JP2012169364A - 半導体チップのピックアップ方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体チップのピックアップ方法および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持でき、一方、ピックアップ時には高速化を可能にするピックアップ方法を提供する。
【解決手段】半導体チップのピックアップ方法は、基材と、基材上に剥離可能に形成された接着剤層とからなる接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて基材から剥離する半導体チップのピックアップ方法であって、接着シートの、剥離角90°、剥離速度50mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(低速剥離力)が0.01〜1N/25mmであり、接着シートの、剥離角90°、剥離速度500mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(高速剥離力)が低速剥離力以下であることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハなどをダイシングし半導体チップを得て、半導体チップを有機基板やリードフレーム上にダイボンディングする工程等を含む半導体装置の製造方法において、特に接着剤層を有する半導体チップを得てこれをピックアップする際の改良技術に関する。
より具体的には、半導体ウエハをチップに切断するとともに接着剤層をチップと同形状に切断し、接着剤層付の半導体チップを基材からピックアップする際に、ピックアップ速度を高速化でき、製造効率の向上に寄与しうる半導体チップのピックアップ方法および、該ピックアップ方法を含む半導体装置の製造方法に関する。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハは大径の状態で製造され、この半導体ウエハは、素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後に次の工程であるボンディング工程に移されている。この際、半導体ウエハは予め粘着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に移送される。
これらの工程の中でピックアップ工程とボンディング工程のプロセスを簡略化するために、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンディング用接着シートが種々提案されている(たとえば、特許文献1〜6参照)。ダイシング・ダイボンディング用接着シートの接着剤層は、ウエハのダイシング時にはウエハを固定し、ダイシング時にウエハとともにダイシングされ、チップと同形状の接着剤に切断される。その後、チップのピックアップを行うと、チップ裏面に接着剤層が残着した状態でピックアップされる。チップ裏面に残着した接着剤層を介して、チップをリードフレーム等のチップ搭載部に載置し、接着剤層を熱硬化することで、ダイボンドが完了する。次いで、樹脂封止して半導体装置が得られる。
特開2000−17246号公報 特開2008−133330号公報 特開2009−030043号公報 特開2009−203332号公報 特開2009−242605号公報 特開2009−242606号公報
近年、半導体製品の用途は拡大の一途をたどっている。これにともない、装置の小型化や生産速度の向上に対する要求が厳しいものになっている。半導体ウエハに対する回路形成や、裏面研削などの工程は、ウエハ単位で行われており、これらの単位工程を高速化することも重要であるが、全工程の高速化に対する寄与は小さい。
ウエハの加工工程に続いて行われるチップのピックアップ工程、チップの固着工程は、個々のチップに対して行われる。近年、チップの小型化にともない、1枚のウエハからのチップ収量が増加している。このため、チップ化後の工程速度が、全工程の速度に及ぼす影響が増大している。
前記特許文献1〜6に開示されているダイシング・ダイボンディング用接着シートは、いわゆるダイレクトダイボンディングを可能にし、ダイ接着用接着剤の塗布工程が不要になり、工程の高速化に寄与するものではあるが、これらの特許文献においても、チップ化後の工程の高速化については、十分に検討されていない。
特許文献5、6には、接着剤層に特殊なシリコーン化合物を配合することで、接着剤層と基材との間の接着力を低下し、チップのピックアップ荷重を制御する技術が開示されている。ピックアップ荷重が小さくなるほど、剥離は容易になり、ピックアップ速度の向上が可能になる。
しかし、チップの剥離を容易するために接着剤層と基材との間の接着力を低下すると、ダイシング時や、その後の保管や移送の際に、チップが飛散するという不都合が散見されるようになった。ダイシング時には、ダイシングブレードの回転力によりチップが飛散してしまうことがある。またダイシング工程の終了後には、リングフレームに張設された接着シート上にチップ保持された状態で、カセットに収納され、次工程であるピックアップ工程に搬送される。接着剤層と基材との間の接着力が低下している状態では、カセットへの収納時や、搬送時の僅かな衝撃や、保管中の接着シートの撓みなどにより、接着剤層と基材との間で剥離が起こり、チップが脱落、飛散してしまうことがある。
したがって、ダイシング・ダイボンディング用接着シートには、ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持できる程度に高い剥離力が求められ、一方、ピックアップ時には高速化を可能にするために、容易に剥離できる程度に低い剥離力が要望される。
本発明は、上記のような要望に鑑みてなされたものであり、ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持でき、一方、ピックアップ時には高速化を可能にすることを目的としている。
このように要望に応えるべく、鋭意検討したところ、一定の剥離速度での剥離力のみに着目していたのでは、上記の課題を解決することは困難であるとの結論を得た。剥離力を単純に低くすれば、ピックアップ性は向上する一方で、チップは飛散しやすくなる。また、剥離力を高くすると、チップの保持性は向上するが、ピックアップ性は低下する。
そこで、本発明者らは、ピックアップ工程を高速化するためには、剥離速度が速い場合には剥離力が低くなる接着剤層を使用することで、上記の課題が解決されることを着想し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下の要旨を要旨として含む。
(1)基材と、該基材上に剥離可能に形成された接着剤層とからなる接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材から剥離する半導体チップのピックアップ方法であって、
前記接着シートの、剥離角90°、剥離速度50mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(低速剥離力)が0.01〜1N/25mmであり、
前記接着シートの、剥離角90°、剥離速度500mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(高速剥離力)が前記低速剥離力以下である、半導体チップのピックアップ方法。
(2)前記低速剥離力と高速剥離力の比(高速剥離力/低速剥離力)が0.9以下である(1)に記載の半導体チップのピックアップ方法。
(3)上記(1)または(2)の方法で該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材からピックアップした後、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む半導体装置の製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の接着シート。
本発明で使用する接着シートは、低速剥離力が0.01〜1N/25mmであるため、ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持できる。また、該接着シートは、高速剥離力が、低速剥離力以下であるため、ピックアップの高速化に対応でき、製造効率の向上が図られる。
以下、本発明について、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。本発明で使用する接着シートは、基材と、該基材上に剥離可能に形成された接着剤層とからなり、基材と接着剤層との間を剥離力が、剥離速度により異なる。
本発明では、剥離角90°、剥離速度50mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力を「低速剥離力」と呼び、剥離角90°、剥離速度500mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力を「高速剥離力」と呼ぶ。なお、剥離力の測定は、JIS Z 0237に準じて行われる。
接着シートの速剥離力は、0.01〜1N/25mm、好ましくは0.05〜0.8N/25mm、さらに好ましくは0.1〜0.6N/25mmである。低速剥離力がこの範囲にあると、ダイシング時や、その後の保管や移送等の環境下においても、基材と接着剤層との間の接着性が十分に高く、チップを安定して保持することができる。低速剥離力が低すぎる場合には、チップが保持された接着シートの移送時、保管時にチップが脱落したり、ダイシング時にチップが飛散することがある。一方、低速剥離力が高すぎる場合には、これにともない高速剥離力も高くなる傾向があり、高速剥離時のピックアップ性が損なわれる。
また、接着シートの高速剥離力は、上記低速剥離力以下であり、低速剥離力と高速剥離力の比(高速剥離力/低速剥離力)は、1以下、好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.1〜0.9、特に好ましくは0.3〜0.8の範囲にある。この値が1.0を超えると、ピックアップ速度が速くなるほど、ピックアップ中にチップの剥離力が増加し、チップの剥離速度が減速する。したがって、チップの剥離開始からチップを完全に剥離するまでの時間が長くなる。本発明で使用する接着シートの高速剥離力は、比較的低いため、ピックアップの高速化に対応でき、製造効率の向上が可能になる。
一般に接着シートにおいては、剥離速度が速くなるほど剥離し難くなり、剥離力は増大すると考えられている。しかし、本発明で用いる接着シートにおいては、剥離速度が50mm/分と遅い場合には、チップを保持できる程度の剥離力を示す。一方、剥離速度が500mm/分と速くなっても剥離力が変わらないか、あるいは逆に剥離力が低下する傾向にある。
したがって、上記のような評価基準に基づいて選択された接着シートであれば、ダイシング・ダイボンディング用接着シートとして使用される際に、ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持でき、またピックアップの高速化に対応でき、製造効率の向上が図られる。
本発明で使用する接着シートは、低速剥離力と高速剥離力とが上記を満足する限り、接着剤層、基材については特に限定はされず、種々の範囲から適宜に選択すればよい。
たとえば、接着剤層は、アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、および熱硬化剤(C)を含む接着剤組成物から形成されていてもよく、さらに、各種物性を改良するため、必要に応じ他の成分が含まれていてもよい。まず、これら各成分について具体的に説明する。
(A)アクリル重合体
接着剤層に十分な接着性および造膜性(シート加工性)を付与するためにアクリル重合体(A)が用いられる。アクリル重合体(A)としては、従来公知のアクリル重合体を用いることができる。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが望ましく、10万〜150万であることがより望ましく、20万〜100万であることが特に望ましく、40万〜90万であることが最も好ましい。アクリル重合体(A)の重量平均分子量が低過ぎると接着剤層と基材との剥離力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがある。一方、アクリル重合体(A)の重量平均分子量が高過ぎると、チップ搭載部の凹凸へ接着剤層が追従できないことがあり、ボイドなどの発生要因になることがある。なお、本発明におけるアクリル重合体(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
アクリル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−50〜50℃、さらに好ましくは−40〜40℃、よりに好ましくは−35〜30℃、特に好ましくは−30〜20℃の範囲にある。アクリル重合体(A)のガラス転移温度が低過ぎると接着剤層と基材との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が起こることがある。一方、アクリル重合体(A)のガラス転移温度が高過ぎると、ウエハを固定するための接着力が不十分となるおそれがある。さらに、アクリル重合体(A)のTgが高くなるにつれて、低速剥離力は低下する傾向にある。
上記アクリル重合体(A)を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、例えばシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられ;水酸基を有するヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;その他、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中では、水酸基を有しているモノマーを重合して得られるアクリル重合体が、後述するエポキシ系熱硬化性樹脂(B)との相溶性が良いため好ましい。また、上記アクリル重合体(A)は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
(B)エポキシ系熱硬化性樹脂
エポキシ系熱硬化性樹脂(B)としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができ、具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
接着剤層には、アクリル重合体(A)100質量部に対して、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)が、好ましくは1〜1500質量部含まれ、より好ましくは10〜1200質量部、特に好ましくは50〜1000質量部含まれる。エポキシ系熱硬化性樹脂(B)の含有量が1質量部未満であると十分な接着性が得られないことがある。一方、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)の含有量が1500質量部を超えると接着剤層と基材との剥離力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがある。
(C)熱硬化剤
熱硬化剤(C)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤(C)としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱硬化剤(C)の含有量は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤(C)の含有量が少ないと硬化不足で接着性が得られないことがある。熱硬化剤(C)の含有量が過剰であると接着剤組成物の吸湿率が高まりパッケージ信頼性を低下させることがある。
(その他の成分)
接着剤層は、上記アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)および熱硬化剤(C)に加えて下記成分を含むことができる。
(D)硬化促進剤
硬化促進剤(D)は、接着剤層の硬化速度を調整するために用いられる。好ましい硬化促進剤としては、たとえばエポキシ基とフェノール性水酸基やアミノ基などとの反応を促進しうる化合物が用いられ、具体的には、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(D)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)および熱硬化剤(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜100質量部、より好ましくは0.01〜50質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部の量で含まれる。硬化促進剤(D)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高いパッケージ信頼性を達成することができる。硬化促進剤(D)の含有量が少ないと硬化不足で十分な接着特性が得られず、過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤は高温度高湿度下で接着剤層中を接着界面側に移動し、偏析することによりパッケージの信頼性を低下させる。
(E)カップリング剤
カップリング剤(E)は、接着剤層の被着体に対する接着性、密着性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(E)を使用することで、接着剤層を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
カップリング剤(E)としては、上記アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤(E)としては、シランカップリング剤が望ましい。このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
カップリング剤(E)は、アクリル重合体(A)およびエポキシ系熱硬化性樹脂(B)の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部の割合で含まれる。カップリング剤(E)の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(F)架橋剤
接着剤層の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤(F)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
上記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
上記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤(F)はアクリル重合体(A)100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部の比率で用いられる。
(G)無機充填材
熱硬化後の接着剤層の熱膨張係数を調整するため、無機充填材(G)を接着剤層に配合してもよい。無機充填材(G)を配合することで、熱硬化後の接着剤層の熱膨張係数を、チップや金属基板もしくは有機基板の熱膨張係数に対し、最適化することで、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の接着剤層の吸湿率を低減させることも可能となる。
好ましい無機充填材としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーが好ましい。上記無機充填材(G)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。無機充填材(G)の含有量は、接着剤層を構成する全固形分100質量部に対して、通常0〜80質量部の範囲で調整が可能である。
(H)可とう性成分
接着剤層には、可とう性成分(H)を配合してもよい。このような可とう性成分は、硬化後の接着剤層の可とう性を保持するために配合される。上記可とう性成分としては、常温および加熱下で可とう性を有する成分であり、加熱やエネルギー線照射では実質的に硬化しない成分が選択される。
上記可とう性成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマーなどのポリマー;ブロックコポリマー;これらのポリマーのグラフトポリマーが挙げられる。また、上記可とう性成分として、前記ポリマーがエポキシ樹脂により予め変性されたエポキシ変性樹脂を用いてもよい。
(I)エネルギー線重合性化合物
接着剤層には、本発明の目的を損なわない範囲で(具体的には、接着剤層の耐熱性、接着性を損なわない範囲で)、エネルギー線重合性化合物(I)が配合されていてもよい。エネルギー線重合性化合物(I)を硬化することで、接着剤層の接着力を低減でき、後述する基材からの接着剤層の剥離力を適宜に調整することが可能になる。エネルギー線重合性化合物(I)は、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。このようなエネルギー線重合性化合物(I)として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいはジシクロペンタジエン骨格を有するアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。
エネルギー線重合性化合物(I)の配合量は、特に限定はされないが、接着剤層の全量100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは3〜15質量部の割合で用いられる。エネルギー線重合性化合物(I)の配合量が前記範囲を超えると、有機基板やリードフレームのダイパッド部に対する接着性が低下することがある。また、エネルギー線重合性化合物(I)の配合量が増加するにしたがい、低速剥離力が低下する傾向にある。
また、上記アクリル重合体(A)およびエネルギー線重合性化合物(I)の性質を兼ね備えるものとして、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型粘着性重合体を用いてもよい。このようなエネルギー線硬化型粘着性重合体は、粘着性とエネルギー線硬化性とを兼ね備える性質を有する。
エネルギー線硬化型粘着性重合体の主鎖または側鎖に結合するエネルギー線重合性基は、たとえばエネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を含む基であり、具体的には(メタ)アクリロイル基等を例示することができる。
エネルギー線重合性基が結合されたエネルギー線硬化型粘着性重合体の好ましい重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)は、上記アクリル重合体(A)と同様である。
上記のようなアクリル重合体(A)およびエネルギー線重合性化合物(I)又は、エネルギー線硬化型粘着性重合体を含む接着剤層は、エネルギー線照射により硬化する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。
(J)光重合開始剤
接着剤層が、前述したエネルギー線重合性化合物(I)またはエネルギー線硬化型粘着性重合体を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線重合性化合物またはエネルギー線硬化型粘着性重合体を硬化させる。この際、該接着剤層中に光重合開始剤(J)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(J)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(J)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(J)の配合割合は、エネルギー線重合性化合物(I)100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜5質量部含まれることがより好ましい。0.1質量部未満であると光重合の不足で満足なピックアップ性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、接着剤層の硬化性が不十分となることがある。
(汎用添加剤)
接着剤層には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料などが挙げられる。
(接着剤組成物)
接着剤層を構成する接着剤組成物は、上記各成分を適宜の割合で混合して得られる。混合に際しては、各成分を予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒を加えてもよい。
上記のような各成分からなる接着剤組成物は、熱硬化性であり、硬化前には適度な感圧接着性と形状保持性とを有する。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。
なお、接着剤層が、エネルギー線重合性化合物(I)又はエネルギー線硬化型粘着性重合体を含有する場合には、前記した低速剥離力および高速剥離力は、低速剥離力および高速剥離力はが、保管や移送の際にはチップを十分に保持し、かつピックアップの高速化に対応することを目的として規定されたものであるので、ピックアップ時の接着剤層と基材との剥離力を意味する。ピックアップ時の剥離力であれば、接着剤層のエネルギー線硬化前の値であってもよく、エネルギー線硬化後の値であってもよいが、ピックアップは、通常は、エネルギー線硬化後、熱硬化前に行われるので、低速剥離力および高速剥離力は、通常は、エネルギー線硬化後の値を意味する。
(接着シート)
本発明で用いる接着シートは、上記の選択基準に基づいて選択され、その好ましい実施態様は、上記接着剤組成物からなる接着剤層を基材上に剥離可能に形成することで得られる。接着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
接着シートの基材は、接着剤層が基材上に剥離可能に形成されていればよく、フィルム上に接着剤層を形成してもよく、粘着シート上に接着剤層を形成してもよい。
接着シートの基材としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどの透明フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルム、不透明フィルムなどを用いることができる。
接着シートは、各種の被着体に貼付され、被着体に所要の加工を施した後、接着剤層は、被着体に固着残存させて基材から剥離される。すなわち、接着剤層を、基材から被着体に転写する工程を含むプロセスに使用される。このため、基材の接着剤層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が低い基材は、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また基材の表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
基材の剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで表面に離型層を形成すればよい。
また、接着シートの基材としては、たとえば、弱粘着力性の再剥離型粘着シートや、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化型粘着シートを用いることができる。
基材の厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。また、接着剤層の厚みは、通常は1〜500μm、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μm程度である。
また、高速剥離力/低速剥離力を1以下に制御するためには、接着剤層に接する基材表面の表面張力を、好ましくは25〜40mN/m、さらに好ましくは26〜37mN/m、特に好ましくは29〜33mN/mに設定し、かつ基材に接する接着剤層表面の表面張力を、好ましくは35〜50mN/m、さらに好ましくは40〜49mN/m、特に好ましくは42〜47mN/mに設定することが望ましい。接着剤層表面の表面張力は接着剤組成物に含まれる成分の極性成分の配合量等により制御することができる。たとえば、接着剤組成物に、水酸基やカルボキシル基のような極性の高い官能基を導入したり、極性の高い成分を添加したりすることにより、接着剤層表面の表面張力を高くでき、シリコーンオイル等の低極性成分を添加することにより、表面張力を低くできる。
接着シートの製造方法は、特に限定はされず、基材上に、接着剤層を構成する組成物を塗布乾燥することで製造してもよく、また接着剤組成物を剥離フィルム上に塗布乾燥して、フィルム状の接着剤組成物を得て、これを上記基材に転写することで製造してもよい。なお、接着シートの使用前に、接着剤層を保護するために、接着剤層の上面に剥離フィルムを積層しておいてもよい。該剥離フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムなどのプラスチック材料にシリコーン樹脂などの剥離剤が塗布されているものが使用される。また、接着剤層の表面外周部には、リングフレームなどの他の治具を固定するために別途粘着剤層や粘着テープが設けられていてもよい。
次に本発明に係る半導体チップのピックアップ方法および半導体装置の製造方法について説明する。
(半導体装置の製造方法)
本発明に係る半導体装置の製造方法は、本発明に係る半導体チップのピックアップ方法を含む。具体的には、上記接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて基材からピックアップし、該半導体チップを有機基板やリードフレームのダイパッド部上、またはチップを積層する場合に別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む。
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法について詳述する。本発明に係る半導体装置の製造方法においては、まず、表面に回路が形成され、裏面が研削された半導体ウエハを準備する。
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は20〜500μm程度である。
その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
次いで、リングフレームおよび半導体ウエハの裏面側を上記接着シートの接着剤層上に載置し、軽く押圧し、半導体ウエハを固定する。次いで、接着剤層にエネルギー線重合性化合物(I)が配合されている場合には、接着剤層に基材側からエネルギー線を照射し、エネルギー線重合性化合物(I)を硬化し、接着剤層の凝集力を上げ、接着剤層と基材との間の接着力を低下させておく。照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が挙げられ、好ましくは紫外線が用いられる。次いで、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記の半導体ウエハを切断し半導体チップを得る。この際の切断深さは、半導体ウエハの厚みと、接着剤層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにする。接着シートは、上記した特定の低速剥離力を有するので、ダイシング時におけるチップの飛散を防止することができる。なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離(ピックアップ)前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
次いで必要に応じ、接着シートのエキスパンドを行うと、半導体チップ間隔が拡張し、半導体チップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、接着剤層と基材との間にずれが発生することになり、接着剤層と基材との間の接着力が減少し、半導体チップのピックアップ性が向上する。このようにして半導体チップのピックアップを行うと、切断された接着剤層を半導体チップ裏面に固着残存させて基材から剥離することができる。本発明で使用する接着シートは、上記した特定の高速剥離力を有するので、ピックアップ速度の向上が可能であり、ピックアップ工程を含む一連の半導体装置の製造工程の高速化が可能になる。
次いで接着剤層を介して半導体チップを、リードフレームのダイパッド上または積層チップの場合には別の半導体チップ(下段チップ)表面に載置する(以下、チップが搭載されるダイパッドまたは下段チップ表面を「チップ搭載部」と記載する)。チップ搭載部は、半導体チップを載置する前に加熱するか載置直後に加熱される。加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分であり、載置するときの圧力は、通常1kPa〜200MPaである。
半導体チップをチップ搭載部に載置した後、必要に応じさらに加熱を行ってもよい。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
また、載置後の加熱処理は行わずに仮接着状態としておき、パッケージ製造において通常行われる樹脂封止での加熱を利用して接着剤層を硬化させてもよい。このような工程を経ることで、接着剤層が硬化し、半導体チップとチップ搭載部とを強固に接着することができる。接着剤層はダイボンド条件下ではフィルム形状を維持しつつもある程度軟化しているため、チップ搭載部の凹凸にも十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止できパッケージの信頼性が高くなる。
上記接着シートは、上記のような使用方法の他、半導体化合物、ガラス、セラミックス、金属などの接着に使用することもできる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、<低速剥離力>、<高速剥離力>、<ピックアップ適性>および<ダイシング適性>は次のように評価した。
<低速剥離力および高速剥離力>
実施例および比較例の接着シートを25mm×100mmに裁断し、シリコンウエハに、常温で貼付した。接着剤層にエネルギー線重合性化合物が含まれる場合には、紫外線照射装置(リンテック社製、Adwill RAD2000)を用いて接着シートの基材面から紫外線を照射(350mW/cm2、190mJ/cm2)した。汎用の引張試験機を用い、JIS Z 0237に基づいた方法で、剥離角度90°、剥離速度50mm/分(低速剥離)および500mm/分(高速剥離)で、接着剤層の表面から基材を剥離する試験を行った。
<ピックアップ適性>
♯2000研磨したシリコンウエハ(150mm径、厚さ100μm)の研磨面に、実施例および比較例の接着シートの貼付をテープマウンター(リンテック社製、Adwill RAD2500)により行い、ウエハダイシング用リングフレームに固定した。その後、接着剤層にエネルギー線重合性化合物が含まれる場合には、紫外線照射装置(リンテック社製、Adwill RAD2000)を用いて接着シートの基材面から紫外線を照射(350mW/cm2、190mJ/cm2)した。次いで、ダイシング装置(ディスコ社製、DFD651)を使用して10mm×10mmのチップサイズにダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、基材を20μm切り込むようにした。次いで、ダイボンダー(キャノンマシナリー製、BESTEM-D02)を用いて、ニードルの突き上げスピードを1mm/秒および10mm/秒で、突き上げ高さ0.5mmの際にチップがピックアップできるかどうかを試験した。ニードルは8mm四方4ピン配置とした。50個のチップについて試験を行い、ピックアップできたチップ数をカウントした。
<ダイシング適性>
前記ピックアップ適性試験と同様の方法で、チップサイズのみを2mm×2mmに変更して、ダイシングを行い、チップの飛散の有無を確認した。なお、ウエハ周縁部で、2mm×2mmの方形をなしていない(たとえば三角形)チップについては観察から除外して、2mm×2mmのチップが形成されている部分でのみ評価した。
<接着剤組成物>
接着剤組成物を構成する各成分を下記に示す。
(A)アクリル重合体:
(A1)n−ブチルアクリレート55質量部、グリシジルメタクリレート30質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなる共重合体(重量平均分子量:80万、ガラス転移温度:−26℃)
(A2)メチルアクリレート85質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなる共重合体(重量平均分子量:60万、ガラス転移温度:6℃)
(A3)n−ブチルアクリレート50質量部、メチルアクリレート35質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなる共重合体(重量平均分子量:50万、ガラス転移温度:−29℃)
(B)エポキシ系熱硬化性樹脂:
(B1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製:エピコート828およびジャパンエポキシレジン株式会社製:エピコート1055の質量比1:2の混合物)
(B2)o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製:EOCN−104S)
(B3)ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製:EPICLON EXA−7200HH)
(C)熱硬化剤:
(C1)ジシアンジアミド硬化剤(ADEKA社製:ハードナー3636AS)
(C2)o-クレゾールノボラック型フェノール硬化剤(昭和高分子社製:ショウノールBRG−556)
(D)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PHZ-PW)
(I)エネルギー線重合性化合物:
(I1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(I2)ジシクロペンタジエン骨格を有するアクリレート(日本化薬社製:KAYARAD R-684)
(J)光重合開始剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:イルガキュア184
<基材>
接着シートの基材として、下記の樹脂シートを使用した。
PP:ポリプロピレン(厚さ100μm、表面張力30mN/m)
EMMA:エチレン/メチルメタクリレート共重合体(厚さ100μm、表面張力33mN/m)
PE:ポリエチレン(厚さ100μm、表面張力32mN/m)
(実施例および比較例)
上記各成分を表1に記載の量(固形分量)で配合し、接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物のメチルエチルケトン溶液(固形濃度61質量%)を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック株式会社製、SP−PET381031)上に乾燥後20μmの厚みになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、1分間)した後に所定の基材と貼り合せて、接着剤層を基材上に転写することで接着シートを得た。
なお、接着剤層を基材上に転写する前に、剥離フィルム上に形成された接着剤層表面(基材への転写面)の表面張力を測定した。
Figure 2012169364
得られた接着シートを用いて<低速剥離力>、<高速剥離力>、<ピックアップ適性>および<ダイシング適性>を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2012169364
本発明のピックアップ方法によれば、特殊な評価基準を満足する接着シートをダイシング・ダイボンディング用接着シートとして用いるため、ダイシング時およびその後の保管や移送の際にはチップを十分に保持でき、ピックアップの高速化にも十分に対応できる。

Claims (4)

  1. 基材と、該基材上に剥離可能に形成された接着剤層とからなる接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材から剥離する半導体チップのピックアップ方法であって、
    前記接着シートの、剥離角90°、剥離速度50mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(低速剥離力)が0.01〜1N/25mmであり、
    前記接着シートの、剥離角90°、剥離速度500mm/分における基材と接着剤層との間の剥離力(高速剥離力)が前記低速剥離力以下である、半導体チップのピックアップ方法。
  2. 前記低速剥離力と高速剥離力の比(高速剥離力/低速剥離力)が0.9以下である請求項1に記載の半導体チップのピックアップ方法。
  3. 請求項1または2の方法で該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材からピックアップした後、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着シート。
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