JP2012127858A - ガス情報推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関11を流通する流通ガスの濃度を検出するガスセンサ素子に接続され、濃度以外のガス情報を推定するガス情報推定装置100であって、このガス情報に関するパラメータ値に基づいてガスセンサ素子の推定温度を模擬可能なモデルを用いると共に、パラメータ値として基準値を入力してガスセンサ素子の暫定温度を算出するガスセンサ素子暫定温度算出手段51と、ガスセンサ素子実温度測定手段53、54と、ガスセンサ素子の暫定温度が実際の温度に近付くよう、基準値に代わってモデルに入力され得るパラメータ値の真値を算出するガス情報算出手段55と、この真値からガス情報の推定値を取得するガス情報取得手段57と、を備えている。
【選択図】図1
Description
上記したガスセンサ素子温度の推定は例えば、以下のようにして行われる。まず、ガスセンサ素子の受熱量及び放熱量を予め排出ガスの温度等との関係式として用意しておき、さらにこの受熱量及び放熱量とガスセンサ素子温度との関係をもモデル化しておく。そして、内燃機関の排出系に取り付けた計測センサ(温度センサや流速センサ)の測定値をもとにガスセンサ素子の受熱量及び放熱量を算出し、上記モデル(素子温推定モデル)によってガスセンサ素子温度を推定する。
そこで、本発明は、内燃機関を流通する流通ガスの特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子を用いて、該流通ガスの濃度以外(例えば温度)のガス情報を推定でき、推定対象となるガス情報を計測するための計測センサを不要としたガス情報推定装置を提供することを目的とする。
このようなガス情報推定装置によれば、ガスセンサ素子暫定温度算出手段が算出した暫定温度がガスセンサ素子温度の実際の温度(実測温度)の所定範囲内になるよう、ガス情報算出手段にて算出される、基準値に代わってモデルに入力され得るガス情報に関するパラメータ値の真値は、ガス情報の真値を近似していると考えられる。つまり、ガス情報に関するパラメータ値に基づいてガスセンサ素子の推定温度を模擬可能なモデルと、ガスセンサ素子の実測温度を測定することとを併用することにより、モデルの逆算が可能となり当該モデルに入力されるガス情報のパラメータ値を算出することができ、ガス情報の推定が可能となる。そして、このようにしてガス情報の推定が精度良く実現できることにより、このガス情報を実際に計測するための計測センサが不要となり、内燃機関の制御システム全体のコストを低下することができ、又、計測センサの数が減るのでシステムの安定性も向上する。なお、ガス情報の推定の精度を向上させる観点から、本発明の「所定範囲」についてはできるだけ小さな温度範囲に設定することが望ましく、例えば±10℃の範囲(好ましくは±5℃の範囲)に設定すれば良い。
ガスセンサ素子のインピーダンスは温度に応じて変化するため、当該インピーダンスを検出することによりガスセンサ素子の実際の温度を精度良く測定することができ、ひいてはガス情報を精度良く推定することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るガス情報推定装置100のブロック図である。
内燃機関であるエンジン11の排出管12には、排出ガス(特許請求の範囲の「流通ガス」に相当)中のCO,HC,NOx等を低減させる三元触媒等の触媒13が設けられ、この触媒13の上流側に、排出ガスの酸素濃度を検出するガスセンサ14が設けられている。ガスセンサ14のガスセンサ素子(図示せず)は、例えば酸素イオン透過性のジルコニア固体電解質体の表面に一対の電極を形成したセルを少なくとも1つ備え、セルからの出力に基づいて酸素濃度を算出可能になっている。又、ガスセンサ素子を早期に活性化するため、ガスセンサ素子にはヒータが配置されている。
又、排出管12には、排出ガスの流速を計測するための流速センサ16が取り付けられている。流速センサ16の出力(排出ガスの流速の値)は、後述するモデルを使用したセンサ素子温度の暫定温度の算出に用いられると共にエンジン11を制御するために用いられる。
又、ガス情報推定装置100は、予め設定されると共に、ガスセンサ素子の推定温度を模擬可能な所定のモデル(計算式又はマップ)を用い、流速センサ16の出力、及び、推定対象となる排出ガス温度(特許請求の範囲の「ガス情報」に相当)に関するパラメータ値としての基準値に基づき、ガスセンサ素子の暫定温度を算出するガスセンサ素子暫定温度算出手段51と、ガスセンサ素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段53と、インピーダンス検出手段53にて検出したインピーダンスからガスセンサ素子の実際の温度を算出するガスセンサ素子実温度算出手段53と、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51が算出した暫定温度が、ガスセンサ素子実温度測定手段53にて測定した実際の温度(実測温度)に所定範囲内(本実施の形態では±5℃の範囲内)で近付くよう、基準値に代わってモデルに入力され得るパラメータ値の真値を算出するガス情報算出手段55と、ガス情報算出手段が算出した真値からガス情報の推定値を取得するガス情報取得手段57と、ガス情報算出手段55が算出したパラメータ値の真値を基準値として更新して記憶する基準値設定手段59と、を備えている。なお、インピーダンス検出手段53、及び、素子実温度算出手段54が、特許請求の範囲の「ガスセンサ素子実温度測定手段」に相当する。
具体的には、インピーダンス検出手段53は、アナログ回路として構成され、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51、ガスセンサ素子実温度算出手段54、ガス情報算出手段55、ガス情報取得手段57は、ROMに格納されたコンピュータプログラムを実行するCPUとして実現される。また、基準値設定手段59は、マイクロコンピュータとは別に設けられた記憶媒体として構成される。
cM・dTu/dt=[排出ガスからの受熱]−[外気への放熱]+[ヒータの加熱]
=A・Ren ・(Te−Tu)−B(Tu−Ta)+I2 ・R
ここで、cMはガスセンサ素子の熱容量、dTu/dtは素子温度Tu 時間微分値である。
又、排出ガスからの受熱、外気への放熱、ヒータの加熱は、下記式で表される。
排出ガスからの受熱=A・Rem ・(Te−Tu)
A:排出ガス伝熱係数
Te:排出ガス温度
Tu:ガスセンサ素子温度(即ち、ガスセンサ素子暫定温度)
Re:レイノルズ数
m:指数
外気への放熱=−B(Tu−Ta)
B:外気伝熱係数
Tu:ガスセンサ素子温度(即ち、ガスセンサ素子暫定温度)
Ta:外気温
ヒータの加熱=I2 ・R
I:ヒータ電流
R:ヒータ抵抗値
なお、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51は、暫定温度を算出する度に、基準値設定手段59に記憶されている最新の基準値を入力するように構成されている。そして、基準値設定手段59には初期値が設定されており、ガス情報推定装置100の起動後にはこの初期値が最初の基準値とされ、ガス情報算出手段55が新たなパラメータ値の真値を算出する都度、その真値が最新の基準値として更新されるようになっている。
なお、インピーダンス検出手段53は、所定のパルス電圧又はパルス電流をガスセンサ素子(セル)に供給し、そのときのガスセンサ素子の出力変化量を検出する公知の構成を有している。そして、ガスセンサ素子実温度算出手段54は、ガスセンサ素子の出力変化量とガスセンサ素子に供給した所定のパルス電圧又はパルス電流に基づきガスセンサ素子のインピーダンスの値を算出し、さらにインピーダンスの値とガスセンサ素子の温度の関係(例えばマップ)に基づき、ガスセンサ素子の実際の温度(実測温度)を算出する構成をなしている。
そして、ガス情報取得手段57は、ガス情報算出手段55が算出した排出ガス温度のパラメータ値の真値から推定対象である排出ガス温度の推定値を最終的に取得する。このように、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51が算出した暫定温度が実測温度の所定範囲内になるよう、ガス情報算出手段55にて算出される排出ガス温度は、排出ガス温度の真値を近似していると考えられる。つまり、ガスセンサ素子温度推定手段51に入力されるガス情報の1つの値を推定することで、このガス情報を実際に計測するための計測センサが不要となり、内燃機関の制御システム全体のコストを低下することができ、又、計測センサの数が減るのでシステムの安定性も向上する。つまり、ガスセンサ素子温度推定手段が算出した暫定温度がガスセンサ素子温度の実測温度の所定範囲内になるよう、ガス情報算出手段にて算出される、基準値に代わってモデルに入力され得るパラメータ値の真値は、排出ガス温度の真値を近似していると考えられる。つまり、少なくとも排出ガス温度に基づいてガスセンサ素子の推定温度を模擬可能なモデルと、ガスセンサ素子の実測温度を測定することとを併用することにより、モデルの逆算が可能となり当該モデルに入力される排出ガス温度(Te)のパラメータ値を算出することができ、その結果、ガス情報の推定が可能となる。
なお、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51におけるモデルに入力されると共に、推定対象となるガス情報は、本実施の形態のように排出ガス温度に限定されるものではない。内燃機関の排出ガスのガス情報であって、ガスセンサ素子の推定温度を模擬可能なモデルに用いることができるパラメータ値であれば、本発明の思想のもと、推定対象となるガス情報を計測する計測センサを設けることなく、ガス情報の推定を行うことができる。なお、本実施の形態の排出ガス温度に代わるガス情報としては、内燃機関の排出ガスの流速又は圧力のいずれかを具体的に挙げることができる。
ステップS12に続き、ガスセンサ素子実温度算出手段54は、インピーダンス検出回路53からの出力に基づいてガスセンサ素子のインピーダンスの値を算出し、ガスセンサ素子の実測温度を計測する(ステップS14)。ステップS14に続き、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51は、ステップS12で入力した排出ガス温度の基準値、及び、流速センサ16からの出力を入力すると共に、外気温の情報やヒータの加熱に関する情報(ヒータ電流、ヒータ抵抗値)を基にして、上記モデル(計算式)のもとガスセンサ素子の暫定温度(Tu)を算出する(ステップS16)。
次いで、ステップ22に移行し、ステップS20にて算出された排出ガス温度のパラメータの真値から推定対象である排出ガス温度の推定値を取得する。ステップS22で取得された排出ガス温度の推定値は、ガスセンサ14から得られる酸素濃度に関する出力値と共に、エンジンの各種制御に用いられる。そして、ステップS22の処理後は、ステップS20にて算出された排出ガス温度のパラメータの真値を最新の基準値に更新するべく、基準値設定手段59に対して、基準値を更新する処理を実施し(ステップS24)、ステップS10に戻る。このようにして、ガス情報推定装置100によって、排出ガス温度を計測する計測センサを用いることなく、排出ガスの排出ガス温度の推定値を推定することができる。
例えば、上記実施形態では、ガスセンサ素子暫定温度算出手段51は、排出ガス温度の基準値及び流速センサ16の出力の2つのパラメータを基にガスセンサ素子の暫定温度を算出したが、モデル(計算式又はマップ)に応じてパラメータの数及び種類は変わってもよい。例えば、上記2つのパラメータに加え、車速を用いてもよい。
又、上記実施形態では、本発明のガス情報推定装置100をECUに組み込んだ構成としたが、ECUとは別体にしてガス情報推定装置を設けても良い。つまり、ガスセンサ14とECUとの間に、上述の各種処理を実行可能なマイクロコンピュータ及びアナログ回路を回路基板に搭載した別体のガス情報推定装置を設置しても良い。さらに、上記実施形態では、ガス情報としてエンジン11の排出ガスの情報(具体的には、排出ガス温度)を対象にしたが、エンジン11に吸入される吸気ガスが流れる吸気管にガスセンサを装着し、吸気管を流通する吸気ガスの情報(例えば、吸気ガスの温度、流速、圧力のいずれか)の推定値を算出するようにしてもよい。
14 ガスセンサ
51 ガスセンサ素子暫定温度算出手段
53 インピーダンス検出手段(ガスセンサ素子実温度測定手段)
54 ガス素子実温度算出手段(ガスセンサ素子実温度測定手段)
55 ガス情報算出手段
57 ガス情報取得手段
100 ガス情報推定装置
Claims (3)
- 内燃機関を流通する流通ガスの特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子に接続され、前記濃度以外の前記流通ガスに関するガス情報を推定するガス情報推定装置であって、
少なくとも推定対象となるガス情報に関するパラメータ値に基づいて前記ガスセンサ素子の推定温度を模擬可能なモデルを用いると共に、前記パラメータ値として基準値を入力して前記ガスセンサ素子の暫定温度を算出するガスセンサ素子暫定温度算出手段と、
前記ガスセンサ素子の実際の温度を測定するガスセンサ素子実温度測定手段と、
前記ガスセンサ素子暫定温度算出手段が算出した前記暫定温度が、前記ガスセンサ素子実温度測定手段が測定した前記実際の温度に所定範囲内で近付くよう、前記基準値に代わって前記モデルに入力され得る前記パラメータ値の真値を算出するガス情報算出手段と、
前記ガス情報算出手段が算出した真値から前記ガス情報の推定値を取得するガス情報取得手段と、
を備えたガス情報推定装置。 - 前記ガス情報は、前記内燃機関の排出ガスの温度、流速、圧力の少なくともいずれかである請求項1記載のガス情報推定装置。
- 前記ガスセンサ素子実温度測定手段は、前記ガスセンサ素子のインピーダンスを検出して当該インピーダンスから前記実際の温度を測定する請求項1又は2に記載のガス情報推定装置。
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