JP2012151322A - 白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力効率に優れ、デバイスの駆動経時や保存経時、あるいは高温保存時に対する発光色安定性に優れ、長寿命である白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子及び該白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された照明装置を提供することである。
【解決手段】基板上に、対となる電極と、発光層を含む有機機能層を有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、同一層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することを特徴とする白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、フィルム上に形成された一対の陽極と陰極との間に、有機発光物質を含有する厚さ僅か0.1μm程度の有機機能層で構成する薄膜型の全固体素子である。このような有機EL素子に2〜20V程度の比較的低い電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られており、次世代の平面ディスプレイや照明として期待されている技術である。
特に、地球温暖化防止策の一つとして、人類のエネルギー消費の多くを占める照明器具への応用が検討されはじめ、従来の照明器具に置き換わりうる白色発光パネルの実用化に向けて、性能向上やコストダウンの試みが盛んである。
白色発光パネルを構成する白色発光素子は種々提案されているが、一つの発光層に青色、緑色、赤色の発光材料(本発明ではドーパントとも言う)を含有させる方式は、多数の発光層を積層する方式に比べて、製造コストが低いだけでなく、発光効率が高いので省エネルギーに貢献するために、早くから注目されている。
例えば、効率の高い青、緑、赤の3色の蛍光体を発光材料としてドープすることによって、白色の有機エレクトロルミネッセンス素子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、近年、蛍光材料に対し、より高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られるりん光発光性ドーパントの開発が精力的に進められている(例えば、特許文献3、非特許文献1、2参照)。従来の蛍光材料からの発光は、励起一重項からの発光であり、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため、発光性励起種の生成確率は25%であるのに対し、励起三重項からの発光を利用するりん光発光ドーパントの場合には、励起子生成比率と一重項励起子から三重項励起子への内部変換により、内部量子効率の上限が100%となるため、蛍光発光ドーパントの場合に比べ、原理的に発光効率が最大4倍となる。
しかしながら、りん光発光ドーパントを用いて、2色以上の発光ドーパントを1層に共存させ、高発光エネルギーの発光ドーパントから相対的に効率の低いドーパントにエネルギー移動により多色を発光させることにより、白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ようとした場合、デバイスの駆動経時、あるいは保存経時に対する発光色の安定性が必ずしも十分ではないことが分かってきた。とりわけ照明光源用途においては、発光色の安定性に対する要求は厳しく、有機エレクトロルミネッセンス素子を照明光源用途に実用化するには、如何に発光色の安定性を確保するかが重要な課題となっている。
特開平6−207170号公報 特開2004−235168号公報 米国特許第6,097,147号公報
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154頁(1998年) M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電力効率に優れ、デバイスの駆動経時や保存経時、あるいは高温保存時に対する発光色安定性に優れ、長寿命である白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子及び該白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された照明装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.基板上に、対となる電極と、発光層を含む有機機能層を有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、同一層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することを特徴とする白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記蛍光発光性ドーパントが、青色蛍光発光性ドーパントであることを特徴とする前記1に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記青色蛍光発光性ドーパントが、発光層中で陽極側に高濃度である濃度勾配を有することを特徴とする前記2に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記青色蛍光発光性ドーパントの濃度が、陽極側界面で15〜100体積%であり、陰極側界面で0〜10体積%であることを特徴とする前記3に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記青色蛍光発光性ドーパントが、ジスチリルアミン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記りん光発光性ドーパントが、緑色りん光発光性ドーパントまたは赤色りん光発光性ドーパントであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記緑色りん光発光性ドーパント及び赤色りん光発光性ドーパントの平均濃度が、0.1〜10体積%であることを特徴とする前記6に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記発光層の膜厚が40〜150nmであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.前記基板上に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極の順に積層されていることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
本発明により、電力効率に優れ、デバイスの駆動経時や保存経時、あるいは高温保存時に対する発光色安定性に優れ、長寿命である白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子及び該白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された照明装置を提供することができた。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基板上に、対となる電極と、発光層を含む有機機能層を有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、同一層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することにより、電力効率に優れ、デバイスの駆動経時や保存経時、あるいは高温保存時に対する発光色安定性に優れ、長寿命である白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
この効果が発現される理由は明らかではないが、同一発光層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することにより、発光層での陽極側からの正孔の取り込みにおけるエネルギーギャップと、蛍光発光性ドーパントとりん光発光性ドーパント間のエネルギー伝達と、ホスト化合物に対する蛍光発光性ドーパントの濃度バランスによって、発光層中での発光領域が安定化することにより発光色安定性が向上し、かつ高い効率が維持されることによるものと考えられる。
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、対となる電極と、発光層を含む有機機能層を有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、同一層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項11までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
(蛍光発光性ドーパント、りん光発光性ドーパント)
本発明において蛍光発光性ドーパントとは、主に励起一重項からの発光を有する化合物であり、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため、発光性励起種の生成確率は25%と言われているものである。
本発明において、蛍光発光性ドーパントは青色発光性であることが好ましい。2−メチルTHF等の溶剤へ溶解し、希薄溶液中での発光極大波長が、400〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、420〜480nmであることが好ましい。また本発明においては、後述の青色りん光発光性ドーパントを混合して用いることもでき、好ましい。
本発明において、蛍光発光性ドーパントと同一発行層中に含有するりん光発光性ドーパントは、青色蛍光発光性ドーパントに加えて、黄色りん光発光性ドーパントとの組み合わせ、または緑色りん光発光性ドーパントと赤色りん光発光性ドーパントの組み合わせが好ましい。
黄色りん光発光性ドーパントの場合は、その希薄溶液発光での極大波長が500〜700nmのもの、緑色りん光発光性ドーパントの場合は、その希薄溶液発光での極大波長が500〜580nmのもの、赤色りん光発光性ドーパントの場合は、その希薄溶液発光での極大波長が580〜700nmのものであることが好ましい。
本発明では、蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することを特徴とする。
本発明において膜厚方向とは、発光層面に対する法線方向を表す。濃度勾配は1つの発光層内において、一方の面側が高濃度であったり、両面側が高濃度であって中央部分が低濃度であったり、あるいはその逆に両面側が低濃度であって中央部分が高濃度であったりしてもよい。勾配は、連続的に変化することが好ましいが、階段状の変化でもよい。
本発明の発光層中での濃度とは、発光層を構成する全材料に対する体積比率を言う。本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層中でドーパントが、陽極側に高濃度であるような濃度勾配を有することが好ましい。
蛍光発光性ドーパントとりん光発光性ドーパントを同一発光層中に混合して添加する本発明の場合は、該発光層中での膜厚方向で蛍光発光性ドーパントが濃度勾配を有することにより、本発明の効果が得られることを見出した。さらに陽極側において、発光層全体に対する蛍光発光性ドーパントの濃度が高くなるように構成することによって、さらに大きな本発明の効果が得られることを見出した。
この現象は明らかではないが、発光層での陽極側からの正孔の取り込みにおけるエネルギーギャップと、蛍光発光性ドーパントとりん光発光性ドーパント間のエネルギー伝達と、ホスト化合物に対する濃度バランスによって、発光層中での発光領域が安定化し、かつ高い効率が維持されることによるものと考えられる。
かかる効果を最大限に発揮するために、蛍光発光性ドーパントの発光層陽極側界面での濃度は、5〜100体積%であることが好ましく、15〜100体積%であることがより好ましい。また蛍光発光性ドーパントの発光層陰極側界面での濃度は、0〜20体積%であることが好ましく、0〜10体積%であることがより好ましい。
蛍光発光性ドーパントが前述の濃度勾配を形成していれば、りん光発光性ドーパントについては、発光層中で濃度勾配を形成している必要はない。白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が、青色蛍光発光性ドーパントと黄色りん光発光性ドーパントから構成される場合、または青色蛍光発光性ドーパントと緑色りん光発光性ドーパント及び赤色りん光発光性ドーパントから構成される場合は、黄色りん光発光性ドーパント、緑色りん光発光性ドーパント、赤色りん光発光性ドーパントは、発光層の膜厚方向で均一な濃度であってもよい。
白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子が、青色蛍光発光性ドーパント、青色りん光発光性ドーパント、緑色りん光発光性ドーパント及び赤色りん光発光性ドーパントから構成される場合は、青色りん光発光性ドーパントは青色蛍光発光性ドーパントと同様に、陽極側において濃度が高くなる構成であることが好ましい。また、陽極側界面において、青色蛍光発光性ドーパントよりも青色りん光発光性ドーパントの方が、高濃度である方がより好ましい。
本発明の好ましい態様の一つは、発光層の陽極側界面における青色蛍光発光性ドーパントの濃度が30体積%であり、陰極側に向けて濃度が単調に減少していき、陰極側界面では0.5体積%であり、緑色りん光発光性ドーパントと赤色りん光発光性ドーパントは、ともに、発光層全域にわたって0.5体積%である場合である。
本発明の他の好ましい態様の一つは、発光層の陽極側界面における青色蛍光発光性ドーパントの濃度が100体積%であり、陰極側に向けて膜厚の1/20ほど100体積%を維持した後、単調に減少していき、膜厚の中央で2.0体積%まで減少して、陰極側界面では0体積%であり、緑色りん光発光性ドーパントと赤色りん光発光性ドーパントはともに、発光層の1/20を超えた領域にわたって0.5体積%である場合である。
本発明のさらに他の好ましい態様の一つは、発光層の陽極側界面における青色蛍光発光性ドーパントの濃度が15体積%であり、青色りん光発光性ドーパントの濃度が40体積%であり、陰極側に向けて濃度が単調に減少していき、陰極側界面ではともに0.5体積%であり、緑色りん光発光性ドーパントと赤色りん光発光性ドーパントはともに、発光層全域にわたって0.5体積%である場合である。
ここでいう単調な減少とは、極大部や極小部を持たない減少を意味し、発光層の陽極側界面からの距離に対する濃度が、およそ一次関数で減少する場合だけではなく、二次関数以上で減少するような場合も含むものである。
本発明の濃度勾配は、発光層中の最大濃度と最小濃度の差が3体積%以上であることが好ましく、さらには5体積%以上であることが好ましい。
本発明において、発光層のドーパント濃度勾配を形成する方法は公知の技術を利用できる。蒸着法にて形成する場合は、共蒸着法を精度よくコントロールすることによって可能である。すなわち真空蒸着装置のホルダーに固定した基板に対して、発光層を構成する材料をそれぞれ独立の加熱ボートに入れ、発光層形成の進捗に合わせて加熱ボートの温度コントロールを行い、濃度勾配を形成することができる。温度コントロールは、それぞれの材料の性質に従って温度と蒸発量の関係をあらかじめ把握しておくことが好ましい。また、濃度勾配の精度を高める上で、ボートの大きさや、可動式マスクによる開口率の調整を併用するとよい。塗布法によって形成する場合は、成分濃度や溶媒が異なる複数の塗布液を塗設することにより、層間拡散を利用して形成することができる。
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層が、所望の濃度勾配が得られたかどうかを検証するには、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)を用いることが好ましい。前記、濃度勾配の形成条件とTOF−SIMSの解析結果との関係をもとにシミュレーションを行い、最適の条件を見出して適用することができる。
(飛行時間型二次イオン質量分析法:TOF−SIMS)
飛行時間型二次イオン質量分析法は、TOF−SIMS(トフシムス:Time−Of−Flight Secondary Ion Spectrometry)と一般的に呼ばれる。原理としては、高真空中で試料にパルス状のイオンを照射し、スパッタリング現象により表面からはぎ取られたイオンを重さ(原子量、分子量)で分けて検出する。そして、重さとその検出量のパターン(質量スペクトル)から試料最表面に存在する化学種(原子、分子)を推定することができる。
より詳細には、下記2つの段階を経て、分析を行うものである。
(1)二次イオン放出:固体試料表面にパルス状にイオン(一次イオン)を照射し、イオン衝撃を受けた試料表面からは、スパッタリング現象により試料表面から様々な粒子が放出される。
特に、TOF−SIMSでは、一次イオンの電流密度を低く抑え(staticモード)、できるだけ試料表面を破壊せずスパッタを行う。
(2)質量分離、検出:スパッタリングにより放出された粒子中に存在するイオン(二次イオン)を取り出し、その重さ(質量)で分けて検出することにより、試料表面〜内部の組成分析を行う方法が、二次イオン質量分析法である。
TOF−SIMSでは、質量分離に飛行時間型の分析装置を採用している。電場で飛行管に引き込まれたイオンは、軽いものが早く、重いものは遅く飛行管内を飛行し、検出器に到達する。
この飛行時間を質量に換算し、質量分離を行う。飛行時間型を用いることで、高感度、高質量分解能、高質量物質の検出が可能である。
これにより、表面に存在する化学種の二次元分布が分かるだけでなく、イオンビームで表面を削り測定、を繰り返すことによって、浅い領域での深さ方向の元素組成分析が可能となる。また、検出した化学種の相対的な存在量も求めることができる。
前述したように、TOF−SIMSでは、イオン(Ar、Xe)照射によるスパッタリングを併用することにより、膜厚方向での組成分布が分析できるため濃度勾配を検証することが可能である。
(発光層)
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、少なくとも一つ以上の発光性ドーパントを含有する有機層である。発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
(発光層の膜厚)
本発明においては、発光層の膜厚は40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上、150nm以下であることが特に好ましい。白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子では従来、発光層の膜厚が厚いと正孔と電子の結合確率を高めるために、駆動電圧を高くする必要があったが、本発明のように、蛍光発光性ドーパントとりん光発光性ドーパントを同一層中に含有させ、かつ発光層の膜厚方向に蛍光発光性ドーパントの濃度勾配を付与することで、発光層の膜厚を厚くしても高い量子効率や低電圧で駆動が可能であることから電力効率が高く、駆動経時や保存経時、あるいは高温保存時の様々な変動に対しても安定な発光が得られることを見出したものである。
特許第3786023号明細書には、発光層中で発光材濃度を変化させることで電荷移動を容易とし低電圧化、高発光効率化する手法が開示されている、また特許第4181795号明細書にも同様の手法が開示されているが、青色に発光する蛍光発光材料を使用した白色素子での構成例は開示されておらず、特に色度安定性に関する本発明の効果を予見できるものではない。さらには、本発明のりん光材料との組み合わせにおける格段の効果を予見できるものではない。
(蛍光発光性ドーパント)
本発明に用いられる蛍光発光性ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体から選ばれる少なくとも1つである。
本発明で好ましく用いられる青色蛍光発光性ドーパントとしては、ジスチリルアミン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエンが好ましい。これらの中でも、4,4′−ビス[2−(9−エチルカルバゾール−2−イル)ビニル]ビフェニル(BCzVBi)が特に好ましい。
また、その他に好ましく用いられる青色蛍光発光性ドーパントとしては、WO2009/008356号の段落[0232]〜[0294]に記載のものや、下記に記載のものでもよい。
特願2010−509698号、特願2009−522120号、特願2009−518737号、特願2009−512440号、特願2008−543684号、特願2008−530354号、特願2008−511579号、特願2008−505759号、特願2007−543770号、特願2007−517191号、特願2007−517189号、特願2005−165578号、特願2003−201650号、特願平7−231952号、特願2006−528612号、各公報。
この青色蛍光ドーパントの濃度は、ホスト化合物に対して0.01〜20体積%であり、好ましくは0.1〜10体積%である。
(りん光発光性ドーパント)
本発明に用いられるりん光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてりん光発光する化合物であり、りん光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいりん光量子収率は0.1以上である。
上記りん光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのりん光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るりん光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記りん光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
りん光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
りん光ドーパントは、好ましくは元素周期表で8族〜10族の遷移金属元素を中心金属として有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
(ドーパント含有比率)
本発明に係る発光層中の黄色りん光発光性ドーパント、緑色りん光発光性ドーパント及び赤色りん光発光性ドーパントの含有比率は下記を満たすことが好ましい。
(1)緑色ドーパント含有比率:0.05〜5.00体積%
(2)赤色ドーパント含有比率:0.05〜5.00体積%
なお、本発明においては、以下のような点に注意することが望ましい。
緑色ドーパント含有比率は、0.05〜5.0体積%であるが、0.1〜3.0体積%がより好ましい。赤色ドーパント含有比率は、0.05〜1.0体積%であるが、0.1〜3.0体積%がより好ましい。
〈青色りん光発光性ドーパント〉
本発明に用いられる青色りん光発光性ドーパントは、下記一般式(A)〜(C)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2012151322
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
Figure 2012151322
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
Figure 2012151322
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
前記一般式(A)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
また、前記一般式(B)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
また、前記一般式(C)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
一般式(A)〜(C)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Raで表される脂肪族基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)が挙げられ、芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、アズレニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、o−テルフェニル基、m−テルフェニル基、p−テルフェニル基、アセナフテニル基、コロネニル基、フルオレニル基、ペリレニル基等を挙げることができ、これらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい。複素環基としては、例えば、ピロリル基、インドリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリジニル基、キノリニル基、カルバゾリル基、インドリニル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、チアジアジニル基、オキサジアゾリル基、ベンゾキノリニル基、チアジアゾリル基、ピロロチアゾリル基、ピロロピリダジニル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、クロマニル基等を挙げることができ、これらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
一般式(A)〜(C)において、Rb、Rc、Rb、Rcが表す置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
一般式(A)〜(C)において、A1は芳香族環、芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、該芳香族環としてはベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられ、該芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
一般式(A)〜(C)の構造は部分構造であり、それ自身が完成構造の発光ドーパントとなるには、中心金属の価数に対応した配位子が必要である。具体的には、ハロゲン(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、フタラジニル基等)、一般式(A)〜(C)の金属を除いた部分構造等が挙げられる。
一般式(A)〜(C)において、MはIr、Ptを表し、特にIrが好ましい。また一般式(A)〜(C)の部分構造3個で完成構造となるトリス体が好ましい。
以下、本発明に係る発光ドーパントの前記一般式(A)〜(C)の部分構造を持つ化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
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〈緑色、赤色りん光発光性ドーパント〉
本発明に好ましく用いられる緑色、赤色りん光発光性ドーパントは、公知のりん光発光体化合物の中から、適宜選択して用いることができる。
以下に、好ましく用いられるりん光発光性ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2012151322
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これらの金属錯体は、例えば、Organic Letter,vol.3,No.16,2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻,第8号,1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻,4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻,第7号,1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻,第12号,3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry,第26巻,1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻,695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
〈ホスト化合物〉
本発明において、発光層に用いられるホスト化合物は、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が50%以上であることが好ましく、かつ室温(25℃)においてりん光発光のりん光量子収率が0.1未満の化合物である。好ましくは、りん光量子収率が0.01未満である。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明において、ホスト化合物としては一般式(2)で表される化合物が好ましい。
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式中、XはNR′、O、S、CR′R″またはSiR′R″を表す。R′、R″は各々水素原子または置換基を表す。Arは芳香環を表す。nは0〜8の整数を表す。
一般式(2)におけるXにおいて、R′、R″で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも、XとしてはNR′またはOが好ましく、また、R′としては、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、または芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)が特に好ましい。
上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、各々一般式(2)のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Arにより表される芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、さらに未置換でも、一般式(2)のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Arにより表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(a)で表される部分構造のXにおいて、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)で表される部分構造において、Arにより表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
これらの環は、さらに一般式(2)において、R′、R″で各々表される置換基を有してもよい。
上記の中でも、一般式(2)において、Arにより表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、さらに好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環であり、より好ましくは置換基を有するベンゼン環であり、特に好ましくはカルバゾリル基を有するベンゼン環が挙げられる。
また、一般式(2)において、Arにより表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、さらに上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、一般式(2)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1〜2であることが好ましい。
本発明においては、特に、ジベンゾフラン環とカルバゾール環をともに有するホスト化合物が好ましい。
以下に、一般式(2)で表されるホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012151322
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また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよいが、高分子材料を用いた場合、化合物が溶媒を取り込んで膨潤やゲル化等、溶媒が抜けにくいと思われる現象が起こりやすいので、これを防ぐために分子量は高くない方が好ましく、具体的には塗布時での分子量が1,500以下の材料を用いることが好ましく、塗布時の分子量1,000以下の材料を用いることがさらに好ましい。
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(層構成)
本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に有機EL素子ともいう)における、電極と有機機能層の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/第一発光層/第二発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
本発明の有機EL素子は、基板上に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極の順に積層されていることが好ましい。発光層は、正孔輸送層と電子輸送層の間に位置して形成されていることが好ましい。
〈有機機能層膜厚〉
本発明の有機EL素子の有機機能層の総膜厚は、0.05〜0.3μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.2μm程度である。
(白色の定義)
本発明においては、有機EL素子の発光色が白色であり、その発光スペクトルは標準光源に近いことが好ましいが、420〜480nm、500〜580nm、及び600〜650nmの波長領域に、それぞれ少なくとも一つの発光極大波長を有すること、さらには465〜480nm、500〜515nm、及び600〜620nmの波長領域にそれぞれ少なくとも一つの発光極大波長を有することが特に好ましい。これによって、製造変動が発生した場合でも、安定した白色発光が得られるものである。
本発明の有機EL素子や該素子に係る化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定する。本発明の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子における白色とは、2°視野角正面輝度を上記方法により測定した際にCIE1931 表色系の色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。さらに、照明光としては、当該領域内を通る黒体放射線の、y軸方向に±0.02の範囲が特に好ましい。
本発明における色度の安定性は、色度座標上のx値及びy値で表される点間の直線距離が短いことであり、0.020以下が好ましく、0.015以下が特に好ましく、さらに0.01以下が特に好ましい。
(電子注入層、正孔注入層)
本願において、注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう。)と電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とがある。
本発明においては、当該注入層は必要に応じて設け、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は、単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(陽極)
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例として一般的には、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられるが、本発明においては前述のように、超臨界液体処理する場合は、導電性ポリマーとグリッドを有する電極を陽極として用いることが好ましい。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。陰極の場合も、導電性ポリマーとグリッドを有する電極を用いることができる。
(基板)
有機EL素子の基板としては、ガラス、セラミックス、陶磁器、金属なども知られているが、本発明ではフレキシブル基板である場合が、メリットが大きいので好ましい。特にプラスチックフィルムが好ましい。
本発明の有機EL素子に用いることのできるフレキシブル基板としては、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明なフレキシブル基板としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
好ましい透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
特に好ましい透明樹脂フィルムとしては、そのTgが80℃以上である樹脂フィルムが好ましく、特に100℃以上であることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドである。前記有機機能層のTgとの関係で、Tg値の差が60℃以内、好ましくは40℃以内であることによって、超臨界流体処理への耐性が向上するとともに、有機EL素子の屈曲による膜剥がれや高温雰囲気下での寿命の向上に貢献する。
(封止)
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・MPa)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−6g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。
この場合、当該封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等、素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
さらに、当該封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
(用途)
本発明の有機EL素子は、電力が供給できる駆動回路を接続して、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源、及び照明装置として用いることができる。
発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルタと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じて有機機能層の製膜時にメタルマスクを用いたり、インクジェットプリンティング法等で発光領域をパターニングしたりしてもよい。また電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、有機EL素子全体を任意の形状にパターニングしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「体積%」を表す。
実施例
《有機EL素子の作製》
(有機EL素子101の作製)
陽極として厚さ0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を110nmの厚さで成膜した支持基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、130℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入輸送層を設けた。正孔注入輸送層を設けた後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物A−1、化合物A−2、化合物A−3及び化合物H−1を、化合物A−3が膜厚に対し線形に60体積%から0.5体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は39体積%から98.5体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させ、全体の蒸着速度を0.1nm/秒として厚さ80nmになるよう共蒸着し発光層(EML)を形成した。
その後、化合物ET−1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、さらにKFを厚さ2nmで形成した。さらに、アルミニウム150nmを蒸着して陰極を形成した。
次いで、上記素子の非発光面をガラスケースで覆い、有機EL素子101を作製した。なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
Figure 2012151322
(有機EL素子102の作製)
有機EL素子101の作製において、発光層を化合物A−3が膜厚に対し100体積%で厚さ4nmになるように成膜した後に、化合物A−3が線形に100体積%から2体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は0体積%から97体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて厚さ46nm共蒸着した。さらに化合物A−3が線形に2体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は97体積%から99体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて厚さ30nm共蒸着した発光層(EML)を形成した。それ以外は同様にして有機EL素子102を作製した。
(有機EL素子103の作製)
有機EL素子101の作製において、発光層を化合物A−3が線形に20体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は79体積%から99体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて厚さ60nm共蒸着し発光層(EML)を形成した。引き続き化合物H−1を99体積%、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように20nm発光層を形成した。それ以外は同様にして有機EL素子103を作製した。
(有機EL素子104の作製)
有機EL素子101の作製において、発光層を化合物A−3が線形に15体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、また化合物A−4が線形に40体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は44体積%から99体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて厚さ80nm共蒸着し発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子104を作製した。
Figure 2012151322
(有機EL素子105の作製)
有機EL素子101の作製において、化合物A−3を膜厚に依存することなく15体積%の濃度になるように、化合物H−1は膜厚に依存することなく84体積%、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、厚さ80nm共蒸着し発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子105を作製した。
(有機EL素子106の作製)
有機EL素子101の作製において、化合物A−3が膜厚に対し線形に0体積%から60体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は99体積%から39体積%に変化させ化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて、全体の蒸着速度を0.1nm/秒として厚さ80nmになるよう共蒸着し発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子106を作製した。
(有機EL素子107の作製)
有機EL素子101の作製において、化合物A−3が膜厚に対し線形に0体積%から60体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は99体積%から39体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、蒸着速度0.1nm/秒で厚さ40nmになるよう共蒸着した。引き続き、化合物A−3が膜厚に対し線形に60体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は39体積%から99体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、各々蒸着速度を変化させて、全体の蒸着速度を0.1nm/秒として厚さ40nmになるよう共蒸着した発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子107を作製した。
(有機EL素子108の作製)
有機EL素子101の作製において、化合物A−4を膜厚に依存することなく18体積%の濃度になるように、化合物H−1を膜厚に依存することなく81体積%の濃度になるように、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、厚さ80nm共蒸着し発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子108を作製した。
(有機EL素子109の作製)
有機EL素子101の作製において、化合物A−4が膜厚に対し線形に60体積%から0体積%になるように濃度を変化させ、化合物H−1は39体積%から99体積%に変化させ、化合物A−1及び化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.5体積%の濃度になるように、厚さ80nm共蒸着し発光層(EML)を形成した以外は同様にして有機EL素子109を作製した。
《有機EL素子の評価》
(電力効率の測定)
分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/mにおける電力効率を求めた。なお、電力効率は、有機EL素子101の電力効率を100とした際の相対値で表示した。
(発光色安定性の測定)
デバイスを50mA/cmで初期輝度半減まで駆動した後の色度と駆動初期の色度を比較することにより、連続駆動に対する発光色安定性を評価した。色度変動幅はCIE1931、x、y値の変動最大距離ΔEを下式で求め、結果をA〜Dに分類した。
ΔE=(Δx+Δy1/2
A:ΔEが0.01未満
B:ΔEが0.01以上0.015未満
C:ΔEが0.015以上0.02未満
D:ΔEが0.02以上
また、保存経時の発光色安定性については、初期状態の色度と25℃−半年保管後の色度を比較することにより評価した。色度変動幅についてはデバイスの駆動に対する安定性と同様に行った。
また、高温保存時の発光色安定性については、初期状態の色度と85℃−500時間保管後の色度を比較することにより評価した。色度変動幅についてはデバイスの駆動に対する安定性と同様に行った。
評価の結果表1に示す。
Figure 2012151322
表1に記載の結果より明らかなように、同一発光層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有する本発明の有機EL素子は、比較例に対し、電力効率が大幅に向上し、連続駆動発光色安定性、保存経時発光色安定性及び高温保存経時発光色安定性に優れることが明らかである。

Claims (10)

  1. 基板上に、対となる電極と、発光層を含む有機機能層を有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光層が、同一層中に蛍光発光性ドーパント及びりん光発光性ドーパントを含有し、かつ該蛍光発光性ドーパントが膜厚方向に濃度勾配を有することを特徴とする白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記蛍光発光性ドーパントが、青色蛍光発光性ドーパントであることを特徴とする請求項1に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記青色蛍光発光性ドーパントが、発光層中で陽極側に高濃度である濃度勾配を有することを特徴とする請求項2に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記青色蛍光発光性ドーパントの濃度が、陽極側界面で15〜100体積%であり、陰極側界面で0〜10体積%であることを特徴とする請求項3に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記青色蛍光発光性ドーパントが、ジスチリルアミン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記りん光発光性ドーパントが、緑色りん光発光性ドーパントまたは赤色りん光発光性ドーパントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記緑色りん光発光性ドーパント及び赤色りん光発光性ドーパントの平均濃度が、0.1〜10体積%であることを特徴とする請求項6に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記発光層の膜厚が40〜150nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記基板上に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極の順に積層されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
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