JP2012140375A - 新規次亜塩素酸組成物、及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次亜塩素酸塩水溶液に塩素酸塩及び塩化物を添加することにより、弱酸性〜弱アルカリ性領域で有効塩素濃度を維持したまま保存が可能な次亜塩素酸組成物。
【選択図】図1
Description
これらの組成物によれば、取り扱いが容易な弱酸性〜弱アルカリ性領域で、有効塩素濃度を維持することができ、次亜塩素酸組成物の塩素ガス発生や殺菌力低下を抑制することができる。
また、前記工程(b)における塩素酸塩は、塩素酸ナトリウムであることが好ましい。また、前記工程(b)における塩化物は、塩化ナトリウムであることが好ましい。
本発明の次亜塩素酸組成物の製造方法において、工程(a)に用いられる次亜塩素酸塩水溶液は、次亜塩素酸を含む水溶液であれば特に限定されない。例えば、一般的に用いられている次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩の水溶液が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。また、水に混合する場合の次亜塩素酸塩は、固体で使用しても、水溶液で使用してもよい。さらに、塩化ナトリウム水溶液や海水を電気分解することによって得られる次亜塩素酸水溶液等を用いることもでき、次亜塩素酸塩の水溶液と組み合わせてもよい。本発明においては、好ましくは次亜塩素酸ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液や海水を電気分解した次亜塩素酸水溶液が挙げられる。
次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの等吸収点(254 nm)における吸光光度分析にて、工程(a)でpH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる次亜塩素酸イオンのモル濃度を定量する。かかる定量は、溶液中でイオンに解離しているか否かを問わず、当該次亜塩素酸塩水溶液に含まれる総次亜塩素酸塩のモル濃度が定量できれば、分析方法は特に限定されない。
イオンクロマトグラフィーにて、工程(a)でpH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩素酸イオンのモル濃度を定量する。かかる定量は、溶液中でイオンに解離しているか否かを問わず、当該次亜塩素酸塩水溶液に含まれる総塩素酸塩のモル濃度が定量できれば、分析方法は特に限定されない。
例えば、一般的に用いられている炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液等を溶離液として、市販の陰イオンカラムを用いることにより、当該次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩素酸イオンのモル濃度を算出することができる。
イオンクロマトグラフィーにて、工程(a)でpH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩化物イオンのモル濃度を定量する。かかる定量は、溶液中でイオンに解離しているか否かを問わず、当該次亜塩素酸塩水溶液に含まれる総塩化物のモル濃度が定量できれば、分析方法は特に限定されない。
例えば、一般的に用いられている炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液等を溶離液として、市販の陰イオンカラムを用いることにより、当該次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩化物イオンのモル濃度を算出することができる。
本発明の次亜塩素酸組成物の製造方法において、工程(b)に用いられる塩素酸塩は、塩素酸イオンのモル比を調整できるものであれば特に限定されず、固体で使用しても、水溶液で使用してもよい。例えば、一般的に用いられている塩素酸カリウム、塩素酸バリウム、塩素酸ナトリウム等が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。本発明においては、好ましくは塩素酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の次亜塩素酸組成物の製造方法において、工程(b)に用いられる塩化物は、塩化物イオンのモル比を調整できるものであれば特に限定されず、固体で使用しても、水溶液で使用してもよい。例えば、一般的に用いられている塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。本発明においては、好ましくは塩化ナトリウムが挙げられる。
次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの等吸収点(254 nm)における吸光光度分析(日立分光光度計U-3000)にて、pH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる次亜塩素酸イオンのモル濃度を定量した。
吸光光度分析においては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて標準液を調製し、次亜塩素酸イオン濃度の検量線を作成した。
まず、蛍光X線元素分析(XRF、リガク社製EDXL300)にて、次亜塩素酸ナトリウム標準液に含まれる総塩素濃度を定量した。XRFにおいては、塩化ナトリウムを用いて標準液を調製し、総塩素濃度の検量線を作成した。
次いで、当該標準液の原料である、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の塩化ナトリウム、塩素酸イオン及び亜塩素酸イオンの分析値を用いて、それぞれを塩素濃度に換算した上で、XRFによって得られた総塩素濃度から差し引いた。
そして、得られた塩素濃度を次亜塩素酸イオン濃度に換算することにより、次亜塩素酸ナトリウム標準液に含まれる次亜塩素酸イオンのモル濃度を算出した。
イオンクロマトグラフィーにて、pH 5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩素酸イオンのモル濃度を定量した。
イオンクロマトグラフィーにおいては、塩素酸ナトリウムを用いて標準液を調製し、塩素酸イオン濃度の検量線を作成した。
<イオンクロマトグラフィー測定条件>
・システム:日本ダイオネクス社製DX-100(検出:電気伝導度)
・カラム:日本ダイオネクス社製IonPac AS4A-SC(4×250 mm)
・溶離液:0.18 mol/L炭酸ナトリウム水溶液
前記塩素酸イオンの分析と同様に、イオンクロマトグラフィーにて、pH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液に含まれる塩化物イオンのモル濃度を定量した。
イオンクロマトグラフィーにおいては、塩化ナトリウムを用いて標準液を調製し、塩化物イオン濃度の検量線を作成した。
まず、塩化物イオン濃度が既知の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(「1.次亜塩素酸イオンの分析」で用いた次亜塩素酸ナトリウム標準液)を用いて、イオンクロマトグラフィーにて「次亜塩素酸イオン及び塩化物イオンの和」のエリア面積(A)を測定する。
次いで、当該標準液に含まれる塩化物イオン濃度が既知であることから、イオンクロマトグラフィーにおける塩化物イオン濃度の検量線を用いて、塩化物イオンのエリア面積(B)を算出する。これらにより、当該標準液のイオンクロマトグラフィーにおける「次亜塩素酸イオンと塩化物イオンのエリア面積比(C=(A−B)/B)」を算出する。そして、イオンクロマトグラフィーにおける塩化物イオン濃度の検量線に、当該面積比(C)を掛けることで、イオンクロマトグラフィーにおける次亜塩素酸イオン濃度の検量線が得られる。
ここで、塩化物イオン濃度が未知である、pH5〜9に調整した次亜塩素酸塩水溶液について、イオンクロマトグラフィーにて「次亜塩素酸イオン及び塩化物イオンの和」のエリア面積(D)を測定する。当該水溶液については、「1.次亜塩素酸イオンの分析」の吸光光度分析(254 nm)により次亜塩素酸イオンのモル濃度が定量できるため、イオンクロマトグラフィーにおける次亜塩素酸イオン濃度の検量線を用いて、次亜塩素酸イオンのエリア面積(E)を算出する。これにより、当該水溶液のイオンクロマトグラフィーにおける塩化物イオンのみのエリア面積(F=D−E)が算出されるため、イオンクロマトグラフィーにおける塩化物イオン濃度の検量線を用いて、当該水溶液に含まれる塩化物イオンのモル濃度を求めることができる。
水質計(柴田化学社製ハンディ水質計アクアブAQ-102)を用いて、有効塩素濃度を測定した。
吸光光度分析(254 nm)にて、pH7に調整した前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液の次亜塩素酸イオンのモル濃度を定量した。また、イオンクロマトグラフィーにて、pH7に調整した前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液の塩素酸イオンのモル濃度、塩化物イオンのモル濃度をそれぞれ定量した。
次いで、塩化ナトリウム水溶液(1000 ppm)、塩素酸ナトリウム水溶液(1000 ppm)を用いて、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表1となるよう、それぞれの溶液(溶液1〜7)を調整した。
次いで、実施例1と同様に、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表2となるよう、それぞれの溶液(溶液9〜14)を調整した。
次いで、実施例1と同様に、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表3となるよう、溶液16及び溶液17を調整した。
次いで、実施例1と同様に、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表4となるよう、溶液19及び溶液20を調整した。
次いで、実施例2と同様に、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表5となるよう、溶液21及び溶液22を調整した。
次いで、実施例3と同様に、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が表6となるよう、溶液23及び溶液24を調整した。
結果を図1に示す。塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを添加して次亜塩素酸イオン、塩素酸イオン及び塩化物イオンのモル比を、本発明に記載の特定の範囲に調整した実施例(溶液1〜7)は、未添加例(溶液8:コントロール)に比べ、殺菌力の指標となる有効塩素濃度残存率が高かった。
一方、比較例(溶液19〜20)は、未添加例(溶液8:コントロール)に比べて同程度、または低い有効塩素濃度残存率であった。
この結果から、pH7で次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比を本発明に記載の特定の範囲とすることにより、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの分解が抑制された。
結果を図2に示す。塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを添加して次亜塩素酸イオン、塩素酸イオン及び塩化物イオンのモル比を、本発明に記載の特定の範囲に調整した実施例(溶液9〜14)は、未添加例(溶液15:コントロール)に比べ、殺菌力の指標となる有効塩素濃度残存率が高かった。
一方、比較例(溶液21〜22)は、未添加例(溶液15:コントロール)に比べても低い有効塩素濃度残存率であった。
この結果から、pH5でも次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比を本発明に記載の特定の範囲とすることにより、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの分解が抑制された。
結果を図3に示す。塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを添加して次亜塩素酸イオン、塩素酸イオン及び塩化物イオンのモル比を、本発明に記載の特定の範囲に調整した実施例(溶液16〜17)は、未添加例(溶液18:コントロール)に比べ、殺菌力の指標となる有効塩素濃度残存率が高かった。
一方、比較例(溶液23〜24)は、未添加例(溶液18:コントロール)と同程度の有効塩素濃度残存率であった。
この結果から、pH9でも次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比を本発明に記載の特定の範囲とすることにより、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの分解が抑制された。
Claims (9)
- 次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が2:(1〜8):(2〜12)である次亜塩素酸組成物。
- 次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比が2:(4〜8):(4〜8)である請求項1記載の次亜塩素酸組成物。
- 次亜塩素酸組成物の製造方法であって、
(a)次亜塩素酸塩水溶液をpH5〜9に調整する工程と、
(b)塩素酸塩及び塩化物を添加し、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比を2:(1〜8):(2〜12)とする工程と、を含む方法。 - 次亜塩素酸組成物の製造方法であって、
(a)次亜塩素酸塩水溶液をpH5〜9に調整する工程と、
(b)塩素酸塩及び塩化物を添加し、次亜塩素酸イオンと塩素酸イオンと塩化物イオンとのモル比を2:(4〜8):(4〜8)とする工程と、を含む請求項3記載の方法。 - 前記次亜塩素酸塩が次亜塩素酸ナトリウムである、請求項3又は4に記載の製造方法。
- 塩酸によりpH5〜9に調整する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記塩素酸塩が塩素酸ナトリウムである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記塩化物が塩化ナトリウムである、請求項3〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法により得られる次亜塩素酸組成物。
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CN108002622A (zh) * | 2017-11-16 | 2018-05-08 | 王小军 | 一种治理和回收生产苯并呋咱废液的方法 |
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JPH08196608A (ja) * | 1995-01-27 | 1996-08-06 | Shikoku Chem Corp | 脱臭剤組成物 |
JP2000038599A (ja) * | 1998-07-23 | 2000-02-08 | Shikoku Chem Corp | カビ取り剤組成物 |
JP2001106606A (ja) * | 1999-10-06 | 2001-04-17 | Shikoku Chem Corp | カビ取り剤組成物 |
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2010
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