JP2012136213A - クッション体及びシート構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クッション体1は、車体のシート用フレーム2に取り付けられるものである。クッション体1は、樹脂を発泡成形してなる発泡成形体3と、シート材4とを一体的に形成してなる。シート材4は、発泡成形体3の裏面の少なくとも一部に沿って一体的に固着した裏打部41と、裏打部41に基端部421が固定された延長部42とを有している。延長部42は、クッション体1がシート用フレーム2に取り付けられたときに、基端部421の周辺で発泡成形体3の裏面側に折り返され、裏打部41に対向して配置可能な形状に形成されている。
【選択図】図1
Description
また、車体の座席は、例えば、枠形状のシート用フレームの間に複数のS字型のバネを設け、この複数のバネの上にクッション体を配置し、このクッション体にカバーを被せて構成している。また、バネの代わりに、ワイヤと樹脂チューブが互いに直交してなる網状体のコンターマットを用いることもある。このコンターマットは、シート用フレームに係止されたS字フック又はスプリング部材の間に張架しており、コンターマットの上にクッション体を配置している。
すなわち、特許文献1の車両用シートにおいては、人間の荷重を支持するために、シートフレームに設けた吊りワイヤ、弾性フック等の金属製の支持部材を用いて、パッドを下方から支持することになる。そのため、吊りワイヤ、弾性フックの使用数が多くなり、車体の軽量化を図るために十分ではない。また、特許文献2のシートクッション構造においては、枠状フレーム間にばね製支持材を張架し、この枠状フレームに発泡体であるクッション体を載置している。ところが、ばね製支持材を用いると、シートの軽量化を図ることができない。
該クッション体は、樹脂を発泡成形してなる発泡成形体と、シート材とを一体的に形成してなり、
該シート材は、上記発泡成形体の裏面の少なくとも一部に沿って一体的に固着した裏打部と、該裏打部と上記発泡成形体との少なくとも一方に基端部が固定された延長部とを有しており、
該延長部は、上記クッション体が上記シート用フレームに取り付けられたときに、上記基端部周辺で上記発泡成形体の裏面側に折り返され、上記裏打部に対向して配置可能な形状に形成されていることを特徴とするクッション体にある(請求項1)。
上記シート用フレームは、一方側フレーム部と他方側フレーム部とが互いに対向する枠形状に形成されており、
上記延長部は、上記一方側フレーム部の周辺において、上記基端部周辺で上記発泡成形体の裏面側に折り返され、当該延長部に設けられた係止部によって上記他方側フレーム部に直接的又は間接的に連結されていることを特徴とするシート構造にある(請求項5)。
それ故、クッション体をシート用フレームに取り付けてシートを構成する際には、部品点数を削減して、シートの軽量化を図ることができる。
これにより、クッション体をシート用フレームに配置して形成したシートにおいて、着座者から加わる荷重を、クッション体と、クッション体の裏面側に配置された延長部とによって受けることができる。
また、クッション体の裏面側に延長部が配置されることにより、シート用フレームの間にコンターマットや複数のバネを設ける必要がなくなる。これにより、シートの軽量化を図ることができる。
それ故、延長部の基端部と一方側フレーム部とを連結する部品が不要になり、部品点数を削減して、シートの軽量化を図ることができる。
上記クッション体において、上記延長部は、該延長部を上記シート用フレームに直接的又は間接的に連結するための係止部を有していてもよい(請求項2)。
この場合には、延長部に設けた係止部を用いることにより、延長部をシート用フレームに容易に連結することができる。
なお、間接的に連結するとは、他の部材を介して延長部をシート用フレームに連結することをいう。
この場合には、連結部材を用いることにより、係止部をシート用フレームに連結することができる。
この場合には、延長部がクッション体と共に着座者による荷重を受ける際に、延長部が適度に撓んで着座者の荷重を支えることができる。そのため、着座者の座り心地が低下するのを防止することができる。
この場合には、連結部材を用いることにより、係止部を他方側フレーム部に連結することができる。
この場合には、延長部がクッション体と共に着座者による荷重を受ける際に、延長部が適度に撓んで着座者の荷重を支えることができる。そのため、着座者の座り心地が低下するのを防止することができる。
(実施例1)
本例のクッション体1は、図1、図2に示すごとく、車体のシート用フレーム2に取り付けられるものである。クッション体1は、樹脂を発泡成形してなる発泡成形体3と、シート材4とを一体的に形成してなり、シート材4は、発泡成形体3の裏面の少なくとも一部に沿って一体的に固着した裏打部41と、裏打部41に基端部421が固定された延長部42とを有している。延長部42は、クッション体1がシート用フレーム2に取り付けられたときに、基端部421の周辺で発泡成形体3の裏面側に折り返され、裏打部41に対向して配置可能な形状に形成されている。
以下の図1〜図7において、車体の前方をFR、後方をRR、右をRT、左をLT、上をUP、下をLR、表面をSF、裏面をBKで示す。
本例のクッション体1は、シートの座部においてシートクッションとして用いる。クッション体1は、図5に示すごとく、成形型6内にシート材4を配置し、樹脂の発泡成形を行って発泡成形体3を成形すると共に、発泡成形体3とシート材4とを一体化して形成されたものである。
クッション体1は、前後方向の中間部分の厚みが20〜30mmに形成されており、薄肉に形成されている。クッション体1は、前方部分が厚く、後方部分が薄く形成されている。
なお、裏打部41と延長部42とは、同じ素材から一体的に構成することもできる。また、裏打部41と延長部42とは、縫合する以外にも、ホッチキス(金属針)や接着剤を使用したり、熱融着等によって繋ぎ合わせることもできる。さらに、裏打部41と延長部42とは、予め繋ぎ合わせなくてもそれぞれ別個に成形型6に配置することもできる。
シート用フレーム2は、一方側フレーム部としての後方側フレーム部21と、他方側フレーム部としての前方側フレーム部22とが互いに対向し、これらのフレーム部21、22を一対のサイドフレーム部23、23によって連結した枠形状に形成されている。後方側フレーム部21と前方側フレーム部22とには、それぞれ補助フレーム部24、24と、係止フレーム部26、26とが設けられている。
同図に示すごとく、クッション体1の前方部には、裏面側に突出する前縁部32が形成されており、発泡成形体3の後方部には、裏面側に突出する後縁部31が形成されている。シート用フレーム2は、前縁部32と後縁部31とに囲まれた凹部に配置され、前縁部32と後縁部31の先端に前後の補助フレーム部24、24が当接している。
シート材4の延長部42は、外周縁のうちの一部に基端部421が設けられている。この基端部421は、裏打部41に縫合されていると共に発泡成形体3の後縁部31に固着されて後方側フレーム部21よりも後側に位置しており、延長部42の基端部421よりも先端部422側の部分は発泡成形体3の裏面から突出している。
図3、図4に示すごとく、クッション体1(発泡成形体3)の表面側には、表皮材5が被されている。表皮材5の各端部は、各フレーム部21、22に設けられた係止フレーム部26、26によって係止されている。
本例のクッション体1を製造するにあたっては、図5に示すごとく、クッション体1の裏面側を成型する上型61と、クッション体1の表面側を成型する下型62とを備えた成形型6を用いる。なお、同図においては、成形型6を概略的な形状で示す。
発泡成形体3の発泡成形を行う前には、裏打部41と延長部42とを縫合によって繋ぎ合わせて、シート材4を形成しておく。
そして、成形型6を開いた状態にして、上型61の成形面に設けられた引っ掛け部611、611にシート材4を引っ掛けて取り付ける。このとき、シート材4を基端部421で折り返し、延長部42を、裏打部41よりも上型61側に位置させる。
こうして、発泡成形体3の発泡成形を行い、発泡成形体3の裏面にシート材4が一体化されたクッション体1を製造することができる。
それ故、本例のクッション体1及びシート構造7によれば、シートを構成する際に、部品点数を削減して、シートの軽量化を図ることができ、着座者の座り心地の低下を防止することができる。
例えば、延長部42の基端部421と裏打部41とを、互いに繋ぎ合わせずにそれぞれ別個に発泡成形体3に固定することができる。
また、図6に示すごとく、違う素材のものを繋ぎ合わせて裏打部41を形成し、かつ裏打部41の一部と延長部42とを一体に形成した場合には、延長部42の基端部421は発泡成形体3のみに固定することができる。
この場合、シート用フレーム2においては、一方側フレーム部は上方側フレーム部21Aとなり、他方側フレーム部は下方側フレーム部22Aとなる。クッション体1の上方部には、クッション体1の上端で折り返された形状の上縁部31Aが形成されており、クッション体1の下方部には、クッション体1の下端で折り返された形状の下縁部32Aが形成されている。シート材4の延長部42の基端部421は、上方側フレーム部21Aの周りに折り返された下方に位置する上縁部31Aと裏打部41の端部とに固定されて折り返されている。
シートバックを構成する場合においても、上記シートクッションを構成する場合と同様の作用効果を奏することができる。
本例は、図8、図9に示すごとく、延長部42の先端部422に設ける係止部43の他の構造を示す例である。
係止部43は、上記筒状部433及びワイヤ435を用いて形成する代わりに、連結部材25を係止させるための係止穴43Aによって形成することもできる。係止穴43Aは、延長部42の先端部422に穴を開けると共にこの穴の周縁部に金属製のはとめ(リング)436を固定して形成することができる。この係止穴43Aは、はとめ436を用いることによって容易に形成することができる。
なお、係止部43としての金属製のはとめ436は、必ずしも延長部42の先端部422に設ける必要はなく、場合によっては、延長部42の中間部位、基端部421側の部位等に設けることもできる。
本例においても、クッション体1及びシート構造7のその他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図10、図11に示すごとく、延長部42の先端部422に、前方側フレーム部22に直接係止するための係止部43を設けた例である。
本例の係止部43は、ポリプロピレン等の樹脂をフック状に成形した樹脂製フック部437である。この樹脂製フック部437は、延長部42の先端部422にインサート成形して設けることができる。
また、一端部がフック形状を有する2つの平板状部材を準備し、2つの平板状部材の他端部の間に延長部42の先端部422を挟み込み、2つの平板状部材を熱溶着させることによって、延長部42の先端部422に樹脂製フック部437を設けることもできる。
また、2つの平板状部材の他端部の間に延長部42の先端部422を挟み込み、2つの平板状部材をねじ等によって締め付けて、延長部42の先端部422に固定することもできる。
また、樹脂製フック部437の内部には、樹脂製フック部437の強度を向上させるための金属製補強材を埋設することができる。この場合には、延長部42の先端部422及び金属製補強材を配置した金型において樹脂製フック部437をインサート成形することができる。
本例においても、クッション体1及びシート構造7のその他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本確認試験においては、各種素材のサンプルの引張強さを測定し、シート材4の延長部42に使用可能な素材を確認した。
引張強さの試験は、JIS L1096(織物及び編物の生地試験方法)の8.14(引張強さ及び伸び率)のストリップ法に基づいて行った。具体的には、引張試験機(オートグラフ)を用いて、サンプルの縦方向両端をチャック(固定部)で固定及び保持しながら、引張速度150mm/minの速度条件で一方のチャックを他方のチャックから離れる方向に相対移動させることにより、サンプルに引張力を加え、切断時の荷重(N)及びサンプルの伸び率(%)を測定した。
また、引張時にサンプルとチャックとの滑りを防止するため、チャックとサンプルとの間にゴム板(EPDM 60mm×90mm×3mm)を挟んだ。
また、引張試験機には、(株)島津製作所製AG−Iシリーズ(AG−5KNI)を用い、チャックには、(株)島津製作所製エアーチャック(部品番号:341−00553)を用いた。
発明品1:綿布(厚み:0.4mm)
発明品2:ダイメトロール(登録商標)(平面弾性素材、引張力を加える方向に対して、弾性糸が直交するようにサンプルを固定した場合)(厚み:0.7mm)
比較品1:ダイメトロール(登録商標)(平面弾性素材、引張力を加える方向に対して、弾性糸が平行になるようにサンプルを固定した場合)(厚み:0.7mm)
比較品2:タフネル(登録商標)(ポリプロピレンを素材とする連続長繊維不織布、目付け量:100g/m2)(厚み:0.6mm)
比較品3:ボランス(登録商標)(ポリエステル長繊維不織布、目付け量:100g/m2)(厚み:0.5mm)
上記各サンプルに対して引張試験を行った結果を表1に示す。ここで、引張強さの単位は、引張強さ(Pa)=荷重(N)/{横(mm)×厚み(mm)}の式から求めた。
一方、比較品1〜3については、伸び率が大きいために、引張力を加えた後に元の状態に近い状態に戻ることができず、また、引張強さが小さいために、大きい引張力に耐えられないことがわかった。
これらの結果より、シート材4の延長部42に用いる素材としては、発明品1の綿布、発明品2のダイメトロール(登録商標)(引張力を加える方向に対して、弾性糸が直交するようにサンプルを固定した場合)が使用可能であることが分かった。
2 シート用フレーム
21 後方側フレーム部(一方側フレーム部)
22 前方側フレーム部(他方側フレーム部)
25 スプリング部材(連結部材)
3 発泡成形体
4 シート材
41 裏打部
42 延長部
421 基端部
5 表皮材
Claims (7)
- 車体のシート用フレームに取り付けられるクッション体において、
該クッション体は、樹脂を発泡成形してなる発泡成形体と、シート材とを一体的に形成してなり、
該シート材は、上記発泡成形体の裏面の少なくとも一部に沿って一体的に固着した裏打部と、該裏打部と上記発泡成形体との少なくとも一方に基端部が固定された延長部とを有しており、
該延長部は、上記クッション体が上記シート用フレームに取り付けられたときに、上記基端部周辺で上記発泡成形体の裏面側に折り返され、上記裏打部に対向して配置可能な形状に形成されていることを特徴とするクッション体。 - 請求項1に記載のクッション体において、上記延長部は、該延長部を上記シート用フレームに直接的又は間接的に連結するための係止部を有していることを特徴とするクッション体。
- 請求項2に記載のクッション体において、上記係止部は、連結部材を介して上記シート用フレームに間接的に連結するよう構成されていることを特徴とするクッション体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のクッション体において、上記延長部は、弾性があり、かつ引張強度が30(MPa)以上の素材によって構成されていることを特徴とするクッション体。
- 請求項1に記載のクッション体を上記シート用フレームに取り付けてなるシート構造において、
上記シート用フレームは、一方側フレーム部と他方側フレーム部とが互いに対向する枠形状に形成されており、
上記延長部は、上記一方側フレーム部の周辺において、上記基端部周辺で上記発泡成形体の裏面側に折り返され、当該延長部に設けられた係止部によって上記他方側フレーム部に直接的又は間接的に連結されていることを特徴とするシート構造。 - 請求項5に記載のシート構造において、上記係止部は、連結部材を介して上記他方側フレーム部に間接的に連結されていることを特徴とするシート構造。
- 請求項5又は6に記載のシート構造において、上記延長部は、弾性があり、かつ引張強度が30(MPa)以上の素材によって構成されていることを特徴とするシート構造。
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