JP2012132697A - X線回折・熱分析同時測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定試料に対しX線を照射してX線回折測定を実施するとともに、当該被測定試料および標準試料を加熱して熱分析測定を同時に実施する機能を備えたX線回折・熱分析同時測定装置であり、被測定試料および標準試料を加熱する加熱炉を備えている。この加熱炉は、円筒形状をしており、中心軸が水平方向に配置され、一端面から他端面へとX線を透過可能な構成をしている。さらに、被測定試料および標準試料を加熱する加熱炉内に配置され、これら各試料から伝えられる熱を検出する感熱板30と、感熱板30の感熱面に設けられた被測定試料を保持する第1試料保持部31と、感熱板30の感熱面に設けられた標準試料を保持する第2試料保持部32とを有している。
【選択図】図5
Description
それら従来のX線回折・熱分析同時測定装置が備える試料保持部は、特許文献2に開示された反射方式のX線回折測定を実施する構成にあっては、被測定試料と標準試料の各保持部を水平配置で横に並べて設けた構造となっているが(特許文献2の図1参照)、特許文献1に開示された透過方式のX線回折測定を実施する構成にあっては、被測定試料と標準試料の各保持部を一定角度傾斜させて縦方向(斜め上下方向)に並べて設けた構造となっていた(特許文献1の図2参照)。また、非特許文献1の第91頁、図1Aには、透過型同時測定用DSCの試料保持部として、被測定試料と標準試料の各保持部を縦方向(上下方向)に並べて設けた構造が開示されている。
このような構造にあっては、被測定試料と標準試料の周囲に存在する気体(空気)は加熱に伴い上昇していくため、上記特許文献1や非特許文献1に開示されたような各試料の保持部が縦方向に並べて設けられた従来の構成では、包囲ブロック内の空気の対流の影響を受け、各保持部の周囲の温度雰囲気が僅かながらも変わってしまい、その変化が熱分析測定の結果に影響を及ぼしてしまう可能性がある。
円筒形状をしており、中心軸が水平方向に配置され、内部に配置される被測定試料および標準試料を周囲から均等に加熱するとともに、一端面側からX線を入射して前記被測定試料に照射し、且つ当該被測定試料を透過してきた回折X線を他端側から取り出すことが可能な構成をした加熱炉と、
前記加熱炉内に配置され、前記各試料から伝えられる熱を検出する感熱板と、
前記感熱板の感熱面に設けられ、前記被測定試料を保持する第1試料保持部と、
前記感熱板の感熱面に設けられ、前記標準試料を保持する第2試料保持部と、を含み、
前記感熱板は、前記感熱面を水平面に対して垂直に配置してあり、
前記第1試料保持部と第2試料保持部は、前記加熱炉の中心軸と交叉する鉛直線を中心として左右対称位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
かかる構造を前提として、水平面に対して垂直に配置された感熱板の感熱面に設けた第1試料保持部と第2試料保持部が、加熱炉の中心を通る鉛直線を中心として左右対称に配置されているので、第1試料保持部に装着された被測定試料と、第2試料保持部に装着された標準試料とが、加熱炉内で対称性をもって同じ熱雰囲気におかれる。よって、被測定試料と標準試料とを同じ環境下で昇温して高精度な熱分析測定を実現することができる。
各保持爪に挟持された各試料容器は、X線照射面を水平面に対して垂直に配置した状態で保持され、しかも既述したように、各試料容器を保持する各試料保持部が、加熱炉の中心軸と交叉する鉛直線を中心として左右対称位置にそれぞれ配置されているので、被測定試料と標準試料とを、加熱炉内で対称性をもって同じ熱雰囲気におくことができる。
さらに、各試料容器は、各保持爪の弾性力をもって押圧されて、底面が感熱板の感熱面に密接するので、各試料容器内の試料の熱を各試料容器の底面を介して感熱板に効率的に伝えることができ、各試料の温度を高感度で検出することが可能となる。
各保持爪を感熱板と同じ材料で形成することで、熱膨張差による感熱板からの各保持爪の剥離を抑制することができ、耐久性が向上する。
まず、図1を参照してX線回折・熱分析同時測定装置の概要を説明する。図1は被測定試料を透過してきた回折X線を検出する透過型のX線回折・熱分析同時測定装置の概略構成を示している。X線源1から放射されたX線を、点収束型のX線集光ミラー2(多層膜ミラー)によって収束するとともに、スリット3、4、5により拡散を抑えて被測定試料Sの表面に照射する。そして、被測定試料Sを透過してきた回折X線をX線検出器6に入射させてその入射角度(回折角)とX線強度を検出する。これと同時に、被測定試料Sとその横に配置した標準試料(図示せず)を加熱して熱分析測定を行う。
図2〜図6は、試料加熱装置の構成を示す図である。
試料加熱装置は、角筒状の本体ケース10と、その後端開口部を閉塞するケース後蓋11と、前端開口部を閉塞するケース前蓋12とで内部が密封されている。本体ケース10の正面中央部には、X線の入射側窓枠13が設けてあり、この入射側窓枠13の中央にはX線の透過窓13aが形成してある。この透過窓13aからX線源1からのX線が入射する。また、本体ケース10の背面中央部には、X線の出射側窓枠14が設けてあり、この出射側窓枠14の中央にもX線の透過窓14aが形成してある。試料を透過してきた回折X線は、この透過窓14aから出射してX線検出器6へと導かれる。各透過窓13a、14aには、アルミニウムやカプトン、ポリイミドなどのX線を透過する特性を有した薄膜の窓材が貼られており、これにより内部の密封状態が保たれている。
ここで、炉体蓋21には、第1試料保持部31および第2試料保持部32と対向する、加熱炉20の中心軸と交叉する鉛直線を中心とした左右対称位置に、同一形状(図5では円形)の透過窓21a、21bがそれぞれ形成してある。これらの透過窓21a、21bには、アルミニウムやカプトン、ポリイミドなどのX線を透過する特性を有した薄膜の同一窓材が貼られている。
なお、加熱炉20の正面側は、断熱板22によって閉塞されている。この断熱板22にも透過窓(図示せず)が形成してあり、これらの透過窓にはアルミニウムやカプトン、ポリイミドなどのX線を透過する特性を有した薄膜の窓材が貼られている。
上述した加熱炉20は、中心軸が水平となるなるように配置される。感熱板30の正面は、この加熱炉20の中心軸と直交して(加熱炉20を横断するように)、加熱炉20内に配設されている。そして、被測定試料を保持する第1試料保持部31と標準試料を保持する第2試料保持部32は、感熱板30の感熱面に設けられており、加熱炉20の中心軸と交叉する鉛直線を中心として左右対称位置にそれぞれ配置されている(図6参照)。
このような配置とすることで、第1試料保持部31に装着された被測定試料と、第2試料保持部32に装着された標準試料とが、加熱炉20内で対称性をもって同じ熱雰囲気におかれる。よって、被測定試料と標準試料とを同じ環境下で昇温して高精度な熱分析測定を実現することができる。
各試料保持部31、32には、第1、第2試料保持金具33、34が取り付けてある。本実施形態では、これら各試料保持金具33、34を感熱板30と同じ材料で形成し、感熱板30の感熱面にスポット溶接にて固着してある。各試料保持金具33、34を感熱板30と同じ材料で形成することで、熱膨張差による感熱板30からの各試料保持金具33、34の剥離を抑制することができ、耐久性が向上する。
第1、第2試料容器41、42は、図9に示すように、有底円筒状の容器本体43と、この容器本体43の開口部から内部へ挿入される円盤状の蓋体44とで構成されている。容器本体43の底面中央部にはX線の透過孔43aが形成してあり、同様に蓋体44の中央部にもX線の透過孔44aが形成してある。
なお、第1、第2試料保持部31、32の中央部にもX線の透過孔31a、32aが形成してあり(図7参照)、上記各試料容器41、42の透過孔43a、44aはこれらの透過孔31aまたは32aと対向して配置される。
まず、X線回折測定は、X線源1からのX線を、図2に示す試料加熱装置の入射側窓枠13に形成された透過窓13aを介して、第1試料保持部31に保持された第1試料容器41内の被測定試料に正面から照射することにより実行される。X線の照射により被測定試料から発生した回折X線(透過X線)は、図2に示す出射側窓枠14に形成された透過窓14aを介してX線検出器6へと導かれ、その入射角度(回折角)とX線強度が検出される。
これと同時に、試料加熱装置に設けた加熱炉20を作動させて、その内部にある第1試料保持部31に保持された第1試料容器41内の被測定試料と、第2試料保持部32に保持された第2試料容器42内の標準試料とを加熱し、感熱板30に溶接された熱電対で各試料の温度変化が検出される。
また、加熱炉やその周囲の構造は、図2に示した以外の公知の構造を採用してもよく、X線回折測定のための光学系も、図1に示した以外の公知の構造を採用することは自由である。
10:本体ケース、11:ケース後蓋、12:ケース前蓋、13:入射側窓枠、13a:透過窓、14:出射側窓枠、14a:透過窓、15:炉体取付台、16:外側断熱筒、17:内側断熱筒、18:キャスター、
20:加熱炉、21:炉体蓋、21a,21b:透過窓、
30:感熱板、31:第1試料保持部、32:第2試料保持部、31a,32a:透過孔、33:第1試料保持金具、34:第2試料保持金具、35:台座部、36:保持爪、
41:第1試料容器、42:第2試料容器、43:容器本体、44:蓋体、43a,44a:透過孔、45:試料、46:保持薄膜、
Claims (4)
- 被測定試料に対しX線を照射してX線回折測定を実施するとともに、当該被測定試料および標準試料を加熱して熱分析測定を同時に実施する機能を備えたX線回折・熱分析同時測定装置において、
円筒形状をしており、中心軸が水平方向に配置され、内部に配置される被測定試料および標準試料を周囲から均等に加熱するとともに、一端面側からX線を入射して前記被測定試料に照射し、且つ当該被測定試料を透過してきた回折X線を他端側から取り出すことが可能な構成をした加熱炉と、
前記加熱炉内に配置され、前記各試料から伝えられる熱を検出する感熱板と、
前記感熱板の感熱面に設けられ、前記被測定試料を保持する第1試料保持部と、
前記感熱板の感熱面に設けられ、前記標準試料を保持する第2試料保持部と、を含み、
前記感熱板は、前記感熱面を水平面に対して垂直に配置してあり、
前記第1試料保持部と第2試料保持部は、前記加熱炉の中心軸と交叉する鉛直線を中心として左右対称位置にそれぞれ配置されていることを特徴とするX線回折・熱分析同時測定装置。 - 前記感熱板の感熱面と対向して前記加熱炉の端面に装着される炉体蓋を備えた請求項1のX線回折・熱分析同時測定装置であって、
前記炉体蓋は、前記第1試料保持部および第2試料保持部と対向する、前記加熱炉の中心軸と交叉する鉛直線を中心とした左右対称位置に、同一形状の透過窓がそれぞれ形成してあり、且つ各透過窓にX線を透過する特性を有した同一の窓材が貼られていることを特徴とするX線回折・熱分析同時測定装置。 - 前記第1試料保持部および第2試料保持部には、ともに複数の弾力性を有する保持爪が、前記加熱炉の中心軸と交叉する鉛直線を中心として左右対称となるように設けてあり、これら各保持爪に囲まれた領域に、前記被測定試料を入れた第1試料容器および前記標準試料を入れた第2試料容器をそれぞれ押し込み、各試料容器の周囲をそれぞれ各保持爪により挟持して、各試料容器のX線照射面を水平面に対して垂直に配置した状態で保持し、且つ、各保持爪の弾性力をもって各試料容器をそれぞれ押圧して当該各試料容器の底面を前記感熱板の感熱面に密接させる構成であることを特徴とする請求項1又は2のX線回折・熱分析同時測定装置。
- 前記第1試料保持部および第2試料保持部に設けた各保持爪は、前記感熱板と同じ材料で形成され、同感熱板の感熱面に溶接されていることを特徴とする請求項3のX線回折・熱分析同時測定装置。
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