JP2012158658A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形加工に適した十分な流動性と生分解性とを有するポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】数平均分子量が60000〜70000であるポリ乳酸樹脂100質量部に対して、数平均分子量が200〜20000であるポリエチレングリコール1〜50質量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物。ポリ乳酸樹脂が、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上である前記ポリ乳酸樹脂組成物。190℃、21.2N荷重におけるメルトフローレートが、50〜150である前記ポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂にポリエチレングリコールを配合した樹脂組成物であり、流動性と生分解性が向上したポリ乳酸樹脂組成物に関するものである。
一般に、成形用の原料としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA6、PA66等)、ポリエステル樹脂(PET、PBT等)、ポリカーボネート樹脂(PC)等が使用されている。このような樹脂から製造された成形物は、自然環境下においては、ほとんど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりするなどの課題がある。
ポリ乳酸などの生分解性樹脂は、土壌埋設やコンポスト化などの処理を行うことで生分解されることが知られており、プラスチック廃棄処理問題において有用な解決法であると有望視されている。しかしその分解速度は、樹脂種、成形体の大きさ、また形状によってまちまちであり、分解速度の遅い生分解性樹脂は土壌中やコンポスト装置内に長期間残存することがあり、一般に広く普及することの妨げとなっている。
従来、分解性を向上する方法として、例えば生分解性樹脂と澱粉との組成物が開示されているが(特許文献1)、その組成物ではカビが生えたりネズミや虫にかじられたりするので保存や使用上の問題があった。また生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物との組成物が開示されているが(特許文献2)、実際には160℃でも成形可能な低融点タイプのポリ乳酸を使用しているのみであり、高融点タイプのポリ乳酸を使用した際の分解性は明らかでなく、また生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物とを凝集させずムラなく分散させるのは製造上非常に困難である。
また、ポリ乳酸、または、ポリオレフィンとデンプンとの混合物によりシートを成形し、そのシートを塗装時のマスキング材として使用した後、土壌中で生分解させる方法も記載されている(特許文献3)が、その分解速度は遅く、半年後も土壌中に残存している。
さらに、特許文献4には、生分解性樹脂とポリエチレングリコール及び無機充填剤を含有する生分解性樹脂組成物が記載されており、生分解性樹脂としてはポリ乳酸が挙げられている。そして、優れた水崩壊性と生分解性を有することが記載されている。しかしながら、特許文献4に記載されている樹脂組成物は無機充填剤を必須成分とするものであり、また、ポリ乳酸の性能について十分に考慮されていないものであった。このため、得られる樹脂組成物は、成形加工に適した十分な流動性を有しておらず、また生分解性も不十分なものであった。
特開平5−39381号公報 特開2001−89646号公報 特開2008−100209号公報 特開2003−41142号公報
本発明は、上記の問題点を解消し、成形加工に適した十分な流動性と分解速度の速い生分解性とを有するポリ乳酸樹脂組成物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、数平均分子量が60000〜70000であるポリ乳酸樹脂100質量部に対して、数平均分子量が200〜20000であるポリエチレングリコール1〜50質量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物を要旨とするものである。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、数平均分子量が適切な範囲のポリ乳酸樹脂とポリエチレングリコールを用いたものであるため、成形加工に適した十分な流動性を有するとともに、アルカリ溶液中での分解速度が速く、生分解性にも優れている。また、ポリ乳酸樹脂として、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるものを用いることにより、結晶性にも優れたポリ乳酸樹脂組成物とすることができる。これにより、短時間での成形加工が可能となり、耐熱性に優れた成形体を得ることができる。
したがって、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、マスキング材などの使い捨ての分野において良好に使用することができ、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値はきわめて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を構成するポリ乳酸樹脂は、数平均分子量が60000〜70000であることが必要であり、中でも数平均分子量が62000〜68000であることが好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であることにより、数平均分子量が200〜20000であるポリエチレングリコールとの相溶性が向上し、流動性に優れた樹脂組成物を得ることができ、これにより、成形加工時の加工性が向上する。さらに、ポリ乳酸樹脂の数平均分子量が上記範囲内であることにより、得られる樹脂組成物の生分解性も向上する。本発明の樹脂組成物は、特にアルカリ溶液中での分解速度が速いものである。
また、ポリ乳酸樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または、D体含有量が99.0モル%以上であることが好ましく、中でも、0.1〜0.6モル%であるか、または、99.4〜99.9モル%であることが好ましい。D体含有量がこの範囲内であることにより、結晶性に優れるため、得られる樹脂組成物は短時間で成形加工が可能となり、また耐熱性が向上した成形体を得ることが可能となる。D体含有量がこの範囲外であるポリ乳酸樹脂であると、結晶性が向上せず、上記効果に乏しいものとなる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂を構成する総乳酸単位のうち、D乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂の場合、このポリ乳酸樹脂は、D乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂のD体含有量は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL乳酸とD乳酸を全てメチルエステル化し、L乳酸のメチルエステルとD乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
本発明に用いるポリ乳酸樹脂としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂を用いることができる。このうち、D体含有量が上記した範囲のポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。また、乳酸の環状2量体であるラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL-ラクチド、または、L体含有量が十分に低いD-ラクチドを原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。
ポリ乳酸樹脂には、主たる構成成分以外のモノマーが共重合されていてもよい。例えば、酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、2、2´−ビフェニルジカルボン酸、4,4´−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸およびこれらの無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。また、ジオール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール類又はそれらのエチレンオキサイド付加体、ハイドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジオール等が共重合されていても構わない。さらには、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、等のヒドロキシカルボン酸や、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物が共重合されていても構わない。
本発明におけるポリエチレングリコールは、数平均分子量が200〜20000であることが必要であり、中でも数平均分子量が500〜18000であることが好ましく、さらには、1000〜15000であることが好ましい。
数平均分子量が200未満であるポリエチレングリコールを配合すると、ポリ乳酸樹脂との相溶性が悪くなり、流動性に優れた樹脂組成物とすることが困難となる。一方、数平均分子量が20000を超えると、得られる樹脂組成物は分解速度が遅く、生分解性に乏しいものとなる。
このような分子量が200〜20000であるポリエチレングリコールとしては、三洋化成社製のPEG−200、300、600、1000、1500、2000、4000N、4000S、6000S、10000、13000、20000などが挙げられる。
そして、本発明におけるポリエチレングリコールの配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが必要であり、中でも1〜35質量部であることが好ましい。1質量部未満では、ポリエチレングリコールを添加する効果に乏しくなり、流動性や生分解性に優れた樹脂組成物とすることが困難となる。一方、50質量部を超えると、得られる樹脂組成物は成形サイクルの長いものとなったり、成形加工性に劣るものとなる。また、ポリエチレングリコールがブリードアウトする場合があり、得られた成形体は外観や品位の劣るものとなる。
なお、本発明におけるポリ乳酸樹脂とポリエチレングリコールの数平均分子量は、分子量及び分子量分布示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で標準ポリスチレン換算で求めるものである。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上記のようなポリ乳酸樹脂とポリエチレングリコールを含有するものであり、190℃、21.2N荷重におけるメルトフローレートが、50〜150であることが好ましく、中でも70〜120であることが好ましい。
なお、メルトフローレートは、JIS規格K−7210(試験条件4)に従い、190℃、荷重21.2Nで測定するものである。
本発明の樹脂組成物は、流動性に優れるものであるが、その性能を示す指標として、メルトフローレートが50〜150であることが好ましい。そして、メルトフローレートがこの範囲のものであることにより、薄肉の成形体を成形する際にも加工性よく成形体を得ることが可能となる。メルトフローレートが50未満であると、流動性に劣るものとなり、薄肉の成形体を得る際の成形加工性に劣るものとなりやすい。一方、メルトフローレートが150を超えると、流動性は良好となるが、得られる成形体の機械的特性が劣るものとなりやすい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、植物繊維、強化繊維、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、相溶化剤、結晶核剤などを配合することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが挙げられる。植物繊維としては、例えば、ケナフ繊維、竹繊維、ジュート繊維、その他のセルロース系繊維などが挙げられる。強化繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、液晶ポリマー繊維などの有機強化繊維などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、脂肪族エステル誘導体または脂肪族ポリエーテル誘導体から選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレートなどが挙げられる。滑剤としては、各種カルボン酸系化合物を用いることができ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。離型剤としては、各種カルボン酸系化合物、、各種脂肪酸エステル、各種脂肪酸アミドなどが挙げられる。
耐衝撃剤としては、特に限定されず、コアシェル型構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃剤など、種々のものを用いることが出来る。具体的な市販の商品としては、例えば、三菱レイヨン製メタブレンシリーズなどが挙げられる。相溶化剤としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系共重合樹脂を主鎖に持つグラフト共重合体が挙げられ、具体的な化合物としては、例えば、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−ポリメチルメタクリレートグラフト共重合体、あるいは、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−ポリ(アクリロニトリル/スチレン)グラフト共重合体などが挙げられる。具体的な市販の商品としては、例えば、日本油脂製モディパーシリーズなどが挙げられる。
結晶核剤としては、無機結晶核剤のタルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核剤としては、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、有機ホスホン酸塩等が挙げられる。具体的に市販されているものとしては、日産化学社製のエコプロモートーNPが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、その効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレングリコール以外の樹脂が配合されていてもよい。このような他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタールなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6Tなどが挙げられる。
ポリエステルとしては、各種芳香族ポリエステル、各種脂肪族ポリエステルをはじめ多くのものが挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートなどが挙げられ、脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート−乳酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸などが挙げられる。
この他のポリエステル系のものとしては、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリブチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレートコテレフタレート、p−ヒドロキシ安息香酸残基とエチレンテレフタレート残基からなるコポリエステル、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリトリメチレンテレフタレート等などが挙げられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、インブロ、発泡シート成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。すなわち、射出成形してなる成形体、あるいは、押出し成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体、あるいは、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体などとすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較例で得られた樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリ乳酸樹脂のD体含有量
得られた樹脂組成物を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸を分解させ、サンプルとして5mLを計り取った。このサンプルに純水3mL、および、塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂のD体含有量(モル%)とした。
(2)ポリ乳酸樹脂、ポリエチレングリコールの数平均分子量
前記の方法で測定した。
(3)樹脂組成物のメルトフローレート
前記の方法で測定した。
(4)成形サイクル
得られたポリ乳酸樹脂組成物(ペレット)を70℃で24時間真空乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製、商品名「EC-100」)を用いて、30mm×30mm×0.8mm厚のプレート成形体を作製した。成形機のシリンダー温度180℃で樹脂組成物を溶融し、金型温度90℃の金型に充填した。樹脂組成物が金型内に射出され、冷却された後に、成形体が金型に固着することなく、または抵抗無く取り出すことができ、突き出しピンによる変形が無く、良好に離型できるまでの時間(秒)を測定し、成形サイクルとした。本発明においては、成形サイクルは50秒以下であることが好ましく、40秒以下であるものがより好ましい。
(5)分解性
(4)で作製した成形体を温度85℃の5%アルカリ溶液中に静置し、成形体が完全に溶解するまでの時間を測定した。本発明においては、溶解時間は40分以下であることが好ましく、30分以下であるものがより好ましい。
(6)耐ブリード性
以下の2段階で評価した。
○:(4)で作製した成形体表面のべたつきは見られなかった。
×:(4)で作製した成形体表面のべたつきが顕著に見られた。
実施例、比較例に用いた各種原料は次の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂:
・カーギルダウ社製NatureWorks 6251D(以下、「PLA6251D」と略称する。) MFR=30g/10分、融点168℃、数平均分子量66000、D体含有量1.4モル%
・カーギルダウ社製NatureWorks 3001D(以下、「PLA3001D」と略称する。) MFR=10g/10分、融点168℃、数平均分子量72000、D体含有量1.4モル%
・トヨタ社製、商品名「S−32」(以下、「PLAS−32」と略称する。)、MFR=20g/10分、融点178℃、数平均分子量69000、D体含有量0.2モル%、
(2)ポリエチレングリコール:
・三洋化成社製PEG−600(以下、「PEG600」と略称する。) 数平均分子量600
・三洋化成社製PEG−4000N(以下、「PEG4000N」と略称する。) 数平均分子量3100
・三洋化成社製PEG−20000(以下、「PEG20000」と略称する。) 数平均分子量20000
(3)結晶核剤:
・日産化学社製エコプロモート-NP(エコプロモート-NPと略称する)
実施例1
ポリ乳酸樹脂として、PLA6251Dを用い、ポリエチレングリコールとして、PEG4000Nを用い、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、ポリエチレングリコールを2質量部配合し、結晶核剤を1質量部配合した。2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を使用して、押出機の根元供給口から、加工温度190℃、スクリュー回転数200rpm、吐出15kg/hの条件で、溶融押出しを実施した。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例2〜3、比較例1〜2
PEG4000Nの配合量を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例4
ポリエチレングリコールとしてPEG600を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例5
ポリエチレングリコールとしてPEG20000を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例6
ポリ乳酸樹脂として、PLAS−32を用いた以外は、実施例4と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例7
ポリ乳酸樹脂として、PLAS−32を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例8
ポリ乳酸樹脂として、PLAS−32を用いた以外は、実施例5と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
比較例3
ポリエチレングリコールを配合せず、ポリ乳酸樹脂のみを用いた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂のペレットを得た。
比較例4
ポリ乳酸樹脂としてPLA3001Dを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。
実施例1〜8、比較例1〜4で得られた樹脂組成物の組成、特性値の値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜8で得られた樹脂組成物は、メルトフローレートが最適な範囲のものであり、流動性に優れていた。そして、成形サイクルが短く、成形加工性に優れていた。かつアルカリ溶液中での溶解時間が短く、生分解性にも優れていた。中でもポリ乳酸樹脂としてD体含有量が1.0モル%以下であるものを用いた実施例6〜8の樹脂組成物は、結晶性に優れていたため、成形サイクルが特に短いものであり、得られた成形体は耐熱性にも優れていた。
一方、比較例1で得られた樹脂組成物は、ポリエチレングリコールの配合量が本発明で規定する量より多かったため、成形サイクルの長いものとなり、また、成形体の表面にブリードが発生し、成形加工性に劣るものであった。
比較例2で得られた樹脂組成物は、ポリエチレングリコールの配合量が本発明で規定する量より少なかったため、流動性と生分解性ともに劣るものであった。比較例3はポリ乳酸樹脂のみからなるものであったため、流動性と生分解性ともに劣るものであった。比較例4で得られた樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂として数平均分子量が70000を超えるものを用いたため、流動性と生分解性ともに劣るものであった。

Claims (3)

  1. 数平均分子量が60000〜70000であるポリ乳酸樹脂100質量部に対して、数平均分子量が200〜20000であるポリエチレングリコール1〜50質量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸樹脂が、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上である、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 190℃、21.2N荷重におけるメルトフローレートが、50〜150である請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
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