JP2012140414A - 1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法、及びそれらを構成成分とする有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、一般式(1)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法に関するものである。本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、広いエネルギーギャップ及び高い三重項エネルギーを持ち、安定な薄膜を形成することから、有機電界発光素子、特に青色蛍光又は燐光有機電界発光素子の構成成分として有用である。
また、本発明は1,2,4,5−置換フェニル誘導体を有機電界発光素子の有機化合物層の少なくとも一層に用いた、駆動性及び発光性に優れた高効率有機電界発光素子に関するものである。
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する素子であり、ディスプレイ等へ応用されている。
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は新規であり、ベンゼンの1,2,4,5位にピリジル置換フェニル基を有することを特徴とする。
1,2,4,5−置換フェニル誘導体を有機電界発光素子に用いる例(例えば、特許文献1参照)が開示されている。この例ではベンゼンの1,2,4,5位上の置換基がメタフェニレン基に限定している事からピリジル基の結合位置が異なり、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とは異なるものである。
また、1,2,4,5−置換フェニル誘導体として、ビピリジル基を導入した化合物を有機電界発光素子に用いる例(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、置換基がビピリジル基に限定されており本発明の誘導体は含まれない。
さらに、1,2,4,5−置換フェニル誘導体が有機電界発光素子に用いられている例(例えば、特許文献3参照)が開示されているが、この例では分子骨格中に2つのピリジル基しか規定しておらず、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とは異なる。
さらに、フェニル基とピリジル基を組み合わせた誘導体を有機電界発光素子に用いた例(例えば、特許文献4〜8参照)があるが、素子性能向上の効果が不十分であり、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とも骨格が異なるものである。
有機電界発光素子は様々な表示機器に利用されているが、特に照明や大型ディスプレイを実用化する際にはより高効率な発光が求められている。高効率発光を達成するには燐光素子の利用が特に有効であり、発光過程で生成する励起子の失活を抑制させる為には高い三重項準位(T1)を有する材料が必要とされる。しかしながら、従来の材料では高い三重項準位と良好な電荷注入特性、良好な輸送特性および耐久性を併せ持ったものはなく、新たな材料が望まれている。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1,2,4,5位のフェニル基上にピリジル置換フェニル基が結合した誘導体が、青色蛍光素子若しくは燐光素子として用いる為に必要な広いエネルギーギャップ及び高い三重項エネルギーを有し、耐久性を持ち合わせていることを見出した。また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、真空蒸着等の一般的な方法で薄膜形成が可能であり、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)を電子輸送層として用いた有機電界発光素子は、駆動性及び発光性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)
また、本発明は一般式(2)
また、一般式(4)
さらに本発明は、一般式(1)
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)で示される化合物は、R1〜R6が水素原子又はメチル基であることが好ましく、分子量は1000以下であることが好ましい。
一般式(1)に記載のR1〜R6で表されるアルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基、ペンタン−1−イル基、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキサン−1−イル基等が挙げられる。
一般式(1)に記載のPyで表されるメチル基で置換されていてもよいピリジル基として、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−メチルピリジン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−5−イル基、2−メチルピリジン−6−イル基、3−メチルピリジン−2−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、3−メチルピリジン−5−イル基、3−メチルピリジン−6−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−3−イル基、2,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−2−イル基、3,6−ジメチルピリジン−4−イル基、3,6−ジメチルピリジン−5−イル基等が挙げられる。合成が容易な点で2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、
3−メチルピリジン−6−イル基又は2−メチルピリジン−5−イル基等が好ましい。
3−メチルピリジン−6−イル基又は2−メチルピリジン−5−イル基等が好ましい。
一般式(1)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の具体的化合物例として以下の(A1)〜(A34)に挙げるが、本発明の化合物をこれらに限定するものではない。
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、次の反応式で示される方法で製造することができる。
以下、本反応について具体例を出して説明するが、本発明をこれらに限定するものではない。
一般式(3)で示される化合物(以下、化合物(3))におけるM1の例としては、ZnR7、MgR8、Sn(R9)3、B(OR10)2等が挙げられる。但し、R7及びR8は、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R9は、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、R10は水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(OR10)2の2つのR10は同一又は異なっていてもよい。又、2つのR10は一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
化合物(3)におけるB(OR10)2としては、B(OH)2、B(OMe)2、B(OiPr)2、B(OBu)2、B(OPh)2等が例示できる。又、2つのR10が一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(OR10)2の例としては、次の(B1)から(B6)で示される基が例示でき、収率がよい点で(B2)で示される基が好ましい。
以下に化合物(2)の例として、次のC1〜C4(式中、R1及びR2は各々独立にアルキル基又は水素原子を表す。)を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点で好ましい。
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。
第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。また、ニッケル触媒としては[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド等が挙げられる。
「工程1」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点でリン酸三カリウムが望ましい。塩基と化合物(3)とのモル比は、1:2から10:1が望ましく、収率がよい点で1:1から3:1がさらに望ましい。
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比は、1:4から1:10が望ましく、収率がよい点で1:5から1:6がさらに望ましい。
「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でジオキサン及び水の混合溶媒を用いることが望ましい。
「工程1」は、0℃から150℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で80℃から100℃で行うことがさらに望ましい。
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
さらに、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、次の「工程2」で示す方法によっても製造することができる。
一般式(4)で示される化合物(以下、化合物(4))におけるM2で表される金属基又はヘテロ原子基としては、Sn(R9)3、B(OR10)2等が挙げられる。但し、R9は、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、R10は水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(OR10)2の2つのR10は同一又は異なっていてもよい。又、2つのR10は一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
化合物(4)におけるB(OR10)2としては、B(OH)2、B(OMe)2、B(OiPr)2、B(OBu)2、B(OPh)2等が例示できる。又、2つのR10が一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(OR10)2の例としては、次の(B1)から(B6)で示される基が例示でき、収率がよい点で(B2)で示される基が好ましい。
「工程2」は、「工程1」と同様な反応条件を用いることができる。また、化合物(1)は、「工程2」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)を構成成分とする有機電界発光素子の製造方法に特に限定はないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が好ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が好ましい。
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、良好な電荷注入、輸送特性を持つことから、蛍光又は燐光有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけホスト材や電子輸送材等として用いることができる。
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)のバンドギャップは3.2eV以上であり、パネルを構成する3原色(赤:1.9eV、緑:2.4eV、青:2.8eV)の各色のエネルギーを閉じ込めるのに十分なワイドバンドギャップ材料である。よって、単色の表示素子、3原色のカラー表示素子、照明用途などの白色素子など様々な素子への応用が可能である。本化合物の三重項エネルギーも高く、燐光用途への適用も十分可能である。さらに置換基の変更によって溶解性の制御も可能であるため、蒸着素子ばかりでなく塗布素子への応用も可能である。
以下、実験例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例−1
1H−NMR(CDCl3):δ.1.84(s,6H),7.19(t,J=6.1Hz,4H),7.24(d,J=8.5Hz,8H),7.68(d,J=7.7Hz,4H),7.72(t,J=7.3Hz,4H),7.84(d,J=8.3Hz,8H),8.63(d,J=4.7Hz,4H).
実施例−2
実施例−2
1H−NMR(CDCl3):δ.1.88(s,6H),7.22(d,J=8.4Hz,8H),7.39(dd,J=8.0,5.0Hz,4H),7.43(d,J=8.4Hz,8H),7.91(d,J=8.0Hz,4H),8.53(d,J=5.0Hz,4H),8.80(s,4H).
実施例−3
実施例−3
1H−NMR(CDCl3):δ.1.86(s,6H),7.21(d,J=8.4Hz,8H),7.43(d,J=6,2Hz,8H),7.48(d,J=8.3Hz,8H)8.57(d,J=6.2Hz,8H).
実施例−4
実施例−4
1H−NMR(CDCl3):δ.2.65(s,12H),7.28(d,J=8.1Hz,4H),7.38(d,J=8.5Hz,8H),7.49(d,J=8.5Hz,8H),7.62(s,2H),7.87(d,J=7.7Hz,4H),8.74(s,4H).
実施例−5
実施例−5
1H−NMR(CDCl3):δ.2.34(s,12H),7.37(d,J=8.5Hz,8H),7.53(d,J=8.2Hz,4H),7.60(d,J=8.2Hz,4H),7.63(s,2H),7.86(d,J=8.5Hz,8H),8.48(s,4H).
実施例−6
実施例−6
1H−NMR(CDCl3):δ.1.88(s,6H),2.56(s,12H),7.17(d,J=8.1Hz,4H),7.18(d,J=8.3Hz,4H),7.39(d,J=8.3Hz,4H),7.72(d,J=8.1Hz,4H),8.65(s,4H).
試験例−1
有機電界発光素子の作製及び評価を以下の様にして行った。基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mm2有機電界発光素子を作製した。
試験例−1
有機電界発光素子の作製及び評価を以下の様にして行った。基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mm2有機電界発光素子を作製した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1の1で示す前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を25nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を45nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、2―tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を93:7(質量%)の割合で40nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、本発明の実施例−1で合成した4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した。
なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜する。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ1.0nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cm2を流した時の電圧(V)、輝度(cd/m2)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定し、連続点灯時の輝度を確認した。
作製した素子の測定値は、7.2V、1580cd/m2、8.5cd/A、3.7lm/Wであった。また、この素子を24時間以上点灯させても1000cd/m2以上の発光が得られる事を確認した。
試験例−2
試験例−1の発光層4に代えて、2―tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を95:5(質量%)の割合で40nmの膜厚とし、試験例−1の電子輸送層5に代えて、本発明の実施例−6で合成した4’,5’−ビス[4−(2−メチルピリジン−5−イル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ビス(2−メチルピリジン−5−イル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
試験例−1の発光層4に代えて、2―tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を95:5(質量%)の割合で40nmの膜厚とし、試験例−1の電子輸送層5に代えて、本発明の実施例−6で合成した4’,5’−ビス[4−(2−メチルピリジン−5−イル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ビス(2−メチルピリジン−5−イル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−1と同様に作製した。
作製した素子の測定値は、4.4V、2300cd/m2、11.5cd/A、8.25lm/Wであった。また、この素子を24時間以上点灯させても1000cd/m2以上の発光が得られる事を確認した。
比較例−1
試験例−2の電子輸送層5に代えて、既存材料のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)を20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−2と同様に作製した。
試験例−2の電子輸送層5に代えて、既存材料のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)を20nmの膜厚で真空蒸着した以外は、試験例−2と同様に作製した。
作製した素子の測定値は、5.7V、1985cd/m2、9.93cd/A、5.48lm/Wであった。
試験例−3
実施例−1で合成した4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルのエネルギーギャップを以下の様にして測定した。
実施例−1で合成した4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルのエネルギーギャップを以下の様にして測定した。
まず、4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルをガラス基板上に蒸着し、蒸着膜の吸収スペクトルをアマシャムバイオサイエンス製の紫外・可視分光光度計(Ultraspec 2100 pro)により測定した。その吸収端によりエネルギーギャップを見積もったところ、3.76eVであった。
試験例−4
実施例−1で合成した4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルの三重項エネルギーを以下の様にして測定した。
実施例−1で合成した4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルの三重項エネルギーを以下の様にして測定した。
まず、サンプルチューブ中で1mgの4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−3’,6’−ジメチル−4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:2’,1’’−テルフェニルを3mLの2−メチルテトラヒドロフランに溶解させた。これを液体窒素により低温に冷却させ、日本分光株式会社製の分光光度計(FP−6500)により燐光スペクトルを測定し、そのピークトップにより三重項エネルギーを見積もったところ2.69eVであった。
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)からなる薄膜は、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等をもつため、有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。さらに本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、ワイドバンドギャップを有するため、蛍光素子だけではなく燐光素子、さらに導電性の向上や素子寿命の改善に用いられる目的で、n−ドーパントを加えるドーピング素子にも適用可能である。
また本発明の実施例では、蒸着素子として高い発光効率を実現できるため、パネル以外の照明などにも利用可能である。さらに有機溶媒への溶解性や高い電子輸送性を有するため、塗布素子、フレキシブル素子、有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池への応用などに利用可能である。
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層
Claims (7)
- Pyが1つ以上のメチル基で置換されているピリジル基である請求項1に記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
- 分子量が1000以下である請求項1又は2に記載の1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
- 一般式(2)
- 一般式(4)
- 金属触媒がパラジウム触媒である請求項4又は5に記載の製造方法
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