JP2012147513A - 磁気ギヤ及びそれを有する回転機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転機については近年、小型化や高出力化が進み、冷却が重要になっている。一般的な回転機では回転軸に取り付けられた遠心送風機が発生する冷却風路の空気流により、回転機の発熱が冷却される。このような構造の回転機に前述した磁気ギヤを取り付けると、回転機,冷却機構,磁気ギヤそれぞれが独立しており、全体の体積が大きくなるという課題がある。
【解決手段】磁気ギヤの内側ロータ,外側ロータ,中間ロータのいずれかに送風機を接続し、内側ロータ,外側ロータ,中間ロータのいずれかまたはすべてに冷却風路となる孔をあけることにより、全体を小型化でき、かつ、回転機を効率よく冷却できる。
【選択図】 図3
【解決手段】磁気ギヤの内側ロータ,外側ロータ,中間ロータのいずれかに送風機を接続し、内側ロータ,外側ロータ,中間ロータのいずれかまたはすべてに冷却風路となる孔をあけることにより、全体を小型化でき、かつ、回転機を効率よく冷却できる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、磁気ギヤや回転機に関する。
近年、以下非特許文献1にあるように、磁石の材料技術が向上したため、磁気によって力を伝達する磁気ギヤが検討されるようになった。以下文献には、入力軸に設置され磁石を周囲に配置した内側ロータと、負荷側軸に設置され磁石を周囲に配置した外側ロータと、前記内側ロータと前記外側ロータの中間に磁性体を配置した中間ロータから構成される磁気ギヤの特性について述べられている。このような磁気ギヤでは、内側ロータ,外側ロータ又は中間ロータは独立して回転させることができるため、磁石と磁性体の配置を工夫することにより、自由にギヤ比を設定できる。また、機械式のギヤと比べると潤滑油が必要ないこと、非接触であるので防音性が優れていること等の特徴がある。
K. Atallah and D. Howe "A Nobel High-Performance Magnetic Gear", IEEE Trans. Mag., Vol. 37, No. 4, July 2001, p.2844
Journal of the Magnetics Society of Japan Vol.33, No.2,2009 「永久磁石式磁気ギヤの効率向上に関する一考察」
Journal of the Magnetics Society of Japan Vol.34, No.3,2010 「永久磁石式磁気ギヤの回転子構造に関する検討」
しかしながら、上記非特許文献においては、近年小型化や高出力化が進んでいることにより重要性が増しているシステム全体の冷却(発熱の問題)については、一切考慮されていない。そのため、上記非特許文献に開示されているような構成において、通常の冷却機構をそのまま適用すれば、回転機,冷却機構,磁気ギヤそれぞれが独立しているため、全体の体積が大きくなってしまうという問題があった。また、機器から生じる熱を効率よく放熱することはできない。すなわち、上記非特許文献の技術では、小型化,高出力化及び高効率な冷却を実現することは困難になる。
上記課題を解決するために、例えば、磁気ギヤ内部および回転機を冷却するために効率よく冷却風を導入することが重要である。本発明は上記の課題を解決するものであり、その手段を以下に記述する。本発明の第一の手段は、内側ロータと、外側ロータと、前記内側ロータと前記外側ロータの中間に磁性体を配置した中間ロータから構成される磁気ギヤにおいて、前記内側ロータ,前記外側ロータ,前記中間ロータのいずれかに冷却風路となる孔を設けるように構成すればよい。
本発明によれば、磁気ギヤを含めた回転機システムを小型化できるとともに効率よく回転機および磁気ギヤの発熱を冷却することができる。
以下、図面を用いて詳述する。
本発明における実施例について説明する。図1は、従来の回転機の冷却機構を示す。回転機1は回転機の回転軸に取り付けられた遠心送風機2が発生する冷却風路3の空気流により、回転機1の発熱が冷却される。
図2は、本実施例の磁気ギヤの構造を示す。図2に示される磁気ギヤの構造は、複数の環状構成物から構成され、当該環状構成物の円の中心方向を内側、その反対方向を外側と定義する。この磁気ギヤは、内側ロータ11,内側磁石12,中間ロータ13,磁性体14,外側ロータ15及び外側磁石16から構成される。内側磁石12は内側ロータ11に、磁性体14は中間ロータ13に、外側磁石16は外側ロータ15にそれぞれ接着,圧着,樹脂埋め込み等により組み込まれている。内側ロータ11,中間ロータ13及び外側ロータ15は同軸であり、それぞれ自由に中心軸を中心に回転できる。
内側磁石12及び外側磁石16に関し、隣り合う磁石はN極・S極が交互に並んでいる。磁性体14は、隣り合う磁性体とは適度な厚みの非磁性体を介して接している。このような構成において、内側磁石12,磁性体14及び外側磁石16の数を調整すると、内側ロータ11を回転した時、外側ロータ15は一定のギヤ比で回転することができる。
図3は、上述のような磁気ギヤと接続した回転機を用いた駆動システムの例を示す。回転機は、回転機ケース31,固定子32及び回転子33から構成される。内側ロータ11には回転機の回転子33の回転軸34が接続され、回転子33は回転機ケース31に取り付けられた固定子32の電磁力によって回転する。図面向かって左側を磁気ギヤ側、右側を回転機側とする。
外側ロータ15に遠心送風機21が接続され、内側ロータ11,中間ロータ13,外側ロータ15,磁気ギヤケース22のすべてに冷却するための風の通り道(冷却風路3)を構成する孔17,18,19及び23が軸方向と垂直な面に開けられている。
この駆動システムにおける主な発熱個所は回転機である。ここに示した回転機は固定子と回転子の間に外部から冷却用の空気を供給せず、回転機の熱伝導と内部の空気の撹拌による伝熱により発熱を回転機の外表面から冷却する構造である。したがって、図1に示すような従来の回転機のように、遠心送風機等を設置し、それが発生する空気流を用いて冷却することが望ましい。しかし、回転機に密閉した磁気ギヤを取り付けると、図1に示すような空気流を実現できない。そこで、回転機の磁気ギヤ内部から回転機の外表面に向かう空気流を作るために磁気ギヤケースに空気が通過できる孔や、空気を流すための送風機を磁気ギヤに設けることが望ましい。また、磁気ギヤに関しても磁石および磁性体において渦電流の発生により回転機本体ほどの発熱量ではないものの、発熱が予想される。このような構造とすることにより、磁石および磁性体も空気流により冷却が可能である。
なお、図3においては、便宜上、孔17,18,19及び23のうち一つの孔のみ指示線を用いて指示している。図3では、内側ロータ11,中間ロータ13,外側ロータ15及び磁気ギヤケース22とが、軸方向と垂直な面を有することを前提にしたが、これに限定するものではない。例えば、他の構成部品との関係で、内側ロータ11,中間ロータ13,外側ロータ15及び磁気ギヤケース22のいずれかが若干傾いていたりする構造も考えられる。その場合であっても、磁気ギヤ側より回転機側(もしくはその逆)の方向へ風が流れやすいように孔を配置すればよい。
図3においては、外側ロータ15に遠心送風機21が取り付けられている。
遠心送風機21は円盤上に複数の羽を垂直状に角度を持たせて、ドラム状にした構造であり、多翼ファンの一種である。横方向に風が出ることが特徴である。したがって、外側ロータ15に遠心送風機21を取り付けると、磁気ギヤ内部から外部に向かって風を送ることができる。
この遠心送風機21を設けることにより、磁気ギヤ内部の加熱された空気を外部に放出することができ、さらに、遠心送風機21から出た空気を回転機ケース31表面に沿うような向きに曲げることにより磁気ギヤおよび回転機の効果的な冷却構造を実現できる。
また、図3のように外側ロータのみに遠心送風機21を設けるのは、外側ロータ15が内側ロータ11や中間ロータ13より外側に位置することにより取り付けが容易であるためである。また、更に、空気の流れを磁気ギヤや回転機外側(駆動システム外)へ流れやすくする作用効果も生じ、更なる冷却効果が期待できる。
なお、この磁気ギヤは、内側ロータ11及び中間ロータ13も中心軸に対して回転するので、遠心送風機21はそれらのいずれに取り付けても構わない。どのロータに取り付けるかは、内側ロータ11,中間ロータ13及び外側ロータ15の位置関係や他の装置との位置関係を考慮したり、取り付けやすさや空気の流れやすさなどの観点により適宜判断すればよい。
また、内側ロータ11,中間ロータ13,外側ロータ15及び磁気ギヤケース22の間は接触していないので、これらの非接触空間を冷却風路とすることも可能であり、図3のように孔17,18及び19全てを空ける必要はない。例えば、孔17,18又は19のいずれかの孔がない構造も考えられる。
孔19がない場合では、磁気ギヤケース22と外側ロータ15の間が主な冷却風路となるため、外側磁石16を効率よく冷却することが可能であるが、中間ロータ13に設置された磁性体14、内側ロータ11に設置された内側磁石12には外部から流入する空気に直接さらされないため、冷却効率が悪くなる。
孔18がない場合では、外側ロータ15と中間ロータ13の間が主な冷却風路となるため、外側磁石16と磁性体14を効率よく冷却することが可能であるが、内側磁石12には外部から流入する空気に直接さらされないため、冷却効率が悪くなる。
孔17がない場合では、中間ロータ13,内側ロータ11の間が主な冷却風路となるため、磁性体14と内側磁石12を効率よく冷却することが可能である。ただし、外側磁石16も外部から流入する空気に直接さらされるため、望ましい構造である。
しかし、孔17,18及び19全てが存在すると、回転機ケース31の磁気ギヤ側からの冷却も期待できるため、さらに理想的である。
孔の設置については、外側磁石16,磁性体14,内側磁石12,回転機ケース31の磁気ギヤ側の発熱量を見込んで、設置/非設置を決定することが望ましい。
図4に外側ロータ15の孔の構造例を示す。この構造は内側ロータ11,中間ロータ13にも適用できる。図5は外側ロータを回転機側から見た外観図である。外側ロータ15の回転軸41の周りには孔19が放射状に空けられている。孔19は扇形の一部をくり抜いたような略扇形状である。このような略扇形の形状のような孔にすることで、磁気ギヤ自体の軽量化に貢献するという効果がある。
なお、孔19は、丸孔等でもよく、構造上強度を保つことが可能であれば形状は問わない。
また、図5のように、孔19を加工し、軸流送風機42としてもよい。軸流送風機は一般的な扇風機,換気扇や船舶のスクリューのような形状であり、軸の周りに傾きを持った羽根を多数設けた構造であり、軸の回転によって軸方向に風を送ることができる。この場合、回転機の回転方向を逆転させると冷却風路3を示す矢印とは逆方向に軸流送風機42が風を流すので、遠心送風機21の風の流れと逆方向になる場合があるので、回転軸41の回転方向が一定とすることが望ましい。
以上のような磁気ギヤを組み込んだ回転機とすることにより、回転機が回転すると冷却風路3に沿って風が流れ、回転機ケース31の表面から効率よく回転機の発熱を冷却することができる。
次に、第2の実施例について説明する。磁気ギヤの基本構造は図2と同様である。
以下、このような磁気ギヤを回転機といっしょに組み込んだ駆動システムについて説明する。
図6は、外側ロータ15に遠心送風機21が接続され、回転機ケース31に孔35及び36が空けられた実施例を示す。
図6のように回転機ケース31の回転軸と垂直な面に孔36を設け、外側ロータ15に遠心送風機21を設けることで、回転機が回転するとロータ側に設けられた空孔や回転子と固定子の間から構成される冷却風路3に沿って風が流れるため、回転機内部から効率よく回転機の発熱を冷却することができる。
また、回転機ケース31に孔35及び36が空いていることから、磁気ギヤで発生した熱を、回転機を通じ孔35経由で駆動システム外に逃がすということができる。
次に、第3の実施例について説明する。磁気ギヤの基本構造は図2と同様である。
以下、第2の実施例同様に、このような磁気ギヤを回転機といっしょに組み込んだ駆動システムについて説明する。
図7は、外側ロータ15に軸流送風機42が取り付けられ、磁気ギヤケース22,中間ロータ13,外側ロータ15,回転機ケース31には孔23,17,18,35及び36が空けられた例を示す。
図7においては、便宜上、孔35及び36のうち一つの孔のみ指示線を用いて指示している。
図7では、磁気ギヤは内側ロータ11,中間ロータ13及び外側ロータ15がそれぞれ回転するので、軸流送風機42はそれらのいずれに取り付けても構わない。軸流送風機42は図示していないが、実施例1と同様の構造のものを設置してもよい。
軸流送風機42が取り付けられていないロータは孔が空いていることが望ましい。内側ロータ11には回転機の回転子33の回転軸34が接続され、回転子33は回転機ケース31に取り付けられた固定子32の電磁力によって回転する。
以上のような磁気ギヤを組み込んだ回転機とすることにより、回転機が回転すると冷却風路3に沿って風が流れ、回転機内部から効率よく回転機の発熱を冷却することができる。
次に、第4の実施例について説明する。磁気ギヤの構造は図2と同様である。
以下、第2及び第3の実施例同様に、このような磁気ギヤを回転機といっしょに組み込んだ駆動システムについて説明する。
図8は、外側ロータ15に遠心送風機21が接続され、回転機ケース31には孔35,36が空けられた実施例を示す。
前述してきたように、この磁気ギヤは内側ロータ11及び中間ロータ13も回転するので、遠心送風機21はそれらのいずれに取り付けても構わない。
内側ロータ11には回転機の回転子33の回転軸34が接続され、回転子33は回転機ケース31に取り付けられた固定子32の電磁力によって回転する。さらに、内側ロータ11には冷却フィン24が取り付けられている。
この場合の冷却フィン24とは、複数の金属等の良熱伝導体の板が、風が通る間隙を持って内側ロータ11に概略垂直に取り付けられた構造である。したがって、図8のように冷却風路が構成されれば、冷却フィン24に風がさらされる構造である。
以上のように、内側ロータ11に冷却フィン24を備えることにより、回転子と位置的に近い内側ロータ11から直接的に回転子を冷却することができ、回転機の冷却効率が向上する。
ここでは、内側ロータ11に冷却フィン24を取り付けた場合を説明したが、この構造は、他の実施例においても適用可能であることは言うまでもない。
1 回転機
2 遠心送風機
3 冷却風路
11 内側ロータ
12 内側磁石
13 中間ロータ
14 磁性体
15 外側ロータ
16 外側磁石
17,18,19,23,35,36 孔
21 遠心送風機
22 磁気ギヤケース
24 冷却フィン
31 回転機ケース
32 固定子
33 回転子
34,41 回転軸
42 軸流送風機
2 遠心送風機
3 冷却風路
11 内側ロータ
12 内側磁石
13 中間ロータ
14 磁性体
15 外側ロータ
16 外側磁石
17,18,19,23,35,36 孔
21 遠心送風機
22 磁気ギヤケース
24 冷却フィン
31 回転機ケース
32 固定子
33 回転子
34,41 回転軸
42 軸流送風機
Claims (14)
- 第1のロータと、第2のロータと、前記第1のロータと前記第2のロータの間に磁性体を配置した第3のロータと、第1のロータを覆うケーシングから構成される磁気ギヤであって、
前記第1のロータ,前記第2のロータ,前記第3のロータ及び前記ケーシングにおいて孔があけられていることを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項1記載の磁気ギヤにおいて、
前記孔の形状が、略扇形の形状であることを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項1記載の磁気ギヤにおいて、
前記第1のロータ,前記第2のロータ,前記第3のロータのいずれかに送風機が備えられたことを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項1記載の磁気ギヤにおいて、
前記孔が、前記第1のロータ,前記第2のロータ,前記第3のロータ及び前記ケーシングの軸方向において設けられていることを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項1記載の磁気ギヤにおいて、
前記第2のロータに、冷却フィンが備えられることを特徴とする磁気ギヤ。 - 入力軸に設置され周囲に磁石が配置された内側ロータと、負荷側軸に設置され周囲に磁石が配置された外側ロータと、前記内側ロータと前記外側ロータの中間に磁性体を配置した中間ロータから構成される磁気ギヤであって、
前記磁気ギヤを覆うケーシングを設け、
前記内側ロータ,前記外側ロータ,前記中間ロータ及び前記ケーシングの全てに冷却用の孔が設けられていることを特徴とする磁気ギヤを有する回転機。 - 請求項6記載の磁気ギヤにおいて、
前記孔の形状が、略扇形の形状であることを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項6記載の磁気ギヤにおいて、
前記内側ロータに送風機が備えられたことを特徴とする磁気ギヤ。 - 請求項6記載の磁気ギヤにおいて、
前記孔が、前記外側ロータ,前記内側ロータ,前記中間ロータ及び前記ケーシングの軸方向において設けられていることを特徴とする磁気ギヤ。 - 磁気ギヤと回転機からなる駆動システムにおいて、
前記磁気ギヤは、第1のロータと、第2のロータと、前記第1のロータと前記第2のロータの間に磁性体を配置した第3のロータとを備え、前記内側ロータ,前記外側ロータ及び前記中間ロータに冷却用の孔があけられており、
前記回転機は、固定子と回転子の外側に回転機ケースを備え、前記回転機ケースにも孔が設けられ、
前記磁気ギヤの各ロータに備えられた孔と前記回転機ケースに備えられた孔とで冷却風路を構成することを特徴とする駆動システム。 - 請求項10記載の駆動システムにおいて、
前記孔の形状が、略扇形の形状であることを特徴とする駆動システム。 - 請求項10記載の駆動システムにおいて、
前記第1のロータ,前記第2のロータ,前記第3のロータのいずれかに送風機が備えられたことを特徴とする駆動システム。 - 請求項10記載の駆動システムにおいて、
前記孔が、前記第1のロータ,前記第2のロータ,前記第3のロータ及び前記ケーシングの軸方向と垂直な面において設けられていることを特徴とする駆動システム。 - 請求項10記載の駆動システムにおいて、
前記第2のロータに冷却フィンが備えられることを特徴とする駆動システム。
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2011
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2012
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