JP2012172682A - ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】保持器13に対して各板ばね14、14を組み付ける作業が容易で、しかも、使用回転速度が相当に大きくなっても、これら各板ばね14、14が前記保持器13から抜け出る事を確実に防止できる構造を実現する。
【解決手段】前記保持器13の軸方向両端部に1対の抑え環24、24を外嵌支持して、これら両抑え環24、24を構成する外径側円筒部25、25の内周面と、前記各板ばね14、14の軸方向両端部外周縁とを径方向に対向させる。そして、使用時に加わる遠心力に拘らず、これら各板ばね14、14が前記保持器13から、径方向外方に抜け出る事を防止する。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば自動車の発電機であるオルタネータや、アイドリングストップ車用のスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置に組み込むローラクラッチ、及び、このプーリ装置として使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置の改良に関する。
オルタネータやスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置にローラクラッチを組み込んだローラクラッチ内蔵型プーリ装置が、例えば特許文献1〜5に記載されている様に従来から知られている。図9は、これら各特許文献に記載される等により従来から知られている、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置の1例を示している。ローラクラッチ内蔵型プーリ装置1は、無端ベルトをその外周面に掛け渡す為の、特許請求の範囲に記載した外径側部材であるプーリ素子2と、オルタネータ等の回転駆動軸の先端部に固定する為の、特許請求の範囲に記載した内径側部材であるスリーブ3とを、互いに同心に配置している。
そして、このスリーブ3の外周面と前記プーリ素子2の内周面との間に、それぞれがサポート軸受である玉軸受4、4と、ローラクラッチ5とを設けている。これら両玉軸受4、4及びローラクラッチ5を設ける為に、前記プーリ素子2の内周面は単なる円筒面とし、前記スリーブ3の外周面は、軸方向中間部の大径部6と両端部の小径部7、7とを段差部で連続させた段付の円筒面としている。
そして、前記スリーブ3の外周面とプーリ素子2の内周面との間に存在する環状空間の軸方向中間部に前記ローラクラッチ5を、同じくこの環状空間の軸方向両端寄り部分でこのローラクラッチ5を軸方向両側から挟む位置に前記両玉軸受4、4を、それぞれ配置している。このうちの玉軸受4、4は、前記プーリ素子2と前記スリーブ3とを互いに同心に配置すると共に、これら両部材2、3の相対回転を可能とする役目を有する。
前記ローラクラッチ5は、外輪相当部材である外輪8と、内輪相当部材である内輪9と、カム面10と、円筒面11と、複数本のローラ12と、保持器13と、複数の板ばね14(後述する図10〜12参照)とを備える。
前記外輪8及び前記内輪9は、軸受鋼、肌焼鋼等の硬質金属板により、全体を円筒状に構成している。このうちの外輪8は、軸方向両端部に内向鍔部を備え、前記プーリ素子2の内周面の軸方向中間部に、締り嵌めで内嵌固定している。又、前記内輪9は、前記スリーブ3の大径部6に締り嵌めで外嵌固定した状態で、前記外輪8の内径側に、この外輪8と同心に配置されている。
前記カム面10と前記円筒面11とは、前記外輪8の内周面と前記内輪9の外周面とに振り分けて形成している。このうちのカム面10は、円周方向に亙る凹凸面であって、図示の例では、前記内輪9の外周面に形成している。即ち、この内輪9の外周面にランプ部と呼ばれる軸方向の凹部を、円周方向に関して等間隔に形成している。一方、前記円筒面11は、前記外輪8の内周面に形成しており、全周に亙り内径が変化しない。尚、図示の例は、オルタネータ回転駆動用のプーリ装置に組み込むローラクラッチの如く、高速回転時にも繋がらせる事を考慮している為、前記カム面10を前記内輪9の外周面に、前記円筒面11を前記外輪8の内周面に、それぞれ形成している。これに対して、アイドリングストップ車用のスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置に組み込むローラクラッチの如く、高速回転時に繋がらせる必要がない、むしろ、高速回転時に各ローラ12の転動面と相手周面とを滑らせない方が好ましい場合には、前記カム面10を前記外輪8の内周面に、前記円筒面11を前記内輪9の外周面に、それぞれ形成する。
又、前記各ローラ12は、前記保持器13に保持された状態で、前記カム面10と前記円筒面11との間の円筒状空間15内に設けている。前記保持器13は、合成樹脂を射出成形する事により一体に造られたもので、1対のリム部16a、16bと、前記各ローラ12と同数の柱部17(後述する図11〜12参照)と、これら各ローラ12の2倍の数の支持板部18、18a(後述する図11〜12参照)とを備える。この様な前記保持器13の構成要素のうち、前記両リム部16a、16bは、それぞれが円環状であって、互いに間隔をあけて同心に配置している。又、前記各柱部17は、前記両リム部16a、16bの径方向内端寄り部分同士を連結する状態で、円周方向に関して間欠的に、互いに等間隔に設けている。更に、前記各支持板部18、18aは、これら両リム部16a、16bの内側面(互いに対向する側面)の一部で、円周方向に関する位相が前記各柱部17の一部と一致する部分に、互いに近付く方向に、且つ、これら各柱部17の外径側面から径方向外方に突出する状態で形成している。前記各支持板部18、18aは矩形板状で、4辺のうちの2辺が、前記両リム部16a、16bの内側面と前記各柱部17の外径側面とに連続する状態で形成されており、前記各板ばね14から加わる、円周方向の力に対する強度及び剛性を確保している。この様な構造を有する保持器は、前記両リム部16a、16bの内周縁に形成した突部を、前記内輪9の外周面に形成した前記凹部(ランプ部)に係合させる事により、この内輪9に対する相対回転を阻止した状態で、前記円筒状空間15内に設置している。
前記各ローラ12は、上述した様な保持器13に、円周方向に隣り合う前記各支持板部18、18a同士の間での変位、並びに転動を可能に保持している。そして、この状態で前記各ローラ12に、前記各板ばね14により、円周方向に関して同じ方向の弾力を付与している。これら各板ばね14は、図10の(A)又は(B)に示す様に、それぞれが帯状の弾性金属板の両端部を互いに近付く方向に鋭角に曲げ形成する事により、基板部19の両端部に1対の弾性押圧部20、20を設けて成る。この様な前記各板ばね14は、それぞれの基板部19の両端部でこれら各弾性押圧部20、20と反対側の面を前記各支持板部18、18に当接させると共に、これら各弾性押圧部20、20の先端部を前記各ローラ12の転動面に弾性的に当接させた状態で、前記保持器13とこれら各ローラ12との間に組み付ける。この状態で前記各板ばね14が、前記各ローラ12を円周方向に関して同方向に、弾性的に押圧する。
上述の様なローラクラッチ5は、前記外輪8が前記内輪9に対して所定方向(前記各板ばね14が前記各ローラ12を押圧している方向と同じ方向)に回転する傾向の場合には繋がり、前記外輪8と前記内輪9との間での動力伝達を可能にする。これに対して、前記外輪8が前記内輪9に対して、前記所定方向とは逆方向に回転する傾向の場合には接続が断たれ、これら外輪8と内輪9との相対回転を可能にする。この様なローラクラッチ5を前記プーリ素子2の内周面と前記スリーブ3の外周面との間に組み込んだ、前記ローラクラッチ内蔵型プーリ装置1は、前記プーリ素子2と前記スリーブ3との相対回転の方向により、これらプーリ素子2とスリーブ3との間で回転力の伝達を行ったり、伝達を阻止したりする。この様なローラクラッチ内蔵型プーリ装置1の作用等に就いては、前記特許文献1〜5に記載される等により従来から広く知られており、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
上述の様なローラクラッチ内蔵型プーリ装置1に組み込まれるローラクラッチ5は、使用時に高速で回転する。例えば、このローラクラッチ内蔵型プーリ装置1をオルタネータの回転駆動用として使用する場合に、前記ローラクラッチ5の回転速度は、5000〜10000min-1にも達する場合がある。このローラクラッチ5がこの様な高速で回転すると、前記各板ばね14に遠心力が加わり、これら各板ばね14が前記保持器13から径方向外方に抜け出る可能性がある。この様な、遠心力に基づく前記各板ばね14の抜け出しを防止する為に、例えば特許文献5に記載されている様に、前記基板部19の外周縁の両端部(図11に示した構造の場合)又は中央部(図12に示した構造の場合)を、各支持板部18a、18a又は中間抑え板部21の先端部に設けた係止鉤部22a、22bにより抑える事が行われている。
但し、この様な図11〜12に記載された構造は、前記ローラクラッチ5の回転速度が大きくなり、前記各板ばね14に加わる遠心力が大きくなると、必ずしも十分な信頼性を確保できなくなる可能性がある。又、前記係止鉤部22a、22bを乗り越えつつ前記各板ばね14を保持器13に組み付ける作業が、必ずしも容易ではない。更に、十分な抜け止め機能を発揮できる程度に大きな係止鉤部22a、22bを形成する場合、前記保持器13を射出成形する為の金型装置の構造が複雑になる。即ち、形成直後の係止鉤部22a、22bを弾性変形させつつ金型素子を分離する、所謂無理抜きができず、各金型素子の構造を、前記係止鉤部22a、22bから退避しつつ分離できる構造にする必要がある為、前記金型装置の構造が複雑になって、前記保持器13の製造コストが嵩む原因になる。
これに対して、図13に示す様に、保持器13aを構成する1対のリム部16c、16cの内側面の外径側端部に、互いに近づく方向に張り出した庇部23、23を設ける構造が考えられる。この様な構造で、これら両庇部23、23により各板ばね14の軸方向両端部外径側端縁を抑え付ければ、ローラクラッチの回転速度が余程大きくなっても、前記各板ばね14が径方向外方に抜け出る事を確実に防止できる。但し、前記図13に示した構造は、前記保持器13aに対して前記各板ばね14を組み付ける作業が相当に面倒になる。
特公平7−72585号公報 特開平11−63170号公報 特開2002−130433号公報 特開2005−3059号公報 特開2007−198582号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、保持器に対して各板ばねを組み付ける作業が容易で、しかも、使用回転速度が相当に大きくなっても、これら各板ばねが保持器から抜け出る事を確実に防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置のうち、請求項1に記載したローラクラッチは、前述した従来から知られているローラクラッチと同様に、外輪相当部材と、内輪相当部材と、カム面と、円筒面と、複数本のローラと、保持器と、複数の板ばねとを備える。
特に、本発明のローラクラッチに於いては、前記保持器の軸方向両端部に抑え環を、これら両抑え環の内周面と前記各板ばねの軸方向両端部外周縁とが、径方向に対向する状態で外嵌支持している。
又、請求項7に記載したローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、前述した様な、従来から知られているローラクラッチ内蔵型プーリ装置と同様に、内径側部材と、外径側部材と、ローラクラッチと、サポート軸受とを備える。
特に、本発明のローラクラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、前記ローラクラッチが、上述した様なローラクラッチである。
上述の様に構成する本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置によれば、保持器に対して各板ばねを組み付ける作業が容易で、しかも、使用回転速度が相当に大きくなっても、これら各板ばねが保持器から抜け出る事を確実に防止できる。
即ち、本発明の構造の場合には、この保持器の両端部に外嵌した1対の抑え環により、この保持器からの前記各板ばねの抜け出しを防止するが、これら各板ばねをこの前記保持器に組み付ける際には、前記両抑え環はこの保持器に未だ装着していない。従って、この組み付け作業は、単に前記各板ばねを前記保持器に対して、径方向に変位させるのみで足りる為、容易に行える。そして、これら各板ばねを前記保持器の所定位置に組み付けた後、前記両抑え環をこの保持器に装着すれば、これら各板ばねの外径側端縁の軸方向両端部がこれら両抑え環により抑えられる。そして、大きな遠心力が加わった場合でも、前記各板ばねが前記保持器から径方向外方に抜け出る事がなくなる。前記両抑え環をこの保持器に装着する作業は容易に行える為、この保持器に対する前記各板ばねの組み付け作業を、全体として容易化できる。
本発明の実施の形態の第1例を、ローラを装着した状態で示す部分断面図。 保持器にローラ及び板ばねを組み付けた後、抑え環を装着する以前の状態(A)と装着した後の状態(B)とを示す斜視図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。 同第3例を示す、図1と同様の図。 同第4例を示す、図1と同様の図。 同第5例を示す、図1と同様の図。 同第6例を示す、図1と同様の図。 同第7例を示す、図1と同様の図。 ローラクラッチ内蔵型プーリ装置の1例を示す断面図。 板ばねの形状の2例を示す斜視図。 従来から知られている、保持器から板ばねが抜け出るのを防止する為の構造の第1例を、保持器の一部を切断して板ばねの装着以前の状態(A)と装着後の状態(B)とで示す斜視図。 同第2例を示す、図11の(B)と同様の図。 先に考えた、保持器から板ばねが抜け出るのを防止する構造を示す、図1と同様の図。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、各板ばね14、14が保持器13から径方向外方に抜け出るのを防止する為の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述した図9〜12に示した構造を含めて、従来から知られている構造と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。尚、本発明を実施する場合に、前述の図11〜12に示した様な係止鉤部22a、22bは、必ずしも必要ではない。但し、前記各板ばね14、14を前記保持器13に組み付けた後、この保持器13の両端部に1対の抑え環24、24を装着する以前に、この保持器13から前記各板ばね14、14が抜け出るのを防止する為の構造を設ける事が好ましい。
この為に本例の場合には、図2に示す様に、各中間抑え板部21、21の外径側端部に係止鉤部22c、22cを形成している。但し、これら各係止鉤部22c、22cは、前記両抑え環24、24を装着するまでの仮止め用であり、遠心力により前記各板ばね14、14が径方向外側に抜け出るのを防止する役目を果たす必要はない。従って、前記各中間抑え板部21、21の円周方向側面からの突出量は極く小さくて済み、又、形状も凸円弧状等、滑らかな形状で足りる。従って、射出成形による形成直後の係止鉤部22c、22cを弾性変形させつつ金型素子を分離する無理抜きが可能になり、金型装置が複雑になる事もない。
又、前記各係止鉤部22c、22cの存在により、前記保持器13への前記各板ばね14、14の組み付け作業が面倒になる事もない。例えば、前記各係止鉤部22c、22cを含む前記各中間抑え板部21、21の先端縁部に、前記各板ばね14、14の基板部19、19が前記各係止鉤部22c、22cを乗り越え易くする為のガイド傾斜面等を形成すれば、前記保持器13への前記各板ばね14、14の組み付け作業の妨げとなる事は殆どない。従って、この組み付け作業は容易に行える。
尚、前記各板ばね14、14の基板部19を前記保持器13に組み付けた状態で、これら各板ばね14、14の基板部19を、それぞれ1対ずつの支持板部18、18と1個の中間抑え板部21との間で弾性的に曲げる事により、前記保持器13からの前記各板ばね14、14の脱落を防止できるのであれば、前記各係止鉤部22c、22cを省略する事もできる。この場合には、前記無理抜きが不要になる。
本例の構造の場合には、前記両抑え環24、24を、炭素鋼板、ステンレス鋼板等の金属板を曲げ形成する事により、断面L字形で全体を円環状に形成している。即ち、前記両抑え環24、24は、それぞれ、外径側円筒部25と、この外径側円筒部25の軸方向端部から径方向内方に折れ曲がった円輪部26とを備える。このうちの外径側円筒部25の自由状態での内径は、前記保持器13の両端部に設けた1対のリム部16、16のうちの最大径部分の自由状態での外径よりも、僅かに小さい。又、前記円輪部26の内径は、前記保持器13の両端部の内径と同じか、この両端部の内径よりも少し大きい。
それぞれが上述の様な構成を有する、前記両抑え環24、24は、前記保持器13に前記各板ばね14、14を組み付けた後、この保持器13の両端部に装着する。具体的には、前記外径側円筒部25を前記保持器13の両端部に設けた1対のリム部16、16に締り嵌めで外嵌すると共に、前記円輪部26をこれら両リム部16、16の軸方向外側面に当接させる。これら両リム部16、16の外周面のうちで内端部を除く部分は、外端部に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい状凸面としている為、前記外径側円筒部25を前記両リム部16、16に外嵌する作業は容易に行える。又、前記外径側円筒部25の軸方向寸法は、前記両リム部16、16の軸方向寸法よりも十分に大きいので、前記円輪部26を前記リム部16の軸方向外側面に当接させた状態で、前記外径側円筒部25の先半部は前記両リム部16、16の内側面よりも前記保持器13の軸方向中央部に張り出す。具体的には、前記外径側円筒部25が、各支持板部18、18の周囲をほぼ覆う状態となる。従って、これら各支持板部18、18にそれぞれの両端部を支持された、前記各板ばね14、14の軸方向両端部周囲に、前記両抑え環24、24の外径側円筒部25、25が位置する。そして、前記保持器13からの前記各板ばね14、14の抜け出しを、確実に防止する。
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、1対の抑え環24a、24aを構成する外径側円筒部25、25の先端縁に鉤形の係止部27、27を、それぞれ径方向内方に突出する状態で形成している。そして、前記両外径側円筒部25、25を保持器13の軸方向両端部のリム部16、16に外嵌した状態で前記両係止部27、27を、この保持器13に設けた各支持板部18、18の外径側端縁の一部に係止している。本例の場合には、前記両係止部27、27を、これら各支持板部18、18の外径側端縁のうちで互いに対向する軸方向内側縁部分に係止している。そして、前記保持器13からの前記両抑え環24a、24aの抜け止めを図っている。本例の場合、前記両係止部27、27により、これら両抑え環24a、24aの抜け止めを図っている為、前記両外径側円筒部25、25と前記両リム部16、16との嵌合部の締め代を、上述した実施の形態の第1例の場合よりも小さく抑えられる。
その他の部分の構成及び作用は、この第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図4も、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、1対の抑え環24b、24bを構成する外径側円筒部25、25の先端縁に、内径側を凸面とした、断面円弧形の係止部27a、27aを、それぞれ径方向内方に突出する状態で形成している。これら各係止部27a、27aの形状を異ならせた点以外は、上述した実施の形態の第2例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図5も、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、1対の抑え環24c、24cを構成する外径側円筒部25a、25aの軸方向寸法を、上述の第3例の場合よりも短くしている。そして、これら両外径側円筒部25a、25aの先端縁に形成した、断面円弧形の係止部27a、27aを、保持器13側の支持板部18、18の外径側端縁の軸方向中間部に形成した、各係止切り欠き28、28に係合させている。その他の部分の構造及び作用は、上述した実施の形態の第3例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第5例]
図6は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、1対の抑え環24d、24dを構成する円輪部26、26の内周縁部に、この円輪部26、26から外径側円筒部25a、25aと同方向に折れ曲がった、内径側円筒部29、29を、この外径側円筒部25a、25aと同心に設けている。そして、前記両抑え環24d、24dを保持器13の両端部に装着した状態で、前記外径側円筒部25a、25aと前記内径側円筒部29、29との間で、前記保持器13の両端部を構成するリム部16、16の軸方向外半部を、径方向両側から挟持している。その他の部分の構造及び作用は、上述した実施の形態の第4例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第6例]
図7は、請求項1〜3、5に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、1対の抑え環24e、24eを構成する円輪部26、26の内周縁部に、この円輪部26、26から外径側円筒部25、25と同方向に折れ曲がった、内径側円筒部29、29を、この外径側円筒部25、25と同心に設けている。そして、この内径側円筒部29、29の先端縁に係止部27b、27bを、径方向外方に突出する状態で形成している。そして、この係止部27b、27bを、保持器13の両端部を構成するリム部16、16の内周面に形成した係止凹部30、30に係止して、前記保持器13からの前記両抑え環24e、24eの抜け止めを図っている。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第7例]
図8は、請求項1、6に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、保持器13に設けた各支持板部18、18の外径側端縁の一部に、それぞれ係止凹部30a、30aを形成している。又、本例の場合には、前記保持器13からの各板ばね14の抜け止めを図る為の抑え環24f、24fの軸方向に関する幅寸法を、前記各支持板部18、18の同方向の幅寸法よりも小さくしている。そして、前記両保持環24f、24fを、前記各係止凹部30a、30aに係合する状態で、前記保持器13の軸方向両端部で前記各板ばね14の軸方向両端部の周囲部分に外嵌している。前記両抑え環24f、24fは、金属板製で、自身及び前記保持器13の両端部を弾性変形させつつ、前記各係止凹部30a、30aに係止する。その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
上述の様に構成するローラクラッチは、例えば、前述の図9に示す様に、プーリ素子2の外周面とスリーブ3の外周面との間に組み付けて、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置1を構成する。但し、本発明のローラクラッチの用途は、この様なローラクラッチ内蔵型プーリ装置に限定されるものではなく、高速回転しつつ一方向の回転駆動力を伝達する、各種回転機械装置の動力伝達部に適用できる。
1 ローラクラッチ内蔵型プーリ装置
2 プーリ素子
3 スリーブ
4 玉軸受
5 ローラクラッチ
6 大径部
7 小径部
8 外輪
9 内輪
10 カム面
11 円筒面
12 ローラ
13、13a 保持器
14 板ばね
15 円筒状空間
16、16a、16b、16c リム部
17 柱部
18、18a 支持板部
19 基板部
20 押圧板部
21 中間抑え板部
22a、22b、22c 係止鉤部
23 庇部
24、24a、24b、24c、24d、24e、24f 抑え環
25、25a 外径側円筒部
26 円輪部
27、27a、27b 係止部
28 係止切り欠き
29 内径側円筒部
30、30a 係止凹部

Claims (7)

  1. 外輪相当部材と、内輪相当部材と、カム面と、円筒面と、複数本のローラと、保持器と、複数の板ばねとを備え、
    前記内輪相当部材は、前記外輪相当部材の内径側に、この外輪相当部材と同心に配置されており、
    前記カム面は、円周方向に亙る凹凸面であって、前記外輪相当部材の内周面と前記内輪相当部材の外周面とのうちの一方の周面に形成されており、
    前記円筒面は、同じく他方の周面に形成されており、
    前記各ローラは、前記カム面と前記円筒面との間の円筒状空間内に設けられており、
    前記保持器は、互いに間隔をあけて同心に配置した、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士を連結する、前記各ローラと同数の柱部と、これら両リム部の互いに対向する内側面で円周方向に関する位相がこれら各柱部の少なくとも一部と一致する部分に、互いに近付く方向に突出する状態で形成された支持板部とを備えたもので、前記カム面を形成した部材に対する回転を不能として前記円筒状空間内に配置され、前記各ローラを、円周方向に隣り合う各支持板部同士の間での変位、並びに転動を可能に保持するものであり、
    前記各板ばねは、それぞれが帯状の弾性金属板の両端部を互いに近付く方向に鋭角に曲げ形成する事により、基板部の軸方向両端部に1対の弾性押圧部を設けたもので、それぞれの基板部の両端部でこれら各弾性押圧部と反対側の面を前記各支持板部に当接させると共に、これら各弾性押圧部の先端部を前記各ローラの転動面に弾性的に当接させた状態で、これら各ローラを円周方向に関して同方向に押圧するものである
    ローラクラッチに於いて、
    前記保持器の軸方向両端部に抑え環を、これら両抑え環の内周面と前記各板ばねの軸方向両端部外周縁が、径方向に対向する状態で外嵌支持した事を特徴とするローラクラッチ。
  2. 前記抑え環が、金属板を断面L字形に曲げ形成して成り、外径側円筒部と、この外径側円筒部の軸方向端部から径方向内方に折れ曲がった円輪部とを備えたものであり、このうちの外径側円筒部を前記保持器の両端部に設けた前記両リム部に外嵌すると共に、前記円輪部をこれら両リム部の軸方向外側面に当接させた状態で、これら両外径側円筒部の先半部を前記各板ばねの軸方向両端部の周囲に位置させている、請求項1に記載したローラクラッチ。
  3. 前記両抑え環を構成する円輪部の内周縁部に、この円輪部から前記外径側円筒部と同方向に折れ曲がった内径側円筒部が設けられており、前記両抑え環を構成する、これら外径側円筒部と内径側円筒部との間で、前記両リム部の一部を径方向両側から挟持している、請求項2に記載したローラクラッチ。
  4. 前記両抑え環を構成する外径側円筒部の先端縁に、径方向内方に突出する状態で形成した係止部を、前記各支持板部の外径側端縁の一部に係止して、前記保持器からの前記両抑え環の抜け止めを図っている、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載したローラクラッチ。
  5. 前記両抑え環を構成する内径側円筒部の先端縁に、径方向外方に突出する状態で形成した係止部を、前記両リム部の内周面に形成した係止凹部に係止して、前記保持器からの前記両抑え環の抜け止めを図っている、請求項3に記載したローラクラッチ。
  6. 前記各支持板部の外径側端縁の一部に係止凹部が形成されており、軸方向に関する幅寸法がこれら各係止凹部の同方向の幅寸法よりも小さな前記両抑え環が、前記各係止凹部に係合する状態で、前記保持器の両端部で前記各板ばねの軸方向両端部の周囲部分に外嵌されている、請求項1に記載したローラクラッチ。
  7. 回転軸の端部に固定する内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置され、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を設けた筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材がこの内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合のみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とするローラクラッチと、このローラクラッチに隣接する位置で前記内径側部材の外周面と前記外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とするサポート軸受とを備えたローラクラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、前記ローラクラッチが、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したローラクラッチである事を特徴とするローラクラッチ内蔵型プーリ装置。
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