JP2012136738A - 断熱性に優れた取鍋の内張り構造 - Google Patents

断熱性に優れた取鍋の内張り構造 Download PDF

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哲也 小林
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Abstract

【課題】 取鍋からの放熱による溶鋼の温度低下の低減と取鍋の鉄皮への熱負荷の軽減とが可能で、かつ取鍋寿命の長い内張り構造を提供する。
【解決手段】 溶鋼を収容する取鍋のワークレンガにおいて、取鍋のワークレンガとしてカーボン含有量が15%〜20%であるレンガとカーボン量が5%以下のレンガを用い、このカーボン含有量が15%〜20%であるレンガの使用する範囲を、側壁の取鍋上端からスラグと溶鋼の界面の下方300mm〜700mmまでの間とし、さらにカーボン含有量が5%以下のレンガをそれ以外の側壁および敷部に使用して形成した、断熱性に優れた取鍋の内張り構造である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、溶鋼を収容する取鍋の断熱内張り構造に関する。さらに詳しくは、取鍋からの放熱による溶鋼の温度低下および取鍋の鉄皮への熱負荷の軽減が可能で、耐食性の良い内張り構造に関するものである。
溶鋼を収容する取鍋に設けられるレンガには、取鍋の最も内側に配置されて溶鋼やスラグと直接するワークレンガと、ワークレンガと鉄皮との間に配置されて主に取鍋の断熱性を担う断熱レンガとがある。ワークレンガとして使用されるレンガは、取鍋に収容される溶鋼やスラグと直接接触することにより、溶鋼やスラグと反応して溶損が進みやすい。通常、溶鋼やスラグとの反応性、つまり耐食性を抑えるためにレンガ中に含まれるカーボンの量を増やしたレンガを使用する。しかし、カーボン含有量が高いレンガは、カーボンの熱伝導率が高いことによりレンガ全体の熱伝導率が高くなってしまうため、取鍋の断熱性が低下して溶鋼の温度低下や鉄皮温度の上昇につながるという問題がある。
一方で連続鋳造を行う場合、造塊工程よりも取鍋1回分の鋳造時間が長くなることにより鋳造中の溶鋼の温度低下が大きくなるため、溶鋼温度を高く設定する必要がある。そのために、エネルギー的に負荷の大きいプロセスとなっているのが現状である。また、溶鋼温度が高くなっていることは、耐火物の寿命にも悪影響を及ぼすだけでなく、鉄皮への熱負荷も増加し、諸設備のコストや生産計画に悪影響を及ぼしている。
従来は、溶鋼の温度低下や取鍋の鉄皮の熱変形を防止するために、取鍋の鉄皮と断熱レンガの間に断熱材を介在させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この提案の方法では、取鍋の鉄皮の変形を抑制することはできるが、取鍋のレンガの溶損による寿命が短いという点で改良が求められている。
特開2000−226611号公報
本発明は、取鍋からの放熱による溶鋼の温度低下の低減と取鍋の鉄皮への熱負荷の軽減とが可能で、かつ取鍋寿命の長い内張り構造を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するための本発明の手段は、溶鋼を収容する取鍋のワークレンガにおいて、取鍋のワークレンガとしてカーボン含有量が15%〜20%であるレンガとカーボン量が5%以下のレンガを用いる。そして、このカーボン含有量が15%〜20%であるレンガの使用する範囲を、側壁の取鍋上端からスラグと溶鋼の界面の目安より下方300mm〜700mmまでの間とし、さらにカーボン含有量が5%以下のレンガをそれ以外の側壁および敷部に使用して形成した、断熱性に優れた取鍋の内張り構造である。
本発明の手段の取鍋の内張り構造とすることにより、取鍋からの放熱による溶鋼の温度低下および取鍋の鉄皮への熱負荷の軽減が可能となり、取鍋の寿命が向上した。
取鍋のワークレンガのカーボン含有量とワークレンガの使用に伴う溶損量との関係を示すグラフ。 取鍋のワークレンガのカーボン含有量と溶鋼収容時の取鍋の鉄皮温度の関係を示すグラフ。 取鍋の側壁のワークレンガの溶損量と取鍋内のスラグからの距離との関係を示すグラフ。
本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。
カーボンを含有するレンガをワークレンガに使用した取鍋において実施したところ、ワークレンガに含有されるカーボン量が多ければ、その取鍋の使用に伴うレンガの溶損量が少なくなるのに対し、溶鋼を収容しているときの取鍋の鉄皮の温度は高くなってしまうことが分かった。一方で、取鍋内のスラグに接触しない部位にはカーボン含有量の多いレンガを使用し、スラグに接触しない部位にはカーボン含有量の少ないレンガを使用すると、ワークレンガの溶損量を悪化させることなく、取鍋の鉄皮の温度を低減できることがわかった。
図1は、取鍋のワークレンガのカーボン含有量と、取鍋内のスラグに接する位置のワークレンガの使用に伴う溶損量との関係を示したグラフである。図1より、カーボン含有量が15%以上のとき、ワークレンガの溶損量を急激に小さくすることができる。また、ワークレンガのカーボン含有量が20%を超える場合は、ワークレンガから溶鋼に溶け出すカーボン量が無視できないため、使用するのは好ましくないと考える。
図2は、取鍋のワークレンガのカーボン含有量と溶鋼収容時の取鍋の鉄皮の温度の関係を示している。図2より、カーボン含有量が5%以下であるときに取鍋の鉄皮の温度は急激に低下させることができる。
図3は、取鍋の側壁のワークレンガの溶損量と取鍋内のスラグとの距離を示したものである。これは、取鍋を1ヶ月間使用した後のレンガ寸法の実測により求めた。図3より、スラグから離れた部分では、含有カーボン量が5%のときと20%のときで、ワークレンガの溶損量が同等でかつ低く抑えられていることが分かる。特に、スラグからの距離が500mm以上だとカーボン量が低いレンガでも、溶損量に大きな差が認められないので、500mm以上は、低カーボンのレンガを用いてもよい。よって、ワークレンガの溶損量が少なく、カーボン含有量が低いレンガを使用できるのは、スラグから500mm以上離れた部位である。一方で、取鍋に収容する溶鋼の高さにはおよそ400mmのばらつきがあるため、ワークレンガの溶損量が少なく、カーボン含有量が低いレンガを使用できるのは、スラグから300mm〜700mm以上離れた部位である。また、スラグと溶鋼の界面より上方のワークレンガは一様に溶損が大きいため、レンガ中の含有カーボン量を低減することはできない。
溶鋼を収容する取鍋のワークレンガにおいて、次に示す取鍋Aと取鍋Bの二つの取鍋を用いて、溶鋼の温度の低減効果およびワークレンガの溶損量の低減効果の評価を実施した。取鍋Aは、そのワークレンガとして、含有カーボン量が17%のレンガを取鍋の側壁の上端からスラグと溶鋼の界面より下方500mmまでの範囲で使用し、含有カーボン量が5%のレンガをそれ以外の側壁および敷部に使用した取鍋である。取鍋Bはそのワークレンガとして、すべて含有カーボン量が17%のレンガを使用した従来のワークレンガからなる取鍋である。溶鋼の温度については、取鍋に同じ温度の溶鋼を収容して一定時間経過した時の溶鋼の温度を調査した。
取鍋Aは、取鍋に収容して一定時間経過した時のステンレスの一種であるJIS規定のSUS 304の溶鋼の平均温度は1630℃で、この取鍋は70回の使用後において、スラグと溶鋼の界面より下方500mmの位置にあるワークレンガの厚みが49mmであった。これに対して、取鍋Bは、取鍋に収容して一定時間経過した時のSUS 304の溶鋼の平均温度は1645℃で、この取鍋は70回の使用後において、スラグと溶鋼の界面より下方500mmの位置にあるワークレンガの厚みが48mmであった。本発明のカーボン量の範囲である取鍋Aは従来の取鍋Bと比べて、取鍋の寿命に影響を与えることなく、溶鋼の温度を15℃低下させることができた。
同様に、JIS規格のSCr420やS25Cの溶鋼を収容したときの溶鋼の温度の低減効果およびワークレンガ溶損量の低減効果を調査した。SCr420を収容したとき、取鍋Aは溶鋼の平均温度は1625℃で、使用後のワークレンガの厚みが61mmであったのに対して、取鍋Bは溶鋼の平均温度は1640℃で、使用後のワークレンガの厚みが61mmであった。また、S25Cを収容したとき、取鍋Aは溶鋼の平均温度は1618℃で、使用後のワークレンガの厚みが64mmであったのに対して、取鍋Bは溶鋼の平均温度は1634℃で、使用後のワークレンガの厚みが65mmであった。本発明の取鍋AはSCr420やS25Cなどの鋼においても、取鍋の寿命に影響を与えることなく、溶鋼温度を低下させることができた。

Claims (1)

  1. 溶鋼を収容する取鍋のワークレンガにおいて、取鍋のワークレンガとしてカーボン含有量が15%〜20%であるレンガとカーボン含有量が5%以下のレンガを用い、カーボン含有量が15%〜20%であるレンガの使用する範囲を、側壁の取鍋上端からスラグと溶鋼の界面の下方300mm〜700mmまでの間とし、かつカーボン含有量が5%以下のレンガをそれ以外の側壁および敷部に使用して形成したことを特徴とする断熱性に優れた取鍋の内張り構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103831427A (zh) * 2014-03-19 2014-06-04 湖州市千金宝云机械铸件有限公司 钢水泄漏时快速报警的钢水包结构
CN109913610A (zh) * 2019-03-06 2019-06-21 鞍钢股份有限公司 一种转炉一炉两罐钢水净空的控制方法

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