JP2012132526A - 液圧テンショナ - Google Patents

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Abstract

【課題】無端伝動要素の弾性伸び等を伴う大きなばたつきを吸収できるようプランジャの大きな伸長動作を可能にしながらも、無端伝動要素の張り過ぎによる振動・騒音を確実に防止することのできる液圧テンショナを提供する。
【解決手段】液圧テンショナの戻り制限機構40の歯止め部43は、プランジャ13の移動により中心軸線C1に対し離隔方向に駆動される係合パッド45と、これを保持するとともに、離隔方向への液圧を受圧する第1受圧面47cと接近方向への液圧を受圧する第2受圧面47dとを有し、油室12内の液圧が導入される操作液圧室51を画成する保持部材46とを含んで構成され、操作液圧室51内の液圧が高圧値に達したとき、受圧面47c、47dの面積差に応じて保持部材46に離隔方向に作用する液圧力によって、係合パッド45を接近方向に付勢する可動部47を離隔方向に変位させるようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液圧テンショナ、特にハウジング内に導入される液圧を受けて伸長方向に移動するプランジャの収縮方向の移動をラチェット機構等の戻り制限機構により制限する液圧テンショナに関する。
内燃機関のクランク軸からカムシャフトに回転動力を伝達するタイミングチェーンやタイミングベルトのように駆動軸と被駆動軸の間で回転伝動する無端伝動要素(以下、単にチェーンともいう)には、内燃機関の運転状態や負荷の変動に対して弛み無く正確なタイミングで回転伝動することが要求される。したがって、車両のエンジン等においては、温度変化や回転数変動によるチェーンの張力変化あるいは経年変化等によるチェーンの張力低下を吸収し、その張力を適正範囲内に保つようにテンショナが併用されている。また、チェーンに係合するプランジャにその係合方向へのばね力や液圧等の付勢力を作用させ、チェーンの張力が急に低下するときには、プランジャを前記付勢力によりハウジングから突出する方向に伸長動作させて適度の張力を維持させ、一方、チェーンの張力が過大となってプランジャに液圧(油圧)力を上回る収縮方向への大きな反力が作用するときには、摺動部やシール部での漏れや油膜粘性等によって適度のダンパ作用を生じさせつつ、プランジャの収縮方向への過度の移動をラチェット機構等の戻り制限機構により制限するようにしたものが多い。
このような液圧テンショナとしては、例えばハウジングにスプライン嵌合するプランジャの外周側のスプライン歯を一定軸方向間隔で切り欠いてラック歯状の複数の歯と歯間切欠き溝を形成し、その切欠き溝の任意の1つに係合するボールをハウジング側でプランジャの軸直角方向に移動可能に保持するとともにばねによりプランジャ側に付勢するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、プランジャの収縮方向の移動を規制するようプランジャの外周側に一列に形成された複数のラチェット歯のうち一部のラチェット歯に係合するラチェットパッドを設け、そのラチェットパッドをハウジングの横穴内にプランジャの軸直角方向に移動可能に保持するとともに、ハウジングを取り巻く弾性バンドによってラチェットパッドをプランジャ側に付勢するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、プランジャのラチェット歯に係合するポール(歯止め)部材に係合方向への付勢力を生じるラチェット係合ばねを装着しておき、チェーンに係合するテンショナアームによってハウジングを保持するとともに、そのテンショナアームに前記ラチェット係合ばねのばね受け部分を設けたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、ハウジングに軸方向移動可能に保持されるとともにラチェットポールに係合する第1ピストンとテンショナアームに係合するとともに第1ピストンの先端部に突出可能に収納された第2ピストンとによってプランジャを構成する一方、ハウジングには、第1ピストンとの間の液圧室に液圧を導入および排出する第1加圧オイル通路と、第1ピストンと第2ピストンとの間のダンパ室に液圧を導入する第2加圧オイル通路とを形成したものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−036779号公報 特開2003−269556号公報 特開2004−125170号公報 特開2001−304360号公報
しかしながら、上述のような従来の液圧テンショナにあっては、部品形状が複雑になったり部品点数が多くなったりすることで、コスト高になるという問題があった。
また、従来の液圧テンショナでは、プランジャの戻りを制限するラチェット歯等のピッチを超えるようなチェーンのばたつきを戻り制限機構によって抑制するという構成であるため、プランジャにそのピッチに対応するバックストローク量の範囲内でバックラッシュが生じたりそれに対応するチェーンの張力変動が生じたりするが、それに対し、プランジャのバックストローク量を大きくすると、エンジン始動時等のチェーンの張力変化に対してプランジャがバックストローク程度の大きなストロークで伸長動作してしまい、エンジン始動時等におけるチェーンのばたつきを十分に抑制することができなかった。
逆に、エンジン始動時等におけるチェーンのばたつきを抑えるためにプランジャのバックストロークを小さくすると、チェーンに弾性伸び等を含む大きな伸びが生じた場合にプランジャがその小さいバックストローク程度の通常の伸長ストロークを超えて大きく伸長動作してしまう、いわゆる過飛び出しが生じ易くなり、その過飛び出しが生じてしまうと、プランジャの戻りが戻り制限機構により制限されてしまうことで無端伝動要素の張り過ぎによる振動・騒音の増加を招いてしまうことになっていた。
本発明は、上述のような従来の問題を解消すべくなされたものであり、無端伝動要素の弾性伸び等を伴う大きなばたつきを吸収できるようプランジャの大きな伸長動作を可能にしながらも、無端伝動要素の張り過ぎによる振動・騒音を確実に防止することのできる液圧テンショナを提供するものである。
上記課題解決のため、本発明に係る液圧テンショナは、(1)液通路が形成されたハウジングと、前記ハウジングに軸方向に移動可能に保持されるとともに前記ハウジングの内部に前記液通路を通して前記液体が導入される液室を形成するプランジャと、前記プランジャに前記軸方向に等間隔に配設された凹または凸状の複数の歯面部および該複数の歯面部のうちいずれかに係合するよう前記ハウジングに支持された歯止め部を有し、前記プランジャが前記ハウジングに対し前記液室内の液圧により付勢される第1方向に移動するのを許容する一方、前記プランジャが前記ハウジングに対し前記第1方向とは反対の第2方向に移動するのを制限する戻り制限機構と、を備え、前記プランジャにより、駆動軸と被駆動軸の間に巻回される無端伝動要素に該無端伝動要素の張力を保持する力を加える液圧テンショナであって、前記戻り制限機構の前記歯止め部は、前記プランジャが前記第1方向に移動するときに前記複数の歯面部のうちいずれかによって前記プランジャの中心軸線から離隔する離隔方向に駆動され、前記プランジャが前記第2方向に移動するときに前記プランジャの中心軸線に接近する接近方向に復帰することができる係合部材と、前記係合部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持するとともに、前記離隔方向への液圧を受圧する第1受圧面と該第1受圧面より受圧面積が小さく前記接近方向への液圧を受圧する第2受圧面とを有し、前記ハウジング内に前記液室内の液圧が導入される操作液圧室を画成する保持部材と、を含んで構成され、前記液室および前記操作液圧室内の液圧が予め設定された高圧値に達したとき、前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差により前記保持部材に前記離隔方向に作用する液圧力によって、前記保持部材のうち少なくとも前記係合部材を前記接近方向に押圧可能な特定部分を前記離隔方向に変位させるようにしたことを特徴とする。
この構成により、液室および操作液圧室内の液圧が高圧値に達すると、保持部材が第1および第2受圧面の面積差により保持部材に作用する離隔方向の液圧力を受け、保持部材のうち少なくとも係合部材を接近方向に押圧可能な特定部分が離隔方向に変位する。したがって、伝達トルクや負荷の変動による無端伝動要素のばたつきを十分に抑制可能な程度の通常の作動液圧(液室および操作液圧室内の液圧)の設定が可能である一方で、無端伝動要素の張り過ぎになるほどその液室および操作液圧室内の液圧が高圧値に達すると、接近方向への復帰力に基づいてプランジャの第2方向への戻りを制限する係合部材のその復帰力が低下することになり、無端伝動要素の張力が過大になる状態を解除する程度のプランジャの戻りが可能になる。
本発明の液圧テンショナにおいては、(2)前記保持部材が、前記特定部分となる可動部と、該可動部が前記ハウジングに対して前記離隔方向に変位するときに該可動部の変位量に応じた抗力を生じる抗力発生部とによって構成されているのが好ましい。
この場合、操作液圧室内の液圧が高圧値に達したときの可動部の離隔方向への変位量を的確に設定可能になるとともに、抗力発生部の抗力を相違させることで、その変位量を調節することも可能となる。なお、前記保持部材を可動部と抗力発生部とに分けずに前記離隔方向に撓ませて前記特定部分を前記離隔方向に変位させるようにしてもよい。
上記(2)の構成とする場合、(3)前記保持部材の前記可動部が、前記係合部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持する内側摺動面と、前記ハウジングに対して前記離隔および接近方向に摺動可能に係合する外側摺動面とを有し、前記外側摺動面により囲まれる範囲内に前記第1受圧面が形成されるとともに、前記外側および内側摺動面の間に前記第2受圧面が形成されていることが好ましい。
この構成により、係合部材を接近方向に付勢する弾性部材を可動部の内側摺動面内の摺動穴内に容易に収納しながら、可動部に第1受圧面および第2受圧面を容易に形成可能となる。
また、本発明の液圧テンショナにおいては、(4)前記歯止め部が、前記係合部材と前記保持部材の前記特定部分との間に介在して前記係合部材を前記接近方向に付勢する弾性部材を含んで構成され、前記複数の歯面部のそれぞれが、前記プランジャが前記第1方向に移動するときに前記係合部材に圧接可能な第1歯面および前記プランジャが前記第2方向に移動するときに前記係合部材に圧接可能な第2歯面を有し、前記操作液圧室内の液圧が前記高圧値に達したときに前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差により前記保持部材に前記離隔方向に作用する液圧力が、前記第2方向に加圧される前記プランジャに対し前記係合部材を前記離隔方向に摺動させるときの摩擦抵抗と前記係合部材を前記接近方向に付勢する前記弾性部材の付勢力との合力よりも大きくなるように、前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差と前記弾性部材の付勢力とが設定されていることが望ましい。
この構成により、係合部材の復帰力やストロークの設定の自由度が高くなり、係合部材の復帰によるプランジャの戻り制限が確実になるとともに、操作液圧室内の液圧が高圧値に達したときに係合部材の復帰力を低下させるような設定も容易に可能となる。
上記(4)記載の構成とする場合、(5)前記係合部材が、前記第1歯面に対向する第1対向面および前記第2歯面に対向する第2対向面を有し、前記第1対向面および前記第2対向面の間に挟まれる対向面間挟角が、前記第1歯面および前記第2歯面の間に挟まれる歯面間挟角と略等しくなっていることが好ましい。
この構成により、プランジャが第1方向に移動するときには複数の歯面部のうちいずれかによって係合部材が離隔方向に駆動され、プランジャが第2方向に移動するときにプランジャの通常の復帰と液圧が高圧値に達したときのプランジャの戻りとを両立させることができる。
本発明の液圧テンショナは、より好ましくは、(6)前記ハウジングが、前記プランジャを移動可能に収納するとともに前記プランジャとの間に前記液室を形成する凹状内壁部と、前記保持部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持する保持穴部と、前記液室および前記保持穴部を連通させる連通孔部とを有しているものである。
この構成により、ハウジング内で保持穴部内に画成される操作液圧室に液室からの液圧を連通孔部を通して確実に導入することができ、係合部材を操作するための部品点数を抑えることができる。
また、本発明の液圧テンショナにおいては、(7)前記戻り制限機構は、前記液通路から前記液室内に前記液体が導入されるときに開弁する一方、前記液室から前記液通路側に前記液体が逆流するのを阻止する逆止弁をさらに含んで構成されているのがよい。
この構成により、プランジャの第2方向への移動時に液圧室内の液圧を的確に高めることができ、無端伝動要素の張り過ぎになるほど液室および操作液圧室内の液圧が高圧値に達するときに、その液圧をハウジング内に保持することができる。
本発明によれば、伝達トルクや負荷の変動による無端伝動要素のばたつきを十分に抑制可能な程度に液室および操作液圧室内の液圧を設定する一方で、無端伝動要素の張り過ぎになるほどその液室および操作液圧室内の液圧が高圧値に達すると、接近方向への復帰力に基づいてプランジャの第2方向への戻りを制限する係合部材の復帰力を低下させ、無端伝動要素の張力が過大になる状態を解除する程度のプランジャの戻りを許容するようにしているので、無端伝動要素の弾性伸び等を伴う大きなばたつきを吸収できるようプランジャの大きな伸長動作を可能にしながらも、無端伝動要素の張り過ぎによる振動・騒音を確実に防止することのできる広作動範囲の応答が可能な液圧テンショナを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る液圧テンショナの要部拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る液圧テンショナの全体概略構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る液圧テンショナにおける第1受圧面および第2受圧面の全体概略構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る液圧テンショナの配置の説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、本発明に係る液圧テンショナの一実施形態を示している。この液圧テンショナは、例えば図示しないエンジンのエンジンブロックに締結固定されるとともに、エンジン内を循環するオイルとその液圧がエンジンの運転中常に供給されるようになっている。
図1および図2に示すように、本実施形態の液圧テンショナ10は、一端側の底壁部に加圧されたオイル(液体、例えばエンジンオイル)が供給される液通路としてのオイル供給通路11aが形成された略有底円筒状のハウジング11と、このハウジング11内に油室12(液室)を形成するようハウジング11に摺動可能に収納・保持されるとともにハウジング11の他端側で閉塞した略有底円筒状のプランジャ13と、を備えている。
ハウジング11は、その内方側にプランジャ収納孔11bを形成する凹状内壁部11dを有しており、さらに、図示しない取付け穴部を有している。
油室12は、ハウジング11とプランジャ13の間に画成されるとともに、オイル供給通路11aを通してオイルが導入されるようになっており、この油室12内の液圧によりプランジャ13はハウジング11の他端側から図2中の右側に突出する方向(以下、第1方向という)に付勢されるようになっている。
プランジャ13は、プランジャ収納孔11bの内奥面11cに近接する内端部13a側で開口する略円筒状のスカート部13bと、ハウジング11の他端側でハウジング11の外部に露出するスカート部13bの外端側を閉塞させる閉塞部13dと、を有している。このプランジャ13は、ハウジング11のプランジャ収納孔11bを形成する凹状内壁部11dに対してスプライン等の歯またはキー付の形状をなしつつハウジング11に摺動可能に嵌合したものであってもよい。
ハウジング11とプランジャ13の間には、油室12内の液圧によるプランジャ13の付勢方向である第1方向に向かって常に(油室12内の液圧低下時にも)プランジャ13を付勢するように、圧縮コイルばね14(弾性部材)が圧縮状態で介装されている。
図4に示すように、液圧テンショナ10は、プランジャ13をエンジン1(詳細図示せず)に設けられたスリッパ35の上端部35aに係合しており、このスリッパ35を介して、エンジン1の下部に配置されたクランク軸31(駆動軸)とエンジン1の上部に配置された吸気側および排気側のカムシャフト32、33(被駆動軸)との間に巻回されるチェーン34(無端伝動要素)の特定の移動区間に押圧力を加えるようになっている。なお、スリッパ35は、図4中の下端部35bでエンジンブロックに対して図中の左右方向に揺動可能に支持されており、液圧テンショナ10のプランジャ13によって上端部35aを同図中の右側に押圧されるとき、チェーン34をリンク部分で案内しつつチェーン34の弛みを無くし、または、そのチェーン34の張力を増加させることができる。また、図4に示したエンジン1においては、運転状態に応じてバルブタイミングを連続的に可変制御する液圧式の可変バルブタイミング機構(VVT)が設けられており、その詳細を図示しないが、カムシャフト32、33の一端部にそれぞれ複数のベーンを有するベーンロータを装着する一方、クランク軸31によりチェーン34を介して駆動されるチェーンスプロケット22a、23aをVVTハウジング22、23に装着し、それらVVTハウジング22、23内に対応するベーンロータを回転可能に収納させた構成となっている。
図2に示すように、油室12に開口するオイル供給通路11aの導入端側には、オイル供給通路11aから油室12側へのオイルの流れを許容する一方、油室12側からオイル供給通路11a側へのオイルの流れを阻止する逆止弁36が設けられている。この逆止弁36は、球状弁体36aと、その球状弁体36aが着座する弁座部36bと、球状弁体36aの可動範囲を弁座部36bの近傍に制限するキャップ状のバルブガイド36cと、オイル供給通路11a内の供給液圧が予め設定された供給液圧を超えるときだけ球状弁体36aが弁座部36bから離れ(開弁動作し)、常時は逆止弁36が閉弁しているように球状弁体36aを常時閉弁方向に付勢する予圧ばね36dと、を有している。
また、バルブガイド36cには、球状弁体36aの直径より十分に小さい複数の連通孔36eが形成されており、これら連通孔36eによってオイル供給通路11a側と油室12側とが連通している。そして、逆止弁36を介して油室12内にオイルが供給され、プランジャ13がそのオイルの液圧Psにより油室12の容積を増加させる第1方向に押し出されるとき、プランジャ13はスリッパ35を介してチェーン34の特定の移動区間に対して押圧力を加えることができる。
ここにいう特定の移動区間とは、チェーン34の伝動回転中に他の移動区間よりも張力が小さく弛み側となる移動区間である。また、オイル供給通路11aから供給されるオイルの液圧が低下したときには、プランジャ13は、圧縮コイルばね14からの付勢力を受けつつ、スリッパ35を介してチェーン34の特定の移動区間側にある程度の押圧力を加え続け、チェーン34の緩みを一定範囲内に制限できるようになっている。
一方、図2中で上方側に位置するプランジャ13の外周の一部には、ラック部13mが設けられている。
図1に示すように、プランジャ13のラック部13mは、プランジャ13の外周円筒面に対しそれぞれ略V字形の凹状をなすとともにプランジャ13の軸線方向に等間隔に配置された複数の歯面部41を有しており、これら複数の歯面部41によって複数の鋸歯状断面のラチェット歯T1を形成している。このプランジャ13のラック部13mは、戻り制限機構40の一部を構成している。
戻り制限機構40は、プランジャ13のラック部13mに加えて、そのラック部13mの複数の歯面部41のうちいずれかに係合するようにハウジング11に支持された歯止め部43と、前述の逆止弁36とを有しており、プランジャ13がハウジング11に対し油室12内の液圧により付勢される第1方向に移動するのを許容する一方、プランジャ13がハウジング11に対し第1方向とは反対の第2方向に移動するのを液圧低下時には歯止め部43により、液圧上昇時には逆止弁36および歯止め部43により制限するようになっている。
図1中に部分拡大図で示すように、複数の歯面部41のそれぞれは、油室12内の液圧により第1方向(図2中では右向き方向)に移動するときに係合パッド45に圧接可能な第1歯面41aと、プランジャ13が第2方向(図2中では左向き方向)に移動するときに係合パッド45に圧接可能な第2歯面41bと、によって構成されている。
また、戻り制限機構40の歯止め部43は、プランジャ13のラック部13mの複数の歯面部41のうちいずれかに常に係合する係合パッド45(係合部材)と、この係合パッド45をプランジャ収納孔11bおよびプランジャ13の中心軸線C1に対し直交する方向(以下、軸直角方向という)に変位可能に保持部材46と、係合パッド45と保持部材46との間に圧縮状態で組み込まれた圧縮コイルばね49と、を備えている。
ここで、係合パッド45は、例えばその略円板状の片面側に、プランジャ13のラック部13mの複数の歯面部41のうちいずれかに噛合可能な少なくとも1つ、例えば3つの爪状歯部T2を有している。この係合パッド45は、複数の歯面部41のうちいずれかの第1歯面41aに対向し、プランジャ13が第1方向に移動するときに複数の歯面部41のうちいずれかによってプランジャ13の中心軸線C1から離隔する離隔方向(図2中では上向き方向)に駆動される第1対向面45aと、複数の歯面部41のうちいずれかの第2歯面41bに対向し、プランジャ13が第2方向に移動するときにプランジャ13の中心軸線に接近する接近方向(図2中では下向き方向)に復帰して第2歯面41bに圧接する第2対向面45bと、を有している。
また、係合パッド45の第1対向面45aおよび第2対向面45bの間に挟まれる対向面間挟角θ1は、複数の歯面部41の第1歯面41aおよび第2歯面41bの間に挟まれる歯面間挟角θ2(図1では対頂角で示す)と略等しくなっている。
また、保持部材46は、係合パッド45を出没可能に収納・保持するとともにハウジング11に摺動・変位可能に保持された可動部47と、この可動部47の外端部に当接しつつハウジング11の保持穴部11hを略閉塞する弾性保持バンド48(抗力発生部)と、によって構成されている。
可動部47は、ハウジング11の筒壁部分に穿孔された円形開口の保持穴部11hの内部に軸方向に摺動・変位可能に収納されており、この可動部47は、係合パッド45を中心軸線C1に対し離隔する方向(以下、離隔方向という)および接近する方向(以下、接近方向という)に摺動可能に保持する内側摺動面47aと、ハウジング11の保持穴部11hに対して離隔方向および接近方向に摺動可能に係合する外側摺動面47bと、を有している。
また、ハウジング11の保持穴部11hおよび可動部47は、ハウジング11のプランジャ収納孔11bの中心軸線C1に対して所定交差角度をなして交差する方向、例えば軸直角方向に延在するそれぞれの中心軸線C2を有している。ここで、ハウジング11の保持穴部11hと油室12とは、ハウジング11の凹状内壁部11dの近傍に形成された連通孔部11wを介して互いに連通しており、油室12内のオイルの液圧は連通孔部11wを通して保持穴部11h内にも導入されるようになっている。
さらに、可動部47には、第1受圧面47cおよび第2受圧面47dを有する横穴47eが形成されており、可動部47がハウジング11の保持穴部11h内に挿入されたとき、可動部47はハウジング11内に横穴47eに対応する操作液圧室51を画成するようになっている。そして、可動部47は、外側摺動面47bにより囲まれる範囲内において操作液圧室51内に油室12側からの液圧が導入されるとき、その操作液圧室51内の液圧を、第1受圧面47cでは中心軸線C1に対する離隔方向に受圧し、内側摺動面47aおよび外側摺動面47bの間に形成される第2受圧面47dでは中心軸線C1に対する接近方向に受圧するようになっている。
ここで、可動部47の第1受圧面47cは、横穴47eを形成する可動部47の内壁面のうちハウジング11の外周面側に位置しており、図3(a)に示すように、外側摺動面47bにより囲まれる範囲内に相対的に大きい受圧面積A1を有している。また、可動部47の第2受圧面47dは、横穴47eを挟んで第1受圧面47cとは反対側(可動部47の内壁面のうちハウジング11のプランジャ収納孔11bの内周面側)に位置しており、図3(b)に示すように、内側摺動面47aおよび外側摺動面47bの間で比較的狭い範囲内に第1受圧面47cの受圧面積A1から内側摺動面47a内の穴断面積A2を差し引いた相対的に小さい受圧面積(A1−A2)を有している。
弾性保持バンド48は、ハウジング11の他端側の外周部を取り囲む弾性バンドであり、耐熱性や耐膨潤性に優れたゴム弾性バンドあるいは円弧状に湾曲した金属板とばねで構成されている。この弾性保持バンド48は、可動部47が中心軸線C1に対する離隔方向に変位するとき、その可動部47の変位量に応じた抗力(可動部47の離隔方向への変位を抑制する抵抗力)を生じる抗力発生部となっている。
圧縮コイルばね49は、係合パッド45と保持部材46の可動部47との間に介在して係合パッド45を中心軸線C1に対する接近方向に付勢する弾性部材となっており、係合パッド45をプランジャ13のラック部13mに向かって付勢している。また、可動部47は、この圧縮コイルばね49を介して係合パッド45を中心軸線C1に対する接近方向に押圧可能な保持部材46の特定部分となっている。
ところで、圧縮コイルばね49の組込み荷重(図1中の状態に組み付けられたときの設定荷重)およびばね定数と、保持部材46の可動部47の第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの受圧面積および両受圧面積の差は、さらに、複数の歯面部41の第1歯面41aおよび第2歯面41bの中心軸線C1に対する傾斜角度、係合パッド45の爪状歯部T2を形成する第1対向面45aおよび第2対向面45bの中心軸線C1に対する傾斜角度、ならびに各摺動部位における摩擦係数等は、油室12および操作液圧室51内の液圧が予め設定された高圧値に達したとき、第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの面積差により保持部材46に前記離隔方向に作用する液圧力Foによって、保持部材46のうち少なくとも前記特定部分としての可動部47を、中心軸線C1に対する離隔方向に変位させることができるように設定されている。
具体的には、操作液圧室51内の液圧が予め設定された高圧値に達したとき、第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの面積差により保持部材46に離隔方向に作用する液圧力Foが、チェーンスリッパ35側から反力Ftにより戻り方向である第2方向に加圧されるプランジャ13に対して、係合パッド45を中心軸線C1からの離隔方向に摺動させるときの摩擦係合面間の摩擦抵抗μFt(μは摩擦係数)と係合パッド45を接近方向に付勢する圧縮コイルばね49の付勢力Fsとの合力よりも大きくなる(Fo>μFt+Fs)ように、第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの面積差と圧縮コイルばね49の付勢力Fs等がそれぞれ設定されている。
また、係合パッド45を中心軸線C1からの離隔方向に摺動させるとき、可動部47と係合パッド45の間の摩擦抵抗が、摩擦抵抗μFtより大きくなるように、例えばプランジャ13の複数の歯面部41の第2歯面41bあるいは係合パッド45の第2対向面45bのうち少なくとも一方が、中心軸線C1に対し直交する面よりもわずかに図1中の時計方向に傾斜し、プランジャ13に大きな反力Ftが加わるとき係合パッド45を中心軸線C1からの離隔方向に付勢し得る小さい分力が生じるように歯面傾斜角調整がなされている。なお、圧縮コイルばね49の長さが組込み時の長さを超えると、圧縮コイルばね49のばね荷重が急に低下するように、圧縮コイルばね49のばね特性を非線形とする形状または構造とするか、圧縮コイルばね49の伸びを制限する手段を設けてもよい。例えば、可動部47に対し係合パッド45の中心軸線C1への接近方向の突出量が所定値を超えると、可動部47と係合パッド45の間の摩擦抵抗が急に大きくなるように、係合パッド45の外周面および可動部47の内側摺動面47aがわずかなテーパ状に形成されていてもよいし、可動部47に対し係合パッド45の中心軸線C1への接近方向の突出量が所定値に達するほど可動部47がハウジング11の保持穴部11h内で外方側(離隔方向)に変位したとき、可動部47と係合パッド45が互いに保持穴部11hの中心軸線C2の方向に部分的に突き当たるようになっていてもよい。勿論、それらを組み合わせてもよい。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の液圧テンショナにおいては、エンジン1の始動時においては、プランジャ13が戻り制限機構40の歯止め部43によりそのラック部13mの複数の歯面部41と係合パッド45の爪状歯部T2との間のバックラッシュ程度の範囲内に戻りを制限される。
しかし、エンジン1の運転中にチェーン34が張り過ぎとなる程度に油室12内の液圧が高圧値に達すると、保持部材46が第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの受圧面積差により可動部47に作用する離隔方向の液圧力Foが、プランジャ13のラック部13mの複数の歯面部41のいずれかと係合パッド45の爪状歯部T2との間の摩擦係合部位における摩擦抵抗μFtと係合パッド45を接近方向に付勢する圧縮コイルばね49の付勢力Fsとの合力よりも大きくなることによって、保持部材46のうち少なくとも係合パッド45を接近方向に押圧可能な可動部47が離隔方向に変位する。
すなわち、エンジン1の始動時における伝達トルクや負荷の変動によるチェーン34のばたつきを十分に抑制可能な程度の通常の作動液圧(油室12および操作液圧室51内の液圧)の設定が可能である一方で、チェーン34が張り過ぎになるほどに油室12および操作液圧室51内の液圧が高圧値に達すると、接近方向への復帰力に基づいてプランジャ13の第2方向への戻りを制限する係合パッド45のその復帰力が低下し、チェーン34の張力が過大になる状態を解除する程度のプランジャ13の戻りが可能になる。
したがって、プランジャ13のラック部13mのバックストローク量を小さく設定してエンジン1の始動時におけるチェーン34のばたつきを十分に抑えることと、エンジン1の運転時にチェーン34が張り過ぎとなる状態を有効に回避することとの両立が可能となり、チェーン34の張り過ぎによる振動・騒音、ひいてはチェーンスプロケット22a、23aの摩耗等を有効に抑制することができる。
勿論、プランジャ13が複数の歯面部41で形成されるラチェット歯T1の1歯分だけ戻ると、チェーン34の張り過ぎの状態が無くなり、油室12内の液圧が高圧値から通常の液圧程度に急に低下することになるから、係合パッド45が迅速に復帰することになり、プランジャ13が過度に戻ることはない。
本実施形態においては、また、保持部材46が、圧縮コイルばね49のばね受け部(特定部分)となる可動部47と、その可動部47がハウジング11の中心軸線C1に対して離隔方向に変位するときにその変位量に応じた抗力を生じる弾性保持バンド48とによって構成されているので、油室12および操作液圧室51内の液圧が高圧値に達したときの可動部47の離隔方向への変位量を的確に設定可能になるとともに、弾性保持バンド48の抗力を相違させる(抗力が相違する複数種の弾性保持バンド48のうちいずれかを選択する)ことで、その変位量を調節することもできる。しかも、係合パッド45を接近方向に付勢する圧縮コイルばね49を可動部47の内側摺動面47a内の摺動穴内に容易に収納しながら、可動部47に第1受圧面47cおよび第2受圧面47dを容易に形成することができ、部品点数も抑えられる。
さらに、本実施形態では、圧縮コイルばね49を用いているので、係合パッド45の復帰力やストロークの設定の自由度が高くなり、係合パッド45の復帰によるプランジャ13の戻り制限が確実になるとともに、操作液圧室51内の液圧が高圧値に達したときに係合パッド45の復帰力を低下させるような設定も容易に可能となる。また、油室12内の液圧が高圧値に達したとき、第1受圧面47cおよび第2受圧面47dの受圧面積差に基づく離隔方向の液圧力Foが、プランジャ13側と係合パッド45側の摩擦係合部位における摩擦抵抗μFtと圧縮コイルばね49の付勢力Fsとの合力よりも大きくなるように圧縮コイルばね49の復帰時のばね荷重を設定することで、油室12および操作液圧室51内の液圧が高圧値に達したときのプランジャ13の第2方向への戻りを制限する係合パッド45の確実な復帰と、チェーン34の張力が過大になる状態を解除する程度のプランジャ13の戻り(例えば、1歯分の戻り)とが共に確実に可能となる。
加えて、係合パッド45が、第1歯面41aに対向する第1対向面45aおよび第2歯面41bに対向する第2対向面45bを有し、第1対向面45aおよび第2対向面45bの間に挟まれる対向面間挟角θ1が、第1歯面41aおよび第2歯面41bの間に挟まれる歯面間挟角θ2と略等しくなっているので、プランジャ13が第2方向に戻るときの係合パッド45の復帰と、油室12内の液圧が高圧値に達した場合の前述のプランジャ13の戻りとを容易に両立させることができる。
また、本実施形態では、ハウジング11内で保持穴部11h内に画成される操作液圧室51に対して、油室12内からの液圧を連通孔部11wを通して確実に導入することができ、係合パッド45を操作するための部品点数を抑えることができる。
しかも、戻り制限機構40は、オイル供給通路11aから油室12内にオイルが導入されるときに開弁する一方、油室12からオイル供給通路11a側にオイルが逆流するのを阻止する逆止弁36をさらに含んでいるので、プランジャ13の第2方向への移動時に油室12内の液圧を的確に高めることができ、チェーン34が張り過ぎになるほど油室12および操作液圧室51内の液圧が高圧値に達するときに、その液圧を油室12から操作液圧室51に的確に操作圧を供給して、前述のプランジャ13の戻りを可能にすることができる。
このように、本実施形態の液圧テンショナによれば、エンジン1の始動時における伝達トルクや負荷の変動によるチェーン34のばたつきを十分に抑制可能な程度に油室12および操作液圧室51内の通常の液圧値を設定する一方で、チェーン34の張り過ぎになるほどその油室12および操作液圧室51内の液圧が高圧値に達すると、接近方向への復帰力に基づいてプランジャ13の第2方向への戻りを制限する係合パッド45の復帰力を低下させ、プランジャ13の飛び出しによりチェーン34の張力が過大になる状態を解除する程度にプランジャ13の戻りを許容するので、チェーン34の弾性伸び等を伴う大きなばたつきを吸収できるようプランジャ13の大きな伸長動作を可能にしながら、チェーン34の張り過ぎによる振動・騒音を確実に防止することができ、チェーン34の多様な張力変動(各種のエンジン1)に対して確実に張力保持性能を発揮できる広作動範囲で応答性に優れた液圧テンショナ10を提供することができる。
なお、上述の実施形態においては、圧縮コイルばね49を介して係合パッド45を付勢する保持部材46の特定部分を可動部47としていたが、本発明においては、可動部47のような別部品でなく、単一部品である保持部材を構成し、その保持部材の一部のみを液圧力に基づいて離隔方向に撓ませる(弾性変形させる)ようにしてもよい。また、複数の歯面部41によって形成されるラチェット歯T1や係合パッド45の爪状歯部T2の歯形はラチェット形状に限定されるものではないし、複数の歯面部41およびラチェット歯T1がプランジャ13の外周円筒面から半径方向の内側または外側に外れた位置に歯先を有し、ハウジング11側にそれに対応する凹凸が形成されてもよい。さらに、保持部材46は係合パッド45の外周を取り囲んでいたが、中心軸線C1に対する接近方向と離隔方向の受圧面積差が設定可能であれば、その保持形態は特に限定されるものではない。本発明にいう液圧は、叙述の実施形態では、エンジン1内のオイルの油圧であったが、油圧に限定されず、他の液体の圧力であってもよいのは勿論である。
以上説明したように、本発明に係る液圧テンショナは、伝達トルクや負荷の変動による無端伝動要素のばたつきを十分に抑制可能な程度に液室および操作液圧室内の液圧を設定する一方で、無端伝動要素の張り過ぎになるほどその液室および操作液圧室内の液圧が高圧値に達すると、接近方向への復帰力に基づいてプランジャの第2方向への戻りを制限する係合部材の復帰力を低下させ、無端伝動要素の張力が過大になる状態を解除する程度のプランジャの戻りを許容するようにしているので、無端伝動要素の弾性伸び等を伴う大きなばたつきを吸収できるようプランジャの大きな伸長動作を可能にしながらも、無端伝動要素の張り過ぎによる振動・騒音を確実に防止することのできる広作動範囲で応答性に優れた液圧テンショナを提供することができるものであり、ハウジング内に導入される液圧を受けて伸長方向に移動するプランジャの収縮方向の移動をラチェット機構等により制限する液圧テンショナ全般に有用である。
10 液圧テンショナ
11 ハウジング
11a オイル供給通路(液通路)
11d 凹状内壁部
11h 保持穴部
11w 連通孔部
12 油室(液室)
13 プランジャ
34 チェーン(無端伝動要素)
36 逆止弁
40 戻り制限機構
41 歯面部(複数の歯面部)
41a 第1歯面
41b 第2歯面
43 歯止め部
45 係合パッド(係合部材)
45a 第1対向面
45b 第2対向面
46 保持部材
47 可動部(特定部分)
47a 内側摺動面
47b 外側摺動面
47c 第1受圧面
47d 第2受圧面
48 弾性保持バンド(抗力発生部)
49 圧縮コイルばね(弾性部材)
51 操作液圧室
C1,C2 中心軸線
Fo 液圧力(第1、第2受圧面の受圧面積差により離隔方向に作用する液圧力)
Ft 反力(第2方向に作用する外力)
T1 ラチェット歯(プランジャ側の歯)
T2 爪状歯部(係合部材側の歯)
θ1 対向面間挟角
θ2 歯面間挟角

Claims (7)

  1. 液通路が形成されたハウジングと、
    前記ハウジングに軸方向に移動可能に保持されるとともに前記ハウジングの内部に前記液通路を通して前記液体が導入される液室を形成するプランジャと、
    前記プランジャに前記軸方向に等間隔に配設された凹または凸状の複数の歯面部および該複数の歯面部のうちいずれかに係合するよう前記ハウジングに支持された歯止め部を有し、前記プランジャが前記ハウジングに対し前記液室内の液圧により付勢される第1方向に移動するのを許容する一方、前記プランジャが前記ハウジングに対し前記第1方向とは反対の第2方向に移動するのを制限する戻り制限機構と、を備え、
    前記プランジャにより、駆動軸と被駆動軸の間に巻回される無端伝動要素に該無端伝動要素の張力を保持する力を加える液圧テンショナであって、
    前記戻り制限機構の前記歯止め部は、
    前記プランジャが前記第1方向に移動するときに前記複数の歯面部のうちいずれかによって前記プランジャの中心軸線から離隔する離隔方向に駆動され、前記プランジャが前記第2方向に移動するときに前記プランジャの中心軸線に接近する接近方向に復帰することができる係合部材と、
    前記係合部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持するとともに、前記離隔方向への液圧を受圧する第1受圧面と該第1受圧面より受圧面積が小さく前記接近方向への液圧を受圧する第2受圧面とを有し、前記ハウジング内に前記液室内の液圧が導入される操作液圧室を画成する保持部材と、を含んで構成され、
    前記液室および前記操作液圧室内の液圧が予め設定された高圧値に達したとき、前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差により前記保持部材に前記離隔方向に作用する液圧力によって、前記保持部材のうち少なくとも前記係合部材を前記接近方向に押圧可能な特定部分を前記離隔方向に変位させるようにしたことを特徴とする液圧テンショナ。
  2. 前記保持部材が、前記特定部分となる可動部と、該可動部が前記ハウジングに対して前記離隔方向に変位するときに該可動部の変位量に応じた抗力を生じる抗力発生部とによって構成されている請求項1に記載の液圧テンショナ。
  3. 前記保持部材の前記可動部が、前記係合部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持する内側摺動面と、前記ハウジングに対して前記離隔および接近方向に摺動可能に係合する外側摺動面とを有し、前記外側摺動面により囲まれる範囲内に前記第1受圧面が形成されるとともに、前記外側および内側摺動面の間に前記第2受圧面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液圧テンショナ。
  4. 前記歯止め部が、前記係合部材と前記保持部材の前記特定部分との間に介在して前記係合部材を前記接近方向に付勢する弾性部材を含んで構成され、
    前記複数の歯面部のそれぞれが、前記プランジャが前記第1方向に移動するときに前記係合部材に圧接可能な第1歯面および前記プランジャが前記第2方向に移動するときに前記係合部材に圧接可能な第2歯面を有し、
    前記操作液圧室内の液圧が前記高圧値に達したときに前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差により前記保持部材に前記離隔方向に作用する液圧力が、前記第2方向に加圧される前記プランジャに対し前記係合部材を前記離隔方向に摺動させるときの摩擦抵抗と前記係合部材を前記接近方向に付勢する前記弾性部材の付勢力との合力よりも大きくなるように、前記第1受圧面および前記第2受圧面の面積差と前記弾性部材の付勢力とが設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の液圧テンショナ。
  5. 前記係合部材が、前記第1歯面に対向する第1対向面および前記第2歯面に対向する第2対向面を有し、
    前記第1対向面および前記第2対向面の間に挟まれる対向面間挟角が、前記第1歯面および前記第2歯面の間に挟まれる歯面間挟角と略等しくなっていることを特徴とする請求項4に記載の液圧テンショナ。
  6. 前記ハウジングが、前記プランジャを移動可能に収納するとともに前記プランジャとの間に前記液室を形成する凹状内壁部と、前記保持部材を前記離隔および接近方向に摺動可能に保持する保持穴部と、前記液室および前記保持穴部を連通させる連通孔部とを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の液圧テンショナ。
  7. 前記戻り制限機構は、前記液通路から前記液室内に前記液体が導入されるときに開弁する一方、前記液室から前記液通路側に前記液体が逆流するのを阻止する逆止弁をさらに含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1の請求項に記載の液圧テンショナ。
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