JP2012158994A - 車両用エンジンの前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】正面衝突時に、吸気マニホルドの他部分割体が早期に変形して、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時に基部分割体の形状保持性能を維持でき、局部的荷重入力時に、互いの樹脂性質を活かして基部分割体の破壊が早まることを抑制し、燃料分配管との干渉を抑制する車両用エンジンの前部構造を提供する。
【解決手段】吸気マニホルド40がエンジン4に近い側と遠い側とで分割形成され、接合された複数の分割体41,42から成り、エンジン4に近い側の基部分割体41が遠い側の他部分割体42より強度が大きく、かつ上部取付け部41aおよび下部取付け部41dを有し、エンジン4の車両前面側に樹脂製のオイルセパレータカバー28を設け、基部分割体41とオイルセパレータカバー28に、衝突時に基部分割体41の変位の過程で互に当接する後退規制部55,56が設けられたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、車両用エンジンの前部構造に関し、詳しくは、車両前部のエンジンルームにクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジンを横置きで配置し、該エンジンの車両前側に樹脂製の吸気マニホルドをその上部と下部とで締結し、上記吸気マニホルドの上部取付け部の下方に、クランク軸線方向に延びる燃料分配管を配置したような車両用エンジンの前部構造に関する。
従来、車両前部のエンジンルーム内にクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジンを横置き配置した場合、該エンジンの車両前側に吸気マニホルドを設け、該エンジンの車両後側に排気マニホルドを設けるのが一般的である。
軽量化を図るためには上記吸気マニホルドを合成樹脂で形成するが、該吸気マニホルドはサージタンクおよび気筒相当数の分岐管等を備えた複雑な形状をしており、一体で全てを形成することができないので、複数に分割して形成し、分割形成されたパーツを振動溶着により接合して吸気マニホルドが構成され、この吸気マニホルドの上部取付け部と下部取付け部とがエンジンの車両前側に締結されている。
一方で、エンジンとして燃焼室内に燃料をダイレクトに噴射するタイプの直噴エンジンを採用する場合には、燃料噴射弁(いわゆるインジェクタ)はペントルーフタイプの燃焼室壁において吸気弁の下部に配置される。つまり、燃料噴射弁の配設位置はシリンダヘッドの吸気側の面で吸気弁より若干下部の位置に限定され、この関係上、上述の燃料噴射弁に対して燃料を分配する燃料分配管(いわゆるフューエルレール)は、吸気マニホルドの上部取付け部の下方においてクランク軸線方向に延びるように配置され、かつ吸気マニホルドと燃料分配管とが互に近接した状態となる。
このような構造において、車両衝突時の対応を行なう時、吸気マニホルドが衝突エネルギに対して耐力が過大であると、衝突時にエンジンそれ自体が後退するので好ましくない。一方で、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合、吸気マニホルドが早期に破壊されると、該吸気マニホルドが上述の燃料分配管と干渉するので好ましくない。
そこで上述の吸気マニホルドには、前突時(正面衝突時)のエネルギを吸収して、エンジン後退を防止するという機能と、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合の早期破壊を抑制し、燃料分配管との干渉を回避するという機能とが要請されることになるが、上述の従来構造においては、局部的荷重の入力時に樹脂製吸気マニホルドの後退を規制する手段が設けられていない現状である。
ところで、特許文献1には、吸気マニホルドの中央部をその他の部分よりも高強度に形成し、この中央高強度部を、フランジおよびステーを介してエンジンに支持するように構成した内燃機関用吸気装置が開示されているが、インジェクタからの燃料は燃焼室ではなく吸気ポートに噴射されるタイプであって、直噴エンジンではない関係上、本願発明のような技術的課題が発生しない。
特開2006−336528号公報
そこで、この発明は、吸気マニホルドを、エンジンに近い側と遠い側とで分割形成され、かつ接合された複数の分割体から構成し、エンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度が大きく、かつ上部取付け部および下部取付け部を有し、エンジンの車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバーが設けられ、上記基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部をそれぞれ設けることにより、正面衝突時に、吸気マニホルドのエンジンより遠い側の他部分割体が早期に変形することで、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時にエンジンに近い側の基部分割体の形状保持性能を維持することができ、しかも、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合に、吸気マニホルドとオイルセパレータカバーとの互いの樹脂性質を活かして基部分割体の破壊が早まることを抑制しつつ、燃料分配管との干渉を確実に抑制することができる車両用エンジンの前部構造の提供を目的とする。
この発明による車両用エンジンの前部構造は、車両前部のエンジンルームにクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジンを横置きで配置し、該エンジンの車両前側に樹脂製の吸気マニホルドをその上部と下部とで締結し、上記吸気マニホルドの上部取付け部の下方に、クランク軸線方向に延びる燃料分配管を配置した車両用エンジンの前部構造であって、上記吸気マニホルドがエンジンに近い側と遠い側とで分割形成されると共に、接合された複数の分割体から成り、上記エンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度が大きく、かつ上部取付け部および下部取付け部を有し、上記エンジンの車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバーが設けられ、上記基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部がそれぞれ設けられたものである。
上記構成によれば、吸気マニホルドのエンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度を大きくし、換言すれば、エンジンに遠い側の他部分割体を相対的に強度を小さくしたので、車両の正面衝突時に、吸気マニホルドのエンジンより遠い側の他部分割体が早期に変形し、これにより、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時に強度が大きいエンジンに近い側の基部分割体の形状保持性能を維持することができる。
しかも、基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部をそれぞれに設けたので、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合、吸気マニホルドとオイルセパレータカバーとの互の樹脂性質を活かして基部分割体の破壊が早まることを抑制しつつ、該基部分割体と燃料分配管との干渉を確実に抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、上記後退規制部は、基部分割体とオイルセパレータカバーとにそれぞれ一体に形成されたものである。
上記構成によれば、基部分割体とオイルセパレータカバーとに一体形成された後退規制部の応力を各部材(基部分割体、オイルセパレータカバー)で吸収でき、不用意な破損を抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、上記基部分割体とオイルセパレータカバーとには、斜め衝突時に基部分割体が燃料分配管の端部連結部側に車幅方向へ変位するのを互の当接で規制する横ずれ規制部が、それぞれに一体に形成されたものである。
上記構成によれば、斜め衝突時に吸気マニホルドの基部分割体の車幅方向への変位量を、上述の各規制部の当接により抑制することができ、燃料分配管の端部が基部分割体と干渉するのを抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、上記オイルセパレータカバーは、基部分割体の後退規制部側へ突出する突出部を有し、該突出部にオイルセパレータカバー側の後退規制部が設けられたものである。
上記構成によれば、上述の突出部でオイルセパレータカバーの形状強度を高めることができ、該オイルセパレータカバー側の後退規制部による荷重受け構造と して有利となる。
この発明の一実施態様においては、上記オイルセパレータカバー側の後退規制部と横ずれ規制部とが一体に連結されたものである。
上記構成によれば、オイルセパレータカバー側において後退規制部と横ずれ規制部とを一体連結したので、一方の規制部が他方の規制部を補強し、ポール衝突のような局部荷重入力時および斜め衝突時の何れにおいても、その耐荷重性の向上を図ることができる。
詳しくは、局部荷重入力時には後退規制部を横ずれ規制部でバックアップし、斜め衝突時には横ずれ規制部を後退規制部でバックバップすることができ、各規制部による後退規制と横ずれ規制の規制力補強を図ることができる。
この発明によれば、吸気マニホルドを、エンジンに近い側と遠い側とで分割形成され、かつ接合された複数の分割体から構成し、エンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度が大きく、かつ上部取付け部および下部取付け部を有し、エンジンの車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバーが設けられ、上記基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部をそれぞれ設けたので、正面衝突時に、吸気マニホルドのエンジンより遠い側の他部分割体が早期に変形することで、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時にエンジンに近い側の基部分割体の形状保持性能を維持することができ、しかも、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合に、吸気マニホルドとオイルセパレータカバーとの互いの樹脂性質を活かして基部分割体の破壊が早まることを抑制しつつ、燃料分配管との干渉を確実に抑制することができる効果がある。
本発明の車両用エンジンの前部構造を示す平面図 エンジンの側面図 図2の要部拡大側面図 図3からスロットルボディを取外した状態の斜視図 吸気マニホルドを示す側面図 吸気マニホルドおよびオイルセパレータカバーを車両正面側から見た状態で示す斜視図 吸気マニホルドを車両後方側から見た状態で示す背面図 吸気マニホルドおよびオイルセパレータカバーの斜視図 オイルセパレータカバーの側面図 オイルセパレータカバーの平面図 オイルセパレータカバーの正面図 オイルセパレータカバーの底面図 ベース部、ミドル部、フロント部の区画を示す説明図
正面衝突時に、吸気マニホルドのエンジンより遠い側の他部分割体が早期に変形することで、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時にエンジンに近い側の基部分割体の形状保持性能を維持することができ、しかも、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合に、吸気マニホルドとオイルセパレータカバーとの互いの樹脂性質を活かして基部分割体の破壊が早まることを抑制しつつ、燃料分配管との干渉を確実に抑制するという目的を、車両前部のエンジンルームにクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジンを横置きで配置し、該エンジンの車両前側に樹脂製の吸気マニホルドをその上部と下部とで締結し、上記吸気マニホルドの上部取付け部の下方に、クランク軸線方向に延びる燃料分配管を配置した車両用エンジンの前部構造において、上記吸気マニホルドがエンジンに近い側と遠い側とで分割形成されると共に、接合された複数の分割体から成り、上記エンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度が大きく、かつ上部取付け部および下部取付け部を有し、上記エンジンの車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバーが設けられ、上記基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部がそれぞれ設けられるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用エンジンの前部構造を示し、図1はフロントバンパ、フロントフェンダ、ボンネットを取外した状態で示す車両用エンジンの前部構造の平面図であって、この図1において、車両の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム1,1と、該フロントサイドフレーム1,1の前部において車幅方向に延びるシュラウドパネル2と、図示しないダッシュロアパネルとで囲繞された空間を、エンジンルーム3としている。
上述のエンジンルーム3にはクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジン4を横置きで配置し、該エンジン4の車両左側にはトランスミッション5を連結し、上述のエンジン4とトランスミッション5とでパワートレイン6を構成している。
このパワートレイン6はボディ側に3点支持されている。すなわち、該パワートレイン6は、車幅方向一方側のエンジンマウント7と、車幅方向他方側のミッションマウント8と、図示しないペリメータフレームに支持されるマウントとの3点で支持されている。
一方、上述の左右一対のフロントサイドフレーム1,1の前端部には、衝突エネルギ吸収部材としてのクラッシュカン9,9をそれぞれ取付け、これら左右のクラッシュカン9,9の前端部相互間には、バンパレイン10を車幅方向に向けて取付けている。
また、上述のエンジン4の上部はエンジンカバー11で覆われている。なお、図1において、12はサスペンションタワー部、13はエプロンレイン、14はダッシュロアパネルの上部に設けられたカウル部、15は車室の底面を形成するフロアパネル、16は該フロアパネル15の中央において車室側へ突出し、かつ車両の前後方向に延びるトンネル部である。
図2は図1で示したエンジン4の側面図であって、この実施例では燃料直噴タイプの直列4気筒エンジンを採用している。
このエンジン4は、気筒相当数のシリンダボア17を有するアッパブロック18と、このアッパブロック18の下部に締結固定されたロアブロック19と、ロアブロック19の下部に取付けられたオイルパン20と、アッパブロック18の上部に締結されると共に、気筒相当数の吸気ポート、排気ポートを備えたシリンダヘッド21と、このシリンダヘッド21を上方から覆うシリンダヘッドカバー22と、を備えている。ここで、上述のアッパブロック18とロアブロック19とでシリンダブロックが形成されるものである。
ペントルーフタイプの燃焼室23内にダイレクトに燃料を高圧力で噴射する直噴エンジンは、吸気バルブ(図示せず)の下部に燃料噴射弁としてのインジェクタ24を備えており、気筒相当数のインジェクタ24に燃料を分配供給する目的で、燃料分配管としてのフューエルレール25をクランク軸線方向に延びるように配置している。上述のフューエルレール25はエンジン4のシリンダヘッド21に固定されている。
上述のフューエルレール25はエンジン4のシリンダヘッド21に固定されている。
上述のフューエルレール25の車幅方向左側の端部には、アダプタ26(端部連結部)を介して燃料供給管27が接続されている。
この実施例では、エンジン4の車両前側(図2の左側)が吸気側に設定されており、エンジン4の車両後側(図2の右側)が排気側に設定されており、該エンジン4の車両前面側、詳しくは、アッパブロック18の車両前面側(つまり吸気側)には樹脂製のオイルセパレータカバー28が設けられている。
このオイルセパレータカバー28の内部にはオイルセパレータが設けられており、該オイルセパレータはブローバイガス中のオイルを分離して、未燃ガスのみをスロットル弁下流側へ戻すものであるから、以下この点について概略的に説明する。
オイルポンプで汲み上げられた潤滑油としてのオイルは、クランク軸摺動部、ピストン下面、動弁系、カムシャフト摺動面および可変バルブタイミング機構(いわゆるVVT)などを潤滑し、潤滑後のオイルはシリンダヘッド21、アッパブロック18、ロアブロック19のオイルギャラリを介してオイルパン20内に還流する。
一方、オイルシール部を介してクランク室内に吹き抜けるブローバイガスの成分は未燃ガスであり、この実施例ではクランク室内からミストオイルを含む未燃ガスを、吸気負圧を利用して一旦オイルセパレータに供給し、ここでミストオイルを分離し、ミストオイルが分離された未燃ガスのみをスロットル弁下流(詳しくは、サージタンク)に戻すように構成している。
この未燃ガスは、高負圧時に開弁するPCVバルブ29(PCVとはポジキブ・クランクケース・ベンチレーションの略で、図4参照)から、該PCVバルブ29上方のポート30(図4参照)、ガス還流パイプ31(図3参照)、該パイプ31下流のポート32(図3、図4参照)、ブローバイガス戻しパイプ33(図7参照)および該パイプ33端部のブローバイガス戻し口34(図7参照)を介して、後述するスロットル弁51(図3参照)下流のサージタンク内に還流されるように構成している。
ところで、図2に示すように、上述のエンジン4の車両前側には吸気マニホルド40をその上部(上部取付け部41a参照)と下部(下部取付け部としてのステー41d参照)とで締結している。
上述の吸気マニホルド40は合成樹脂により形成されるが、この実施例では図3、図4、図5に示すように、該吸気マニホルド40をエンジン4に近い側の基部分割体41(図5において矢印Aよりも右側の部分で、以下単にベース部と略記する)と、エンジン4より遠い側の他部分割体42(図5において矢印Aよりも左側の部分で、以下単に他部と略記する)とに分割し、さらに、この他部42を、ベース部41に接合されるミドル部43(図5において矢印Aと矢印Bとの間の部分)と、このミドル部43に接合されるフロント部44(図5において矢印Bよりも左側の部分)とに2分割している。
つまり、複雑形状の吸気マニホルド40を一度に樹脂成形することが困難であるため、この吸気マニホルド40をベース部41と、ミドル部43と、フロント部44とに3分割し、分割形成された各パーツ(ベース部41、ミドル部43、フロント部44参照)を振動溶着にて接合して、吸気マニホルド40を構成したものである。
しかも、エンジン4に近い側のベース部41は、エンジン4より遠い側の他部42(ミドル部43、フロント部44参照)に対して強度が大きくなるように形成されている。なお、図13は図5と同等の側面図であって、図示の便宜上、ベース部41、ミドル部43、フロント部44の区別が明確となるようにハッチングを施して示すものである。
上述のベース部41はその肉厚を大きくする等して高剛性に形成されるものであって、該ベース部41は、図5、図7に示すように、分岐通路44a,44b,44c,44d(図6参照)の下流端を形成する上部取付け部41aと、その上流側にスロットルボディ50(図3参照)が取付けられる吸気取入れ口41b(スロットル下流の吸気取入れ口)と、サージタンクのエンジン寄りの基部を形成するサージタンク基部41cと、下部取付け部を形成するステー41dと、を一体形成したものである。
ここで、上部取付け部41aには、図7に示すように、吸気をシリンダヘッド21の吸気ポートに供給する1気筒当り2つのポート45,45と、該上部取付け部41aをシリンダヘッド21に締結する千鳥状配置の複数の締結部46…とが形成されている。
また、下部取付け部を構成する上述のステー41dには、該ステー41dをエンジン4のアッパブロック18に締結する締結部47が形成されている(図7参照)。
そして、図3に示すように、上述の各締結部46,47に挿通する締結部材としての複数のボルト48,49を用いて、吸気マニホルド40をエンジン4の車両前側に締結している(図2参照)。
さらに、図5で示したスロットル下流の吸気取入れ口41bには、図3、図6に示すように、スロットルボディ50が取付けられ、このスロットルボディ50は図3に示すように、吸入空気量をコントロールするスロットル弁51とスロットル上流側の吸気取入れ口52とを有している。
上述のミドル部43は、図5、図8に示すように、後述するフロント部44の分岐通路44a,44b,44c,44d(図6参照)を、ベース部41のポート45(図7参照)に連通する連通路が内設された上部43aと、サージタンクの他部を形成するサージタンク他部43bと、これら上部43aおよびサージタンク他部43bを上下方向に接続する内外の接続部43c,43dと、を一体形成したものである。
図5に示すように、外側(車両前方側)の接続部43dはアーチ状に形成されており、この外側の接続部43dと内側の接続部43cとの間には、空間部53が形成されている。
ここで、上述のベース部41のサージタンク基部41cと、ミドル部43のサージタンク他部43bとの両者で、容積室としての1つのサージタンクが形成されるものである。
上述のフロント部44は、ミドル部43を車両前方側から覆う部材であって、このフロント部44は図3、図4、図5、図6、図8に示すように、アーチ状に形成された気筒相当数の分岐通路44a,44b,44c,44dと、アーチ状の接合フランジ部44eと、を一体形成したものである。
図6、図8に示すように、上述のフロント部44の各分岐通路間、すなわち分岐通路44a,44b間、44b,44c間、44c,44d間には、上下方向に所定間隔を隔てて複数の補強リブ44f…が一体に設けられており、これらの補強リブ44でフロント部44を補強すると共に、リブ数により衝突エネルギ吸収量や潰れやすさ等の強度コントロールができるように構成している。
図3、図6、図8に示すように、上述のミドル部43のサージタンク他部43bの前部にも、車幅方向に所定間隔を隔てて強度調整用の複数の補強リブ43e…が一体形成されている。
図7に示すように、上述のベース部41はそのリヤ側の面が上下方向に延びる複数の補強リブ41eで補強されると共に、上下方向に延びる補強リブ41e,41e間を車幅方向に連結する補強リブ41fでさらに補強されている。
また、同図に示すように、下部取付け部としてのステー41dを構成する背面視V字形状の一対の縦壁41g,41hをベース部41に一体形成すると共に、一対の縦壁41g,41h間を車幅方向に延びる複数の補強リブ41iと、締結部47と補強リブ41i,41jでステー41dの強度確保を図っている。
上述のステー41dの縦壁41g,41hのうち車両左側の縦壁41gは、図1の白抜き矢印方向(車両の右側前方)から衝突荷重が入力する斜め衝突時にベース部41がフューエルレール25の端部連結部側に車幅方向へ変位(横ずれ変位)するのを規制する横ずれ規制部54である。
また、図7に示すように、ステー41dの車両左側には、X字状の複数の補強リブ41kと、車幅方向に延びる複数の補強リブ41lとを設けて、ステー41dの車両左部の強度向上を図っている。
さらに、図7、図8に示すように、サージタンク基部41cの外周面にも車幅方向に延びる補強リブ41mと、上下方向または前後方向に延びる補強リブ41nとを設けて、これら補強リブ41m,41nによりサージタンク基部41cの剛性確保を図っている。
しかも、図7、図5に示すように、X字状の補強リブ41kとブローバイガス戻しパイプ33との交点に相当する部位には、該パイプ33の外周より若干後方へ突出し、かつ車幅方向に所定長さを有する厚肉形状の後退規制部55が一体形成されている。
この後退規制部55は、車両の局部衝突時(ポール衝突時)にベース部41の変位の過程で、後述するオイルセパレータカバー28側の後退規制部56(図11、図2参照)と互に当接して、該ベース部41の後退を規制するためのものである。
また、この後退規制部55は、図5に側面図で示すように、ブローバイガス戻しパイプ33の真上に一体形成されると共に、該ブローバイガス戻しパイプ33から前方に向けて放射状に延びる複数かつ厚肉の補強リブ41x,41yにより補強されている。
次に、図9、図10、図11、図12を参照してオイルセパレータカバー28の構造について説明する。
このオイルセパレータカバー28は同図に示すように、カバー本体35と、このカバー本体35からエンジン4側へ突出した複数のバッフル36(baffle、そらせ板)とを備え、上述のカバー本体35には、ベース部41の後退規制部55側へ突出する突出部37が一体形成されており、前述したPCVバルブ29はこの突出部37の上部からその内部にかけて配置されたものである。
図11に正面図で示すように、カバー本体35の基部にはエンジン4のアッパブロック18に対する複数の取付け孔38をもったフランジ部39が一体形成されている。
上述のオイルセパレータカバー28は合成樹脂で高剛性を有するように形成されるものであって、図11に正面図で示すように、その上部、下部、右側部、左側部には互いに間隔を隔てて複数の補強リブ28a,28b,28c,28dがそれぞれ一体形成されていて、これら補強リブ28a,28b,28c,28dによりオイルセパレータカバー28の剛性向上を図っている。
しかも、上述の突出部37の頂部には、吸気マニホルド40におけるベース部41の後退規制部55(図5参照)側へ若干突出するオイルセパレータカバー28側の後退規制部56が一体形成されており、この後退規制部56は複数のビード56a…により補強されている。
上述の後退規制部56は車両の局部衝突時(ポール衝突時)にベース部41の変位の過程で該ベース部41側の後退規制部55と当接して、吸気マニホルド40のベース部41の後退を規制するためのものである。
上述の後退規制部56の右側端部と対応してカバー本体35の前部右側には、横ずれ規制部57が一体形成されており、この横ずれ規制部57は該部57背面からカバー本体35にかけて延びる複数の補強リブ57a…により補強されている。
この横ずれ規制部57は、図1の白抜き矢印方向(車両の右側前方)から衝突荷重が入力する斜め衝突時にベース部41がフューエルレール25の端部連結部に車幅方向へ変位(横ずれ変位)するのを、ベース部41側の横ずれ規制部54を当接させて、規制するためのものである。
さらに、図11にオイルセパレータカバー28の正面図を示すように、後退規制部56と横ずれ規制部57とは一体に連結しており、これら各規制部56,57の耐荷重性の向上を図るように構成している。
因に、エンジン4に対してオイルセパレータカバー28および吸気マニホルド40を組付け完了すると、図2に示すように、ベース部41側の後退規制部55と、オイルセパレータカバー28側の後退規制部56とが離間した状態で対向し、また、図6に示すように、ベース部41側の横ずれ規制部54と、オイルセパレータカバー28側の横ずれ規制部57とが離間した状態で対向する。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印RIGHTは車両右方を示し、矢印LEFTは車両左方を示す。
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
吸気マニホルド40はエンジン4に近い側のベース部41が相対的に強度が大きく、エンジン4から遠い側の他部42(ミドル部43、フロント部44参照)が相対的に強度が小さくなるように構成したので、車両の正面衝突時には、フロント部44およびミドル部43が早期に変形することで、衝突エネルギを吸収し、さらなる衝突荷重が入力しても強度が高いベース部41の形状維持を確保して、エンジン4それ自体が後退するのを防止し、車室内乗員の保護を図ることができる。
一方、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合には、まず相対的に低強度のフロント部44およびミドル部43がクラッシュした後に、ベース部41が変位するが、このベース部41の変位の過程で、該ベース部41側の後退規制部55がオイルセパレータカバー28側の後退規制部56に当接すると、それ以上の変位が防止されるので、ベース部41の破壊が早まることを抑制し、該ベース部41とフューエルレール25との干渉を確実に抑制することができる。
一方、図1に白抜き矢印で示すように車両の右側前方から衝突荷重が入力される斜め衝突時には、吸気マニホルド40は図6の左方向に変位(横ずれ変位)するが、ベース部41の横ずれ規制部54がオイルセパレータカバー28側の横ずれ規制部57に当接すると、該ベース部41のそれ以上の横ずれが防止されるので、フューエルレール25の端部がベース部41と干渉するのを適切に抑制することができる。
以上詳述したように、上記実施例の車両用エンジンの前部構造は、車両前部のエンジンルーム3にクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジン4を横置きで配置し、該エンジン4の車両前側に樹脂製の吸気マニホルド40をその上部と下部とで締結し、上記吸気マニホルド40の上部取付け部41aの下方に、クランク軸線方向に延びる燃料分配管(フューエルレール25参照)を配置した車両用エンジンの前部構造であって、上記吸気マニホルド40がエンジン4に近い側と遠い側とで分割形成されると共に、接合された複数の分割体(ベース部41、他部42参照)から成り、上記エンジン4に近い側の基部分割体(ベース部41参照)がエンジン4より遠い側の他部分割体(他部42参照)より強度が大きく、かつ上部取付け部41aおよび下部取付け部(ステー41d参照)を有し、上記エンジン4の車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバー28が設けられ、上記基部分割体(ベース部41参照)とオイルセパレータカバー28には、衝突時に基部分割体(ベース部41参照)の変位の過程で互に当接する後退規制部55,56がそれぞれ設けられたものである(図1、図2参照)。
この構成によれば、吸気マニホルド40のエンジン4に近い側の基部分割体(ベース部41)がエンジン4より遠い側の他部分割体(他部42参照)より強度を大きくし、換言すれば、エンジン4に遠い側の他部分割体(他部42)を相対的に強度を小さくしたので、車両の正面衝突時に、吸気マニホルド40のエンジン4より遠い側の他部分割体(他部42)が早期に変形し、これにより、衝撃吸収を図り、さらなる荷重入力時に強度が大きいエンジン4に近い側の基部分割体(ベース部41)の形状保持性能を維持することができる。
したがって、正面衝突時においてエンジン4乃至パワートレイン6が後退するのを効果的に防止することができる。
しかも、基部分割体(ベース部41)とオイルセパレータカバー28には、衝突時に基部分割体(ベース部41)の変位の過程で互に当接する後退規制部55,56をそれぞれに設けたので、ポール衝突のように局部的に荷重を受ける場合、吸気マニホルド40とオイルセパレータカバー28との互の樹脂性質を活かして基部分割体(ベース部41)の破壊が早まることを抑制しつつ、該基部分割体(ベース部41)と燃料分配管(フューエルレール25)との干渉を確実に抑制することができる。
また、上記後退規制部55,56は、基部分割体(ベース部41)とオイルセパレータカバー28とにそれぞれ一体に形成されたものである(図2参照)。
この構成によれば、基部分割体(ベース部41)とオイルセパレータカバー28とに一体形成された後退規制部55,56の応力を各部材(基部分割体としてのベース部41と、オイルセパレータカバー28)で吸収でき、不用意な破損を抑制することができる。
さらに、上記基部分割体(ベース部41参照)とオイルセパレータカバー28とには、斜め衝突時に基部分割体(ベース部41)が燃料分配管(フューエルレール25参照)の端部連結部(アダプタ26参照)側に車幅方向へ変位(横ずれ変位)するのを互の当接で規制する横ずれ規制部54,57が、それぞれに一体に形成されたものである(図6参照)。
この構成によれば、斜め衝突時に吸気マニホルド40の基部分割体(ベース部41)の車幅方向への変位量を、上述の各規制部54,57の当接により抑制することができ、燃料分配管(フューエルレール25)の端部が基部分割体(ベース部41)と干渉するのを抑制することができる。
さらにまた、上記オイルセパレータカバー28は、基部分割体(ベース部41参照)の後退規制部55側へ突出する突出部37を有し、該突出部37にオイルセパレータカバー28側の後退規制部56が設けられたものである(図2、図9、図11参照)。
この構成によれば、上述の突出部37でオイルセパレータカバー28の形状強度を高めることができ、該オイルセパレータカバー28側の後退規制部56による荷重受け構造として有利となる。
加えて、上記オイルセパレータカバー28側の後退規制部56と横ずれ規制部57とが一体に連結されたものである(図11参照)。
この構成によれば、オイルセパレータカバー28側において後退規制部56と横ずれ規制部57とを一体連結したので、一方の規制部が他方の規制部を補強し、ポール衝突のような局部荷重入力時および斜め衝突時の何れにおいても、その耐荷重性の向上を図ることができる。
詳しくは、局部荷重入力時には後退規制部56を横ずれ規制部57でバックアップし、斜め衝突時には横ずれ規制部57を後退規制部56でバックバップすることができ、各規制部56,57による後退規制と横ずれ規制の規制力補強を図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の燃料分配管は、実施例のフューエルレール25に対応し、
以下同様に、
基部分割体は、ベース部41に対応し、
他部分割体は、他部42に対応し、
下部取付け部は、ステー41dに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
3…エンジンルーム
4…エンジン
25…フューエルレール(燃料分配管)
28…オイルセパレータカバー
37…突出部
40…吸気マニホルド
41ベース部(基部分割体)
41a…上部取付け部
41d…ステー(下部取付け部)
42…他部(他部分割体)
54,57…横ずれ規制部
55,56…後退規制部

Claims (5)

  1. 車両前部のエンジンルームにクランク軸線が車幅方向に向くようにエンジンを横置きで配置し、
    該エンジンの車両前側に樹脂製の吸気マニホルドをその上部と下部とで締結し、
    上記吸気マニホルドの上部取付け部の下方に、クランク軸線方向に延びる燃料分配管を配置した車両用エンジンの前部構造であって、
    上記吸気マニホルドがエンジンに近い側と遠い側とで分割形成されると共に、接合された複数の分割体から成り、
    上記エンジンに近い側の基部分割体がエンジンより遠い側の他部分割体より強度が大きく、かつ上部取付け部および下部取付け部を有し、
    上記エンジンの車両前面側には樹脂製のオイルセパレータカバーが設けられ、
    上記基部分割体とオイルセパレータカバーには、衝突時に基部分割体の変位の過程で互に当接する後退規制部がそれぞれ設けられた
    車両用エンジンの前部構造。
  2. 上記後退規制部は、基部分割体とオイルセパレータカバーとにそれぞれ一体に形成された
    請求項1記載の車両用エンジンの前部構造。
  3. 上記基部分割体とオイルセパレータカバーとには、斜め衝突時に基部分割体が燃料分配管の端部連結部側に車幅方向へ変位するのを互の当接で規制する横ずれ規制部が、それぞれに一体に形成された
    請求項1または2記載の車両用エンジンの前部構造。
  4. 上記オイルセパレータカバーは、基部分割体の後退規制部側へ突出する突出部を有し、
    該突出部にオイルセパレータカバー側の後退規制部が設けられた
    請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用エンジンの前部構造。
  5. 上記オイルセパレータカバー側の後退規制部と横ずれ規制部とが一体に連結された
    請求項3または4記載の車両用エンジンの前部構造。
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