以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態の内視鏡用画像撮像装置として、図1に示すような内視鏡システムを例に説明する。図1に示すように、内視鏡システム2は、被検者の体内(体腔内)の被観察部の画像を撮像する電子内視鏡10と、内視鏡画像を生成するプロセッサ装置11と、体腔内を照明するための照明光を供給する光源装置12とから構成されている。また、プロセッサ装置11には、内視鏡画像を表示するためのモニタ20が接続されている。
電子内視鏡10は、体腔内に挿入される挿入部13と、挿入部13の基端側に連設された操作部14と、操作部14から延設されたユニバーサルコード15とを備えている。挿入部13は、細径で長尺の可撓管部13aと、複数の湾曲駒を連結した湾曲部13bと、先端に位置する先端部13cとから構成されている。先端部13cは、硬質な金属材料等で形成され、体腔内の画像を撮像するためのCCD30(図2参照)を内蔵する。
操作部14は、鉗子口17やアングルノブ18等を備えている。鉗子口17は、先端部13cに形成された鉗子出口27(図2参照)に連結されており、ここから処置具を挿入して体腔内に突出させる。アングルノブ18は、挿入部13内に挿設されたワイヤ(図示なし)を介して、湾曲部13bに接続されている。アングルノブ18を操作してワイヤを押し引きすることにより、湾曲部13bは上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部13cを体内の所望の方向に向けることができる。
ユニバーサルコード15は、その延出先端にコネクタ19を備えている。コネクタ19は、通信用コネクタ19aと光源用コネクタ19bからなる複合タイプのコネクタであり、プロセッサ装置11及び光源装置12に着脱自在に接続される。
図2に示すように、電子内視鏡10の先端面には、被写体の像光を取り入れるための観察窓25と、照明光が照射される第1の照明窓26Aおよび第2の照明窓26Bと、鉗子出口27が形成されている。観察窓25の奥には、対物光学系28とプリズム29が配置されている。プリズム29の直下にはCCD30が位置しており、CCD30は、回路基板31に接続されている。対物光学系28及びプリズム29を通過した被写体光は、CCD30の受光面に入射する。CCD30は、この入射した被写体光に基づいた撮像信号を出力し、これを回路基板31に入力する。
回路基板31は、信号ケーブル32を介して、プロセッサ装置11のタイミング/ドライバ回路42及びデジタル信号処理回路(DSP)43に接続されている。回路基板31は、アナログ信号処理回路(図示なし)を備えている。アナログ信号処理回路は、CCD30から入力された撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、リセット雑音及びアンプ雑音を取り除く。そして、ノイズが除去された撮像信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅した後、所定のビット数のデジタル信号に変換する。このデジタルの撮像信号は、信号ケーブル32を介してプロセッサ装置11のDSP43に入力される。
本実施形態における内視鏡は、第1の照明光学系と第2の照明光学系からなる2つの照明光学系を備える。第1の照明光学系と第2の照明光学系は、内視鏡の射出端に設けた照明レンズ33Aと33Bがそれぞれ異なる配光を示すものであるが、それ以外の点は互いに同じ構成を備える。なお、各構成については後述するが、本明細書中では、第1の照明光学系は、照射レンズ33Aと、光ファイバ34Aと、絞り調節機構52Aと、アイリスドライバ53Aと、集光レンズ55と、光源50と、光源ドライバ51と、これらを制御するCPU54からなる、独立して一つの内視鏡照明として機能する構成を指し、第2の照明光学系は、照射レンズ33Bと、光ファイバ34Bと、絞り調節機構52Bと、アイリスドライバ53Bと、集光レンズ55と、光源50と、光源ドライバ51と、これらを制御するCPU54からなる、独立してもう一つの内視鏡照明として機能する構成を指すものとする。
照明窓26Aの奥には、体腔内に向けて照明光を照射する照射レンズ33Aが取り付けられている。照射レンズ33Aは、光ファイバ34Aの出射端に面している。この光ファイバ34Aは、挿入部13、操作部14、及びユニバーサルコード15の内部を貫通し、その入射端が光源用コネクタ19bの端部から露呈している。光源用コネクタ19bを光源装置12に接続すると、光ファイバ34Aの入射端は光源装置12の内部に挿入される。光源装置12からの照明光は、この光ファイバ34Aによって先端部13cまで導光され、照射レンズ33A及び照明窓26Aから体腔内に照射される。図3および図4に示すように、照射レンズ33A近傍には、光ファイバ34Aの出射端が照射レンズに面するようにして配置されている。
照明窓26Bの奥には、体腔内に向けて照明光を照射する照射レンズ33Bが取り付けられている。照射レンズ33Bは、光ファイバ34Bの出射端に面している。この光ファイバ34Bは、挿入部13、操作部14、及びユニバーサルコード15の内部を貫通し、その入射端が光源用コネクタ19bの端部から露呈している。光源用コネクタ19bを光源装置12に接続すると、光ファイバ34Bの入射端は光源装置12の内部に挿入される。光源装置12からの照明光は、この光ファイバ34Bによって先端部13cまで導光され、照射レンズ33B及び照明窓26Bから体腔内に照射される。図2に示すように、照射レンズ33B近傍には、光ファイバ34Bの出射端が照射レンズに面するようにして配置されている。
鉗子出口27は、鉗子チャンネル35を介して鉗子口17に連結されている。鉗子チャンネル35は、例えば樹脂性の円筒部材である。内視鏡検査下で患部を切開するような場合には、処置具である電気メス(高周波メス)36が鉗子口17から鉗子チャンネル35に挿入される。
プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード15の通信用コネクタ19aと嵌合するソケット40を備えている。ソケット40は、プロセッサ装置11の本体側とコネクタ側を電気的に分離するために、絶縁物(図示なし)を介して筐体41に組み付けられる。この筐体41は、大地(アース)に接地されている。通信用コネクタ19aをソケット40に嵌合させると、CCD30は、タイミング/ドライバ回路42及びDSP43に接続される。
タイミング/ドライバ回路42は、CPU44の指示に応じて制御信号(クロックパルス)を発生し、信号ケーブル32を介して、これをCCD30に入力する。この制御信号により、CCD30から蓄積電荷を読み出すタイミングや、CCD30の電子シャッタのシャッタ速度等が制御される。DSP43は、信号ケーブル32を介して入力される撮像信号に対し、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等を行い、画像(画像データ)を生成する。画像は、デジタル/アナログ変換器(D/A)45によってアナログ信号に変換され、画像としてモニタ20に表示される。また、画像は、通信用コネクタ19aを介して、光源装置12に出力される。
光源装置12は、光源50と、光源ドライバ51と、絞り調節機構52A、52Bと、アイリスドライバ53A、53Bと、これら各部を制御する配光制御手段として機能するCPU54と、メモリやハードディスク等の記憶部54aを備えている。光源50は、光源ドライバ51の制御によって点消灯し、前方に位置する集光レンズ55に向けて照明光を照射する。光源50としては、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、LED(発光ダイオード)、蛍光発光素子、あるいはLD(レーザーダイオード)等を用いることができる。光源50は、どのような内視鏡画像(可視画像や蛍光画像等)を撮像するのか、つまり使用する波長によって適宜選択される。
絞り調節機構52A、52Bは、集光レンズ55と光ファイバ34A、34Bの間にそれぞれ配置され、CCD30によって撮像される内視鏡画像が所望の配光となるように、光源50から発せられた照明光の光量を調節する。絞り調節機構52A、52Bは、照明光が通過する絞り開口の直径(絞り径)を変化させる絞り羽根と、この絞り羽根を駆動するモータをそれぞれ備えている。アイリスドライバ53A、53Bは、絞り調節機構52A、52Bの絞り羽根をそれぞれ開閉することにより、照明光の通過面積を変化させて、光ファイバ34A、34Bに入射する照明光の光量をそれぞれ独立して調節する。
また、絞り調節機構52A、52Bは、集光レンズ55から射出された光を2部するように光軸に対して対称に配置され、光ファイバ34A、34Bに同じ光量の範囲で照射光を供給できるように独立して調整できる。
また、CPU54は、通信用コネクタ19aと光源用コネクタ19bを介してDSP43と接続され、プロセッサ装置11から画像を受け取って、取得した内視鏡画像の対象部位の形状を検出する形状検出手段の機能を有する。CPU54の実行する形状検出処理について、以下に説明する。
まず、光源装置12は、被観察部となりうる部位を表す比較画像と該比較画像の部位の形状を予め対応付けて記憶するハードディスク等の記憶装置からなる記憶部54aを備えている。予め記憶部54aには、生成された画像と比較するための、予め形状が分かっている各臓器についてそれぞれ比較画像が用意され、さらに、同じ臓器であっても、複数の位置および方向で撮影された複数の比較画像が用意されているものとする。そして、各複数の比較画像から輝度値を2値化した輝度値のパターンを表す画像をそれぞれ生成し、記憶部54aに記憶しておく。例えば、略球形状の胃であれば、比較的均一に輝度値が高い領域が分布されたパターンとなり、管状形状である気管支等であれば、周辺部の輝度値が高く、臓器の奥方向に当たる中央付近の輝度値が低いパターンとなる。
記憶部54aには、全ての比較画像の輝度値のパターンに対して、略平坦形状、管腔形状のいずれかの形状が対応付けられた形状決定テーブルT1が記憶されているものとする。なお、そして、CPU54は、撮像された画像を輝度値によって2値化し、撮像された画像の輝度値のパターンを、比較画像の輝度値のパターンと比較する。
ここでは、CPU54は、複数の比較画像ごとに画像の比較画像の輝度値のパターンと撮像された画像の輝度値のパターンの各画素の差分値の総和をとり、差分値の総和が最も小さい比較画像を生成された画像の類似画像として抽出する。そして、抽出された類似画像に対応付けられた形状を生成された画像の被観察部の形状として検出する。なお、かかる比較の前に、必要に応じて、比較画像および撮像された画像の輝度値のレベル調整やサイズ調整などの前処理を行うことが好ましい。
また、CPU54は、検出した被観察部の形状に応じて、複数の照明光学系ごとに独立して光量を増減させる配光制御手段の機能を有する。以下、CPU54の行う配光制御処理の詳細を説明する。
まず、記憶部54aには、形状決定テーブルT1に登録された各形状ごとに、それぞれの照明光学系の絞り調整機構の設定値が対応付けられた設定テーブルT2が記憶されている。なお、本明細書において、比較画像と比較画像に対応する輝度値のパターンと形状決定テーブルと設定テーブルT2などの記憶部54aに用意される各種データは、いずれもCD−ROM等の記憶媒体またはネットワークを介して光源装置12の記憶部54aにコピーされ、適宜更新可能であるものとする。
ここで、本発明の発明者の知見によれば、管腔形状を観察する場合は、管腔形状の奥の部分に照射光が到達しにくいため管腔形状の奥の部分が暗くなり、管腔形状の照射部の先端からすぐ近傍に位置する管腔形状の壁は、観察窓25から被写体が近くなるので、相対的に強い光が照射されるとすぐに飽和し、撮像された画像が見づらくなるという問題があった。また、一方で略球形状の胃など、表面が比較的平坦な臓器を観察する場合は、角度の大きい光量成分まで出来るだけ均一な照射光が照射されることが望ましい。
上記問題について、本発明の発明者の鋭意検討により、被観察部の形状が管腔形状である場合に、被観察部の中央に光量を集中させた管腔形状用配光特性となるように、複数の照明光学系を組み合わせて配光特性を調整し、被観察部の形状が略平坦形状である場合に、被観察部に均一な光量を照射する略平坦形状用配光特性となるように、複数の照明光学系を組み合わせて配光特性を調整することが有効であることが明らかになってきた。
図3に本実施形態の略平坦形状用配光特性の例を示し、図4に本実施形態の照射レンズ33Aの配光特性の例を示し、図5に本実施形態の略平坦形状用配光特性の例を示し、図6に本実施形態の照射レンズ33Bの配光特性の例を示す。なお、図4、図6において、照射角0度は、それぞれ照射レンズ33A、33Bの光軸方向である。なお、図4から7の各照明光学系の配光特性は、直角座標系において、各照明光学系の照射光の最大強度の点と各照明光学系の照射光の光軸を含む平面における配光特性を表している。横軸は、光軸を0度とした照射角を示し、縦軸は照射角0度の光量を1として、他の照射角における光量を相対的な比で表した規格化光量を示す。ここでは、配光特性の光量を規格化光量で示したが、光の強度の一般的な光量単位であるlx(ルクス)やw(ワット)などで表してもよい。また、図3および図5は、内視鏡の対物レンズの光軸を複数の照明光学系の光軸と近似的にみなして、内視鏡の対物レンズの光軸を照射角0度としている。
本実施形態では、CPU54が、図3に示すように、被観察部の形状が管腔形状である場合に、第1の照明光学系の光軸方向である照射角0度に光量を集中させた管腔形状用配光特性となるように、複数の照明光学系の光量を調整する。
本実施形態においては、上記の管腔形状用配光特性を実現するために、図4に示すように、第1の照明光学系の照射レンズ33Aが、光軸方向に相対的に大きい光量が集中するように、光軸方向である照射角0度をピークとした単峰形状に光軸に対称に光の強度が分布した配光特性を有する。すなわち、CPU54は、第1の照明光学系に供給する光量を相対的に大きくし、第2の照明光学系に供給する光量を第1の照明光学系に供給する光量よりも小さくすることにより、本実施形態の管腔形状用配光特性となるように、複数の照明光学系の光量を調整できる。
なお、上記のように所定の方向に光量を集中させた配光特性は内視鏡のような管腔形状を観察する撮像装置に基本的に好ましく用いることができるが、被観察物の形状や検査目的に応じて適宜設計することが好ましい。すなわち、ピークを有する方向は、光軸方向以外でもよい。例えば、蛇行する管腔形状である大腸などでは、進行方向からずれた方向に管腔形状の奥の部分が撮影される場合があるので、図10に示す配光特性の例のように、光軸とずれた所定の方向をピークとした単峰形状に分布した配光特性を有するさらなる照明光学系を備えてもよい。
また、図5に示すように、本実施形態では、被観察部の形状が略平坦形状である場合に、CPU54は、被観察部に均一な光量を照射する平坦形状用配光特性となるように、複数の照明光学系の光量を調整する。
上記平坦形状用配光特性を実現するために、本実施形態では、図6に示すように、第2の照明光学系の照射レンズ33Bは、所定の方向と異なる方向に光量を集中させた配光特性を有するものであり、さらには、所定の方向である光軸方向の光量を相対的に小さくし、光軸方向と異なる方向に照射される光量を相対的に大きくした配光特性を有するものである。なお、第2の照明光学系の配光特性は、第2の照明光学系の光軸に対して対称であり、図6に示すように、第2の照明光学系の照射光の最大強度の点と第2の照明光学系の照射光の光軸を含む平面においては、照射レンズ33Bの配光特性は照射角0度を挟んで2つのピークを有する、双峰形状に分布する。CPU54は、第1の照明光学系に供給する光量を相対的に小さくすると共に、第2の照明光学系に供給する光量を相対的に大きくすることにより、本実施形態の略平坦形状用配光特性となるように、複数の照明光学系の光量を調整できる。
また、被観察部の形状が略平坦形状である場合に、均一な光の強度が所定の照射角の範囲にわたって分布することが好ましく、この観点から略平坦形状用配光特性において、図6の例よりもさらに広い照射角の範囲に略均一な光量が分布することが好ましい。しかしながら、被観察物の形状や検査目的の許容範囲であれば、略平坦形状用配光特性において均一な光量が分布する所定の照射角の範囲は任意に設定できる。
本実施形態では、上記の本実施形態の管腔形状用配光特性や略平坦形状配光特性を実現する第1の照明光学系の絞り調節機構52Aの設定値と第2の照明光学系の絞り調節機構52Bの設定値を、予め計測して取得し、取得した各照明光学系の絞り調節機構の設定値を管腔形状に対応付けて設定テーブルT2に記憶しておく。
そして、CPU54は、形状を検出すると設定テーブルT2を参照して、検出した形状に応じた各照明光学系の絞り調節機構の設定値を特定し、アイリスドライバ53A、54Bを制御して絞り調整機構52A、52Bを特定された設定値になるよう駆動することで、各照明光学系に対する照射光の通過面積を調整して各照明光学系の配光特性を変化させ、上記管腔形状用配光特性や略平坦形状用配光特性を実現する。
挿入部13の可撓管部13aは、可撓性の螺管と、螺管の伸張を防止するネットと、ネットの上に樹脂を被着した外層とから構成されている。この可撓管部13aの内部には、複数の信号ケーブル32と、鉗子チャンネル35と、光ファイバ34A、34Bが近接して並行に遊通されている。
次に、図8に示すフローチャートに従って、以上のように構成された内視鏡システム2の作用について説明する。図8は、本実施形態の処理の流れを示す図である。
まず、観察開始時に、電子内視鏡10をプロセッサ装置11に接続すると、CCD30がタイミング/ドライバ回路42及びDSP43に接続される。内視鏡システム2の電源を投入すると、プロセッサ装置11及び光源装置12が起動する。光源装置12では、CPU54がアイリスドライバ53A、53Bを制御し、絞り調整機構52A、52Bをそれぞれあらかじめ設定した初期の絞り状態に設定する。ここでは、均一な配光である第2の照明光学系にのみ所定の光量を供給する。次いで、光源50が点灯し、集光レンズ55に向けて照明光が照射される。照明光は、集光レンズ55により光ファイバ34Aおよび34Bの入射端に導かれ、電子内視鏡10の先端部13cまで導光される。
そして、各光ファイバ34A、34Bの出射端から出射され、光学素子33A、33Bをそれぞれ通過し、照明窓26A、26Bをそれぞれ通過して被観察部に照射される。すなわち、照明部から照射光が被観察部に照射される(S01)。
そして、照明光により照明された体腔内の被観察部の画像がCCD30で撮像される(S02)。CCD30から出力された撮像信号は、回路基板31のアナログ処理回路で各種処理が施された後、信号ケーブル32を介してプロセッサ装置11のDSP43に入力される。DSP43は、入力された撮像信号に対して各種信号処理を施し、画像を生成する。生成された画像は、D/A45を経て、モニタ20に表示画像として表示される。また、生成された画像は、通信用コネクタ19aを介して、光源装置12のCPU54に入力される。
そして、CPU54は、記憶部54aに記憶された複数の比較画像の輝度値のパターンを光源装置12に備えられた不図示のメモリ上に読み出し、撮像された画像の輝度値のパターンと複数の比較画像とを順に比較することにより、撮像された画像と最も類似する比較画像を抽出する。そして形状決定テーブルT1を参照し、比較画像に対応付けられた形状を被観察部の形状として検出する(S03)。
次いで、CPU54は、記憶部54aに記憶された設定テーブルT2を参照して、検出された被観察部の形状に対応づけられた各照明光学系の絞り調整機構52A、52Bの設定値を配光特性として特定する。
そして、CPU54は、特定された設定値に従ってアイリスドライバ53A、53Bを制御する。すると、アイリスドライバ53A、53Bが、絞り調整機構を駆動し、特定された設定値になるよう各照明光学系に対する照射光の通過面積をそれぞれ調整して光量を増減させ、各照明系の配光特性が調整される(S04)。
例えば、CPU54が、被観察部の形状として管腔形状を検出すると、設定テーブルT2を参照して、検出した管腔形状に対応付けられた各照明光学系の絞り調節機構の設定値を特定し、アイリスドライバ53A、53Bを制御して絞り調整機構52A、52Bを特定された設定値になるよう駆動することで、各照明光学系に対する照射光の通過面積を調整して各照明光学系の配光特性を変化させ、図4に示すような管腔形状用配光特性で照明光を照射せしめる。
また、CPU54が、被観察部の形状として略平坦形状を検出すると、設定テーブルT2を参照して、検出した略平坦形状に対応付けられた各照明光学系の絞り調節機構の設定値を特定し、アイリスドライバ53A、53Bを制御して絞り調整機構52A、52Bを特定された設定値になるよう駆動することで、各照明光学系に対する照射光の通過面積を調整して各照明光学系の配光特性を変化させ、図6に示すような略平坦形状用配光特性で照明光を照射せしめる。
そして、CPU54は、内視鏡システム2の電源が投入されている間、すなわち、観察が継続している間は(S05のN)、一定期間ごとに撮像された画像に対して、上述の被観察対象の形状を検出し、検出された形状に応じて配光特性を変化させる工程を繰り返す。一方、内視鏡システム2の電源が切られると、観察が終了する(S05のY)。この一定期間は、ユーザが任意に設定可能であるものとする。
なお、内視鏡検査下で患部の処置が必要な場合には、電気メス36が鉗子口17から鉗子チャンネル35に挿入される。そして、高周波の電流を印加した電気メス36の先端を患部に接触させて、患部の切開や凝固が行なわれる。
以上のように、本実施形態の内視鏡用画像撮像装置によれば、撮像された画像から被観察部の形状を検出し、検出した被観察部の形状に応じて、複数の照明光学系ごとに独立して光量を増減させる配光制御を行うため、形状に応じてそれぞれ異なる配光特性を有する複数の照明手段の光量を柔軟に調整できる。結果として、被観察部の形状に対応した適切な配光特性を有する照射光を照射し、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な観察画像が得られる。また、複数の照明手段を組み合わせることより、1つの照明手段により配光を調整する場合より、簡易な構造で配光を変更することができ、内視鏡の小型化の要求にも対応しやすい。
また、特許文献2のように、光の方向と垂直に隣接する光路間で単一のシャッタを移動させることにより、2つの照明光学系への照射光の通過比率を変更する光量制御を行う方法では、一方の照明光学系の照射光の通過比率を大きくすると、これに連動して他方の照明光学系の照射光の通過比率が小さくなるため、配光調整できる範囲が極めて狭かった。例えば、両方の照明光学系の照射光の通過比率を両方とも大きくするなどの制御は不可能であり、2つの照明光学系の光量比を柔軟な組み合わせで変更することはできなかった。しかしながら、本実施形態における配光部は、複数の照明光学系を独立して制御するものであるため、特許文献2のような複数の照明光学系間での光量調整の制約がなく、より柔軟に複数の照明光学系の配光を制御することができ、観察に適した画像を得ることができる。
また、所定の時間間隔で、撮像された画像に対し、被観察部の形状を検出し、被観察部の形状に応じて自動的に配光特性を調整するため、観察する際に、内視鏡の移動する度に配光を調整する必要がなく、効率よく観察に適した良好な画像が得られる。
また、複数の照明光学系のうち、第1の照明光学系が、所定の方向に光量を集中させた配光特性を有するものであるため、所望の領域が所定の方向に配置されるよう撮像装置を配置することで、所望の領域に集中的に照射光を照射することができる。例えば、管腔形状の奥の部分など光量不足の領域に集中的に照射光を照射することができるため、照射光の不足が抑制された良好な画像を得ることができる。また、所定の方向ではない領域に照射する光量が相対的に小さいものとなるため、所定の方向ではない領域に過剰の照射光を照射することを抑制できる。例えば、被観察部が管腔形状である場合、管腔形状の周辺領域に配置される部分に照射される光量が相対的に小さいものとなるため、管腔形状の手前部分で照射光が過剰に照射されてハレーションが生ずることを低減できる。
また、複数の照明光学系のうち、第2の照明光学系が、所定の方向と異なる方向に光量を集中させた配光特性を有するものであるため、第2の照明光学系に相対的に大きい光量を供給し、第1の照明光学系に相対的に小さい光量を供給することにより、所定の方向に照射光が集中することを避けて照射光を照射することができるため、形状に応じて適した配光で照明光を照射することができる。
また、本実施形態によれば、CPU54は、複数の照明光学系は、互いに配光特性の異なる2つの照明光学系からなるものであり、2つの照明光学系のうち一方の照明光学系が被観察部の中央に光量を集中させた配光特性を有するものであり、他方の照明光学系が被観察部の周辺に光量を集中させた配光特性を有するものであるため、被観察部が略球形状または略平坦形状である場合に、第1の照明光学系に相対的に小さい光量を供給することにより、第1の照明光学系の光軸付近に配置される被観察部の中央で照射光が飽和しハレーションが生ずることを低減でき、第2の照明光学系に相対的に大きい光量を供給することにより、第1の照明光学系の光軸方向とは異なる方向に配置される被観察部の周辺領域に相対的に大きい光量を供給できる。この結果、第1と第2の照明光学系の光量を加算することにより広い照射角の範囲にわたって均一な配光特性を得ることができる。つまり、略平坦形状の被観察部に対して、照射光の過剰や不足が抑制された良好な画像を得ることができる。
また、本実施形態の複数の照明光学系は、光学素子のみを異ならせて複数の照明光学系の配光特性を異ならせたため、光学素子以外の部品を複数の照明光学系で共有でき、組み立て等作業が共通化できるため、製造コストの抑制に資する。
なお、本実施形態に限られず、各照明光学系の光量のピークの位置および所定の方向は、被観察部の形状又は検査目的に応じて、適宜設定されてよい。
また、本実施形態の内視鏡用画像撮像装置が、被観察部となりうる部位を表す比較画像と比較画像の部位の形状を予め対応付けて記憶する記憶部54aを備え、形状検出部54が、画像に類似する比較画像を抽出し、抽出された比較画像に対応づけられた比較画像の部位の形状を被観察部の形状として検出するものであるため、撮影部から得られた画像の形状を精度良く検出できるため、より精度良く形状に応じた光量の制御を行うことができ、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な画像を得ることができる。
以下、CPU54の形状検出処理および配光制御処理の応用例を説明する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、同じ点は説明を省略する。
例えば、第2の実施形態として、CPU54の形状検出機能は、画像の中央領域と、画像から中央領域を除いた周辺領域の合焦状態を検出し、両者が一致する場合は被観察部の形状を平坦形状として認識し、両者が一致しない場合は被観察部の形状を管腔形状として認識するものであってもよい。例えば、画像の中央領域の一部を所定の大きさでサンプリングし、サンプリングした領域のコントラストを検出し、同様に、画像の周辺領域の一部を所定の大きさでサンプリングし、サンプリングした領域のコントラストを検出する。そして、両者のコントラストを比較し、両者の差が所定の範囲以内であれば、被観察部の形状を平坦形状として認識し、両者の差が所定の範囲より大きければ、被観察部の形状を管腔形状として認識することができる。
上記の場合には、撮影部から得られた画像の形状を精度良く検出できるため、より精度良く形状に応じた光量の制御を行うことができ、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な画像を得ることができる。
また、第3の実施形態として、第1の実施形態の形状検出手段の実行する形状検出方法の変形例を説明する。CPU54は、第1の実施形態の形状検出手段の実行する形状検出方法に代えて、撮像された画像と比較画像の類似を判断可能なものであれば、周知のあらゆる方法を適用可能である。
例えば、撮像された画像と比較画像との類似度の算出は、撮像された画像と比較画像の特徴を抽出して類似度を算出する周知の種々の方法を用いることができ、一例として、各画像のエッジをそれぞれ抽出し、抽出されたエッジを比較することにより判断してもよく、上記の方法以外にもそれぞれの画像の特徴を抽出するように所定の処理を施した処理画像により、それぞれの画像の特徴を比較することにより行ってもよい。
上記方法によれば、撮影部から得られた画像の形状を画像の特徴から精度良く検出できるため、より精度良く形状に応じた配光制御を行うことができ、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な画像を得ることができる。
また、第4の実施形態として、形状検出手段は、被観察体の形状を撮像された画像の光量の不足領域または過剰領域として検出するものであり、配光制御手段は、検出された光量の不足領域または過剰領域としきい値を用いて撮像された画像の輝度が予め定めた値の範囲以内になるように配光制御を行うものであってもよい。
例えば、CPU54は、撮影した画像を構成する各画素の輝度を第1のしきい値と比較し、第1のしきい値より輝度が大きい領域があれば、照射光が過剰に照射された過剰領域であると判断し、第1の照明光学系と第2の照明光学系の光量の比率を変更する。そして、過剰領域がなくなるまで、かかる光量の比率の変更を繰り返す。
また、第1のしきい値より小さい第2のしきい値を設け、撮影した画像を構成する各画素の輝度を第2のしきい値と比較し、第2のしきい値より輝度が小さい照射光の領域があれば、照射光が不足した不足領域であると判断し、第1の照明光学系と第2の照明光学系の光量の比率を変更する。そして、不足領域がなくなるまで、かかる光量の比率の変更を繰り返す。
そして、上記光量調整を繰り返し、全ての画素の輝度値が第1のしきい値と第2のしきい値の間になるように、各照明光学系の光量を調整する。なお、光量を調整しても、全ての画素の輝度値が第1のしきい値と第2のしきい値の間にならない場合には、所定の時間内で、第1のしきい値を超える輝度値が最も少なくなるように調整した配光を最終的な配光特性として適用する。また、光量を調整しても、全ての画素の輝度値が第1のしきい値と第2のしきい値の間にならない場合には、所定の時間内で、第2のしきい値を下回る輝度値が最も少なくなるように調整した配光を最終的な配光として適用してもよく、第1のしきい値を超える輝度を有する画素の面積または強度と第2のしきい値を下回る輝度を有する画素の面積または強度を重み付けして最適な配光を決定してもよく、周知の様々な方法を適用可能である。
第4の実施形態によれば、撮影部から得られた画像と所定のしきい値を用いて、柔軟に形状に応じた光量の制御を行うことができ、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な画像を得ることができる。
また、第5の実施形態として、複数の臓器ごとに各臓器の形状を対応付けた対応付けテーブルを予め記憶部に記憶し、周知のコンピュータを用いて画像から臓器を抽出するCAD技術(computer-aided diagnosis)等により撮影した画像から臓器認識を行い、対応付けテーブルを参照して認識された臓器に対応付けられた形状を検出してもよい。形状に応じた光量の制御を行うことができ、照射光の不足や照射光の過剰な照射が抑制された良好な画像を得ることができる。
以下、本明細書に記載された内視鏡用画像撮像装置のその他の設計変形例について説明する。
複数の照明光学系の配光特性は、被観察部の形状や検査目的に応じて、自由に設計してよい。例えば、第1の実施形態において、略平坦形状と管腔形状以外の複数の形状を撮像した比較画像を用意して、各比較画像ごとにそれぞれの形状をさらに形状決定テーブルT1対応付けるとともに、形状決定テーブルT1に対応付けられた形状に対してそれぞれ適した配光特性を設定テーブルT2に設定しておく。そして、CPU54は、形状決定テーブルT1を参照して撮像された画像から形状を検出し、設定テーブルT2を参照して形状に応じた配光特性となるよう配光制御を行ってよい。また、各配光特性を何個の照明光学系により、各照明光学系にどのような光量の配分をして実現するかについて、自由に設計してよい。また、各複数の照明光学系の光学素子は、単数でも複数でもよく、周知の様々な形態で各照明光学系を構成してよい。
図9は、第1の実施形態の設計変更例による、内視鏡挿入部の先端を正面から見た場合の外観構造を示す概略図である。図10は、さらなる照明光学系の配光特性を示す図である。
図9は、照明窓26Cの奥には、体腔内に向けて照明光を照射するさらなる光学照明系の照射レンズ33Cが取り付けられている。このように、複数の照明光学系として、上記各実施形態に限られず、さらなる照明光学系を備えてもよい。さらなる照明光学系は、照射レンズ33Cの配光特性が第1,第2の配光特性と異なること以外は、例えば、第1、第2の照明光学系と同様に構成してよい。すなわち、照射レンズ33Cと、光ファイバと、絞り調節機構と、アイリスドライバと、集光レンズ55と、光源50と、光源ドライバ51と、これらを制御するCPU54からなる、独立してもう一つの内視鏡照明として機能するように構成してよい。
例えば、さらなる照明光学系が、図10に示すように、照射角Pのように光軸からずれた方向に光量を集中させた、光軸に対して非対称な単峰形状の配光特性を備えていてもよい。この場合、腸などの蛇行する管腔形状の部位を観察する場合、図10に示すように、光軸とずれた位置に管腔形状の奥方向や観察対象となる関心領域が存在した場合に、集中して関心領域に配光でき、柔軟に被観察部位の形状に対応した照射光を照射できる。
また、複数の照明光学系は配光がそれぞれ異なるものであれば、各照明光学系の構成を共有してもよく、個々に備えてもよい。例えば、各照射レンズごとに光ファイバおよび光源を個々に備えて複数の照明光学系を構成してもよく、本実施形態のように、1つの光源に対して、複数の光ファイバおよび各光ファイバに対応する照射レンズを設けることによって複数の照明光学系を構成してもよい。また、光ファイバを使わず先端に直接LEDを実装してもよい。光量制御としては絞り調整機構により照明光の通過面積を制御する代わりに、LEDの駆動電流を制御してもよい。
また、上記各実施形態では、光源装置12に備えられたCPU54が形状検出手段と配光制御手段を兼ねた構成としたが、形状検出手段の実行する処理である形状検出処理を外部にさらに接続した計算機端末で実行するなど、形状検出手段と配光制御手段の機能の一部または全部を、プロセッサ装置11または外部にさらに接続した計算機端末と分担する構成としても良い。
被観察部の形状として、被観察部の管腔形状と略平坦形状以外にも様々な形状を定義し、目的に応じて配光を異ならせてもよい。また、径のサイズや分岐などに応じて、複数の管空形状を個々に識別してもよい。
第1の実施形態では、一定期間ごとに、形状検出処理と配光制御処理を行ったが、内視鏡システム2において、時間的に連続する複数の画像を撮像し、時間的に連続する2つ画像のペアごとに先の画像と後続画像の類似度を算出し、算出された時間的に連続する画像のしきい値より大きい場合にのみ、第1の実施形態の形状検出処理と配光制御処理を行ってもよい。
また、上記実施形態は、本発明の内視鏡用画像撮像装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡装置やカプセル内視鏡装置を有するその他の内視鏡システムに適用してもよい。また、内視鏡システムに限らず、体内に挿入される挿入部を備えていない、いわゆるビデオカメラ型の医用内視鏡用画像撮像装置に適用してもよい。
本明細書の各実施形態および変形例は、本発明の本質を逸脱しない範囲において任意の組合せおよび各種の変形を包含するものとする。