JP2012155395A - 定電圧回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力電圧の低下時および上昇時において高速応答が可能であり、かつ、低消費電力動作可能な定電圧回路を提供する。
【解決手段】入力電圧を、所定の定電圧に変換し、出力電圧として出力する定電圧回路であって、ゲートに与えられた制御信号(Vgate)に応じた電流を出力することによって、出力電圧(Vout)を制御する出力電圧制御トランジスタ(Pass_Tr20)と、検出した出力電圧に比例した比例電圧を生成して出力する出力電圧検出回路(30)と、比例電圧が所定の基準電圧に一致するように制御信号(Vgate)を出力する誤差増幅回路(エラーアンプ10)と、出力電圧の電圧変化に応じて電流源をオン動作させて誤差増幅回路の動作電流を増加させる動作電流加算回路(加速回路60)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、定電圧回路に関する。
携帯電話に代表される電子機器においては、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の様々なデバイスが搭載され、それぞれのデバイスが仕様範囲内の条件で動作することによって電子機器が動作する。これらのデバイスにおいては、デバイス毎に仕様で定められた動作電圧が異なる。そのため、電子機器内でデバイス毎の近傍に配置された専用の電源回路によりデバイスへ供給する動作電圧が仕様範囲内に最適化されてから、専用の電源回路から各デバイスに電源電圧が供給される。こうしたデバイス毎に設けられた電源回路は、POL(Point Of Load)と呼ばれ、具体的には、DC−DCコンバータ(Switching Regulator)や、LDO(Low Drop Out)、CP(Charge Pump)などが使用される。これらのPOLの中でも、LDOは、もっとも低ノイズ、且つ安定した一定の出力電圧を供給する定電圧回路として、広く知られている。
POLとして使用されるLDOの負荷となる次段のデバイスは、高速、且つ低電圧で動作するLSI(Large Scale Integration)が多く、このような次段のデバイスは、LDOから、LDOの出力電圧Voutが動作電圧として供給されて動作する。
図14は、LDOの一般的な回路構成を示すブロック図、及びLDOの出力電圧Voutの変化を示すタイミングチャートである。
図14(a)に示すように、LDOは、エラーアンプ10(誤差増幅回路)、Pass_Tr20(出力電圧制御トランジスタ)、出力電圧検出回路30、出力電圧安定化回路40、及び基準電圧発生回路50から構成される。LDOは、入力端子に入力される入力電圧Vinを、基準電圧発生回路50が出力する電位を基準にして、出力端子から出力電圧Voutとして出力する。次段のデバイスは、その動作電圧として出力電圧Voutが供給される。
次段のデバイスの動作時、図14(b)に示すように、LDOの出力電圧Voutには、負荷電流Iloadの定常的な値からのΔIload上昇に伴い、電圧の低下(電圧ドロップ)、負荷電流Iloadの定常的な値への復帰に伴い、電圧の上昇(電圧オーバーシュート)といった電圧変化が発生する。
LDOの出力電圧Voutは、上述の通り、次段のデバイスの電源電圧であるので、特に大きな出力電圧Voutの電圧変化が発生した場合、デバイスには所定の動作電圧が供給されなくなり、誤動作する原因となる。
LDOの出力電圧Voutに、上記出力電圧の変化が生じた場合、LDOのフィードバックループを構成するエラーアンプ10、Pass_Tr20、及び出力電圧検出回路30によるループ制御動作で、出力電圧Voutを自律的に所定の定電圧となるよう制御させることはある程度可能である。
しかし、高速応答の実現には、フィードバックループに使われるエラーアンプ等の制御用パーツの高速動作化が要求される。また、この各パーツの高速動作化を実現するには、各パーツにおいて消費電流が増大する。ところが、低消費電流化が進む最近の電子機器では、LDOにおいて消費電流が増大することは好ましくない。
そのため、近年のLDOの開発において、低消費電流化と高速応答化という互いに相反する性能を実現しようという試みが多くなされている。このような試みの一つとして、低消費電流で、しかも、高速応答が可能な定電圧回路が、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2008−217677号公報
しかし、上記特許文献1記載のLDOを含む従来のLDOにおいては、次に述べる問題点があった。
まず、この問題点を明らかにするために、図15及び図16を用いて、一般的なLDOにおいて、負荷電流Iloadが変動した時に、出力電圧Voutの電圧変化を制御するメカニズム(負荷応答性のメカニズム)について説明する。
図15は、図14に示したLDOの回路ブロック構成のうち、エラーアンプ10をトランジスタレベルまで記載したLDOの回路構成を示す図である。また、図16は、図15に示すLDOの回路図に、次段のデバイスの消費電流として負荷電流Iloadを追加記載し、LDOにおける応答性を説明するために応答時のLDOの動作順番に従って[1]〜[8]の符号を追加記載したLDOの回路構成を示す図である。
図15で示すLDOにおいて、エラーアンプ10は、差動対をなすNチャネル型MOSトランジスタN1(N channel Metal Oxide Semiconductor),Nチャネル型MOSトランジスタN2と、差動対の負荷をなすカレントミラー回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタP1(P channel Metal Oxide Semiconductor),Pチャネル型MOSトランジスタP2と、差動対にバイアス電流を供給する定電流源を構成するNチャネル型MOSトランジスタN3(エラーアンプ10の第1の定電流源)と、から構成される差動増幅器を備えている。
この差動増幅器において、反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタN1のゲートには、出力電圧検出回路30を構成する抵抗Ru及び抵抗Rdの接続点FBの電圧(出力電圧Voutの比例電圧)が入力され、非反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタN2のゲートには基準電圧発生回路50の出力である所定の基準電圧Vrefが入力される。更に、エラーアンプ10は、Pチャネル型MOSトランジスタPout及びNチャネル型MOSトランジスタN4(エラーアンプ10の第2の定電流源)から構成される出力回路部を備えている。
差動増幅器は、基準電圧Vrefと比例電圧とを比較し、その差分電圧を増幅した結果である制御信号Diff_outにより、出力回路部を構成するPチャネル型MOSトランジスタPoutのゲートを駆動する。また、出力回路部は、制御信号Vgate(制御信号)を、Pass_Tr20(出力電圧制御トランジスタ)に出力する。
これにより、エラーアンプ10は、出力電圧Voutの比例電圧が所定の基準電圧Vrefになるように、Pass_Tr20の動作制御を行い、入力電圧VinからPass_Tr20を介してLDOの負荷に供給する電流量を調整する。
なお、図15に示す出力電圧安定化回路40は、容量CL及び抵抗ESRで構成され、負荷電流Iloadが変動した時に、LDOの出力電圧Vout電圧レベルを維持する(変動を抑制する)ための回路である。
次に、図16を用いて、負荷電流Iloadが変動した時に、出力電圧Voutの電圧変化を制御するメカニズム(負荷応答性のメカニズム)について説明する。
まず、出力電圧Voutの電圧低下(電圧ドロップ)に対するLDOの調整動作について説明する。
負荷電流Iloadが増大すると([1])、出力電圧Voutの電圧は低下し([2])、接続点FBの電圧(比例電圧)も低下する([3])。
これにより、差動対を構成するNチャネル型MOSトランジスタN1のドレイン電流が、Nチャネル型MOSトランジスタN2のドレイン電流に比べて小さくなる(Nチャネル型MOSトランジスタN1がオフ状態に近くなる[4])。
そのため、差動増幅器の制御信号Diff_outの電圧が上昇し、Pチャネル型MOSトランジスタPoutのドレイン電流を減少させる(Pチャネル型MOSトランジスタPoutをオフ状態に近づける[5])。
以上の[4]から[5]までに要する時間は、バイアス電圧Biasがゲートに入力されて定電流源を構成するNチャネル型MOSトランジスタN3を流れる定電流I1の電流値により決定される。
また、Pチャネル型MOSトランジスタPoutがオフ状態に近くなるとともに、Nチャネル型MOSトランジスタN4が、完全にオンし、Pass_Tr20のゲート容量Cg_psを放電する([6])。Pass_Tr20のゲート−ドレイン間の差電圧は大きくなり、Pass_Tr20は強くオンする([7])。これにより、Pass_Tr20は、入力電圧Vinが供給されている入力端子からLDOの出力端子へと電流を流し、出力電圧Voutを、所定の電圧(基準電圧Vrefを用いて、Vref×(Ru+Rd)/Rdで表される所定の電圧)へと復帰させる([8])。
以上の[6]から[7]までに要する時間は、バイアス電圧Biasがゲートに入力されて定電流源を構成するNチャネル型MOSトランジスタN4を流れる定電流I2の電流値により決定される。
以上より、出力電圧Voutの電圧低下(電圧ドロップ)の場合のLDOの応答速度は、定電流I1及び定電流I2の電流値に大きく依存する。
次に、出力電圧の電圧上昇(電圧オーバーシュート)に対するLDOの調整動作について説明する。なお、本調整動作については、電圧ドロップに対するLDOの調整動作についての説明で、LDOのフィードバックループを構成する各回路の動作が明らかになったので、図面を省略して説明する。また、以下の説明では、上記説明に用いた符号[1]〜[8]に対応する符号[1’]〜[8’]を用いて説明する。
負荷電流Iloadが減少すると([1’])、Pass_Tr20は完全なオン状態にあるので、出力電圧Voutの電圧は上昇し([2’])、接続点FBの電圧(比例電圧)も上昇する([3’])。
これにより、差動対を構成するNチャネル型MOSトランジスタN1のドレイン電流が、Nチャネル型MOSトランジスタN2のドレイン電流に比べて大きくなる(Nチャネル型MOSトランジスタN1がオン状態に近くなる[4’])。
そのため、差動増幅器の制御信号Diff_outの電圧が低下し、Pチャネル型MOSトランジスタPoutのドレイン電流を増加させる(Pチャネル型MOSトランジスタPoutをオン状態に近づける[5’])。
以上の[4’]から[5’]までに要する時間は、バイアス電圧Biasがゲートに入力されて定電流源を構成するNチャネル型MOSトランジスタN3を流れる定電流I1の電流値により決定される。
また、Pチャネル型MOSトランジスタPoutがオン状態に近くなることにより、Pass_Tr20のゲート容量Cg_psを充電する([6’])。Pass_Tr20のゲート−ドレイン間の差電圧は小さくなり、Pass_Tr20はオフする([7’])。負荷電流Iloadまたは出力電圧検出回路30は、出力電圧Voutを、所定の電圧へと復帰させる([8’])。
ここで、上記電圧ドロップの場合と異なり、[6’]から[7’]までに要する時間は、Nチャネル型MOSトランジスタN4を流れる定電流I2の電流値には依存せず、Pチャネル型MOSトランジスタPoutの駆動能力により決定される。
つまり、出力電圧Voutの電圧上昇(電圧オーバーシュート)の場合のLDOの応答速度は、定電流I2の電流値に比べて定電流I1の電流値に大きく依存する。
以上に説明した出力電圧Voutの電圧変化を制御するメカニズム(負荷応答性のメカニズム)から、負荷電流Iloadが変動した際、LDOの出力電圧Voutの所定電圧への復帰は、Pass_Tr20をオンまたはオフさせる速度に依存することが明らかである。
つまり、負荷電流Iloadが増加し、出力電圧Voutが電圧低下(電圧ドロップ)した場合、Pass_Tr20をオンさせる速度は、差動増幅器の動作電流である定電I1の電流値及び出力回路部の動作電流である定電流I2の電流値に依存する。
また、負荷電流Iloadが減少し、出力電圧Voutが電圧上昇(電圧オーバーシュート)した場合、Pass_Tr20 をオフさせる速度は、差動増幅器の動作電流である定電流I1の電流値に依存する。
言い換えれば、エラーアンプ10の動作電流を増大すれば、LDOの系全体の動作反応速度(応答速度)の向上に繋がる。
しかし、エラーアンプ10の動作電流を増大することは、LDOの電圧変換効率を低下することを意味するので、動作電流を増大して、応答速度を向上させる方法は好ましくない。
ここで、特許文献1記載の定電圧回路は、上記Pass_Tr20(特許文献1の図1における符号M1)のゲートを駆動するエラーアンプ10(特許文献1の図1における符号4)に対して並列に、第2の誤差増幅回路部(同じく特許文献1の図1における符号5)を設け、自身の動作電流によりM1のゲートを駆動する構成となっている。
つまり、上記説明の定電流I2の電流値のみを増加させる構成となっているため、定電圧回路の出力電圧の低下時には高速応答を実現することが可能であるものの、出力電圧の上昇時には高速応答を実現できない。
また、出力電圧の電圧変化がない時に、第2の誤差増幅回路部は、出力電圧の低下時の高速応答に対応するために、定常的に流れる電流(リーク電流:特許文献1の図2における符号i1で示す定常電流)を消費しているため、高速応答への対応時以外での消費電流が増大するという問題があった。
本発明は、出力電圧の低下時および上昇時において高速応答が可能であり、かつ、低消費電力動作可能な定電圧回路を提供することを課題とする。
上記問題を解決するために、本発明の定電圧回路は、入力端子に入力された入力電圧を、所定の定電圧に変換し、出力端子から出力電圧として出力する定電圧回路であって、前記入力端子と前記出力端子との間に設けられ、ゲートに与えられた制御信号に応じて、前記出力電圧を制御する出力電圧制御トランジスタと、前記出力電圧を検出し、検出した出力電圧に比例した比例電圧を生成して出力する出力電圧検出回路と、所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、前記出力電圧制御トランジスタのゲートに前記制御信号を出力する誤差増幅回路と、前記誤差増幅回路の応答速度を決定する定電流源に対して並列に設けられる電流源を有し、前記出力電圧の電圧変化に応じて前記電流源をオン動作させて前記誤差増幅回路の動作電流を増加させる動作電流加算回路と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の定電圧回路において、前記誤差増幅回路は、前記所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、第3の駆動信号を出力する第3の差動増幅器と、前記第3の駆動信号がゲートに入力され、前記制御信号を出力する第1のトランジスタと、を有し、前記定電流源は、前記第3の差動増幅器に対応して設けられる第1の定電流源と、前記第1のトランジスタに対応して設けられる第2の定電流源とから構成され、前記動作電流加算回路は、前記第1の定電流源に並列に設けられた第1の電流源と、前記第2の定電流源に並列に設けられた第2の電流源と、一端が前記出力端子に接続される容量素子と、前記容量素子の他端に接続される非反転入力端子と基準電圧源に接続されて前記所定の基準電圧が入力される反転入力端子とを有し、差動対を構成する一対のトランジスタのうち、前記非反転入力端子に接続される一方のトランジスタの電流駆動能力が前記反転入力端子に接続される他方のトランジスタの駆動能力より高く、出力端子から前記出力電圧の電圧変化と同相の電圧変化をする第1の駆動信号を出力する第1の差動増幅器と、前記基準電圧源に接続されて前記所定の基準電圧が入力される非反転入力端子と、前記容量素子の他端に接続される反転入力端子とを有し、差動対を構成する一対のトランジスタのうち、前記非反転入力端子に接続される一方のトランジスタの電流駆動能力が前記反転入力端子に接続される他方のトランジスタの駆動能力より高く、出力端子から前記出力電圧の電圧変化と同相の電圧変化をする第2の駆動信号を出力する第2の差動増幅器と、前記第1の差動増幅器の出力を反転して出力する第1の論理反転回路と、を有し、前記第2の駆動信号及び前記第1の論理反転回路の出力により前記第1の電流源及び前記第2の電流源をオン動作させることを特徴とする。
また、本発明の定電圧回路において、前記誤差増幅回路は、前記所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、第3の駆動信号を出力する第3の差動増幅器と、前記第3の駆動信号がゲートに入力され、前記制御信号を出力する第1のトランジスタと、を有し、前記定電流源は、前記第3の差動増幅器に対応して設けられる第1の定電流源と、前記第1のトランジスタに対応して設けられる第2の定電流源とから構成され、前記動作電流加算回路は、前記第1の定電流源に並列に設けられた第1の電流源と、前記第2の定電流源に並列に設けられた第2の電流源と、一端が前記出力端子に接続される第1の容量素子と、一端が前記出力端子に接続される第2の容量素子と、前記入力電圧を分圧し、第1の基準電圧を第1の分圧点から、前記第1の基準電圧より高い第2の基準電圧を第2の分圧点から出力する基準電圧発生回路と、非反転入力端子が前記第2の分圧点及び前記第1の容量素子の他端に接続され、反転入力端子が前記第1の分圧点に接続され、出力端子から前記出力電圧の変化と同相の電圧変化をする第1の駆動信号を出力する第1の差動増幅器と、非反転入力端子が前記第2の分圧点に接続され、反転入力端子が前記第1の分圧点及び前記第2の容量素子の他端に接続され、出力端子から前記出力電圧の変化と逆相の電圧変化をする第2の駆動信号を出力する第2の差動増幅器と、前記第1の差動増幅器の出力を反転して出力する第1の論理反転回路と、を有し、前記第2の駆動信号及び前記第1の論理反転回路の出力により前記第1の電流源及び前記第2の電流源をオン動作させることを特徴とする。
また、本発明の定電圧回路において、前記第1の電流源は、前記第2の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第1の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成され、
前記第2の電流源は、前記第2の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第1の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成されることを特徴とする。
また、本発明の定電圧回路において、前記動作電流加算回路は、前記第1の定電流源に並列に設けられた第3の電流源と、前記第2の差動増幅器の出力を反転して出力する第2の論理反転回路と、を更に有し、前記第3の電流源は、前記第1の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第2の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成されることを特徴とする。
本発明によれば、動作電流加算回路は、負荷電流Iloadにより出力電圧Voutの電圧が変化したときのみ、エラーアンプ(誤差増幅回路)の応答速度を決定する定電流源に並列に設けられた電流源をオン動作し、エラーアンプに流れる電流(定電流I1、定電流I2)の電流量を増加させて、LDOの系全体の動作速度(応答速度)の向上を図る。
これにより、出力電圧の低下時および上昇時において高速応答が可能な定電圧回路を提供することができる。また、出力電圧Voutの電圧が変化したときのみ電流源をオン動作させるので、高速応答への対応時以外でのエラーアンプに加算する電流を不要にできるので、低消費電力動作可能な定電圧回路を提供することができる。
本発明のLDOのブロック構成を示す図である。 本発明のLDOの回路構成を示す図である。 本発明のLDOの加速回路60におけるセンスアンプの回路図である。 図3に示すセンスアンプの動作を説明するための図である。 本発明のLDOの加速回路60におけるセンスアンプの回路図である。 図5に示すセンスアンプの動作を説明するための図である。 本発明のLDOのブロック構成を示す図である。 本発明のLDOの回路構成を示す図である。 図8に示すLDOの動作を説明するための図である。 図8に示すLDOの従来に対する効果を説明するための図である。 本発明のLDOのブロック構成を示す図である。 本発明のLDOの回路構成を示す図である。 図12に示すLDOの動作を説明するための図である。 一般的なLDOのブロック構成を示す図である。 一般的なLDOの回路構成を示す図である。 図15に示すLDOの動作を説明するための図である。 メモリ回路の動作を説明するための図である。 メモリ回路の動作を説明するための図である。
本発明の課題を解決する技術思想の代表的な一例は、以下に示される。但し、本発明の請求内容はこの技術思想に限られず、本発明の請求項に記載の内容であることは言うまでもない。
図1は、本発明の課題を解決する技術思想を説明するための図であり、LDO(定電圧回路)のブロック構成を示している。図1において、従来のLDOのブロック構成を示す図14(a)と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1に示すLDOは、エラーアンプ10(誤差増幅回路)、Pass_Tr20(出力電圧制御トランジスタ)、及び出力電圧検出回路30(出力電圧検出回路)で構成するLDOのフィードバックループに対して、新たに加速回路60(動作電流加算回路)を備えている。
加速回路60は、負荷電流Iloadの変動により出力電圧Voutが変化したときにのみ、エラーアンプ10の動作電流源である定電流源IS1、定電流源IS2に流れる動作電流(定電流I1、定電流I2)を増加させて、LDOの系全体の動作速度(応答速度)の向上を図る回路である。
図2は、加速回路60を除いたLDOの具体的な回路構成を示す図である。図2において、従来のLDOの回路構成を示す図15と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
エラーアンプ10の差動増幅器(第3の差動増幅器)において、定電流源IS1であるNチャネル型MOSトランジスタN3は、そのゲートに接続された電流源回路70から供給されるバイアス電圧により、差動増幅器の動作電流である定電流I1を接続点Nd1と接地の間に流す。
また、エラーアンプ10の出力回路部は、入力電圧Vinと接地の間に直列接続されたPチャネル型MOSトランジスタPout、Nチャネル型MOSトランジスタN5、及びNチャネル型MOSトランジスタN4から構成される。エラーアンプ10の出力回路部において、定電流源IS2であるNチャネル型MOSトランジスタN4は、そのゲートに接続された電流源回路70から供給されるバイアス電圧により、出力回路部の動作電流である定電流I2を接続点Nd2と接地の間に流す。
図1に示す加速回路60は、エラーアンプ10の応答速度を決定する定電流源IS1、IS2に対して並列に設けられる電流源を有し、出力電圧Voutの電圧変化に応じて電流源をオン動作させてエラーアンプ10の動作電流を増加させる。加速回路60が有する電流源は、詳細は後述するが、図2における接続点Nd1、接続点Nd2の各々と接地との間にそれぞれ設けられる、出力電圧Voutの電圧低下(ドロップ)に対応して定電流I1及び定電流I2を増加させる電流源ISAと、出力電圧Voutの電圧上昇(オーバーシュート)に対応して定電流I1を増加させる電流源ISBとから構成される。
ところで、加速回路60が、内部に備える電流源ISA及び電流源ISBをオン動作させるタイミングは、LDOが負荷へ供給する電流Iout(負荷電流Iloadと等しい)の変動により出力電圧Voutが変化するタイミングである。このため、加速回路60の最も重要な機能は、出力電圧Voutの電圧変化を高速に検出する機能である。ここで、過去の失敗事例から、その原因を逆利用した、出力電圧Voutの電圧変化を高速に検出に用いる原理を、図17及び図18を用いて以下に説明する。
図17は、メモリ回路の回路図、及びその読み出し時のタイミングチャートである。図17(a)に示すように、メモリ回路は、ビット線Bitと、ビット線Bit及び複数のワード線WL各々の交点に設けられた複数のメモリセルMCと、センスアンプSAと、から構成される回路ブロック(図中PLANで示す)を複数(図では2)台備えている。回路ブロックPLAN_1のセンスアンプSA1は、基準電圧発生回路Vr1(符号171)の出力である基準電圧Vref1とビット線Bit_1の電圧が入力され、電圧差分を増幅し、増幅結果として信号SA_out1を出力する。回路ブロックPLAN_2のセンスアンプSA2は、基準電圧発生回路Vr1とは異なる基準電圧発生回路Vr2(符号171)の出力である基準電圧Vref2とビット線Bit_2の電圧が入力され、電圧差分を増幅し、増幅結果として信号SA_out2を出力する。
つまり、図17(a)に示すメモリ回路において、センスアンプSAは、個別の基準電圧Vrefが入力される構成となっている。そのため、メモリ回路は次のように動作する。ここで、例えばワード線WL1を選択して、Hレベルを記憶するメモリセルMC11と、Lレベルを記憶するメモリセルMC12とからデータを読み出す場合を考える。
この場合、図17(b)に示すように、センスアンプSA1は、Hレベルとなったビット線Bit_1の電圧と基準電圧Vref1との差分を増幅し、Hレベルの信号SA_out1を出力する。また、センスアンプSA2は、Lレベルを維持するビット線Bit_2の電圧と基準電圧Vref2との差分を増幅し、Lレベルの信号SA_out2を正しく出力する。つまり、図17(a)に示すメモリ回路では、基準電圧Vrefが各回路ブロックPlan専用に設けられているので、回路ブロックPlan1のメモリセルからのデータ読み出し動作が、回路ブロックPlan2のメモリセルからのデータ読み出し動作に、影響しないことが分かる。これは、通常のいわゆる正しい回路構成パターンである。
図18は、NGとなった回路構成パターンである、共通に基準電圧発生回路Vr(符号181)を設ける構成としたメモリ回路の回路図、及びその読み出し時のタイミングチャートである。図18(a)は、メモリ回路の回路図を示し、図18(b)は、図18(a)に示すメモリ回路のデータ読み出し動作におけるタイミングチャートを示している。図18(a)及び図18(b)において、図17と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図18(c)は、図18(a)に示すメモリ回路の部分平面図、図18(d)は、図18(c)の部分平面図に対応するメモリ回路の部分断面図である。
図18(a)に示す回路ブロックPLAN_1を、図18(c)に示すように、ビット線Bit_1の配線と、基準電圧Vrefの配線を、それぞれメタル1、メタル2と別層の配線とし、直交させてレイアウト設計した場合、メモリ回路の製造後において、メタル1とメタル2とが重なり合う部分には、メタル1とメタル2との間に形成される層間絶縁層の膜厚と重なり合う部分の面積とで決まる寄生容量Cfが形成される。
図18(d)は、製造後の図18(c)部の断面図であり、図18(c)を横方向から見た断面図である。図18(d)において、メタル1とメタル2との間には、寄生容量Cfが形成されている。また、基準電圧Vrefの配線はメタル2であり、メタル2は各センスアンプSAのゲートに接続されるので、メタル2には各センスアンプSAのゲート容量Cgが接続されることになる。
このため、図18(b)に示すように、ビット線Bit_1がHレベルに変化した場合、基準電圧Vrefに、寄生容量Cfとゲート容量Cgとの容量分圧によって、電圧変化が発生する。この結果、回路ブロックPlan2のセンスアンプSA2は、この基準電圧Vrefの電圧変化を、ビット線Bit_2の電圧に電圧変化が発生したことを検知し、結果的に、誤ったHレベルの信号SA_out2を瞬間的に出力する場合がある。
このように、図18に示すメモリ回路においては、メモリセルからのデータ読み出し動作としては誤った動作であるが、センスアンプSA2に着目すると、センスアンプSA2は、ビット線Bit_1の電圧変化を、容量Cf及び容量Cgによる容量分圧によって検出し、高速に電圧変化する信号SA_out2を出力しているといえる。
本発明の定電圧回路における加速回路60は、このセンスアンプSA2がビット線Bit_1の電圧変化を高速に検出する現象を、原理として使用し、LDOにおいて出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutを高速に検出する。そして、加速回路60は、電圧変化ΔVoutの検出結果により、上記電流源ISA及びISBをオン動作させて、エラーアンプ10の定電流I1、定電流I2を増加させる。これにより、本発明の定電圧回路は、負荷電流Iloadの変動により出力電圧Voutが変化したときにのみ、LDOの系全体の動作速度(応答速度)の向上を図ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
[加速回路のセンスアンプ構成(1)]
図3は、加速回路60において、LDOの出力電圧Voutの電圧変化に応じて、上記電流源ISA及びISBを駆動する、加速回路の中核となるセンスアンプの回路構成を示す。また、図4は、センスアンプを構成する差動増幅器の動作を説明するための図、及びセンスアンプの動作タイミングチャートである。
図3に示すセンスアンプは、差動増幅器A(第1の差動増幅器)、差動増幅器B(第1の差動増幅器)、容量Cc_A(第1の容量素子)、容量Cc_B(第2の容量素子),分圧回路(基準電圧発生回路)を備えている。
差動増幅器Aは、差動対をなすNチャネル型MOSトランジスタNA1,NA2と、差動対の負荷をなすカレントミラー回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタPA1,PA2と、差動対にバイアス電流を供給する定電流源ISdiffAと、から構成される。
差動増幅器Bは、差動対をなすNチャネル型MOSトランジスタNB1,NB2と、差動対の負荷をなすカレントミラー回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタPB1,PB2と、差動対にバイアス電流を供給する定電流源ISdiffBと、から構成される。
分圧回路は、図3に示すように、入力電圧Vinと接地(VSS)との間に、抵抗RB1、抵抗RB2及び抵抗RB3が、この順番に直列に接続された直列回路から構成され、抵抗RB2と抵抗RB3の接続点から、基準電圧Vref_L(第1の基準電圧)を、抵抗RB1と抵抗RB2の接続点から、基準電圧Vref_Lより電圧レベルの高い基準電圧Vref_H(第2の基準電圧)を、それぞれ出力する。
容量Cc_Aの一端は、LDOの出力に接続されて出力電圧Voutが入力され、他端は、差動増幅器Aの非反転入力端子(Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲート端子)に接続される。なお、図に示す容量Cs_Aの容量は、Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲート容量を含む浮遊容量である。
また、容量Cc_Bの一端は、LDOの出力に接続されて出力電圧Voutが入力され、他端は、差動増幅器Bの反転入力端子(Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲート端子)に接続される。なお、図に示す容量Cs_Bの容量は、Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲート容量を含む浮遊容量である。
また、差動増幅器Aにおいて、反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNA1のゲートは、分圧回路の抵抗RB2と抵抗RB3の接続点に接続され、基準電圧Vref_Lが入力される。また、非反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは,容量Cc_Aの他端に接続されるととともに、分圧回路の抵抗RB1と抵抗RB2の接続点に接続され、基準電圧Vref_Hが入力される。
差動増幅器Bにおいて、反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは、容量Cc_Bの他端に接続されるととともに、分圧回路の抵抗RB2と抵抗RB3の接続点に接続され、基準電圧Vref_Lが入力される。また、非反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNB2のゲートは,分圧回路の抵抗RB1と抵抗RB2の接続点に接続され、基準電圧Vref_Hが入力される。
差動増幅器A及び差動増幅器Bにおいて、出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutがないとき、差動増幅器Aの出力信号out_A(第1の駆動信号)、差動増幅器Bの出力信号out_B(第2の駆動信号)の電圧を、いずれも差動増幅器の電源電圧(入力電圧Vinの電圧レベル)に近い“H”レベルとなるように設定する。まず、この設定について、以下に説明する。なお、差動増幅器の電源電圧に近い“H”レベルとは、後述する差動増幅器の出力が入力される論理反転回路(IVA、IVB)の論理閾値電圧より高い電圧レベルであり、論理反転回路は、この“H”レベルの信号が入力されると、ほぼ接地(VSS)レベルに近いレベルの信号を出力する。
基準電圧Vref_H、基準電圧Vref_Lの電圧の関係は、分圧回路の構成から、下記式(1)に示す関係である。
基準電圧Vref_H>基準電圧Vref_L…(1)
従って、式(1)より、差動増幅器Aにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNA1の電流が、Nチャネル型MOSトランジスタNA2の電流より小さくなり、Hレベルの出力信号out_Aを出力する。また、差動増幅器Bも、同様に、Nチャネル型MOSトランジスタNB1の電流が、Nチャネル型MOSトランジスタNB2の電流より小さくなり、Hレベルの出力信号out_Bを出力する。
ここで、差動増幅器A及び差動増幅器Bにおいて、Pチャネル型MOSトランジスタPA1の飽和領域におけるドレイン電流IpA及びPチャネル型MOSトランジスタPB1の飽和領域におけるドレイン電流IpBをIpとする。また、Nチャネル型MOSトランジスタNA1の飽和領域におけるドレイン電流InA及びNチャネル型MOSトランジスタNB1の飽和領域におけるドレイン電流InBをInとする。これらは、差動増幅器A及び差動増幅器Bにおいて、対応するトランジスタの回路定数(トランジスタのチャネル長L、チャネル幅W)を、同一とすることで実現できる。さらに、Pチャネル型MOSトランジスタと、これと直列接続されるNチャンネル型MOSトランジスタ、(たとえばPA1とNA1)の回路定数を、ドレイン電流Ipとドレイン電流Inが、下記式(2)に示す関係になるように設定する。
Ip>Id…(2)
これにより、差動増幅器Aにおいて、図4(a)のトランジスタのドレイン電圧とドレイン電流との関係を示すグラフに示すように、Pチャネル型MOSトランジスタPA1のソース−ドレイン間電圧が、Nチャネル型MOSトランジスタNA1のドレイン−ソース間電圧より小さくなるように設定でき、差動増幅器Aの出力信号out_Aを、LDOの入力電圧Vinの電圧レベルに近い“H”レベルとすることができる。
また、差動増幅器Bにおいて、同様に、Pチャネル型MOSトランジスタPB1のソース−ドレイン間電圧が、Nチャネル型MOSトランジスタNB1のドレイン−ソース間電圧より小さくなるように、上記式(2)を満たすように其々のトランジスタの設計定数を設定する。これにより、差動増幅器Bの出力信号out_Bを、差動増幅器Aと同様に。LDOの入力電圧Vinの電圧レベルに近い“H”レベルとすることができる。
次に、出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutまで考慮した場合の差動増幅器A及び差動増幅器Bの動作について説明する。
差動増幅器Aにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは、容量Cc_Aの他端に接続されているため、出力電圧VoutがΔVout変化すると、非反転入力端に入力される入力電圧Vin_Aの電圧変化は、ΔVout×Cc_A/(Cc_A+Cs_A)となる。
Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは、基準電圧Vref_Hが入力されるので、入力電圧Vin_Aは、次の式(3)で示される。
Vin_A=Vref_H+ΔVout×Cc_A/(Cc_A+Cs_A)…(3)
同様に、差動増幅器Bにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは、容量Cc_Bの他端に接続されているため、出力電圧VoutがΔVout変化すると、反転入力端に入力される入力電圧Vin_Bの電圧変化は、ΔVout×Cc_B/(Cc_B+Cs_B)となる。
Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは、基準電圧Vref_Lが入力されるので、入力電圧Vin_Bは、次の式(3)で示される。
Vin_B=Vref_L+ΔVout×Cc_B/(Cc_B+Cs_B)…(4)
ここで、Cc_AとCs_A、Cc_BとCs_Bを、例えば、Ccに対してCsは非常に小さく、それぞれ容量値で10:1の関係になるように設定し、CsをCcに対して無視できるものとすると(Cc_A≫Cs_A、Cc_A≫Cs_Aとすると)、上記式(3)、式(4)は以下のように近似できる。
Vin_A=Vref_H+ΔVout…(5)
Vin_B=Vref_L+ΔVout…(6)
式(5)により、差動増幅器Aは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、次のように出力信号out_Aを出力する。
すなわち、差動増幅器Aは、Vref_H+ΔVout>Vref_Lのとき、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Aを出力する。
また、差動増幅器Aは、Vref_H+ΔVout<Vref_Lのとき、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Aを出力する。
つまり、図4(b)に示すように、差動増幅器Aは、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき(時刻t1)、 “L”レベルの出力信号out_Aを出力する。また、差動増幅器Aは、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき(時刻t2)、“HH”レベルの出力信号out_Aを出力する。
また、式(6)により、差動増幅器Bは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、次のように出力信号out_Bを出力する。
すなわち、差動増幅器Bは、Vref_H>Vref_L+ΔVoutのとき、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Bを出力する。
また、差動増幅器Bは、Vref_H<Vref_L+ΔVoutのとき、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Bを出力する。
つまり、図4(b)に示すように、差動増幅器Bは、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき(時刻t1)、 “HH”レベルの出力信号out_Bを出力する。また、差動増幅器Bは、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき(時刻t2)、“L”レベルの出力信号out_Bを出力する。
このように、加速回路60において、加速回路の中核となるセンスアンプは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、差動増幅器Aから出力電圧Voutの電圧変化と同相(位相のずれが0°)の出力信号out_Aを、差動増幅器Bから出力電圧Voutの電圧変化と逆相(位相のずれが180°)の出力信号out_Bを、発生する。
そこで、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき、差動増幅器Bの出力する“HH”レベルの出力信号out_Bにより、加速回路60の電流源ISAを駆動し、エラーアンプ10の定電流I1または定電流I2を増加させると、出力電圧Voutへの復帰を高速に行うことができる。
また、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき、差動増幅器Aの出力する“HH”レベルの出力信号out_Aにより、加速回路60の電流源ISBを駆動し、エラーアンプ10の定電流I1を増加させると、出力電圧Voutへの復帰を高速に行うことができる。
[加速回路のセンスアンプ構成(2)]
続いて、加速回路60の中核となるセンスアンプの他の回路構成例について、図5及び図6を用いて説明する。
図5は、加速回路60において、加速回路60の中核となるセンスアンプの他の回路構成を示す図である。また、図6は、センスアンプの動作タイミングチャート、及びセンスアンプ回路をブロック構成で示した図である。
図5に示すセンスアンプは、差動増幅器A(第1の差動増幅器)、差動増幅器B(第2の差動増幅器)、容量Cc(容量素子)を備えている。
図3に示すセンスアンプ回路は、差動増幅器A及び差動増幅器Bの入力基準電圧である基準電圧Vref_H及び基準電圧Vref_Lを生成するため、抵抗分圧用抵抗ストリング(分圧回路)を設ける必要がある。分圧回路を設けるにより、余分な消費電流が発生する。また、差動増幅器A及び差動増幅器B各々に個々に出力電圧Vout検出用容量である容量Cc_A及び容量Cc_Bを設ける必要がある。
図5に示すセンスアンプは、消費電流の低減及び加速回路の構成素子(抵抗及び容量)の削減を目的として、図3に示すセンスアンプから分圧回路を削除し、さらに出力電圧Vout検出用の容量を一つに削減している。
そして、分圧回路を除いたため、差動増幅器A及び差動増幅器Bの入力基準電圧として、図1に示したエラーアンプ10に基準電圧として入力される基準電圧Vrefを用いる。また、差動増幅器Aの非反転入力端と、差動増幅器Bの反転入力端との接続点(以下、接続点NdCとする)と、LDOの出力電圧Voutとの間に一つの容量Ccが設けられる。
差動増幅器Aは、差動対をなすNチャネル型MOSトランジスタNA1,NA2(NA_1及びNA_2)、と、差動対の負荷をなすカレントミラー回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタPA1,PA2と、差動対にバイアス電流を供給する定電流源ISdiffAと、から構成される。
差動増幅器Bは、差動対をなすNチャネル型MOSトランジスタNB1,NB2(NB_1及びNB_2)と、差動対の負荷をなすカレントミラー回路を構成するPチャネル型MOSトランジスタPB1,PB2と、差動対にバイアス電流を供給する定電流源ISdiffBと、から構成される。
容量Ccの一端は、LDOの出力に接続されて出力電圧Voutが入力され、他端は、接続点NdCに接続される。なお、図に示す容量Csの容量は、Nチャネル型MOSトランジスタNA2及びNチャネル型MOSトランジスタNB1のゲート容量を含む浮遊容量である。
差動増幅器Aにおいて、反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNA1のゲートは、LDOを構成するエラーアンプが使用する基準電圧発生回路50に接続され、基準電圧Vrefが入力される。また、非反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは接続点NdCに接続されるとともに、抵抗RBを介して基準電圧発生回路50に接続され、基準電圧Vrefが入力される。
差動増幅器Bにおいて、反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは接続点NdCに接続されるとともに、抵抗RBを介して基準電圧発生回路50に接続され、基準電圧Vrefが入力される。また、非反転入力端をなすNチャネル型MOSトランジスタNB2のゲートは,基準電圧発生回路50に接続され、基準電圧Vrefが入力される。
ここで、差動増幅器Aの非反転入力端を構成するNチャネル型MOSトランジスタNA2をNチャネル型MOSトランジスタNA_1及びNA_2で構成している理由は、反転入力端及び非反転入力端に、図3に示すセンスアンプではそれぞれ異なる基準電圧Vref_H及び基準電圧Vref_Lが入力されていたのに対して、本センスアンプではいずれの入力端にも基準電圧Vrefが入力されるからである。
つまり、差動増幅器Aでは、非反転端を構成するトランジスタ数を、反転入力端を構成するトランジスタに対して多めに配置し、Nチャネル型MOSトランジスタNA2の電流駆動能力をNチャネル型MOSトランジスタNA1に対して大きくなるように設定する。
同様に、差動増幅器Bにおいても、Nチャネル型MOSトランジスタNB2をNチャネル型MOSトランジスタNB_1及びNB_2で構成し、非反転端を構成するトランジスタ数を、反転入力端を構成するトランジスタに対して多めに配置し、Nチャネル型MOSトランジスタNB2の電流駆動能力をNチャネル型MOSトランジスタNB1に対して大きくなるように設定する。
まず、差動増幅器A及び差動増幅器Bにおいて、出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutがないとき、差動増幅器Aの出力信号out_A(第1の駆動信号)、差動増幅器Bの出力信号out_B(第2の駆動信号)の電圧を、図3に示すセンスアンプと同様に、差動増幅器の電源電圧(入力電圧Vinの電圧レベル)に近い“H”レベルとなるように設定できることについて説明する。
図5に示すように、差動増幅器Aにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNA1のドレイン電流をドレイン電流In1A、Nチャネル型MOSトランジスタNA2のドレイン電流をドレイン電流In2Aとし、Pチャネル型MOSトランジスタPA1のドレイン電流をドレイン電流Ip1A、Pチャネル型MOSトランジスタPA2のドレイン電流をドレイン電流Ip2Aとする。また、差動増幅器Bにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNB1のドレイン電流をドレイン電流In1B、Nチャネル型MOSトランジスタNB2のドレイン電流をドレイン電流In2Bとし、Pチャネル型MOSトランジスタPB1のドレイン電流をドレイン電流Ip1B、Pチャネル型MOSトランジスタPB2のドレイン電流をドレイン電流Ip2Bとする。
差動増幅器A及び差動増幅器Bにおいて、対応するトランジスタの回路定数を同一とすると、LDOの出力電圧Voutに電圧変化がないとき、上記各ドレイン電流のうち、各トランジスタに対応するドレイン電流は、In1A=In1Bの様に、等しくなる。それぞれ対応するトランジスタのドレイン電流を、In1A=In1B=In1、In2A=In2B=In2、Ip1A=Ip1B=Ip1、Ip2A=Ip2B=Ip2とする。
上記の様に、非反転端を構成するトランジスタの電流駆動能力を、反転端を構成するトランジスタに対して大きくなるように設定することで、In2>In1となるので、LDOの出力電圧Voutに電圧変化がないとき、以下の関係式がなりたつ。
まず、差動増幅器A及びBにおいて、直列回路を構成するトランジスタには同じドレイン電流が流れるので、下記(7)式が成り立つ。
Ip2=In2…(7)
また、差動増幅器A及びBにおいて、カレントミラー接続されたトランジスタは同じドイレン電流が流れるので、下記(8)式が成り立つ。
Ip1=Ip2…(8)
In2>In1、及び式(7)、(8)より、結果的に以下の式(9)が成り立つ。
Ip1>In1…(9)
式(9)は、図3に示すセンスアンプの説明で用いた式(2)の関係と同じであり、つまり、差動増幅器Aの出力信号out_Aを、LDOの入力電圧Vinの電圧レベルに近い“H”レベルとすることができる。また、差動増幅器Bの出力信号out_Bを、差動増幅器Aと同様にLDOの入力電圧Vinの電圧レベルに近い“H”レベルとすることができる。
また、差動増幅器A及び差動増幅器Bの入力基準電圧は、同じ基準電圧Vrefであるので、図5に示すように、出力電圧Voutの電圧変化を差動増幅器A及び差動増幅器Bに伝達する容量を、容量Ccの一つとすることが可能となる。
次に、出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutまで考慮した場合の差動増幅器A及び差動増幅器Bの動作について説明する。
差動増幅器Aにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは、容量Ccの他端(接続点NdC)に接続されているため、出力電圧VoutがΔVout変化すると、非反転入力端に入力される入力電圧Vin_Aの電圧変化は、ΔVout×Cc/(Cc+Cs)となる。
Nチャネル型MOSトランジスタNA2のゲートは、基準電圧Vrefが入力されるので、入力電圧Vin_Aは、次の式(3’)で示される。
Vin_A=Vref+ΔVout×Cc/(Cc+Cs)…(3’)
同様に、差動増幅器Bにおいて、Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは、容量Ccの他端(接続点NdC)に接続されているため、出力電圧VoutがΔVout変化すると、反転入力端に入力される入力電圧Vin_Bの電圧変化は、ΔVout×Cc/(Cc+Cs)となる。
Nチャネル型MOSトランジスタNB1のゲートは、基準電圧Vrefが入力されるので、入力電圧Vin_Bは、次の式(3)で示される。
Vin_B=Vref+ΔVout×Cc/(Cc+Cs)…(4’)
ここで、CcとCsを、図3に示すセンスアンプと同様に、例えば、Ccに対してCsは非常に小さく、それぞれ容量値で10:1の関係になるように設定し、CsをCcに対して無視できるものとすると(Cc≫Csとすると)、上記式(3’)、式(4’)は以下のように近似できる。
Vin_A=Vref+ΔVout…(5’)
Vin_B=Vref+ΔVout…(6’)
式(5’)により、差動増幅器Aは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、次のように出力信号out_Aを出力する。
すなわち、差動増幅器Aは、Vref+ΔVout>Vrefのとき、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Aを出力する。
また、差動増幅器Aは、Vref+ΔVout<Vrefのとき、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Aを出力する。
つまり、図6(a)に示すように、差動増幅器Aは、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき(時刻t1)、 “L”レベルの出力信号out_Aを出力する。また、差動増幅器Aは、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき(時刻t2)、“HH”レベルの出力信号out_Aを出力する。
式(6’)により、差動増幅器Bは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、次のように出力信号out_Bを出力する。
すなわち、差動増幅器Bは、Vref>Vref+ΔVoutのとき、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Bを出力する。
また、差動増幅器Bは、Vref<Vref+ΔVoutのとき、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Bを出力する。
つまり、図6(a)に示すように、差動増幅器Bは、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき(時刻t1)、 “HH”レベルの出力信号out_Bを出力する。また、差動増幅器Bは、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき(時刻t2)、“L”レベルの出力信号out_Bを出力する。
このように、加速回路60において、加速回路の中核となるセンスアンプは、出力電圧Voutに電圧変化ΔVoutが生じたとき、差動増幅器Aから出力電圧Voutの電圧変化と同相(位相のずれが0°)の出力信号out_Aを、差動増幅器Bから出力電圧Voutの電圧変化と逆相(位相のずれが180°)の出力信号out_Bを、発生する。
そこで、LDOの供給電流Ioutが増加し(負荷電流Iloadが増加し)、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき、差動増幅器Bの出力する“HH”レベルの出力信号out_Bにより、加速回路60の電流源ISAを駆動し、エラーアンプ10の定電流I1及び定電流I2を増加させると、出力電圧Voutへの復帰を高速に行うことができる。
また、LDOの供給電流Ioutが減少し(負荷電流Iloadが減少し)、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき、差動増幅器Aの出力する“HH”レベルの出力信号out_Aにより、加速回路60の電流源ISBを駆動し、エラーアンプ10の定電流I1を増加させると、出力電圧Voutへの復帰を高速に行うことができる。
このように、本説明の加速回路60は、図3に示す加速回路に比べ、少ない素子数で、出力電圧Voutの電圧変化を高速に検出し、検出結果である出力信号out_A、出力信号out_Bを出力することができる。
なお、LDO出力の出力電圧Voutの電圧変化ΔVoutが発生した時、容量Ccと容量Csとの分圧(接続点NdCの電圧)によってΔVoutを検出する際、接続点NdCの電圧変化が、基準電圧発生回路50の出力である基準電圧Vrefに影響を与える恐れがあるので、接続点NdCと基準電圧Vrefの信号線との間に、図5に示すように、抵抗RBと容量Caとによりローパスフィルタ(LPF)を形成し、接続点NdCの電圧変化による基準電圧Vrefへの影響を軽減させている。
また、引き続いて、LDOの全体構成について説明するが、その際に説明に用いるセンスアンプは、図3に示すセンスアンプではなく、構成素子の少ない本センスアンプである。また、以下の説明に用いる図である図7及び図11においては、図6(b)に示す本センスアンプのブロック構成図を用いる。
[LDOの構成及び動作説明]
図7は、ドロップ及びオーバー・シュートを改善するLDOのブロック構成を示しており、図1に示すLDO回路のうち、加速回路の構成まで含めて示したブロック図である。
また、図8は、図7のブロック図を、トランジスタレベルまで記載した回路図であり、図9は、LDOの動作タイミングチャートである。
図7及び図8において、図1及び図2と同一の部分には同一の符号を示し、その説明は省略するものとする。
図7に示すように、LDOにおける加速回路60は、差動増幅器A及び差動増幅器Bからなる上記説明のセンスアンプと、差動増幅器Aの出力信号out_Aを論理反転し、かつ波形整形後のデジタル信号(出力信号out_AB)を出力するインバータIVA(第1の論理反転回路)と、差動増幅器Bの出力信号out_Bを論理反転し、かつ波形整形後のデジタル信号(出力信号out_BB)を出力するインバータIVB(第2の論理反転回路)と、電流源ISA、電流源ISBから構成される。
電流源ISAは、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したときに、加速電流Aを、エラーアンプ10における定電流源IS1の定電流I1及び定電流源IS2の定電流I2に加算する電流源であり、電流源ISA1及びアナログスイッチSW_Aから構成される。
また、電流源ISBは、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したときに、加速電流Bを、エラーアンプ10における定電流源IS1の定電流I1に加算する電流源であり、電流源ISB1及びアナログスイッチSW_Bから構成される。
具体的には、図8に示すように、電流源ISAは、エラーアンプ10を構成する差動増幅器の定電流源IS1であるNチャネル型MOSトランジスタN3のドレイン(接続点Nd1)と接地(VSS)との間に構成される電流源(電流源ISA13とする)と、エラーアンプ10を構成する出力回路部の定電流源IS2であるNチャネル型MOSトランジスタN4のドレイン(接続点Nd2)と、接地(VSS)との間に構成される電流源(電流源ISA14とする)の2つの電流源から構成される。
電流源ISA13(第1の電流源)は、加速電流A1を流す電流源(Nチャネル型MOSトランジスタNA31)と、この電流源と直列回路を構成するアナログスイッチ(Nチャネル型MOSトランジスタNA32)から構成され、エラーアンプ10を構成する差動増幅器の定電流源IS1と並列に配置される。
Nチャネル型MOSトランジスタNA31において、ドイレンはエラーアンプ10の接続点Nd1に接続され、ゲートは差動増幅器Bの出力に接続されて出力信号out_Bが入力され、ソースはNチャネル型MOSトランジスタNA32のドイレンに接続される。
Nチャネル型MOSトランジスタNA32において、ドイレンはNチャネル型MOSトランジスタNA31のソースに接続され、ゲートはインバータIVAの出力に接続されて出力信号out_ABが入力され、ソースは接地される。
電流源ISA14(第2の電流源)は、加速電流A2を流す電流源(Nチャネル型MOSトランジスタNA41)と、この電流源と直列回路を構成するアナログスイッチ(Nチャネル型MOSトランジスタNA42)から構成され、エラーアンプ10を構成する差動増幅器の定電流源IS2と並列に配置される。
Nチャネル型MOSトランジスタNA41において、ドイレンはエラーアンプ10の接続点Nd2に接続され、ゲートは差動増幅器Bの出力に接続されて出力信号out_Bが入力され、ソースはNチャネル型MOSトランジスタNA42のドイレンに接続される。
Nチャネル型MOSトランジスタNA42において、ドイレンはNチャネル型MOSトランジスタNA41のソースに接続され、ゲートはインバータIVAの出力に接続されて出力信号out_ABが入力され、ソースは接地される。
このように、電流源ISAは、デジタル信号であるインバータIVAの出力によりオンオフ動作が切り替えられ、電流源の電流量は、アナログ信号である差動増幅器Aの出力信号out_Aにより電流量の大小が調整される。
電流源ISAは、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したときに、加速電流A(加速電流A1+加速電流A2)を、エラーアンプ10の定電流源IS1に流れる定電流I1及び定電流源IS2に流れる定電流I2に加算して、エラーアンプ10の応答性を高速化する。
電流源ISB(第3の電流源)は、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したときに、加速電流Bをエラーアンプ10の定電流源に流れる定電流(定電流I1)に加算して、エラーアンプ10の応答性を高速化する。具体的には、図8に示すように、電流源ISBは、エラーアンプ10を構成する差動増幅器の定電流源であるNチャネル型MOSトランジスタN3のドレイン(接続点Nd1)と、接地(VSS)との間に構成される電流源から構成される。
電流源ISBは、加速電流Bを流す電流源ISB1(Nチャネル型MOSトランジスタNB31)と、この電流源と直列回路を構成するアナログスイッチSW_B(Nチャネル型MOSトランジスタNB32)から構成され、エラーアンプ10を構成する差動増幅器の定電流源IS1と並列に配置される。
Nチャネル型MOSトランジスタNB31において、ドイレンはエラーアンプ10の接続点Nd1に接続され、ゲートは差動増幅器Aの出力に接続されて出力信号out_Aが入力され、ソースはNチャネル型MOSトランジスタNB32のドイレンに接続される。
Nチャネル型MOSトランジスタNB32において、ドイレンはNチャネル型MOSトランジスタNB31のソースに接続され、ゲートはインバータIVBの出力に接続されて出力信号out_BBが入力され、ソースは接地される。
このように、電流源ISBは、デジタル信号であるインバータIVBの出力によりオンオフ動作が切り替えられ、電流源の電流量は、アナログ信号である差動増幅器Aの出力信号out_Bにより電流量の大小が調整される。
電流源ISBは、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したときに、加速電流Bをエラーアンプ10の定電流源IS1に流れる定電流I1に加算して、エラーアンプ10の応答性を高速化する。
このように構成されたLDOにおいて、負荷電流Iloadが増大して出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき、負荷電流Iloadが減少して出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したときの、LDOの動作を、図9を用いて説明する。
時刻t1において、負荷電流Iloadが増大して出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)したとき、加速回路60の接続点NdCの電圧は、出力電圧Voutの電圧変化と同相の関係を保って電圧変化する。
加速回路60のセンスアンプを構成する差動増幅器Aは、非反転入力端の電圧(Vref+ΔVout)<反転入力端の電圧(Vref)となって、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Aを出力する。
また、加速回路60のセンスアンプを構成する差動増幅器Bは、非反転入力端の電圧(Vref)>反転入力端の電圧(Vref+ΔVout)となって、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Bを出力する。また、インバータIVAは、デジタル信号(出力信号out_AB)を“L”レベルから“H”レベルへ変化させる。また、インバータIVBは、デジタル信号(出力信号out_BB)を“L”レベルに維持する。
これにより、加速回路60における電流源ISAがオン動作し、エラーアンプ10の定電流I1及びI2を、加速電流A分だけ増加させる。なお、加速電流Aの電流変化は、図9に示すように、電流変化は出力電圧Voutの電圧変化に対して逆相であり、かつ、出力電圧Voutの時間変化に対して線形の関係を保つように調整された時間変化を示す。
エラーアンプ10は、LDOの出力電圧Voutと同相に変化する制御信号Vgate(制御信号)を、Pass_Tr20に出力し、Pass_Tr20を強くオンさせ、出力電圧Voutを所定の電位へと高速に復帰させる。
時刻t2において、負荷電流Iloadが減少して出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)したとき、加速回路60の接続点NdCの電圧は、出力電圧Voutの電圧変化と同相の関係を保って電圧変化する。
加速回路60のセンスアンプを構成する差動増幅器Aは、非反転入力端の電圧(Vref+ΔVout)>反転入力端の電圧(Vref)となり、“H”レベルより高い“HH”レベルの出力信号out_Aを出力する。
また、加速回路60のセンスアンプを構成する差動増幅器Bは、非反転入力端の電圧(Vref)<反転入力端の電圧(Vref+ΔVout)となり、“H”レベルより低い“L”レベルの出力信号out_Bを出力する。また、インバータIVAは、デジタル信号(出力信号out_AB)を“L”レベルに維持する。また、インバータIVBは、デジタル信号(出力信号out_BB)を“L”レベルから“H”レベルへ変化させる。
これにより、加速回路60における電流源ISBがオン動作し、エラーアンプ10の定電流I1を、加速電流Bだけ増加させる。なお、加速電流Bの電流変化は、図9に示すように、電流変化は出力電圧Voutの電圧変化に対して同相であり、かつ、出力電圧Voutの時間変化に対して線形の関係を保つように調整された時間変化を示す。
エラーアンプ10は、LDOの出力電圧Voutと同相に変化する制御信号Vgate(制御信号)を、Pass_Tr20に出力し、Pass_Tr20をオフさせ、出力電圧Voutを所定の電位へと高速に復帰させる。
図10は、本発明のLDOの効果を示す図であり、従来回路(加速回路60を備えないLDO)と、本発明のLDO(加速回路60を備えるLDO)における、入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係、各入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの電圧低下量(Vout_Drop)及び出力電圧Vout電圧上昇量(Vout_Over)を示している。
図10(a)は、負荷電流Iloadが1mAから150mAに増加したときの各入力電圧Vinに対するVout_Drop、及び負荷電流Iloadが150mAから1mAに減少したときの各入力電圧Vinに対するVout_Overの値を示している。
また、図10(b)は、図10(a)における入力電圧Vin=2.5Vのときの負荷電流Iload及び出力電圧Voutの電圧低下(ドロップ)及び電圧上昇(オーバーシュート)の波形を、従来回路及び新規回路それぞれについて示している。
なお、この比較に用いた新規回路のLDOにおいて、加速回路60を構成するセンスアンプ回路は、差動増幅器A及び差動増幅器Bで構成した一種のマルチ・バイブレータ構成とも考えられるので、発振を回避するために、加速電流Aと加速電流Bの電流量が10:1になるように、電流源を構成するトランジスタの設計定数を設定している。
図10(a)に示すように、出力電圧Voutが電圧低下(ドロップ)するとき、新規回路の出力電圧Voutの電圧低下量は、入力電圧Vinが2.2Vから4.6Vの範囲で平均して、従来回路に対しておおよそ1/5の電圧低下量に改善できる。
また、出力電圧Voutが電圧上昇(オーバーシュート)するとき、新規回路の出力電圧Voutの電圧上昇量は、入力電圧Vinが2.2Vから4.6Vの範囲で平均して、従来回路に対しておおよそ5%の改善が見られる。電圧低下(ドロップ)に対して、電圧上昇(オーバーシュート)の改善度が小さい理由は、発振回避の観点から加速電流Bを意図的に控えめに設定したためであり、5%以上に改善することも、発振回避とのトレードオフで可能であると考えられる。
なお、加速回路の追加によって、LDOの系全体の定常電流は、差動増幅器A及び差動増幅器Bにおける電流源ISdiffA及び電流源ISdiffBで消費される定常電流分の約5μA増加となるが、加速回路が駆動する電流源は、デジタル信号(出力信号out_A、出力信号out_B)によりオンオフ制御されるため、エラーアンプ10を構成する差動増幅器において、定常的な電流が増加することはない。
以上説明したように、本発明によれば、加速回路60(動作電流加算回路)は、負荷電流Iloadにより出力電圧Voutの電圧が変化したときのみ、エラーアンプ10(誤差増幅回路)の応答速度を決定する定電流源IS1、IS2に並列に設けられた電流源ISA、ISBをオン動作し、エラーアンプ10に流れる電流(定電流値I1、I2)を増加させて、LDOの系全体の動作速度(応答速度)の向上を図る。
これにより、出力電圧の低下時および上昇時において高速応答が可能なLDO(定電圧回路)を提供することができる。また、出力電圧Voutの電圧が変化したときのみ電流源ISA、ISBをオン動作させるので、高速応答への対応時以外でのエラーアンプに加算する電流(加速電流A、加速電流B)を不要にできるので、低消費電力動作可能な定電圧回路を提供することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態の説明では、出力電圧Voutの電圧上昇(オーバーシュート)及び電圧低下(ドロップ)の両方に対して応答速度を改善するLDOを説明したが、本発明の構成により、出力電圧Voutの電圧低下(ドロップ)に対して応答速度を改善するLDOの提供をすることも可能である。
図11は、ドロップを改善するLDOのブロック構成を示しており、図7に示すLDOに対応するブロック図である。
また、図12は、図11のブロック図を、トランジスタレベルまで記載した回路図であり、図13は、LDOの動作タイミングチャートである。
図11〜図13は、それぞれ図7〜図9に対応し、図7〜図9と同一の部分には同一の符号を示し、その説明は省略するものとする。
図11に示すLDOにおいて加速回路60は、電圧低下(ドロップ)に対応する電流源ISAのみを有し、図7に示すLDOとは相違し、電圧上昇(オーバーシュート)に対応する電流源ISBを有さない。そのため、図12に示すように、差動増幅器Bの出力信号out_Bを論理反転するインバータIVBは、図8に示すLDOとは相違して不要になる。
また、図13に示すように、LDOは、出力電圧Voutの低下時に、電流源ISAをオン動作させて、加速電流Aによりエラーアンプ10の定電流I及び定電流I2を増加させ、Pass_Tr20を強くオンさせて、出力電圧Voutを高速に所定の電圧へと復帰させる。
本構成によれば、加速回路60(動作電流加算回路)は、負荷電流Iloadにより出力電圧Voutの電圧が電圧低下(ドロップ)したときのみ、エラーアンプ10(誤差増幅回路)の応答速度を決定する定電流源IS1、IS2に並列に設けられた電流源ISAをオン動作し、エラーアンプ10に流れる電流(定電流値I1、I2)を増加させて、LDOの系全体の動作速度(応答速度)の向上を図る。
これにより、出力電圧の低下時において高速応答が可能なLDO(定電圧回路)を提供することができる。また、出力電圧Voutの電圧が変化したときのみ電流源ISAをオン動作させるので、高速応答への対応時以外でのエラーアンプに加算する電流(加速電流A)を不要にできるので、低消費電力動作可能な定電圧回路を提供することができる。
10…エラーアンプ、30…出力電圧検出回路、40…出力電圧安定化回路、50,Vr,Vr1,Vr2…基準電圧発生回路、60…加速回路、70…電流源回路、A,B…差動増幅器、IS1,IS2,ISA,ISA1,ISA13,ISA14,ISB,ISB1,ISdiffA,ISdiffB…電流源、P1,P2,Pout,PA1,PA2,PB1,PB2…Pチャネル型MOSトランジスタ、N1,N2,N3,N4,N5,NA1,NA2,NB1,NB2,NA31,NA32,NA41,NA42,NB31,NB32…Nチャネル型MOSトランジスタ、IVA,IVB…インバータ、ESR,Ru,Rd,RB,RB1,RB2,RB3…抵抗、CL,Cc,Ca,Cs,Cf,Cg…容量、FB,Nd1,Nd2,NdC…接続点、Vin…入力電圧、Vout…出力電圧、Vref,Vref1,Vref2…基準電圧、out…出力信号、Vgate,Diff…制御信号、Iload…負荷電流、20…Tr

Claims (5)

  1. 入力端子に入力された入力電圧を、所定の定電圧に変換し、出力端子から出力電圧として出力する定電圧回路であって、
    前記入力端子と前記出力端子との間に設けられ、ゲートに与えられた制御信号に応じて、前記出力電圧を制御する出力電圧制御トランジスタと、
    前記出力電圧を検出し、検出した出力電圧に比例した比例電圧を生成して出力する出力電圧検出回路と、
    所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、前記出力電圧制御トランジスタのゲートに前記制御信号を出力する誤差増幅回路と、
    前記誤差増幅回路の応答速度を決定する定電流源に対して並列に設けられる電流源を有し、前記出力電圧の電圧変化に応じて前記電流源をオン動作させて前記誤差増幅回路の動作電流を増加させる動作電流加算回路と、
    を備えることを特徴とする定電圧回路。
  2. 前記誤差増幅回路は、
    前記所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、第3の駆動信号を出力する第3の差動増幅器と、
    前記第3の駆動信号がゲートに入力され、前記制御信号を出力する第1のトランジスタと、を有し、
    前記定電流源は、前記第3の差動増幅器に対応して設けられる第1の定電流源と、前記第1のトランジスタに対応して設けられる第2の定電流源とから構成され、
    前記動作電流加算回路は、
    前記第1の定電流源に並列に設けられた第1の電流源と、
    前記第2の定電流源に並列に設けられた第2の電流源と、
    一端が前記出力端子に接続される容量素子と、
    前記容量素子の他端に接続される非反転入力端子と基準電圧源に接続されて前記所定の基準電圧が入力される反転入力端子とを有し、差動対を構成する一対のトランジスタのうち、前記非反転入力端子に接続される一方のトランジスタの電流駆動能力が前記反転入力端子に接続される他方のトランジスタの駆動能力より高く、出力端子から前記出力電圧の電圧変化と同相の電圧変化をする第1の駆動信号を出力する第1の差動増幅器と、
    前記基準電圧源に接続されて前記所定の基準電圧が入力される非反転入力端子と、前記容量素子の他端に接続される反転入力端子とを有し、差動対を構成する一対のトランジスタのうち、前記非反転入力端子に接続される一方のトランジスタの電流駆動能力が前記反転入力端子に接続される他方のトランジスタの駆動能力より高く、出力端子から前記出力電圧の電圧変化と同相の電圧変化をする第2の駆動信号を出力する第2の差動増幅器と、
    前記第1の差動増幅器の出力を反転して出力する第1の論理反転回路と、を有し、
    前記第2の駆動信号及び前記第1の論理反転回路の出力により前記第1の電流源及び前記第2の電流源をオン動作させることを特徴とする請求項1に記載の定電圧回路。
  3. 前記誤差増幅回路は、
    前記所定の基準電圧と前記比例電圧が入力され、前記比例電圧が前記所定の基準電圧に一致するように、第3の駆動信号を出力する第3の差動増幅器と、
    前記第3の駆動信号がゲートに入力され、前記制御信号を出力する第1のトランジスタと、を有し、
    前記定電流源は、前記第3の差動増幅器に対応して設けられる第1の定電流源と、前記第1のトランジスタに対応して設けられる第2の定電流源とから構成され、
    前記動作電流加算回路は、
    前記第1の定電流源に並列に設けられた第1の電流源と、
    前記第2の定電流源に並列に設けられた第2の電流源と、
    一端が前記出力端子に接続される第1の容量素子と、
    一端が前記出力端子に接続される第2の容量素子と、
    前記入力電圧を分圧し、第1の基準電圧を第1の分圧点から、前記第1の基準電圧より高い第2の基準電圧を第2の分圧点から出力する基準電圧発生回路と、
    非反転入力端子が前記第2の分圧点及び前記第1の容量素子の他端に接続され、反転入力端子が前記第1の分圧点に接続され、出力端子から前記出力電圧の変化と同相の電圧変化をする第1の駆動信号を出力する第1の差動増幅器と、
    非反転入力端子が前記第2の分圧点に接続され、反転入力端子が前記第1の分圧点及び前記第2の容量素子の他端に接続され、出力端子から前記出力電圧の変化と逆相の電圧変化をする第2の駆動信号を出力する第2の差動増幅器と、
    前記第1の差動増幅器の出力を反転して出力する第1の論理反転回路と、を有し、
    前記第2の駆動信号及び前記第1の論理反転回路の出力により前記第1の電流源及び前記第2の電流源をオン動作させることを特徴とする請求項1に記載の定電圧回路。
  4. 前記第1の電流源は、前記第2の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第1の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成され、
    前記第2の電流源は、前記第2の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第1の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成されることを特徴とする請求項2または請求項3いずれか一項に記載の定電圧回路。
  5. 前記動作電流加算回路は、
    前記第1の定電流源に並列に設けられた第3の電流源と、
    前記第2の差動増幅器の出力を反転して出力する第2の論理反転回路と、を更に有し、
    前記第3の電流源は、前記第1の駆動信号がゲートへ入力されるトランジスタと、前記第2の論理反転回路の出力がゲートへ入力されるトランジスタの直列回路により構成されることを特徴とする請求項4に記載の定電圧回路。
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