JP2012164427A - ウェネルト電極、電子銃並びにx線管 - Google Patents

ウェネルト電極、電子銃並びにx線管 Download PDF

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Abstract

【課題】電極への密着性に優れ、電極の耐電圧を簡易に向上させることができるウェネルト電極、電子銃並びにX線管を提供することを目的とする。
【解決手段】DLC膜Fをウェネルト電極(ここではフォーカスカップ電極13)の表面に成膜することで、放電エネルギにも耐えることができる密着性の優れた絶縁膜でフォーカスカップ電極13を覆う。このように、DLC膜Fをフォーカスカップ電極13に成膜すると電極間の絶縁特性が改善され耐電圧を簡易に向上させることができるので、例えば、コンディショニング時の放電が減りコンディショニングを短時間で終わらせることができ、装置使用前の準備時間が短く済む。また、放電が減ると高電圧電源へのダメージも軽減されるので、損傷事故の防止にもなる。
【選択図】図2

Description

この発明は、工業分野、医療分野などに用いられるウェネルト電極、電子銃並びにX線管に係り、特に、電極の耐電圧の技術に関する。
X線管や電子銃においては、電子源(エミッタ)を囲むウェネルト電極(X線管では「フォーカスカップ電極」とも呼ばれている)と、陽極との間に10kVを越えるような高電圧を印加する必要がある。電極間の電圧を徐々に上げながら放電を故意に誘発することによって電極間の耐電圧を向上させる手法(コンディショニング)が一般的に行われている。
図5にマイクロフォーカスX線管の従来のコンディショニングの様子を示す。図5の横軸は時間を、図5の上段の縦軸はコンディショニング電圧(管電圧)を、図5の下段の縦軸は放電による放電電流(管電流)をそれぞれ示す。コンディショニング中では、電圧をコンディショニング用の閾値(絶縁電圧)まで徐々に上げるまでに、放電が起こることで電圧がその都度降下する。特に、放電電流が高電圧電源の保護回路の閾値を上回ると、電圧印加が中断するように、通常はプログラミングされている。図5に示すように、電圧を上げながら放電を何度も起こすことで耐電圧が徐々に改善され、コンディショニング用の閾値(絶縁電圧)まで電圧が達すると一連のコンディショニングを終了する。
これは、電子源上に存在する微小な突起から電界電子放出(FE: field emission)が生じて陽極に当たり、電子ビームが陽極を加熱したり、あるいは吸着残留ガスを脱ガスすることで放電が誘起されると考えられている。そして、放電のエネルギによって微小突起が次々とつぶれていくので、電極間の耐電圧特性(耐圧特性)は改善される。
一般に、高圧印加を行う電子管(電子銃、それを用いたX線管)においては、コンディショニング操作を繰り返し(例えば毎朝)行う必要がある。これは、電極間の電圧をOFFしてから、しばらく放置すると耐電圧(耐圧)がまた下がってしまうからである。
コンディショニング操作は、高圧印加を行う電子管(X線管や電子銃)では必須のプロセスとみなされている。しかし、特に大気解放した後の真空引き(すなわち大気圧から減圧して真空化した)後のコンディショニングでは、所望の電極間の電圧(絶縁電圧)に達するまでに多くの放電を伴い時間がかかる。ひいては、高電圧電源の損傷事故につながることも少なくない。また、可能であればコンディショニングなし、あるいは短時間のコンディショニング操作で所望の絶縁電圧が得られるようになることが望ましい。また、到達できる絶縁電圧を上げることも強く望まれている。
これらの目的(コンディショニングなし、短時間のコンディショニング操作あるいは絶縁電圧の向上)のために古くから知られているひとつの方法は、電極の表面に絶縁膜を成膜することである(例えば、非特許文献1参照)。アルミニウムで形成された電極にエポキシフィルムを成膜したときには、アルミニウムのみの電極の耐圧と比べて2倍近く向上することが確認されている。また、放電電流についても、エポキシフィルムを成膜したときには、アルミニウムのみの電極と比べて低減されている。
電極への絶縁膜の成膜が効果をもつのは、FEを誘起する電極上にできた微小突起や付着微粒子を平らにならして、いわゆる「埋め込んで」しまうからだと考えられている。数μm以上の絶縁膜で覆うことによってFEによる電子放出が抑制されるので、コンディショニングにおいて耐圧改善が速やかになされるものと推測される。
しかしながら、効果が長続きしないという理由で、上述した電極への絶縁膜成膜はこれまでのところ実用となっていない。成膜当初は大きな効果が認められるが、何回かの放電によって膜が破壊されると絶縁特性が劣化して回復できなくなるからである。絶縁膜の電極への密着性が不十分で、静電力によって膜が破壊し、膜が剥がれてしまうためと考えられる。
このため、電極に絶縁膜を成膜するのではなく、電極自身を半導電性(体積抵抗率ρ=10〜1010Ωcm)を有したセラミックで形成するという試みもなされている(例えば、特許文献1参照)。なお、高圧印加を行う電子管にセラミックを用いる場合、アルミナ(Al)のような抵抗率の高いセラミックではチャージアップが生じてしまうので、ある程度の導電性は必要である。
特開2002−33066号公報(第1−3頁、図1,2)
[1] L. Jedynak, Vacuum Insulation of High Voltages Utilizing Dielectric Coated Electrodes, J. Appl. Phys. 35, 1727 (1964);
しかしながら、このような材料は高価で、かつ加工性も悪く、金属電極への絶縁膜の成膜手法よりも生産性で劣る。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電極への密着性に優れ、電極の耐電圧を簡易に向上させることができるウェネルト電極、電子銃並びにX線管を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係るウェネルト電極は、電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極であって、DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とするものである。
[作用・効果]硬質や耐摩耗性等の用途に用いられているDLC(diamond like carbon)に着目して、このDLCをウェネルト電極への成膜に適用する。すなわち、この発明に係るウェネルト電極によれば、DLCをウェネルト電極の表面に成膜することで、放電エネルギにも耐えることができる密着性の優れた絶縁膜でウェネルト電極を覆う。これにより、絶縁膜による電極間の絶縁特性の改善手法をDLCにより実用に供することが可能となる。このように、DLCをウェネルト電極に成膜すると電極間の絶縁特性が改善され耐電圧を簡易に向上させることができるので、例えば、コンディショニング時の放電が減りコンディショニングを短時間で終わらせることができ、装置使用前の準備時間が短く済む。また、放電が減ると高電圧電源へのダメージも軽減されるので、損傷事故の防止にもなる。
また、この発明に係る電子銃は、電子ビームを出射させる電子銃であって、電子ビームを発生させる電子源と、その電子源からの電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極と、そのウェネルト電極からの電子ビームを加速させる陽極とを備え、DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係る電子銃によれば、DLCをウェネルト電極の表面に成膜することで、この発明に係るウェネルト電極でも述べたように、電極への密着性に優れ、陽極・ウェネルト電極の電極間の耐電圧を簡易に向上させることができる。
また、この発明に係るX線管は、X線を発生させるX線管であって、電子ビームを発生させる電子源と、その電子源からの電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極と、そのウェネルト電極からの電子ビームを加速させる陽極と、その陽極からの電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットと、前記電子源、前記ウェネルト電極、前記陽極および前記ターゲットを収容する容器とを備え、DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係るX線管によれば、DLCをウェネルト電極の表面に成膜することで、この発明に係るウェネルト電極および電子銃でも述べたように、電極への密着性に優れ、陽極・ウェネルト電極の電極間の耐電圧を簡易に向上させることができる。もし、従来の耐電圧と同性能にするのであれば、電子源、ウェネルト電極、陽極およびターゲットを収容する容器のサイズを小さくしても放電が起こりにくく、X線管をコンパクトにすることができる。また、従来の容器と同じサイズ(同じ形状)にするのであれば、耐電圧を向上させることができる結果、高性能のX線管を実現することができる。
これらの発明(ウェネルト電極、電子銃並びにX線管)において、プラズマ・イオン注入によってDLCが成膜されるのが好ましい。プラズマ・イオン注入の場合には、処理室(真空チャンバ)全体にプラズマによりカーボンイオンが拡散されるので、ウェネルト電極の表裏面にわたってDLCを全体に成膜することができる。なお、成膜して欲しくない箇所(例えば電子源に対向したウェネルト電極の面)については、当該箇所に金属等を接触させて覆うことで、成膜して欲しい箇所に対してのみDLCをウェネルト電極の表面全体に成膜することができる。
また、通常は、ウェネルト電極は、複数の部品から組み立てられて構成されるので、これらの部品を先に組み立てた状態で、プラズマ・イオン注入によってDLCを成膜する方が好ましい。もし、各部品をプラズマ・イオン注入によってDLCを成膜した後で組み立てると、組み立て箇所にまでDLCが成膜される結果、組み立てにくくなる可能性がある。また、これらの部品を先に組み立てた状態で、プラズマ・イオン注入によってDLCを成膜して、電子銃やX線管を組み立てる際に電子源をウェネルト電極内に収容するために、成膜後の各部品に分解しても成膜後のDLCが分解によって剥がれることなく、分解することができることが確認されている。
この発明に係るウェネルト電極、電子銃並びにX線管によれば、DLCをウェネルト電極の表面に成膜することで、電極への密着性に優れ、電極間の耐電圧を簡易に向上させることができる。
実施例に係るマイクロフォーカスX線管の構成を示す概略断面図である。 DLCが表面に成膜されたフォーカスカップ電極(ウェネルト電極)の概略断面図である。 プラズマ・イオン注入によるDLCのフォーカスカップ電極(ウェネルト電極)への成膜の概略図である。 DLCを成膜したマイクロフォーカスX線管のコンディショニングの様子である。 マイクロフォーカスX線管の従来のコンディショニングの様子である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るマイクロフォーカスX線管の構成を示す概略断面図である。
図1に示す(マイクロフォーカス)X線管1は、電子銃10と偏向コイル20とフォーカスコイル30とターゲット40とを備えるとともに、これらを収容した容器50を備えている。電子銃10は、支持体11と電子源(エミッタ)12とフォーカスカップ電極13と陽極14とを備えている。電子銃10の箇所では、容器50は真空容器となっており、真空引きされる構造となっている。X線管1は、この発明におけるX線管に相当し、電子銃10は、この発明における電子銃に相当し、電子源12は、この発明における電子源に相当し、フォーカスカップ電極13は、この発明におけるウェネルト電極に相当し、陽極14は、この発明における陽極に相当し、ターゲット40は、この発明におけるターゲットに相当し、容器50は、この発明における容器に相当する。
電子銃10は、電子ビームBを出射させる構造である。具体的には、支持体11は容器50に支持されて、電子源12を支持する。本実施例では、支持体11は、ガラスで形成されているが、電子源12を支持する構造物であって、絶縁物であれば、支持体を形成する物質については、特に限定されない。
電子源12は電子ビームBを発生させる。本実施例では、電子源12として6ほう化ランタン(LaB)や6ほう化セリウム(CeB)などで形成された単結晶あるいは焼結体のチップを加熱することで電子ビームBを発生させる熱電子放出型を採用している。あるいは電子源12として、酸化ジルコニウム(ZrO)をコーティングした単結晶の細いタングステンワイヤに強電界をかけることで電子ビームBを発生させる電界放出型を採用することも可能である。
フォーカスカップ電極13は電子源12を囲む形状となっており、電子源12からの電子ビームBの引き出しを制御する働きを持つ。フォーカスカップ電極13と陽極14との間に10kVを越える高電圧が印加されている。電子ビームBは陽極14に向かって加速される。つまり、フォーカスカップ電極13は電子銃10でのウェネルト電極の機能を有している。本実施例のようにX線管1に用いられる場合にはウェネルト電極は「フォーカスカップ電極」と呼ばれている。また、フォーカスカップ電極13の表面にはDLCが成膜されている。DLCの成膜については後述する。
偏向コイル20は、2つのコイルを1組として、X方向(水平面内の横方向)およびY方向(水平面内の縦方向)に2組存在する。そして、X方向に2つのコイルを向かい合わせて電子ビームBを挟んだ構造となっており、同様にY方向にも2つのコイルを向かい合わせて電子ビームBを挟んだ構造となっている(図1では1組のみ図示)。フォーカスコイル30は円環状に構成されている。偏向コイル20は電子ビームBを偏向し、フォーカスコイル30は電子ビームBを集束させる。これらのコイル20,30に電流を流すことで磁界を発生させて、光学系のレンズと同様に電子ビームBの偏向や集束を行う。
ターゲット40は、陽極14からコイル20,30を経由した電子ビームBの衝突によりX線Rを発生させる。本実施例では、ターゲット40としてタングステンを用いている。もちろん、タングステン以外のX線発生物質によってターゲット40を形成してもよい。容器50は金属で形成されており、接地されている。
次に、DLCの成膜について、図2および図3を参照して説明する。図2は、DLCが表面に成膜されたフォーカスカップ電極(ウェネルト電極)の概略断面図であり、図3は、プラズマ・イオン注入によるDLCのフォーカスカップ電極(ウェネルト電極)への成膜の概略図である。
図2に示すように、裏面も含めてフォーカスカップ電極13の表面にDLC膜Fが形成されている。図2では、表裏面にわたって成膜されたDLC膜Fを図示しているが、成膜して欲しくない箇所(例えば電子源12に対向したフォーカスカップ電極13の裏面)については、DLC膜Fは成膜されない。
近年、各種工具等の特性改善(硬質や耐摩耗性等)にDLC表面処理が行われるようになってきた。その目的上、DLC膜Fを金属などの基板に密着性よく成膜する必要があり、密着性の優れた成膜法が開発されている。膜の厚みtについても、微小突起の埋め込みなどに必要なt≧1μmの成膜が実現されている。
例えば、プラズマ・イオン注入によってDLC膜Fをフォーカスカップ電極13の表面に形成する場合には、図3に示すように、接地された処理室(真空チャンバ)C内にフォーカスカップ電極13の試料Sを収容する。なお、真空チャンバCのサイズに応じて、複数個の試料Sを収容して、DLC膜Fが表面に成膜された複数のフォーカスカップ電極13を同時に製作することが可能である。
真空チャンバCを真空ポンプPにより真空引きして、試料Sを真空チャンバC内に収容した状態で、炭化水素などのように炭素を含んだガスをガス供給ラインLから真空チャンバC内に導入する。そして、図示を省略するRF高周波電源(RF: Radio Frequency)により真空チャンバC内にプラズマPMをプラズマ発生器Gは生成する。その後、試料Sに負の高電圧パルスを印加して周辺にあるプラズマPMのカーボンイオンを加速させて、試料Sに引き込んで注入・成膜することができる。
図1〜図3に示すように、フォーカスカップ電極13に関して凹凸のある複雑な形状に対してもDLC成膜を難なく行うことが可能である。また、複数の部品を組み立てた状態で成膜することで、絶縁特性の改善が必要な表面全体にわたってDLC膜Fを形成することができる。
次に、DLCの成膜後のコンディショニングについて、図4を参照して説明する。図4は、DLCを成膜したマイクロフォーカスX線管のコンディショニングの様子である。従来の図5と同様に、図4の横軸は時間を、図4の上段の縦軸はコンディショニング電圧(管電圧)を、図4の下段の縦軸は放電による放電電流(管電流)をそれぞれ示す。従来の図5では、放電電流が高電圧電源の保護回路の閾値を上回ってしまい、電圧印加が何度か中断されているが、図4に示すようにDLCの成膜後では電圧印加の中断が一切起こらず、所望の絶縁電圧にまで速やかに達していることが確認されている。また、放電が起こってもDLC膜へのダメージは、数10μmの穴があく程度であり、絶縁特性の悪化はほとんど見られない。
硬質や耐摩耗性等の用途に用いられているDLC(diamond like carbon)に着目して、本実施例ではこのDLCをウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)への成膜に適用する。すなわち、以上のように構成されたフォーカスカップ電極13によれば、DLC(図2ではDLC膜F)をフォーカスカップ電極13の表面に成膜することで、放電エネルギにも耐えることができる密着性の優れた絶縁膜でフォーカスカップ電極13を覆う。これにより、絶縁膜による電極間の絶縁特性の改善手法をDLCにより実用に供することが可能となる。このように、DLCをフォーカスカップ電極13に成膜すると電極間の絶縁特性が改善され耐電圧を簡易に向上させることができるので、例えば、コンディショニング時の放電が減りコンディショニングを短時間で終わらせることができ、装置使用前の準備時間が短く済む。また、放電が減ると高電圧電源へのダメージも軽減されるので、損傷事故の防止にもなる。
以上のように構成された電子銃10によれば、DLC(図2ではDLC膜F)をウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)の表面に成膜することで、本実施例に係るフォーカスカップ電極13でも述べたように、電極への密着性に優れ、陽極14・ウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)の電極間の耐電圧を簡易に向上させることができる。
以上のように構成されたX線管1によれば、DLC(図2ではDLC膜F)をウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)の表面に成膜することで、本実施例に係るフォーカスカップ電極13および電子銃10でも述べたように、電極への密着性に優れ、陽極14・ウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)の電極間の耐電圧を簡易に向上させることができる。もし、従来の耐電圧と同性能にするのであれば、電子源12、フォーカスカップ電極13、陽極14およびターゲット40を収容する容器50のサイズを小さくしても放電が起こりにくく、X線管1をコンパクトにすることができる。また、従来の容器50と同じサイズ(同じ形状)にするのであれば、耐電圧を向上させることができる結果、高性能のX線管1を実現することができる。
本実施例では、好ましくは、本実施例に係るウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)、電子銃10並びにX線管1において、プラズマ・イオン注入によってDLCが成膜されている。プラズマ・イオン注入の場合には、処理室(真空チャンバ)Cがプラズマによりカーボンイオンが拡散されるので、フォーカスカップ電極13の表裏面にわたってDLCを全体に成膜することができる。なお、成膜して欲しくない箇所(例えば電子源12に対向したウェネルト電極の面:本実施例ではフォーカスカップ電極13の裏面)については、当該箇所に金属等を接触させて覆うことで、成膜して欲しい箇所に対してのみDLCをフォーカスカップ電極13の表面全体に成膜することができる。
また、通常は、フォーカスカップ電極13は、複数の部品から組み立てられて構成されるので、これらの部品を先に組み立てた状態で、プラズマ・イオン注入によってDLCを成膜する方が好ましい。もし、各部品をプラズマ・イオン注入によってDLCを成膜した後で組み立てると、組み立て箇所にまでDLCが成膜される結果、組み立てにくくなる可能性がある。また、これらの部品を先に組み立てた状態で、プラズマ・イオン注入によってDLCを成膜して、電子銃10やX線管1を組み立てる際に電子源12をウェネルト電極(本実施例ではフォーカスカップ電極13)内に収容するために、成膜後の各部品に分解しても成膜後のDLCが分解によって剥がれることなく、分解することができることが確認されている。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、電子銃10はX線管1に用いられていたが、電子源とウェネルト電極と陽極とを備え、DLCがウェネルト電極の表面に成膜された電子銃であれば、当該電子銃をX線管以外の装置(例えば走査電子顕微鏡や電子線マイクロアナライザーや透過電子顕微鏡や電子ビームリソグラフィーや検査機器など)に適用してもよい。また、電子銃単体に使用してもよい。
(2)上述した実施例では、ウェネルト電極(実施例ではフォーカスカップ電極13)は電子銃10に用いられていたが、DLCがウェネルト電極の表面に成膜された構造であれば、ウェネルト電極単体に使用してもよい。
(3)上述した実施例では、プラズマ・イオン注入によってDLCをウェネルト電極(実施例ではフォーカスカップ電極13)の表面に成膜したが、プラズマ・イオン注入に限定されない。スパッタ法に例示されるように、通常において用いられる成膜法であればよい。なお、スパッタ法の場合には、成膜できる面が限られてしまうので、ウェネルト電極を回転させるあるいは移動させるなどして成膜できる面が全面になるように、成膜中にウェネルト電極に対して回転・移動制御すればよい。
(4)上述した実施例では、X線管1は、偏向コイル20やフォーカスコイル30をそれぞれ備えたが、コイルが不要の場合には必ずしもこれらのコイルを備える必要はない。
1 … X線管
10 … 電子銃
12 … 電子源(エミッタ)
13 … フォーカスカップ電極
14 … 陽極
40 … ターゲット
50 … 容器
B … 電子ビーム
F … DLC膜
R … X線

Claims (6)

  1. 電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極であって、
    DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とするウェネルト電極。
  2. 請求項1に記載のウェネルト電極において、
    プラズマ・イオン注入によって前記DLCが成膜されていることを特徴とするウェネルト電極。
  3. 電子ビームを出射させる電子銃であって、
    電子ビームを発生させる電子源と、
    その電子源からの電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極と、
    そのウェネルト電極からの電子ビームを加速させる陽極と
    を備え、
    DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とする電子銃。
  4. 請求項3に記載の電子銃において、
    プラズマ・イオン注入によって前記DLCが成膜されていることを特徴とする電子銃。
  5. X線を発生させるX線管であって、
    電子ビームを発生させる電子源と、
    その電子源からの電子ビームの引き出しを制御するウェネルト電極と、
    そのウェネルト電極からの電子ビームを加速させる陽極と、
    その陽極からの電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットと、
    前記電子源、前記ウェネルト電極、前記陽極および前記ターゲットを収容する容器と
    を備え、
    DLCが前記ウェネルト電極の表面に成膜されたことを特徴とするX線管。
  6. 請求項5に記載のX線管において、
    プラズマ・イオン注入によって前記DLCが成膜されていることを特徴とするX線管。
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