JP2012161828A - フラックス、はんだペースト及び実装基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Pb及びSnを含有するはんだ合金粉末と混合されてはんだペーストを形成するフラックスであって、はんだペーストが保管ないし取扱われる常温域のイオン伝導率が0.002mS/m以下であり、且つリフローされる高温域のイオン伝導率が0.02mS/m以上である。
【選択図】 図1
Description
このような電子部品接合に用いられるはんだペーストにおいては、長時間にわたって良好な塗布性を持続させて印刷機等を用いての取り扱い時にはんだペーストの粘度変化がないことや、リフロー時においては溶融性(濡れ性)が低下しないことが求められる。
そして、このようなはんだ合金粉末に用いるフラックスの評価は、実際にはんだ合金粉末とフラックスとを混ぜ合わせてはんだペーストを作製し、常温保管して粘度が変化するか否か、あるいは高温に加熱して溶融できるか否かを試してみる以外に方法がないため、効率的ではなかった。
フラックスのイオン伝導率を測定することにより、特定の温度におけるフラックスの活性度を得ることができる。これにより、はんだペーストを作製する前に、はんだペーストの用途に応じたフラックスを選定することができる。
作製するはんだペーストについて、印刷機等での取り扱い時(常温)及び電子部品を実装する際(リフロー時)の温度(高温)を含む温度領域のフラックスのそれぞれの温度でのイオン伝導率を測定することにより、これらの温度領域におけるフラックスの活性度を得ることができるので、常温時には活性が低く粘度上昇等の経時変化を防止して安定した塗布性を得るとともに、高温時には活性が高くはんだ合金粉末表面の酸化膜を除去して良好な濡れ性を有することのできるフラックスを選定することができる。また通常、はんだペーストは冷蔵保管(10℃以下)されるが、この場合、長期間経過しても増粘しないことが求められる。このような要求に対しても、上記の常温でのフラックスのイオン伝導率を測定することで、冷蔵時のはんだペーストの増粘の有無について推測することができる。
このような知見の下、以下のフラックスとすることを解決手段とした。
このようなフラックスは、印刷機等を用いてのはんだペーストの取り扱い時(常温域)には、フラックス中の活性成分のイオン解離が抑制されているため、はんだ合金粉末と活性成分との反応を防いで、はんだペーストの粘度増加を防ぐことができる。また同時に、はんだペーストのリフロー時(高温域)には、フラックスがはんだ合金粉末表面の酸化膜を除去できるだけの十分な活性度を持つので良好な濡れ性を持つことができる。
共晶組成(Pb37質量%−Sn63質量%)からずれた組成では冷却後の組織が共晶組成に比べ粗大であり、機械的強度が劣る。一方、共晶組成では冷却後の組織が非常に微細なラメラ構造を取り、機械的強度が高いという利点を持つ。このため、はんだ合金粉末は、Pb:35質量%〜40質量%、残りがSnと不可避不純物からなり、共晶組成からのずれが小さい組成であることが好ましい。
本実施形態のフラックスの評価方法は、フラックスを加熱するとともに、作製するはんだペーストの印刷機等を用いての取り扱い時(常温域)及び電子部品等を実装する際(リフロー時)のはんだペーストの溶融時(高温域)を含む温度領域についてイオン伝導率を測定し、フラックスの温度とイオン伝導率との関係から、はんだペーストの用途に応じたフラックスを選定する方法である。
スターラー1には、マントルヒーター2で囲まれたオイルバス3が載置されており、このオイルバス3内にはシリコーンオイル4が貯留されるとともに攪拌子5aが浸漬され、シリコーンオイル4は均一に加熱された状態とされている。
フラックスFは試験管6に収容され、この試験管6内のフラックスFに熱電対7及び電気伝導率計8を挿入した状態で加熱される。この際、熱電対7により、フラックスFの温度を連続的に測定するとともに、電気伝導率計8により、フラックスFのイオン伝導率を連続的に測定することができる。
なお、フラックスFは、試験管6内の攪拌子5bによって攪拌され、均一に加熱される。
フラックスのイオン伝導率が低い状態は、フラックス中の活性剤のイオン解離が抑制されたフラックスの活性度が低い状態であり、他の成分との反応が抑制される。一方、イオン伝導率が高い状態では、フラックス中の活性剤が活発にイオン解離されフラックスの活性度が高い状態であり、他の成分との反応が促進される。
はんだペーストに用いられるフラックスに関しては、印刷機等を用いてのはんだペーストの取り扱い時および保管時(常温域)には、フラックス中の活性剤のイオン解離を抑制し、はんだペーストの粘度増加を抑制して(粘度安定性)、長時間にわたって良好な塗布性を維持させることが求められる。また、はんだペーストのリフロー時(高温域)には、フラックス中の活性剤のイオン解離を促進し、はんだ合金粉末表面の酸化膜を除去して良好な濡れ性を持たせることが求められる。
そこで、このフラックス評価方法においては、常温域および高温域のフラックスの活性度をみることにより、常温域における粘度安定性および高温域における濡れ性の両方を評価して、はんだペーストに適したフラックスを選定する。
はんだペーストに適したフラックスは、上述したように、常温域ではフラックス中の活性剤がイオンに分解されることがなくイオン伝導率が低いものが好ましい。一方、高温域ではイオンが分離された状態となりイオン伝導率が高いものが好ましい。特に、鉛フリーはんだペーストに適したフラックスは、25〜40℃(常温域)のフラックスのイオン伝導率が0.002mS/m以下であり、且つ160〜210℃(高温域)のフラックスのイオン伝導率が0.02mS/m以上のものが好ましい。
このようなフラックスは、印刷機等を用いてのはんだペーストの取り扱い時(常温域)には、フラックス中の活性剤のイオン解離が抑制されているため、はんだ合金粉末と活性剤との反応を防いで、はんだペーストの粘度増加を防ぐことができ、長時間にわたって良好な塗布性を持続させることができる。また、はんだペーストのリフロー時(高温域)には、フラックスがはんだ合金粉末表面の酸化膜を除去できるだけの十分な活性度を持つので、良好な濡れ性を持たせることができる。
(フラックスの作製)
実施例1〜3及び比較例1〜5のフラックスは、表1に示す配合表の比率(質量%)通りに作製した。
図1に示す測定装置100を用いて、各フラックスのイオン伝導率を測定した。作製した各フラックスを30mlずつ取り出して試験管6に入れ、この試験管6内のフラックスに熱電対7及び電気伝導率計8を挿入する。次に、この試験管6を300℃に加熱したオイルバス3に入れ、25℃〜210℃まで加熱し、その時のイオン伝導率を連続的に測定した。その時の25〜40℃の結果と160〜210℃の結果を表2に示す。
次に、これらのフラックスに対し、37質量%Pb−63質量%Sn組成を持つ平均粒径8.0μmのはんだ合金粉末(融点:183℃)を混合し、ペーストを作製した。混合比は、はんだ合金粉末90質量%、フラックス10質量%である。
作製直後のはんだペーストの粘度を、マルコム社製PCU−205を用いて測定した。次に、日立プラントテクノロジー社製の印刷機NP−MB04を用いてはんだペーストを1分間に1枚ずつ基板印刷し、これを24時間繰り返す24時間連続印刷を実施した。そして、24時間連続印刷後にはんだペーストを回収し、再度はんだペーストの粘度を測定した。これらの結果を表3の「連続印刷時の粘度安定性」に示す。
「連続印刷時の粘度安定性」には、初期のはんだペーストと24時間連続印刷後のはんだペーストとの粘度を比較して、その増加値により、はんだペーストの粘度安定性を評価した結果を示した。「○」は粘度増加が0以上30Pa・s未満の場合で、良好な粘度安定性を得られたことを示している。また、「△」は30以上60Pa・s未満の場合、「×」は60Pa・s以上の場合であり、粘度増加の値が大きくなるほど粘度安定性が悪いことを示している。
作製直後のはんだペーストを、厚さ0.2mm、開口径(穴の直径)6.5mmのメタルマスクを用いてCu板上に印刷して、窒素中にて最高温度220℃で加熱してリフローを実施し、濡れ広がりの直径を測定した。
次に、日立プラントテクノロジー社製の印刷機NP−MB04を用いて、はんだペーストの24時間連続印刷を実施した。24時間連続印刷後にペーストを回収し、再度はんだペーストをメタルマスクを用いてCu板上に印刷して、リフローを実施し、濡れ広がりの直径を測定した。これらの結果を表3の「連続印刷時の濡れ性」に示す。
「連続印刷時の濡れ性」には、印刷後とリフロー後の直径を比較して、その増加値により、はんだペーストの濡れ性を評価した結果を示した。「○」は広がり量が0を超えて10%未満の場合で、良好な濡れ性を得られたことを示している。また、「△」は0%の場合、「×」は、0%未満の場合であり、値が小さいほど濡れ性が悪いことを示している。なお、0%未満は、表面張力によって印刷後よりもリフロー後の直径の方が小さくなることを示している。
2 マントルヒーター
3 オイルバス
4 シリコーンオイル
5a,5b 攪拌子
6 試験管
7 熱電対
8 電気伝導率計
Claims (4)
- Pb及びSnを含有するはんだ合金粉末と混合されてはんだペーストを形成するフラックスであって、
前記はんだペーストが取扱われる常温域のイオン伝導率が0.002mS/m以下であり、且つリフローされる高温域のイオン伝導率が0.02mS/m以上である
ことを特徴とするフラックス。 - 前記常温域が25〜40℃であり、前記高温域が160〜210℃であることを特徴とする請求項1記載のフラックス。
- 請求項1又は2に記載の前記フラックスと、Pb:35質量%〜40質量%、残りがSnと不可避不純物からなるはんだ合金粉末とを混合し、ペースト化したことを特徴とするはんだペースト。
- 請求項3記載の前記はんだペーストを用いて電子部品を実装することを特徴とする実装基板の製造方法。
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