JP2012172936A - プレート積層型冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】余分なろう材が流路を閉塞するのを防止したプレート積層型冷却装置を得ること。
【解決手段】スリット状の長穴が形成された放熱プレート13a、13bと、放熱プレート13a、13bを挟むように積層方向上下に重ねられた上部プレート12及び下部プレート14とを備え、内部に長穴による流路が形成された積層体10と、流路の一端に接続されて冷媒を流路に流入させるパイプ15aと、流路を通過した冷媒が流入するように流路の他端に接続されたパイプ15bとを有し、積層体10は、第1の芯材の両面にろう材が設けられた両面クラッド材と、第2の芯材のみからなるベア材とが交互に積層されて構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、スリット状の長孔が穿孔された放熱プレートの積層方向上下に上部プレート及び下部プレートを重ねて冷媒の流路を形成するプレート積層型冷却装置に関する。
CPU、LSI、インバータ等の電子機器・パワー半導体などの被冷却体の冷却に使用する冷却装置として、プレート積層型冷却装置が従来知られている。このプレート積層型冷却装置は、矩形断面の流路の対向する二つの側面を形成するスリット状の長孔が穿孔された放熱プレートを所定枚数積層し、これを挟むようにして、流路の上面及び下面を形成する一対の端部プレート(上部プレート及び下部プレート)を、積層方向上下に重ね、さらに冷媒を流路に流入させる流入手段を流路の始端側に設け、冷媒を流路から流出させる流出手段を流路の終端側に設けたものであり、被冷却体を端部プレートに当接させて配置し、流路に冷媒を流通させることで、被冷却体を冷却する(例えば、特許文献1参照。)。
このような構成のプレート積層型冷却装置における放熱プレート及び端部プレートには、両面又は片面にろう材がプレコートされたクラッド材が使用されており、ろう付けにより各プレートを接合して作成されている。
特開平09−105592号公報
プレート積層型冷却装置の各プレート間のろう付けにおいて、各プレートに付与されたろう量の最適化が非常に重要となる。特に、最近のプレート積層型冷却装置に使用される放熱プレートは、冷却性能を向上させるために薄型化が進んでおり、ろう材量の微調整が必要となる。各プレート間のろう材量が多い場合は、放熱プレートのスリット状の長孔部分にろう材が流れ込み、流路を閉塞する。
しかしながら、従来のプレート積層型冷却装置に使用するクラッド材は種類が少ないため、クラッド材の種類を変えることで最適なろう材量に減量調整することが困難な場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、余分なろう材が流路を閉塞するのを防止したプレート積層型冷却装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、スリット状の長穴が形成された少なくとも1枚の放熱プレートと、放熱プレートを挟むように積層方向上下に重ねられた一対の端部プレートとを備え、内部に長穴による流路が形成された積層体と、流路の一端に接続されて冷媒を流路に流入させる第1のパイプと、流路を通過した冷媒が流入するように流路の他端に接続された第2のパイプとを有し、積層体は、第1の芯材の両面にろう材が設けられた両面クラッド材と、第2の芯材のみからなるベア材とが交互に積層されて構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、両面クラッド材のみを使用する場合と比較してろう材量が約半分になるため、余分なろう材が流路を閉塞するのを防ぐためのろう材量の減量調整を容易に行えるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1にかかるプレート積層型冷却装置の全体を示す概略の分解斜視図である。 図2は、実施の形態1にかかるプレート積層型冷却装置の平面図である。 図3は、図2におけるIII−III線に沿う矢視断面図である。 図4は、両面クラッド材の断面構成図である。 図5は、プレート積層型冷却装置に組み込まれる放熱プレートの一例を示す図である。 図6は、実施の形態2にかかるプレート積層型冷却装置の放熱プレートに使用する犠牲陽極材付き両面クラッド材の断面図である。
以下に、本発明にかかるプレート積層型冷却装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるプレート積層型冷却装置の全体を示す概略の分解斜視図である。図2は、実施の形態1にかかるプレート積層型冷却装置の平面図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿う矢視断面図である。図4は、両面クラッド材の断面構成図である。図5は、プレート積層型冷却装置に組み込まれる放熱プレートの一例を示す図である。
プレート積層型冷却装置は、冷媒流路を形成するスリット状の長孔18(例えば、図5に示すようなストレート形状)が穿孔された放熱プレート13a、13bを上部プレート12及び下部プレート14で挟み込んだ積層体10を有する熱交換器を備えた構成となっている。なお、放熱プレート13のスリット状の長孔18の加工方法としては、プレス加工、レーザカット加工、エッチング加工等がある。
また、プレート積層型冷却装置にはパイプ15a、15bが接続されている。図3中の矢印は冷却液の流れを示しており、冷却液はパイプ15a(第1のパイプ)からプレート積層型冷却装置内部に流入し、放熱プレート13a、13bで構成された流路を通り、パイプ15b(第2のパイプ)から流出する。
放熱プレート13aは、両面クラッド材を使用して形成されている。また、放熱プレート13bは、ベア材を使用して形成されている。両面クラッド材は、図4に示すように、芯材17(第1の芯材)の両面にろう材16がプレコートされて構成されている。一方、図示は省略するが、ベア材は、芯材(第2の芯材)のみで構成されている。両面クラッド材を使用した放熱プレート13aとベア材を使用した放熱プレート13bとをベア材を使用して形成された下部プレート14の上に交互に設置し、最上部にベア材を使用して形成された上部プレート12を設置し、炉内で一括ろう付けする。
なお、上部プレート12及び下部プレート14は、ベア材ではなく両面クラッド材や片面クラッド材を使用して形成されていても構わない。例えば、放熱プレート13a、13bの積層枚数が偶数の場合には、上部プレート12及び下部プレート14の一方を両面クラッド材や片面クラッド材で形成することもできる。
両面クラッド材で形成した放熱プレート13aのみを用いる場合と、両面クラッド材で形成した放熱プレート13aとベア材で形成した放熱プレート13bとの交互積層構造とする場合とでは、後者では放熱プレート13aにしかろう材がプレコートされていないため、プレート間の接合に使用されるろう材量を半減できる。したがって、ろう材量が多く、放熱プレート13a、13bのスリット状の長孔18部分にろう材が流れ込んで流路を閉塞する場合の対策として有効である。また、高価なクラッド材の使用枚数を約半分にすることができ、コスト低減が可能となる。
なお、クラッド率が同等の片面クラッド材を用いることでも、プレート間のろう材量を半減することは可能であるが、片面クラッド材を用いた場合には、プレートのろう材プレコート面の判別が必要となり、組立作業が煩雑となる。
さらに、両面クラッド材で形成した放熱プレート13aとベア材で形成した放熱プレート13bとの交互積層構造とすることにより、部材の種類が豊富なベア材を用いることができるため、様々な用途への対応が可能となる。例えば、ベア材に熱伝導率の高い材料を使用することで、熱交換器の性能を向上させることができる。また、ベア材に両面クラッド材とのイオン化傾向の差が小さくかつ両面クラッド材の芯材よりも耐腐食性の高い材料を使用することで、熱交換器の耐腐食性を向上させることができる。さらに、ベア材と両面クラッド材の芯材とを同じ材料とすることにより、ベア材及び両面クラッド材の一方が優先的に腐食されることがなくなるため、耐腐食性が向上する。すなわち、耐久性が向上する。
パイプ15a、15bの接続は、接続強度の点からペーストろうやリングろうを使用したろう付けが望ましいが、はんだ付けによる接続も可能である。
このように構成されたプレート積層型冷却装置は、CPU、LSI、インバータ等の電子機器・パワー半導体などの発熱体11を被冷却体として上部プレート12及び下部プレート14の少なくとも一方に当接させて配置し、パイプ15aから流入する冷媒をスリット状の長孔18に流通させることで発熱体11と熱交換させ、発熱体11を冷却する。なお、適用できる冷媒は、水、不凍液、LLC(Long Life Coolant)、潤滑油などの各種冷却液、空気、水素等の気体などである。
本実施の形態にかかるプレート積層型冷却装置は、両面クラッド材のみを使用する場合と比較してろう材量が約半分になるため、余分なろう材が流路を閉塞するのを防ぐためのろう材量の減量調整を容易に行える。また、ろう材が流路を閉塞しないため、プレート積層型冷却装置の冷却性能が向上し、小型化して冷媒の流通量を少なくしても所望の冷却性能が得られる。これにより、冷媒の流通に用いるポンプなどにおける消費エネルギーを低減できる。
実施の形態2.
図6は、実施の形態2にかかるプレート積層型冷却装置の放熱プレートに使用する犠牲陽極材付き両面クラッド材の断面図である。犠牲陽極材付き両面クラッド材は、芯材17の一方の面には犠牲陽極材19の層が設けられており、その上にろう材16がプレコートされている。他方の面は、芯材17の上にろう材16がプレコートされている。流路を構成する放熱プレート部に犠牲陽極材付き両面クラッド材を使用することで、犠牲陽極が優先的に腐食され、芯材17やろう材16の腐食を防ぐことが可能となる。本実施の形態では、芯材17やろう材16に対する犠牲陽極材の防食効果、すなわち犠牲陽極効果について説明する。
本実施の形態における犠牲陽極材付き両面クラッド材には、芯材17として、高耐食性合金としてA1000系の純アルミ、又はA3000系のAl−Mn合金などが使用される。犠牲陽極材19としては、芯材17よりも電気化学的に卑なA7000系のAl−Zn合金などが使用される。また、ろう材16としては、A4000系のAl−Si合金などが用いられる。
本実施の形態における両面クラッド材の犠牲陽極効果を確認するために、腐食試験を実施した。この腐食試験は、以下のような条件で行った。浸漬液としては、塩化物イオン6000ppm、硫酸イオン200ppm、及び銅イオン10ppmを含む液を使用し、噴霧液としては、塩化物イオン3000ppm及び硫酸イオン1360ppm含むpH3の液を使用した。また、熱交換器の伝熱プレート部材については、クラッド率として犠牲陽極材19の層が20%、ろう材16の層が20%のものを使用している。ここで、クラッド率とは、芯材を含めた厚さに対するクラッド層の厚さの割合である。
試験方法としては、まず上記浸漬液に24時間浸漬後、上記噴霧液によるサイクル噴霧試験を実施した。サイクル試験条件は、噴霧50℃、1.5h→乾燥50℃、1h→湿潤50℃、1.5hである。腐食状況評価として、浸漬後の断面観察を実施、腐食生成物の有無及び腐食進行方向の調査を行った。この試験結果から、評価したサンプルについて犠牲層方向への腐食のみ進行、芯材方向への腐食は抑制されており、良好な耐食性を示していることを確認した。
このように、本実施の形態にかかる犠牲陽極付き両面クラッド材において、犠牲層が優先的に腐食され芯材腐食が抑制されるために、この両面クラッド材を用いたプレート積層型冷却装置の放熱プレートの腐食が抑制され、耐食性を向上させることができる。
10 積層体
11 発熱体
12 上部プレート
13a、13b 放熱プレート
14 下部プレート
15a、15b パイプ
16 ろう材
17 芯材
18 スリット状の長穴
19 犠牲陽極材

Claims (5)

  1. スリット状の長穴が形成された少なくとも1枚の放熱プレートと、前記放熱プレートを挟むように積層方向上下に重ねられた一対の端部プレートとを備え、内部に前記長穴による流路が形成された積層体と、
    前記流路の一端に接続されて冷媒を流路に流入させる第1のパイプと、
    前記流路を通過した前記冷媒が流入するように前記流路の他端に接続された第2のパイプとを有し、
    前記積層体は、第1の芯材の両面にろう材が設けられた両面クラッド材と、第2の芯材のみからなるベア材とが交互に積層されて構成されていることを特徴とするプレート積層型冷却装置。
  2. 前記両面クラッド材は、前記第1の芯材及び前記ろう材よりも電気化学的に卑な材料で形成された層を前記第1の芯材の上に有することを特徴とする請求項1記載のプレート積層型冷却装置。
  3. 前記ベア材は、前記両面クラッド材よりも熱伝導率が高いことを特徴とする請求項1又は2記載のプレート積層型冷却装置。
  4. 前記第1の芯材は、前記ろう材よりも電気化学的に貴であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のプレート積層型冷却装置。
  5. 前記第1の芯材の組成が、前記第2の芯材の組成と同じであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のプレート積層型冷却装置。
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