JP2012148873A - 超音波式検知装置、超音波式検知方法、重送検知装置、重送検知方法、超音波発信装置およびプログラム - Google Patents

超音波式検知装置、超音波式検知方法、重送検知装置、重送検知方法、超音波発信装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】重送検知装置としての検知性能を損なうことなく、超音波発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくする。
【解決手段】CPU102は、超音波制御部108および超音波発信部103が超音波の発信間隔が一定の間隔とならないように、発信タイミングを制御する。たとえば、CPU102は、超音波を発生するたびに発信間隔に対して変位時間を加算または減算する。変位時間は一定の長さの時間であってもよいし、乱数のように異なってもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2枚以上のシート状部材を重ねたまま搬送してしまう現象である重送を超音波センサによって検知する重送検知装置、重送検知方法、超音波発信装置およびプログラムに関する。
スキャナ、プリンタ、複写機、印刷機、ATM(Automated Teller Machine)などにおいては、シート状部材を1枚ずつ分離・搬送する機構が備えられている。しかし、シート状部材を1枚だけ搬送すべきところを、2枚以上のシート状部材の一部、あるいは全体が重なったまま搬送される重送が発生する可能性が考えられる。このため、シート状部材を搬送する装置には、シート状部材の重送を検知する機能が必要となる。
特許文献1によれば、シート状部材の重送を超音波センサによって検知する重送検知装置が知られている。この重送検知装置は、超音波発信器から発信されてシート状部材を透過した超音波を超音波受信器が受信することで、超音波受信器から出力される超音波受信信号をサンプリングし、サンプリングされた超音波受信信号のレベル(波高)に基づいて、給送されたシートが1枚なのか重送なのかを検知する。すなわち、受信した超音波のレベルが閾値より高ければ給送されたシートが1枚であると判断し、閾値より低ければ重送が生じたと判断する。これは、超音波を遮る部材の厚さが厚くなるほど、超音波が減衰するからである。
一般に、超音波がシートの搬送路内で乱反射すると、超音波の直接波と反射波が合成されてしまい、超音波受信信号のレベルが安定しない。そこで、特許文献1では、超音波を一定間隔毎に発信して、反射波の影響を受けない、いわゆるバースト方式が提案されている。
特開2006−298598号公報
ところで、超音波の周波数は人間の可聴域よりも高い周波数(重送検知に使用される超音波センサの周波数は数十kHzから数百kHz)である。そのため、連続的に超音波を発信していれば、重送検知装置の使用者には超音波が聞こえない。しかし、バースト発信方式では、超音波を断続的に発信するため、超音波よりも低い周波数成分の音波が生成されてしまい、それが人間の可聴域に入るおそれがある。この音波の周期は、バーストの周期に一致している。たとえば、バースト発信の周期が800μ秒であれば、音波の周波数は1.25kHzとなる。つまり、人間の可聴域の高周波音が発生し、重送検知装置の使用者がこの高周波音を感じるおそれがある。とくに、同一の周波数の高周波音が連続して発生すると、使用者が高周波音を聴感しやすくなってしまう。
そこで、本発明は、物体検知装置としての検知性能を損なうことなく、超音波発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくすることを目的とする。
本発明の重送検知装置は、物体に向けて超音波を発信する超音波発信部と、前記超音波発信部から発信される超音波を受信して超音波受信信号を出力する超音波受信部と、前記超音波受信信号の振幅情報に基づいて前記物体の有無又は状態を判定する判定部と、前記超音波発信部を制御して、前記超音波発信部から複数の超音波を異なる発信間隔で発信させる超音波発信制御部とを備える。
本発明によれば、物体に向けて複数の超音波を異なるタイミングで発信することで、物体検知装置としての検知性能を損なうことなく、特に超音波のバースト発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくなる。
実施例に係る重送検知装置の構成を概略的に示すブロック図。 実施例に係る重送検知装置の構成を概略的に示すブロック図。 実施例において超音波パルスをバースト発信するタイミングを示す図。 実施例に係る超音波発信制御方法を示すフローチャート図。 実施例に係る重送検知装置の構成を概略的に示すブロック図。 実施例における三角波発生回路の出力波形を概略的に示す図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
<実施例1>
図1、図2に本発明の一実施例に係る重送検知装置100を示す。重送検知装置100は、制御部101、超音波発信部103、超音波受信部104を備える。制御部101は、CPU102、ROM105、RAM106などを有する。CPU102は、プログラムをROM105から読み込み、RAM106をワークエリアとして使用して重送検知装置100の制御を行う。また、CPU102は、超音波制御部108を介して、超音波受信回路109を制御する。また、CPU102は、超音波受信回路109の受信結果を元に、演算部107を用いて演算を行い、シート状部材が重送しているか否かを判定する。
超音波制御部108は、超音波発信部103と超音波受信部104の制御を行う。超音波発信部103は、物体に向けて超音波を発信する超音波発信部の一例であるとともに、シート状部材の搬送路に設けられ、超音波を発信する超音波発信部の一例であり、搬送路を搬送されるシート状部材201に対して超音波を発信する。超音波受信部104は、超音波発信部から発信される超音波を受信して超音波受信信号を出力する、搬送路に設けられた超音波受信部の一例であり、超音波発信部103の発信する超音波を受信する。超音波受信部104による超音波の受信結果(超音波受信信号)は超音波受信回路109に出力され、超音波受信回路109にて信号処理される。
図2に示すように、超音波受信部104は、重送検知対象であるシート状部材201を透過した超音波を受信できるように、シート状部材201を搬送する搬送路を挟んで超音波発信部103と対向するように設置されている。すなわち、超音波発信部103は、超音波受信部104に向けて超音波を発信する。超音波受信部104は、超音波発信部103により発信された超音波を受信して超音波受信信号を超音波受信回路109に出力する。超音波発信部103と超音波受信部104は相互に対向するように配置されている。図2に示した超音波発信部103と超音波受信部104との配置は一例にすぎず、重送された複数のシート状部材201を検知できる配置であれば十分である。
超音波発信部103は、超音波制御部108から数十kHz〜数百kHzのパルス信号(以下、駆動信号とする)の供給を受け、超音波パルスを出力する。なお、超音波制御部108が超音波発信部103へ供給する駆動信号は、たとえば、一定時間に渡る数周期分のパルス信号である。これは、一般にバースト発信と呼ばれる方式であり、超音波パルスは数百μ秒毎に発信される。超音波パルスの発信周期をバースト周期と呼ぶことにする。
図2に示すように、超音波発信部103と超音波受信部104の間にシート状部材201が進入すると、超音波発信部103より発信した超音波パルスは、シート状部材201により減衰し、非常に微弱な信号となってしまう。そのため、超音波受信部104が出力する超音波受信信号の振幅も微弱となる。超音波受信回路109は、超音波受信部104が出力する超音波受信信号を増幅する信号増幅回路110を備えており、超音波受信信号を重送検知判断の可能な信号振幅まで増幅する。
超音波受信回路109は、A−D変換器111を有し、信号増幅回路110によって増幅された超音波受信信号(アナログ信号)を、サンプリングしてデジタル信号に変換してCPU102へ出力する。A−D変換器111は、超音波受信信号をサンプリングして超音波受信信号の振幅情報を取得するサンプリング部の一例である。CPU102がA−D変換器を内蔵している場合には、信号増幅回路110によって増幅された超音波受信信号(アナログ信号)は直接的にCPU102に入力される。
CPU102は、超音波受信回路109から出力された超音波受信信号を取得し、超音波受信信号の振幅情報としてRAM106に保存する。そして、CPU102は、RAM106に保持した振幅情報を元に演算部107を用いて演算を行い、シート状部材201が重送しているか否かを判定する。たとえば、演算部107は、振幅情報が示す振幅レベルと閾値とを比較し、比較結果をCPU102に出力する。CPU102は、振幅レベルが閾値を超えていることを示す比較結果が入力されると、搬送路においてシート状部材201が重送していないと判定する。一方、CPU102は、振幅レベルが閾値を超えていないことを示す比較結果が入力されると、搬送路においてシート状部材201が重送していると判定する。CPU102や演算部107は、このように、超音波受信信号の振幅情報に基づいて物体の有無又は状態を判定する判定部として機能する。同様に、CPU102や演算部107は、サンプリング部によって取得された振幅情報に基づいて搬送路において複数のシート状部材が重なって搬送されているかどうかを判定する重送判定部として機能する。演算部7の機能をすべてCPU102で実現してもよい。
図3を用いて、超音波パルスをバースト発信するタイミングについて説明する。図3において、超音波パルスの発信波形301と超音波パルスの受信波形302が時間軸tに沿って示されている。超音波発信部103は発信波形301のような波形をした超音波パルスを発信し、発信された超音波パルスは空間を伝搬して超音波受信部104にて受信され、受信波形302のような波形をした超音波受信信号となる。
図3において、超音波発信部103の超音波パルスの第1のバースト発信タイミングをT0とし、第2のバースト発信タイミングをT1とし、第3のバースト発信タイミングをT2とし、第4のバースト発信タイミングをT3とする。バースト発信タイミングT0、T1、T2、T3は超音波制御部108またはCPU102がタイマーやカウンタを用いて生成するタイミングである。以下では、CPU102がタイミングを制御するものとして説明する。
従来の重送検知装置では、あるバースト発信から次のバースト発信までのインターバルが常に一定であった。つまり、従来の重送検知装置におけるバースト発信の周期を800μ秒とすると、(T1−T0)=(T2−T1)=(T3−T2)=800μ秒となる。つまり、可聴域に属する1.25kHzの高周波音が発生し、これが重送検知装置の使用者に聞こえるおそれがあった。
そこで、本発明では、超音波発信部から複数の超音波をそれぞれ異なる超音波発信条件で発信させることを特徴とし、より好ましくは、超音波発信部から1つまたは複数の超音波を発信するたびに超音波の発信条件を変更して超音波発信部から超音波を発信させるのがよい。つまり、たとえば、CPU102および超音波制御部108が超音波発信部から毎回またはn(nは2以上の自然数)回おきにそれぞれ異なるタイミングで超音波が発信されるよう発信制御を実行するようにするのが好ましい。より具体的には、CPU102および超音波制御部108が、超音波パルスのバースト発信タイミングが所定時間にわたって継続して一定にならないよう、1回または複数回バースト発信するたびにバースト発信の時間間隔を変動(変化)させる。ここで、所定時間は、超音波のバースト発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくなるといった効果が得られる程度の時間であり、実験またはシミュレーションによって決定する。このように、CPU102および超音波制御部108は、超音波発信部が超音波を発信する時間間隔(発信間隔)が一定の間隔とならないように、超音波発信部から超音波を発信するタイミングを制御する超音波発信制御部として機能する。図3を用いて説明すると、高周波音を低減するための条件は、
(T1−T0)≠(T2−T1)、かつ、
(T2−T1)≠(T3−T2)
となる。ここで、N回目のバースト発信タイミングをT(N)、N+1回目のバースト発信タイミングをT(N+1)というように定義すると、本発明の重送検知装置では、(T(N+1)−T(N))≠(T(N+2)−T(N+1))となる。
なお、上記の「複数の超音波をそれぞれ異なる超音波発信条件で発信させる」とは、たとえば、複数の超音波を発信(特にバースト発信)するタイミング条件を適宜変更するに際し、複数の超音波の発信間隔を一定間隔とせず、複数の超音波の発信間隔の一部又は全てを異なる時間配分としたり、所定のルールに従って発信間隔を変動(複数の時間間隔パターンを適宜組み合わせる等)させたりする場合を含む。超音波の発信間隔を毎回変動させる必要はなく、超音波をn回発信するごとに発信間隔を変更してもよい(nは2以上の自然数)。なお、nは、固定値であってもよいし、動的に変更される可変の値であってもよいし、さらに、乱数であってもよい。
また、以下にCPU102および超音波制御部108が発信間隔を変動させる方法について、図1、図3を用いて説明する。ここでは、CPU102および超音波制御部108が、音波を発生するたびに予め定められた一定間隔に対して変位時間を加算または減算することで超音波を発信するタイミングを制御することを特徴とする。
CPU102は、記憶部であるROM105あるいはRAM106に保持されている発信間隔と変位時間を示す設定値を読み出し、設定値にしたがって発信タイミングが到来したことを示すタイミング信号を超音波制御部108に出力する。超音波制御部108は、タイミング信号をCPU102から受信すると駆動信号を超音波発信部103に供給する。これにより、超音波発信部103は超音波パルスを発信する。
発信間隔の設定値を、たとえば800μ秒とし、発信間隔の変位時間を3μ秒と仮定する。CPU102は、発信制御を開始するとタイマーをスタートさせ、800μ秒が経過したか否かを判定する。CPU102は、タイマー値に基づいて800μ秒が経過したと判定すると、第1のバースト発信タイミングT0が到来したと認識して、タイミング信号を出力する。CPU102は、時間間隔800μ秒に変位時間3μ秒を加算することで、和である803μ秒を求め、この値をタイマーに設定する。CPU102は、超音波を発生するたびに時間間隔を所定の変位時間ずつ加算する加算部として機能する。
CPU102は、タイマー値に基づいて803μ秒が経過したと判定すると、第2のバースト発信タイミングT1が到来したと認識して、タイミング信号を出力する。つまり、T1−T0=803μ秒となる。CPU102は、時間間隔803μ秒に変位時間3μ秒を加算することで、和である806μ秒を求め、この値をタイマーに設定する。CPU102は、タイマー値に基づいて806μ秒が経過したと判定すると、第3のバースト発信タイミングT2が到来したと認識して、タイミング信号を出力する。つまり、T2−T1=806μ秒となる。以降では、変位時間の3μ秒ずつ加算してゆくことで、時間間隔は、809μ秒、812μ秒、・・・となる。
ところで、上限値を設定しない場合、時間間隔が無限大に発散してしまう。そこで、本実施例では、時間間隔の上限値を採用する。CPU102は、算出した時間間隔が上限値を超えると、時間間隔を強制的に上限値に書き換える。たとえば、上限値が820μ秒であり、かつ、算出した時間間隔が821μ秒であれば、CPU102が時間間隔を上限値である820μ秒に設定する。
なお、818μ秒の次は820μ秒ではなく、820μ秒で折り返して819μ秒としてもよい。つまり、上限値と時間間隔との差分が最初の変位時間となる。
一度、算出した時間間隔が上限値に達すると、CPU102は、時間間隔を変位時間ずつ減算してゆく。つまり、CPU102は、超音波を発生するたびに時間間隔を所定の変位時間ずつ減算する減算部として機能する。上述した例の場合、時間間隔は、820μ秒、817μ秒、814μ秒と減ってゆく。なお、下限値を設けない場合、時間間隔がゼロに収束してしまう。そこで、本実施例では、時間間隔の下限値を導入する。CPU102は、算出した時間間隔が下限値未満になると、時間間隔を強制的に下限値に書き換える。たとえば、上限値が780μ秒であり、かつ、算出した時間間隔が768μ秒であれば、CPU102が時間間隔を下限値である780μ秒に設定する。それ以降は、また、時間間隔は、上昇に転じる。
なお、781μ秒の次は780μ秒ではなく、780μ秒で折り返して782μ秒としてもよい。つまり、下限値と時間間隔との差分が最初の変位時間となる。
このように、CPU102は、超音波を発生するたび時間間隔を所定の変位時間ずつ加算し、変位時間を加算した後の時間間隔が所定の上限値を超えると、超音波を発生するたび時間間隔を所定の変位時間ずつ減算し、変位時間を減算した後の時間間隔が下限値を下回ると、超音波を発生するたび時間間隔を所定の変位時間ずつ加算することで、上限値と下限値との間に収まるように時間間隔を制御する。発信間隔を超音波パルスの発信毎に変位させることで、重送検知装置の使用者が感じてしまうような高周波音を軽減させることができる。本実施例においては、時間間隔の変位範囲を780μ秒から820μ秒までとした。この場合、音波の周波数は1.22kHzから1.28kHzの間で変動することになるため、常に1.25kHzで周波数が固定された音波と比較して、使用者によって音波を感じられる程度が低減するであろう。
本実施例では、発信間隔の設定値が800μ秒、発信間隔の変位時間が3μ秒、発信間隔の設定値からの変位時間の上限値が820μ秒、下限値が780μ秒と仮定したが、これらの値は、可聴域の音波の低減効果が見込める範囲で適宜変更されてもよい。また、変位時間を固定値としたが、乱数などの動的な値であってもよい。たとえば、CPU102は、各タイミングごとに乱数処理によって、[−9μ秒、−6μ秒、−3μ秒、+3μ秒、+6μ秒、+9μ秒]から1つを変位時間として選択し、時間間隔を算出してもよい。なお、下限値が小さすぎると、前回発信した超音波パルスの残響が搬送路中に存在するおそれがある。そこで、下限値は、残響が小さくなるよう、実験またはシミュレーションによって決定するとよい。また、変位時間、上限値、下限値の設定次第では、前回の時間間隔と今回の時間間隔との間の変位量が小さすぎることになって、重送検知装置の使用者が感じる高周波音の軽減効果が小さくなるおそれがある。よって、実際の重送検知装置に応じて、実験やシミュレーションを行って、これらの設定値を調整するとよい。
図4は、本実施例に示す制御手順を示したフローチャートである。S401で、CPU102は、時間間隔、変位時間、上限値および下限値などの設定値をROM105から読み出す。S402で、CPU102は、読み出した時間間隔の設定値をタイマーに設定する。S403で、CPU102は、タイマーがタイムアウトしたかどうかを判定する。タイムアウトするとS404に進む。S404で、CPU102は、現在の時間間隔に対して変位時間を加算して和を求める。S404で、CPU102は、和が上限値を超えているか否かを判定する。和が上限値を超えていなければ、S402に戻り、CPU102は、和をタイマーに設定する。一方、和が上限値を超えていれば、S406に進む。
S406で、CPU102は、時間間隔を上限値に制限する。S407で、CPU102は、時間間隔の値をタイマーに設定する。S408で、CPU102は、タイマーがタイムアウトしたかどうかを判定する。タイムアウトするとS409に進む。S409で、CPU102は、現在の時間間隔から変位時間を減算して差を求める。S404で、CPU102は、差が下限値未満か否かを判定する。差が下限値未満でなければ、S407に戻り、CPU102は、差をタイマーに設定する。一方、差が下限値未満であれば、S411に進む。S411で、CPU102は、時間間隔を下限値に制限し、S402に戻る。S402で、CPU102は、下限値に制限された時間間隔をタイマーに設定する。以降では、重送検知装置が機能を停止するまで、上記の処理をCPU102は繰り返す。
以上説明したように、本実施例によれば、超音波の発信間隔が一定とならないように発信タイミングを制御することで、重送検知装置としての検知性能を損なうことなく、超音波発信、特に超音波のバースト発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくすることが可能となる。
本実施形態では、変位時間、上限値および下限値は、予めROMに記憶されているものと仮定したが、パソコンなどの外部の情報処理装置とCPU102が通信を行い、設定値を受信してROMに登録したり、設定値を変更したりしてもよい。
設定値を記憶する記憶装置としては、ROM105やRAM106に代えて、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置や、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体のような不揮発性の記憶装置を採用してもよい。あるいはこれらの組み合わせによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より記憶装置が構成されてもよい。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなる制御部内のCPU内部の揮発メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムをメモリ等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により前記制御部内のメモリに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現する為のものであっても良い。さらに、前述した機能を信号解析部であるCPU102の内部メモリに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
<実施例2>
以下、本発明の実施形態におけるもう一つの超音波発信タイミングの制御方法を図5、図6を参照しながら詳述する。とりわけ、実施例2では、超音波発信制御部は、波形生成部が出力した波形の振幅に応じて時間間隔を制御する。波形生成部としては、三角波を発生する三角波発生回路を設け、三角波の振幅を変位時間とすることで、発信間隔を変動させる。三角波は、一例にすぎず、正弦波など振幅が変動する波形であればよい。正弦波を採用する場合、三角波発生回路に代えて正弦波発生回路が採用される。
図5において、三角波受信回路501は、三角波発生回路503が発生した三角波の振幅をA−D変換器502によりアナログ信号からデジタル信号に変換してCPU102へ出力する。なお、CPU102がA−D変換器を内蔵している構成であれば、三角波(アナログ信号)は直接的にCPU102に入力される。CPU102は、三角波受信回路501から出力される三角波の振幅データをRAM106に保存する。CPU102は予め定められた周期でバースト発信タイミングを生成し、バースト発信タイミングを生成したときの三角波の振幅データ(電圧レベル)をRAM106から読み出し、読み出した振幅データに対応した時間だけ遅延してからタイミング信号を超音波制御部108に出力する。
図6を用いて発信間隔の設定方法を詳細に説明する。図6では、三角波発生回路503から出力された三角波601の振幅を電圧レベルとして時系列に沿って示している。CPU102は、時刻T1に超音波パルスをバースト発信するためのタイミング信号を出力してから、その次にタイミング信号を出力する時刻T2までの時間間隔を、時刻T1における三角波の振幅レベル(電圧V1)を元に決定する。たとえば、三角波の振幅が0Vから3.3Vまでの範囲で変化する仮定する。この場合の時間間隔(T(N+1)−T(N))[μ秒]は次式に基づいて算出できる。
T(N+1)−T(N)=C1 × A(N) + C2
ここで、C1は所定の乗算係数であり、A(N)は時刻T(N)における三角波の振幅レベルであり、C2は所定の加算係数である。C2は、基本的なタイミング信号の周期である。たとえば、C1=12、A(T1)=V1=0.5V、かつ、C2=780と仮定すると、時間間隔(T2−T1)は、12×0.5+780=786μ秒となる。つまり、時刻T1から786μ秒後の時刻が時刻T2となる。同様に、CPU102は、時刻T2にて取得した三角波の振幅レベルA(T2)=V2を元に、さらに次の時刻T3が決定される。T3−T2=C1 × A(T2) + C2。
なお、この時間間隔の算出式は一例にすぎず、必ずしもこの算出式でなければ、本発明が意図した効果を奏しないわけではない。つまり、本発明が意図した効果を奏する限り、算出式を適宜変更してもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、超音波の発信間隔が一定とならないように発信タイミングを制御することで、重送検知装置としての検知性能を損なうことなく、超音波発信、特に超音波のバースト発信に伴って発生する人間の可聴域の音波が使用者に聴感されにくくすることが可能となる。
三角波発生回路503に代えて、変位時間を乱数的に発生する乱数発生部を採用してもよい。乱数発生部は、電気回路により構成してもよいし、論理回路により構成してもよいし、CPU102がプログラムを実行することで実現してもよい。つまり、これらの回路やCPU102は、乱数発生部と、乱数生成部が出力した乱数値に応じて時間間隔を制御する超音波発信制御部として機能する。
なお、CPU102が演算するものとして説明した算術演算や論理演算のすべてまたは一部を演算部107が実行してもよい。
また、本実施例では、重送検知装置を一例として説明したが、重送検知機能を省いて超音波発信装置として本発明を実現してもよい。
さらに、上述した各種の部や工程をプログラム化してコンピュータに実行させてもよい。
上述した実施例ではシート状部材の重送を検知する重送検知装置を一例として説明したが、物体を検知する超音波式検知装置であれば、どうように本発明を適用できる。これは、本発明の技術思想が超音波の発信制御を趣旨とするものであり、検知対象に依存しない発明だからである。

Claims (19)

  1. 物体に向けて超音波を発信する超音波発信部と、
    前記超音波発信部から発信される超音波を受信して超音波受信信号を出力する超音波受信部と、
    前記超音波受信信号の振幅情報に基づいて前記物体の有無又は状態を判定する判定部と、
    前記超音波発信部を制御して、前記超音波発信部から複数の超音波を異なる発信間隔で発信させる超音波発信制御部と
    を備えることを特徴とする超音波式検知装置。
  2. 前記超音波発信制御部は、1つまたは複数の超音波をバースト発信するたびにバースト発信のタイミングを変更することを特徴とする請求項1に記載の超音波式検知装置。
  3. 前記超音波発信制御部は、前記複数の超音波の発信間隔が所定時間にわたって継続して一定の間隔とならないように前記超音波発信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波式検知装置。
  4. 前記超音波発信制御部は、前記超音波発信部から毎回またはn(nは2以上の自然数)回おきにそれぞれ異なる発信間隔で超音波を発信させることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波式検知装置。
  5. 前記超音波受信信号をサンプリングして前記超音波受信信号の振幅情報を取得するサンプリング部をさらに備え、
    前記超音波発信制御部は、前記サンプリング部によって取得された前記振幅情報に基づいて前記物体の有無又は状態を判定するものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の超音波式検知装置。
  6. シート状部材の搬送路に設けられ、超音波を発信する超音波発信部と、
    前記超音波発信部から発信される超音波を受信して超音波受信信号を出力する、前記搬送路に設けられた超音波受信部と、
    前記超音波受信信号の振幅情報に基づいて前記搬送路において複数のシート状部材が重なって搬送されているかどうかを判定する重送判定部と、
    前記超音波発信部を制御して、前記超音波発信部から複数の超音波を異なる発信間隔で発信させる超音波発信制御部と
    を備えることを特徴とする重送検知装置。
  7. 前記超音波発信制御部は、1つまたは複数の超音波をバースト発信するたびにバースト発信のタイミングを変更することを特徴とする請求項6に記載の重送検知装置。
  8. 前記超音波発信制御部は、前記複数の超音波の発信間隔が所定時間にわたって継続して一定の間隔とならないように前記超音波発信部を制御するを特徴とする請求項6に記載の重送検知装置。
  9. 前記超音波発信制御部は、前記超音波発信部から毎回またはn(nは2以上の自然数)回おきにそれぞれ異なる発信間隔で超音波を発信させることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の重送検知装置。
  10. 前記超音波発信制御部は、前記超音波を1回またはn(nは2以上の自然数)回発生するたびに予め定められた一定間隔に対して変位時間を加算または減算することで前記超音波を発信するタイミングを制御することを特徴とする請求項9に記載に重送検知装置。
  11. 前記超音波発信制御部は、前記超音波を1回またはn回発生するたびに前記発信間隔を所定の変位時間ずつ加算する加算部を備えることを特徴とする請求項10に記載の重送検知装置。
  12. 前記超音波発信制御部は、前記超音波を1回またはn回発生するたびに前記発信間隔を所定の変位時間ずつ減算する減算部を備えることを特徴とする請求項10に記載の重送検知装置。
  13. 前記超音波発信制御部は、
    前記超音波を発生するたびに前記発信間隔を所定の変位時間ずつ加算し、
    前記変位時間を加算した後の発信間隔が所定の上限値を超えると、前記超音波を発生するたびに前記発信間隔を所定の変位時間ずつ減算し、
    前記変位時間を減算した後の発信間隔が下限値を下回ると、前記超音波を発生するたびに前記発信間隔を所定の変位時間ずつ加算する
    ことで、前記上限値と前記下限値との間に収まるように前記発信間隔を制御することを特徴とする請求項6ないし12のいずれか1項に記載の重送検知装置。
  14. 波形生成部をさらに備え、
    前記超音波発信制御部は、前記波形生成部が出力した波形の振幅に応じて超音波の発信間隔を制御するものであることを特徴とする請求項6ないし13のいずれか1項に記載の重送検知装置。
  15. 乱数発生部をさらに備え、
    前記超音波発信制御部は、前記乱数発生部が出力した乱数値に応じて超音波の発信間隔を制御することを特徴とする請求項6ないし14のいずれか1項に記載の重送検知装置。
  16. 超音波を発信する超音波発信部と、
    前記超音波発信部を制御して、前記超音波発信部から複数の超音波をそれぞれ異なる発信間隔で発信させる超音波発信制御部と
    を備えることを特徴とする超音波発信装置。
  17. 物体に向けて超音波を発信する超音波発信工程と、
    前記超音波発信工程で発信される超音波を受信して超音波受信信号を出力する超音波受信工程と、
    前記超音波受信信号の振幅情報に基づいて前記物体の有無又は状態を判定する判定工程と
    を有する超音波式検知方法であって、
    前記超音波発信工程では、複数の超音波をそれぞれ異なる発信間隔で発信させることを特徴とする超音波式検知方法。
  18. シート状部材の搬送路において超音波を発信する超音波発信工程と、
    前記超音波発信工程において発信された超音波を受信して超音波受信信号を出力する超音波受信工程と、
    前記超音波受信信号の振幅情報に基づいて前記搬送路において複数のシート状部材が重なって搬送されているかどうかを判定する重送判定工程と
    を有する重送検知方法であって、
    前記超音波発信工程では、複数の超音波をそれぞれ異なる発信間隔で発信させることを特徴とする重送検知方法。
  19. 請求項17又は18に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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