JP6668218B2 - ガスの圧力測定装置及びガスの圧力測定方法 - Google Patents
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Description
例えば、エンジンの吸気管に酸素センサを取り付けて吸気中の酸素濃度を測定する際、酸素センサの出力の圧力依存性を補正するため、限界電流式の酸素センサの近くに圧力センサを取付けてガスの圧力を測定する技術が開発されている(特許文献1)。
限界電流式の酸素センサは、酸素イオン透過性の固体電解質体の表面に一対の電極を形成したセルを設け、このセルに所定の拡散抵抗下で被測定ガスを導入する。これによりセルが酸素濃淡電池となって上記拡散抵抗での酸素分圧に応じた起電力を生じ、この起電力から酸素濃度を検出することができる。
ところが、被測定ガスの圧力が増えると酸素分圧も増えるため、上記拡散抵抗下での拡散が同じ酸素濃度でも通常より大きくなり、センサ出力も増えてしまう。そこで、被測定ガスの圧力を圧力センサで測定し、センサ出力の圧力依存性を補正している。
従って、このような場合、高温ガスの測定場所から分岐管を伸ばし、分岐管の先に圧力センサを取り付けて室温環境で圧力測定を行うが、測定場所の真の圧力でなく、又、測定場所の温度下の圧力でない点で、測定精度が高いとはいえない。又、分岐管を設けることが困難な場合には、測定自体ができなくなったり、耐熱金属製の特殊な圧力センサを使用する必要が生じる。
そこで、本発明は、高温のガスであっても圧力を測定可能なガスの圧力測定装置及びガスの圧力測定方法を提供することを目的とする。
このガスの圧力測定装置によれば、高温の排気ガス等を測定可能な酸素センサを用い、酸素センサの出力値が圧力に依存して変化することから、逆に被測定ガスの圧力を算出するので、高温のガスであっても圧力を測定できる。
特に、圧力センサ用に分岐管を伸ばして室温で圧力測定を行う必要がないので、測定精度が向上すると共に、耐熱金属製の特殊な圧力センサ等を使用する必要がなく、費用も安価となる。
このガスの圧力測定装置によれば、所定の場所の酸素濃度と圧力とを、1つの測定機器(酸素センサ)にて同時に測定することができ、簡単な設備で酸素濃度と圧力の測定精度を向上させることができる。
このガスの圧力測定方法によれば、高温の排気ガス等を測定可能な酸素センサを用い、酸素センサの出力値が圧力に依存して変化することから、逆に被測定ガスの圧力を算出するので、高温のガスであっても圧力を測定できる。
特に、圧力センサ用に分岐管を伸ばして室温で圧力測定を行う必要がないので、測定精度が向上すると共に、耐熱金属製の特殊な圧力センサ等を使用する必要がなく、費用も安価となる。
このガスの圧力測定方法によれば、所定の場所の酸素濃度と圧力とを、1つの測定機器(酸素センサ)にて同時に測定することができ、簡単な設備で酸素濃度と圧力の測定精度を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るガスの圧力測定装置50のブロック図である。
内燃機関であるエンジン11の排気管12には、排気ガス(特許請求の範囲の「被測定ガス」に相当)中のCO,HC,NOx等を低減させる三元触媒等の触媒13が設けられ、この触媒13の上流側に、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ10が設けられている。
ガスの圧力測定装置50は、エンジン運転中に酸素センサ10の出力値を読み込んで排気ガスの圧力を測定すると共に、この出力値から排気ガスの酸素濃度を算出して空燃比が目標空燃比になるように燃料噴射量をフィードバック制御する。
ガスの圧力測定装置50は、酸素センサ10と、制御部30とを有しており、ECUに組み込まれている。
具体的には、センサ素子は、2つのセル130、140を有している。
このうち、セル140は固体電解質層109の両面に形成された電極108、110を有し、電極110は多孔質層113を介して外部との間で排気ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う酸素ポンプセルとなっている。
センサ素子の内部には測定室107が形成され、測定室107は所定の拡散抵抗を有する多孔質の拡散抵抗体115を介して外部から被測定ガスが導入される。
一方、セル130は、測定室107に面して測定室107内の排気ガス中の酸素濃度に応じた出力電圧(起電力)を出力する酸素濃度検出セルとなっている。そして、この出力電圧が一定となるように酸素ポンプセル140に電圧(Vp電圧)を印加してポンプ電流Ipを流し、該ポンプ電流Ipに応じた排気ガス中の酸素濃度を検出するようになっている。
又、センサ素子を早期に活性化するため、センサ素子にはヒータが配置されている。
制御部30は、CPU(中央制御装置)、RAM,ROM等を備えたマイクロコンピュータと、所定のアナログ回路とから構成された電子制御ユニット(ECU)となっており、ROMに格納されたコンピュータプログラムをCPUが実行することで、後述する各種処理を行う。
具体的には、出力値検出回路31はアナログ回路として構成され、平均酸素濃度値算出手段34、圧力算出手段36、エンジン制御手段37、出力値補正手段38、酸素濃度算出手段39は、ROMに格納されたコンピュータプログラムを実行するCPUとして実現される。また、マップ32は、マイクロコンピュータとは別に設けられた記憶媒体として構成される。
上述のように、限界電流式の酸素センサ10においては、ガスの圧力が増えるほど出力値も増えるので、出力値に対してガスの圧力が右上がりとなっている。又、ガス中の酸素濃度が多いほど、出力値は大きくなる。
従って、ガス中の酸素濃度毎に、ガスの圧力と、酸素センサ10の出力値(変換値)との関係が得られることになる。なお、図3では、出力値とガスの圧力が比例する(直線上にある)よう模式的に表したが、両者の関係は曲線であってもよい。
又、マップの代わりに、ガス中の酸素濃度毎に、ガスの圧力と、酸素センサ10の出力値(変換値)との関係式を用いてもよい。
図4は、平均酸素濃度値算出手段34が平均酸素濃度値を算出する方法を示す模式図である。まず、排気管12内の排気ガスの圧力は時間とともに変動するため、図4に示すように、時間とともに酸素センサ10の出力値も変動する。但し、この間、排気ガス中の酸素濃度は大きく変動しないと考えられるので、酸素センサ10の出力値を平均化した値は排気ガス中の実際の酸素濃度に近いと考えられる。
そこで、平均酸素濃度値算出手段34は、所定期間L1における酸素センサ10の出力値を積算して平均値を採るか、又は所定期間L1における出力値の最大値Maxと最小値Minの間の値(中間値等)を、平均酸素濃度値として算出する。出力値を酸素濃度に変換した変換値を、平均酸素濃度値としてもよい。
なお、酸素センサ10の出力値の振幅は一定とは限らず、振幅が大きく変わることもあるので、出力値の最大値Maxと最小値Minを用いるよりは、所定期間L1における平均値を用いる方がよい。
そして、圧力算出手段36は、関係F2に基づき、所定期間L1の以後の圧力測定時における酸素センサ10の出力値(ここでは、所定期間L1の最後の時間t1の出力値A1)に対応するガスの圧力B1を算出し、適宜外部装置へ出力する。
なお、一般に出力値検出回路31は、酸素センサ10の出力値を連続でなく、所定時間毎に離散的に取得する。
従って、図4に示すように、所定期間L1の最後の時間t1の出力値A1、又は所定期間L1の経過した直後の時間t2の出力値A2を用いて圧力を算出することが好ましい。
又、所定期間L1から時間が経ってから圧力を測定したい場合に、平均酸素濃度値として所定期間L1における値を用いると、その後の状況を反映せずに正確性を欠く可能性がある。
従って、図4に示すように、例えば、時間t2の出力値A2を用いて圧力を算出したい場合には、この時間t2に最も近い所定期間L2(この例では、時間t2が所定期間L2の最後)における平均酸素濃度値を用いるのがよい。
特に、圧力センサ用に分岐管を伸ばして室温で圧力測定を行う必要がないので、測定精度が向上すると共に、耐熱金属製の特殊な圧力センサを使用する必要がなく、費用も安価となる。
具体的には、出力値補正手段38は、出力値検出回路31からもとの出力値(例えばA1)を取得すると共に、圧力算出手段36からA1における圧力B1を取得する。この圧力B1から逆に、マップ32を用いて出力値A1を基準圧力(例えば大気圧)における出力値A1'に補正する。そして、酸素濃度算出手段39はこの補正値を取得し、基準圧力における酸素濃度を算出する。
なお、酸素濃度算出手段39は、算出した酸素濃度をエンジン制御手段37に出力し、エンジン制御手段37はこの酸素濃度から空燃比が目標空燃比になるように燃料噴射量をフィードバック制御する。
例えば、所定期間として、エンジンのクランク角が0〜360度の一周期を用いてもよい。
又、上記実施形態では、本発明のガスの圧力測定装置50をECUに組み込んだ構成としたが、ECUとは別体にしてガスの圧力測定装置を設けても良い。つまり、酸素センサ10とECUとの間に、上述の各種処理を実行可能なマイクロコンピュータ及びアナログ回路を回路基板に搭載した別体のガスの圧力測定装置を設置しても良い。
被測定ガスの種類や温度も限定されない。
34 平均酸素濃度値算出手段
36 圧力算出手段
39 酸素濃度算出手段
50 ガスの圧力測定装置
A1、A2 出力値
L1,L2 所定期間
AV 平均酸素濃度値
F1〜F3 関係の群
F2 一の関係
Max 出力値の最大値
Min 出力値の最小値
Claims (4)
- 被測定ガス中の酸素濃度に応じた出力値を出力する酸素センサと、
所定期間における前記出力値の平均値、若しくは所定期間における前記出力値の最大値と最小値の間の値、又は、これらの値を酸素濃度に変換した変換値を、平均酸素濃度値として算出するように構成された平均酸素濃度値算出手段と、
酸素濃度毎に予め求めたガスの圧力と、前記酸素センサの前記出力値又は当該出力値を酸素濃度に変換した第2の変換値との関係の群の中から、前記平均酸素濃度値に対応する酸素濃度における一の関係を抽出し、圧力測定時における前記出力値と当該一の関係から、前記被測定ガスの圧力を算出するように構成された圧力算出手段と、
を備えたガスの圧力測定装置。 - さらに、前記圧力測定時における前記出力値を酸素濃度に変換するように構成された酸素濃度算出手段を備えた請求項1に記載のガスの圧力測定装置。
- 被測定ガス中の酸素濃度に応じた出力値を出力する酸素センサを用い、
所定期間における前記出力値の平均値、若しくは所定期間における前記出力値の最大値と最小値の間の値、又は、これらの値を酸素濃度に変換した変換値を、平均酸素濃度値として算出する平均酸素濃度値算出過程と、
酸素濃度毎に予め求めたガスの圧力と、前記酸素センサの前記出力値又は当該出力値を酸素濃度に変換した第2の変換値との関係の群の中から、前記平均酸素濃度値に対応する酸素濃度における一の関係を抽出し、圧力測定時における前記出力値と当該一の関係から、前記被測定ガスの圧力を算出する圧力算出過程と、
を有するガスの圧力測定方法。 - さらに、前記圧力測定時における前記出力値を酸素濃度に変換する酸素濃度算出過程を有する請求項3に記載のガスの圧力測定方法。
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