JP2012152973A - 射出成形システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配管部材110、120のフランジ部112、122どうしを連結する環状プレート170、170が環状とされることで、管状体111、121とは接触せず、管状体111、121との間に空気による断熱層Aが存在するようにした。これにより配管部材110、120と、これらを互いに連結する環状プレート170、170との熱伝達が行われにくく、環状プレート170、170による熱影響を抑える。さらに、フランジ部112、122が熱膨張・収縮するときには、フランジ部112、122と環状プレート170との間で滑りが生じるようにした。
【選択図】図4
Description
これらを防止し成形品の品質を向上させるために、射出充填、保圧、冷却、型開閉といった一連の工程において、金型の熱媒体通路に、樹脂の充填を開始するまでの間に加熱媒体を供給して金型を加熱し、樹脂の充填開始後の所定時間経過後から型開きまでの間に冷却媒体を供給して金型を冷却する成形方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、予め樹脂の熱変形温度以上の温度まで加熱した金型に溶融樹脂を充填して樹脂表面の固化を遅らせ、樹脂の充填後、金型を樹脂のガラス転移温度、又は、熱変形温度以下まで冷却してから型開きを行うことができ、上記のような欠陥の発生を抑えることができる。
金型では、製品の射出成形を行う射出成形サイクルごとに、加熱媒体による加熱と、冷却媒体による冷却とを繰り返す。多数の製品を連続的に生産するために、射出成形サイクルを多数回繰り返すと、配管の管状部とフランジ部とで熱による膨張・収縮の度合いが異なるため、管状部とフランジ部との継ぎ目に熱応力が作用し、その結果、継ぎ目に亀裂等が生じてしまうのである。特に管状部とフランジ部を溶接などで一体化した場合は、管状部で受けた熱が熱容量の大きなフランジ部に奪われてしまい、管状部とフランジ部と温度差が大きくなり、温度境界である溶接部(継ぎ目部)に熱応力による亀裂が発生しやすくなる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、加熱・冷却を繰り返しても、配管のフランジ部と管状部との継ぎ目の部分に亀裂が生じるのを防ぎ、信頼性を高めることのできる射出成形システムを提供することを目的とする。
このような断熱構造部においては、環状のプレートは、フランジ部と一体に締結されているわけではなく、フランジ部の外周側において一対の環状のプレートどうしでフランジ部を挟み込んで連結している。したがって、フランジ部が熱膨張・収縮するときには、その径方向に膨張・収縮した場合、フランジ部の変形を環状のプレートが強固に拘束することなく、フランジ部と環状のプレートとの間で滑りを許容するので熱応力を逃がすことができる。
またフランジ部と環状のプレートの接触面(挟み込み面)は、一般に粗さとうねりのために真平面ではなく微少な凹凸が連なっている。つまり当該接触面では対向した微少な凸部同士が点接触するのみで全面的に接触するものではない。よって挟み込み面内において接触している凸部以外の箇所には、金属に比べて十分に熱伝導率が低く断熱作用の大きな空気の層が存在するので、フランジ部と環状のプレートを断熱することができる。これによりフランジ部の熱が環状のプレートに奪われることに起因した、フランジ部と管状体の温度差を抑制することができる。
更には、環状のプレートが、管状体の外径よりも大きな内径を有することで、管状体の胴部外周とは接触せず、あるいは局部的にしか接触せず、管状体との間に空気による断熱層が存在することになる。これにより配管部材と、これらを互いに連結する環状のプレートとの熱伝達が行われにくく、これによる熱影響を抑えることができる。また環状プレートの内径は、管状体が熱膨張した際の管状体外径よりも大きくすることが好ましい。これによると管状体が熱膨張した場合でも管状部の外周部が環状プレートの内周部に接触することがないので、管状体の熱が環状プレートに奪われることによる熱応力を防止するのに有効である。
よって、配管どうしをボルトなどにより連結するための連結構造部材をフランジ部ではなく環状のプレートとし、配管部材の一端に備えられたフランジ部は環状のプレートで挟み込むための鍔としたところの、寸法が大きく熱容量が大きな環状のプレートと、熱容量の小さい配管部材とが別体である締結構造を用いて、固定部の滑りを許容するとともに、フランジ部と締結部を断熱構造とすることができるので、熱応力による配管継ぎ目部の亀裂の発生を防止することができる。
t2≦t1≦2×t2
を満たすようにするのが好ましい。このようにしてフランジ部と管状体における熱容量の差を小さくすることで、加熱媒体や冷却媒体の流通によって温度変化が生じた場合のフランジ部と管状体の温度変化プロファイルの差を抑えることができる。
また、環状のプレートとフランジ部または管状体との間に空気による断熱層が存在するので、配管部材の熱が環状のプレートに奪われて局部的に低温となる部分が無くなるので、熱応力を抑制することができる。
また、フランジ部の厚さと管状体の厚さを適切に設定することで、フランジ部と管状体における熱容量の差を小さくすることで、加熱媒体や冷却媒体の流通によって温度変化が生じた場合のフランジ部と管状体の温度差を抑えることができる。
したがって、配管における温度変化が激しい場合においても、配管のフランジ部と管状部との継ぎ目の部分に亀裂が生じるのを防ぐことができ、信頼性を高めることができる。
図1は、本実施の形態における射出システムを構成する射出成形機10の概略構成を説明するための図である。
図1に示すように、射出成形機10の型締装置は、基台11に固定ダイプレート12が固設され、固定ダイプレート12に固定側金型(金型)13が取り付けられている。固定側金型13に対向する可動側金型(金型)14は、固定ダイプレート12に対向して配置された可動ダイプレート15に取り付けられている。可動ダイプレート15は、基台11に敷設されたガイドレール16にガイドされ、リニアベアリングを介して固定ダイプレート12に対向して移動可能とされている。型開閉のための可動ダイプレート15の移動には電動ボールねじ17が用いられる。なお、可動ダイプレート15の移動には図示しない油圧シリンダを用いても支障ない。
射出シリンダ21の射出スクリュ21bは、移動フレーム24に取り付けられた射出スクリュ回転駆動モータ26によって回転駆動され、射出シリンダ21内の樹脂の回転送り出しと可塑化を行う。
加熱媒体供給装置33は、加熱媒体を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た加熱媒体を、熱媒体排出管32Oを通して加熱媒体供給装置33に循環させる。このとき加熱媒体は加熱媒体供給装置に循環させることなく、図示しない排水経路から外部に排出しても支障ない。
冷却媒体供給装置34は、冷却媒体を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た冷却媒体を、熱媒体排出管32Oを通して冷却媒体供給装置34に循環させる。
なお、熱媒体供給管32Iと熱媒体排出管32Oは、加熱媒体と冷却媒体が交互にあるいは同時に流通する共通配管である。
また、図2に示したように、熱媒体供給管32Iには、管内の熱媒体の温度を検出するための熱電対等の熱媒体温度センサ41や、熱媒体の圧力を検出するための圧力センサ42など管内の熱媒体の状態を検知するための検知手段が設けられることもある。この場合、これら熱媒体温度センサ41、圧力センサ42で検出した熱媒体の温度、圧力の信号は、金型温度センサ40で検出した金型温度の信号と同様に金型温度制御装置70に送られる。
型閉から昇圧の工程においては、金型温度制御装置70で温度調整装置60を制御して、加熱媒体供給装置33で加熱された加熱媒体を熱媒体供給管32Iに送り込み、固定側金型13、可動側金型14を加熱する。ここで、加熱媒体には、110〜250℃のものを用いるのが好ましい。
そして、固定側金型13、可動側金型14の加熱後、固定側金型13と可動側金型14が型締されることによって形成された金型キャビティへの溶融樹脂の射出を開始する。射出中あるいは射出後、加熱媒体供給装置33から熱媒体供給管32Iへの加熱媒体の供給を停止する。加熱媒体の供給停止は、金型温度制御装置70で温度調整装置60を制御して行う。
樹脂の射出が完了した時点で、金型キャビティ内の保圧を行うこともできる。また射出〜保圧の間、固定側金型13、可動側金型14の温度は、加熱媒体の供給停止後、直ぐに冷却媒体を供給しても良いし、直ぐに冷却媒体を供給しないで、エアーを供給する又は何も媒体を供給せず、金型キャビティを自然放熱状態として保温あるいは徐冷しても良い。
冷却媒体の送り込みによって固定側金型13、可動側金型14は急冷される。このとき、加熱媒体の供給停止から、冷却媒体の供給に切り替えたときの金型表面近傍の温度変化の速度は、0.5〜10℃/secいったものとなる。固定側金型13、可動側金型14の温度が低下したら、金型温度制御装置70で温度調整装置60を制御して熱媒体供給管32Iへの冷却媒体の供給を停止する。
樹脂が冷却固化し、金型キャビティ内に成形品が形成された後は、可動側金型14は固定側金型13との型締結合を解いて型開きする。続いて、さらに可動側金型14を移動用の電動ボールねじ17の作動により固定側金型13から離し、成形品を取出す。
この後は、上記と同様の射出成形サイクルを繰り返すことで、成形品を順次射出成形し生産することができる。上記と同様の射出成形サイクルを繰り返す際には、加熱媒体の供給を再開するが、このとき、冷却媒体から加熱媒体に切り替えたときの温度変化の速度は、0.5〜10℃/secといったものとなる。ここで、1回の射出成形サイクルは、30〜120secとするのが好ましい。
図3に示すように、戻り配管部100は、熱媒体通路30、31から送り出された熱媒体をそのまま加熱媒体供給装置33、冷却媒体供給装置34に送り込むメイン配管101と、熱媒体通路30、31から送り出された熱媒体が蒸気である場合に、蒸気の少なくとも一部を冷却して復水させる復水機102と、メイン配管101から復水機102へと熱媒体を分岐させる分岐管103と、を備えている。
メイン配管101には、自動開閉弁104が設けられており、金型温度制御装置70による制御によって、その開閉・開度が自動的に調整制御される。
他方の管路103Bには、自動開閉弁106が設けられており、金型温度制御装置70による制御によって、その開閉・開度が自動的に調整制御され、復水機102に送り込む蒸気の圧力を調整できるようになっている。
このような自動開閉弁104、106は、両端のフランジ部112を、メイン配管101、分岐管103の管路103Bを構成する配管部材120の端部に設けられたフランジ部122に連結させている。
図4に示すように、配管部材110、120のフランジ部112、122どうしは、環状プレート170を用いて接続されている。
配管部材110、120のフランジ部112、122どうしは、環状のシールパッキン171を介して対向している。
そして、フランジ部112,122を挟んだその両側に、環状プレート170、170が配置されている。環状プレート170は、内径がフランジ部112、122の外径よりも小さく、かつ配管部材110、120の管状体111、121の外径よりも大きな環状で、管状体111、121とは接触しないよう設けられている。これら環状プレート170、170は、その外周部において、ボルト・ナット(締結部材)172、172によって締結されている。なお環状プレート170は、図示した一体リング形状の他、割りリング形状などのフランジ部を挟み込める形状であれば、どのような形状でも良い。また図4ではフランジ部112、122を環状プレート170で直接挟み込んでいるが、フランジ部112、122と環状プレート170の間に、断熱材を挿入しても良い。断熱材としては繊維系断熱材、発泡系断熱材、樹脂系断熱材でも良いし、真空断熱材などでもよい。あるいは各種断熱材を組み合わせて使用しても良い。
t2≦t1≦2×t2
となるように設定するのが好ましい。
さらに、環状プレート170の表面の表面粗さを粗くしたり、凹凸を形成することで環状プレート170、170と配管部材110、120のフランジ部112、122との接触面積を小さくすると、環状プレート170、170と配管部材110、120のフランジ部112、122との間における熱伝導がしにくくなる。これにより環状プレート170、170による熱影響を抑えることができる。
さらに、フランジ部112、122が熱膨張・収縮するときには、その径方向に膨張・収縮することになるが、膨張・収縮によるフランジ部112、122の変形が生じた場合、フランジ部112、122と環状プレート170との間で滑りが生じる。これにより、フランジ部112,122の変形が阻害されず、熱による変形時にフランジ部112、122やフランジ部112、122と管状体111、121との間の熱応力を抑制することができる。
このような場合、熱容量の大きくなりやすいフランジ部112、122から十分離れており、フランジ部112、122の熱的影響を受けない位置に溶接部Wを設けることで、例え管状体111、121が溶接構造であったとしても、熱応力により溶接部Wが割れたりするのを防ぐことができる。
すなわち、図3に示したように、自動開閉弁106が設けられた管路103Bは、管路103Aに対して直交するよう、T字型のエルボ180により管路103Aに接続されている。そして、管路103Aは、T字型のエルボ180の両側において、螺旋状に1回転ループしたループ部181が形成されている。自動開閉弁106が設けられた管路103Bがその軸線方向に伸縮した場合、ループ部181が、その直径が拡大・縮小するよう、閉じたり開いたりして伸縮する。これにより、管路103Bの熱膨張による変形を許容することが可能となる。
また図示しないが、ループ部181と同様のループ形状配管は、屈曲部や長配管部においても適用することができる。長配管部は温度変化による熱膨張量あるいは熱収縮量も大きいことから、単純な直線配管を使用した場合、配管継ぎ部間を押し広げて、あるいは引っ張り込んで熱応力を発生させてしまうことになる。この場合に対してループ形状配管を使用すれば、長配管が軸線方向に伸縮した場合、ループ形状配管がその直径が拡大・縮小するよう、閉じたり開いたりして伸縮して熱応力を緩和できる。屈曲部は配管の温度変化に起因した熱膨張あるいは熱収縮によって屈曲角度が拡大あるいは縮小しようとして熱応力が発生する場合がある。この場合に対してもループ形状配管を使用すれば、ループ形状配管がその直径が拡大・縮小するよう、閉じたり開いたりして、屈曲部の熱応力を緩和することができる。
これによっても、管状体111、121とフランジ部112、122との連結部近傍に与えられるストレスを抑えることができる。
そのような場合に備え、液体漏出センサ190を備え、液体漏出センサ190で液体の漏出を検知した場合には、射出ユニット20の熱媒体通路30、31への熱媒体の供給を遮断するよう、射出ユニット20で制御しても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
(実施例)
検証対象とした配管部材の連結部は、図4に示した構成であり、フランジ部112、122の厚さt1を2.8mm、管状体111、121の厚さt2を2.8mm、管径を25mmとした。
(比較例1)
これに対し、比較対象として、図6(a)に示すような構成のものを用意した。すなわち、従来の配管部材の連結部の構成である、フランジ部201、201どうしをボルト・ナット202で直接連結したものとした。ここで、フランジ部201の厚さt1’を14mm、管状体203の厚さt2’を2.8mm、管径を25mmとした。
ここで、実施例、比較例とも、配管部材の材質はSUS304とした。
(比較例2)
さらに、比較対象として、図6(b)に示すような構成のものを用意した。これは、図6(a)に示した構成に加え、配管部材の連結部に、樹脂系断熱材であるPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる筒状のスリーブ205を設けた。スリーブ205の厚さは2mm、長さLは30mmとした。
これに対し、本実施形態における構成に相当する実施例1においては応力振幅が182MPaであり、断熱材を備えずとも、本実施形態における構成により、配管部材の連結部に生じる応力を大幅に低減できることが確認された。
Claims (3)
- 金型を開閉する型締装置、および前記金型のキャビティに成形材料を射出する射出装置を備えた射出成形機と、
前記キャビティを加熱するため前記金型に形成された熱媒体通路に加熱媒体を供給する加熱媒体供給装置と、
前記キャビティを冷却するため前記熱媒体通路に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置と、
前記加熱媒体供給装置、前記冷却媒体供給装置における前記加熱媒体、前記冷却媒体の供給を制御する加熱・冷却制御装置と、
前記加熱媒体供給装置または前記冷却媒体供給装置から前記加熱媒体または前記冷却媒体を前記熱媒体通路に送り込むための第1の共通配管と、前記熱媒体通路を経て前記加熱媒体供給装置または前記冷却媒体供給装置または排水経路に戻すための第2の共通配管と、を備え、
前記第1の共通配管と前記第2の共通配管の少なくとも一方の共通配管は、管状体の端部にフランジ部を備えた配管部材を複数連結することによって構成され、
前記複数の配管部材どうしの連結部分は、前記フランジ部と前記管状体との間に生じる熱応力を抑えるため、
互いに対向する前記配管部材の前記フランジ部どうしを挟み込むよう配置され、前記配管部材の前記管状体の外径よりも大きな内径を有した一対の環状のプレートと、
前記フランジ部の外周側において、一対の前記環状のプレートどうしを締結する締結部材と、を含む断熱構造部を有することを特徴とする射出成形システム。 - 前記断熱構造部は、前記フランジ部の厚さt1と前記管状体の厚さt2とが、
t2≦t1≦2×t2
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の射出成形システム。 - 前記共通配管に供給される前記加熱媒体の温度は110〜250℃であり、
前記共通配管に供給される前記冷却媒体の温度は0〜80℃であり、
前記共通配管に供給する媒体を前記加熱媒体から前記冷却媒体に切り替えるときの金型キャビティ表面近傍の温度変化速度が0.5〜10℃/secであり、
1回の射出成形サイクルに要する時間が30〜120secであることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形システム。
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