JP2012173278A - 癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法、それを実現するためのコンピュータプログラム及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量が閾値より大きい場合に、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定工程を有する癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法である。また、上記判定方法は、上記生体試料中のGSTπの発現量を測定する測定工程を有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量が閾値より大きい場合に、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定工程を有する癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法である。
癌細胞を含む生体試料におけるGSTπの発現量の情報を取得する機能と、
取得された情報をもとに上記発現量と閾値とを比較する機能と、
上記発現量が上記閾値より大きいことを示す比較結果が得られた場合、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
癌細胞を含む生体試料におけるGSTπの発現量の情報を取得する取得部と、
閾値を記憶する記憶部と、
上記取得部によって取得された情報及び上記記憶部に記憶された閾値をもとに、上記発現量と閾値とを比較し、上記発現量が上記閾値より大きい場合、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定部と
を備える。
当該癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法は、癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量を測定する測定工程、及び上記GSTπの発現量が閾値よりも大きい場合に、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定工程を有する。以下、各工程について詳述する。
当該測定工程は、癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量を測定する工程である。
本発明の判定工程は、上記測定工程により得られた癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量が閾値よりも大きい場合に、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する工程である。
次に、上述した癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法のうちの判定工程の機能をコンピュータに実現させる形態を図1及び2を用いて説明する。先ず、図1のシステム100の構成を説明する。図1のシステム100は、コンピュータ1と、キーボード2と、マウス3と、測定装置4と、表示装置5とを有する。コンピュータ1は、キーボード2、マウス3、測定装置4及び表示装置5のそれぞれと通信ケーブルによって接続されている。
次に、癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定装置を図3を用いて説明する。先ず、図3の癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定装置30の構成を説明する。図3の判定装置30は、取得部31と、記憶部32と、判定部33とを有する。取得部31と判定部33とは通信ケーブルによって接続されており、記憶部32と判定部33とは通信バスによって接続されている。図3には、表示装置5も表示されており、表示装置5は判定装置30の判定部33と通信ケーブルによって接続されている。
[測定用生体試料の調製]
マンモトーム生検により採取した乳癌組織検体を含むマイクロチューブに、可溶化試薬150μLを加え、ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。次に、ホモジナイズした試料を、微量高速遠心機CF15RX(日立社)を用い、4℃、15000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離して得られた上清を測定用生体試料とした。なお、上記可溶化試薬の組成は、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA(pH8.0)、50mM NaF、1mM Na3VO4、0.1% NP−40、0.2% protease inhibitor cocktail(sigma社)であった。また、上記乳癌組織検体は合計112検体であった。
GSTπの発現量を測定するために、ブロッキング試薬、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、一次抗体試薬、二次抗体試薬及び蛍光標識試薬を調製した。それぞれの試薬の調製法を以下に示す。
Block Ace(粉末)(大日本住友製薬社)を、最終濃度が4%となるように超純水に溶解し、ブロッキング試薬を調製した。
ブロッキング試薬を10倍希釈して調製したブロッキング溶液に、抗GSTπ抗体(BD Transduction社)を、5ug/mLとなるように溶解し、一次抗体試薬を調製した。
10×TBS(2−Amino−2−hydroxymethyl−1,3−propanediol30.28g、NaCl87.7g、6N HCl110gを超純水に添加し、最終量を1Lとした溶液)を10倍希釈して、TBSを調製した。
TBSに、ウシ血清アルブミンBSAを、最終濃度が1%となるように超純水に溶解し、TBS(1%BSA)を調製した。得られたTBS(1%BSA)に、Goat Anti−Mouse IgG(H+L)−BIOT Human/Mouse(Southern Biotech社)を、30ug/mLとなるように溶解し、二次抗体試薬を調製した。
上述のTBS(1%BSA)に、Fluorescein StreptAvidin(Vector社)を、10μg/mLとなるように溶解し、蛍光標識試薬を調製した。
フィルタープレート(Multi Screen HTS PSQ Plates)に、各測定用試料を10μg/well分注し、吸引により水分を除去した。その後、ブロッキング試薬を100μL/well分注し、吸引した。ブロッキング試薬を吸引後、1次抗体試薬を50μL/well分注し、すぐに吸引した。吸引後、再び1次抗体試薬を50uL/well分注し、2時間静置した。その後、吸引により1次抗体試薬を除去した。次に、TBSを、300μL/well分注して吸引する洗浄を4回行った。洗浄後、2次抗体試薬を50μL/well分注し、すぐに吸引した。吸引後、再び2次抗体試薬を50uL/well分注し、1時間静置した。その後、吸引により2次抗体試薬を除去した。次に、TBSを300μL/well分注し、吸引する洗浄を2回行った。洗浄後、蛍光標識試薬を100μL/well分注し、すぐに吸引した。次に、TBSを300μL/well分注して吸引する洗浄を4回行った後、フィルタープレートを乾燥させた。
上記乳癌組織検体を提供した112人の各乳癌患者に対して、パクリタキセルによる化学療法を3ヶ月行った。各患者の腫瘍の縮小率を、画像診断により確認した。ここで、画像診断による腫瘍の体積の縮小率が50%以上の検体を、パクリタキセルに対する感受性が高いと評価した。また、画像診断による腫瘍の体積の縮小率が50%未満の検体を、パクリタキセルに対する感受性が低いと評価した。
1 コンピュータ
2 キーボード
3 マウス
4 測定装置
5 表示装置
11 入力ポート
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 出力ポート
30 癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定装置
31 取得部
32 記憶部
33 判定部
Claims (8)
- 癌細胞を含む生体試料中のGSTπの発現量が閾値より大きい場合に、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定工程を有する癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定方法。
- 上記生体試料中のGSTπの発現量を測定する測定工程を有する請求項1に記載の判定方法。
- 上記測定工程におけるGSTπの発現量の測定方法として、ドットブロット法又はウェスタンブロット法を用いる請求項2に記載の判定方法。
- 上記癌細胞が乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、卵巣癌、脳腫瘍、前立腺癌、皮膚癌又は白血病の癌細胞である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の判定方法。
- 上記癌細胞が、乳癌の癌細胞である請求項4に記載の判定方法。
- 上記タキサン系抗癌剤が、パクリタキセル又はドセタキセルである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の判定方法。
- 癌細胞を含む生体試料におけるGSTπの発現量の情報を取得する機能と、
取得された情報をもとに上記発現量と閾値とを比較する機能と、
上記発現量が上記閾値より大きいことを示す比較結果が得られた場合、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。 - 癌細胞を含む生体試料におけるGSTπの発現量の情報を取得する取得部と、
閾値を記憶する記憶部と、
上記取得部によって取得された情報及び上記記憶部に記憶された閾値をもとに、上記発現量と閾値とを比較し、上記発現量が上記閾値より大きい場合、上記癌細胞のタキサン系抗癌剤に対する感受性が高いと判定する判定部と
を備える癌細胞のタキサン系抗癌剤感受性判定装置。
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JP2004530434A (ja) * | 2001-06-14 | 2004-10-07 | レスポンス ジェネティクス,インコーポレイティド | グルタチオンSトランスフェラーゼPi発現に基づき化学療法を決定する方法 |
WO2005003352A1 (ja) * | 2003-07-01 | 2005-01-13 | Taisho Pharmaceutical Co., Ltd. | タキサン類応答性の判別方法 |
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Non-Patent Citations (2)
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JPN6014040786; 中華婦産科雑誌 vol.43, no.3, 2007, p.201-205 * |
JPN7014002795; BMC Cancer vol.9, 2009, 226(p.1-10) * |
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