以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
図1乃至図24は、本発明に係るフローセンサの一例を示すためのものである。図1は、本発明に係るフローセンサの一例を説明する側方断面図である。図1に示すように、フローセンサ10は、基板20と、基板20の上に設置された上部流路形成部材30と、基板20の下に設置された下部流路形成部材40と、を備える。
図2は、図1に示した上部流路形成部材の下面図である。図2に示すように、上部流路形成部材30の下面には、矩形状の凹部31が設けられている。凹部31は、基板20における対向する面、すなわち、基板20の上面との間に図1に示す第2空間31aを形成する。凹部31には、外部に通じる流入口32と流出口33が設けられている。図1に示したように、流入口32及び流出口33は、凹部31の底面から上部流路形成部材30の上面に貫通しており、流入口32から流入した流体が第2空間31aを通って流出口33から流出するようになっている。また、後述する基板20の電極部26,27に対応する位置に切欠部34,35が形成されており、上部流路形成部材30を基板20の上に設置したときに、電極部26,27が露出するようになっている。
図3は、図1に示した下部流路形成部材の上面図である。図3に示すように、下部流路形成部材40の上面には、矩形状の凹部41が設けられている。凹部41は、基板20における対向する面、すなわち、基板20の下面との間に図1に示した第1空間41aを形成する。
上部流路形成部材30および下部流路形成部材40の材料としては、例えば、ステンレス、シリコン(Si)、シリコン(Si)に二酸化ケイ素(SiO2)をコーティングしたもの、アルミナセラミックス、ガラス、サファイアなどが挙げられる。また、上部流路形成部材30および下部流路形成部材40の材料は、所定の腐食性物質、例えば、SOx、NOx、Cl2、BCl3などを含有するガス(気体)や、硫酸や硝酸を含む薬液(液体)などに対して耐食性を有するものが好ましい。具体的には、腐食性物質がCl2、BCl3などの塩素(Cl)を含む場合、シリコン(Si)は、この腐食性物質に対して耐食性を有さない(耐食性が低い)ため、上部流路形成部材30および下部流路形成部材40の材料として用いるのは適切ではない。一方、腐食性物質が塩素(Cl)を含まないSOx、NOxなどである場合、シリコン(Si)はこの腐食性物質に対して耐食性を有する(耐食性が高い)ので、上部流路形成部材30および下部流路形成部材40の材料として好適に用いることができる。なお、上部流路形成部材30及び下部流路形成部材40は、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
図4は、図1に示した基板を説明する上面図である。図4に示すように、基板20は、基板20の中央部に設けられ、流体の速度を検出するための検出部21を備える。検出部21は、流体を加熱するヒータ(抵抗素子)22と、ヒータ22によって生ずる流体の温度差を測定するように構成された一組の抵抗素子23,24と、を含んで構成される。これにより、流体の温度差から当該流体の速度(流速)を検出する熱式のフローセンサ10を容易に実現(構成)することができる。なお、本実施形態における抵抗素子23,24は、本発明のフローセンサにおける「測温ユニット」の一例に相当する。
検出部21は、後述するように、基板20のダイアフラム部201に設けられる。抵抗素子23,24は、ダイアフラム部201においてヒータ22を挟んでヒータ22の左側と右側との両側に、それぞれ設けられる。また、基板20は、周囲温度センサ(抵抗素子)25と、平面視において基板20の上辺側と下辺側とに設けられ、複数の電極26a,26b,26c,27a,27b,27cを有する一組の電極部26,27と、をさらに有する。電極部26,27の各電極26a,26b,26c,27a,27b,27cと、ヒータ22、抵抗素子23,24、及び周囲温度センサ25とは、基板20に形成された配線によって電気的に接続されている。
このような構成を備えるフローセンサ10は、例えば図1中にブロック矢印で示すように、測定対象である流体、例えばガスの流通する方向に沿って、抵抗素子23,22及び24が順に並ぶように配置される。この場合、抵抗素子23は、ヒータ22よりも上流側(図1において左側)に設けられた上流側温度センサとして機能し、抵抗素子24は、ヒータ22よりも下流側(図1において右側)に設けられた下流側温度センサとして機能する。このように、ヒータ22に対して上流側に抵抗素子23を配置し、下流側に抵抗素子24を配置することにより、ヒータ22に対して上流の流体の温度と下流の流体の温度とをそれぞれ測定することができ、ヒータ22によって生ずる後述する流体の温度差を、容易に測定することができる。
周囲温度センサ25は、フローセンサ10が設置された管路(図示省略)を流通するガスの温度を測定する。ヒータ22は、例示的に、基板20の中心に配置されており、周囲温度センサ25が計測したガスの温度よりも一定温度高くなるように、加熱される。上流側温度センサ23は、ヒータ22よりも上流側の温度を検出するのに用いられ、下流側温度センサ24は、ヒータ22よりも下流側の温度を検出するのに用いられる。
ここで、管路内のガスが静止している場合、ヒータ22で加えられた熱は、上流方向及び下流方向へ対称的に熱伝導する。従って、上流側温度センサ23及び下流側温度センサ24の温度は等しくなり、上流側温度センサ23及び下流側温度センサ24の電気抵抗は等しくなる。これに対し、管路内のガスが上流から下流に流れている場合、ヒータ22で加えられた熱は、下流方向に運ばれる。従って、上流側温度センサ23の温度よりも、下流側温度センサ24の温度が高くなる。
このような温度差は、上流側温度センサ23の電気抵抗と下流側温度センサ24の電気抵抗との間に差を生じさせる。下流側温度センサ24の電気抵抗と上流側温度センサ23の電気抵抗との差は、管路内のガスの速度や流量と相関関係がある。そのため、下流側温度センサ24の電気抵抗と上流側温度センサ23の電気抵抗との差を基に、管路を流通する流体の速度(流速)や流量を算出することができる。抵抗素子22、23及び24の電気抵抗の情報は、図4に示す電極部26,27を通じて電気信号として取り出すことができる。
また、図4に示すように、基板20には、検出部21を挟んで検出部21の左側と右側の両側に形成された一組の貫通孔28,29が形成されている。図1に示したように、貫通孔28,29は、基板20の上面から下面まで貫通し、第2空間31aと第1空間41aとを連通している。貫通孔28は検出部21に対して上流側(図1において左側)に配置されて上流側貫通孔として機能し、貫通孔29は検出部21に対して下流側(図1において右側)に配置されて下流側貫通孔として機能する。これにより、図1に示すように、流体が第2空間31aを流通する場合、当該流体は上流側貫通孔28を通って第1空間41aを流通し、下流側貫通孔29を通って再び第1流路31aに戻ることが可能となる。
本実施形態では、図1中に矢印で示したように、流入口32から流入した流体が、第2空間31aを流通するとともに、上流側貫通孔28を通って第1空間41aを流通する。また、第2空間31aを流通した流体は流出口33から流出し、第1空間41aを流通した流体は、下流側貫通孔29を通って流出口33から流出する。このように、上流側貫通孔28を介して第2空間31aおよび第1空間41aのうちの一方(図1において第2空間31a)から他方(図1において第1空間41a)に流体が流通し、下流側貫通孔29を介して第2空間31aおよび第1空間41aのうちの他方(図1において第1空間41a)から一方(図1において第2空間31a)に流体が流通することより、基板20の一方の面(図1において上面)側と他方の面(図1において下面)側との両側に流体が流通するので、第2空間31aおよび第1空間41aのうちの何れか一方を流体が流通する場合と比較して、流体の流通によってヒータ22の熱が熱伝達し易くなる(運ばれ易くなる)。また、このとき、基板20のダイアフラム部201は、流体が流通する第2空間31aと流体が流通する第1空間41aとの間に宙吊りの状態で配置される。
また、第2空間31aおよび第1空間41aは、図1中に矢印で示した流体が流通する方向に対して垂直な断面の面積が同一であることが好ましい。これにより、第2空間31aを流通する流体の流量と第1空間41aを流通する流体の流量とが同一になる。
なお、本明細書における「同一」という用語は、同じである場合に加え、略同一である場合も含む意味である。
次に、図5乃至図11を参照して基板20の製造方法の一例を説明する。
図5および図6は、図1に示した基板20の製造方法の一例を説明する側方断面図である。なお、図5および図6は、図4に示したI−I線矢視方向断面図である。最初に、図5に示すように、図1に示した第1基板20aの元となる部材として、板状のウエハAを用意する。ウエハAは、例えば、250[μm]程度の厚さを有している。
次に、図6に示すように、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の方法により、一方の面(上面)に、白金などの金属を付着させ、検出部21を構成する各要素を形成(パターニング)する。また、同様の方法により、検出部21を挟んだ両側(右側と左側)に、電極部26,27を構成する各電極を形成(パターニング)するとともに、検出部21と電極部26,27とを接続する配線を形成(パターニング)する。
図7は、図1に示した基板20の製造方法の一例を説明する上面図である。さらに、図7に示すように、同様の方法により、ウエハAの上面に、マーカー211およびマーカー212を形成(パターニング)する。マーカー211およびマーカー212は、設計により定められ、後の工程でダイアフラム部201が形成されるべき領域(範囲)の中心である設計中心C1に対して、対称(図7において設計中心C1を通る太点線の軸L1に対して左右対称)に配置される。なお、本実施形態におけるマーカー211およびマーカー212は、本発明のフローセンサにおける「第1のマーカーセット」の一例に相当する。
マーカー211およびマーカー212は、それぞれ3つのマーカーが所定間隔で配置されており、各マーカーは、所定幅の矩形形状を有している。マーカー211は、設計により定められ、ダイアフラム部201が形成されるべき範囲(領域)を画定する設計線(図7おいて一点鎖線で示す)のうち、上流側(図7において左側)の設計線を越えて(跨いで)設けられる。また、マーカー212は、設計により定められ、ダイアフラム部201が形成されるべき設計線(図7おいて破線で示す)のうち、下流側(図7において右側)の設計線を越えて(跨いで)設けられる。
図8乃至図10は、図7に示したマーカー211およびマーカー212の他の例を説明する拡大上面図である。なお、マーカー211およびマーカー212は、同一形状を有するマーカーを複数設ける場合に限定されない。例えば、図8に示すように、所定幅で長さの異なる矩形形状のマーカーを複数設けるようしてもよい。また、図9に示すように、互いに対向して配置され、互いの頂点が接する同一の三角形状のマーカーを2つ設けるようにしてもよい。さらに、図10に示すように、三角形状のマーカーを1つ設けるようにしてもよい。
また、図8乃至10に示した何れの形態(形状および数)のマーカー211,212を用いる場合でも、図7に示したマーカー211およびマーカー212と同様に、ダイアフラム部201の上流側の設計線または下流側の設計線に対して対称に配置されるのが好ましい。
なお、検出部21とマーカー211およびマーカー212とは、同時に設けることが好ましい。具体的には、まず、ウエハAの上面の広い範囲に金属を一様に付着させる。次に、検出部21を構成する各要素、電極部26,27を構成する各電極、検出部21と電極部26,27とを接続する配線に加え、マーカー211およびマーカー212をフォトリソグラフィによりパターニング(パターン露光)する。そして、エッチングによりパターニングした部分以外の金属を除去することで、検出部21とマーカー211およびマーカー212とが同時に形成される(設けられる)。これにより、マーカーを設けるための工程を追加する必要がない。これにより、フローセンサ10のコスト増加を更に抑制することができる。
なお、本明細書における「同時」という用語は、同じ時に行われる場合に加え、同じタイミングや同じ工程で行われる場合を含み、更に、略同じ時、略同じタイミング、および略同じ工程で行われる場合も含む意味である。
図11は、図1に示した基板20の製造方法の一例を説明する側方断面図である。なお、図11は図4に示したII−II線矢視方向断面図である。次に、図11に示すように、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施し、検出部21を挟んだ両側(図11において右側と左側)に、ウエハAの上面から下面まで貫通した上流側貫通孔28および下流側貫通孔29を形成する。
最後に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施し、検出部21を設けた部分の反対の面(図11において下面)に当該部分の厚さを制御して凹みを形成し、熱容量が小さいダイアフラム部201を形成する。ダイアフラム部201は、例えば、10〜100[μm]程度の厚さを有している。このようにして、図1に示した基板20が製造される。
この基板20では、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29を形成する際に、図7に示したマーカー211およびマーカー212の一部、すなわち、設定されたダイアフラム部201の設計線を越えて、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29が形成されるべき領域(範囲)内に設けられた部分は、図11に示すように、当該領域とともに除去されている。一方、マーカー211およびマーカー212の他の部分、すなわち、設定されたダイアフラム部201の設計線を越えて、ダイアフラム部201が形成されるべき領域(範囲)内に設けられた部分は、図11に示したように、ダイアフラム部201に残っている。
ここで、ダイアフラム部201の寸法、特に、平面視において流体の流れに沿う方向(図7において左右方向)の長さは、ヒータ22の発熱によって生じる流体の熱分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、図7に示したように、ダイアフラム部201は、設計中心C1に対して左右対称になるように設計されている。よって、マーカー211およびマーカー212をダイアフラム部201の設計中心C1に対して左右対称に配置し、マーカー211をダイアフラム部211の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー212をダイアフラム部211の下流側(図7において右側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29が設計通りに形成され、その結果、ダイアフラム部201が設定された設計線の通りに形成された場合、図11に示すように、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とは、対称になる。これにより、ダイアフラム部201に残っているマーカー211およびマーカー212を対比することで、ダイアフラム部201が対称か否かを判断することが可能となる。
図12は、図11に示した基板の不良品の一例を説明する側方断面図である。一方、ダイアフラム部201が設定された設計線の通りに形成されなかった場合、例えば、図12に示すように、ダイアフラム部201の上流側(図12おいて左側)が設定された設計線の通りに形成され、ダイアフラム部201の下流側(図12おいて右側)が設定された設計線よりも小さく(内側に)形成された場合、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分は2つ(1つと半分)であるのに対し、マーカー212のダイアフラム部201に残っている部分は1つである。よって、図11に示した場合と異なり、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とは、対称にならない(非対称である)。
なお、図12に示した例で、仮に、ダイアフラム部201の上流側(図12おいて左側)も設定された設計線よりも小さく(内側に)形成され、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分と、マーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とが、ともに1つである場合、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とは、対称になる。この場合、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、ダイアフラム部201が設計寸法通りに形成されているか否かを検査することができる。例えば、前述の例では、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分と、マーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とが、ともに1つであり、図11に示したように、設計線の通りに形成された場合の数(2つ)よりも少なくなっている。
ウエハAの材料、すなわち、基板20の材料としては、前述の上部流路形成部材30および下部流路形成部材40と同様に、例えば、ステンレス、シリコン(Si)、シリコン(Si)に二酸化ケイ素(SiO2)をコーティングしたもの、アルミナセラミックス、ガラス、サファイアなどが挙げられる。
特に、基板20の材料は、ガラスまたはサファイアであることが好ましい。ここで、ガラスおよびサファイアは、例えば、SOx、NOx、Cl2、BCl3などを含有するガス(気体)や、硫酸や硝酸を含む薬液(液体)などの腐食性物質に対して耐食性を有する材料である。また、ガラスおよびサファイアは、高い機械的強度を有する材料でもある。
本実施形態では、ウエハAの加工方法としてサンドブラスト加工を用いている。基板20の元となるウエハAがガラスなどの脆性材料である場合、サンドブラスト加工を好適に用いることができる。この場合、図11に示したように、上流側貫通孔28、下流側貫通孔29、およびダイアフラム部201は、加工面(図11においてウエハAの下面)から反対の面(図11においてウエハAの上面)に向かってテーパー状に傾斜した形状となる。
なお、ウエハAの加工方法は、サンドブラスト加工に限定されない。例えば、ドリルやレーザーなどを用いた機械加工、ドライエッチングやウェットエッチングなどのエッチング加工、またはこれらの組み合わせによりウエハAを加工するようにしてもよい。この場合、図1に示したように、上流側貫通孔28、下流側貫通孔29、およびダイアフラム部201は、加工面(図1において基板20の下面)から反対の面(図1において基板20の上面)に向かって垂直または略垂直な形状となる。
図13は、図1に示した基板20の他の例における製造方法を説明する上面図である。本実施形態では、マーカー211およびマーカー212を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、基板の製造工程において、図13に示すように、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法などの方法により、マーカー211およびマーカー212に加え、ウエハAの上面に、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232と、を形成(パターニング)する。
マーカー221およびマーカー222は、設計により定められ、後の工程で上流側貫通孔28が形成されるべき領域(範囲)の設計中心C2に対して、対称(図13において設計中心C2を通る太点線の軸L2に対して上下対称)に配置される。同様に、マーカー231およびマーカー232は、設計により定められ、後の工程で下流側貫通孔29が形成されるべき領域(範囲)の設計中心C3に対して対称(図13において設計中心C3を通る太点線の軸L2に対して上下対称)に配置される。本実施形態におけるマーカー221およびマーカー222は、本発明のフローセンサにおける「第2のマーカーセット」の一例に相当し、本実施形態におけるマーカー231およびマーカー232は、本発明のフローセンサにおける「第3のマーカーセット」の一例に相当する。
前述したマーカー211およびマーカー212と同様に、マーカー221およびマーカー222は、それぞれ3つのマーカーが所定間隔で配置されており、各マーカーは、所定幅の矩形形状を有している。マーカー221は、設計により定められ、上流側貫通孔28が形成されるべき領域(範囲)を画定する設計線(図13おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Aの元となるウエハAとの一方の境界(図13において上側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。一方、マーカー222は、設計線(図13おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Aの元となるウエハAとの他方の境界(図13において下側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。
マーカー221およびマーカー222と同様に、マーカー231およびマーカー232は、それぞれ3つのマーカーが所定間隔で配置されており、各マーカーは、所定幅の矩形形状を有している。マーカー231は、設計により定められ、下流側貫通孔29が形成されるべき領域(範囲)を画定する設計線(図13おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Aの元となるウエハAとの一方の境界(図13において上側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。一方、マーカー232は、設計線(図13おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Aの元となるウエハAとの他方の境界(図13において下側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。
なお、マーカー221およびマーカー222、ならびに、マーカー231およびマーカー232は、同一形状を有するマーカーを複数設ける場合に限定されない。マーカー211およびマーカー212と同様に、図8乃至図10に示したように、種々の形状を有するマーカーを1つまたは複数設けるようにしてもよい。
また、マーカー221およびマーカー222、ならびに、マーカー231およびマーカー232は、いずれの形態(形状および数)のマーカーを用いる場合でも、上流側貫通孔28の設計線または下流側貫通孔29の設計線に対して対称に配置されるのが好ましい。
さらに、マーカー221およびマーカー222、ならびに、マーカー231およびマーカー232は、図7に示した例と同様の方法により、検出部21、マーカー211、およびマーカー212と同時に設けることが好ましい。このように、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが、基板20Aの元となるウエハAの上面に設けられる場合、検出部21、マーカー211、およびマーカー212と、同時に設けることが可能となる。
次に、図11に示したように、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施し、検出部21を挟んだ両側(図11において右側と左側)に、ウエハAの上面から下面まで貫通した貫通孔28,29を形成する。最後に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施し、検出部21を設けた部分の反対の面(図11において下面)に当該部分の厚さを制御して凹みを形成し、熱容量が小さいダイアフラム部201を形成する。
図14は、図1に示した基板20の他の例を説明する上面図である。図14に示すように、このようにして製造された基板20Aでは、上流側貫通孔28を形成した結果、マーカー221およびマーカー222の一部、すなわち、上流側貫通孔28が形成された領域(範囲)内に設けられた部分は、当該領域とともに除去されている。同様に、下流側貫通孔29を形成した結果、マーカー231およびマーカー232の一部、すなわち、下流側貫通孔29が形成された領域(範囲)内に設けられた部分は、下流側貫通孔29を形成する際に、当該領域とともに除去されている。
一方、マーカー221およびマーカー222の他の部分、すなわち、上流側貫通孔28が形成された領域(範囲)外に設けられた部分は、基板20Aに残っている。同様に、マーカー231およびマーカー232の他の部分、すなわち、上流側貫通孔28が形成された領域(範囲)外に設けられた部分は、基板20Aに残っている。
ここで、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の寸法、特に、平面視において流路幅となる方向(図13において上下方向)の長さは、壁面側から中心側に放物線状に流速が速くなるという流速分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、上流側貫通孔28は設計中心C2に対して上下対称になるように設計されており、下流側貫通孔29は設計中心C3に対して上下対称になるように設計されている。よって、マーカー221およびマーカー222を上流側貫通孔28の設計中心C2に対して上下対称に配置し、マーカー221を基板20Aとの一方(図13において上側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー222を基板20Aとの他方(図13において下側)の境界を定める設計線を越えて設けたので、上流側貫通孔28が設計通りに形成された場合、図14に示すように、マーカー221の基板20Aに残っている部分とマーカー222の基板20Aに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20Aに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となる。同様に、マーカー231およびマーカー232を下流側貫通孔29の設計中心C3に対して上下対称に配置し、マーカー231を基板20Aとの一方(図13において上側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー232を基板20Aとの他方(図13において下側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、下流側貫通孔29が設計通りに形成された場合、図14に示すように、マーカー231の基板20Aに残っている部分とマーカー232の基板20Aに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20Aに残っているマーカー231およびマーカー232を対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。
図15は、図14に示した基板20Aの不良品を説明する上面図である。一方、上流側貫通孔28が設計通りに形成されなかった場合、例えば、図15に示すように、上流側貫通孔28の下側が設定された設計線の通りに形成され、上流側貫通孔28の上側が設定された設計線よりも小さく(内側に)形成された場合、マーカー222の基板20Aに残っている部分は2つ(1つと半分)であるのに対し、マーカー221の基板20Aに残っている部分は3つである。よって、図14に示した場合と異なり、マーカー221の基板20Aに残っている部分とマーカー222の基板20Aに残っている部分とは、対称にならない(非対称である)。
また、下流側貫通孔29が設計通りに形成されなかった場合、例えば、図15に示すように、下流側貫通孔29の上側が設定された設計線よりも小さく(内側に)形成され、下流側貫通孔29の下側が設定された設計線よりも小さく(内側に)形成された場合、マーカー231の基板20Aに残っている部分は3つであるのに対し、マーカー232の基板20Aに残っている部分は1つである。よって、この場合も、図14に示した場合と異なり、マーカー231の基板20Aに残っている部分とマーカー232の基板20Aに残っている部分とは、対称にならない(非対称である)。
なお、前述の図12に示した例と同様に、マーカー221の基板20Aに残っている部分とマーカー222の基板20Aに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計寸法通りに形成されているか否かを検査することができる。また、マーカー231の基板20Aに残っている部分とマーカー232の基板20Aに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計寸法通りに形成されているか否かを検査することができる。
なお、ウエハAの材料、すなわち、基板20Aの材料が、ガラスなどの透明部材、すなわち光に対して透過性を有する場合、検出部21が設けられた面、すななわち、基板20Aの上面に、マーカー221およびマーカー222、ならびに、マーカー231およびマーカー232を設ける場合に限定されない。
図16は、図1に示した基板20の更に他の例における製造方法を説明する下面図である。例えば、基板の製造工程において、図16に示すように、ウエハAの下面に、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法などの方法により、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232と、を形成(パターニング)する。
図13に示した例と同様に、マーカー221およびマーカー222は、上流側貫通孔28の設計中心C2に対称(図16において設計中心C2を通る太点線の軸L2に対して上下対称)に配置され、マーカー231およびマーカー232は、下流側貫通孔29の設計中心C3に対称(図16において設計中心C3を通る太点線の軸L2に対して上下対称)に配置される。また、マーカー221は、設計により定められ、上流側貫通孔28が形成されるべき領域(範囲)を画定する設計線(図16おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Bの元となるウエハAとの一方の境界(図16において上側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。一方、マーカー222は、設計線(図16おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Bの元となるウエハAとの他方の境界(図16において下側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。さらに、マーカー231は、設計により定められ、下流側貫通孔29が形成されるべき領域(範囲)を画定する設計線(図16おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Bの元となるウエハAとの一方の境界(図16において上側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。一方、マーカー232は、設計線(図16おいて二点鎖線で示す)のうち、基板20Bの元となるウエハAとの他方の境界(図16において下側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。
次に、図11に示した例と同様に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施して上流側貫通孔28および下流側貫通孔29を形成する。最後に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施してダイアフラム部201を形成する。
図17は、図1に示した基板20の更に他の例を説明する断面図である。なお、図17は、図16に示したV−V線矢視方向断面図である。図17に示すように、このようにして製造された基板20Bでは、図14に示した例と同様に、下流側貫通孔29が設計通りに形成された場合、マーカー231の基板20Bに残っている部分とマーカー232の基板20Bに残っている部分とは、対称になる。なお、図示を省略するが、上流側貫通孔28が設計通りに形成された場合も、図14に示した例と同様に、マーカー221の基板20Bに残っている部分とマーカー222の基板20Bに残っている部分とは、対称になる。このように、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが基板20Bの下面に設けられる場合、基板20Bに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となり、基板20Bに残っているマーカー231およびマーカー232を対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。また、この場合、基板20Bが光に対して透過性を有するので、図17中にブロック矢印で示す、基板20Bの上面側の視線方向から、基板20Bの下面側に設けられたマーカー231およびマーカー232を検査することができる。
図18および図19は、図17に示した基板20Bの不良品を説明する断面図である。一方、上流側貫通孔28が設計通りに形成されなかった場合、例えば、サンドブラスト加工面である下面にチッピングなどによる欠けが生じた場合、図18に示すように、マーカー231の基板20Bに残っている部分は良品と同じの状態になるが、マーカー232の基板20Bに残っている部分のみ少なくなる。また、図19に示すように、サンドブラスト加工時に用いるマスクの位置がパターンに対してずれていた場合、図17に示した場合と異なり、マーカー231の基板20Bに残っている部分とマーカー232の基板20Bに残っている部分とは、ともに良品の状態と異なり、非対象となる。
また、基板の材料が、ガラスなどの透明部材、すなわち光に対して透過性を有する場合には、基板20Aの一方の面のみに、マーカー221およびマーカー222、ならびに、マーカー231およびマーカー232を設ける場合に限定されない。
図20は、図1に示した基板20の更に他の例における製造方法を説明する断面図である。なお、図17は、図16に示したV−V線矢視方向断面図である。例えば、基板の製造工程において、図20に示すように、ウエハAの上面にマーカー231aおよびマーカー232aを形成するとともに、ウエハAの下面にマーカー231bおよびマーカー232bを形成する。
図13に示した例と同様に、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bは、下流側貫通孔29の設計中心C3に対して左右対称に配置される。また、マーカー231a,231bは、設計により定められ、下流側貫通孔29が形成されるべき領域(範囲)を画定する設計線(図20おいて破線で示す)のうち、基板20Cの元となるウエハAとの一方の境界(図20において左側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。一方、マーカー232a,232bは、設計線(図20おいて破線で示す)のうち、基板20Cの元となるウエハAとの他方の境界(図20において右側の境界)を定める設計線を越えて(跨いで)設けられる。
次に、図11に示した例と同様に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施して上流側貫通孔28および下流側貫通孔29を形成する。最後に、ウエハAの下面側からサンドブラスト加工を施してダイアフラム部201を形成する。
図21は、図1に示した基板20の更に他の例を説明する断面図である。図21に示すように、このようにして製造された基板20Cでは、図14に示した例と同様に、下流側貫通孔29が設計通りに形成された場合、マーカー231aの基板20Cの上面に残っている部分とマーカー232aの基板20Cの上面に残っている部分とは、対称になる。また、マーカー231bの基板20Cの下面に残っている部分とマーカー232bの基板20Cの下面に残っている部分とは、等しくなっている。なお、図示を省略するが、上流側貫通孔28が設計通りに形成された場合も、図14に示した例と同様に、マーカー221aの基板20Cに残っている部分とマーカー222aの基板20Cに残っている部分とは、対称になる。また、マーカー221bの基板20Cに残っている部分とマーカー222bの基板20Cに残っている部分とは、対称になる。
図22は、図21に示した基板20Cの不良品を説明する断面図である。一方、下流側貫通孔29が設計通りに形成されなかった場合、例えば、サンドブラスト加工時に使用するマスクが設計線からずれていた場合、図22に示すように、マーカー231aの基板20Cの上面に残っている部分とマーカー231bの基板20Cの下面に残っている部分とがともに1つであり、マーカー232aの基板20Cの上面に残っている部分とマーカー232bの基板20Cの下面に残っている部分とがともに3つである。この場合、下流側貫通孔29は、上面および下面がともに同方向(図22において左方向)にずれているので、不良の原因としてサンドブラスト加工時に使用するマスクのずれが推定される。
図23は、図21に示した基板20Cの不良品を説明する断面図である。また、例えば、サンドブラスト加工時の軸が傾いていた場合、図23に示すように、下面に設けられたマーカー231bの基板20Cに残っている部分と、下面に設けられたマーカー232bの基板20Cに残っている部分とは、ともに2つ(1つと半分)であり、基板20Cの下面側は、下流側貫通孔29に対して対称で、かつ、設計通りの適正な数、長さ(幅)、形状である。一方、上面に設けられたマーカー231aの基板20Cに残っている部分は1つであるのに対し、上面に設けられたマーカー232aの基板20Cに残っている部分は3つであり、基板20Cの上面側は、下流側貫通孔29に対して対称ではない(非対称である)。この場合、下流側貫通孔29は、上面のみが一方向(図22において左方向)にずれているので、不良の原因としてサンドブラスト加工時の軸の傾きが推定される。このように、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bが基板20Cの上面および下面に設けられる場合、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。また、図20乃至図23の例では図示を省略したが、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bが基板20Cの上面および下面に設けられる場合、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。
図24は、本発明に係るフローセンサの他の例を説明する側方断面図である。また、図1乃至23に示した基板と異なる基板として、例えば、図19に示すように、フローセンサ10Aは基板20Dを備える。
基板20Dは、図1に示した基板20と同様の第1基板20aと、第2基板20bとを含む。第1基板20aの上面と第2基板20bの下面とは接合されている。これにより、第1基板20aの上面に設けられた検出部21は、第1基板20aおよび第2基板20bによって覆われ、外部に対して露出する(曝される)ことがない。
第1基板20aと第2基板20bとの接合方法としては、例えば、拡散接合、アルゴン(Ar)などの不活性ガスを用いたイオンビームを接合する両面に照射して活性化してから接合する表面活性化接合(常温接合)、金や銀などのろう材を接合する両面に付けてから接合するろう付け、陽極接合などが挙げられる。また、接合方法は、接合する部材の種類によって適切な接合方法を使い分ける。
第2基板20bの材料としては、前述の基板20の材料、すなわち、第1基板20aと同様の材料が挙げられる。なお、第1基板20aおよび第2基板20bは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
また、基板20Dを製造する場合、第1基板20aと第2基板20bとを接合した後に、上流側貫通孔28、下流側貫通孔29、およびダイアフラム部201を形成することになる。
なお、図24に示す第1基板20aとして、図1に示した基板20を用いるようにしたが、これに限定されず、他の基板20A,20B,20Cのいずれを用いるようにしてもよい。
このように、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、平面視においてダイアフラム部201に設定された設計中心C1に対して対称に配置される第1のマーカーセットを備え、第1のマーカーセットには、平面視においてダイアフラム部201に設定された設計線(図7において一点鎖線)のうち、ダイアフラム部201の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて設けられるマーカー211とダイアフラム部201の下流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて設けられるマーカー212とが含まれる。ここで、ダイアフラム部201の寸法、特に、平面視において流体の流れに沿う方向(図7において左右方向)の長さは、ヒータ22の発熱によって生じる流体の熱分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、ダイアフラム部201は、設計中心C1に対して左右対称になるように設計されている。よって、マーカー211およびマーカー212をダイアフラム部201の設計中心C1に対して左右対称に配置し、マーカー211をダイアフラム部211の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー212をダイアフラム部211の下流側(図7において右側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29が設計通りに形成され、その結果、ダイアフラム部201が設定された設計線の通りに形成された場合、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とは、対称になる。これにより、ダイアフラム部201に残っているマーカー211およびマーカー212を対比することで、ダイアフラム部201が対称か否かを判断することが可能となる。これにより、ダイアフラム部201の寸法を計測して検査する場合と比較して、ダイアフラム部201の対称性を容易に検査することができ、フローセンサ10,10Aのコスト増加を抑制することができる。また、マーカー211をダイアフラム部211の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー212をダイアフラム部211の下流側(図7において右側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、ダイアフラム部201が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、ダイアフラム部201の上面に設けられる検出部21と基板20の上面に設けられるマーカー211およびマーカー212とが、同時に設けられる。これにより、マーカー211およびマーカー212を設けるための工程を追加する必要がない。これにより、フローセンサ10,10Aのコスト増加を更に抑制することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、平面視において上流側貫通孔28に設定された設計中心C2に対して上下対称に配置される第2のマーカーセットと、平面視において下流側貫通孔29に設定された設計中心C3に対して上下対称に配置される第3のマーカーセットと、を更に備え、第2のマーカーセットには、平面視において上流側貫通孔28に設定された設計線のうち、基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー221と基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー222とが含まれ、第3のマーカーセットには、平面視において下流側貫通孔29に設定された設計線のうち、基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー231,231a,231bと基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー232,232a,232bとが含まれる。ここで、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の寸法、特に、平面視において流路幅となる方向(図13において上下方向)の長さは、壁面側から中心側に放物線状に流速が速くなるという流速分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、上流側貫通孔28は設計中心C2に対して上下対称になるように設計されており、下流側貫通孔29は設計中心C3に対して上下対称になるように設計されている。よって、マーカー221およびマーカー222を上流側貫通孔28の設計中心C2に対して上下対称に配置し、マーカー221を基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー222を基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側)の境界を定める設計線を越えて設けたので、上流側貫通孔28が設計通りに形成された場合、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20A,20B,20Cに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となる。同様に、マーカー231およびマーカー232を下流側貫通孔29の設計中心C3に対して上下対称に配置し、マーカー231,231a,231bを基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー232,232a,232bを基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、下流側貫通孔29が設計通りに形成された場合、マーカー231,231a,231bの基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー232,232a,232bの基板20A,20B,20Cに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20A,20B,20Cに残っているマーカー231,231a,231bおよびマーカー232,232a,232bを対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。これにより、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の寸法を計測して検査する場合と比較して、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の対称性を容易に検査することができ、フローセンサ10,10Aのコスト増加を抑制することができる。また、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。さらに、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、基板20B,20Cは光に対して透過性を有し、第2のマーカーセットおよび第3のマーカーセットが、基板の一方の面および他方の面のうちの少なくとも一方に設けられる。これにより、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが基板20Aの上面に設けられる場合、検出部21、マーカー211、およびマーカー212と、同時に設けることが可能となる。また、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが基板20Bの下面に設けられる場合、基板20Bに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となり、基板20Bに残っているマーカー231およびマーカー232を対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。また、この場合、基板20Bが光に対して透過性を有するので、基板20Bの上面側の視線方向から、基板20Bの下面側に設けられたマーカー221およびマーカー222とマーカー231およびマーカー232とを検査することができる。さらに、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bと、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bとが基板20Cの上面および下面に設けられる場合、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。また、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、基板20,20A,20B,20Cの材料は、ガラスまたはサファイアである。ここで、ガラスおよびサファイアは、例えば、SOx、NOx、Cl2、BCl3などを含有するガス(気体)や、硫酸や硝酸を含む薬液(液体)などの腐食性物質に対して耐食性を有する材料である。これにより、所定の腐食性物質に対して耐食性の高いフローセンサ10、10Aを容易に実現することができる。
また、ガラスおよびサファイアは、高い機械的強度を有する材料でもある。これにより、流体に含まれるゴミや塵などのダストがダイアフラム部201に衝突したときに、ダイアフラム部201が破壊されにくい機械的強度を備えることができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aの製造方法によれば、平面視においてダイアフラム部201に設定された設計中心C1に対して左右対称に配置される第1のマーカーセットを設けるステップを備え、第1のマーカーセットには、平面視においてダイアフラム部201に設定された設計線(図7において一点鎖線)のうち、ダイアフラム部201の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて設けられるマーカー211とダイアフラム部201の下流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて設けられるマーカー212とが含まれる。ここで、ダイアフラム部201の寸法、特に、平面視において流体の流れに沿う方向(図7において左右方向)の長さは、ヒータ22の発熱によって生じる流体の熱分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、ダイアフラム部201は、設計中心C1に対して左右対称になるように設計されている。よって、マーカー211およびマーカー212をダイアフラム部201の設計中心C1に対して左右対称に配置し、マーカー211をダイアフラム部211の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー212をダイアフラム部211の下流側(図7において右側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29が設計通りに形成され、その結果、ダイアフラム部201が設定された設計線の通りに形成された場合、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分とは、対称になる。これにより、ダイアフラム部201に残っているマーカー211およびマーカー212を対比することで、ダイアフラム部201が対称か否かを判断することが可能となる。これにより、ダイアフラム部201の寸法を計測して検査する場合と比較して、ダイアフラム部201の対称性を容易に検査することができ、フローセンサ10,10Aのコスト増加を抑制することができる。また、マーカー211をダイアフラム部211の上流側(図7において左側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー212をダイアフラム部211の下流側(図7において右側)の輪郭を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、マーカー211のダイアフラム部201に残っている部分とマーカー212のダイアフラム部201に残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、ダイアフラム部201が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aの製造方法によれば、ダイアフラム部201の上面に設けられる検出部21と基板20の上面に設けられるマーカー211およびマーカー212とが、同時に設けられる。これにより、マーカー211およびマーカー212を設けるための工程を追加する必要がない。これにより、フローセンサ10,10Aのコスト増加を更に抑制することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aの製造方法によれば、平面視において上流側貫通孔28に設定された設計中心C2に対して上下対称に配置される第2のマーカーセットを設けるステップと、平面視において下流側貫通孔29に設定された設計中心C3に対して上下対称に配置される第3のマーカーセットを設けるステップと、を更に備え、第2のマーカーセットには、平面視において上流側貫通孔28に設定された設計線のうち、基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー221と基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー222とが含まれ、第3のマーカーセットには、平面視において下流側貫通孔29に設定された設計線のうち、基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー231,231a,231bと基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて設けられるマーカー232,232a,232bとが含まれる。ここで、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の寸法、特に、平面視において流路幅となる方向(図13において上下方向)の長さは、壁面側から中心側に放物線状に流速が速くなるという流速分布の特性に影響を与えることが分かっている。そのため、上流側貫通孔28は設計中心C2に対して上下対称になるように設計されており、下流側貫通孔29は設計中心C3に対して上下対称になるように設計されている。よって、マーカー221およびマーカー222を上流側貫通孔28の設計中心C2に対して上下対称に配置し、マーカー221を基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー222を基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側)の境界を定める設計線を越えて設けたので、上流側貫通孔28が設計通りに形成された場合、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20A,20B,20Cに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となる。同様に、マーカー231およびマーカー232を下流側貫通孔29の設計中心C3に対して上下対称に配置し、マーカー231,231a,231bを基板20A,20B,20Cとの一方(図13および図16において上側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設け、マーカー232,232a,232bを基板20A,20B,20Cとの他方(図13および図16において下側、図20において左側)の境界を定める設計線を越えて(跨いで)設けたので、下流側貫通孔29が設計通りに形成された場合、マーカー231,231a,231bの基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー232,232a,232bの基板20A,20B,20Cに残っている部分とは、対称になる。これにより、基板20A,20B,20Cに残っているマーカー231,231a,231bおよびマーカー232,232a,232bを対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。これにより、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の寸法を計測して検査する場合と比較して、上流側貫通孔28および下流側貫通孔29の対称性を容易に検査することができ、フローセンサ10,10Aのコスト増加を抑制することができる。また、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。さらに、マーカー221の基板20A,20B,20Cに残っている部分とマーカー222の基板20A,20B,20Cに残っている部分との数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計寸法通りに形成されているか否かを容易に検査することができる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aの製造方法によれば、基板20B,20Cは光に対して透過性を有し、第2のマーカーセットおよび第3のマーカーセットが、基板の一方の面および他方の面のうちの少なくとも一方に設けられる。これにより、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが基板20Aの上面に設けられる場合、検出部21、マーカー211、およびマーカー212と、同時に設けることが可能となる。また、マーカー221およびマーカー222と、マーカー231およびマーカー232とが基板20Bの下面に設けられる場合、基板20Bに残っているマーカー221およびマーカー222を対比することで、上流側貫通孔28が対称か否かを判断することが可能となり、基板20Bに残っているマーカー231およびマーカー232を対比することで、下流側貫通孔29が対称か否かを判断することが可能となる。また、この場合、基板20Bが光に対して透過性を有するので、基板20Bの上面側の視線方向から、基板20Bの下面側に設けられたマーカー221およびマーカー222とマーカー231およびマーカー232とを検査することができる。さらに、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bと、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bとが基板20Cの上面および下面に設けられる場合、マーカー221a,221bおよびマーカー222a,222bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、上流側貫通孔28が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。また、マーカー231a,231bおよびマーカー232a,232bの基板20Cに残っている部分の数、長さ(幅)、形などに基づいて、下流側貫通孔29が設計通りに形成されなかった原因を推定することが可能となる。
また、本実施形態におけるフローセンサ10,10Aによれば、基板20,20A,20B,20Cの材料は、ガラスまたはサファイアである。ここで、ガラスおよびサファイアは、例えば、SOx、NOx、Cl2、BCl3などを含有するガス(気体)や、硫酸や硝酸を含む薬液(液体)などの腐食性物質に対して耐食性を有する材料である。これにより、所定の腐食性物質に対して耐食性の高いフローセンサ10、10Aを容易に実現することができる。
また、ガラスおよびサファイアは、高い機械的強度を有する材料でもある。これにより、流体に含まれるゴミや塵などのダストがダイアフラム部201に衝突したときに、ダイアフラム部201が破壊されにくい機械的強度を備えることができる。
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。