JP2012161829A - フラックス、はんだペースト及び実装基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Pb及びSnを含有するはんだ合金粉末と混合されてはんだペーストを形成するフラックスであって、前記はんだペーストの融点より低い温度領域である135〜165℃での前記フラックスのイオン伝導率の最大値が0.05mS/m以上であり、且つ前記融点を含む温度領域である183〜220℃での前記フラックスのイオン伝導率が0.03mS/m以下である。
【選択図】 図1
Description
このような電子部品接合に用いられるはんだペーストにおいては、はんだペーストのリフロー後(溶融後)にボイドが発生すると、はんだと電子部品の電極との間の接合強度が低下し、長期信頼性に影響を与えるため、ボイドの低減が求められており、フラックスの改善が行われてきた。
また、はんだ合金粉末に用いるフラックスの評価は、実際にはんだ合金粉末とフラックスとを混ぜ合わせてはんだペーストを作製し、リフロー時に溶融できるか否か、あるいはボイドの発生による接合強度の低下がみられるか否かを試してみる以外に方法がないため、効率的ではなかった。
まず、フラックスを用いて作製するはんだペーストに含有されるはんだ合金粉末の融点の直前からその融点を含む温度領域におけるイオン伝導率を測定している。
フラックス中の活性剤は、特定の温度になるとイオン解離し、はんだ合金粉末表面および電極表面の酸化物と反応して、反応ガスを発生させる。フラックス中の活性剤の活性力は、フラックス中の活性剤のイオン解離の様子、つまりイオン伝導率を評価することで明らかにすることができる。
そのため、作製するはんだペーストについて、予め、配合されるはんだ合金粉末の金属成分により決まる融点付近の特定の温度領域におけるフラックスのイオン伝導率を測定することにより、これらの温度領域におけるフラックスの活性度を得ることができるので、そのイオン伝導率からリフロー時の濡れ性とボイドの発生状況とを指定することができ、はんだペーストの用途に応じたフラックスを選定することができる。
このように、二つの異なる温度領域のイオン伝導率を測定することにより、はんだ合金粉末表面の酸化膜を除去して良好な濡れ性を有するとともに、ボイドの発生を抑制して接合強度の低下を防ぐことのできるフラックスを選定することができる。
共晶組成(Pb37質量%−Sn63質量%)からずれた組成では冷却後の組織が共晶組成に比べ粗大であり、機械的強度が劣る。一方、共晶組成では冷却後の組織が非常に微細なラメラ構造を取り、機械的強度が高いという利点を持つ。このため、はんだ合金粉末は、Pbを35質量%以上40質量%以下含み、残りの部分はSnと不可避不純物から構成され、共晶組成からのずれが小さい組成であることが好ましい。
本実施形態のフラックスの評価方法は、フラックスを加熱するとともに、作製するはんだペーストに含有されるはんだ合金粉末の融点付近の二つの異なる温度領域についてイオン伝導率を測定し、フラックスの温度とイオン伝導率との関係から、はんだペーストの用途に応じたフラックスを選定する方法である。
フラックス中の活性剤の活性力は、活性剤のイオン解離の様子、つまりイオン伝導率を評価することで明らかにすることができる。
リフロー時に、フラックス中の活性剤の活性力が弱いフラックスを用いた場合、はんだ合金粉末表面や電極表面の酸化膜の除去が十分に行えずに濡れ不足が発生するとともに、反応ガスによるボイドが増加する。また、はんだ合金粉末の融点を迎えても活性剤自身の分解が持続的に続くフラックスを用いた場合、反応ガスを発生し続けるために、ボイドが増大してしまう。
スターラー1には、マントルヒーター2で囲まれたオイルバス3が載置されており、このオイルバス3内にはシリコーンオイル4が貯留されるとともに攪拌子5aが浸漬され、シリコーンオイル4は均一に加熱された状態とされている。
フラックスFは試験管6に収容され、この試験管6内のフラックスFに熱電対7及び電気伝導率計8を挿入した状態で加熱される。この際、熱電対7により、フラックスFの温度を連続的に測定するとともに、電気伝導率計8により、フラックスFのイオン伝導率を連続的に測定することができる。
なお、フラックスFは、試験管6内の攪拌子5bによって攪拌され、均一に加熱される。
フラックスのイオン伝導率が低い状態は、フラックス中の活性剤のイオン解離が抑制されたフラックスの活性度が低い状態であり、他の成分との反応が抑制される。一方、イオン伝導率が高い状態では、フラックス中の活性剤が活発にイオン解離されフラックスの活性度が高い状態であり、他の成分との反応が促進される。
はんだペーストに用いられるフラックスに関しては、はんだペーストのリフロー時にフラックス中の活性剤のイオン解離を促進し、はんだ合金粉末表面の酸化膜を除去して良好な濡れ性を持たせることが求められるが、一方で、反応ガスの発生を抑制してボイドを低減させ、はんだの接合強度の低下を防ぐことが求められる。
そこで、このフラックス評価方法においては、はんだ合金粉末の融点付近のフラックスの活性度をみることにより、はんだの濡れ性及び接合性の両方を評価して、はんだペーストに適したフラックスを判定する。
はんだペーストに適したフラックスは、リフロー時において、はんだ合金粉末の融点より低い温度領域ではイオンが分離された状態となりイオン伝導率が高く、はんだ合金粉末の融点直前から融点到達後の融点を含む温度領域では、イオン伝導率が低いものが好ましい。特に、はんだペーストに適したフラックスは、融点より低い温度領域(135〜165℃)のフラックスのイオン伝導率が0.05mS/m以上であり、且つ融点直前から融点到達後の融点を含む温度領域(183〜220℃)のフラックスのイオン伝導率が0.03mS/m以下のものが好ましい。
このようなフラックスは、はんだペーストのリフロー時に、融点より低い温度領域でフラックスがはんだ合金粉末表面の酸化膜を除去できるだけの十分な活性度を持つので、はんだ合金粉末の溶融時(融点)に良好な濡れ性を持たせることができる。また、融点直前から融点到達後の融点を含む温度領域では、フラックスの活性が抑えられ、反応ガスの発生を抑制するので、ボイドを低減することができ、これにより、はんだの接合強度の低下を防ぐことができる。
なお、はんだ合金粉末は、共晶組成からずれがある場合、固液共存領域を持ち、完全に溶解するのは液相線温度を超えたときであるところ、本願では、液相線温度をはんだ合金粉末の融点としている。ここで、例えば、37質量%Pb−63質量%Sn組成を持つはんだ合金粉末の融点(液相線温度)は183℃である。
(フラックスの作製)
実施例1〜3及び比較例1〜3のフラックスは、表1に示す配合表の配合率(質量%)通りに作製した。
図1に示す測定装置100を用いて、各フラックスのイオン伝導率を測定した。作製した各フラックスを30mlずつ取り出して試験管6に入れ、この試験管6内のフラックスに熱電対7および電気伝導率計8を挿入する。次に、この試験管6を300℃に加熱したオイルバス3に入れ、135〜220℃まで加熱し、その時のイオン伝導率を連続的に測定した。その時の135〜165℃の結果と183〜220℃の結果を表2に示す。
次に、これらのフラックスに対し、37質量%Pb−63質量%Sn組成を持つ平均粒径8.0μmはんだ合金粉末(融点:183℃)を混合し、はんだペーストを作製した。混合比は、はんだ合金粉末90質量%、フラックス10質量%である。
作製したはんだペーストをバンプ形成用基板に印刷し(マスク厚30μm、マスク開口径75μm)、窒素中にて最大温度220℃にてリフローを実施した。リフロー後に形成されたはんだバンプを透過X線顕微鏡にて観測し、はんだバンプ中に存在するボイドを測定した。そして、はんだバンプの直径とはんだバンプ中に存在するボイドの直径とを比較し、このはんだバンプの直径に対するボイドの直径の比率に応じて評価した。この際、はんだバンプ中に複数のボイドが存在する場合には、ボイドの直径の総和とはんだバンプの直径との比率を求めて評価した。これらの結果を表2に示す。
「○」はボイド直径がはんだバンプ直径の20%未満の場合で、ボイドの少ない良好なはんだ接合部が得られたことを示している。また、「△」は20以上30未満%の場合、「×」は30%以上の場合であり、ボイドの占める値が大きくなるほど、はんだの接合性が悪いことを示している。
2 マントルヒーター
3 オイルバス
4 シリコーンオイル
5a,5b 攪拌子
6 試験管
7 熱電対
8 電気伝導率計
Claims (3)
- Pb及びSnを含有するはんだ合金粉末と混合されてはんだペーストを形成するフラックスであって、
前記はんだペーストの融点より低い温度領域である135〜165℃での前記フラックスのイオン伝導率の最大値が0.05mS/m以上であり、且つ前記融点を含む温度領域である183〜220℃での前記フラックスのイオン伝導率が0.03mS/m以下であることを特徴とするフラックス。 - 請求項1記載の前記フラックスと、Pb:35質量%〜40質量%、残りがSnと不可避不純物からなるはんだ合金粉末とを混合し、ペースト化したことを特徴とするはんだペースト。
- 請求項2記載の前記はんだペーストを用いて電子部品を実装することを特徴とする実装基板の製造方法。
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