JP2012171985A - 共重合ポリエステルおよび二軸配向フィルム - Google Patents

共重合ポリエステルおよび二軸配向フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性を有し、かつ溶融熱安定性に優れた1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルムを提供すること。
【解決手段】テレフタル酸成分を共重合したポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであって、融点が270〜300℃の範囲にあり、かつ特定のホスホン酸と金属化合物との反応物(A)を含有する共重合ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はテレフタル酸成分を共重合したポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとそれを用いたフィルムに関する。
ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−テレフタレートは機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的性質、特に耐熱性に優れ、かつ加工性が良好であるために、エンジニアリングプラスチックとして様々な用途に用いられている。特に耐熱性に優れることから、半田耐熱性を要求されるフィルムの用途に使用されてきたものの、溶融熱安定性が不十分であった。そこで、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−テレフタレートについて、これまで、重合触媒を組み合わせて使用する手法(特許文献1:特開2002−338674)や、重合触媒を追添加して重合速度を向上させる手法(特許文献2:特開2000−178349)、特定のグリコール成分を共重合させる手法(特許文献3:特開平4−261423)が検討されてきた。しかしながら、これらの方法でも、十分な溶融熱安定性を具備させることは困難であった。
ところで、テレフタル酸の代わりに、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いた、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特許文献4(特開平1−201325号公報)で提案されている。しかしながら、ここで具体的に提案されているポリ1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、融点が320℃以上と高温であるため、重合および成形加工できる設備が限られ、さらにそれらを製膜しようとすると、非常に高温での溶融混練を伴うことから、やはり溶融熱安定性の乏しいものしか得られなかった。
また、1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、重合工程で突沸しやすい傾向があり、重合時に消泡剤の添加が必要になるだけでなく、重合釜に対して仕込量を減らす必要があるため生産性を低下させるという問題もあった。また反応性が高いためか溶融熱安定性も悪い傾向にあり、成形品の機械強度を低下させる傾向もみられた。
特開2002−338674号公報 特開2000−178349号公報 特開平4−261423号公報 特開平1−201325号公報
本発明の目的は、結晶性を有し、かつ溶融熱安定性に優れた1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルムを提供することにある。
そこで、本発明者は上記課題を解決しようと、1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの共重合を研究したところ、酸成分としてテレフタル酸を少量共重合させつつ、融点を特定の範囲とすることにより、1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートより優れた溶融熱安定性維持しつつ、重合時の突沸を抑制できることを見出した。一方、酸成分の共重合によりポリマーの結晶性が大幅に低下してしまうため、結果としてフィルムへの製膜が困難となることが判明した。そこで、さらに研究を進めたところ、特定の反応物を添加することにより、結晶性を維持できることがわかり、ポリマーの結晶性、耐熱性、溶融熱安定性、さらに重合時の工程安定性も備えた共重合ポリエステルが得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明によれば、以下の(イ)〜(ホ)を満たす共重合ポリエステルおよびそれよりなる以下の(ヘ)の二軸配向フィルムが提供される。
(イ)テレフタル酸成分を共重合したポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであって、融点が270〜300℃の範囲にあり、かつ下記式(A)で表されるリン化合物と金属化合物との反応物(A)を含有する共重合ポリエステル。
Figure 2012171985
(上記式中のRは、炭素数1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基またはベンジル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基またはベンジル基を表す。)
(ロ)テレフタル酸成分の共重合量が、全酸成分のモル数を基準として、5〜25モル%の範囲にある上記(イ)記載の共重合ポリエステル。
(ハ)金属化合物が、マンガン、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物である上記(イ)記載の共重合ポリエステル。
(ニ)リン化合物がフェニルホスホン酸である上記(イ)または(ロ)記載の共重合ポリエステル。
(ホ)共重合ポリエステルの重量を基準としたとき、上記反応物(A)に由来する金属元素量とリン元素量とが、それぞれ50〜150ppmと25〜100ppmの範囲である上記(イ)または(ロ)記載の共重合ポリエステル。
(ヘ)上記(イ)、(ロ)または(ハ)記載の共重合ポリエステルからなる二軸配向フィルム。
本発明によれば、1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを重合する際の突沸を抑制でき、結晶性を維持して高い溶融熱安定性を有する共重合ポリステルとそのフィルムが提供される。本発明によれば生産性良く、優れた半田耐熱性などを有する二軸配向フィルムを効率的に製造できる。
本発明の共重合ポリエステルは、テレフタル酸を共重合したポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであり、融点の範囲が270〜300℃の範囲にあり、かつ上記式(A)で表されるリン化合物と金属化合物との反応物(A)を含有させることを特徴とする。
好ましい共重合ポリエステルの融点の下限は、275℃以上、さらに280℃以上であり、他方上限は295℃以下、さらに290℃以下である。融点が下限を下回る場合、半田耐熱性を要求されるフィルムの用途としては耐熱性が乏しくなり、他方融点が上限を超える場合、重合や成形加工する設備に関する制約が大きくなってしまう。
本発明では、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに対する共重合成分はテレフタル酸である。エチレングリコールなどでは突沸の抑制などで十分な効果が発現されない。テレフタル酸成分の共重合量は、全酸成分のモル数を基準として、5〜25mol%の範囲、好ましくは7〜22mol%、より好ましくは10〜20mol%の範囲である。なお、本発明における全酸成分とは、ポリエステルを形成する2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸などの酸成分の合計モル数を意味する。この共重合量が下限未満の場合には、ポリマーの重合反応時に突沸しやすくなり、仕込量を下げる必要があるため、重合工程が不安定になるだけでなく、生産性が低下してしまう。逆に上限を超える場合には、融点が低下してしまい、フィルムの半田耐熱性などの特性が損なわれてしまう。もちろん、本発明の共重合ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、イソフタル酸成分やエチレングリコール成分など、それ自体公知の共重合成分を共重合していてもよい。
本発明の共重合ポリエステルは、前述のとおり特定の反応物(A)を含有し、この反応物Aはポリマー中にてサブミクロンオーダーの粒子を形成して、ポリマーの結晶化を促進させる働きがあると考えられる。そのため、上記の反応物(A)が存在しないと、共重合ポリエステルは非晶化してしまう傾向がみられる。
本発明における反応物(A)は、前述のとおり、金属化物と前記式(A)で示されるリン化合物との反応物である。使用する金属化合物は特に限定されず、マンガン化合物、亜鉛化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、セリウム化合物が挙げられ、この中でもマンガン化合物、亜鉛化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物などが好ましい。またこれらの金属化合物は、特に水酸化物、酢酸塩、炭酸塩であることが好ましい。これらのなかでも、マンガンまたは亜鉛の酢酸塩が最も好ましい。これらの金属化合物と下記のリン化合物との反応物が、共重合ポリエステルの結晶性を向上させ、二軸配向フィルムの製膜を容易にするものと推測される。
次に反応物(A)を形成するために使用するリン化合物としては、前記式(A)で示されるものであり、例えばフェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸メチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)フェニルホスホネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)フェニルホスホネート、ベンジルホスホン酸、ベンジルホスホン酸メチル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、1−ナフチルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸メチル、1−ナフチルホスホン酸ジメチル、1−ナフチルホスホン酸エチル、2−ナフチルホスホン酸、2−ナフチルホスホン酸メチル、2−ナフチルホスホン酸エチル、2−ナフチルホスホン酸ジエチル、1−ナフチルホスホン酸ジエチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジメチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、4−ビフェニルホスホン酸、4−ビフェニルホスホン酸メチル、4−ビフェニルホスホン酸ジメチル、4−メチルベンジルホスホン酸ジメチル、4−ビフェニルホスホン酸エチル、4−メチルベンジルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。これらのなかでも、特にフェニルホスホン酸が好ましい。
また、本発明における反応物(A)は、上記金属化合物とリン化合物とは予め反応させてから共重合ポリエステルに添加してもよく、共重合ポリエステルの重合反応中に反応させても良い。なお、あらかじめ反応させておく場合には、例えば金属化合物とリン化合物とを、それぞれの金属元素とリン元素のモル比で、1:1〜1:2で、エチレングリコール中、100〜190℃の温度に加熱することにより容易に得られる。なお、金属化合物と未反応のリン化合物は、ポリエステルの重縮合反応時に飛散してしまうため、金属元素量とリン元素量のモル比は、後述の金属元素量とリン元素量となるように、調整すればよい。
本発明において、反応物(A)に由来する金属元素量とリン元素量とは、共重合ポリエステルの質量を基準として、それぞれ50〜150ppmの範囲と25〜100ppmの範囲にあることが好ましく、さらに60〜135ppmと30〜80ppmの範囲にあることが好ましく、特65〜110ppmと35〜70ppmの範囲にあることが好ましい。これらの金属元素量やリン元素量が下限未満の場合には、結晶性が失われてしまうため、本発明の共重合ポリエステルを用いた二軸配向フィルムの作製が困難となる。他方、含有量が上限を超える場合には、金属化合物が多量に含まれる影響で共重合ポリエステルの溶融熱安定性が低下したり、成形加工に伴う分子鎖の切断等により、得られるフィルムの物性が損なわれる。
本発明の共重合ポリエステルには、例えばフィルムに製膜する際の走行性や巻取り性などの観点から、それ自体公知の滑剤、例えば不活性粒子を添加して組成物としてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合して組成物としてもよい。なお他の熱可塑性ポリマーとしては、液晶性樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。特にブレンドする樹脂として、ポリエーテルイミドや液晶性樹脂などは、得られるフィルムの耐熱性などをより向上させやすいことから好ましい。
本発明の二軸配向フィルムは、前述の共重合ポリエステルを製膜方向と幅方向とに延伸したものである。積層構造は特に制限されず、単層フィルムでも、2層以上の積層フィルムでもよい。また、積層フィルムの場合は、少なくとも1層が本発明の二軸配向フィルムであればよい。また、本発明の二軸配向フィルムは、前述のきょポリエステル樹脂からなり、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の樹脂や機能剤などを含有していてもよい。
以下、本発明の二軸配向フィルムの好ましい態様について説明する。
本発明の二軸配向フィルムは、共重合ポリエステルのペレットと、必要があれば他の樹脂のペレットを所定の割合で混合してから、乾燥し、例えば溶融温度260℃〜310℃で押出機よりTダイを経てフィルム状に押出し、冷却ドラム上に流延し冷却固化させて未延伸フィルムを作成する。この未延伸フィルムを縦方向に60〜150℃の温度で3〜8倍の倍率で延伸し、次いで横方向に70〜180℃の温度で3〜7倍の倍率で延伸して二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。なお、必要に応じて縦方向および/または横方向の延伸を2段階以上に分割実施してもよい(縦多段延伸、縦−横−縦の3段延伸、縦−横−縦−横の4段延伸等)。また同時二軸延伸にて実施してもよい。二軸配向フィルムを製造する際の全延伸倍率は、面積延伸倍率として10〜35倍、更には12〜30倍が好ましい。また二軸配向フィルムは二軸延伸後、更に140〜265℃の温度で熱固定することが好ましく、特に180〜230℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合は、例えば2台の押出機を用い、少なくとも1台には共重合ポリエステルのペレットを送って溶融し、2層または多層ダイから積層フィルムとして押出し、積層未延伸フィルムを作成し、この積層未延伸フィルムを、上記単層のポリエステルフィルムの場合と同様な延伸や熱処理などを行なえばよい。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
1,1,2,2−テトラクロロエタンとの混合溶媒(フェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=40重量%:60重量%)を溶媒に用いて、35℃の恒温下オストワルト型粘度計を用いて測定した。
(2)ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの酸成分・グリコール成分の組成
得られた共重合ポリエステルを溶媒(重トリフルオロ酢酸:重クロロホルム=50重量%:50重量%)に溶かして、H−NMR〔日本電子製 JEOL A−90(90MHz)〕により、酸成分としては1,4−ジメチルテレフタレート、2,6−ジメチルナフタレート、グリコール成分としては1,4−ジクロヘキサンジメタノール、エチレングリコールなどの指標となるプロトンを同定し、ピーク強度より含有量を測定した。
(3)残存元素量の測定
得られたポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを加熱溶融して、円形ディスクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用いて、含有する金属元素量とリン元素量とを測定した。なお、反応物Aに由来しない金属元素量やリン元素量は、上記量から取り除いて、計算した。
(4)示差走査熱量計の測定
TAインスツルメンツ社製Q20型示差走査熱量計を用いて測定した。測定条件は下記の通りである。
ポリエステルのサンプルを、示差走査熱量計を用い、窒素気流下、20℃/分の昇温条件にて300℃まで加熱し、300℃で2分間保持、溶融させたものを液体窒素中で急冷・固化させる(なお、試料の融点が300℃を超える場合、試料の融点+25℃まで加熱、2分間の保持を行なった)。
得られたポリエステルを、20℃/分の昇温条件にて、前に到達した温度になるまで加熱し、2分保持後、10℃/分の降温条件で走査して、現れる発熱、吸熱ピークを観測し、ガラス転移点(Tg)、昇温結晶化温度(Tci)、融点(Tm)、降温結晶化温度(Tcd)を測定した。
(5)重合時の突沸
300mLの三ツ口フラスコを用いて、酸成分の合計仕込量が0.5mol、グリコール成分の合計仕込量が1.0molとなるように剤を添加して、酢酸マンガン・四水和物を酸成分に対して0.04mol%を添加してエステル交換反応を行なう。エステル交換反応後にフェニルホスホン酸を酸成分に対して0.05mol%添加し、さらにトリメリット酸チタンを酸成分に対して0.03mol%添加する。その後三ツ口フラスコを300℃のバスに浸して、10Kpa/minの速度で1KPaまで減圧して重合反応を進行している際に反応物が突沸してフラスコの口部を閉塞させる場合は「あり」として、突沸せずフラスコの口部を閉塞しない場合は「なし」とする。
(6)フィルムの製膜性
溶融温度300℃にて押出機よりTダイを経てフィルム状に押出し、冷却ドラム上に流延し、冷却固化させて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを130℃で加熱しながら縦方向へ3.0倍に延伸して、140℃で加熱しながら横方向へ4.0倍に延伸した後に230℃で30秒間熱固定させる製膜工程にて、安定に製膜できるか観察した。下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない
(7)溶融熱安定性
得られたポリマーを一旦ペレット状にし、140℃で6時間乾燥した後、大気圧下にて300℃の温度にて30分間溶融状態で攪拌をつづけた後に、ポリマーを回収し、ただちに氷水中で急冷した。そして、乾燥処理後で溶融処理前のポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度(IV)と、溶融処理後のポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの固有粘度(IV30)を測定した。そして、乾燥処理後で溶融処理前の固有粘度(IV)から溶融処理後の固有粘度(IV30)を差し引いたものを固有粘度差(△IV)とした。この△IVが小さいほど溶融熱安定性に優れるといえる。なお、融点が300℃を超えるものについては、製膜などで問題があることから評価をしなかった。
[実施例1]
2,6−ジメチルナフタレート(NDC)、1,4−ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)とをモル比(NDC:DMT/CHDM:EG=80:20/140:60)の割合で、さらに酢酸マンガン四水和物を全酸成分に対し、0.040mol%となるようにエステル交換反応槽に仕込み、190℃まで昇温した。その後、240℃に昇温しながらメタノールを除去しエステル交換反応を終了した。
続いて、フェニルホスホン酸とトリメリット酸チタンとを、全酸成分に対し、それぞれ0.050mol%および0.030mol%となるように仕込んだ。なお、トリメリット酸チタンは、0.6重量%エチレングリコール溶液の状態で添加した。このようにして得られた反応生成物を重合反応槽へと移行した。重縮合反応槽内では昇温しつつ、圧力をゆっくりと減圧し、最終的に重縮合温度300℃、50Paの真空下で重縮合を行い、テレフタル酸共重合ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
得られたテレフタル酸共重合ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの特性を表1に示す。
[実施例2〜9]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。ただし、実施例9についてはフェニルホスホン酸の添加と同時期にIrganox1010(チバ社製)を、全酸成分の重量に対して、0.5質量%添加した。
[比較例1]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。ただし重縮合温度は310℃とした。
[比較例2、3、5、6、8]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。
[比較例4]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。ただし、重縮合反応については重合時の突沸を避けるため、合計仕込量が、実施例1に対して、70重量%となるようにして反応させた。
[比較例7]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。ただし、リン化合物としてフェニルホスホン酸ではなく、リン酸トリメチル(構造式B)を使用した。
Figure 2012171985
[比較例9]
NDC,DMT,CHDM,EGの組成、残存元素量が表1の通りになるように仕込量を変えた以外には実施例1と同様の操作を行なった。ただし、重縮合温度は330℃とし、重合時の突沸を避けるため、合計仕込量が、実施例1に対して、70重量%となるようにして反応させた。
Figure 2012171985
表1中の、NDCは2,6−ジメチルナフタレート成分、DMTは1,4−ジメチルテレフタレート成分、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、EGはエチレングリコール成分、Irg1010はIrganox1010(チバ社製)、Tgはガラス転移点(℃)、Tciは昇温結晶化温度(℃)、Tmは融点(℃)、Tcdは降温結晶化温度(℃)を意味する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、磁気記録用、工業材料用、包装用、農業用、建材用といった各種用途に用いることができ、特に半田耐熱性を要求される用途のフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. テレフタル酸成分を共重合したポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであって、融点が270〜300℃の範囲にあり、かつ下記式(A)で表されるリン化合物と金属化合物との反応物(A)を含有する共重合ポリエステル。
    Figure 2012171985
    (上記式中のRは、炭素数1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基またはベンジル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基またはベンジル基を表す。)
  2. テレフタル酸成分の共重合量が、全酸成分のモル数を基準として、5〜25モル%の範囲にある請求項1記載の共重合ポリエステル。
  3. 金属化合物が、マンガン、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物である請求項1に記載の共重合ポリエステル。
  4. リン化合物がフェニルホスホン酸である請求項1または2に記載の共重合ポリエステル。
  5. 共重合ポリエステルの重量を基準としたとき、上記反応物(A)に由来する金属元素量とリン元素量とが、それぞれ50〜150ppmと25〜100ppmの範囲である請求項1または2に記載の共重合ポリエステル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエステルからなる二軸配向フィルム。
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