JP2012158662A - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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Toshibumi Asukai
俊文 飛鳥井
Yoshihiro Kameda
慶寛 亀田
Shuichi Nakano
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Kentaro Akagi
健太郎 赤木
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Abstract

【課題】走行初期からのグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴムを10〜70重量部含むジエン系ゴム100重量部に、粘着性付与樹脂を5〜60重量部、カーボンブラックを90〜150重量部を配合し、カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が150〜250m2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100g、かつアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求めた最大長L、幅W、周囲長P、投影面積A、包絡面積Sから無次元数X,Y,Zを求め、条件1)X>1.7、Y>110の少なくとも一つを満たし、かつZ>1.6を満たす個数分率(r1%)と、条件2)Y>110、かつ1.6≧Z>1.3を満たす個数分率(r2%)の合計が70%以上80%未満であり、かつ(r2%)が(r1%)より大きい。
【選択図】なし

Description

本発明は、走行初期からのグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
競技用タイヤなどの高性能タイプの空気入りタイヤには、走行初期からのグリップ性能が高く、かつタイヤが温まると更に優れたグリップ性能(ピークグリップ性能)を発揮することが求められている。また、耐摩耗性が優れることも求められている。走行初期のグリップ性能を改良するためタイヤのトレッド部を構成するゴム組成物に、天然ゴムなどのガラス転移温度が低いジエン系ゴム分を配合することが行われる。一方、ピークグリップ性能を高くするために粘着性付与樹脂を配合したり、小粒径のカーボンブラックを配合して発熱性を大きくしたりすることが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、粘着性付与樹脂を配合すると走行初期のグリップ性能が低下し、天然ゴムなどのガラス転移温度が低いジエン系ゴム分を配合するとピークグリップ性能が不足するという問題があった。また、天然ゴムと小粒径のカーボンブラックとを共に配合するとカーボンブラックの分散性が悪化し耐摩耗性が不足するという問題があった。
したがって、天然ゴムと粘着性付与樹脂を共に配合したタイヤトレッド用ゴム組成物では、ピークグリップ性能を維持向上しながら、走行初期からのグリップ性能及び耐摩耗性を改良することは困難であった。
特開平6−57071号公報
本発明の目的は、走行初期からのグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、天然ゴムを10〜70重量部含むジエン系ゴム100重量部に対し、粘着性付与樹脂を5〜60重量部、カーボンブラックを90〜150重量部を配合すると共に、前記カーボンブラックが、CTAB吸着比表面積が150〜250m2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属し、かつ前記カーボンブラックを透過型電子顕微鏡で観察したときのアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求めた最大長L、幅W、周囲長P、投影面積A、包絡面積Sから無次元数X,Y,Zを算出し、下記条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)と下記条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)を求め、個数分率(r1%)と個数分率(r2%)の合計が70%以上80%未満であり、かつ個数分率(r2%)が個数分率(r1%)より大きいことを特徴とする。
条件(1) X>1.7、Y>110の少なくとも一つを満たし、かつZ>1.6
条件(2) Y>110、かつ1.6≧Z>1.3
(ただし、無次元数X,Y,Zは下記の式から求められる。
X=L/W
Y=(P2/A)×(100/4π)
Z=S/A
ここで、Lはアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求められた最大長(nm)、Wは幅(nm)、Pは周囲長(nm)、Aは投影面積(nm2)、Sは包絡面積(nm2)である。)
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、天然ゴムを10〜70重量部含むジエン系ゴム100重量部に、CTAB吸着比表面積が150〜250m2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属し、かつ前記条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)と条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)の合計が70%以上80%未満であり、かつ個数分率(r2%)が個数分率(r1%)より大きいという関係を満たすカーボンブラックを40〜150重量部、粘着性付与樹脂を5〜60重量部配合するようにしたので、走行初期からのグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは天然ゴム及び他のジエン系ゴムを必ず含むものとする。天然ゴムを含有することにより、走行初期からのグリップ性能及び耐摩耗性を改良する。ジエン系ゴム100重量%中の天然ゴムの含有量は10〜70重量%、好ましくは10〜50重量%である。天然ゴムの含有量が10重量%未満であると、走行初期のグリップ性能及び耐摩耗性を十分に改良することができない。また天然ゴムの含有量が70重量%を超えるとピークグリップ性能が低下する。天然ゴムはタイヤトレッド用ゴム組成物に通常用いられるものであればよく、エポキシ基等で変性された天然ゴムでもよい。
本発明において、天然ゴム以外の他のジエン系ゴムは、タイヤトレッド用ゴム組成物に通常用いられるジエン系ゴムを配合することができる。他のジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでもスチレン−ブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。天然ゴム以外の他のジエン系ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100重量%中30〜90重量%、好ましくは50〜90重量%にする。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は粘着性付与樹脂を含むことによりグリップ性能を一層高くする。粘着性付与樹脂とは、ゴム組成物への粘着付与性を有する樹脂であり、一般には分子量が数百から数千の熱可塑性樹脂で、ジエン系ゴムに配合することによって粘着性を付与する作用を行う。粘着性付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂などの合成樹脂が例示される。なかでもテルペン系樹脂、ロジン系樹脂などの天然樹脂が好ましい。
テルペン系樹脂としては、例えばα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、水添リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えばガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジンおよびフマル化ロジン等の変性ロジン、これらのロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステルおよびトリエチレングリコールエステルなどのエステル誘導体、並びにロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ロジンのエステル誘導体、ロジン変性樹脂、重合ロジンが好ましい。
粘着性付与樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し好ましくは5〜60重量部、より好ましくは10〜50重量部にするとよい。粘着性付与樹脂の配合量が5重量部未満であると、グリップ性能を改良する効果が十分に得られない。また、粘着性付与樹脂の配合量が60重量部を超えると、走行初期のグリップ性能及びゴム組成物の耐摩耗性が悪化する。なお、粘着性付与樹脂は軟化剤としての作用も行うため、粘着性付与樹脂の配合量に応じて、アロマオイル等の他の軟化剤の配合量を加減するとよい。
粘着性付与樹脂としては、軟化点が好ましくは80〜170℃、より好ましくは110〜165℃のものがよい。粘着性付与樹脂の軟化点が80℃未満であると、グリップ性能を向上する効果が不足する。また耐摩耗性が低下する。粘着性付与樹脂の軟化点が170℃を超えると、発熱するまでに時間がかかり走行初期のグリップ性能が不足する。粘着性付与樹脂の軟化点は、JIS K5902に準拠して測定した値とした。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、後述するアグリゲートの形状特性を有する新規のカーボンブラックを配合することにより、天然ゴムと粒子径が小さいカーボンブラックとを共に配合しながら、カーボンブラックの分散性が悪化して耐摩耗性が低下したり、ピークグリップ性能が低下したりすることがない。カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し90〜150重量部、好ましくは90〜140重量部にする。カーボンブラックの配合量が90重量部未満であると、ピークグリップ性能が悪化し、耐摩耗性が悪化する。またカーボンブラックの配合量が150重量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。
本発明で使用するカーボンブラックは、CTAB吸着比表面積が150〜250m2/g、好ましくは160〜210m2/gのハードカーボンブラック領域に属する。CTAB吸着比表面積が150m2/g未満であると、ゴム組成物の発熱性を大きくしピークグリップ性能を優れたものにするという効果が得られない。また耐摩耗性が低下する。CTAB吸着比表面積が250m2/gを超えると、耐摩耗性が悪化する。CTAB吸着比表面積は、JIS K6217−3に準拠して、測定するものとする。
また、カーボンブラックのDBP吸収量は、100〜150ml/100gであり、好ましくは120〜140ml/100gである。DBP吸収量が100ml/100g未満であるとピークグリップ性能及び耐摩耗性が不足する。またゴム組成物の成形加工性が低下しカーボンブラックの分散性が悪化するのでカーボンブラックの補強性能が十分に得られない。DBP吸収量が150ml/100gを超えると、ゴム組成物の柔軟性が損なわれタイヤにしたときのグリップ性能が悪化する。DBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して、測定するものとする。
本発明において、カーボンブラックは上述したコロイダル特性を有すると共に、そのアグリゲートが以下の特徴を有する。先ず、カーボンブラックを透過型電子顕微鏡で観察し、そのアグリゲートの二次元投影画像の画像解析により、最大長L、幅W、周囲長P、投影面積A、包絡面積Sを求め、更に無次元数X,Y,Zをアグリゲート毎に算出する。これら無次元数X,Y,Zの値に基づき、下記の条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)及び条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)を求めたとき、個数分率(r1%)と個数分率(r2%)との合計が70%以上80%未満、好ましくは70〜79%であり、かつ個数分率(r2%)が個数分率(r1%)より大きくなるようにしたカーボンブラックを使用する。
条件(1) X>1.7、Y>110の少なくとも一つを満たし、かつZ>1.6
条件(2) Y>110、かつ1.6≧Z>1.3
ただし、X,Y,Zは下記の式から求められる無次元数である。
X=L/W
Y=(P2/A)×(100/4π)
Z=S/A
ここで、Lはアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求められた最大長(nm)、Wは幅(nm)、Pは周囲長(nm)、Aは投影面積(nm2)、Sは包絡面積(nm2)である。
カーボンブラックのアグリゲートの二次元投影画像は、以下の方法で観察した。先ず、乾燥させたカーボンブラック試料1mgを試験管に入れ、クロロホルム2mlを加え、超音波で3分間分散させた。分散させた試料をカーボンブラック支持膜に固定し、透過型電子顕微鏡(直接倍率60000倍)で撮影した。得られた二次元投影画像を画像解析装置(NIRECO社製LUZEX−F)にかけ、1000個以上のアグリゲートについて、最大長L、幅W、周囲長P、投影面積A、包絡面積Sを求め、更に無次元数X,Y,Zをアグリゲート毎に算出した。
最大長Lは、アグリゲートの二次元投影画像に外接する任意方向の平行線を引いたとき、その平行線間距離の最大値(nm)である。幅Wは、アグリゲートの二次元投影画像における最大長Lの方向に直交する方向で外接する平行線の平行線間距離の値(nm)である。周囲長Pは、アグリゲートの二次元投影画像の周囲の長さ(nm)である。投影面積Aは、アグリゲートの二次元投影画像の投影面積(nm2)である。包絡面積Sは、アグリゲートの二次元投影画像においてアグリゲートの分岐状部分の頂点を結んだ多角形の面積(nm2)である。
無次元数Xは、最大長Lと幅Wの比(X=L/W)であり、アグリゲートの二次元投影画像のアスペクト比に相当する。Xが1.7より大きいと、異方性が高いアグリゲートになることを意味する。なおXの上限は、好ましくは5.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。Xが5.0より大きくなるとゴム組成物の破断伸びが低下する虞がある。
無次元数Yは、周囲長Yと投影面積Aの関係から、Y=(P2/A)×(100/4π)の関係式により求められる。ここで(P2/4π)は、円周長さがPである円の面積を意味する。よって、無次元数Yは、面積(P2/4π)と投影面積Aの比を百分率で表した値であり、分岐状部分の割合を表す。Yが110より大きいとアグリゲートにおける分岐状部分の割合が大きくなることを意味する。なおYの上限は、好ましくは1200以下であり、Yが1200を超えると、分岐状部分の割合が過大になりゴム組成物の破断伸びが低下する虞がある。
無次元数Zは、包絡面積Sと投影面積Aの比(Z=S/A)であり、分岐状部分の長さの程度を表わす。条件(1)において、Zが1.6より大きいと、分岐状部分の長さが長いことを意味する。このときZの上限は、好ましくは2.0であり、アグリゲートの分岐状部分の長さが過大になり壊れやすくなるのを抑制することにより、優れたゴム組成物の特徴を安定して得られるようにする。条件(2)において、Zが1.3より大きく1.6以下のとき、分岐状部分の長さを制御していることを意味する。
上述したカーボンブラックの二次元投影画像の画像解析により無次元数X,Y,Zをアグリゲート毎に算出し、条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)、条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)が求められる。
条件(1)は、X>1.7、Y>110の少なくとも一つを満たし、かつZ>1.6であり、アグリゲートが発達し、分岐状部分の数が多く、分岐状部分の長さが長いことを意味する。これによりゴム組成物の特徴が、高補強性のものになる。
条件(2)は、Y>110、かつ1.6≧Z>1.3であり、分岐状部分の数が多く、分岐状部分の長さが制御されたものであることを意味する。これによりゴム組成物の特徴が、ゴムの発熱を高めるものになる。
本発明において、条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)、条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)の合計は70%以上80%未満、好ましくは70〜79%である。個数分率(r1%)と個数分率(r2%)の合計が70%未満であると、ゴムの発熱性が不十分になる。また個数分率(r1%)と個数分率(r2%)の合計が過大になると破断伸びが低下する。
また条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)は、条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)より大きいことが必要である。個数分率(r2%)を個数分率(r1%)より大きくすることにより、ゴムの補強性と発熱性を高次にバランス化したものになる。
上述したコロイダル特性を有するカーボンブラックは、通常のカーボンブラックの製造装置を用いて、原料供給箇所、原料供給量、原料供給温度、燃料油供給量、燃料霧化空気供給量、燃焼用空気供給量、燃焼用空気温度、反応停止箇所などの製造条件を調整して製造することができる。
タイヤトレッド用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、各種無機充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤトレッド用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、走行初期からのグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。このため、高速走行性能が優れた競技用空気入りタイヤとして好適である。しかし、本発明の空気入りタイヤは、競技用のタイヤに限定されるものではなく、通常の乗用車用の空気入りタイヤとして好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
カーボンブラックの製造及び性状
炉の軸方向に装着した燃料バーナーの周囲から燃焼用空気を供給する空気導入口を有する燃焼室(内径900mm、長さ2100mm)に引続き、半角15°のテーパ角を有する縮小テーパ部、円筒直管部(内径530mm、長さ400mm)、炉軸に対して直角方向に原料が供給できる原料供給口を備えた第一原料供給部(内径370mm、長さ3670mm)、第二原料供給部(内径254mm、長さ420mm)からなるファーネス炉を用いて、原料供給箇所、原料供給量、燃料油供給量、燃焼用空気供給量、反応停止箇所を調整することにより製造した。尚、原料供給口は、第一原料供給部に4箇所(FNo.1〜FNo.4)、第二原料供給部に一箇所(FNo.5)、拡大テーパ第三原料供給部に3箇所(FNo.6〜FNo.8)設置されている。また、上述したいずれかの原料供給口から原料を供給し、所定の反応停止箇所(QWNo.1,2,6)で冷却水をスプレーすることにより反応滞留時間を調整した。
原料に比重1.05(100/4℃)、BMCI150、エングラー粘度(70/20℃)1.32、トルエン不溶分0.02%の石炭系原料油を、燃料に比重0.96(15/4℃)、灰分0.001%、エングラー粘度(40/20℃)1.11、トルエン不溶分0.007の炭化水素油を用いて、原料供給箇所、原料供給量、燃料油供給量、燃焼用空気供給量、反応停止箇所を調整することにより、CB1〜CB4の4種類のカーボンブラックを製造した。また、得られたカーボンブラックのコロイダル特性及びアグリゲートの二次元投影画像を画像解析した特性値を前述した方法により測定し、条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)、条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)を求めた。また参考のため、無次元数X,Y,Zの個数平均値を求めた。得られた結果を表1に示した。
Figure 2012158662
タイヤトレッド用ゴム組成物の調製及び評価
表1に示す4種類のカーボンブラック(CB1〜CB4)を用いて、表2,3に示す配合からなる12種類のゴム組成物(実施例1〜6、比較例1〜6)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、55Lのニーダーで15分間混練し、温度160℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを55Lのニーダーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混合しタイヤトレッド用ゴム組成物を得た。得られた12種類のゴム組成物(実施例1〜6、比較例1〜6)を、それぞれ所定形状の金型中で、150℃、30分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法により耐摩耗性の評価を行った。
耐摩耗性
得られた試験片のピコ摩耗を、JIS K6264に準拠して、FERRY MACHINE CO.社製ピコ摩耗試験機を用いて測定した。測定条件は、荷重44N、ターンテーブルの回転速度を毎分60±2回、ターンテーブルの合計回転数80回(正回転20回と逆回転20回を各々2回交互に行う)とした。得られた結果は、比較例1を100にする指数として、表2,3に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性が優れていることを意味する。
また得られた12種類のゴム組成物をトレッド部に使用したタイヤサイズ225/50R17の空気入りタイヤを製作した。得られた空気入りタイヤを、それぞれサイズ17×JJのリムに組み、空気圧230kPaとし、国産車両(排気量3000cc)に装着し、テストドライバーがドライ条件のサーキットコース(1周2km)を10周走行させたときの周回毎のラップタイムを計測し、下記の判定方法により走行初期のグリップ性能(1周目のラップタイム)及びピークグリップ性能(3周目のラップタイム)を評価し、得られた結果を表2,3に示した。
走行初期のグリップ性能(1周目のラップタイム)
ドライ条件のサーキットコースを10周連続走行したときの1周目のラップタイムを、比較例1の空気入りタイヤのラップタイムを基準タイムとして以下の判定基準により評価し、表2,3の「初期グリップ性能」の欄に示した。この評点が高いほど走行初期からのグリップ性能が優れることを意味する。
5:ラップタイムが、基準タイムより0.5秒以上速い。
4:ラップタイムが、基準タイムより0.2秒以上0.5秒未満速い。
3:ラップタイムと基準タイムとの差が0.2秒未満の範囲内にある。
2:ラップタイムが、基準タイムより0.2秒以上0.5秒未満遅い。
1:ラップタイムが、基準タイムより0.5秒以上遅い。
ピークグリップ性能(3周目のラップタイム)
ドライ条件のサーキットコースを10周連続走行したときの3周目のラップタイムを、比較例1の空気入りタイヤのラップタイムを基準タイムとして以下の判定基準により評価し、表2,3の「ピークグリップ性能」の欄に示した。た。この評点が高いほどピークグリップ性能が優れることを意味する。
5:ラップタイムが、基準タイムより0.5秒以上速い。
4:ラップタイムが、基準タイムより0.2秒以上0.5秒未満速い。
3:ラップタイムと基準タイムとの差が0.2秒未満の範囲内にある。
2:ラップタイムが、基準タイムより0.2秒以上0.5秒未満遅い。
1:ラップタイムが、基準タイムより0.5秒以上遅い。
Figure 2012158662
Figure 2012158662
なお、表2,3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、タイ製STR20
・SBR:スチレン−ブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL 1739、ゴム成分100重量部に対しオイル37.5重量部を配合した油展品。
・CB1〜CB4:上述した製造で得られた表1に示す試作カーボンブラック
・粘着性付与樹脂:芳香族変性テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製YSポリスターTO−115
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製SANTOFLEX6PPD
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
表2から明らかなように実施例1〜6のタイヤトレッド用ゴム組成物は、走行初期のグリップ性能、ピークグリップ性能及び耐摩耗性が従来レベル以上に向上することが確認された。
表3から明らかなように、比較例2のゴム組成物は、天然ゴムを配合していないため、走行初期からのグリップ性能が不足する。比較例3のゴム組成物は、粘着性付与樹脂を配合していないため、ピークグリップ性能が不足する。比較例4,5のゴム組成物は、カーボンブラックCB3,CB4のアグリゲートの二次元投影画像の特性が、本発明の範囲外であるのでピークグリップ性能又は耐摩耗性が悪化する。比較例6のゴム組成物は、ジエン系ゴム中の天然ゴムの含有量が70重量%を超えるので、ピークグリップ性能が悪化する。

Claims (2)

  1. 天然ゴムを10〜70重量部含むジエン系ゴム100重量部に対し、粘着性付与樹脂を5〜60重量部、カーボンブラックを90〜150重量部を配合すると共に、前記カーボンブラックが、CTAB吸着比表面積が150〜250m2/g、DBP吸収量が100〜150ml/100gのハードカーボンブラック領域に属し、かつ前記カーボンブラックを透過型電子顕微鏡で観察したときのアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求めた最大長L、幅W、周囲長P、投影面積A、包絡面積Sから無次元数X,Y,Zを算出し、下記条件(1)を満たすアグリゲートの個数分率(r1%)と下記条件(2)を満たすアグリゲートの個数分率(r2%)を求め、個数分率(r1%)と個数分率(r2%)の合計が70%以上80%未満であり、かつ個数分率(r2%)が個数分率(r1%)より大きいことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
    条件(1) X>1.7、Y>110の少なくとも一つを満たし、かつZ>1.6
    条件(2) Y>110、かつ1.6≧Z>1.3
    (ただし、無次元数X,Y,Zは下記の式から求められる。
    X=L/W
    Y=(P2/A)×(100/4π)
    Z=S/A
    ここで、Lはアグリゲートの二次元投影画像の画像解析から求められた最大長(nm)、Wは幅(nm)、Pは周囲長(nm)、Aは投影面積(nm2)、Sは包絡面積(nm2)である。)
  2. 請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
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