムが表されたフローチャート図である。図8に表された制御プログラムでは、先ず、S41において、全体長(L)抽出処理が行われる。この処理を具体的に言えば、例えば、PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照)からの印刷データに含まれている用紙サイズから、カット用紙の全体長、すなわち、カット用紙全体のライン数Lが求められる。その後は、S42に進む。
S42では、印刷長(X)抽出処理が行われる。この処理を具体的に言えば、例えば、PC端末や携帯電話等の外部機器2(上記図4参照)からの印刷データから、カット用紙の印刷長、すなわち、印字データ領域Xが以下の式により求められる(後述するS45、S46、S47参照)。その後は、S43に進む。
X = Xb−Xa
Xa:空白部分から印字部分へ変化する位置。
Xb:印字部分から空白部分へ変化する位置。
S43では、駆動制御に関する判定処理が行われる。すなわち、L/2≦Xbであるか否かが判定される。ここで、L/2≦Xbである場合(S43:YES)には、S44に進む。S44でも、駆動制御に関する判定処理が行われる。すなわち、L/2≧Xaであるか否かが判定される。ここで、L/2≧Xaである場合(S44:YES)には、S45に進む。
S45では、正転制御印刷設定が行われる。すなわち、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、S45の枠内で示されるように、枠内の上方にカット用紙Qがフィードされ、カット用紙Q上のXa〜Xb内の印字データの印字がなされた後、そのままの正転動作で、カット用紙Qのフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻って、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、排出口107より排出される。
これに対して、上記S43において、L/2>Xbである場合(S43:NO)には、S46に進む。S46では、第1逆転制御印刷設定が行われる。すなわち、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、S46の枠内で示すように、枠内の上方にカット用紙Qがフィードされ、カット用紙Q上のXa〜Xb内の印字データの印字がなされた後、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が逆転動作で行われることにより、カット用紙Qのバックフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、挿入口104より排出される。
これに対して、上記S44において、L/2<Xaである場合(S44:NO)には、S47に進む。S47では、第2逆転制御印刷設定が行われる。S47の処理が実行される場合には、例えば、S47の枠内で示すように、カット用紙Q上にXa〜Xb内の印字データが存在するが、ここでは、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われながら、枠内の上方にカット用紙Qがフィードされるとともに、180°回転印刷が行われることにより、カット用紙Q上にXbからXaに向けて、カット用紙Q上のXb〜Xa内の印字データの印字がなされた後、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が逆転動作で行われることにより、カット用紙Qのバックフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、挿入口104より排出される。
すなわち、本実施の形態に係る携帯型プリンター1では、カット用紙Qに印刷するためのサーマルラインヘッド112と、サーマルラインヘッド112に対してカット用紙Qを移動させるためのプラテンローラー111と、プラテンローラー111の回動状態を制御するCPU12と、を備えるプリンターである。そして、CPU12は、カット用紙Qの全体長Lと印刷長Xとの差により、カット用紙Qをバックフィードするかどうかを判断する(S41乃至S47)。つまり、CPU12は、(1)サーマルラインヘッド112による印刷が終了した直後のカット用紙Qがプラテンローラー111から最短時間で離れることになるプラテンローラー111の回動方向を求め(S43)、(2)サーマルラインヘッド112による印刷が終了した直後にプラテンローラー111の回動方向を上記(1)の処理で求められたプラテンローラー111の回動方向に制御する(S32,S45,S46)。よって、本実施の形態に係る携帯型プリンター1では、印刷終了直後のカット用紙Qがプラテンローラー111から最短時間で離れるように、プラテンローラー111の回動状態がCPU12によって制御されることから、少なくとも印刷直後のカット用紙送り時間を最短にすることにより、印刷処理時間を短縮し、処理効率を向上することができる。
さらに、本実施の形態に係る携帯型プリンター1では、CPU12は、サーマルラインヘッド112の印刷状態を制御しており、CPU12は、カット用紙Qの全体長Lと印刷長Xとの差に加え、印刷長Xの位置関関係により、逆方向からカット用紙Qに印刷(180°回転印刷)することがある。つまり、CPU12は、(A)サーマルラインヘッド112による180°回転印刷が終了した直後のカット用紙Qがプラテンローラー111の逆転によりプラテンローラー111から最短時間で離れるか否かを判定し(S44)、CPU12は、上記(A)の処理にて、サーマルラインヘッド112による180°回転印刷が終了した直後のカット用紙Qがプラテンローラー111の逆転によりプラテンローラー111から最短時間で離れると判定した場合(S44:NO)には、上記(1)〜(2)の各処理に代えて、(B)サーマルラインヘッド112による180°回転印刷をカット用紙Qに行い、(C)サーマルラインヘッド112による180°回転印刷が終了した直後にプラテンローラー111の回動方向を逆転方向に制御する(S32,S47)。よって、本実施の形態に係る携帯型プリンター1では、印刷終了直後のカット用紙Qがプラテンローラー111から最短時間で離れるように、プラテンローラー111の回動状態がCPU12によって制御されることから、印刷直後のカット用紙送り時間に加えて、印刷直前のカット用紙送り時間までもを最短にすることにより、印刷処理時間を短縮し、処理効率を向上することができる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態に係る携帯型プリンター1では、プラテンローラー111の正転速度と逆転速度とが同じ速度、つまり、カット用紙Qの送り方向が正転送りでも逆転送りでも同じ速度であることを前提にしていた。これに対して、プラテンローラー111の正転速度と逆転速度とが異なる速度、つまり、カット用紙Qの送り方向が正転送りと逆転送りとでは異なる速度である場合には、CPU12は、プラテンローラー111の正転速度と逆転速度とに基づいて、上記(1)〜(2)又は上記(A)〜(C)の各処理を実行するようにすれば、上述した各効果を奏することが可能である。
また、本発明は、図10に表された印字・搬送モデルにも適用することができる。図10に表された印字・搬送モデルでは、プラテンローラー(図10では不図示)によってカット用紙Qが押し付けられるサーマルラインヘッドの前後に、排出ローラーと送りローラーとが備えられている。排出ローラーや送りローラーも、モータ駆動回路16(上記図4参照)等を介して、CPU12で駆動制御可能とする。符号aは、排出ローラーとサーマルラインヘッドとの距離の固定量を表す。符号bは、サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離の固定量を表す。符号cは、カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域の可変量を表す。符号dは、印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域の可変量を表す。
本発明を、図10に表された印字・搬送モデルに適用する場合には、上述した図7のS31の印刷データ解析処理として、図9に表された制御プログラムが行われる。図9は、上述した図7のS31の印刷データ解析処理の制御プログラムが表されたフローチャート図である。図9に表された制御プログラムでは、先ず、S51において、印刷イメージ解析処理が行われる。この処理を具体的に言えば、上記図10の符号c(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の可変量と、上記図10の符号d(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)の可変量とが抽出される。その後は、S52に進む。
S52では、送り量F・戻り量Rの計算処理がなされる。この処理を具体的に言えば、送り量Fは、上記図10の符号a(排出ローラーとサーマルラインヘッドとの距離)の固定量と上記図10の符号d(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)の可変量とが加算されることにより求められる。または、その加算値a+d分の送り時間と置き換えても良い。一方、戻り量Rは、上記図10の符号b(サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離)の固定量と上記図10の符号c(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の可変量とが加算されることにより求められる。または、その加算値b+c分の送り時間と置き換えても良い。その後は、S53に進む。
S53では、送り量F≦戻り量Rであるか否かが判定される。ここで、送り量F≦戻り量Rである場合(S53:YES)には、S54に進む。S54では、正転制御印刷設定がなされる。この処理を具体的に言えば、上記S45の処理と同様にして、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、カット用紙Qがフィードされ、上記図10のカット用紙Q上の符号c(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)内の印字データの印字がなされた後、そのままの正転動作で、カット用紙Qのフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、排出口107より排出される。
これに対して、送り量F>戻り量Rである場合(S53:NO)には、S55に進む。S55では、逆転制御印刷設定がなされる。この処理を具体的に言えば、上記S46の処理と同様にして、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、カット用紙Qがフィードされ、上記図10のカット用紙Q上の符号c(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)内の印字データの印字がなされた後、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が逆転動作で行われることにより、カット用紙Qのバックフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、挿入口104より排出される。
すなわち、本発明が適用される図10に表された印字・搬送モデルでは、サーマルラインヘッドによる印刷時にサーマルラインヘッドに対してカット用紙Qを押し付けるプラテンローラー(図10では不図示)と、そのサーマルラインヘッドによる印刷の際にそのサーマルラインヘッドとそのプラテンローラー(図10では不図示)との間にカット用紙Qを送り入れる送りローラーと、そのサーマルラインヘッドによる印刷の際にそのサーマルラインヘッドとそのプラテンローラー(図10では不図示)との間からカット用紙Qを送り出す排出ローラーと、を備えている。
そして、CPU12は、(D1)カット用紙Qのその排出ローラー側の端辺から当該カット用紙Qの印字最後までの印刷領域である第1可変量(上記図10の符号c)を算出し(S51)、(D2)当該カット用紙Qの印字最後から当該カット用紙Qのその送りローラー側の端辺までの非印刷領域である第2可変量(上記図10の符号d)を算出し(S51)、(D3)その排出ローラーとそのサーマルラインヘッドとの固定距離(上記図10の符号a)に第2可変量(上記図10の符号d)を加えた送り量Fに対して、その送りローラーとそのサーマルラインヘッドとの固定距離(上記図10の符号b)に第1可変量(上記図10の符号c)を加えた戻り量Rを比較する(S53)。この比較処理(S53)の結果に基づいて、そのサーマルラインヘッドによる印刷が終了した直後のカット用紙Qがその送りローラー及びその排出ローラーから最短時間で離れることになる、その送りローラー及びその排出ローラーの回動方向を求めている(S54,S55)。よって、少なくとも印刷直後のカット用紙送り時間を最短にすることにより、印刷処理時間を短縮し、処理効率を向上することができる。
また、本発明は、図12と図13に表された印字・搬送モデルにも適用することができる。図12に表された印字・搬送モデルでは、図10に表された印字・搬送モデルと同様にして、プラテンローラーによってカット用紙Qが押し付けられるサーマルラインヘッドの前後に、排出ローラーと送りローラーとが備えられている。排出ローラーや送りローラーも、モータ駆動回路16(上記図4参照)等を介して、CPU12で駆動制御可能とする。上記図12の符号aは、排出ローラーとサーマルラインヘッドとの距離の固定量を表す。上記図12の符号bは、サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離の固定量を表す。上記図12の符号c1は、カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域の可変量を表す。上記図12の符号d1は、印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域の可変量を表す。さらに、図13に表されたカット用紙Q上に符号c2と符号dとが定義されている。すなわち、上記図13の符号c2は、印刷イメージを180°回転させた印刷領域(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の可変量を表す。上記図13の符号d2は、印刷イメージを180°回転させた非印刷領域(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)の可変量を表す。
本発明を、図12と図13に表された印字・搬送モデルに適用する場合には、上述した図7のS31の印刷データ解析処理として、図11に表された制御プログラムが行われる。図11は、上述した図7のS31の印刷データ解析処理の制御プログラムが表されたフローチャート図である。図11に表された制御プログラムでは、先ず、S61において、印刷イメージ解析処理が行われる。この処理を具体的に言えば、上記図12の符号c1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の可変量と上記図12の符号d1(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)の可変量とが抽出され、さらに、上記図13の符号c2(印刷イメージを180°回転させた印刷領域(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域))の可変量と上記図13の符号d2(印刷イメージを180°回転させた非印刷領域(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域))の可変量が抽出される。その後は、S62に進む。
S62では、送り量F1・戻り量R1と送り量F2・戻り量R2の計算処理がなされる。この処理を具体的に言えば、送り量F1は、上記図12の符号a(排出ローラーとサーマルラインヘッドとの距離)の固定量と上記図12の符号d1(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)の可変量とが加算されることにより求められる。戻り量R1は、上記図12の符号b(サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離)の固定量と上記図12の符号c1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の可変量とが加算されることにより求められる。
送り量F2は、上記図12の符号a(排出ローラーとサーマルラインヘッドとの距離)の固定量と上記図13の符号d2(印刷イメージを180°回転させた非印刷領域(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域))の可変量とが加算されることにより求められる。戻り量R2は、上記図12の符号b(サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離)の固定量と上記図13の符号c2(印刷イメージを180°回転させた印刷領域(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域))の可変量とが加算されることにより求められる。
さらに、印刷量P1と印刷量P2とが求められる。印刷量P1は、上記図12の符号b(サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離)の送り量と上記図12の符号c1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)の印刷量とが加算されることにより求められる。印刷量P2は、上記図12の符号b(サーマルラインヘッドと送りローラーとの距離)の送り量と上記図13の符号c2(印刷イメージを180°回転させた印刷領域(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域))の印刷量とが加算されることにより求められる。その後は、S63に進む。
S63では、以下の処理がなされる。すなわち、(1)印刷量P1と送り量F1の和、(2)印刷量P1と戻り量R1の和、(3)印刷量P2と送り量F2の和、(4)印刷量P2と戻り量R2の和の4通りの中で、カット用紙Qの移動量が最も小さくなるものを選択する。ここで、(1)印刷量P1と送り量F1の和、又は(2)印刷量P1と戻り量R1の和が、カット用紙Qの移動量として、最も小さくなる場合には、後述するS64に進む。これに対して、(3)印刷量P2と送り量F2の和、又は(4)印刷量P2と戻り量R2の和が、カット用紙Qの移動量として、最も小さくなる場合には、後述するS65に進む。
S64では、上記図12のc1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)が上述した図9,10での符号cとして扱われる。さらに、上記図12の符号d1(印字最後からカット用紙Qの搬送方向後端までの非印刷領域)が上述した図9,10での符号dとして扱われる。その後は、後述するS66に進む。一方、S65では、印刷イメージ反転処理を行う。この処理では、印刷イメージを180°回転させた後の、上述した図9,10での符号cと上述した図9,10での符号dが求められる。その後は、S66に進む。
S66では、送り量F≦戻り量Rであるか否かが判定される。ここで、送り量F≦戻り量Rである場合(S66:YES)には、S67に進む。S67では、正転制御印刷設定がなされる。この処理を具体的に言えば、上記S45の処理と同様にして、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、カット用紙Qがフィードされ、上記図12のカット用紙Q上の符号c1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)内の印字データの印字がなされた後、そのままの正転動作で、カット用紙Qのフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、排出口107より排出される。
これに対して、送り量F>戻り量Rである場合(S66:NO)には、S65に進む。S65では、逆転制御印刷設定がなされる。この処理を具体的に言えば、上記S46の処理と同様にして、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が正転動作で行われることにより、カット用紙Qがフィードされ、上記図11のカット用紙Q上の符号c1(カット用紙Qの搬送方向側先端から印字最後までの印刷領域)内の印字データの印字がなされた後、又は上記S47の処理と同様にして、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転を正転動作で行われながら、カット用紙Qがフィードされ、180°回転印刷が行われることにより、上記図13のようにした印字がなされた後、駆動モーター11ひいてはプラテンローラー111の回転が逆転動作で行われることにより、カット用紙Qのバックフィードがなされる制御が設定される。その設定された制御内容は、SDRAM13に一時記憶される。その後は、上述した図7の印刷処理に戻り、上記S32以降の各処理が実行されることにより、SDRAM13に一時記憶された制御内容が実現される。この制御内容が実現されると、印刷後のカット用紙Qは、挿入口104より排出される。