JP2012140294A - 低温用急硬性高流動セメント組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料温度及び環境温度が5℃未満であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物を提供すること。
【手段】特定のカルシウムアルミネート類と、セメント、石膏、アルカリ金属炭酸塩及び凝結遅延剤を含有することにより上記課題を解決した。更に、カルシウムアルミネート類のガラス化率が特定の範囲であると好適である。減水剤及び/又は骨材を含有すると好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温用急硬性高流動セメント組成物に関する。詳しくは、材料温度及び環境温度が5℃未満であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mm以上であるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物に関する。
近年、高流動コンクリートやグラウトモルタル等の高流動セメント組成物は広く様々な建設現場で使用されている。補修工事や緊急工事等においては、急硬性の高流動セメント組成物が使用されることも多い。ところで、10℃の低温環境下においても使用可能な急硬性高流動セメント組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、冬季に材料温度を10℃まで上げるには、ジェットヒーター等のヒーターにより多量の灯油を燃やすことで加熱しなければならなかった。材料温度を10℃で良好な流動性及び急硬性が得られる急硬性高流動セメント組成物を、より温度が低い5℃以下の材料温度で練り混ぜる場合に、流動性が得られず又急硬性も不充分であった。特に、0℃の材料温度の場合は、特に流動性及び急硬性ともに不充分であった。
ところで、5℃の低温環境下においても使用可能な急硬性高流動セメント組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、特許文献2で云う低温環境下とは養生温度又は各試験の試験時の環境温度のことで、材料温度のことではないと思われる。特許文献2の実施例において、作製したモルタルの流動性、可使時間、初期膨張率、圧縮強度、長さ変化率の測定は5℃環境下で行った記載はある([0045]段落)が、材料温度及びモルタルの作製を5℃環境下で行ったとの記載は一切なく、実験No.3−19では、可使時間が35分もあるにも拘わらず材齢1時間における圧縮強度が20.1N/mmに達していることから、材料温度及びモルタルの作製を5℃環境下で行ったとは到底考えられない。
ところで、0℃以下の低温度においても良好な強度発現性を有する低温硬化用セメント組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、特許文献3で云う低温とは養生温度のことで、実施例においても、材料温度及び練り混ぜは20℃で行ったものと思われる。5℃以下の材料温度で、できれば0℃で、練り混ぜても、流動性及び急硬性ともに優れる急硬性高流動セメント組成物が望まれていた。
特開2007−197267号公報 特開2007−197268号公報 特公平07−057705号公報
本発明は前記問題の解決、即ち、本発明は、材料温度及び環境温度が5℃未満であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題解決のため鋭意検討した結果、特定のカルシウムアルミネート類と、セメント、石膏、アルカリ金属炭酸塩及び凝結遅延剤を含有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)で表す低温用急硬性高流動セメント組成物である。
(1)セメント、カルシウムアルミネート類、石膏、アルカリ金属炭酸塩及び凝結遅延剤を含有し、前記カルシウムアルミネート類が結晶質カルシウムアルミネート類及び非晶質カルシウムアルミネート類からなることを特徴とする低温用急硬性高流動セメント組成物。
(2)上記カルシウムアルミネート類のガラス化率が10〜90質量%である請求項1に記載の低温用急硬性高流動セメント組成物。
(3)更に、減水剤及び/又は骨材を含有してなる上記(1)又は(2)の低温用急硬性高流動セメント組成物。
(4)カルシウムアルミネート類100質量部に対し、セメントが50〜200質量部、石膏が20〜150質量部、アルカリ金属炭酸塩が0.2〜10質量部及び凝結遅延剤が0.1〜3質量部である上記(1)〜(3)何れかの低温用急硬性高流動セメント組成物。
(5)材齢3時間における圧縮強度が10N/mm以上である上記(1)〜(4)何れかの低温用急硬性高流動セメント組成物。
本発明によれば、材料温度及び環境温度が5℃未満であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物が得られる。また、本発明によれば、材料温度及び環境温度が0℃であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物が得られる。本発明は、材料温度を5℃以上としなくとも、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるので、冬季に材料温度を高めるために使用するエネルギー量を抑えることができ、CO排出量を抑制できる。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に用いるカルシウムアルミネート類は、CaOをC、AlをA、NaOをN、及びFeをFとして表したとき、CA、CA、C12、C、CA、C、又はCA等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、CAF及びCAF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC・CaFやC11・CaF等と表示されるカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、CNAやC等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、アルミナセメント、太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメント、並びにこれらにSiO、KO、Fe、TiO等が固溶又は化合したものを総称するものである。このカルシウムアルミネート類は、結晶質のもの、非結晶質のもの及び非晶質と結晶質が混在したもののいずれも使用可能であり、前記カルシウムアルミネート類のうち一種又は二種以上を使用することが可能である。本発明において、結晶質カルシウムアルミネート類とはガラス化率が20質量%以下のカルシウムアルミネート類をいい、非晶質カルシウムアルミネート類とはガラス化率が80質量%以上のカルシウムアルミネート類をいう。結晶質カルシウムアルミネート類としてはガラス化率が10質量%以下のものがより好ましく、非晶質カルシウムアルミネート類としてはガラス化率が90質量%以上のものがより好ましい。結晶質カルシウムアルミネート類は、CaO原料、Al原料及びその他の原料を溶融しその後100℃以下まで徐冷する方法、CaO原料、Al原料及びその他の原料をロータリーキルンや電気炉等の炉で高温焼成する方法等により得られる。また、非晶質カルシウムアルミネート類は、CaO原料、Al原料及びその他の原料を溶融し、水や空気等で急冷することにより得られる。用いるCaO原料としては、例えば石灰石、貝殻、生石灰、消石灰等が挙げられる。また、用いるAl原料としては、ボーキサイト、石油化学工業等より排出される廃アルミナ触媒等のアルミナ廃棄物、アルミ鉱滓(アルミドロス)やその精錬過程で発生するアルミ残灰、アルミニウム切削屑等の廃金属アルミニウム、アルミニウム粉末等が挙げられる。
尚、カルシウムアルミネート類のガラス化率の測定は、含まれるカルシウムアルミネート類の結晶が一種類の場合(例えばCAのみの場合やCAのみの場合)では、粉末X線回折(内部標準法)により当該カルシウムアルミネート類の結晶相の量(含有率)を求め、残部をガラス相とみなしてガラス化率を算出する。また、含まれるカルシウムアルミネート類の結晶が二種類以上の場合(例えばCAとCAが共存する場合)は、粉末X線回折により各結晶の結晶生成量(含有率)を求めた後、これを電気炉により1000℃で3時間加熱し、炉内で溶融温度から100℃以下となるまで12時間以上かけて徐冷することで全相を実質的に結晶化させ、粉末X線回折で各結晶の生成量(含有率)を求める。この徐冷後の結晶の含有率と再溶融前の結晶の含有率との差を、各結晶のガラス化率として算出する。含まれるカルシウムアルミネート類の各結晶のガラス化率の和を、当該カルシウムアルミネート類のガラス化率として算出する。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類のガラス化率は、10〜90質量%とすることが好ましい。カルシウムアルミネート類のガラス化率が10質量%未満であると5℃未満の材料温度及び環境温度において、過膨張となる虞が高まる。また、ガラス化率が90質量%を越えると、流動性が低下する。本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類のガラス化率は、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは14〜46質量%とする。この範囲とすることで、0℃の材料温度及び環境温度において、過膨張となる虞が低く且つ高い流動性が得られる。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類のガラス化率を上記の範囲にするためには、結晶質カルシウムアルミネート類と非晶質カルシウムアルミネート類の各ガラス化率と、全カルシウムアルミネート類中の当該カルシウムアルミネート類の配合割合との積を求め、それらの和から、低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類のガラス化率を算出する。例えば、結晶質カルシウムアルミネート類のガラス化率がR及び配合割合がC、非晶質カルシウムアルミネート類のガラス化率がR及び配合割合がCのとき(このときCとCの合計は1)、低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類のガラス化率Rは下式(1)により求まる。
=R×C+R×C (1)
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるカルシウムアルミネート類は、粉末度がブレーン比表面積で3500cm/g以上とすると、添加量が少ない場合においても急硬性が得られ易いことから好ましい。より好ましい粉末度はブレーン比表面積で4000cm/g以上とする。また、カルシウムアルミネート類の粉末度はあまり高くすると経済的でなく流動性も低下することから、好ましくはブレーン比表面積で10000cm/g以下、更に好ましくは8000cm/g以下とする。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物においてカルシウムアルミネート類の含有量は、セメント100質量部に対し、40〜100質量部の範囲が好ましい。40質量部未満では、初期強度発現性が低いことがある。また、100質量部を超えると可使時間が短くなる。初期強度発現性及び可使時間のバランスから、カルシウムアルミネート類の含有量は、セメント100質量部に対し、50〜85質量部が更に好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれる石膏は、無水石膏、二水石膏又は半水石膏を主成分とする粉末であれば特に限定されないが、強度増進作用の観点からII型無水石膏を主成分とするものが好ましい。石膏は、セメント中のアルミネート相やカルシウムアルミネート類等と反応しエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を生成させ、これにより硬化体の収縮を抑制することができるとともに、初期強度を高める。使用する石膏の粉末度はブレーン法による比表面積で3000cm/g以上のものが、反応活性が得られるので好ましい。より好ましくは粉末度が4000cm/g以上の石膏が良い。粉末度の上限は特に制限されないが、粉末度を高めるとコストが嵩む割にはその効果が鈍化することから概ねブレーン比表面積で15000cm/g以下とすることが適当である。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物において石膏類の含有量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対し20〜150質量部が好ましい。20質量部未満では強度が不足する虞がある。150質量部を超えると、流動性が低下し必要な流動性を確保するために水量を増加させると強度が不足する。強度が高く且つ流動性が得易いことから、石膏の含有量をカルシウムアルミネート類100質量部に対し30〜120質量部とすることがより好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれるアルカリ金属炭酸塩は、流動性の確保及び可使時間の確保に重要な役割を果たす。本発明においてアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム及び重炭酸リチウム等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。アルカリ金属炭酸塩としてリチウム塩を用いることが、より少量で効果が高いことから好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物においてアルカリ金属炭酸塩の含有量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対し0.2〜10質量部が好ましい。0.2質量部未満では、可使時間を確保し難い。10質量部を超えると、流動性が得られ難くなり、必要な流動性を確保するために水量を増加させると強度が不足する。流動性及び可使時間を確保し易いことから、アルカリ金属炭酸塩の含有量をカルシウムアルミネート類100質量部に対し0.5〜5質量部とすることがより好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に含まれる凝結遅延剤は、セメントの水和反応を遅延させることにより、混練物の流動性の確保及び可使時間の確保に重要な役割を果たす。本発明に用いる凝結遅延剤としては、3CaO・SiO(CS)の水和反応を遅延させるものであれば何れも使用可能であるが、短時間における強度発現性に優れることから、オキシカルボン酸又はオキシカルボン酸塩から選ばれる一種又は二種以上を用いることが好ましい。これらのオキシカルボン酸及びオキシカルボン酸塩としては、例えばクエン酸、クエン酸塩、グルコン酸、グルコン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、ヘプトン酸、ヘプトン酸塩等を挙げられる。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物において凝結遅延剤の含有量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対し0.1〜3質量部が好ましい。0.1質量部未満では、流動性及び可使時間を確保し難い。3質量部を超えると、強度が不足する虞がある。流動性及び強度を確保し易いことから、凝結遅延剤の含有量をカルシウムアルミネート類100質量部に対し0.2〜1質量部とすることがより好ましい。
本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、並びにこれらポルトランドセメント又はエコセメントに、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等を混合した各種混合セメント等が挙げられ、これらを一種単独で又は二種以上併用して用いることができる。ここで云うセメントは、カルシウムアルミネート類等の急硬成分を主体とするセメント、例えばアルミナセメント並びに太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメントは含まれず、これらは前記カルシウムアルミネート類に含まれる。混練物の初期強度を得るための低温用急硬性セメント混和材の添加量が比較的少なくできることから、本発明に用いるセメントとして普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント又はエコセメント或いはこれらのうちの二種以上を混合したものが好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物中に含むセメントの量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対し50〜200質量部とすることが好ましい。50質量部未満では可使時間が得難く、50質量部未満において所定の可使時間とするためには、水セメント比を高くしなければならないため、混練物の長期強度が低下する。また、200質量部を超えると初期強度が得難く、200質量部を超えて所定の初期強度を得るためには、水セメント比を低くしなければならないため、混練物の流動性が低下する。混練物の初期強度及び可使時間のバランス等から、本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物中に含むセメント量を、カルシウムアルミネート類100質量部に対し70〜170質量部とすることが更に好ましく、最も好ましくは80〜150質量部とする。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に、更に、減水剤及び/又は骨材を含有することが好ましい。用いる減水剤としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸塩系減水剤、ナフタレンスルホン酸塩系減水剤、メラミンスルホン酸塩系減水剤及びリグニンスルホン酸塩系減水剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。用いる減水剤として高性能減水剤又は高性能AE減水剤を用いると、高い流動性及び初期強度を得易いことから好ましい。本発明における減水剤の含有量は、セメントとカルシウムアルミネート類の合計100質量部に対し0.1〜3質量部とすることが好ましい。また、本発明で用いる骨材としては、モルタルやコンクリートに使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、人工骨材、スラグ骨材などを用いることができる。本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物における骨材の含有量は、セメントとカルシウムアルミネートの合計100質量部に対し50〜600質量部とすることが好ましい。本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物がモルタルの場合の骨材の含有量は、セメントとカルシウムアルミネート類の合計100質量部に対し50〜300質量部とすることが好ましい。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物には、セメント、カルシウムアルミネート類、石膏、アルカリ金属炭酸塩、凝結遅延剤、減水剤及び骨材以外に、その他の混和材料の一種又は二種以上を本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。このような混和材料としては、例えばセメント用ポリマー、発泡剤、起泡剤、防水材、防錆剤、収縮低減剤、増粘剤、保水剤、顔料、繊維、撥水剤、白華防止剤、膨張材(剤)、急結剤(材)、上記以外の急硬性混和材(剤)、消泡剤、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石粉、シリカフューム、表面硬化剤等が挙げられる。
本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、V型混合機や可傾式コンクリートミキサ等の重力式ミキサ、ヘンシェル式ミキサ、リボンミキサ等のミキサにより、本発明の低温用急硬性セメント組成物の各材料の所定量を混合することで製造することができる。このとき用いるミキサは、連続式ミキサでもバッチ式ミキサでも良い。また、各材料のミキサ内への投入順序は特に限定されず、一種ずつ添加してもよく、一部又は全部を同時に添加してもよい。また、袋やポリエチレン製容器等の容器に各材料を計り取り投入する方法により、本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物を製造することもできる。
本発明の低低温用急硬性高流動セメント組成物は、水と混練して用いる。このときの水量は特に限定されるものではないが、セメントとカルシウムアルミネート類の合計100質量部に対し35〜55質量部が好ましく、高い強度と流動性のバランスがよいことから40〜50質量部が更に好ましい。水と混練する方法は特に限定されず、例えば水に本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物を全量加え混練する方法、水に本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物を混練しながら加え更に混練する方法、本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物に水を全量加え混練する方法、本発明の低温用急硬性セメント組成物に水を混練しながら加え更に混練する方法、水及び本発明の低温用急硬性高流動セメント組成物のそれぞれ一部ずつを2以上に分けて混練し、混練したものを合わせて更に混練する方法等がある。また、混練に用いる器具や混練装置も特に限定されないが、ミキサを用いることが量を多く混練できるので好ましい。用いることのできるミキサとしては連続式ミキサでもバッチ式ミキサでも良く、例えばパン型コンクリートミキサ、パグミル型コンクリートミキサ、重力式コンクリートミキサ、グラウトミキサ、ハンドミキサ、左官ミキサ等が挙げられる。
[実施例1]
次に示す非晶質カルシウムアルミネート類(カルシウムアルミネート類A)と結晶質カルシウムアルミネート類(カルシウムアルミネート類B)を、表1に示す配合割合で混合し、6種類のカルシウムアルミネート類(CA1〜CA6)を作製した。作製した各カルシウムアルミネート類17.0質量部、セメント21.4質量部、石膏11.0質量部、アルカリ金属炭酸塩0.4質量部(2種類を等量にて添加)、凝結遅延剤0.05質量部、減水剤0.15質量部及び細骨材50.0質量部を乾式混合することで、これらからなる低温用急硬性高流動セメント組成物(プレミックスモルタル)を6種類(No.1〜No.6)作製した。使用材料を以下に示した。
<使用材料>
・カルシウムアルミネート類A
ガラス化率;95質量%、
ブレーン比表面積5250cm
C/Aモル比;1.39(CaOをC、AlをA、SiOをS)
粉末X線回折により同定された結晶;CA

・カルシウムアルミネート類B
ガラス化率;5質量%、
ブレーン比表面積;4000cm
C/Aモル比;1.25(CaOをC、AlをA、SiOをS)
粉末X線回折により同定された結晶;CA、C12及びCAS

・石膏
ブレーン比表面積7500cmのII型無水石膏

・アルカリ金属炭酸塩
炭酸リチウム(試薬、関東化学社製)
炭酸ナトリウム(試薬、関東化学社製)

・凝結遅延剤
クエン酸ナトリウム(試薬、関東化学社製)

・セメント
早強ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)

・骨材
石灰石砕砂(比重2.6、粗粒率(F.M.)2.70)

・減水剤
ナフタレンスルホン酸系高性能減水剤(商品名「マイティ100」、粉末状、花王社製)
Figure 2012140294
作製した低温用急硬性高流動セメント組成物100質量部と水道水18質量部をハンドミキサで練り混ぜ、混練物(モルタル)を6種類作製した。まず金属製円筒容器に水道水1080gを入れ、ハンドミキサ(回転数1000r.p.m.,羽根直径100mm)の羽根が水に接する状態で羽根を回転させながら、低温用急硬性高流動セメント組成物6000gを投入し、90秒間混練した。練り混ぜ前の各材料温度は0℃となるように調整し、混練、供試体作製及び流動性試験は5℃、湿度80%以上の恒温室内で行った。
作製したモルタルの品質試験として、以下に示す通り、流下時間、材齢7日の長さ変化率及び材齢3時間の圧縮強度を測定した。これらの結果を表2に示した。作業性の評価は以下に示す通りである。尚、圧縮強度試験及び長さ変化試験における供試体の養生は、何れも0℃、湿度80%以上の恒温槽内で行った。
<品質試験方法>
・流動性試験
土木学会基準JSCE−F 541−1999「充填モルタルの流動性試験方法」に従い、J14漏斗を用いて、練り混ぜ直後の流下時間を測定した。
・圧縮強度試験
土木学会基準JSCE−G 505−1999「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準じ、材齢3時間における圧縮強度を測定した。このとき供試体は、作製直後から試験直前まで型枠のまま0℃の恒温槽内で養生し、試験直前に脱型し、最大荷重を測定し圧縮強度を求めた。尚、供試体の作製には、内径50mm、高さ100mmの型枠を用いた。
・長さ変化試験
JIS A 1129:2001「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第1部コンパレータ方法」に準じて、材齢7日の長さ変化率を求めた。モルタル用型枠に作製したモルタルを成形し、型枠ごと直ちに0℃の恒温槽内に移し3時間養生した。養生後に脱型し直ちに基長を測定し、その後0℃の水中にて材齢直前まで養生した。
Figure 2012140294
本発明の実施例に当たるモルタルは、何れも材料温度0℃で混練しても、J14漏斗を用いた練り混ぜ直後の流下時間が8±2秒の範囲に入り流動性がグラウトモルタルとして使用可能なほど優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mm以上と初期強度発現性も優れていることがわかる。また、本発明の実施例に当たるモルタルは、何れも材料温度0℃で混練しても、材齢7日における長さ変化率600μ(600×10−6)以下と過膨張によるひび割れが発生する虞がほとんどない。
本発明によれば、材料温度及び環境温度が5℃未満であっても、流動性に優れ、材齢3時間における圧縮強度が10N/mmを超えるにも拘らず過膨張となり難い低温用急硬性高流動セメント組成物が得られるので、低温環境下における補修工事や緊急性の高い工事等に使用できる。

Claims (5)

  1. セメント、カルシウムアルミネート類、石膏、アルカリ金属炭酸塩及び凝結遅延剤を含有し、前記カルシウムアルミネート類が結晶質カルシウムアルミネート類及び非晶質カルシウムアルミネート類からなることを特徴とする低温用急硬性高流動セメント組成物。
  2. 上記カルシウムアルミネート類のガラス化率が10〜90質量%である請求項1に記載の低温用急硬性高流動セメント組成物。
  3. 更に、減水剤及び/又は骨材を含有してなる請求項1又は請求項2に記載の低温用急硬性高流動セメント組成物。
  4. カルシウムアルミネート類100質量部に対し、セメントが50〜200質量部、石膏が20〜150質量部、アルカリ金属炭酸塩が0.2〜10質量部及び凝結遅延剤が0.1〜3質量部である請求項1〜請求項3何れかに記載の低温用急硬性高流動セメント組成物。
  5. 材齢3時間における圧縮強度が10N/mm以上である請求項1〜請求項4何れかに記載の低温用急硬性高流動セメント組成物。
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