JP2012159692A - 防眩フィルム、偏光板、画像表示装置、及び防眩フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体上に、少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物から形成される防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径(μm)で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルム。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
【選択図】なし
Description
また、従来の高ヘイズ域では、「防眩層中の全固形分に対する粒子量を該粒子の平均粒子径で除した値」が1以上になってもヘイズ変化に起因する視認性変化量が問題にならなかった。
すなわち、以下の手段により前記課題を解決することができる。
透明支持体上に、少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物から形成される防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径(μm)で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルム。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
2.
前記(C)成分がウレタン系ブロック共重合物である上記1に記載の防眩フィルム。
3.
前記(C)成分がイソシアヌル環を含有する共重合物である上記1又は2に記載の防眩フィルム。
4.
前記(B)透光性樹脂粒子の平均粒径が2μm以上10μm以下である、上記1〜3のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
5.
前記(B)透光性樹脂粒子の平均粒径に対する前記防眩層の膜厚の比が1.0以上2.5以下である、上記1〜4のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
6.
前記(A)硬化性樹脂化合物を硬化して得られた樹脂と前記(B)透光性樹脂粒子との屈折率差が0.01以下である、上記1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
7.
前記防眩層上に更に前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する、上記1〜6のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
8.
前記透明支持体がセルロースエステル系フィルムであり、かつ該セルロースエステル系フィルムの膜厚が30μm以上70μm以下である、上記1〜7のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
9.
上記1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
10.
上記1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性を有する光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
11.
上記1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は上記9若しくは10に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
12.
少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物を透明支持体上に塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有し、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
本発明の防眩フィルムは、透明支持体上に、少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物から形成される防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径(μm)で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルムである。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の硬化性樹脂化合物を含有する。該硬化性樹脂化合物は硬化後に透光性樹脂となりバインダーのはたらきをすることが好ましい。
防眩層を構成するマトリックスを形成する樹脂バインダーとしては、電離放射線等による硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有する透光性ポリマー(バインダーポリマーともいう)を形成する化合物であることが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
本発明における硬化性樹脂化合物としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂及び多価アルコール等の、多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等も挙げられる。これらのオリゴマー又はプレポリマーは2種以上併用してもよい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂はバインダーとなる硬化性樹脂化合物全量に対して10〜100質量%含有することが好ましい。
ここで、該透光性粒子を除く防眩層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
防眩層の膜厚は、例えば、防眩層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し基材からの法線方向の厚みの平均値で表すことができる。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の透光性樹脂粒子を含有する。
本発明における防眩層では、透光性樹脂粒子の平均粒径に対する防眩層の膜厚の比(防眩層の膜厚/透光性樹脂粒子の平均粒径)を1.0〜2.5に設計することが好ましく、より好ましくは1.3〜2.3、最も好ましくは1.5〜2.0である。この比率が1.0以上であると、膜表面の凹凸が大きくなりすぎず、黒締りや点欠陥の観点で優れる。一方、2.5以下であると、所望の防眩性を達成するために多量の粒子を添加する必要がなく、膜の硬度の観点で優れる。
表面凹凸形状を調整する手段として、平均粒径が互いに異なる2種以上の透光性樹脂粒子を使用することや、屈折率が互いに異なる2種以上の透光性樹脂粒子を使用することも好ましい。
なお、本発明において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
本発明の防眩フィルムのヘイズは防眩性付与の観点から0.5%以上が好ましい。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物には、アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物(以下、本発明の共重合物と呼ぶことがある)が含有される。該アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物は、該共重合物に含まれるアミン基が吸着基として作用し、前記透光性樹脂粒子の表面に吸着することによって、防眩層において、前記透光性樹脂粒子に前記バインダーとの親和性を付与していると推定される。防眩層において透光性樹脂粒子とバインダーとの親和性が高いと防眩フィルムを長時間使用しても透光性樹脂粒子とバインダーとの間に隙間が発生しにくいためヘイズの上昇を防ぐことができると推測される。
アミン価は、1,2,3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の苛性カリのmg数で定義され、測定方法はJIS K 7237に基づくものである。
質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は光重合開始剤を含有することが好ましい。本発明の硬化性組成物においては光重合開始剤を2種以上含有することが好ましく、該2種以上の光重合開始剤のうち、少なくとも1種がホスフィンオキサイド系開始剤であり、かつ少なくとも1種がホスフィンオキサイド系以外の開始剤であることが好ましい。
本発明におけるホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、光吸収時にn−π*遷移を起こし、フォトブリーチング効果を持つものが好ましく、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドが好ましく挙げられる。
市販されているホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、BASF製のイルガキュア819、DAROCUR TPOなどが好ましく挙げられる。
本発明において用いられるホスフィンオキサイド系光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
本発明におけるホスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、表面硬化性の光重合開始剤であることが好ましい。ホスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、具体的にはアセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
また、その他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、及び特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
具体的には、特開2000−80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
また、オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
本発明において用いられるホスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は、有機高分子増粘剤を含むことができる。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、更に好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
有機高分子増粘剤の添加量は防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して0.5〜10質量%が好ましく、1.0〜7.0質量%がより好ましく、2.0〜5.0質量%が特に好ましい。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
一般式イ
一般式ロ
本発明のフィルムの各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
本発明の防眩層には、上記の透光性樹脂粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、更に低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機フィラー使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒子径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
透光性樹脂粒子との屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、防眩層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
本発明では、防眩層の上に低屈折率層を形成することもできる。低屈折率層は防眩層よりも低い屈折率を有し、厚さは50〜200nmであることが好ましく、70〜150nmであることが更に好ましく、80〜120nmであることが最も好ましい。
好ましい低屈折率層の硬化性物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、
などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、更に屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
架橋性又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記防眩層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのポリシロキサンフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
本発明の防眩フィルムには、フィルムの物理的強度を更に付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明における透明支持体としては、透明プラスチックフィルム基材が好ましい。透明プラスチックフィルム基材としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートやなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
本発明の防眩フィルムは、一般に、最も単純な構成では、透明支持体上に防眩層を塗設した構成である。
・支持体/ハードコート層/防眩層
・支持体/防眩層/ハードコート層
・支持体/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
支持体/防眩層/ハードコート層/低屈折率層
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
本発明における防眩層の硬化方法に関して、好ましい例を以下に述べる。
本発明では、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時 → 照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→ 電離放射線硬化→ −
(2)熱処理→ 電離放射線硬化→ 熱処理
(3) − → 電離放射線硬化→ 熱処理
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
本発明の防眩フィルムは、偏光膜とその両側に配置された保護フィルムとからなる偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方に使用して、防眩性を有する偏光板とすることができる。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の防眩フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
特に、本発明の防眩フィルム及び本発明の防眩フィルムを有する偏光板は液晶表示装置に用いられることが好ましい。液晶表示装置においては液晶セルの両側に偏光板が配置されるが、本発明の防眩フィルムは視認側の偏光板(フロント用偏光板)の視認側の偏光子保護フィルムとして用いられることが好ましい。フロント用偏光板の液晶セル側の偏光子保護フィルムには前述のように通常のセルロースアセテートフィルムを用いることができる。またバックライト側の偏光板(リア用偏光板)の液晶セル側の偏光子保護フィルムとしては前述の光学補償フィルムを用い、バックライト側の偏光子保護フィルムとしては通常のセルロースアセテートフィルムを用いることができる。
本発明の防眩フィルムの製造方法は、少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物を透明支持体上に塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有し、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルムの製造方法である。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
以下の組成で各成分を添加し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液1を調製した。
PET−30 27.9g
ビスコート360 16.7g
CAB 1.0g
イルガキュア907 0.5g
イルガキュア819 1.9g
6μm架橋アクリル−スチレン粒子分散液(30質量%) 22.3g
Disperbyk−2000 2.1g
SP−13 0.1g
MIBK(メチルイソブチルケトン) 6.0g
MEK(メチルエチルケトン) 23.0g
特開2002−79616号公報の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。これを水分散液状態からメタノールに溶媒置換した。最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して、平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(B)とする。
前記分散液(B)の500質量部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水を9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。更に総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換し、最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して分散液(B−1)を調製した。
含フッ素ポリマー(P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物)を7.6g、DPHAを1.4g、分散液(B−1)を2.4g、光重合開始剤(イルガキュア907)0.46g、メチルエチルケトン190g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液1を使用し防眩フィルム試料1を作製した。特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。防眩層の膜厚(硬化後の平均膜厚)は10μmとなるように塗布量を調整した。得られた防眩層の屈折率は1.520であった。
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒間乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、防眩フィルム試料7を作製した。低屈折率層の屈折率は1.46であった。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
ビスコート360:トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)製]
CAB:セルロースアセテートブチレート[イーストマン・コダック製]
イルガキュア819:ホスフィンオキサイド系光重合開始剤[BASF製]
イルガキュア907:アセトフェノン系光重合開始剤[BASF製]
SP−13:フッ素系界面活性剤
P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物(P−12)、主鎖にシリコーンを含み、側鎖に水酸基と重合性官能基としてアクリロイル基を有する含フッ素共重合体、数平均分子量3万、Mw/Mn=1.6
表1中記載の透光性樹脂粒子としては、積水化成品工業(株)製の下記粒子を用いた。
A:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
B:3.5μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
C:12μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
D:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.500)
E:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.555)
Disperbyk2000:メタクリル酸エステル由来のブロック構造単位(Bブロック)と、メタクリル酸由来の側鎖に下記構造の4級アンモニウム塩基を有するモノマー由来のブロック構造単位(Aブロック)を有するA−Bブロック共重合物の市販品である。質量平均分子量(Mw)は、約3500、4級アンモニウム塩基の量は分散剤1g当たり1.75mmol、アミン価4mgKOH/g、酸価0mgKOH/g。[ビックケミー社製]
Disperbyk−103:共重合物、アミン価0mgKOH/g、酸価0mgKOH/g[ビックケミー社製]
Disperbyk142:共重合物のリン酸エステル塩、アミン価43mgKOH/g、酸価46mgKOH/g[ビックケミー社製]
得られた防眩フィルムを次の条件で鹸化処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗したトリアセチルセルロースフィルムと、前記防眩フィルム試料1〜15における鹸化処理済みの各々のフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護してフロント用偏光板を作製した。このとき、トリアセチルセルロースフィルムの膜厚は対応する防眩フィルムと同じものを使用した。また、防眩フィルムの透明支持体側とポリビニルアルコールとを接着した。
防眩フィルムを下記に示す光学補償フィルムに変更したこと以外は、前記フロント用偏光板と同様にして、リア用偏光板を作製した。
下記の組成の内層用及び外層用ドープをそれぞれ調製した。
内層用ドープの組成:
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
下記レターデーション発現剤(2) 7質量部
下記染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
メタノール 63.3質量部
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
レターデーション発現剤(2) 7質量部
下記の重合体P−2 9.0質量部
染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子 0.14質量部
(「AEROSIL R972」日本アエロジル(株)製)
ジクロロメタン 424.5質量部
メタノール 63.4質量部
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられているフロント、及びリアの偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製したそれぞれの偏光板を、フロントはトリアセチルセルロースフィルムが、リアは光学補償フィルムが液晶セル側になるように配置し、透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、防眩フィルムを有する液晶表示装置を作製した。
<1>ヘイズ
JIS−K7136に準じて、得られた防眩フィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。装置には日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH2000を用いた。
得られた液晶表示装置をルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を5度の角度から映し、−5度及び−45度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎:−5度でも、−45度でも蛍光灯の輪郭がわずかに観察される程度
○:−5度では蛍光灯の輪郭がわずかに観察される程度だが、−45度では輪郭が比較的明瞭にわかる。
△:−5度でもー45度でも蛍光灯の輪郭が比較的明瞭にわかる。
×:−5度でもー45度でも蛍光灯の輪郭がハッキリ見えるか、眩しい。
視認側表面に防眩フィルムを有する偏光板を配置した液晶表示装置について黒しまり感を官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味をそれぞれの液晶表示装置で比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で表した。
○:黒味が強く、画面が強くしまって見える。
△:黒いがグレー味があって、画面のしまり感が弱い。
×:かなりグレー味が強く、画面のしまり感がない。
得られたフィルム試料を、温度90℃の条件で250時間放置した後、ヘイズ測定を行った。高温処理の前後で下記式よりヘイズの変化量を求めた。
ヘイズ変化量(%)={(高温処理後のヘイズ−処理前のヘイズ)/処理前のヘイズ}×100
更に、上記と同様に液晶表示装置を作製し、90℃に入れる前の各フィルム試料と黒締まり感の変化を比較した。黒締まり感はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれの液晶表示装置で比較し、以下の基準で評価した。
○:10人中8人〜9人が黒味の差異が判らない。
△:10人中5人〜7人が黒味の差異が判らない。
×:10人中4人以下が黒味の差異が判らない。
しかし、透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する量を平均粒子径で除した値が1以上で、フィルムのヘイズ値が5.0%以下であっても、本発明に係るアミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物を使用した防眩フィルムは、防眩性、黒締まり感に優れ、かつ耐久性も十分有することが判る(試料1〜9)。
Claims (12)
- 透明支持体上に、少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物から形成される防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径(μm)で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルム。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物 - 前記(C)成分がウレタン系ブロック共重合物である請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記(C)成分がイソシアヌル環を含有する共重合物である請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
- 前記(B)透光性樹脂粒子の平均粒径が2μm以上10μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記(B)透光性樹脂粒子の平均粒径に対する前記防眩層の膜厚の比が1.0以上2.5以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記(A)硬化性樹脂化合物を硬化して得られた樹脂と前記(B)透光性樹脂粒子との屈折率差が0.01以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記防眩層上に更に前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記透明支持体がセルロースエステル系フィルムであり、かつ該セルロースエステル系フィルムの膜厚が30μm以上70μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性を有する光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は請求項9若しくは10に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
- 少なくとも下記(A)〜(C)成分を含有する硬化性組成物を透明支持体上に塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有し、前記防眩層に含まれる(B)透光性樹脂粒子の防眩層中の全固形分に対する含有量(質量%)の値を該透光性樹脂粒子の平均粒径で除した値が1以上であり、前記防眩フィルムのヘイズ値が5.0%以下である防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性樹脂化合物
(B)透光性樹脂粒子
(C)アミン価が1〜30mgKOH/gの共重合物
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