JP2012153625A - 糖尿病予防・治療剤 - Google Patents

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Kanako Nishimura
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Abstract

【課題】 脂肪細胞の分化を促進して、小型脂肪細胞を増やすとともに、肥大化した脂肪細胞を減らす作用を有する、天然由来の成分を同定すること。同定した成分を利用して、脂肪細胞の分化を促進するための安全性の高い組成物を提供すること。
【解決手段】 セリ科ハーブより単離された特定のクマリン誘導体が、PPARγを活性化して脂肪細胞の分化を促進し、これにより脂肪細胞によるインスリン依存的なグルコースの取り込み量を増加させるとともに、脂肪細胞からの善玉アディポサイトカインの分泌を促進させることを見出した。さらに、これら作用により、肥満・糖尿病モデルマウスにおける血糖値を低下させることができることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪細胞の分化を促進するための組成物に関する。より詳しくは、クマリン誘導体を有効成分とし、脂肪細胞の分化促進作用により、小型脂肪細胞を増やし、肥大化した脂肪細胞を減らすとともに、内臓脂肪の肥大化を抑えることが可能な、糖尿病の予防、治療、または改善のための健康食品素材および医薬に関するものである。
食生活が豊かになった現在は、飽食の時代と呼ばれており、カロリー摂取過剰や運動不足が原因となって、肥満や糖尿病が急激に増加している。日本国において、現在、30歳代の男性は3人に1人が過体重か肥満であり、40〜50歳代では4割近くが肥満である。肥満は合併症として、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病などの疾患をもたらすことが知られている。肥満とは、脂肪細胞に異常に脂肪が蓄積して細胞が肥大した状態である。これまで脂肪細胞は、余剰のエネルギーを貯めるための組織であると考えられてきた。
しかしながら、最近、脂肪細胞はレプチン、アディポネクチン、TNF-α、レジスチン、遊離脂肪酸をはじめとして様々なホルモンやサイトカインを分泌し、生体で最も活発な内分泌臓器であることが分かってきた。これら分子は、特に、内臓脂肪において分泌が盛んであることが知られており、脂肪細胞が肥大化すると、インスリン抵抗性惹起分子といわれるTNF-α、レジスチン、遊離脂肪酸などを過剰分泌するようになる。このことがインスリン抵抗性の原因となり、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病につながると考えられている。このように、内臓脂肪の蓄積は、生活習慣病と密接に関係している。従って、生活習慣病を予防するためには、小型脂肪細胞から肥大脂肪細胞への進展を止めること、あるいは肥大した脂肪細胞を小型脂肪細胞にすることが重要であると考えられる。
脂肪細胞の分化は、主に、核内受容体型転写因子とよばれるPPARs(peroxisome proliferator-activated receptors:α、β、γの3つのサブタイプがある)によって制御がなされている。この中で、インスリン感受性に深く関与しているサブタイプとして、PPARγが挙げられる。小型の脂肪細胞を増やすためには、PPARγの作用を強めて前駆脂肪細胞から脂肪細胞の分化を促す方法が考えられる。
糖尿病治療薬に用いられているチアゾリジン系薬剤は、強力なPPARγアゴニスト(作動薬)であり、小型脂肪細胞を増やす作用とともに、肥大化した脂肪細胞をアポトーシスにより減らす作用もあるといわれている。実際に臨床において、チアゾリジン系薬剤は、脂肪細胞のインスリン感受性を高め、血糖値を降下させる作用があることが知られている。
しかしながら、種々の生活習慣病、特に糖尿病を予防、治療あるいは改善するためには、このような作用を有する化合物を、安全性が高く日々摂取しうる天然由来の成分から同定して利用することが重要であると考えられる。
国際公開2004-112817号公報 国際公開2004-014407号公報
Shibano, M. et al., Journal of natural Products (2005), 68(10), 1445-1449 Baba, K. et al., Shouyakugaku zasshi (1989), 43(3), 216-221 Baba, K. et al., Shoyakugaku Zasshi (1985), 39(4), 282-290 Kondo, T. et al., Journa1 of Natural Medicines (2008), 62(1), 87−90 Shibano, M. et al., Journa1 of Natulal Produds (2005), 68(10), 1445−1449 Hata, K. et al., Yakugaku Zasshi (1973), 93(2), 248-251 Baba, K. et al., Shoyakugaku Zasshi (1989), 43(3), 216-221 Hata, K. et al., Yakugaku Zasshi (1968), 88(5), 513-520
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、脂肪細胞の分化を促進して、小型脂肪細胞を増やすとともに、肥大化した脂肪細胞を減らす作用を有する、天然由来の成分を同定することにある。さらなる本発明の目的は、同定した成分を利用して、脂肪細胞の分化を促進するための安全性の高い組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、セリ科ハーブより単離された特定のクマリン誘導体が、PPARγを活性化して脂肪細胞の分化を促進し、これにより脂肪細胞によるインスリン依存的なグルコースの取り込み量を増加させるとともに、脂肪細胞からの善玉アディポサイトカインの分泌を促進させることを見出した。さらに、これら作用により、肥満・糖尿病モデルマウスにおける血糖値を低下させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞の分化を促進するための組成物を提供する。
(式中、R1は、

または
であり、R2は、

または−OAcである。)
本発明は、好ましい態様において、一般式(I)で表される化合物が、下記の化学式(II)〜化学式(V)からなる群より選択される、上記組成物を提供する。
本発明は、他の好ましい態様において、糖尿病の予防または治療のための薬剤である、上記組成物を提供する。
本発明は、他の好ましい態様において、糖尿病の予防または改善のための飲食品である、上記組成物を提供する。
本発明の組成物によれば、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進することにより、正常の小型脂肪細胞を増やし、糖および脂質の代謝を活性化させることができる。また、肥大化脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進することにより、正常の小型脂肪細胞を増やすとともに肥大化脂肪細胞を減少させることができる。さらに、アディポネクチンをはじめとする善玉アディポサイトカインの分泌を増加させることができる。従って、本発明の組成物によれば、肥大化脂肪細胞の増加に伴い引き起こされる糖尿病等の生活習慣病の予防、治療、および改善を行うことが可能である。本発明の組成物は、天然成分であり、しかも、低濃度においても強い活性を有しているクマリン誘導体を有効成分としているため、医薬品としてのみならず、様々な飲食品に添加して利用することにも適している。
スクスドルフィン(suksdorfin)が脂肪細胞のグルコース取り込みに与える影響を検出した結果を示すグラフである。図中、「cont」は、分化誘導剤処理のみを行った陰性対照を、「tro」はトログリタゾン処理を行った陽性対照を、「suk」は、スクスドルフィン処理を行った群を示す。 スクスドルフィン(suksdorfin)のPPARγアゴニスト作用を検出した結果を示すグラフである。図中、「cont」は、分化誘導剤処理のみを行った陰性対照を、「tro」はトログリタゾン処理を行った陽性対照を、「suk」は、スクスドルフィン処理を行った群を示す。 各種クマリン誘導体の脂肪細胞からのアディポネクチン産生に対する作用を検出した結果を示すグラフである。図中、「cont」は、分化誘導剤処理のみを行った陰性対照を、「tro」はトログリタゾン処理を行った陽性対照を、「suk」は、スクスドルフィン処理を行った群を示す。また、「1」から「6」は、順に、プテリキシン(Pteryxin)、イソプテリキシン(Isopteryxin)、イソエポキシプテリキシン(Isoepoxypterxin)、(+)-ポイジャポニシン((+)-Peujaponisin)、ケラクトン-ディセネシエート(Kellactone-diseneciate)、ポイホルモシン(Peuformosin)で処理した群を示す。 スクスドルフィン(suksdorfin)のモデルマウスにおける血糖低下作用を検出した結果を示すグラフである。
本発明は、上記一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞の分化を促進するための組成物を提供する。
本発明の組成物は、医薬組成物、飲食品、あるいは研究目的(例えば、インビトロやインビボの実験)に用いられる試薬の形態であり得る。
本発明の組成物は、脂肪細胞の分化(前駆脂肪細胞の小型脂肪細胞への分化、肥大化脂肪細胞のアポトーシスによる脂肪細胞サイズの小型化)を促進する作用を有する。本発明の組成物は、小型脂肪細胞を増加させることにより、善玉アディポサイトカインであるアディポネクチンの分泌を増加させ、インスリン抵抗性を改善して、グルコースなどの糖の取り込みを促進することができる。そして、これにより血糖降下作用を発揮することができる。従って、本発明の組成物は、糖尿病の予防や治療のために投与される医薬組成物として好適に用いることができる。また、糖尿病の予防や改善を図るために日常的に摂取される飲食品としても好適に用いることができる。
本発明の組成物の有効成分である上記一般式(I)で表される化合物のうち、好ましい化合物は、スクスドルフィン(Suksdorfin;表6の検体No.32;化学式(II))、カリプテリキシン(Calipteryxin;表4の検体No.25)、アルカンゲリシン(Archangelicin;表6の検体No.30)、(+)-ポイジャポニシン((+)-Peujaponisin;表7の検体No36;化学式(III))、プテリキシン(Pteryxin;表6の検体No.33)、イソプテリキシン(Isopteryxin;表6の検体No.34)、ケラクトン-ディセネシエート(Kellactone-diseneciate;表7の検体No.37;化学式(IV))、またはポイホルモシン(Peuformosin;表7の検体No.38;化学式(V))である。これら化合物は、それぞれ非特許文献1〜8に記載されており公知物質であるが、糖尿病の予防や治療に有用であることは知られていない。これら8つの化合物のうち、スクスドルフィン(Suksdorfin)、(+)-ポイジャポニシン((+)-Peujaponisin)、ケラクトン-ディセネシエート(Kellactone-diseneciate)及びポイホルモシン(Peuformosin)は低濃度においても強い活性を有している点で好ましい。これら化合物は、アディポサイトカイン(例えば、アディポネクチン)の分泌異常を伴う生活習慣病の予防、治療または改善においても有用である。
本発明における組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの各種形態として、経口的に摂取したり、静脈注射などの方法によって非経口的に生体内に取り入れることができる。
これら製剤化においては、薬理学上もしくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤と適宜組み合わせることができる。その他、栄養補助剤を添加して用いることもできる。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合には、正常な血糖値の維持や高い血糖値の低下に有効な1種もしくは2種以上の他の成分を配合することができる。また、糖尿病の予防や治療に有効な他の医薬組成物と併用してもよい。
本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、病者用食品、あるいは食品添加物、であり得る。本発明の飲食品は、上記のような組成物として摂取することができる他、種々の飲食品として摂取することもできる。飲食品の具体例としては、ドリンク類、スープ類、乳飲料、清涼飲料水、茶飲料、アルコール飲料、ゼリー状飲料、機能性飲料等の液状食品;食用油、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリンなどの油分を含む製品;飯類、麺類、パン類等の炭水化物含有食品;ハム、ソーセージ等の畜産加工食品;かまぼこ、干物、塩辛等の水産加工食品;漬物等の野菜加工食品;ゼリー、ヨーグルト等の半固形状食品;みそ、発酵飲料等の発酵食品;洋菓子類、和菓子類、キャンディー類、ガム類、グミ、冷菓、氷菓等の各種菓子類;カレー、あんかけ、中華スープ等のレトルト製品;インスタントスープ,インスタントみそ汁等のインスタント食品や電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状またはゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。
本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、正常な血糖値の維持や高い血糖値の低下に有効な1種もしくは2種以上の成分を配合してもよい。また、正常な血糖値の維持や高い血糖値の低下以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。例えば、適宜、栄養補助剤等を添加し、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病を幅広く予防または改善するための多機能性の飲食品として用いることもできる。
本発明の組成物を投与または摂取する場合、その投与量または摂取量は、年齢、体重、症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品など)などに応じて、適宜選択される。本発明の組成物の有効成分である一般式(I)の化合物は、基本的に、脂肪細胞の分化を促進するために有効な量で使用される。具体的には、成人で1日あたり0.001g〜2g、好ましくは0.01g〜0.5g程度が摂取できるように、1日1回乃至数回に分けて用いることが好ましい。通常、数週間乃至数ヶ月間反復摂取(服用)することが好ましい。本発明は、このように、本発明の組成物を対象に投与もしくは摂取させることを特徴とする、対象における糖尿病の予防、治療または改善の方法をも提供するものである。
本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、試薬)またはその説明書は、糖尿病の予防、治療、あるいは改善に用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品または説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装などに表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物などに表示を付したことを意味する。表示においては、本発明の組成物を投与もしくは摂取することにより糖尿病が予防、治療、あるいは改善される機序についての情報を含むことができる。機序についての情報としては、例えば、脂肪細胞の分化(前駆脂肪細胞の小型脂肪細胞への分化、肥大化脂肪細胞のアポトーシスによる脂肪細胞サイズの小型化)、善玉アディポサイトカイン(例えば、アディポネクチン)の分泌の増加、インスリン抵抗性の改善、糖(例えば、グルコース)の取り込みの促進、血糖値の降下などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1] マウス胎児線維芽細胞由来の株化前駆脂肪細胞3T3-L1の分化誘導促進作用
(1)被験物質の調製
表1〜7に示す被験物質(クマリン系化合物38検体)の作用を評価した。前駆脂肪細胞を促進する対照薬としてPPARγ活性化薬のトログリタゾン(和光純薬工業)を使用した。なお、表1〜7に示す被験物質は、表1〜7に記載の文献に従って単離した。
各被験物質はDMSO(dimethyl sulfoxide)に溶液し、分化誘導をかけると同時に、化合物の終濃度が10μMまたは30μMとなるように試験プレートに添加した。トログリタゾンは終濃度1μMとなるように試験プレートに添加した。
(2)試験方法
試験方法は、文献(Takahashi, N. et al., J. Biol. Chem. 2002, 277, 16906-16912)の記載に準じて行った。プロトコールのアウトラインは以下のごとくである。
(i)前駆脂肪細胞3T3-L1細胞を24ウェルプレートにコンフェルトになるまで培養した。 通常の分化誘導剤(デキサメサゾン、3−メチルイソキサンチン、インスリン)の混合液とDMSOに溶解させた各サンプル(10μM、30μM)を含むDMEM基本培地で分化誘導を行った。陽性対照薬として1μMのトログリタゾン(tro)を使用した。
(ii)2日ごとにインスリンのみを含む培地で培地交換した。
(iii)分化誘導から8日目にオイルレッド0(Oil Red O)にて脂肪細胞に蓄積された中性脂肪の脂肪染色を行った。
(iv)イソプロピルアルコール(250μl/ウェル)にてオイルレッド0(Oil Red 0)染色液を抽出した。
(v)抽出液を96ウェルアッセイプレートに100μlずつ入れ、プレートリーダーにて490nmにおける吸光度を測定し、脂肪細胞分化度の指標として脂肪量を定量化した。
(3)結果及び考察
対照物質のトログリタゾン(tro)の作用を基準に、各被験物質の脂肪細胞の分化促進作用の強さを以下のように分類した。
+:30%〜50%(対tro)
2+:50%〜80%(対tro)
3+:80%以上(対tro)
その結果、表1〜7における検体No25、30、32、33、34、36、37、38の8化合物に強い脂肪細胞の分化促進作用が認められた。
[試験例2] スクスドルフィン(suksdorfin)が脂肪細胞のグルコース取り込みに与える影響
試験例1によりスクスドルフィン(検体No.32)などの化合物が脂肪細胞に対して強い分化促進作用を有することが明らかになった。そこで、スクスドルフィンがインスリン感受性に及ぼす影響を検討するためにインスリン依存的・非依存的なグルコースの取り込み量を測定した。
試験方法のプロトコールのアウトラインは以下のごとくである。
(i)前駆脂肪細胞3T3-L1細胞をプレートにコンフェルトになるまで培養した。
(ii)通常の分化誘導剤(デキサメサゾン、3−メチルイソキサンチン、インスリン)の混合液を含むDMEM基本培地で分化誘導を行い、2日ごとに培地交換を行った。
(iii)分化誘導8日目に12時間無血清培地で培養した後、スクスドルフィンを終濃度0μM、1μM、10μM、30μM、または50μMになるように添加した。陽性対照薬として1μMのトログリタゾン(tro)を使用した。
(iv)インスリン存在下(5μg/ml;ins)と非存在下に区別して培養した。
(v)48時間後、培養上清を回収して、培養上清中のグルコース濃度を測定した。
その結果を図1に示す。インスリン非存在下では優位な差は見られなかったが、インスリン存在下では、スクスドルフィンの添加によってグルコース取り込み量が有意に上昇した。また、スクスドルフィンを1μM、10μM、または30μMで添加するとインスリン非存在下に対して有意にインスリン依存的なグルコース取り込みが増加していた。スクスドルフィンは対照薬のトログリタゾンと同程度あるいはそれ以上にグルコース取り込みを増加させることが示唆された。
スクスドルフィンが、十分な油滴を貯めてインスリン抵抗性を発症している脂肪細胞に対して、インスリン依存的なグルコース取り込み量を増加させた。このことから、スクスドルフィンによってインスリン抵抗性が改善されていることが示唆された。
[試験例3] PPARγアゴニスト作用
試験例1および2によってスクスドルフィン(検体No.32)が脂肪細胞に対して分化促進作用を有し、インスリン抵抗性を改善することが示唆された。これらの作用の機序を明らかにするために、スクスドルフィンがPPARγのリガンドになりうるかを検討した。試験方法は、文献(Takahashi, N. et al., Biochemical and Biophysical Research Communication 366 (2008) 219-225)の記載に準じて行った。陽性対照薬として1μMのトログリタゾン(tro)を使用した。
その結果を図2に示す。スクスドルフィンはトログリタゾンほどではないが、PPARγを濃度依存的に活性化し、PPARγのアゴニストとして働くことが示唆された。
[試験例4] 脂肪細胞からのアディポネクチン産生に対する作用
試験例1から3の結果によって、スクスドルフィンがPPARγを活性化し、脂肪細胞の分化が起き、これにより、肥大化した脂肪細胞の数が減少し、小型の脂肪細胞の数が増えることが示唆された。小型の脂肪細胞の数が増えることによって、アディポネクチンをはじめとする善玉アディポサイトカインの分泌が増加することが考えられるため、次に、脂肪細胞からのアディポネクチン産生に対する作用を確認した。試験方法は、文献(Takahashi, N. et.al., Biochemical and Biophysical Research Communication 390 (2009) 1372-1376)の記載に準じて行った。
試験検体として、スクスドルフィン、プテリキシン、イソプテリキシン、イソエポキシプテリキシン、(+)-ポイジャポニシン、ケラクトン-ディセネシエート、ポイホルモシンを用いた。その結果は図3に示す。スクスドルフィン、(+)-ポイジャポニシン、ケラクトン-ディセネシエート、およびポイホルモシンは、低濃度においても、強いアディポネクチン産生に対し強い作用を示した。
[試験例5] モデルマウスにおける血糖低下作用
4週齢の肥満・糖尿病モデル(KK-Ay)マウス(日本クレア)を、2週間予備飼育した後、1群を8匹として試験に使用した。KK-Ayマウスに高脂肪食(60%脂質エネルギー比)を与えると同時に、スクスドルフィン(0.05%または0.1%)を混餌投与し、7日ごとに尾静脈から採血し、血清の血糖値を測定した。その結果を図4に示す。スクスドルフィン0.1%投与群では、7日目、14日目、21日目で化合物非投与群(対照)に比べ血糖値の有意な低下が見られた。
以上説明したように、本発明の組成物によれば、脂肪細胞の分化を促進することにより、糖尿病等の生活習慣病の予防、治療、および改善を行うことが可能となる。本発明の組成物は、特に、医薬品や健康食品の分野において大きく貢献しうるものである。

Claims (4)

  1. 一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする、脂肪細胞の分化を促進するための組成物。
    (式中、R1は、




    または
    であり、R2は、




    または−OAcである。)
  2. 一般式(I)で表される化合物が、下記の化学式(II)〜化学式(V)からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 糖尿病の予防または治療のための薬剤である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 糖尿病の予防または改善のための飲食品である、請求項1または2に記載の組成物。
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