JP2012132040A - 金属の腐食防止剤、該腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔、及び金属の腐食防止方法 - Google Patents

金属の腐食防止剤、該腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔、及び金属の腐食防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩分を含む湿気に晒されて腐食することを防止するとともに、はんだ濡れ性を良好なままに保つことができる金属の腐食防止剤を提供することを目的とする。
【解決手段】金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止剤であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させないことを特徴とする金属の腐食防止剤。
前記有機化合物薄膜は、特定の含フッ素有機化合物又はリン酸エステルを含有する薄膜であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は耐塩水腐食性に優れるとともに、はんだ濡れ性も良好な金属の腐食防止剤、該腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔、及び金属の腐食防止方法に関する。
電気機器或いは電子機器には金属の部材、例えば、電気配線材、コネクタ、ばねなどが使用され、ケースに入れられている場合も含め、外気に金属部が晒された状態で使用される。屋外に設置されたり、使用されたりする電子機器については、例えば、携帯電話・デジタルカメラ・ポータブルナビゲーションなどがあり、それらは、昨今の電子機器の軽薄短小化により、従来のものと比較すると、加速度的にダウンサイジングが進んでいる。
その際に、従来に増して重要な特性として挙げられるのが、外気の、特に腐食性成分、例えば塩分を含む水などに対する耐食性である。このような耐食性を検証する試験としては複数あるが、中でも塩水噴霧試験が代表例といえる。特に、軽薄短小化する電子機器を構成する部品を構成する金属材料として銅または銅合金に求められる耐食性も日々シビアなものとなってきている。銅または銅合金のように塩水に対して耐腐食性を有しない金属材料の場合、たとえ合金などに代えて耐腐食性能を改善しようとしても、満足の得られるような結果が得られなかった。
このような問題を解決するために、塩水に対して耐腐食性を有しない金属材料、例えば銅または銅合金の腐食を抑制・阻害するために、有機材料または無機材料により金属表面を被覆して守る処理が検討されている。例えば、ベンゾトリアゾールやエポキシシランを用いた表面処理剤がよく用いられている。しかし、従来の表面処理では、金属表面を処理し皮膜を形成することによって、表面の金属としての特性の劣化、その一つの指標として、はんだ濡れ性が劣化する傾向が見られた。
また、特定のフルオロ炭化水素基と極性基を有する含フッ素化合物を含有するエポキシブリードアウト防止剤が知られている(特許文献1)。リードフレームやプリント配線基板等の半導体基材を該エポキシブリードアウト防止剤で処理することにより、ダイボンディング強度やアセンブリ特性に悪影響を与えず、変色防止処理や封孔処理効果を損なうことなく、ダイボンディング工程におけるエポキシブリードアウトを防止することができるとしている。しかし、この処理はエポキシレジンを使用する回路プロセス前に行なうものであり、また、金属の耐塩水腐食性に関する記載はない。
また、特定のリン酸エステルを含有するレジンブリードアウト防止剤も知られている(特許文献2)。リードフレームやプリント配線基板等の半導体基材を該レジンブリードアウト防止剤で処理することにより、ダイボンディング強度やアセンブリ特性に悪影響を与えず、変色防止処理や封孔処理効果を損なうことなく、ダイボンディング工程におけるレジンブリーアウトを防止することができるとしている。しかし、この処理もレジンを使用する回路プロセス前に行なうものであり、また、金属の耐塩水腐食性に関する記載はない。
国際公開第2007/083538号パンフレット 国際公開第2008/142960号パンフレット
本発明は、塩分を含む湿気に晒されて腐食することを防止するとともに、はんだ濡れ性を良好なままに保つことができる金属の腐食防止剤、該腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔、及び金属の腐食防止方法を提供することを目的とする。
これらの問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、耐塩水腐食性向上表面処理剤にて表面処理を行うことにより、はんだ濡れ性を損なうことなく、耐塩水腐食性を向上させることができることを見出し、もって本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止剤であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させないことを特徴とする金属の腐食防止剤。
(2)前記有機化合物薄膜が、フルオロ炭化水素基CxHyFz−(x=3〜24、y=0〜48、z=1〜49、y+z≦2x+1)と、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基及びテトラゾリル基またはその誘導体からなる群から選ばれた極性基R−を有する含フッ素有機化合物を含有する薄膜であることを特徴とする前記(1)記載の金属の腐食防止剤。
(3)前記有機化合物薄膜が、下記の一般式(1)で表されるリン酸エステルを含有する薄膜であることを特徴とする前記(1)記載の金属の腐食防止剤。
Figure 2012132040
(式中、R1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、nは0〜10の整数、mは1〜3の整数を表す。)
(4)上記金属が、外気に晒される電子部品の金属部であって、箔、パッケージ端子、バネ、接点、コネクタの形態をとり、銅又は銅合金から成ることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載金属の腐食防止剤。
(5)上記金属が、外気に晒される銅箔又は銅合金箔から成ることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載金属の腐食防止剤。
(6)上記銅合金がチタン、スズ、ニッケル、コバルト、銀、鉛、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、リン、ケイ酸、マグネシウム、ヒ素、テルルの中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と銅とを含有することを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の金属の腐食防止剤。
(7)前記(1)〜(4)、(6)のいずれかに記載の腐食防止剤により腐食防止され、かつはんだ濡れ性が実質的に低下していないことを特徴とする電子部品の金属部。
(8)前記(1)〜(3)、(5)、(6)のいずれかに記載の腐食防止剤により腐食防止され、かつはんだ濡れ性が実質的に低下していないことを特徴とする銅箔又は銅合金箔。
(9)金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止方法であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させないことを特徴とする金属の腐食防止方法。
(10)前記有機化合物薄膜が、フルオロ炭化水素基CxHyFz−(x=3〜24、y=0〜48、z=1〜49、y+z≦2x+1)と、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基及びテトラゾリル基またはその誘導体からなる群から選ばれた極性基R−を有する含フッ素有機化合物を含有する薄膜であることを特徴とする前記(9)記載の金属の腐食防止方法。
(11)前記有機化合物薄膜が、下記の一般式(1)のリン酸エステルを含有する薄膜であることを特徴とする前記(9)記載の金属の腐食防止方法。
Figure 2012132040
(式中、R1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、nは0〜10の整数、mは1〜3の整数を表す。)
(12)上記金属が、外気に晒される電子部品の金属部であって、箔、パッケージ端子、バネ、接点、コネクタの形態をとり、銅又は銅合金から成ることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかに記載金属の腐食防止方法。
(13)上記金属が、銅箔又は銅合金箔から成ることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかに記載金属の腐食防止方法。
(14)上記銅合金がチタン、スズ、ニッケル、コバルト、銀鉛、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、鉄、ジルコニウム、クロム、リン、ケイ酸、マグネシウム、ヒ素、テルルの中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と銅とを含有することを特徴とする前記(12)又は(13)に記載の金属の腐食防止方法。
本発明によると、塩分を含む湿気に晒されて腐食することを防止できるとともに、はんだ濡れ性を良好なままに保つことができる金属の腐食防止剤、該腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔、及び金属の腐食防止方法を実現することができる。
本発明の金属の腐食防止剤は、金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止剤であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させない。
被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、撥水性を高くすることにより、耐塩水腐食効果が高くなる。接触角が90度未満であると撥水性が悪くなり、耐塩水腐食効果が悪くなる。また、接触角が高すぎてもフラックス等をはじいてしまいはんだ濡れ性が悪くなることがある。接触角は90〜120度が好ましい。
接触角の測定は、従来公知の種々の手段によって測定することができる。本発明においては接触角計を用いて測定した。具体的には、協和界面化学(株)製接触角計CA−DTを用いて、温度25℃、液量約1.5μlで測定した。
また、前記薄膜の厚さを0.1〜10nmとすることにより、はんだ濡れ性を実質的に低下させず腐食防止効果を実現することができる。薄膜の厚さが0.1nm未満であると腐食防止について十分な効果が得られず、10nmを超えるとはんだ濡れ性が劣化する。
本発明の金属の腐食防止剤の一態様は、主成分としてフルオロ炭化水素基CxHyFz−(x=3〜24、y=0〜48、z=1〜49、y+z≦2x+1)と、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基及びテトラゾリル基またはその誘導体からなる群から選ばれた極性基R−を有する含フッ素有機化合物を含有する。
前記フルオロ炭化水素基としては、フルオロアルキル基、2重結合を含むフルオロアルケニル基、3重結合を含むフルオロアルキニル基等が挙げられ、フルオロアルキル基が好ましい。また、これらのフルオロ炭化水素基は、フルオロ炭化水素基全体の炭素原子が3個から24個であれば、直鎖状のものであっても良いし、側鎖を有していても良い。フルオロ炭化水素基の炭素数xは、3〜24であり、5〜12のものが特に好ましい。炭素数が少なすぎると腐食防止について十分な効果が得られず、炭素数が多すぎると、はんだ濡れ性が劣化する恐れがある。また、フッ素数zは、少ないと腐食防止について十分な効果が得られず、炭素数が多く分子が長い場合には、フッ素数が多すぎるとはんだ濡れ性が劣化するので、フッ素数zは11〜25が好ましい。
前記フルオロ炭化水素基としては、F(CF2)6−、F(CF2)8−、F(CF2)10−、F(CF2)6(CH2)2−、F(CF2)8(CH2)2−、F(CF2)10(CH2)2−、等を好ましく用いることができる。
また、前記極性基R−は、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、及びテトラゾリル基、またはその誘導体からなる群から選ばれる。前記極性基がリン酸エステル基の場合は、モノエステル(−OP(O)(OH)2)、ジエステル((−O)2P(O)(OH))、トリエステル((−O)3P(O))を用いることができる。
イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基の含窒素環状化合物については、異性体が存在するが、本発明においては、異性体のどれをも用いることができ、また、混合物でも構わない。合成の都合上、含窒素環状化合物の窒素が直接フルオロ炭化水素基と結合しているものが得られやすく、好ましく用いることができる。また、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基の誘導体としては、置換基としてアルキル基やフェニル基を有するもの等が挙げられる。
したがって、好ましい含フッ素有機化合物としては、前記フルオロ炭化水素基CxHyFz−をA−として示すと、例えば、A−OH、A−SH、A−NH2、A−OP(O)(OH)2、(A−O)2P(O)(OH)、(A−O)3P(O)、A−COOH、A−N233(1−イミダゾリル)、A−N322(1,2,3−トリアゾル−1−イル)、A−N4CH(1−テトラゾリル)等を挙げることができる。
本発明の腐食防止剤のもう一つの態様としては、主成分として下記式で表されるリン酸エステルを含有する。
Figure 2012132040
(式中、R1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、nは0〜10の整数、mは1〜3の整数を表す。)
1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表す。中でも炭素数8〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基が好ましい。炭素数が少なすぎると腐食防止について十分な効果が得られず、炭素数が多すぎるとはんだ濡れ性が劣化する。
不飽和の炭化水素基としては、二重結合、三重結合を1つまたは2つ以上有していても良く、また、直鎖状であっても、側鎖を有していても良い。
更に、R1としては環状炭化水素基や芳香族炭化水素基が主鎖に連結していてもよいが、直鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が好ましく、直鎖状のアルキル基が特に好ましい。アルケニル基、アルキニル基においては、二重結合、三重結合の位置は特に制限はない。
2は炭素数1〜4の低級アルキレン基を示し、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
nは0〜10の整数を表し、1〜6の整数が好ましい。
mは1〜3の整数を表す。上記リン酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれも有用であり、混合物として得られる場合は単離するする必要はなく、混合物として用いることができる。また、mが複数の場合、R1、R2、およびnは異なっていても良い。
本発明の腐食防止剤は、前記含フッ素有機化合物またはリン酸エステルを主成分として水に溶解させて得られる。
処理される金属としては、外気に晒される電子部品の金属部であって、箔、パッケージ端子、バネ、接点、コネクタの形態をとり、銅又は銅合金から成るもの、又は銅箔又は銅合金箔が挙げられ、一般的な公知の製造方法で得られるものでよい。銅合金としてはチタン、スズ、ニッケル、コバルト、銀、鉛、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、リン、ケイ素、マグネシウム、ヒ素、テルルの中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と銅とを含有する合金が挙げられる。銅合金は銅の含有量が50重量%を超えるのものが好ましい。
前記処理液中の上記含フッ素有機化合物、リン酸エステルの濃度は10mg/L〜10g/Lが好ましい。上記濃度が10mg/L未満では耐塩水腐食性効果が弱く、10g/Lを超えても効果が飽和し、それ以上の効果を期待できないため好ましくない。
上記含フッ素有機化合物、リン酸エステルが水に溶けにくい場合には、必要に応じてアルコール、ケトンなどの有機溶剤を添加することができる。添加する量は、上記含フッ素有機化合物、リン酸エステルが水に溶けるのに必要な濃度でよいが、通常0.1g/L〜200g/Lが好ましく、1g/L〜50g/Lがより好ましい。0.1g/L未満では上記化合物の溶解性を改善する効果が低く、また200g/Lを超えても上記化合物を溶解する効果が飽和しそれ以上の効果を期待できないため好ましくない。
さらに、上記含フッ素有機化合物、リン酸エステルが水に溶けにくい場合には、必要に応じて、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤のいずれか、またはこれらの混合物を1μg/L〜10g/L、好ましくは10μg/L〜1g/L添加してもよい。1μg/L未満では上記化合物の溶解性を改善する効果が低く、また10g/Lを超えても上記化合物を溶解する効果が飽和しそれ以上の効果を期待できないため好ましくない。
また、処理液は、液のpH緩衝性を向上させたい場合は、必要に応じて、リン酸系、ホウ酸系、有機酸系のpH緩衝剤を0.1g/L〜200g/L、好ましくは1〜50g/L添加してもよい。0.1g/L未満では緩衝性を向上させる効果が低く、200g/Lを超えても効果が飽和し、それ以上の効果を期待できないため好ましくない。
また、処理液中に金属の溶出がある場合は必要に応じて、金属隠蔽剤を使用することができる。この金属隠蔽剤としては、基本的には公知のものが使用できるが、特にアミン系、アミノカルボン酸系、カルボン酸系の錯化剤が好ましく、0.1g/L〜200g/L、好ましくは1g/L〜50g/L添加してもよい。0.1g/L未満であると金属の錯化力が低く、200g/Lを超えても効果が飽和し、それ以上の効果を期待できないため好ましくない。
腐食防止剤のpHは特に限定する必要はないが、通常はpH1〜14の間であり、pH2〜12で処理することが好ましい。この範囲を逸脱すると、耐塩水腐食効果を有する薄膜形成が困難であり、かつ素材のダメージが大きい。
また、腐食防止剤による処理温度は、水溶液で行いうる温度範囲で可能であるが、通常5〜90℃、好ましくは10〜60℃とする。90℃を超えても作業性が悪くなるだけで、温度を高くするメリットがない。
さらに、腐食防止剤での処理時間は、0.1秒〜300秒で効果を見て適宜調整すればよく、作業の再現性と効率を考慮すると1秒〜60秒が好ましい。0.1秒未満であると、耐塩水腐食防止効果を有する薄膜形成が困難であり、300秒を超えても効果が飽和し、かつ作業効率が低くなる。
また、本発明の腐食防止剤を用いた腐食防止方法としては、電子部品の金属部、銅箔または銅合金箔等の金属を腐食防止剤に浸漬するか、または腐食防止剤をシャワー、スプレーなどにより電子部品の金属部、銅箔または銅合金箔に散布するか、スピンコーターなどにより塗布するなどして接触させた後、水洗、乾燥すればよい。
上記のような処理を行うことによって、電子部品の金属部、銅箔または銅合金箔の片面または両面には上記腐食防止剤が吸着し、0.1〜10nmの厚さの薄膜が形成される。薄膜が形成された表面の水に対する接触角は90度以上であり、そのため、電子部品の金属部、銅又は銅合金部分の耐塩水腐食性が改善され、且つ薄膜が非常に薄いためはんだ濡れ性を損なわない。
尚、はんだ濡れ性に関しては、一般的にゼロクロスタイムで3秒以下であればはんだ濡れ性が良好であるということができる。本発明において、はんだ濡れ性が実質的に低下しないとは、腐食防止剤で処理した後のはんだ濡れ性が、ゼロクロスタイムで3秒よりも短く、はんだ濡れ性が良好であることを言う。好ましくはゼロクロスタイムで2秒以下であり、より好ましくは1秒以下、さらに好ましくは0.3秒以下である。
本発明の腐食防止剤で処理された電子部品の金属部、銅箔又は銅合金箔は、それぞれ一般的な用途に使用できるが、特に外気に晒され耐腐食性が要求される用途に好適である。例えば、携帯電話、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、ネットブック・ポータブル、GPS中の基板、コネクタ、接点などの各種部品に好適に用いることができる。前記各種部品はケース内に入れられている場合であっても、潮風等の腐食性の外気に晒される場合があり、耐腐食性が要求されている。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜24、比較例1〜13
表1に記載した銅または銅合金薄膜に、表1に記載の成分を水に溶解させた腐食防止剤を用い、表1に記載の処理条件により浸漬処理を行った。
尚、実施例8、9、10で用いた含フッ素有機化合物の極性基−N233、−N322、−N4CHは、それぞれ1−イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾル−1−イル基、1−テトラゾリル基である。
尚、表1中、主成分R1、R2、nは、上記一般式で表されるリン酸エステルにおけるR1、R2、nを示し、リン酸エステルは、モノエステルとジエステルの1:1混合物を用いた。用いたリン酸エステルのR1のアルキル基、アルケニル基はすべて直鎖状であり、実施例17、18におけるアルケニル基は、中央に二重結合を有する10−エイコセニル基、11−ドコセニル基である。
また、表1中、浴組成における「−」は添加しないことを示す。
得られた銅箔または銅合金箔について、耐塩水腐食性とはんだ濡れ性を下記のように評価した。
耐塩水腐食性
JISZ2371に基づく塩水噴霧試験を72時間行った後に、かさのある腐食物を柔らかい紙でふき取り除去した後の単位面積あたりの重量減少量(腐食減肉量)を求めた。
はんだ濡れ性
JISC0053に基づいたはんだ槽平衡法による濡れ時間(ゼロクロスタイム)を求めた。はんだはSn−3Ag−0.5Cuの鉛フリーはんだを使用し、フラックスとしてはタムラ化研NA−200を用いた。
結果を表1に示す。
Figure 2012132040
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Claims (14)

  1. 金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止剤であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させないことを特徴とする金属の腐食防止剤。
  2. 前記有機化合物薄膜が、フルオロ炭化水素基CxHyFz−(x=3〜24、y=0〜48、z=1〜49、y+z≦2x+1)と、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基及びテトラゾリル基またはその誘導体からなる群から選ばれた極性基R−を有する含フッ素有機化合物を含有する薄膜であることを特徴とする請求項1記載の金属の腐食防止剤。
  3. 前記有機化合物薄膜が、下記の一般式(1)で表されるリン酸エステルを含有する薄膜であることを特徴とする請求項1記載の金属の腐食防止剤。
    Figure 2012132040
    (式中、R1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、nは0〜10の整数、mは1〜3の整数を表す。)
  4. 上記金属が、外気に晒される電子部品の金属部であって、箔、パッケージ端子、バネ、接点、コネクタの形態をとり、銅又は銅合金から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載金属の腐食防止剤。
  5. 上記金属が、外気に晒される銅箔又は銅合金箔から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載金属の腐食防止剤。
  6. 上記銅合金がチタン、スズ、ニッケル、コバルト、銀、鉛、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、リン、ケイ酸、マグネシウム、ヒ素、テルルの中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と銅とを含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の金属の腐食防止剤。
  7. 請求項1〜4、6のいずれかに記載の腐食防止剤により腐食防止され、かつはんだ濡れ性が実質的に低下していないことを特徴とする電子部品の金属部。
  8. 請求項1〜3、5、6のいずれかに記載の腐食防止剤により腐食防止され、かつはんだ濡れ性が実質的に低下していないことを特徴とする銅箔又は銅合金箔。
  9. 金属表面を有機化合物薄膜で被覆する金属の腐食防止方法であって、被覆された金属表面の水に対する接触角を90度以上とし、かつ該薄膜が0.1〜10nmの厚さで形成され、はんだ濡れ性を実質的に低下させないことを特徴とする金属の腐食防止方法。
  10. 前記有機化合物薄膜が、フルオロ炭化水素基CxHyFz−(x=3〜24、y=0〜48、z=1〜49、y+z≦2x+1)と、水酸基、メルカプト基、アミノ基、リン酸エステル基、カルボキシル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基及びテトラゾリル基またはその誘導体からなる群から選ばれた極性基R−を有する含フッ素有機化合物を含有する薄膜であることを特徴とする請求項9記載の金属の腐食防止方法。
  11. 前記有機化合物薄膜が、下記の一般式(1)のリン酸エステルを含有する薄膜であることを特徴とする請求項9記載の金属の腐食防止方法。
    Figure 2012132040
    (式中、R1は炭素数4〜30の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、nは0〜10の整数、mは1〜3の整数を表す。)
  12. 上記金属が、外気に晒される電子部品の金属部であって、箔、パッケージ端子、バネ、接点、コネクタの形態をとり、銅又は銅合金から成ることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載金属の腐食防止方法。
  13. 上記金属が、銅箔又は銅合金箔から成ることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載金属の腐食防止方法。
  14. 上記銅合金がチタン、スズ、ニッケル、コバルト、銀鉛、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、鉄、ジルコニウム、クロム、リン、ケイ酸、マグネシウム、ヒ素、テルルの中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と銅とを含有することを特徴とする請求項12又は13に記載の金属の腐食防止方法。
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