JP2012124140A - 照明装置 - Google Patents
照明装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012124140A JP2012124140A JP2011044802A JP2011044802A JP2012124140A JP 2012124140 A JP2012124140 A JP 2012124140A JP 2011044802 A JP2011044802 A JP 2011044802A JP 2011044802 A JP2011044802 A JP 2011044802A JP 2012124140 A JP2012124140 A JP 2012124140A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- color
- filter
- prussian blue
- material layer
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【手段】所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、前記照明フィルタはプルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層を有する照明装置。
【選択図】図1
Description
(1)所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、前記照明フィルタはプルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層を有することを特徴とした照明装置。
(2)前記照明フィルタが、金属層の片側に前記電気化学応答性材料層[LA1]を配する第一電極体と、補助電気化学応答性材料層[LA2]を金属層の片側に配する第二電極体とを、前記電気化学応答性材料層[LA1]と補助電気化学応答性材料層[LA2]とが内側になるよう対向させた構造を持つことを特徴とした(1)に記載の照明装置。
(3)前記電気化学応答性材料層[LA1]のプルシアンブルー型錯体が、プルシアンブルー、銅(Cu)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体、及びニッケル・鉄(Ni・Fe)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体から選ばれる少なくとも1つであり、該錯体がナノ粒子を構成していることを特徴とした(1)又は(2)に記載の照明装置。
(4)前記補助電気化学応答性材料層[LA2]がプルシアンブルー型錯体のナノ粒子を有し、該プルシアンブルー型錯体がニッケル(Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体又は亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体であることを特徴とした(1)〜(3)のいずれか1項に記載の照明装置。
(5)前記照明フィルタの電気化学応答性材料層への印加電圧を調節することで、前記照射光が前記照明フィルタを透過してなす透過光の色を変化させることができることを特徴とした(1)〜(4)のいずれか1項に記載の照明装置。
(6)前記透過光の色温度を電気制御により変化させることができることを特徴とした(1)〜(5)のいずれか1項に記載の照明装置。
(7)前記光源が波長570nm〜620nmの間に発光ピークを持つ照射光を発するものであり、前記照明フィルタにより黄色味がかった電球色と白色との間でその透過光の色を変化させることができることを特徴とした照明装置。
光源は、所定の色の照射光R1を発光するものであれば制限はないが、白熱灯、蛍光灯、LEDなどが好ましく、特に蛍光灯あるいはLEDが好ましい。ただし、照明フィルタとの組合せを考慮する場合には、フィルタの材料や構造の変更により多様な発光の光学的スペクトルを電気制御により変化させることができるものであることが好ましい。
本実施形態における照明フィルタの層構成を模式的に図1の円内に拡大して示す。照明フィルタ20は、第1透明絶縁層1[LC1]、第1透明金属層2[LB1]、第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型金属錯体層)3[LA1]、電解質層4[LD]、第2電気化学応答層5(補助電気化学応答性材料層)[LB2]、第2透明金属層6[LB2]、第2透明絶縁層7[LC2]の7層からなる。ただし、照明フィルタの構造はこの例に限定して解釈されるものではなく、例えば紫外光透過を防止するための紫外線遮断フィルムや、赤外線透過を防止するための赤外線遮断フィルムなど、他の機能を追加するために別の層を設けることもできる。
第1透明金属層2[LB1]および第2透明金属層6[LB2]は、導電性を持ち、所望の光、特に可視光が透過すればよく酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズなどの酸化物導電体、導電性ポリマーなどが利用できる。また、光学透過率が低く光が透過しない金属材料をメッシュなどのグリッド状に配線することにより光学的透過率と導電性を両立させた構造でもよく、さらにはそのようなグリッド状金属配線構造と、酸化物導電体などの透明金属層の両方を具備した構造でもよい。透明金属層の厚みについては、光学的透過率が十分に高ければ特に制限はないが、2μm以下であることが好ましく、特に300nm以下であることが好ましい。光学的透過率については、可視光の波長範囲内で最も低い領域で80%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。ただし、グリッド状金属配線構造のような厚みに比例して光学的透過率が低下しない場合には、膜厚の制限はない。
第1透明絶縁層1[LC1]および第2透明絶縁層7[LC2]は、所望の光、特に可視光が透過すればよく、ガラス、高分子フィルムなどが利用できる。この透明絶縁層は、漏電などを防ぐことを目的としたもので、他の手法によって漏電を防ぐことができれば必ずしも設置する必要はない。透明絶縁層の厚みには特に制限はないが、10μm〜5mmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜2mmの間であることがさらに好ましい。光学的透過率については、可視光の波長範囲内で最も低い領域で80%以上であることが好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)3[LA1]はプルシアンブルー型錯体の薄膜からなる。その製造法及び構造に制限はなく、溶媒に分散するナノ粒子の分散液を塗布あるいは印刷することによって製造してもよく、金属塩及びヘキサシアノ金属塩が溶解している液体に所望の基板を浸し、電気化学的にその表面にプルシアンブルー型錯体を析出させる電解析出法によって作製されていてもよい。溶媒に分散するナノ粒子としては、トルエンなどの有機溶媒に分散するナノ粒子や、水やアルコールに分散するナノ粒子などが利用できるこれらの製造法については特開2006−256954号公報、特願2008−552178号公報に記載の方法などが利用できる。電解析出法としては、特開2009−46748号公報、特開昭57−195182号公報などに記載の方法を利用できる。
AxMA[MB(CN)6]y・zH2O ・・・一般式(1)
また、第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)[LA1]は、その他の部材と組み合わせるまえに、酸化もしくは還元処理を行い、酸化状態を変更しておくことができる。これにより、他の部材と組み合わせ、照明フィルタとした後の特性を制御することができる。上記酸化もしくは還元処理の方法は特に制限されないが、例えば特定の電解質を含有する有機溶媒中に第1電気化学応答性材料層を入れ、液中に特定の電圧を印加することで行うことができる。印加する電圧は適宜設定すればよいが、例えば、−2V〜+3V(vs SCE)の範囲で設定する実施態様が挙げられる。これによる効果は材料によって異なりうるが、例えば色温度や視感透過率を変化させてバリエーションを豊富化したり、応答電圧を低下させることにより、耐久性の向上や、省電力化などが実現できる。
第2電気化学応答性材料層5[LA2]は、第1電気化学応答性材料層3[LA1]が酸化・還元する際に放出される際に、逆反応、すなわちエレクトロクロミック層の酸化時には還元反応を、エレクトロクロミック層の還元時には酸化反応を起こすことで電気的バランスを保つために具備される。第2電気化学応答性材料層[LA2]を配設することで、高いサイクル耐性など安定動作を実現できる。一方、用途として高いサイクル耐性を必要としない場合には電気化学応答層は配設しなくてもよい。電気化学応答層はその酸化・還元時に色が変化するエレクトロクロミック材料も利用でき、プルシアンブルー型錯体材料も同様に利用できるが、必ずしも酸化・還元時に色が変化する必要はない。
また、第2電気化学応答性材料層[LA2]も、第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)[LA1]と同様に、他の部材と組み合わせ、照明フィルタとする前に酸化もしくは還元処理を行うことで、照明フィルタの特性を制御することができる。上記酸化もしくは還元処理の方法やその好ましい実施形態における利点等は、上記第1電気化学応答性材料層と同様である。
本実施形態において電解質層4[LD]としては、エレクトロクロミック材料の酸化・還元時に、エレクトロクロミック材料とのイオンの授受が可能であればよく、電解液やゲル状電解質、固体電解質、イオン液体などが利用できる。電解液を利用する場合には、溶媒に支持電解質を分散させたものが利用できる。この場合支持電解質は、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子の電気化学反応においてエレクトロクロミック層を出入りするイオンを含むことが必要であり、陽イオンとしてカリウムイオン、ナトリウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン、アンモニウムイオン、Li+イオン、H+イオンが好ましく、特にK+イオン、Na+イオン、NH4 +イオンが特に好ましい。対イオンである支持電解質中の陰イオンについては、支持電解質が溶媒に溶解すればよく、例えばPF6 −イオン、BF4 −イオン、ClO4 −イオン、(CF3SO2)2N−イオン等が挙げられる。
溶媒は、支持電解質が溶解し、高分子含有材料と混合すればよく、例えば、炭酸プロピレン、アセトニトリル、トルエン、水などが挙げられる。ただし、デバイスが100℃以上でも動作するなどの耐熱性を保持する必要がある場合には、炭酸プロピレンなどの沸点が十分に高い溶媒を利用することが好ましい。支持電解質を溶媒に溶解させた電解液の濃度は、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子の電気化学反応が起これば特に制限はないが、0.01モル/リットル〜5モル/リットルが好ましく、特に0.1モル/リットル〜2モル/が特に好ましい。
本実施形態の照明フィルタ20は平面平板状であるが、これに限定される必要はない。例えば、絶縁体層として高分子等からなるフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を利用すると、柔軟な素子を作製することができ、曲面状の素子なども製造できる。また、正方形状を取る必要は無く、照明装置の形状に合わせて形状を決定することが可能であり好ましい。
照明フィルタに利用するプルシアンブルー型錯体に制限はなく、必要な透過光の変化に対応した材料を利用する。例えば、第1電気化学応答性材料層[LA1]としてプルシアンブルーを利用し、第2電気化学応答性材料層[LA2]を透過光が通過する部分に設置しない場合には、フィルタ自体は青−透明の色変化となる。また、赤−黄色の変化を示すCu−Feプルシアンブルー型錯体を第1電気化学応答性材料層[LA1]に利用し、第2電気化学応答性材料層[LA2]を透過光が通過する部分に設置しない場合には、フィルタ自体は青−透明の色変化となる。さらに、第1電気化学応答性材料層[LA1]としてプルシアンブルーを、電気化学応答層としてNi−Feプルシアンブルー型錯体を利用した場合、Ni−Fe プルシアンブルー型錯体は透明−薄黄の色変化を示す。そのため、フィルタの透過光としては、青−薄黄の色変化を示す。さらには、第1電気化学応答性材料層[LA1]としてCu−Feプルシアンブルー型錯体を利用し、第2電気化学応答性材料層[LA2]としてNi−Feプルシアンブルー型錯体を利用した場合には、フィルタの色変化は橙−薄黄となる。照明装置に具備する光源として白色光を用いた場合は、上記のフィルタ色変化がそのまま照明対象で観測される光の色となる。
例えば、[LA1]が(Fe,Ni)−Feプルシアンブルー型錯体、[LA2]がZn−Feプルシアンブルー型錯体としたフィルタを利用することで、高い視感透過率を得ることができる。ここで、(Fe,Ni)−Feプルシアンブルー型錯体とは、MAをFeとNiの混合として調製したものである。
本実施形態において照明フィルタへの電圧印加の態様は特に限定されないがプルシアンブルー型金属錯体の応答電圧を考慮すると、0.1V〜3.0Vの範囲で電圧を変化させて調節することが実際的である。本実施形態によれば、先に述べたように電圧印加の持続を要しないことに加え、上記のように低い電圧で操作が可能であるため、エネルギー消費量が極めて小さく生活用途をはじめとした昨今の環境ニーズに好適に対応することができる。
国際公開2008/081923号パンフレットに記載の方法により、第1電気化学応答性材料層[LA1]としてプルシアンブルー薄膜を、第2電気化学応答性材料層[LA2]としてNi−Feプルシアンブルー型錯体薄膜を配設した色変化フィルタ1を作製した。色変化フィルタ1においては、第1透明金属層[LB1]及び第2透明金属層[LB2]にITO薄膜、第1透明絶縁層[LC1]及び第2透明絶縁層[LC2]にガラス、LD層に0.1M KN(CF3SO2)2 の炭酸プロピレン溶液を利用した。
参考文献1:JISハンドブック61巻「色彩」2004年版,日本規格協会,p506〜507JIS Z 8724 「色の測定方法−光源色」 4.3 三刺激値の計算方法
参考文献2:JISハンドブック61巻「色彩」2004年版,日本規格協会,p549 JIS Z 8725 「光源の分布温度及び色温度・相関色温度の測定方法」 5.3 相関色温度の求め方
本発明による色変化照明装置は、同じ材料を利用しても、その膜厚を制御することなどにより、得られる色温度の変化を制御することができる。例えば、第1電気化学応答性材料層[LA1]や第2電気化学応答性材料層[LA2]の膜厚を厚くすれば、得られる色温度の変化幅は増大する。
本発明において第1電気化学応答性材料層[LA1]及び第2電気化学応答性材料層[LA2]として利用できるプルシアンブルー型錯体は、プルシアンブルー及びNi−Feプルシアンブルーだけではなく、多様な材料が利用できる。例えば、実施例1で作製した色変化フィルタにおいて、第1電気化学応答性材料層[LA1]を銅−鉄プルシアンブルー薄膜とした赤−黄色の変化を示す色変化フィルタ利用することで、より低温の色温度変化を実現することができる。
具体的には以下の方法で実現した。まず、銅−鉄プルシアンブルー型錯体ナノ粒子の水分散液を以下の工程で作製した。フェロシアン化カリウム・3水和物1.69gを水15mLに溶解した溶液と、塩化銅・2水和物1.36gを水15mLに溶解した溶液を一気に混合し、5分間攪拌した。析出した赤色の銅−鉄プルシアンブルー錯体型錯体の沈殿物を遠心分離で取り出し、これを水で3回洗浄した。得られた沈殿物にフェロシアン化カリウム・3水和物0.33gを水20mLを溶解した溶液を加えた。この懸濁液を一昼夜攪拌したところ、赤色分散液へと変化した。このようにして水分散性の銅−鉄プルシアンブルー型錯体のナノ粒子分散液を得た(平均粒径:30nm)。この銅−鉄プルシアンブルー型錯体を実施例1におけるプルシアンブルーに変えて電気化学応答性材料層[LA1]として利用することで、色変化フィルタ3を得た。
一方、光源の発光スペクトルを変調させることによっても、得られる発光の色変化を制御することができる。実施例1において光源を白色LEDから、電球色LED(単体での色温度2743K、発光スペクトルは図6参照)に変更し、色変化照明装置4を作製した。計算式1により色温度変化を計算したところ、着色(青)時は3853K、透明時は2673Kという色温度変化が得られることが分かる。着色時、透明時の色変化照明装置の透過光の発光スペクトル(計算値)を併せて図6に示した。
蛍光灯を光源として利用した場合を示す。パナソニック電工社製パルック電球色を光源として、色変化フィルタ1と組み合わせ、計算式1により色温度の変化を計算したところ、色温度は着色時で3046K、消色時で4654Kと、1608Kの色温度変化が得られることが分かる。また、同様にパナソニック電工社製パルックday色(商品名)を光源と色変化フィルタ1を組み合わせた場合には、5981Kから12787Kの色温度変化が得られることがわかる。
本発明においては、色変化フィルタに利用するプルシアンブルー型錯体材料の種類や、膜厚の変更、さらには光源の変更によって、色変化照明装置の発光の色変化の制御が可能であり、所望の色温度変化を実現することが可能である。さらに、色変化フィルタの透過率スペクトルの制御と、光源の発光スペクトルの制御を同時に行うことで、より精密な色変化照明装置の発光スペクトルの制御が可能となる。発光スペクトルの評価を効率的に行うため、計算式1を利用して、多様なシミュレーションを行った。
その際に、既存の光源に加え、LEDの発光スペクトルを如何に制御すれば所望の発光スペクトル変化、特に色温度変化が得られるかをシミュレーションを利用して調べた。シミュレーションの下準備として、既存の光学スペクトルの解析を行った。図7にその発光スペクトルを記載した白色LED光源は青色LEDに蛍光体を組み合わせたものであり、450nm付近のピークが元来の青色LEDの発光帯を、550nm付近のピークが蛍光体からの発光ピークを示している。この発光スペクトルを、計算式2に示す二つのガウス関数によってフィッティングを行った。パラメータの意味は、それぞれ表1に記載した。
NNN21012に利用されている白色LEDの発光スペクトルを二つのガウス関数でフィッティングした際のパラメータ。
――――――――――――――――――――――――――
1 2
――――――――――――――――――――――――――
y0 0 0
xc(ピーク位置) 453 566
w(半値幅) 22 115
A(ピーク強度) 1.84 8.17
――――――――――――――――――――――――――
例として、(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型錯体を[LA1]層、亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体を[LA2]層として利用する場合について述べる。硝酸ニッケル6水和物2.792g及び硫酸鉄7水和物を4.003gを水80mLに溶解した溶液と、フェリシアン化カリウム5.268gを水48mLに溶解した溶液を一気に混合し、10分間攪拌した。析出した(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー錯体型錯体の沈殿物を遠心分離で取り出し、これを水で5回、メタノールで3回洗浄した。
得られた沈殿物0.5gにフェロシアン化ナトリウム10水和物0.1557g(総金属の10%)を水20mLを溶解した溶液を加えた。この懸濁液を三日間攪拌したところ、若干緑がかった青色の分散液へと変化した。このようにして水分散性の(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型 錯体のナノ粒子分散液を得た。X線回折法で粒径を評価したところ、平均粒径:8.5nmであった。
また、亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体の製法は以下の通りである。塩化亜鉛1.09gを水20mLに溶解した溶液に塩酸を少量加え、pH=2.65とした水溶液と、フェロシアン化ナトリウム1.94gを水20mLに溶解した溶液を一気に混合し、3分間攪拌した。析出した亜鉛−鉄プルシアンブルー錯体型錯体の沈殿物を遠心分離で取り出し、これを水で5回洗浄した。得られた沈殿物にフェロシアン化ナトリウム10水和物0.581g(総金属の10%)を水10mLを溶解した溶液を加えた。濃度が0.05g/mlになるように調製し、この懸濁液を7日間攪拌したところ、白色の分散液へと変化した。このようにして水分散性の亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体のナノ粒子分散液を得た(平均粒径は約100nm)。
それぞれの材料をITOガラス上にスピンコート法により塗布し、電気化学測定により調べた、それぞれの膜の色変化特性を図8,図9に示す。図8が(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型錯体であり、図9が亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体である。ここで、電気化学測定には、参照電極として飽和カロメロ電極を、対極に白金を、電解液に0.1M ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムの炭酸プロピレン溶液を使用した。
フィルタの色変化は、[LA1]層及び[LA2]層の色変化の重ね合わせで得られるため、この二つの結果から、フィルタとしての透過率を求めることができる。得られたフィルタ透過率の計算値を図10に示す(フィルタ2)。[LA1]層として(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型錯体、[LA2]層として亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体を利用した際のフィルタ透過率の計算値を示す。ここで、状態1とはLA1が還元状態、LA2が酸化状態であるフィルタ、状態2とは、[LA1]層,[LA2]層共に中間状態であるフィルタ、状態3は、[LA1]層が酸化状態、[LA2]層が還元状態であるフィルタの透過率である。このフィルタと、図11に発光スペクトルを示した光源の組み合わせで色温度及び視感透過率を計算したところ、表3の結果が得られた。
―――――――――――――――――――――――――――
状態1 状態2 状態3
―――――――――――――――――――――――――――
色温度(K) 5137 6448 4286
視感透過率(%) 82 63 73
―――――――――――――――――――――――――――
色変化フィルタを作製する前に、それぞれの膜の酸化状態を電気化学的に制御することにより、フィルタの色変化特性及び駆動電圧を改善することが可能である。実施例7で作製した(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型錯体及び亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体をITO上にスピンコート塗布した薄膜を、事前の電気化学的処理を行うことなく色変化フィルタを作製した(その他の部材については、実施例1と同様)。これにより、表4に示す特性が得られた。
―――――――――――――――――――――――――――
状態1 状態2 状態3
―――――――――――――――――――――――――――
色温度(K) 4797 6042 4174
視感透過率(%) 81 65 63
印加電圧(V) −1.2 0.0 +4.0
―――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――
状態1 状態2 状態3
―――――――――――――――――――――――――――
色温度(K) 4383 5772 3793
視感透過率(%) 92 68 73
印加電圧(V) −1.2V −0.4V +2.0V
―――――――――――――――――――――――――――
印加する電圧を制御することにより、色を連続的に制御した例を以下に示す。図12は、色変化フィルタ1に0.1Vから0.8Vまで0.1V刻みで電圧を印加し、1分後の700nmにおける光学的透過率をプロットしたものである。これより、印加電圧の上昇に伴い、連続的に光学的透過率が変化することがわかる。よって、この色変化フィルタは印可電圧を連続的に制御することにより色を連続的に制御することができ、結果としてこの色変化フィルタを具備する照明装置は連続的な色温度の制御が可能となる。
2 第1透明金属層[LB1]
3 第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型金属錯体層)[LA1]
4 電解質層[LD]
5 第2電気化学応答層(補助電気化学応答性材料層)[LA2]
6 第2透明金属層[LB2]
7 第2透明絶縁層[LC2]
10 照明
20 照明フィルタ
200 照明対象
Claims (8)
- 所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、前記照明フィルタはプルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層を有することを特徴とした照明装置。
- 前記照明フィルタが、金属層の片側に前記電気化学応答性材料層[LA1]を配する第一電極体と、補助電気化学応答性材料層[LA2]を金属層の片側に配する第二電極体とを、前記電気化学応答性材料層[LA1]と補助電気化学応答性材料層[LA2]とが内側になるよう対向させた構造を持つことを特徴とした請求項1に記載の照明装置。
- 前記電気化学応答性材料層[LA1]のプルシアンブルー型錯体が、プルシアンブルー、銅(Cu)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体、及びニッケル・鉄(Ni・Fe)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体から選ばれる少なくとも1つであり、該錯体がナノ粒子を構成していることを特徴とした請求項1又は2に記載の照明装置。
- 前記補助電気化学応答性材料層[LA2]がプルシアンブルー型錯体のナノ粒子を有し、該プルシアンブルー型錯体がニッケル(Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体又は亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記照明フィルタの電気化学応答性材料層への印加電圧を調節することで、前記照射光が前記照明フィルタを透過してなす透過光の色を変化させることができることを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記照明フィルタの電気化学応答性材料層または/及び補助電気化学応答性材料層をフィルタ作製の前に酸化状態を制御することにより、色変化特性及び駆動電圧特性を改善することを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記透過光の色温度を電気制御により変化させることができることを特徴とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記光源が波長570nm〜620nmの間に発光ピークを持つ照射光を発するものであり、前記照明フィルタにより黄色味がかった電球色と白色との間でその透過光の色を変化させることができることを特徴とした照明装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011044802A JP5769290B2 (ja) | 2010-03-03 | 2011-03-02 | 照明装置 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010046123 | 2010-03-03 | ||
JP2010046123 | 2010-03-03 | ||
JP2010257049 | 2010-11-17 | ||
JP2010257049 | 2010-11-17 | ||
JP2011044802A JP5769290B2 (ja) | 2010-03-03 | 2011-03-02 | 照明装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012124140A true JP2012124140A (ja) | 2012-06-28 |
JP5769290B2 JP5769290B2 (ja) | 2015-08-26 |
Family
ID=46505348
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011044802A Expired - Fee Related JP5769290B2 (ja) | 2010-03-03 | 2011-03-02 | 照明装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5769290B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014207128A (ja) * | 2013-04-12 | 2014-10-30 | パナソニック株式会社 | 照明装置 |
JP2015018681A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | パナソニック株式会社 | 照明装置及び照明装置の制御方法 |
JP2015018682A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | パナソニック株式会社 | 照明装置及び照明装置の制御方法 |
JP2021508406A (ja) * | 2017-12-21 | 2021-03-04 | ルミレッズ ホールディング ベーフェー | 照明デバイス |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62183436A (ja) * | 1986-02-07 | 1987-08-11 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 透明着脱色板 |
JPH04133204A (ja) * | 1990-09-25 | 1992-05-07 | Matsushita Electric Works Ltd | 可変光色照明装置 |
JPH0574211A (ja) * | 1991-06-29 | 1993-03-26 | Tonen Corp | 調光床照明 |
JPH06111615A (ja) * | 1992-09-30 | 1994-04-22 | Sanyo Electric Co Ltd | 照明装置の調光方法 |
JP2003179259A (ja) * | 1996-07-29 | 2003-06-27 | Nichia Chem Ind Ltd | 発光装置と表示装置 |
WO2007020945A1 (ja) * | 2005-08-19 | 2007-02-22 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | 色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置 |
-
2011
- 2011-03-02 JP JP2011044802A patent/JP5769290B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62183436A (ja) * | 1986-02-07 | 1987-08-11 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 透明着脱色板 |
JPH04133204A (ja) * | 1990-09-25 | 1992-05-07 | Matsushita Electric Works Ltd | 可変光色照明装置 |
JPH0574211A (ja) * | 1991-06-29 | 1993-03-26 | Tonen Corp | 調光床照明 |
JPH06111615A (ja) * | 1992-09-30 | 1994-04-22 | Sanyo Electric Co Ltd | 照明装置の調光方法 |
JP2003179259A (ja) * | 1996-07-29 | 2003-06-27 | Nichia Chem Ind Ltd | 発光装置と表示装置 |
WO2007020945A1 (ja) * | 2005-08-19 | 2007-02-22 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | 色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014207128A (ja) * | 2013-04-12 | 2014-10-30 | パナソニック株式会社 | 照明装置 |
JP2015018681A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | パナソニック株式会社 | 照明装置及び照明装置の制御方法 |
JP2015018682A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | パナソニック株式会社 | 照明装置及び照明装置の制御方法 |
JP2021508406A (ja) * | 2017-12-21 | 2021-03-04 | ルミレッズ ホールディング ベーフェー | 照明デバイス |
US11791445B2 (en) | 2017-12-21 | 2023-10-17 | Lumileds Llc | Lighting device with switching material |
JP7418330B2 (ja) | 2017-12-21 | 2024-01-19 | ルミレッズ ホールディング ベーフェー | 照明デバイス |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5769290B2 (ja) | 2015-08-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhu et al. | Light-permeable, photoluminescent microbatteries embedded in the color filter of a screen | |
CN103412435B (zh) | 一种液晶显示屏及显示装置 | |
CN105960717A (zh) | 包括电致变色器件和有机电致发光器件的智能窗 | |
JP5769290B2 (ja) | 照明装置 | |
Wang et al. | Electroswitchable fluorescent thin film controlled by polyoxometalate | |
Zeb et al. | Advanced developments in nonstoichiometric tungsten oxides for electrochromic applications | |
CA2910550C (en) | Light emitting material and method for production thereof | |
CN102918929A (zh) | 显示设备 | |
JP2004151265A (ja) | エレクトロクロミック装置及びエレクトロクロミックディスプレイ | |
WO2018025939A1 (ja) | エレクトロクロミック素子及びエレクトロクロミック材料 | |
KR20190066533A (ko) | 탈색 성능이 향상된 광감응 자동변색전구체와 광감응 자동변색소자의 제조방법 및 그에 의한 광감응 자동변색소자 | |
Xu et al. | Study on effects of tungstophosphate structures on electrochemically induced luminescence switching behaviors of the composite films consisting of tris (1, 10-phenanthroline) ruthenium | |
Wang et al. | Preparation of hybrid films containing polyoxometalate and fluorescein and their electrochemically induced fluorescence switching behaviors | |
Jiang et al. | Cd-free Cu–Zn–In–S/ZnS quantum dots@ SiO2 multiple cores nanostructure: Preparation and application for white LEDs | |
KR20180077992A (ko) | 멀티 영상 모드를 구현할 수 있는 투과도 가변 패널 및 이를 포함하는 표시장치 | |
JP5946088B2 (ja) | 照明装置 | |
Zhao et al. | Host-guest synergy of CH3NH3PbBr3@ Ln-MOFs enabling tunable green luminescence and switchable memory | |
JP2007299606A (ja) | 分散型エレクトロルミネッセンス | |
US20130314919A1 (en) | Color temperature adjusting device of light source module | |
KR102470079B1 (ko) | 변색 나노 입자, 이를 포함하는 변색 장치 및 이를 포함하는 표시 장치 | |
Saengsonachai et al. | Dual functions of alternating current electroluminescent device for light emission and humidity detection | |
KR101588314B1 (ko) | 형광체, 이를 포함하는 백색발광소자 및 형광체 제조방법 | |
JP2007279163A (ja) | 表示方法、表示媒体、及び表示素子 | |
JP2019214741A (ja) | 波長変換部材、蛍光体シート、白色光源装置、及び表示装置 | |
JP5859005B2 (ja) | 分散型el素子の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131125 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20131125 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140826 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140827 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20141027 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150217 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150417 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150420 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150609 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150619 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5769290 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |