JP2012166047A - 医用画像診断支援装置および医用画像診断支援プログラム - Google Patents

医用画像診断支援装置および医用画像診断支援プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】被検体の内部を表す画像に含まれる異常候補領域が結節のような解剖学的異常であるか否かを医師が迅速に判定することを可能とする。
【解決手段】拡張結節候補領域12は、被検体の内部を表す画像に含まれる結節候補領域に連続する周辺領域を特定する。表示画像生成部15は、異常候補領域と周辺領域とを互いに区別可能な形態で表す表示画像を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴診断装置、あるいは超音波診断装置などの医用画像診断モダリティを用いて収集された3次元画像に基づく結節状異常または瘤状異常のような解剖学的異常についての診断を支援する医用画像診断支援装置および医用画像診断支援プログラムに関する。
現在、日本国で肺癌は悪性腫瘍死の第一位を占めると共に増加の一途を辿っている。このために肺癌に対しては、喫煙対策による予防と並んで早期発見への社会的な要請が強い。日本国の各自治体では、胸部単純X線写真と喀痰細胞診とによる肺癌検診が施行されている。しかし、1998年に出された日本国旧厚生省の「癌検診有効性評価に関する研究班」の報告では、現行の肺癌検診では効果があるとしても、その効果は小さいと結論されている。X線コンピュータ断層撮影法(以下、CTと記す)では、胸部単純X線写真よりも容易に肺野型肺癌を発見できるが、ヘリカルスキャン方式のCT(ヘリカルCT)が現れた1990年以前は撮像時間が長く検診に使用できなかった。しかしヘリカルCTが登場して間もなく、被曝を低減するために比較的低いX線管電流で撮像する方法(以下、低線量ヘリカルCTと記す)が開発され、これを用いた肺癌検診のパイロット研究が日本国および米国で行われた。その結果、低線量ヘリカルCTが胸部単純X線写真を大きく上回る肺癌検出率を有することが実証されている。
一方、ヘリカルCTの撮像に要する時間は、1998年以降のCT検出器の多列化によって短縮され続けている。最新の多検出器列ヘリカルCTでは、ほぼ等方的な1mm未満の解像度で肺全体を10秒未満で撮像可能である。このようなCTの技術革新は、肺癌をより小さな段階で発見できる可能性を拓いている。しかしながら、多検出器列ヘリカルCTは1回のスキャン当り数百枚の画像を生成するため、読影に要する負担が著しく増大するという問題も招いている。
上記の背景より、低線量ヘリカルCTが肺癌検診の方法として確立されるためには、肺癌の見落としを防ぐためのコンピュータによる読影支援診断システム(Computer Assisted Diagnosis:以下、CADと記す)が必要であることが広く認識されている。小さな肺野型肺癌は、CT画像上で結節状異常として現れるため、このような異常の自動的検出は極めて重要なテーマであり、1990年代より様々な研究が行われてきた(例えば、非特許文献1を参照)。
「David S. Paik,ほか7名,"Surface Normal Overlap: A Computer-Aided Detection Algorithm With Application to Colonic Polyps and Lung Nodules in Helical CT",IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING, VOL.23, NO.6,2004年6月,p.661-675」
CT画像における肺結節の自動検出に対しては、何らかの方法で結節の候補となる領域(以下、結節候補領域と記す)を抽出し、この結節候補領域を特徴付ける複数の特徴量を求め、これら特徴量に基づいて結節候補領域が結節であるか否かを判定するというアプローチがとられる。しかしながら、結節は肺血管の一部と特徴が類似するため、結節候補領域を特徴付ける特徴量からでは、結節と肺血管とが的確に区別できないことがあった。
このような事情から、結節候補領域が結節であるか否かの最終的な判定は、依然として医師に委ねられている。通常この判定は、断面表示画像だけの観察に基づいて行われる。しかし、この方式では3次元的形状を即座に把握できないため、結節と肺血管の区別に手間取る場合があり、判定の効率が必ずしも良いとは言えない。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、被検体の内部を表す画像に含まれる異常候補領域が結節のような解剖学的異常であるか否かを医師が迅速に判定することを可能とすることにある。
本発明の第1の態様による医用画像診断支援プログラムは、コンピュータを、被検体の内部を表す医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域を特定する手段と、前記医用画像に基づいて、前記異常候補領域とその周辺領域とを互いに区別可能な形態で表す表示画像を生成する生成手段として機能させる。
本発明の第2の態様による医用画像診断支援プログラムは、コンピュータを、被検体の内部を表す医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域にを特定する手段と、前記医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域の位置を前記被検体の内部を表す画像中に表す表示画像を生成する生成手段と、前記表示画像に関して行われる解剖学的異常の位置の指定を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された位置を前記解剖学的異常の位置として管理する手段として機能させる。
本発明の第1の実施形態に係る医用画像診断支援装置1の構成を示す図。 図1中の医用画像診断支援装置1における結節検出のための処理の概略を示すフローチャート。 図1中のマルチスライスCT2で取得された3次元画像データが表す画像およびこの画像から分割された前景部の画像を示す図。 楕円体モデルの生成処理を説明する図。 ペナルティ画像の合成過程について説明する図。 楕円体モデルの変形処理を説明する図。 変形完了後の楕円体モデルとこの楕円体モデルにより特定される結節候補領域とを示す図。 拡張結節候補領域の特定について説明する図。 探索基準点を生成するための処理を説明する図。 図1中の判定部13が逓減度を計算するための処理のフローチャート。 拡張結節候補領域の探索の様子を示す図。 拡張結節候補領域の探索の様子を示す図。 拡張結節候補領域の探索の様子を示す図。 拡張結節候補領域の探索の様子を示す図。 第3の終了条件について説明する図。 第4の終了条件について説明する図。 第1の実施形態の第1の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第1の実施形態の第2の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第1の実施形態の第3の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第1の実施形態の第4の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第1の実施形態の第5の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第1の実施形態の第6の表示画像例に係る表示画像を示す図。 第2の実施形態に係る医用画像診断支援装置3の構成を示す図。 第2の実施形態の第1の読影支援処理に係る第1の表示画像の一例を示す図。 第2の実施形態の第1の読影支援処理に係る第2の表示画像の一例を示す図。 第2の実施形態の第1の読影支援処理に係る第3の表示画像の一例を示す図。 第2の実施形態の第2の読影支援処理に係る第1の表示画像の一例を示す図。 第2の実施形態の第2の読影支援処理に係る第2の表示画像の一例を示す図。 第3の実施形態における図23中の表示画像生成部32の処理を示すフローチャート。 モード設定用のダイアログボックスの一例を示す図。 読影支援処理のフローチャート。 読影用画面330の一例を示す図。 ブラウズ支援処理のフローチャート。 ブラウズ用画面340の一例を示す図。 図34に示すブラウズ用画面340から更新されたブラウズ用画面350の一例を示す図。 図35に示すブラウズ用画面350から更新されたブラウズ用画面360の一例を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る医用画像診断支援装置1の構成を示す図である。
この図1に示す医用画像診断支援装置1は、マルチスライスCT2により取得された3次元画像データを処理対象とする。医用画像診断支援装置1は、図1に示すように、結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12、判定部13、画像データ処理部14、表示画像生成部15および表示器16を含む。
この医用画像診断支援装置1は、例えば汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。そして結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12、判定部13、画像データ処理部14および表示画像生成部15は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサに医用画像診断支援プログラムを実行させることにより実現することができる。このときに医用画像診断支援装置1は、上記の医用画像診断支援プログラムが上記のコンピュータ装置に予めインストールされて実現されても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記の医用画像診断支援プログラムを配布し、この医用画像診断支援プログラムを上記のコンピュータ装置にインストールして実現されても良い。なお、上記の各部は、その一部または全てをロジック回路などのハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各部のそれぞれは、ハードウェアとソフトウェア制御とを組み合わせて実現することも可能である。
結節候補領域特定部11は、処理対象となる3次元画像データが表す画像(以下、処理対象画像と記す)中で、結節であり得る領域(以下、結節候補領域と記す)を特定する。拡張結節候補領域特定部12は、処理対象画像中で、拡張結節候補領域を特定する。拡張結節候補領域は、上記の結節候補領域とそれに連続する周辺領域とを含む。判定部13は、結節候補領域および周辺領域のそれぞれの特徴量に基づいて結節候補領域が結節であるか否かを判定する。画像データ処理部14は、結節候補領域および周辺領域のそれぞれの特徴を分析する。表示画像生成部15は、画像データ処理部14によって分析された特徴とマルチスライスCT2により取得された3次元画像データとに基づいて、医師による読影のために提供する表示画像を生成する。表示器16は、上記の表示画像を表示する。表示器16としては、CRTなどの表示デバイスを利用できる。表示器16は、医用画像診断支援装置1に内蔵せずに、外付けされても良い。
次に以上のように構成された医用画像診断支援装置1の動作について説明する。
(結節候補領域および周辺領域の特定)
まず医用画像診断支援装置1は、特願2005−056098として提案された手法を利用して、以下のようにして結節候補領域および周辺領域を特定する。
図2は医用画像診断支援装置1における結節検出のための処理の概略を示すフローチャートである。
ステップSa1乃至ステップSa6は結節候補領域特定部11による処理である。ステップSa7は拡張結節候補領域特定部12による処理である。ステップSa8乃至ステップSa10は判定部13による処理である。
まず、診断対象となる被検体の肺を含む胸部全体をマルチスライスCT2によって撮影する。
ステップSa1において結節候補領域特定部11は、上記の撮影によりマルチスライスCT2で取得された3次元画像データを入力し、記憶する。
ステップSa2において結節候補領域特定部11は、上記の3次元画像データが表す処理対象画像から肺に相当する領域を分割する。この処理には、例えば既存の方法を利用可能である。この既存の方法は、典型的には「Hu S, Hoffman EA, Reinhardt JM. Automatic lung segmentation for accurate quantitation of volumetric X-ray CT images. IEEE Trans Med Imaging 2001; 20:490-498」に示される方法である。
ステップSa3において結節候補領域特定部11は、ステップSa2で得た肺領域を、肺血管および結節におよそ相当する前景部とそれ以外の背景部とに二分する。この処理には、例えば既存の適応的閾値処理を適用可能である。この適応的閾値処理は、典型的には「Manay S, Yezzi A. Antigeometric diffusion for adaptive thresholding and fast segmentation. IEEE Trans Image Processing 2003; 12:1310-1323」に示される方法である。図3(a)はマルチスライスCT2で取得された処理対象画像を示す図である。図3(b)は図3(a)に示す処理対象画像から分割された前景部の画像を示す図である。なお、図3(a)に示す円内に結節が存在している。また図3(b)における黒地範囲が肺領域に相当し、この肺領域の中の白抜き領域が肺領域の前景部を表す。
ステップSa4において結節候補領域特定部11は、結節候補領域の中心となり得る仮中心を決定する。まず結節候補領域特定部11は、前景部に属する各ボクセルの値を、各ボクセルから背景部に属するボクセルへの最短距離に応じた値に変換する。例えば図4(a)に示すような形状の前景部が含まれる領域に着目すると、図4(b)に示すボクセルB1は、前景部に属する。そして背景部に属し、かつボクセルB1に最も近いのは、ボクセルB2,B3である。ボクセルB1とボクセルB2,B3との距離(中心点間の距離)は、2ボクセル分である。そこでボクセルB1の値を、図4(b)に示すように「2」とする。この結果図4(b)に示すように、基本的には前景部の内部に行くほど大きな値を有する画像へと変換される。そして結節候補領域特定部11は、この距離変換後の値が極大となる点を、仮中心として決定する。極大の値を持つボクセルが1つのみの場合、仮中心はこのボクセルのボクセル点とする。極大の値を持つボクセルが2つ以上有る場合には、仮中心はこれらのボクセルのボクセル点の重心位置とする。例えば図4(b)では、ボクセルB1とボクセルB4とがともに最大の値を持つから、これらボクセルB1,B4のボクセル点の重心(中間点)Pを仮中心とする。なお通常は、肺領域の画像中に結節であり得る前景部領域が複数存在する。結節候補領域特定部11は、これらの複数の領域についてそれぞれ仮中心を決定する。
以降の処理は、上記の複数の仮中心のそれぞれについて行われるが、それらは同様な処理であるので、以下では1つの仮中心についての処理のみを説明する。
ステップSa5において結節候補領域特定部11は、仮中心を内在する楕円体モデルを生成する。具体的には、結節候補領域特定部11はまず、上記の仮中心を中心とし、距離変換後の極大値を半径とする球として初期化された楕円体モデルを用意する。図4(c)は、図4(b)のように決定された仮中心Pに対する楕円体モデルを示す図である。図4(c)では、楕円体モデルの断面を破線で示している。そして結節候補領域特定部11は、この楕円体モデルを、画像の有する情報に基づいて変形する。楕円体モデルの変形は、例えば既存の方法に準じて行うことができる。この方法は、典型的には「Staib LH, Duncan JS. Model-based deformable surface finding for medical images. IEEE Trans Med Imaging 1996; 15:720-731」に示される方法である。この方法は、一般の3次元画像におけるフーリエ曲面の変形に関する。なお楕円体は、最も単純なフーリエ閉曲面である。上記の方法による楕円体モデルの変形は、与えられた3次元画像の濃度勾配の大きさに負号をつけたものをペナルティ画像として、このペナルティ画像の値のフーリエ曲面上での積分を最小化するようになされる。ただしここでは、上記の方法の改良として、対象とする3次元画像とLoG(Laplacian-of-Gaussian)フィルタとの畳込みの絶対値に、対象とする3次元画像の濃度勾配の大きさに負号をつけたものを加算して得られる画像をペナルティ画像とする。LoGフィルタは、一種の二次微分を行うものである。一方、濃度勾配は、一次微分フィルタによって得られる。このため、ここで用いるペナルティ画像は、対象とする3次元画像の一次微分フィルタ処理結果と二次微分フィルタ処理結果とを合成したものと言える。
ペナルティ画像の合成過程について、図5を参照しながらさらに詳しく説明する。この合成過程を一次元的に例示するために、結節を貫通する直線に沿った濃度の変動がグラフG1のように表されるとする。なお、グラフG1における中央部の山が結節に相当する。グラフG2としてその形状を示すLoGフィルタを、グラフG1に畳込んだ結果およびその絶対値は、グラフG3およびG4のようになる。一方、グラフG1に示される濃度変動の勾配の大きさに負号をつけると、グラフG5が得られる。そして、グラフG4とグラフG5とを合成することにより、グラフG6が得られる。グラフG5とグラフG6とを比較すると、グラフG6は結節の境界に相当する位置でより明瞭な谷を有しており、ペナルティ値としての使用により適している。なお、図5における破線はゼロを表す基線である。
そして例えば図6に示すように、ペナルティ画像におけるペナルティ値の谷に楕円体モデルが沿うように楕円体モデルを変形する。
ステップSa6において結節候補領域特定部11は、変形完了後の楕円体モデルに基づいて、距離変換を行っていない元の処理対象画像における結節候補領域を特定する。すなわち、結節候補領域特定部11は、変形完了後の楕円体モデル内に位置し、かつ肺領域前景部に属するボクセルの集合を結節候補領域として特定する。図7(a)は変形完了後の楕円体モデル101を結節とその近傍に当たる処理対象画像の一部分の半透過表示とに重ねて表わした図である。図7(b)に示した構造は図3(a)に示した結節とその近傍における肺領域前景部であり、上記のようにして特定された結節候補領域102を比較的濃い色で示す。
なお、ここで結節候補領域の生成に使用された変形完了後の楕円体モデルを、以降においては当該結節候補領域の生成楕円体モデルと記す。
ステップSa7において拡張結節候補領域特定部12は、結節候補領域に対応する拡張結節候補領域を決定する。拡張結節候補領域は、当該結節候補領域と重なるか、あるいは当該結節候補領域に連続する構造に相当する領域である。
拡張結節候補領域の特定について、図8を参照しながら詳しく説明する。なお、拡張結節候補領域は3次元的に特定するが、ここでは説明の簡略化のために、過程を2次元的に例示する。
図8(a)はCT画像の小領域を示す。図8(b)はこの小領域における肺領域前景部を灰色で、背景部を白色で示すと共に、楕円を一つ示してある。この楕円が、当該結節候補領域の生成楕円体モデル101を例示するものとして説明を進める。従って図8(b)における円内の灰色の領域が結節候補領域102に相当する。
図8(c)は結節候補領域102を拡大して示す。図8(c)における黒丸は、結節候補領域102の重心102aである。図8(c)で、白い十字で標識されるボクセルは、結節候補領域102に属し、かつ当該結節候補領域102に属さないボクセルと隣接するボクセルである。これら白い十字で標識されるボクセルから成る領域を結節候補領域102の内境界と定義する。黒い十字で標識されるボクセルは、結節候補領域102に属さず、かつ当該結節候補領域102に属するボクセルと隣接するボクセルである。これら黒い十字で標識されるボクセルから成る領域を結節候補領域102の外境界と定義する。また、内境界に属するボクセルの平均濃度を当該結節候補領域102に関する内境界濃度と定義する。同様に、外境界に属するボクセルの平均濃度を当該結節候補領域102に関する外境界濃度と定義する。結節候補領域102に対応する拡張結節候補領域は、内境界濃度と外境界濃度との加重平均(以後、平均境界濃度と記す)を閾値とする閾値処理を経て得られる。この閾値処理では、対象とする3次元画像において平均境界濃度以上の濃度を示しかつ肺領域内に位置するボクセルを「1」、そうでないボクセルを「0」とする3次元配列をまず生成する。この3次元配列における連結成分(値が「1」でありかつ互いに連結したボクセルの集合で、図8(d)の灰色で示した部分)のうち結節候補領域102と共有するボクセルを持つものを図8(e)に示すように結節候補領域102に関する拡張結節候補領域103と定義する。このように、拡張結節候補領域103は、結節候補領域102と、当該結節候補領域102に連続する周辺領域とからなる領域として特定される。なお、結節候補領域102の生成楕円体モデル101(再び図8(f)において楕円として例示してある)の外に位置するボクセルのうち生成楕円体モデル101内に位置するボクセルと隣接するものから成る領域と、拡張結節候補領域に共通する領域とを、拡張結節候補領域臨界部104(図8(f)の黒で示した部分)と定義する。
ステップSa8において判定部13は、拡張結節候補領域中の探索基準点を特定する。判定部13は、拡張結節候補領域臨界部104の連結成分と一対一に対応するように探索基準点を生成する。例えば図8(f)における左側の連結成分に対しては、判定部13は以下のように探索基準点を生成する。判定部13は図9(a)に示すように、連結成分に属する各ボクセルに対し、結節候補領域102の重心102aから当該ボクセルに至るベクトル105(以下、遠心ベクトルと記す)の方向へ当該ボクセルを始点とする線分を伸長させ、その終点が拡張結節候補領域103の外に出れば伸長を止める。なお、この時にもし終点が肺領域内になければ、当該ボクセルは考慮の対象外とする。このようにして定めた線分を、遠心方向線分106と称する。判定部13は、図9(b)に示すように複数のボクセルのそれぞれに対して定められる複数の遠心方向線分106のうちで最も長いものを選択する。そして判定部13は、選択した遠心方向線分106の始点を与えるボクセルの位置を当該連結成分に対応する探索基準点107と定める。
ステップSa9において判定部13は、逓減度を計算する。図10は判定部13による逓減度計算の処理手順を示すフローチャートである。この処理の中で拡張結節候補領域の探索が行われるが、この探索における主な操作の様子を図11乃至図14に示す。なお図11,12は結節候補領域が結節に相当する場合を、図13,14は結節候補領域が肺血管に相当する場合をそれぞれ示す。
ステップSb1において判定部13は、拡張結節候補領域103について得られた探索基準点107の集合のうちに未選択の探索基準点107があるか否かを確認する。
未選択の探索基準点107があるならば判定部13は、ステップSb1からステップSb2へ進む。ステップSb2において判定部13は、上記の探索基準点107の集合のうちから未選択の1つの探索基準点107を選択する。
ステップSb3において判定部13は、上記の選択した探索基準点107に基づいて観察基準線および観察基準点を設定する。判定部13は、図11(a)に示すように、結節候補領域102の重心102aを始点とする有向線分を、選択した探索基準点107がその中点となるように設ける。そしてこの線分を観察基準線108と定義する。また判定部13は、重心102a上に観察基準点を設定する。なお観察基準点は固定的なものではなく、後述するように観察基準線の始点から終点の間を移動する。
ステップSb4において判定部13は、観察基準線108に直交し、かつ観察基準点を通る平面を観察平面109として定義する。この上で判定部13は、図11(b)に示すように観察平面内に当該結節候補領域の生成楕円体モデルと観察平面との交線で与えられる楕円で初期化された楕円モデルを設定する。次に判定部13は、ステップSa3で用いられたペナルティ画像の値の楕円モデル上での線積分が最小化するように楕円モデルを変形させる。そして判定部13は、観察平面109における拡張結節候補領域の断面のうち変形完了後の楕円モデルの内部にある部分の面積(以下、楕円モデル内拡張結節候補領域断面と記す)を計算する。図11(b)は変形完了後の楕円モデル110を示す。図11(c)は、図11(b)に含まれる楕円モデル内拡張結節候補領域断面111を示す。
ステップSb5において判定部13は、現在の観察基準点が観察基準線108の中点以前(探索基準点107以前)であるか否かを判断する。
現在の観察基準点が観察基準線108の中点以前であるならば判定部13は、ステップSb5からステップSb6へ進み、そうでないならばステップSb5からステップSb7へ進む。ステップSb6において判定部13は、上記のように計算した楕円モデル内拡張結節候補領域断面の面積を第1積算器に加える。ステップSb7において判定部13は、上記のように計算した楕円モデル内拡張結節候補領域断面の面積を第2積算器に加える。なお、第1積算器および第2積算器は、判定部13に含まれる。また第1積算器および第2積算器は、図10に示す処理の開始時に零で初期化される。
ステップSb8において判定部13は、終了条件が成立しているか否かを確認する。ここでは、終了条件は以下の4つとする。
(第1の終了条件)
観察基準点が、観察基準線の終点に達している。
(第2の終了条件)
楕円モデル内拡張結節候補領域断面がなくなっている。
(第3の終了条件)
図15を参照して説明する。図15は血管に付着した結節の辺縁部付近で観察基準点が図15(a)から図15(b)および図15(b)から図15(c)への二間隔を移動する際に変形完了後の楕円モデルが推移する様子を示している。図15(b)と図15(c)との間で、楕円モデル110の大きさが急に変化している。これは、血管に付着した結節の辺縁部において楕円モデル110の範囲に結節の断面がもはや観察されなくなることにより、すなわち血管の断面のみが観察されるようになることにより起きる。このため、これ以降の探索は無意味であるので、上記の状態の発生を終了条件とする。この終了条件の成立の判定は、次のような処理により実現できる。観察基準点の各位置で、楕円モデルの平均変位(変形前の楕円モデルの周に沿った点列と、これに対応する変形完了後の楕円モデルの周に沿った点列を考え、2つの点列の対応する点の間の平均距離として求められる)を楕円モデルの平均実効半径(変形前の楕円モデルの実効半径と変形完了後の楕円モデルの実効半径の平均値)で割った楕円モデル相対平均変位を計算する。そして、楕円モデル相対平均変位が予め設定したある上限値より大きければ、この終了条件が成立したこととする。
(第4の終了条件)
図16を参照して説明する。図16は血管に付着した別の結節についての図である。そして図16(a)は観察基準点が観察基準線の始点付近にある場合を、図16(b)は観察基準点が観察基準線の中点付近にある場合をそれぞれ示している。図16(a)および図16(b)の下段の模式図にあるように、観察平面109に当たる処理対象画像のうち楕円モデル内の部分(以下、楕円モデル内画像と記す)は、その濃度が平面内の座標に応じて線形に変化する成分(以下、楕円モデル内画像線形成分と記す)とそれ以外の成分(以下、楕円モデル内画像非線形成分と記す)とに分解できる。楕円モデルが血管の横断面とおよそ合致しているか、あるいは図16(a)に示すように結節の断面とおよそ合致している場合は、楕円モデル内画像における濃度変動は主として楕円モデル内画像非線形成分の濃度変動によって説明される。ところが図16(b)に示すように楕円モデルが血管の縦断面と血管の中央とから外れて重なる場合等では、楕円モデル内画像における濃度変動の多くが楕円モデル内画像線形成分の濃度変動によって説明される。一般に、血管に付着した結節と血管との移行部で図16(b)に類似する場合が生じ得る。そして、この状態が生じた場合には、これ以降の探索は無意味であるので、上記の状態の発生を終了条件とする。この終了条件の成立の判定は、次のような処理により実現できる。観察基準点の各位置で、楕円モデル内画像非線形成分における濃度の標準偏差を楕円モデル内画像における濃度の標準偏差で割った楕円モデル内画像非線形成分寄与割合を計算する。そして、楕円モデル内画像非線形成分寄与割合が予め設定したある下限値より小さければ、この終了条件が成立したこととする。
このような終了条件のいずれも成立していないのならば、判定部13はステップSb8からステップSb9へ進む。ステップSb9において判定部13は、観察基準点を一定の細かい間隔だけ観察基準線108上で移動させる。これにより、観察平面も観察基準点に付随して移動する。この上で判定部13は、ステップSb4以降を繰り返す。これにより判定部13は、楕円モデルを変形させて楕円モデル内拡張結節候補領域断面の面積を計算する過程を、観察基準点を一間隔移動しつつ、終了条件が成立するまで繰り返す。
終了条件が成立したならば、判定部13はステップSb8からステップSb10へ進む。ステップSb10において判定部13は、第2積算器の値を第1積算器の値で割った商を算出する。この商は、現在選択している探索基準点について、拡張結節候補領域遠位部の同領域近位部に対する体積比を表す。そして判定部13は、このように算出した体積比を記録しておく。こののちに判定部13は、ステップSb1以降を繰り返す。これにより判定部13は、拡張結節候補領域103について得られた全ての探索基準点107のそれぞれに対して体積比を算出し、記録して行く。
拡張結節候補領域103について得られた全ての探索基準点107のそれぞれに対して体積比の算出を終えたならば、ステップSb1にて未選択の探索基準点が見つからなくなる。そこでこの場合に判定部13は、ステップSb1からステップSb11に進む。なお、拡張結節候補領域103について探索基準点107が1つも得られていない場合には、判定部13は図10の処理を開始した直後に、ステップSb2以降へ進むことなしにステップSb1からステップSb11へ進む。ステップSb11において判定部13は、全ての探索基準点について記録された商のうち最大値を「1」から引いた値を結節候補領域102の逓減度とする。なお、探索基準点107が1つも得られていない場合には、記録された商のうち最大値のは「0」であるとする。
このようにして計算される逓減度は、結節候補領域102とそれに連続する構造との関係を要約する特徴量である。さらに詳しくは、拡張結節候補領域103を結節候補領域102の重心102aから遠心性にある距離にわたって探索することにより求められる、拡張結節候補領域遠位部の拡張結節候補領域領域近位部に対する相対的体積減少度を表す特徴量である。
以上のように逓減度の計算を終えたならば、判定部13は図2におけるステップSa9からステップSa10へ進む。ステップSa10において判定部13は、結節候補領域102が結節であるか否かを判定する。結節候補領域102が肺血管の一部である場合は、結節候補領域102に対応する拡張結節候補領域103の近位部と遠位部とはともに肺血管の一部に他ならないから、上記の逓減度はあるとしても小さい。すなわち逓減度は零に近くなる。これに対し、結節候補領域102が血管から孤立した結節に相当する場合は、拡張結節候補領域103の遠位部の体積は拡張結節候補領域103の近位部に比較して僅かとなることから逓減度はその最大値である1に近い値となる。判定部13は、逓減度から分かるこのような性質とともに、結節候補領域102の実効径や濃度コントラスト等の比較的単純な特徴量を使用して、上記の判定を行う。
(読影支援用の画像表示)
画像データ処理部14は、上記のようにして結節であると判定された結節候補領域と、この結節候補領域に関する周辺領域に関する特徴を分析する。そして表示画像生成部15は、上記の特徴を表す表示画像を生成する。この表示画像は、表示器16によって表示される。
(第1の表示画像例)
図17(a)は表示画像200を示す図である。
表示画像生成部15は、結節候補領域の1つをVR(volume rendering)表示する画像201と、周辺領域に関するMPR(multi-planar reconstruction)断面を斜視表示する画像202とを合成して表示画像200を生成する。画像202が表すMPR断面は、アキシャル(axial)断面、サジタル(sagittal)断面、コロナル(coronal)断面、あるいは任意方向(oblique)断面のいずれでも良い。画像202には、領域抽出処理をされていない血管、気管支、あるいは実質構造などを含む。
なお、図17(a)においては、表示画像200における画像201および画像202の配置を模式的に示し、それぞれの画像の詳細については図示を省略している。
図17(b)は表示画像210を示す図である。
表示画像生成部15は、画像202が表すMPR断面を平面表示する画像として画像210を生成する。表示画像生成部15は、表示画像200を単独で表示器16に表示させても良いし、表示画像200と表示画像210とを並べて表示器16に表示させても良い。
なお、図17(b)においては、表示画像210を模式的に示し、その画像の詳細については図示を省略している。
表示画像生成部15は、操作者による操作に応じて画像202として表示するMPR断面を面の垂直方向に変化させる。このとき、表示画像210を並列表示しているときには、表示画像210が表すMPR断面も変化させる。
(第2の表示画像例)
図18は表示画像220を示す図である。なお、図18において図17(a)と同一の画像には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
表示画像生成部15は、周辺領域に存在する管状構造をVR表示する画像221と、画像201,202とを合成して表示画像220を生成する。管状構造は、結節候補の周辺構造である気管支、血管構造、あるいはスピキュラ(悪性腫瘍特有の針状構造)などであり、画像データ処理部14によって抽出される。画像データ処理部14は、前景部情報を利用するか、あるいは結節候補表面側から領域拡張法(region growing法)などの手法を用いて管状構造を抽出する。表示画像生成部15は、見分け易いように画像221を色付けして表すように表示画像220を生成しても良い。なおスピキュラの長さは一般に20mm以下である。表示画像生成部15は、スピキュラを画像221として表す場合、画像221をその長さに応じて色分けして表すように表示画像220を生成しても良い。
表示画像生成部15は、表示画像220を単独で表示器16に表示させても良いし、表示画像220と図17(b)に示した表示画像210とを並べて表示器16に表示させても良い。
なお、図18においては、表示画像220における画像201,202,221の配置を模式的に示し、それぞれの画像の詳細については図示を省略している。
(第3の表示画像例)
図19は表示画像230を示す図である。なお図19において、図18に示されるのと同様な画像には、図18で用いているのと同一の符号の末尾に「−1」または「−2」を付与した符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお末尾に「−1」が付与された符号が付されているのは、過去に収集された3次元画像データに基づく画像である。末尾に「−2」が付与された符号が付されているのは、最も新しく収集された3次元画像データに基づく画像である。
表示画像生成部15は、画像220−1と画像220−2とを並列させて画像230を生成する。表示画像生成部15は、画像220−2には、結節候補周辺構造の経時変化分を表す画像231を含める。ただし、経時変化分を表す画像は、画像220−1に含めることも可能である。
なお、結節候補周辺構造の経時変化を追跡するには、過去と現在の3次元画像の位置合わせを行う必要がある。このためには、過去画像と現在画像とについて特定された同一の結節候補領域を含む局所的な3次元空間内の結節候補の周辺の血管、あるいは結節候補の周辺の気管支の分岐部を特定し、それらの中の特定構造や特定点を用いて、2つの局所3次元空間の位置合わせを行うことができる。
なお、図19においては、表示画像230における画像220−1,220−2,231の配置を模式的に示し、それぞれの画像の詳細については図示を省略している。
(第4の表示画像例)
図20は表示画像240を示す図である。
表示画像生成部15は、結節候補領域を含む断面画像241,242に、それらの画像断面と楕円体モデルとの交線である楕円243,244を生成して重畳表示する。また、楕円の中心は同一とし、軸長をより大きくしても良い。
表示画像生成部15は、図7(a)に示すような画像を、画像240と並列表示させるようにしても良い。
(第5の表示画像例)
図21は表示画像250を示す図である。
表示画像生成部15は、結節領域内部の各ボクセル毎の分析値/機能値(例えば、正規化した画像など)を周辺構造のMPR表示断面と同一断面内にカラーにてMPR表示するように表示画像250を生成する。分析値/機能値は、画像データ処理部14によって求められる。分析値/機能値としては、結節候補のフォローアップにおいて、過去画像と現在画像との結節候補領域内部の輝度値(X線CTの場合は、HU(Hounsfield unit)値)の比、あるいは差分値を用いることができる。これはX線CT画像において肺癌もしくはその前駆病変の可能性があるすりガラス陰影(GGO:ground-glass opacity)を経過観察する上で有用な画像となる。
また、結節候補領域内部の輝度値のヒストグラム分析を画像データ処理部14で行い、そのヒストグラム上の特徴的な輝度値の範囲のみを表した表示画像を表示画像生成部15で生成するようにしても良い。このような表示画像は、結節内部の性状を詳細に観察する上で有用である。
なお、図21においては、分析値/機能値に応じて表示色が変化している様子を模式的に示し、その画像の詳細については図示を省略している。
(第6の表示画像例)
図22は表示画像260を示す図である。なお、図22において図17(a)と同一の画像には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
表示画像生成部15は、結節候補領域の1つをVR表示する画像261と、画像202とを合成して表示画像260を生成する。画像261は、結節の輝度情報であるCT値をオパシティ(opacity)として、機能値をカラー値として割り当てて結節候補領域を表す。図22は3次元の結節候補領域のある線上の輝度値と機能値とを示している。
すなわち、前記のごとく、結節候補のフォローアップにおいて、過去画像と現在画像との結節候補領域内部の輝度値の比、あるいは差分値を機能値として対応させ、現在画像のHU値をオパシティとすることにより、現時点で輝度値が高い部分をより強調してカラー化したボリュームレンダリング画像が得られることになる。
なお、図17から図22に図示したMPR断面画像はある厚みを有する断面のMPR画像(所謂、厚み付MPR画像)やMIP(最大値投影)画像で有っても良い。
(第7の表示画像例)
表示画像生成部15は、結節候補領域の位置を表す表示画像を生成する。このときに表示画像生成部15は、結節候補領域をそのサイズに応じて表示形態を異ならせる。例えば、画像データ処理部14において、上記の結節候補領域のそれぞれに関して、楕円体モデルの3つの軸長の平均値、あるいは3つの軸長の最大値などをそれぞれ結節サイズとして求める。表示画像生成部15は、上記の結節サイズが閾値以上であるか否かに応じて、表示画像に表すか否かや、表示色を変更する。
なお表示画像生成部15は、上記の結節サイズの経時変化を記録しておき、その変化量が大きい場合には、上記結節サイズが閾値未満であっても表示画像に表すようにしたり、別の表示色を割り当てて表すようにしても良い。
かくして第1の実施形態によれば、判定部13により結節であると判定された結節候補領域およびその周辺領域の特徴を、読影医が容易に目視することが可能となる。そしてこの特徴に基づいて、判定部13により結節であると判定された結節候補領域が本当に結節であるか否かの判断を読影医が行うことができる。
(第2の実施形態)
図23は第2の実施形態に係る医用画像診断支援装置3の構成を示す図である。なお、図23において図1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この図23に示す医用画像診断支援装置3は、マルチスライスCT2により取得された3次元画像データを処理対象とする。医用画像診断支援装置3は、結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12、判定部13、表示器16、入力部31および表示画像生成部32を含む。すなわち医用画像診断支援装置3は、医用画像診断支援装置1における表示画像生成部15に代えて表示画像生成部32を備えるとともに、入力部31をさらに含む。医用画像診断支援装置3は、画像データ処理部14を含まない。
この医用画像診断支援装置3は、例えば汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。そして結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12、判定部13および表示画像生成部32は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサに医用画像診断支援プログラムを実行させることにより実現することができる。このときに医用画像診断支援装置3は、上記の医用画像診断支援プログラムが上記のコンピュータ装置に予めインストールされて実現されても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記の医用画像診断支援プログラムを配布し、この医用画像診断支援プログラムを上記のコンピュータ装置にインストールして実現されても良い。なお、上記の各部は、その一部または全てをロジック回路などのハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各部のそれぞれは、ハードウェアとソフトウェア制御とを組み合わせて実現することも可能である。
入力部31は、表示器16に表示された画像上での任意の位置に関するユーザ指定を入力する。入力部31としては、例えばマウスなどの周知のポインティングデバイスを利用できる。
表示画像生成部32は、判定部13での判定結果と、マルチスライスCT2により取得された3次元画像データと、入力部31により入力されたユーザ指示とに基づいて、医師による読影のために提供する表示画像を生成する。
次に以上のように構成された医用画像診断支援装置3の動作について説明する。
結節候補領域および周辺領域の特定は、結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12および判定部13によって第1の実施形態と同様に行われる。
(第1の読影支援処理)
さて、読影医が読影を行う際に表示画像生成部32はまず、アキシャル画像、あるいは直交3断面のMPR画像の何れか1断面の画像などを表す表示画像を3次元画像データに基づいて生成し、表示器16に表示させる。なおここでは、表示画像生成部32は、X線様透視画像などの参照肺野画像を表す表示画像を生成することとする。読影医は、表示器16の表示画像を観察しながら、画像上の結節候補の位置の指定を入力部31により入力する。表示画像生成部32は、入力部31により入力されるユーザ操作に基づいて、読影医が判定した結節候補の位置を判断し、記憶する。この記憶は例えば、医用画像診断支援装置3の基本ハードウェアとして用いている汎用のコンピュータ装置に内蔵または外付けされたハードディスクなどの記憶媒体に、上記の位置を示す情報を書き込むことによって実現することができる。また表示画像生成部32は、読影医が判定した結節候補の位置を表すマークを表示画像に含める。図24は読影医が判定した結節候補の位置を表すマークを含んだ表示画像270の一例を示す図である。この表示画像270は、コロナル方向の参照肺野画像271にマーク272が重畳されて形成されている。マーク272は、読影医が判定した結節候補の位置を表す。マーク272は、実線で表した+状をなし、表示色は黄色である。
読影医が結節候補の位置を指定し終えたならば、表示画像生成部32は表示画像を例えば図25に示すような表示画像280に更新する。表示画像生成部32は、表示画像270に、マーク281,282を重畳して表示画像280を生成する。マーク281,282は、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域の位置を表す。マーク281,282は、破線で表した+状をなし、表示色は、マーク281がオレンジ色、マーク282が青色である。表示画像生成部32は、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域の位置のうちで、読影医により指定された位置に対する最短距離が閾値以上である位置をマーク281で表し、上記最短距離が閾値未満である位置をマーク282で表す。かくして、マーク282は、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域が、読影医によって指定された結節候補と同一であるとみなせる場合にマーク282を表し、それ以外の場合にマーク281を表す。
上記のように最初の読影を行った読影医(以下、第1の読影医と称する)あるいは別の第2の読影医は、表示画像280を観察することにより、第1の読影医による判定結果と、医用画像診断支援装置3による判定結果とのずれを容易に認識することができる。そして第1または第2の読影医は、マーク272,281,282が表されているそれぞれの位置に関して、そこが結節であるか否かを最終判断する。そして第1または第2の読影医は、最終的に結節であると判定した位置の指定を入力部31により入力する。表示画像生成部32は、入力部31により入力されるユーザ操作に基づいて、第1または第2の読影医が判定した結節の位置を判断し、記憶する。なお、マーク282の近辺に結節の位置が指定された場合、このマーク282の位置、マーク282と同一と見なせるマーク272の位置、あるいはこれらマーク282とマーク272との中間点を結節の位置とする。表示画像生成部32は、表示されているマーク272,281,282を選択する形態で結節の位置の指定を受け付けることもできる。この場合には、選択されたマークの位置を結節の位置とすれば良い。また表示画像生成部32は、結節候補の位置として第1の読影医により指定された位置や、判定部13により結節であると判定された位置に関して、それが最終的に結節であると判定されなかった場合には、最終的に結節であると判定された位置とは区別して記憶しておく。なお表示画像生成部32は、最終的に結節であると判定されなかった位置を、結節ではない旨の指定を入力部31を介して受けて決定しても良いし、結節である旨の指示がなされなかった位置として決定しても良い。
第1または第2の読影医が結節の位置を指定し終えたならば、表示画像生成部32は表示画像を例えば図26に示すような表示画像290に更新する。表示画像生成部32は、参照肺野画像271にマーク291を重畳して表示画像290を生成する。マーク291は、第1または第2の読影医が指定した結節の位置を表す。マーク291は、破線で表した+状をなし、表示色は緑色である。
なお、表示画像生成部32は、1つの結節の位置が指定される毎に、その位置に表示されていたマーク272,281,282に代えてマーク290を表すように表示画像を更新して行くようにしても良い。
読影医による最終判断は、アキシャル画像、あるいは直交3断面のMPR画像のうちの任意の1断面上で画像を観察しながら行われるが、この観察対象となっている断面上に上記のマークが表示可能で、表示画像生成部32は上記のマークの表示を自動的に行う。
(第2の読影支援処理)
表示画像生成部32はまず、図27に示すような表示画像300を生成し、表示器16に表示させる。表示画像生成部32は、参照肺野画像271に、マーク301を重畳して表示画像300を生成する。マーク301は、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域の位置を表す。マーク301は、破線で表した+状をなし、表示色はオレンジ色である。
読影医は、表示画像300を観察して、判定部13による判定結果を参考しながら結節の位置を判定する。そして読影医は、最終的に結節であると判定した位置の指定を入力部31により入力する。表示画像生成部32は、入力部31により入力されるユーザ操作に基づいて、第1または第2の読影医が判定した結節の位置を判断し、記憶する。
読影医が結節の位置を指定し終えたならば、表示画像生成部32は表示画像を例えば図28に示すような表示画像310に更新する。表示画像生成部32は、参照肺野画像271にマーク311,312を重畳して表示画像310を生成する。マーク311は、マーク301が表示されていたのと同一の位置に読影医が指定した結節の位置を表す。マーク291は、破線で表した+状をなし、表示色は緑色である。マーク312は、マーク301が表示されていたのとは異なる位置に読影医が指定した結節の位置を表す。マーク312は、実線で表した+状をなし、表示色は緑色である。
表示画像生成部32は、判定部13により結節であると判定された位置に関して、それが読影医により結節であると判定されなかった場合には、結節であると判定された位置とは区別して記憶しておく。なお表示画像生成部32は、最終的に結節であると判定されなかった位置を、結節ではない旨の指定を入力部31を介して受けて決定しても良いし、結節である旨の指示がなされなかった位置として決定しても良い。
なお、表示画像生成部32は、1つの結節の位置が指定される毎に、その位置に表示されていたマーク301に代えてマーク311を表したり、新たにマーク312を追加して表すように表示画像を更新して行くようにしても良い。
読影医による最終判断は、アキシャル画像、あるいは直交3断面のMPR画像のうちの任意の1断面上で画像を観察しながら行われるが、この観察対象となっている断面上に上記のマークが表示可能であれば、表示画像生成部32は上記のマークの表示を自動的に行う。
かくして第2の実施形態によれば、医用画像診断支援装置3と読影医とによる二重読影や、医用画像診断支援装置3と第1および第2の読影医による多重読影が、容易に行える。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る医用画像診断支援装置の構成は第2の実施形態に係る医用画像診断支援装置3と同様であるので、その図示は省略する。そして図23を第3の実施形態の説明に流用する。
第3の実施形態が第2の実施形態と異なるのは、表示画像生成部32での処理である。すなわち、基本ハードウェアとして用いるコンピュータ装置に搭載されたプロセッサに実行させる医用画像診断支援プログラムを変更することによって第3の実施形態の表示画像生成部32が実現される。
次に第3の実施形態に係る医用画像診断支援装置3の動作について説明する。
結節候補領域および周辺領域の特定は、結節候補領域特定部11、拡張結節候補領域特定部12および判定部13によって第1の実施形態と同様に行われる。
図29は読影を支援するための表示画像生成部32の処理を示すフローチャートである。
ステップSc1において画像生成部32は、モード設定用のダイアログボックスを表示器16に表示させる。
図30はモード設定用のダイアログボックス320の一例を示す図である。このダイアログボックス320には、ラジオボタン321,322およびOKボタン323を含んでいる。読影医は入力部31を操作して、コンカレントリーダモードを選択する場合にラジオボタン321を、またセカンドリーダモードを選択する場合にラジオボタン322をそれぞれアクティブにした上でOKボタンを押下する。
ステップSc2において表示画像生成部32は、ダイアログボックス320での上記のような読影医の操作に応じて、いずれのモードが選択されているかを判断する。そしてセカンドリーダモードが選択されているならば、表示画像生成部32はステップSc2からステップSc3へ進む。ステップSc3において表示画像生成部32は、読影支援処理を実行する。
図31は読影支援処理のフローチャートである。
ステップSd1において表示画像生成部32は、読影用画面を表示器16に表示させる。
図32は読影用画面330の一例を示す図である。図32に示すように読影用画面は、VR画像331、VR画像332、アキシャル画像333およびサジタル画像334を含んでいる。
VR画像331は、肺全体の3次元像を表す。この肺全体の3次元像は、VR表示だけでなく、3次元画像の画素値をコロナル方向に平均加算した投影画像あるいはMIP画像であっても良い。VR画像332は、VR画像331のうちの一部を拡大して示す。VR画像332は、選択されている結節候補の3次元画像を示す。ただし、初期状態においては、結節候補が選択されていないのでVR画像332は例えばブランクとされる。なお、VR画像332は、コロナル画像であっても良い。アキシャル画像333は、VR画像331に含まれる断面指定ライン331aで指定されるアキシャル断面についての断面像を表す。初期状態においては、頭部方向の最上断面に関するものとされる。サジタル画像334は、VR画像331に含まれる断面指定ライン331bで指定されるサジタル断面についての断面像を表す。サジタル画像334に代えて、コロナル画像を用いても良い。
サジタル断面画像334の表示方向は、観察する結節候補の位置情報に基づいて自動的に設定される。右肺内にある場合は被検体の右から左への方向、左肺内にある場合は被検体の左から右への方向である。
このような読影用画面を表示させた状態で表示画像生成部32は、ステップSd2乃至ステップSd5にて読影医による操作を待ち受ける。
読影医は、断面指定ライン331aまたは断面指定ライン331bを任意にドラッグすることや、断面画像の1つを選択してマウスをドラッグすることなどによって、断面変更を指示することができる。さらに、選択された1つの断面画像を画面340全体となるように拡大表示しても良い。そしてこのような断面変更の指示がなされたならば表示画像生成部32は、ステップSd2からステップSd6へ進む。ステップSd6において表示画像生成部32は、断面指定ライン331aまたは断面指定ライン331bの位置を変更するとともに、それに応じてアキシャル画像333またはサジタル画像334を変更するように読影用画面を更新する。この更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSd2乃至ステップSd5の待ち受け状態に戻る。
一方、読影医はアキシャル画像333、サジタル画像334またはコロナル画像上にて結節と思われる構造を見つけた場合、その構造を含む領域を結節候補として指定する。このように結節候補が指定されたならば表示画像生成部32は、ステップSd3からステップSd7へ進む。ステップSd7において表示画像生成部32は、指定された結節候補の位置などの結節候補情報を登録する。そしてステップSd8において表示画像生成部32は、新たに指定された結節候補を表すマークを含めるように読影用画像を更新する。この更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSd2乃至ステップSd5の待ち受け状態に戻る。
図32におけるマーク331c,333a,334aおよび334bがそれぞれ結節候補を表すマークである。マーク331c333a,334aおよび334bの表示色は、いずれも例えば黄色である。
表示中の断面に複数の結節候補が存在する場合、操作者はそのうちの1つを例えばクリックすることによって選択することができる。このように結節候補が選択されたならば表示画像生成部32は、ステップSd4からステップSd9へ進む。ステップSd9において表示画像生成部32は、読影用画面を更新する。この更新では、選択された結節候補を表すマークを選択されている結節候補であることを表すマークに変更する。またこの更新では、選択された結節候補の周辺を表すようにVR画像332を変更する。図32においては、マーク333a,334aが選択された結節候補を表している。マーク334bは、選択されていない結節候補を表している。
読影医は読影を終えた場合には、終了指示を行う。そうすると表示画像生成部32は、読影支援処理を終了する。
読影支援処理を終了すると表示画像生成部32は、図29中のステップSc4へと進む。なお、コンカレントリーダモードが選択されているならば、表示画像生成部32はステップSc2からステップSc4へと進む。すなわちコンカレントリーダモードが選択されている場合には、表示画像生成部32は読影支援処理を行わない。
ステップSc4において表示画像生成部32は、ブラウズ支援処理を実行する。
図33はブラウズ支援処理のフローチャートである。
ステップSe1において表示画像生成部32は、ブラウズ用画面を表示器16に表示させる。
図34はブラウズ用画面340の一例を示す図である。図34に示すようにブラウズ用画面340は、読影用画像330と同様にVR画像331、VR画像332、アキシャル画像333およびサジタル画像334を含んでいる。ブラウズ用画面340が読影用画像330と異なるのは、読影支援処理にて読影医により指定された結節候補を示したマーク331c,333a,334a,334bの他に、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域の位置を表すマーク341a,343a,344a,344bを含んでいる点にある。マーク331c,333a,334a,334bおよびマーク341a,343a,344a,344bの表示色は、それぞれ例えば黄色および青色である。また、マーク343a,344a,344bとしては、そのマークが示す結節候補に関する楕円体モデルとアキシャル画像333またはサジタル画像334の画像断面との交線である楕円を用いている。なお、初期状態におけるブラウズ用画面のアキシャル画像333は、頭部方向の最上断面に関するものとされる。
このようなブラウズ用画面を表示させた状態で表示画像生成部32は、ステップSe2乃至ステップSe7にて読影医による操作を待ち受ける。なお、ブラウズ支援処理の実行時に操作を行う読影医は、読影支援処理の実行時に操作を行った読影医とは異なることが一般的である。
読影医は、断面指定ライン331aまたは断面指定ライン331bを任意にドラッグすることや、断面画像の1つを選択してマウスをドラッグすることなどによって、断面変更を指示することができる。さらに選択された1つの断面画像を画面340全体となるように拡大表示しても良い。そしてこのような断面変更の指示がなされたならば表示画像生成部32は、ステップSe2からステップSe8へ進む。ステップSe8において表示画像生成部32は、断面指定ライン331aまたは断面指定ライン331bの位置を変更するとともに、それに応じてアキシャル画像333またはサジタル画像334を変更するようにブラウズ用画面を更新する。この更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSe2乃至ステップSe7の待ち受け状態に戻る。なお、断面の変更は、表示画像生成部32が一定の速度で連続的に行っても良い。このようにすれば、読影医の作業負担を軽減することができる。さらには、読影医の指示に応じた断面変更と自動での断面変更とのいずれを行うかを読影医が選択可能としておけば、読影医のニーズに応じた柔軟な動作が可能となってさらに便利である。
読影医は表示断面を変更しながら、既に指定されている結節候補を確認して行く。このときに読影医は、必要があるならば既に指定されている結節候補の1つを例えばクリックすることによって選択することができる。このように結節候補が選択されたならば表示画像生成部32は、ステップSe3からステップSe9へ進む。ステップSe9において表示画像生成部32は、ブラウズ用画面を更新する。この更新では、選択された結節候補を表すマークを選択されている結節候補であることを表すマークに変更する。またこの更新では、選択された結節候補の周辺を表すようにVR画像332を変更する。図34においては、マーク333a,334a,343a,344aが選択された結節候補を表している。マーク334b,344bは、選択されていない結節候補を表している。すなわち、判定部13によって結節であると判定された結節候補領域の位置を表すマークのうちでアキシャル画像333上またはサジタル画像334上に表示されるものは、選択されている結節候補を表すマークが実線で、また選択されていない結節候補を表すマークが破線で示される。ブラウズ用画面の更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSe2乃至ステップSe7の待ち受け状態に戻る。
なお表示画像生成部32は、選択された1つの結節候補とは別のものとして指定されており、かつ前記結節候補との間の最短距離がある閾値未満である別の結節候補が存在するならば、当該別の結節候補を上記の選択された1つの結節候補と同一であると判定する。
読影医は、表示されているマークが画像の確認のために邪魔であるときには、そのマークについての消去を指示する。このようにマークの消去が指示されたならば表示画像生成部32は、ステップSe4からステップSe10へ進む。ステップSe10において表示画像生成部32は、指定されたマークを消去するようにブラウズ用画面を更新する。図35に示すブラウズ用画面350では、ブラウズ用画面340に含まれていたマーク334bが消去されている。なお、マークの消去は一時的なものであり、例えば再表示が指示された場合などに再表示する。ブラウズ用画面の更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSe2乃至ステップSe7の待ち受け状態に戻る。
読影医は、1つの結節候補についての判定を終えたならば、その結節候補について判定メニューの表示を指示する。このように判定メニューの表示が指示されたならば表示画像生成部32は、ステップSe5からステップSe11へ進む。ステップSe11において表示画像生成部32は、例えば図35に示すように判定メニュー351を表示させる。判定メニュー351には、Acceptボタン、Not AcceptボタンおよびIndeterminateボタンを含んでいる。読影医は、結節候補が結節であると判定した場合にはAcceptボタンを、結節ではないと判定した場合にはNot Acceptボタンを、そしていずれとも判定しない場合にはIndeterminateボタンをそれぞれ押す。そこでステップSe12において表示画像生成部32は、そのようなボタンの押下を受け付けることによって判定結果を入力する。そしてステップSe13において表示画像生成部32は、入力した判定結果を反映してマークを変更するようにブラウズ用画面を更新する。図36に示すブラウズ用画面360では、図34におけるマーク331c,341aの1つずつをマーク361aに、図34におけるマーク333a,343aをマーク363aに、さらに図34におけるマーク334a,344aをマーク364aにそれぞれ変更している。なおマーク361a,363a,364aの表示色は、例えば緑色である。なお、最短距離がある閾値未満であるために同時に選択された複数の結節候補のそれぞれに関するマークは、判定後には上述のように1つのマークに変更される。ブラウズ用画面の更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSe2乃至ステップSe7の待ち受け状態に戻る。
読影医は、以上のように既に指定された結節候補についての確認を行っている際に結節と思われる構造を新たに見つけた場合には、その構造を含む領域を結節候補として指定する。このように結節候補が指定されたならば表示画像生成部32は、ステップSe6からステップSe14へ進む。ステップSe14において表示画像生成部32は、指定された結節候補の位置などの結節候補情報を登録する。そしてステップSe15において表示画像生成部32は、新たに指定された結節候補を表すマークを含めるようにブラウズ用画像を更新する。この更新を終えたら、表示画像生成部32はステップSe2乃至ステップSe7の待ち受け状態に戻る。
読影医は結節候補についての確認を終えた場合には、終了指示を行う。そうすると表示画像生成部32は、ブラウズ支援処理を終了する。
かくして第3の実施形態によれば、セカンドリーダモードでは、医用画像診断支援装置3と第1および第2の読影医による多重読影が容易に行える。またコンカレントリーダモードでは医用画像診断支援装置3と読影医とによる二重読影が容易に行える。
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
第1の実施形態においては、判定部13により結節であると判定されなかった結節候補領域についても表示の対象としても良い。
第1の実施形態における第4の表示画像例に係る表示画像は、3つ以上の時間的に異なるタイミングに関する画像を並列表示するものとしても良い。
第1の実施形態における表示画像生成部15は、前述する多数の表示画像例のうちの1つを固定的に適用するようにしても良いし、その際に拡大表示しても良いし、複数の表示画像例を例えばユーザからの要求に応じて選択的に適用しても良い。
第2および第3の実施形態における各種のマークは、他の任意の形状としても良いし、表示色も任意に変更が可能である。また、マークを区別するために、線の太さを変えるなどの他の手法を利用しても良い。
第2の実施形態における表示画像生成部32は、前述する2つの読影支援処理のうちの1つを固定的に適用するようにしても良いし、その際に拡大表示しても良いし、2つの読影支援処理を例えばユーザからの要求に応じて選択的に適用しても良い。
第2の実施形態に示される表示画像に第1の実施形態に示される任意の表示画像を並列表示するようにしても良い。
前記各実施形態は、肺癌における結節状異常の判定に関して記載しているが、本発明の手法は、例えば脳血管障害である脳動脈瘤のような血管に連続する瘤状異常に対しても適用可能である。
前記各実施形態では、マルチスライスCT2により取得される3次元画像を処理対象としているが、X線診断装置、磁気共鳴診断装置、あるいは超音波診断装置などの他の診断モダリティを用いて収集された3次元画像を処理対象としても良い。
結節候補領域の特定は自動では行わず、ユーザにより指定された結節候補領域についての判定を行うようにしても良い。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…医用画像診断支援装置、2…マルチスライスCT、3…医用画像診断支援装置、11…結節候補領域特定部、12…拡張結節候補領域特定部、13…判定部、14…画像データ処理部、15…表示画像生成部、16…表示器、31…入力部、32…表示画像生成部。

Claims (5)

  1. 被検体の内部を表す医用画像を記憶する記憶手段と、
    前記医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域を特定する手段と、
    前記異常候補領域の位置を前記被検体の内部を表す画像中に表す表示画像を生成する生成手段と、
    前記表示画像に関して行われる解剖学的異常の位置の指定を入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力された位置を前記解剖学的異常の位置として管理する手段とを具備したことを特徴とする医用画像診断支援装置。
  2. 前記異常候補領域に連続する周辺領域を特定する周辺領域特定手段と、
    前記異常候補領域に関する第1の特徴量と前記周辺領域に関する第2の特徴量とに基づいて前記異常候補領域が解剖学的異常領域であるか否かを判定する判定手段とをさらに具備し、
    前記生成手段は、前記解剖学的異常領域であると判定された前記異常候補領域の位置のみを前記被検体の内部を表す画像中に表す画像として前記表示画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援装置。
  3. 前記被検体の内部を表す画像に関して行われる解剖学的異常の候補の位置の指定を入力する第2の入力手段をさらに備え、
    前記生成手段は、前記第2の入力手段により入力された位置を前記異常候補領域の位置とは区別可能に表す画像として前記表示画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援装置。
  4. 第1のモードおよび第2のモードの選択指定を入力し、この選択指定に従って第1のモードまたは第2のモードを設定する手段をさらに備え、
    前記第1のモードでは前記第2の入力手段による入力を行わずに、前記生成部が前記異常候補領域の位置を前記被検体の内部を表す画像中に表す表示画像を生成し、前記第2のモードでは、前記第2の入力手段による入力を行って、前記生成手段が前記第2の入力手段により入力された位置を前記異常候補領域の位置とは区別可能に表す表示画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断支援装置。
  5. コンピュータを、
    被検体の内部を表す医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域を特定する手段と、
    前記医用画像に含まれる解剖学的な異常候補領域の位置を前記被検体の内部を表す画像中に表す表示画像を生成する生成手段と、
    前記表示画像に関して行われる解剖学的異常の位置の指定を入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力された位置を前記解剖学的異常の位置として管理する手段として機能させることを特徴とする医用画像診断支援プログラム。
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