JP2012127463A - シールリング - Google Patents

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Abstract

【課題】外筒41内周に嵌合される筒部12aに設けられる延出部14と、延出部14において密封対象となる流体の存在する内側領域100寄りに設けられるメインリップ15と、延出部14において外側領域200寄りに設けられるダストリップ16とを備えるシールリング11において、摩擦抵抗を可及的に軽減可能にしたうえで、軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位するときにおけるダストシール性能を向上させる。
【解決手段】メインリップ15は組み付け状態で軸45Bの外周面に接触され、ダストリップ16は組み付け状態で軸45Bの外周面に非接触とされる。外筒41と軸45Bとが相対的に軸方向に変位することにより軸45Bが内側領域100へ変位すると、メインリップ15が内側領域100へ引き摺り込まれるとともに、それに伴い延出部14がその付け根側を支点として傾動させられてダストリップ16が軸45Bの外周面に接触させられる。
【選択図】図5

Description

本発明は、外筒と、その内周に軸方向変位可能に挿入される軸との間の環状空間を軸方向で内外に区画するためのシールリングに関する。
従来、例えば特許文献1,2に示されているような往復動用のオイルシールが知られている。この特許文献1,2に示すオイルシールは、共に、芯金と呼ばれる補強環の外周にゴムなどの弾性体を被着した構成である。
補強環は、円筒部の軸方向一端側に径方向内向きに延びる環状板部を設けたような形状になっている。この補強環の円筒部の外周にゴムなどの弾性体が被着されており、この円筒部がハウジングなどの外筒に嵌合されるようになっている。
この補強環の環状板部の内周には、前記弾性体と同一材料からなるメインシール部(主リップ)とダストリップとを設けている。メインシール部(主リップ)とダストリップは、径方向斜め内向きに延びる形状であり、互いに逆向きに延びている。
ここで、特許文献1に示す従来例では、メインシール部の先鋭部の近傍に補助シールリップを設け、ダストリップの先鋭部の近傍に凸条部を設け、オイルシールの組み付け状態において、メインシール部、補助シールリップ、ダストリップ、凸条部のすべてを軸の外周面に接触させるようにしている。なお、メインシール部の外周には、このメインシール部を軸の外周面から離れにくくするために、弾性リングが装着されている。
一方、特許文献2に示す従来例では、オイルシールの組み付け状態において、主リップおよびダストリップを軸の外周面に接触させるようにして、主リップの付け根側に設けた微小突起を非接触にさせるようにしている。なお、この従来例の段落0010,0012には、「密封対象となる流体の封入圧によって主リップが弾性変形したときに、主リップに設けた微小突起が軸の外周面に軽微に接触するようになる」と記載されている。
特開平8−178077号公報 特開2006−9928号公報
上記特許文献1に係る従来例は、オイルシールの組み付け状態において、メインシール部とダストリップとを軸の外周面に接触させることに加えて、メインシール部に設けた補助シールリップとダストリップに設けた凸条部とをさらに軸の外周面に接触させるようにしているために、例えばメインシール部のみを軸の外周面に接触させるような場合に比べると摩擦抵抗が増大する点で不利である。
上記特許文献2に係る従来例は、オイルシールの組み付け状態において、主リップとダストリップとを軸の外周面に接触させるようにしているから、例えば主リップのみを軸の外周面に接触させるような場合に比べると摩擦抵抗が増大する点で不利である。そして、この従来例では、段落0021に記載されているように、「ダストリップでシールしきれなかった外部ダストなどの異物侵入を主リップに設けた微小突起で塞ぎ止める」ことを狙いとしており、例えば軸が密封対象空間側へ軸方向変位したときにダストリップによるダストシール性能を高めることについて何ら言及していない。
このような事情に鑑み、本発明は、外筒内周に嵌合される筒部と、この筒部に径方向内向きに延びるよう設けられる延出部と、この延出部において密封対象となる流体の存在する内側領域寄りに設けられるメインリップと、前記延出部において外側領域寄りに設けられるダストリップとを備えるシールリングにおいて、摩擦抵抗を可及的に軽減可能にしたうえで、軸が内側領域へ向けて軸方向に変位するときにおけるダストシール性能(異物堰き止め性能または異物侵入防止性能)を向上させることを目的としている。
本発明に係るシールリングは、外筒内周に嵌合される筒部と、この筒部に径方向内向きに延びるよう設けられる延出部と、この延出部において密封対象となる流体の存在する内側領域寄りに設けられるメインリップと、前記延出部において外側領域寄りに設けられるダストリップとを備え、前記メインリップは組み付け状態で前記外筒内に軸方向変位可能に挿入される軸の外周面に接触され、前記ダストリップは組み付け状態で前記軸の外周面に非接触とされ、前記外筒と軸とが相対的に軸方向に変位することにより前記軸が前記内側領域へ変位すると、前記メインリップが前記内側領域へ引き摺り込まれるとともに、それに伴い前記延出部がその付け根側を支点として傾動させられて前記ダストリップが前記軸の外周面に接触させられる、ことを特徴としている。
この構成では、シールリングを組み付けた状態において、外筒と軸とが相対的に軸方向に変位していない場合、メインリップが軸の外周面に接触してダストリップが軸の外周面に非接触になるから、例えばメインリップおよびダストリップの両方を軸に接触させる場合に比べるとシールリングの軸に対する摩擦抵抗が軽減される。
そして、外筒と軸とが相対的に軸方向に変位することにより前記軸が前記内側領域へ変位すると、ダストリップが軸の外周面に接触することになるので、このダストリップと軸との接触部分により外側領域からの異物を堰き止めて内側領域への侵入を防止する性能(ダストシール性能)が向上するようになる。
好ましくは、前記延出部は、前記筒部に対する付け根側から前記外側領域へ向けて斜めに延出され、前記ダストリップは、前記延出部の延出方向先端に外側領域へ向けて設けられ、前記メインリップは、前記延出部の延出方向途中に内側領域へ向けて設けられ、かつ前記延出部の付け根側の傾動支点から径方向内向きに延びる鉛直線よりも内側領域にオフセットした位置、あるいは前記鉛直線上の位置で前記軸に接触されている。
ここでは、延出部、ダストリップ、メインリップの形状や配置を特定している。この特定により、外筒と軸とが相対的に軸方向に変位することにより前記軸が前記内側領域へ変位するときに、延出部が傾動する理由が明らかになるとともに、この延出部の傾動形態が明らかになる。また、この延出部の傾動時における軸に対するダストリップの接触の形態が明らかになる。
好ましくは、前記メインリップと前記ダストリップとの間には、組み付け状態で前記軸の外周面に非接触とされるサブダストリップが設けられている。この特定により、例えばシールリングの軸に対する摩擦抵抗が増大することを防止したうえで、外側領域の異物侵入の防止効果が増すことが明らかになる。
好ましくは、前記メインリップの縦方向断面形状(前記筒部の中心軸線に沿う断面形状)は、径方向内向きに先鋭となるV字形とされ、この先鋭部分が前記軸の外周面に接触される。
ここでは、メインリップの形状を特定している。この特定により、例えば密封対象となる流体が存在する内側領域の圧力が高くなったときに、軸に対するメインリップの接触圧が増大して、密封対象となる流体の漏洩防止効果が増大するようになる。
好ましくは、本発明に係るシールリングは、前記メインリップの外周に装着されることで前記メインリップを軸の外周面に強制的に接触させる弾性リングをさらに備えている。
この構成では、メインリップが弾性リングの弾性的な締め付け力でもって軸に強制的に接触させられるので、軸に対するメインリップの接触圧が増大して、密封対象となる流体の漏洩防止効果が増大するようになる。
本発明は、外筒内周に嵌合される筒部と、この筒部に径方向内向きに延びるよう設けられる延出部と、この延出部において密封対象となる流体の存在する内側領域寄りに設けられるメインリップと、前記延出部において外側領域寄りに設けられるダストリップとを備えるシールリングにおいて、摩擦抵抗を可及的に軽減可能にしたうえで、軸が内側領域へ向けて軸方向に変位するときにおけるダストシール性能を向上させることが可能になる。
本発明に係るシールリングの使用対象となる車両用駆動装置の一実施形態の概略構成を示す図である。 図1のトランスファを拡大して詳しく示す断面図である。 図2の一点鎖線で囲む領域を拡大して詳しく示す図で、本発明に係るシールリングの半分を示している。 図3に示すシールリングの具体構成を説明するための図である。 図3の出力筒軸を内側領域に向けて軸方向に変位させたときのシールリングの動きを示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図5に本発明の一実施形態を示している。この実施形態では、本発明に係るシールリングの使用対象として前輪駆動形式を基本とした4輪駆動形式の車両用駆動装置を例に挙げている。
図に示す車両用駆動装置において、1はエンジン、2はトランスミッション、3はフロントデファレンシャル、4はトランスファ、5はプロペラシャフト、6は電子制御式カップリング、7はリアデファレンシャル、8は前輪、9は後輪である。なお、図中、10は等速自在継手である。これらの構成は基本的に公知のものと同じ構成であるので、この実施形態では簡単に説明することにする。
トランスファ4は、フロントデファレンシャル3のデフケース31と一体に設けられる入力筒軸42に入力された駆動力をリングギヤ43およびドリブンピニオンギヤ44により90度方向転換して出力軸45からプロペラシャフト5に出力する。
出力軸45は、図2に示すように、出力内軸45Aと、出力筒軸45Bとを組み合わせた構成である。出力内軸45Aは駆動力伝達方向の上流側に配置されており、出力筒軸45Bは駆動力伝達方向の下流側に配置されている。出力内軸45Aの下流側領域に対して出力筒軸45Bの上流側領域が、軸方向に変位可能にかつ円周方向に同期回転可能となるように連結されている。
この連結形態としては、例えばスプライン嵌合とすることができる。その場合には、出力内軸45Aの下流側領域の外周面にオススプライン(符号省略)が設けられ、また、出力筒軸45Bの上流側領域の内周面に、前記オススプラインと嵌合するメススプライン(符号省略)が設けられる。
電子制御式カップリング6は、詳しく図示していないが、電磁ソレノイド、多板クラッチなどを備える構成であり、電磁ソレノイドを図示していない電子制御装置(ECU)により作動させると、トランスファ4からプロペラシャフト5に出力される駆動力を後輪9に伝達する状態になる一方で、電磁ソレノイドを非作動にすると前記駆動力を後輪9に伝達しない状態になる。
そして、トランスファ4の出力軸45の外端(駆動力の出力方向下流端)側と、トランスファケース41との間には、シールリング11が設けられている。このシールリング11は、トランスファケース41内のオイル(密封対象となる流体)が外部漏洩することを防止するものである。
このシールリング11について、図3から図5を参照して詳細に説明する。シールリング11は、トランスファケース41の内周に取り付けられて、出力筒軸45Bの外周面との間に密封部を作ることによって、トランスファケース41と出力筒軸45Bとの間の環状空間を軸方向で内外に区画するものである。
つまり、トランスファケース41が請求項に記載の外筒に、また、出力筒軸45Bが請求項に記載の軸に、それぞれ相当している。なお、図3および図5において、シールリング11の左側がトランスファケース41の内側領域100であり、また、右側がトランスファケース41の外側領域200である。つまり、内側領域100には密封対象となるオイル(流体)が存在する。外側領域200は大気空間であり、塵埃や水分などの異物が存在する。
具体的に、シールリング11は、芯金と呼ばれる補強環12に例えばゴムなどの弾性体13を被着した構成である。この補強環12は、円筒部12aの軸方向一端側に径方向内向きに延びる環状板部12bを設けたような形状になっており、例えば金属などにより形成されている。この補強環12の円筒部12aおよび環状板部12bの全体を覆うように弾性体13が被着されている。
この円筒部12aがトランスファケース41の外端内周に、例えば圧入により嵌合される。また、環状板部12bの内周には、径方向内向きでかつ外側領域200へ向けて斜めに延びるように、延出部14が設けられている。
この延出部14には、メインリップ15、ダストリップ16、サブダストリップ17が設けられている。この延出部14および各リップ15〜17は、前記弾性体13と一体に形成される。つまり、延出部14および各リップ15〜17は弾性体13と同じ材料で形成されている。
メインリップ15は、延出部14の延出方向途中の内側領域100寄りに設けられている。このメインリップ15は、シールリング11を前記場所に組み付けた状態で出力筒軸45Bの外周面に接触されるようになっている。
ダストリップ16は、延出部14の延出方向先端において外側領域200寄りに設けられている。このダストリップ16は、シールリング11を前記場所に組み付けた状態で出力筒軸45Bの外周面に非接触となるように、詳しくは微小隙間を介して対向するようになっている。
サブダストリップ17は、延出部14においてメインリップ15とダストリップ16との間でダストリップ16寄りに設けられている。このサブダストリップ17は、シールリング11を前記場所に組み付けた状態で出力筒軸45Bの外周面に非接触となるように、詳しくは微小隙間を介して対向するようになっている。
さらに、メインリップ15は内側領域100へ向けて突出されていて、その縦方向断面形状(シールリング11の中心軸線300に沿う断面形状)は、径方向内向きに先鋭となるV字形とされている。この先鋭部分が出力筒軸45Bの外周面に接触されるようになっている。
このメインリップ15の外周にはガータスプリングと呼ばれる弾性リング18が装着されている。この弾性リング18の締め付け力により、メインリップ15の先鋭部分が出力筒軸45Bの外周面に強制的に接触されるようになる。
さらに、図3に隠れ線(破線)で示すように、メインリップ15の外側斜面には、多数のリブ19が設けられている。このリブ19は、シールリング11の中心軸線300に対して所定角度傾斜されている。このリブ19は、出力筒軸45Bの回転に伴い、内側領域100内のオイルが外側領域200へ漏れ出ようとしたときに、このオイルを受け止めて内側領域100へ戻すような働きをする。このような働きを一般にポンプ作用と呼んでいる。
そして、ダストリップ16は、延出部14の延出方向に沿うように外側領域200へ向けて突出されており、その縦方向断面形状(シールリング11または円筒部12aの中心軸線300に沿う断面形状)は、細長い形状とされている。
また、サブダストリップ17は、ダストリップ16とほぼ平行になるように外側領域200へ向けて突出されており、その縦方向断面形状(シールリング11の中心軸線300に沿う断面形状)は、ダストリップ16と近似した形状であるが、ダストリップ16よりも短く形成されている。
次に、図4を参照して、前記したメインリップ15、ダストリップ16ならびにサブダストリップ17の相対的な配置関係について説明する。
まず、延出部14の付け根側は、幅狭とされることにより傾動可能になっている。この付け根側の幅狭部分が延出部14が傾動するときの支点になる。この傾動支点に符号401を付している。
メインリップ15の先鋭部分403は、延出部14の付け根側の傾動支点401から径方向内向きに延ばした鉛直線402よりも内側領域100側にオフセットされている。但し、メインリップ15の先鋭部分403は、前記のようにオフセットさせずに、前記鉛直線402上に位置させるように設定することが可能である。
ダストリップ16およびサブダストリップ17の各先端404,405は、延出部14の付け根側から径方向内向きに延ばした鉛直線402よりも外側領域200側にオフセットされている。
そして、メインリップ15のオフセット寸法L1と、ダストリップ16のオフセット寸法L2と、サブダストリップ17のオフセット寸法L3との関係は、L1<L3<L2に設定されている。さらに、傾動支点401からメインリップ15の先鋭部分403までの距離R1と、傾動支点401からダストリップ16の先端404までの距離R2と、傾動支点401からサブダストリップ17の先端405までの距離R3との関係は、R1<R3<R2に設定されている。
このような関係に設定することにより後で詳細に説明するが、出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位することに伴い、延出部14およびメインリップ15がその付け根側の幅狭部分を支点として内側領域100へ向けて傾いたときに、それに追従してダストリップ16およびサブダストリップ17が内側領域100へ弾性変形して引き込まれやすくなる。また、出力筒軸45Bが径方向に振れ動いたときつまり偏心したときにメインリップ15が追従して動くことで前記偏心を許容しやすくなる。
次に、図3および図5を参照して、出力筒軸45Bが内側領域100に軸方向へ変位するときのシールリング11の挙動について説明する。
まず、図3に示すように、出力筒軸45Bが軸方向に変位していない場合、メインリップ15の先鋭部分403は出力筒軸45Bの外周面に接触しているが、ダストリップ16およびサブダストリップ17は出力筒軸45Bの外周面に微小隙間を介して対向しているだけで、接触していない。
そのために、出力筒軸45Bに対するシールリング11の摩擦抵抗は、例えば2つのリップを軸に接触させるような場合に比べると軽減されることになる。この状態では、内側領域100内に存在するオイルが外側へ漏洩することをメインリップ15が防止するようになる。
仮に、このメインリップ15と出力筒軸45Bとの接触部分から外側へオイルが漏れ出ようとすると、多数のリブ19によるポンプ作用でもって内側領域100へ戻されるようになる。なお、その際には、メインリップ15と出力筒軸45Bとの接触部分をオイルが往復で通過して潤滑するので、前記接触部分の異常摩耗が防止されるようになる。
この状態では、ダストリップ16およびサブダストリップ17が出力筒軸45Bの外周面に微小隙間を介して対向しているので、この微小隙間がいわゆる非接触密封部となって外側領域200の異物の通過を妨げるようになる。仮に、前記微小隙間を異物が通過したとしても、この異物はメインリップ15により堰き止められる。
そして、例えば図5中の矢印で示すように、出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位すると、出力筒軸45Bに接触しているメインリップ15が出力筒軸45Bによって引き摺られることになるので、延出部14およびメインリップ15がその付け根側の幅狭部分を支点として内側領域100へ向けて傾くことになる。
この延出部14の傾きに伴い、ダストリップ16およびサブダストリップ17が追従して内側領域100へ引き込まれるように傾くことになって、ダストリップ16およびサブダストリップ17が出力筒軸45Bの外周面に接触させられることになる。
このような状態になったときには、自然状態のときに斜め外向き姿勢になっていたダストリップ16とサブダストリップ17とが出力筒軸45Bとの摩擦抵抗でもって図5に示すように内側領域100側へ引き摺り込まれることによって自然状態と逆向きに反った姿勢に弾性変形されることになる。この弾性変形状態では、ダストリップ16とサブダストリップ17とが弾性変形によって出力筒軸45Bに強く接触するので、この両リップ16,17による堰としての作用が強くなる。そのため、外側領域200に存在している異物(例えば塵埃や水分など)が、ダストリップ16と出力筒軸45Bとの接触部分に入り込みにくくなる。
しかも、仮に、前記のように出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位する際に、異物がダストリップ16と出力筒軸45Bとの接触部分に入り込んだとしても、この異物はダストリップ16とサブダストリップ17と出力筒軸45Bとで囲む空間でトラップされることになる。そのために、外側領域200の異物がメインリップ15と出力筒軸45Bとの接触部分にまで到達することが防止されるようになる。
このように、出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位するときでも、ダストリップ16とサブダストリップ17とによる異物の堰き止め効果つまりダストシール性能が向上するようになる。また、異物がメインリップ15と出力筒軸45Bとの接触部分に噛み込むことを防止できるので、メインリップ15によるオイル漏洩防止効果つまりオイルシール性能も向上する結果になる。
ところで、例えば出力筒軸45Bが図5中の矢印と反対向きに、つまり外側領域200へ向けて軸方向に変位するときには、出力筒軸45Bに接触しているメインリップ15が出力筒軸45Bによって引き摺られることになって、延出部14およびメインリップ15がその付け根側の幅狭部分を支点として外側領域200へ向けて傾くことになり、ダストリップ16とサブダストリップ17とが出力筒軸45Bの外周面から離れることになる。このとき、メインリップ15が出力筒軸45Bの外周面に付着しているオイルを掻き落とすようになるので、オイルが内側領域100内に残されるようになる。
以上説明したように本発明を適用した実施形態のシールリング11では、径方向内向きに延出する延出部14の内径側にメインリップ15とダストリップ16とサブダストリップ17との3つを軸方向に並べて設けたうえで、組み付け状態ではメインリップ15のみを出力筒軸45Bに接触させる状態にして、出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向変位するときにダストリップ16とサブダストリップ17とを出力筒軸45Bに接触させる状態にするような構成にしている。
これにより、出力筒軸45Bが軸方向に変位していない状態において、出力筒軸45Bに対するシールリング11の摩擦抵抗を可及的に軽減することができて、しかも、出力筒軸45Bが内側領域100へ向けて軸方向に変位するときのダストシール性能を向上させることが可能になる。したがって、フリクションロスの低減と密封信頼性の向上とを可能にしたシールリング11を提供できるようになる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、シールリング11の使用対象を車両用駆動装置のトランスファ4の内部とする場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種装置を本発明に係るシールリングの使用対象とすることが可能である。
(2)上記実施形態では、シールリング11のメインリップ15の外側斜面に多数のリブ19を設けた場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記リブ19を無くした構成にすることが可能である。
(3)上記実施形態では、シールリング11の延出部14において外側寄りにダストリップ16とサブダストリップ17とを設けるようにした場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、サブダストリップ17を無くした構成にすることが可能である。
本発明は、外筒内周に嵌合される筒部と、この筒部に径方向内向きに延びるよう設けられる延出部と、この延出部において密封対象となる流体の存在する内側領域寄りに設けられるメインリップと、前記延出部において外側領域寄りに設けられるダストリップとを備えるシールリングに好適に利用することができる。
11 シールリング
12 補強環
13 弾性体
14 延出部
15 メインリップ
16 ダストリップ
17 サブダストリップ
41 トランスファケース
45B 出力筒軸
100 内側領域
200 外側領域
300 シールリングの中心軸線
401 延出部の傾動支点
402 鉛直線
403 メインリップの先鋭部分
404 ダストリップの先端
405 サブダストリップの先端

Claims (5)

  1. 外筒内周に嵌合される筒部と、この筒部に径方向内向きに延びるよう設けられる延出部と、この延出部において密封対象となる流体の存在する内側領域寄りに設けられるメインリップと、前記延出部において外側領域寄りに設けられるダストリップとを備え、
    前記メインリップは組み付け状態で前記外筒内に軸方向変位可能に挿入される軸の外周面に接触され、前記ダストリップは組み付け状態で前記軸の外周面に非接触とされ、
    前記外筒と軸とが相対的に軸方向に変位することにより前記軸が前記内側領域へ変位すると、前記メインリップが前記内側領域へ引き摺り込まれるとともに、それに伴い前記延出部がその付け根側を支点として傾動させられて前記ダストリップが前記軸の外周面に接触させられる、ことを特徴とするシールリング。
  2. 請求項1に記載のシールリングにおいて、
    前記延出部は、前記筒部に対する付け根側から前記外側領域へ向けて斜めに延出され、前記ダストリップは、前記延出部の延出方向先端に外側領域へ向けて設けられ、
    前記メインリップは、前記延出部の延出方向途中に内側領域へ向けて設けられ、かつ前記延出部の付け根側の傾動支点から径方向内向きに延びる鉛直線よりも内側領域にオフセットした位置、あるいは前記鉛直線上の位置で前記軸に接触されている、ことを特徴とするシールリング。
  3. 請求項1または2に記載のシールリングにおいて、
    前記メインリップと前記ダストリップとの間には、組み付け状態で前記軸の外周面に非接触とされるサブダストリップが設けられている、ことを特徴とするシールリング。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のシールリングにおいて、
    前記メインリップの縦方向断面形状(前記筒部の中心軸線に沿う断面形状)は、径方向内向きに先鋭となるV字形とされ、この先鋭部分が前記軸の外周面に接触される、ことを特徴とするシールリング。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のシールリングは、
    前記メインリップの外周に装着されることで前記メインリップを軸の外周面に対して強制的に接触させる弾性リングをさらに備えている、ことを特徴とするシールリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018053969A (ja) * 2016-09-27 2018-04-05 トヨタ自動車株式会社 オイルシール
JPWO2019239891A1 (ja) * 2018-06-13 2021-01-14 Nok株式会社 密封装置及び密封装置による密封方法

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