JP2012154034A - 塔状構造物のメンテナンス方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 必要最小限の部材を用いた簡素な構造にても高い強度で重量部品の昇降を可能にした塔状構造物のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 既設タワー1の表面あるいは該既設タワー1の上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法において、前記既設タワー1にほぼ平行に接続して組み上げられる一対のメンテナンス支柱2A、2Bに昇降フレーム5を昇降自在に設置するとともに、該昇降フレーム5を用いて既設タワー1の表面あるいは該既設タワー1の上端部に設置した構造物の保守点検を行うことにより、必要最小限の部材を用いた簡素な構造にても、既設タワー1の所定の強度を利用して接続された一対のメンテナンス支柱2A、2Bにて、安定した高い強度での重量部品の昇降を可能にした塔状構造物のメンテナンス方法が提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法に関する。好適には、既設タワーの上端部にヨーリング等を介して首振り自在に設置されたナセルおよびブレードからなる風力発電設備の保守点検のために、故障した部品を交換するための塔状構造物のメンテナンス方法、あるいは、既設タワーの表面の塗装等のメンテナンスに採用され得る。
従来、風力発電設備を組み立てるには、風力発電設備よりも高い巨大なクレーン装置を用いて組み上げることが行われていたが、巨大なクレーン装置を組み上げるには多大の費用と工期を要して不経済であった。また、山間部等にあっては足場の確保が困難であり、仮設の道路等を造成することを余儀なくされたり、地形によってはクレーン装置自体を用いることが不可能なこともあった。
そこで、下記特許文献1に例示したような本件出願人による塔状構造物の構築方法およびその装置が提案された。
一方、既設の風力発電装置の簡便な補修方法および補修装置として下記特許文献2に例示したような風力発電タワー等の補修方法および補修装置も提案されている。
特許第3732414号公報(特許請求の範囲参照) 特開2005−002875号公報(要約書参照)
前記特許文献1に開示された第1従来例としての塔状構造物の構築方法およびその装置を図9を用いて説明すると、その特許請求の範囲の構成要件として記載された、図9(A)(B)(C)に示すように、複数個のブロック化された塔状構造物101a、101b、101cを接続して塔状構造物を構築する方法において、基礎部に第1ブロック塔体構造物101aを立設する工程と、前記第1ブロック塔体構造物101aを囲むように上下に各4つのガイドタワー102a、102bを組み立て、第1ブロック塔体構造物101aとガイドタワー102aの間には支持部材106を設ける工程で、前記第1ブロック塔体構造物101aを囲むように組み立てられたガイドタワー102aが、第1ブロック塔体構造物101aとほぼ同じ高さで下側に設けられる第1ガイドタワー102aと、その上側に設けられる第2ガイドタワー102bとからなり、上側に設けられる第2ガイドタワー102bが、持ち上げられたブロック構造物を横方向に移動させて搬入するために開放面にしているものであり、
ガイドタワー121に伸縮機構(図9(D)(E)(F)に示すように、ガイドタワー121の上下の係合孔120a〜e・・・に係脱する上下のピン147と104bが、尺取り虫的に伸縮するシリンダ143とピストン144との上下に配設されていて、ガイドタワー121に対してリフトアップ装置104が昇降する)およびブロック塔体構造物の保持かつ横方向移動機構を備えたリフトアップ装置104を取り付ける工程と、前記リフトアップ装置104の横方向移動機構にブロック塔体構造物を保持して伸縮機構の尺取り虫的な間欠動作でガイドタワーに沿って持ち上げ、持ち上げたブロック塔体構造物101bを横方向移動機構により横方向に移動させ、第1ブロック塔体構造物101aの上に接続する工程とから構成されるものである。
このような塔状構造物の構築方法に、巨大なクレーン装置を組み上げるには不向きな山間部にあっても、広大な足場を確保することなく、安定したガイドタワーを用いたリフアップ工法により、風等の影響に左右されることもなく、短期間で安価に塔状構造物を構築することが可能となった。
前記特許文献2に開示された第2従来例としての風力発電タワー等の補修工法および補修装置を図10を用いて説明すると、タワー201の外周面の上下に所定間隔を隔てた2か所に、レール取付用バンド220を巻付固定させる作業工程と、1組のレール取付用バンド220間に、定寸の昇降用レール210を架設する工程と、昇降用レール210に、昇降用の駆動装置付きの作業用プラットホーム230を組み付ける作業工程と、作業用プラットホーム230を利用して、複数本の昇降用レール210をタワーの上端に向けて順次継ぎ足して行く作業工程と、作業用プラットホーム230上で、塗装等の補修作業を行う工程とを含むことを特徴とするものである。昇降用レール210は、タワー201の外周方向の複数か所に並列状に配列するとよい。
このような風力発電タワー等の補修工法および補修装置によって、風力発電タワー等の円筒状の大型タワーの塗装を定期的に塗り直したり、発電用風車の羽根の基部の可変ピッチ機構等の点検・補修・取替作業に要する経費と工期を縮減させることが可能となった。
しかしながら、前記第1従来例の塔状構造物の構築方法にあっては、巨大なクレーン装置を用いずとも、簡便な構築方法によって安定したガイド支柱を用いたリフトアップ工法により、短期間で安価に塔状構造物を構築することが可能となったものの、塔状構造物の構築完了後にはガイド支柱を撤去してしまうため、風力発電装置等にあっては、既設タワーの上端部に設置されたナセル内に設置された1トン程度の吊下げを可能とするクレーン装置による部品の交換等を可能とするだけであった。そのため、ナセル内の伝動装置やブレード等の重量物の保守・交換をするためには、再度、既設タワーの周りにガイド支柱を設置・構築しなければならなくなった。そのために、山間部等では再度、鉄板等の仮設道路を敷設する必要が生じ、しかも、比較的高価なガイド支柱を既設タワーの周囲の4か所に設置する費用も嵩む虞れがあった。
また、前記第2従来例の風力発電タワー等の補修工法および補修装置では、支柱201の外周面に設置した昇降用レール210に、昇降用の駆動装置付きの作業用プラットホーム230を組み付けるだけであるために、塗装等の軽微な保守・点検には適するものの、ナセル内の伝動装置やブレード等の重量物の保守・交換をするために地上部への昇降を行うには全く不向きなものであった。
そこで本発明では、前記従来の塔状構造物の構築方法や風力発電タワー等の補修工法および補修装置等の課題を解決して、必要最小限の部材を用いた簡素な構造にても高い強度で重量部品の昇降を可能にした塔状構造物のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
このため本発明は、既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法において、前記既設タワーにほぼ平行に接続して組み上げられる一対のメンテナンス支柱に昇降フレームを昇降自在に設置するとともに、該昇降フレームを用いて既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検を行うことを特徴とする。また本発明は、昇降フレームは、組み上げられたメンテナンス支柱に対して係脱する上下のピンと、これらピンの間を伸縮させるジャッキとの組合せによる尺取り虫的に動作するリフトアップ装置により、メンテナンス支柱に対して昇降するように構成したことを特徴とする。また本発明は、前記メンテナンス支柱の上部の組上げは、前記昇降フレームにより持ち上げられる部材によりなされることを特徴とする。また本発明は、前記メンテナンス支柱と既設タワーとは、上下方向の複数部位にて既設タワーの周囲に掛け渡された帯ステーと、メンテナンス支柱と既設タワーとの間に介設された突張り部材とにより接続されたことを特徴とする。また本発明は、前記メンテナンス支柱に対して昇降フレームは、少なくとも上下に隔離した2か所の部位にてローラ等によりガイドされていることを特徴とする。また本発明は、前記昇降フレームにスライド自在に設置された門型フレームあるいは台車を用いて、既設タワーの上端部に設置した構造物を分解して昇降フレームの適正位置に移動させ、保守点検等のために地上等との間で昇降させることを特徴とする。また本発明は、前記メンテナンス支柱の組上げ完了後に、該メンテナンス支柱またはその近傍に作業員昇降用のリフト装置を設置することを特徴とするするもので、これらを課題解決のための手段とする。
本発明によれば、請求項1に記載の構成要件である、既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法において、前記既設タワーにほぼ平行に接続して組み上げられる一対のメンテナンス支柱に昇降フレームを昇降自在に設置するとともに、該昇降フレームを用いて既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検を行うことにより、必要最小限の部材を用いた簡素な構造にても、既設タワーの所定の強度を利用して接続された一対のメンテナンス支柱にて、安定した強度での重量部品の昇降を可能にした塔状構造物のメンテナンス方法が提供される。
また、請求項2に記載の構成要件である、昇降フレームは、組み上げられたメンテナンス支柱に対して係脱する上下のピンと、これらピンの間を伸縮させるジャッキとの組合せによる尺取り虫的に動作するリフトアップ装置により、メンテナンス支柱に対して昇降するように構成した場合は、簡素な構造で小容量のリフトアップ装置にても、既設タワーの強度にバックアップされて、組み上げられたメンテナンス支柱をリフトアップ装置の一部として利用して、昇降フレームを確実に昇降させて、積載した大重量の部品等を安定して確実に昇降させることを可能にする。
さらに、請求項3に記載の構成要件である、前記メンテナンス支柱の上部の組上げは、前記昇降フレームにより持ち上げられる部材によりなされる場合は、すでに組み上げられたメンテナンス支柱をリフトアップ装置の一部として利用して、軽量な上部の部材のみを昇降フレームにより順次運搬して組み上げることができるので、軽快なリフトアップ工法によりメンテナンス支柱を組み上げることが可能である。
さらにまた、請求項4に記載の構成要件である、前記メンテナンス支柱と既設タワーとは、上下方向の複数部位にて既設タワーの周囲に掛け渡された帯ステーと、メンテナンス支柱と既設タワーとの間に介設された突張り部材とにより接続された場合は、帯ステーと突張り部材という単純な部材により、メンテナンス支柱を組み上げながら、簡便にメンテナンス支柱を既設タワーに平行を維持しつつ確実・強固に接続できる。
また、請求項5に記載の構成要件である、前記メンテナンス支柱に対して昇降フレームは、少なくとも上下に隔離した2か所の部位にてローラ等によりガイドされている場合は、メンテナンス支柱に対して交差する昇降フレームの水平度が確実に維持されるとともに、昇降フレームの偏った位置に積載された重量物によるモーメントも確実に受け止めることが可能となる。
さらに、請求項6に記載の構成要件である、前記昇降フレームにスライド自在に設置された門型フレームあるいは台車を用いて、既設タワーの上端部に設置した構造物を分解して昇降フレームの適正位置に移動させ、保守点検等のために地上等との間で昇降させる場合は、比較的重量の大きな分解部品であっても門型フレームあるいは台車を用いて、簡便な作業にて昇降フレームに積載することができるので、地上にて安全に分解部品を保守・点検あるいは交換することが可能となる。
また、請求項7に記載の構成要件である、前記メンテナンス支柱の組上げ完了後に、該メンテナンス支柱またはその近傍に作業員昇降用のリフト装置を設置する場合は、作業のために作業員が迅速に昇降することができる。
本発明の塔状構造物のメンテナンス方法を示す全体側面および正面図である。 本発明の塔状構造物のメンテナンス方法における、既設タワーとメンテナンス支柱との接続状態を示す要部断面図および接続部品図である。 同、幾分大径の既設タワーとメンテナンス支柱との接続状態を示す要部断面図である。 同、風力発電装置に適用された塔状構造物のメンテナンス方法を示す全体側面図で、昇降フレームがメンテナンス支柱上を昇降する状態を示す。 同、風力発電装置におけるヨーリング交換のために、門型フレームを用いてナセルを懸吊した状態を示す要部拡大側面図である。 同、風力発電装置における台車を用いたヨーリング交換の工程を示す要部拡大側面図である。 同、風力発電装置における門型フレームを用いたブレード取外し工程を示す要部拡大側面図である。 同、風力発電装置における地上付近でのクレーン車等を用いたブレード荷扱い工程を示す要部拡大側面図である。 第1従来例の塔状構造物の構築方法およびその装置の説明図である。 第2従来例の風力発電装置の簡便な補修工法および補修装置の説明図である。
以下、本発明の塔状構造物のメンテナンス方法を実施するための好適な形態を図面に基づいて説明する。本発明の塔状構造物のメンテナンス方法は、図1に示すように、既設タワー1の表面あるいは該既設タワー1の上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法において、前記既設タワー1にほぼ平行に接続して組み上げられる一対のメンテナンス支柱2A、2Bに昇降フレーム5を昇降自在に設置するとともに、該昇降フレーム5を用いて既設タワー1の表面あるいは該既設タワー1の上端部に設置した構造物の保守点検を行うことを特徴とする。
図1は、本発明の塔状構造物のメンテナンス方法の1つの実施例を示す全体側面および正面図である。図示の例では、供用中の風力発電装置の供用部品に保守・点検あるいは交換の必要が生じた場合に、風力発電装置の既設タワー1を利用して、該既設タワー1の1側面に僅かに間隔を置いて、最小限の部材として一対の第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bおよびこれらを上下の多数か所で連結梁2Cにて連結して構成されるメンテナンス支柱2を立設するものである。既設タワー1とメンテナンス支柱2とは上下の複数か所で帯ステー(図示の例では、ステーリング1〜5の5か所)3および突張り部材4(後述する図2参照)により接続される。
一対の第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bおよびこれらを上下の多数か所で連結梁2Cにて連結して構成されるメンテナンス支柱2は、図9の第1にて説明した塔状構造物におけるガイドタワーの構築方法と同様の方法で組み上げられる。詳述はしないが、好適には例えば、図1(B)に示すような連結梁2Cにて区画されるブロック毎の部品・部材をメンテナンス支柱2に対して昇降する昇降フレーム5に載置して、順次組み上げられる。図1(B)の正面図における第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bの外側の左右両側面に多数の孔あるいは溝(図9の係合孔120a〜e・・・に相当)が設けられ、これらの孔あるいは溝に出没して選択的に係脱するピン(図9のピン147や104bに相当)が互いに伸縮するシリンダおよびピストンに設置されている。前記メンテナンス支柱2A、2Bの両側面の孔あるいは溝と、これらに係脱するピンを設けた昇降フレーム5に設置された互いに伸縮するシリンダおよびピストンとで、メンテナンス支柱2に対する昇降フレーム5のリフトアップ装置が構成される。
昇降フレーム5は図1(A)の側面図に示すように、メンテナンス支柱2に対して交差するようにほぼ水平状に配設され、メンテナンス支柱2A、2Bの両側面にガイドされて鉛直状に添設される縦フレーム5Dを有する。昇降フレーム5の水平部と縦フレーム5Dとの間には補強用の斜めフレーム5Eが渡設される。メンテナンス支柱2A、2Bの両側面に配設される昇降フレーム5の水平部と縦フレーム5Dとの間は連結梁5Cによって連結されている。昇降フレーム5の水平部の端部間も連結梁5Cによって連結されている。昇降フレーム5の縦フレーム5Dとメンテナンス支柱2A、2Bの前後面(図1(A)の左右)との間には充分に隔離した上下の位置にガイドローラ17が設置される。かくして、メンテナンス支柱2に対して交差する昇降フレーム5の水平度が確実に維持されるとともに、昇降フレーム5の偏った位置に積載された重量物によるモーメントも確実に受け止めることが可能となる。
前記昇降フレーム5の水平部の上面には、門型フレーム6あるいは台車8(サブ台車8A、8B)がスライド自在に設置される。図示しての説明は省略されるが、昇降フレーム5における門型フレーム6および台車8のためのスライドレールは互いに独立して敷設される。例えば、図1(B)において、左右両側上面に門型フレーム6の下部に設置されたスライド台車7のためのスライドレールが敷設され、それらのレールの敷設部の内側下段に台車8のためのスライドレールが敷設される。昇降フレーム5がメンテナンス支柱の昇降途中に位置する場合には、メンテナンス支柱2A、2Bが邪魔となって昇降フレーム5の水平部の上面を前後(図1(A)の左右方向)に移動することはできないが、後述する図5〜図8に示すように、メンテナンス支柱2の上端部位置にては、門型フレーム6のスライド台車7およびサブ台車8A、8Bが前後に移動して分解された部品の移動を行うことができる。門型フレーム6についても、第1門型フレーム6Aと第2門型フレーム6Bとそれらを連結する連結梁6Cとから構成される。
また、前記メンテナンス支柱2の組上げ完了後に、図示はしないが、該メンテナンス支柱2およびその近傍に適宜形式および構造の作業員昇降用のリフト装置が設置される。それによって、作業のために作業員が迅速に昇降することができる。例えば、前述した第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bの外側の左右両側面に多数の孔あるいは溝と選択的に係脱するピンを互いに伸縮するシリンダおよびピストンに設置した作業員用昇降リフトにより、尺取り虫的に昇降したり、あるいは、第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bの外側の左右両側面に設けた多数の孔あるいは溝を利用して、これらに係脱するピンを無限軌道帯の表面に突設したものを接触させて駆動させる作業員用昇降リフトを構成してもよい。
図2は、図1(A)におけるステーリング(例えば、No.1)位置での断面で、本発明の塔状構造物のメンテナンス方法における、既設タワーとメンテナンス支柱との接続状態を示す要部断面図および接続部品図である。メンテナンス支柱2と既設タワー1とは、上下方向の複数部位にて既設タワー1の周囲に掛け渡された帯ステー3と、メンテナンス支柱2と既設タワー1との間に介設された突張り部材4とにより接続される。突張り部材4は、図2(A)に示すように、連結梁2Cにより連結された一対の第1および第2メンテナンス支柱2A、2Bに適宜の固定具により固定される固定梁4Eに、第1突張り部材4Aと第2突張り部材4Bとが斜材4Cと補虚梁4Dにより設置される。
これらの各突張り部材4A、4Bには、既設タワー1の周囲に掛け渡された帯ステー3の両端部がそれぞれ帯ステー保持具13および長さ調整具14によって接続される。帯ステー3は、既設タワー1の周囲を傷付けることのないナイロン等の素材が好適であるが、鋼帯やチェーン等の採用を妨げるものではない。その場合には、帯ステー3と既設タワー1の周囲との間に緩衝材を介在させるとよい。前記各突張り部材4A、4Bの斜材4Cには、既設タワー1の周面に圧接される接触子15が調整具16によって進退調整自在に配設される。既設タワー1の周囲に掛け渡された帯ステー3の突張り部材4に対する調整具14による張力調整と、既設タワー1の周面に圧接される接触子15の調整具16による進退調整によって、既設タワー1とメンテナンス支柱2との間の平行度すなわち間隙調整が適切になされる。かくして、帯ステー3と突張り部材4という単純な部材により、メンテナンス支柱2を組み上げながら、簡便にメンテナンス支柱2を既設タワー1に平行を維持しつつ確実・強固に接続できることとなる。
図3は、幾分大径の既設タワー1とメンテナンス支柱との接続状態を示す要部断面図である。本例では、大径の既設タワー1に沿って立設される一対のメンテナンス支柱2A、2Bがほぼ既設タワー1に掛け渡された略平行な帯ステー3の接線の延長線上に位置して配設される。したがって、前記図2の例では一対の突張り部材4A、4Bは隣接して配置されていたが、本例では、補強梁4Dは省略される。
図4は、風力発電装置に適用された塔状構造物のメンテナンス方法を示す全体側面図で、昇降フレームがメンテナンス支柱上を昇降する状態を示す。既設タワー1の上端部にはヨーリング11を介して伝動装置等からなるナセル9が首振り制御自在に設置される。ナセル9の前面には複数枚のブレード10が回転自在に軸支されている。メンテナンス支柱2の組上げが完了すると、前述したように、昇降フレーム5内に設置されたピストンとシリンダを伸縮させつつ、それらに出没自在に設けられたピンを、前記メンテナンス支柱2A、2Bの両側面の孔あるいは溝に選択的に係脱させたリフトアップ装置によって尺取り虫的な動作により、メンテナンス支柱2に対して昇降フレーム5が昇降できる。
図5は、風力発電装置におけるヨーリング交換のために、門型フレームを用いてナセルを懸吊した状態を示す要部拡大側面図である。昇降フレーム5の水平部の上面をスライド台車7によって門型フレーム6をナセル9の重心位置に移動させ、その位置で固定する。次いで、門型フレーム6における連結梁6Cを利用して懸吊索6Cによりナセル9を吊り上げる。図示の例は、ナセル9を既設タワー1の上端部に支持するヨーリング11が既設タワー1の上端部側に固定される形式のものである。図5では、交換すべき古いヨーリング11Aが既設タワー1の上端部に固定されたものも、新しい替ヨーリング11Bがサブ台車8Bに吊り下げたものが示されている。昇降フレーム5の水平部の右側には古いヨーリング11Aを取り外して移動させるサブ台車8Aが待機している。ヨーリング11がナセル9の下部に取り付けられる形式の場合は、サブ台車8A、8Bはナセル9の下部の取付位置にてヨーリング11A、11Bの脱着作業が行われる。
図6は、風力発電装置における台車を用いたヨーリング交換の工程を示す要部拡大側面図である。図6(A)に示すように、サブ台車8Aを右側から移動させて、交換すべき古いヨーリング11Aの上部に位置させた上で、ネジジャッキ等により古いヨーリング11Aを取り外して右側に移動させ地上への降下運搬のために待機させる。次いで。図6(B)に示すように、新しい替ヨーリング11Bを吊り下げたサブ台車8Bを図面左側から所定位置に移動させて、既設タワー1の上端部に設置して交換を終了する。そして、図6(C)に示すように、ナセル9を吊り下ろして新しい替ヨーリング11Bを介して既設タワー1の上端部に首振り自在に設置される。その後、古いヨーリング11Aは昇降フレーム5により地上に降下運搬されて廃棄ないし修理される。
図7は、風力発電装置における門型フレームを用いたブレード取外し工程を示す要部拡大側面図である。複数あるブレード10の1枚が損傷したような場合には、図7(A)に示すように、昇降フレーム5を上昇させ、次いで、既設タワー1の上端部において、図7(B)に示すように、昇降フレーム5の水平部の上面において門型フレーム6のスライド台車7をナセル9とブレード10の軸支部近傍に移動させる。この位置にて門型フレーム6の連結梁6Cを利用して懸吊索12によりブレード10を吊り下げ、ナセル9とブレード10の軸支を解く。そして、図7(C)に示すように、門型フレーム6をスライド台車7によってブレード10とともに昇降フレーム5の図面右側に移動させて待機させる。
図8は、風力発電装置における地上付近でのクレーン車等を用いたブレード荷扱い工程を示す要部拡大側面図である。図8(A)に示すように、門型フレーム6にブレード10を吊り下げたまま昇降フレーム5が地上近傍に到達すると、地上に待機した20tクレーン車や100tクレーン車によってブレード10を吊り代える。次いで、図8(B)に示すように、20tクレーン車や100tクレーン車によりブレード10を吊り上げて地上に下ろして、修理あるいは交換に供される。
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、既設タワーの形状(図示の例では円形断面であるが、楕円断面や方形断面を排除するものではない)、形式、メンテナンス形態(既設タワーの上端部の部品の分解しての地上へ降下させてのメンテナンスの他、既設タワーの周囲の塗装や溶接部の補修メンテナンス等も含まれる)、既設タワーの上端部に設置した構造物のの形態(好適には風力発電装置における、ナセル、ヨーリングあるいはブレードのメンテナンスに適用されるが、その他の保守・点検を要する塔状構造物の上端部に設置した部品等のメンテナンスにも適用が可能である)、メンテナンス支柱に対する昇降フレームのリフトアップ形態(実施例の、メンテナンス支柱側面の孔あるいは溝に対して係脱する上下のピンと、これらピンの間を伸縮させるジャッキとの組合せによる尺取り虫的に動作するリフトアップ装置を構成する他、適宜の方式のリフトアップ装置が構成され得る)、昇降フレームの形状、形式およびそのリフトアップ装置を構成するメンテナンス支柱における孔あるいは溝の形成面の方向(実施例のメンテナンス支柱の側面に限定されることなく、メンテナンス支柱の前面でもよい)、メンテナンス支柱と既設タワーとの接続形態(実施例の、既設タワーの周囲に掛け渡された帯ステーと、メンテナンス支柱と既設タワーとの間に介設された突張り部材とにより接続するものの他、メンテナンス支柱と既設タワーとの間に介設された突張り部材と、メンテナンス支柱と既設タワーとの双方の周囲に渡って掛け渡された帯ステーとから構成してもよい)、メンテナンス支柱に対する昇降フレームの少なくとも上下に隔離した2か所の部位にてローラ等によりガイドされる他、2か所以上にてガイドされてもよい。昇降フレームにおける門型フレームあるいは台車のスライド形態、門型フレームあるいは台車の形状、形式、門型フレームにおける分解部品の吊下げ形態、メンテナンス支柱への作業員昇降用のリフト装置の設置形態等ついては適宜選定できる。また、実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
本発明の塔状構造物のメンテナンス方法は、好適には、既設タワーの上端部にヨーリング等を介して首振り自在に設置されたナセルおよびブレードからなる風力発電設備の保守点検のために、故障した部品を交換するための塔状構造物のメンテナンス方法に適用されるが、既設タワーの表面の塗装等のメンテナンスにも採用され得る。さらには、その他の保守・点検を要する塔状構造物の上端部に設置した部品等のメンテナンスにも適用が可能である。
1 既設タワー
2 メンテナンス支柱
2A 第1メンテナンス支柱
2B 第2メンテナンス支柱
2C 連結梁
5 昇降フレーム
5A 第1フレーム
5B 第2フレーム
5C 連結梁
5D 縦フレーム
5E 斜めフレーム
6 門型フレーム
6A 第1門型フレーム
6B 第2門型フレーム
6C 連結梁
7 スライド台車
8 サブ台車
17 ガイドローラ

Claims (7)

  1. 既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検のための塔状構造物のメンテナンス方法において、前記既設タワーにほぼ平行に接続して組み上げられる一対のメンテナンス支柱に昇降フレームを昇降自在に設置するとともに、該昇降フレームを用いて既設タワーの表面あるいは該既設タワーの上端部に設置した構造物の保守点検を行うことを特徴とする塔状構造物のメンテナンス方法。
  2. 昇降フレームは、組み上げられたメンテナンス支柱に対して係脱する上下のピンと、これらピンの間を伸縮させるジャッキとの組合せによる尺取り虫的に動作するリフトアップ装置により、メンテナンス支柱に対して昇降するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
  3. 前記メンテナンス支柱の上部の組上げは、前記昇降フレームにより持ち上げられる部材によりなされることを特徴とする請求項1または2に記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
  4. 前記メンテナンス支柱と既設タワーとは、上下方向の複数部位にて既設タワーの周囲に掛け渡された帯ステーと、メンテナンス支柱と既設タワーとの間に介設された突張り部材とにより接続されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
  5. 前記メンテナンス支柱に対して昇降フレームは、少なくとも上下に隔離した2か所の部位にてローラ等によりガイドされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
  6. 前記昇降フレームにスライド自在に設置された門型フレームあるいは台車を用いて、既設タワーの上端部に設置した構造物を分解して昇降フレームの適正位置に移動させ、保守点検等のために地上等との間で昇降させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
  7. 前記メンテナンス支柱の組上げ完了後に、該メンテナンス支柱またはその近傍に作業員昇降用のリフト装置を設置することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の塔状構造物のメンテナンス方法。
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