以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記の実施形態における構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、燃料電池の概略図である。図1を用いて、燃料電池の一般的な動作原理を説明する。本実施形態で対象とする燃料電池は固体酸化物型燃料電池(以下、必要に応じてSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)という)である。燃料電池FCは、水の電気分解とは逆に燃料中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させ、燃料のもつ化学的なエネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。カソード(空気極)Caでは、酸素(空気)Aが外部回路から電子e−を受け取り、酸素イオンO2−となって電解質Eを伝ってアノード(燃料極)Anへ移動する。アノードAnでは、酸素イオンO2−と外部から供給された燃料F(水素H2)とが反応して、2個の電子e−を電極へ送り出す。この電子e−は、負荷Lを通って反対側のカソードCaに流れる。そして、水素H2は、負の電荷を帯びた酸素イオンO2−と結合し、水となる。これを化学式で示せば、
カソード:1/2O2+2e−→O2−
アノード:O2−+H2→H2O+2e−
全体:1/2O2+H2→H2O
となる。電子e−の流れる方向と反対方向に電流Iが流れる。
図2は、燃料電池を用いて炎から電力を得る場合の概念図である。ガスバーナー等の炎は単なる高熱の場ではなく、未燃焼の可燃性ガスが残存している場であるため、安定して供給される高熱の燃料ガス源と考えることができる。燃料電池FCは、発電する際に燃料F及び酸素Aが必要であるが、燃料Fは炎の中にあり、その近傍には酸素Aを十分に含む新鮮な空気が存在している。このため、ガスバーナー等の炎を燃料源として発電を行うことができる。この場合、図2に示すように、燃料電池FCのアノードAnを炎FL内に配置し(特に、内芯部が好ましい)、カソードCaを炎FLの外部に配置する。このようにすることで、燃料電池FCのアノードAnは、炎FLから燃料Fの供給を受け、カソードCaは外部の空気から酸素Aの供給を受けて発電する。
本実施形態においては、燃料電池FCは固体酸化物型燃料電池(SOFC)を用いる。SOFCは、発電効率が高いという特徴がある。SOFCは、電流を十分に取り出すためには電極有効面積の増加及び固体電解質の薄層化が必要とされている。本実施形態に係るSOFCは、単位体積あたりの電極有効面積を従来の平板型及び円筒型のSOFCと比較して大きくすることにより、大きな電流を取り出そうとするものである。このため、本実施形態に係るSOFCは、電極(アノード又はカソード)と固体電解質とを交互に積層して一体とした積層構造とすることにより、単位体積あたりの電極有効面積を増加させて発電効率を向上させるとともに、小型化を図るものである。次に、本実施形態に係るSOFCを組み合わせた燃料電池モジュール及びこの燃料電池モジュールを用いた燃料電池発電システムについて説明する。
図3は、本実施形態に係る燃料電池モジュールを含む燃料電池発電システムの説明図である。図3に示すように、燃料電池モジュール20は、複数のアノードと複数のカソードとが、固体電解質を介して交互に積層されて一体化された複数のSOFC1と、複数のSOFC1を、相互の位置関係を互いに変更できるように支持する支持構造体20Sとを含んでいる。SOFC1は、上述した構造とすることにより、小型化を図りつつ発電効率を向上させることができるので、ガスバーナー等の炎を燃料源として発電を行うことに適している。SOFC1の構造については後述する。
支持構造体20Sは、複数の棒状の部材(棒状部材21)がそれぞれの両端部で回動できるように連結された構造体であり、それぞれのSOFC1は、棒状部材21同士が連結された部分(連結部分22)に取り付けられる。本実施形態では、SOFC1は、複数の連結部分22に対して1個おきにSOFC1が取り付けられる。このような構造により、燃料電池モジュール20は、隣接する棒状部材21同士の角度を調整することによって、複数のSOFC1の相互の位置関係を互いに変更することができるので、SOFC1同士の角度、SOFC1同士の距離を容易に調整することができる。
図3に示す例は、支持構造体20Sは複数の棒状部材21を環状に組み合わせ、複数のSOFC1が環状となった支持構造体20Sの内側になるようにしている。そして、支持構造体20Sは、例えば、ガスコンロ110の周りを取り囲むように複数のSOFC1を配置している。支持構造体20Sは、隣接する棒状部材21同士の角度を調整することによって、複数のSOFC1の相互の位置関係を互いに変更して、ガスコンロ110の炎とSOFC1のアノードとの距離を調節することができる。このようにして、支持構造体20Sは、SOFC1のアノードが炎の内芯部に当たるように、かつカソードが炎の外部に配置されるようにそれぞれのSOFC1の位置を調整することができる。
ガスバーナー等の炎を燃料源として発電を行う場合、炎とアノード及びカソードとの位置関係がずれると発電効率が低下するが、燃料電池モジュール20は、上述した構造により、複数のSOFC1について、相互の位置関係を互いに変更できるので、SOFC1と炎との位置関係を適切な状態に設定し、その状態を維持できる。このため、燃料電池モジュール20は、炎の燃焼状態が変化した場合でも支持構造体20Sを動かすことにより、炎との関係が適切になるようにSOFC1と炎との距離及び姿勢を調整することができる。その結果、燃料電池モジュール20は、炎の燃焼状態が変化した場合でも、炎の形状に合わせて固体酸化物型燃料電池(SOFC)の配置を適切に変更し、効率のよい発電ができる。このように、燃料電池モジュール20は、炎を燃料源とした発電において、発電効率の低下を抑制できる。
燃料電池モジュール20を用いた燃料電池発電システム80は、燃料電池モジュール20が発電した電力を、導線52、充電装置50及び導線53を介して蓄電手段である二次電池51に導く。そして、二次電池51に蓄えられた電力を利用する。蓄電手段は、二次電池51に限定されるものではなく、キャパシタ等を用いてもよい。二次電池51は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等を用いることができ、特定の二次電池に限定されるものではない。一般に、炎はその形が安定しないため、SOFC1からの出力は不安定になる傾向がある。このため、燃料電池発電システム80は、燃料電池モジュール20と蓄電手段とを組み合わせ、燃料電池モジュール20が発電した電力を蓄電手段に一旦蓄えてから電力供給対象(例えば、電気、電子機器や充電が必要な二次電池等)に供給する。このようにすることで、燃料電池発電システム80は、炎をSOFC1の燃料源とした場合でも、安定して電力を供給することができるので、利便性が向上する。
図4は、図3に示す燃料電池発電システムにおけるSOFCの接続例を示す図である。同図に示すように、例えば、燃料電池モジュール20は、5個のSOFC1を直列接続して1つのユニットとし、3ユニットを並列に接続したものである。SOFC1の接続やユニットの組み合わせにより燃料電池モジュール20の端子電圧を任意に調整することができる。燃料電池発電システム80は、このような燃料電池モジュール20から充電装置50を介して二次電池51に電力を蓄える。SOFC1同士は耐熱性及び耐酸化性を有しており、導電性の高い金属線(例えば、白金等)によって互いに接続されている。
図5は、本実施形態に係る燃料電池モジュールの支持構造体の構造を示す図である。図6、図7は、支持構造体の連結構造の説明図である。図6、図7に示すように、棒状部材21は、板状の部材であり、長手方向における両端部をそれぞれ連結部分22で連結されている。棒状部材21は、例えば、金属板を用いて製造される。本実施形態では、耐熱合金(インコネル、ハステロイ、ステライト等)が用いられる。図6に示すように、棒状部材21は、端部に孔21Hを有する。そして、2つの棒状部材21のそれぞれの孔21Hに連結具23が取り付けられて、2つの棒状部材21が図5に示す回転軸Sを中心として互いに回動できるように両者が連結される。連結具23と2つの孔21Hとが連結部分22となる。例えば、31個の棒状部材21を組み合わせることで、30個の連結部分22が得られる。
図5に示すように、SOFC1は、連結部分22の一つおきに配置される。SOFC1は、連結具23に耐熱合金の支持体24を介して取り付けられる。支持体24は、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物で連結具23に固定され、SOFC1は、支持体24に、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物で固定される。支持体24は、例えば、人間の力で変形させることができるものであり、例えば、耐熱合金の針金が用いられる。このように、支持体24を変形させるようにすることで、燃料電池モジュール20は、SOFC1と炎との距離を調整することができる。また、炎を発生する機器等の種類に応じて、燃料源となる炎の形態(配置、大きさ等)が変化した場合でも、支持構造体20Sを調整することによって、SOFC1と炎との位置関係を適切に調整可能であるので、効率のよい発電が可能である。このため、燃料電池モジュール20は、様々な炎を発生する機器や炎の種類に柔軟かつ容易に対応して、炎から電力を発生させる(発電する)ことができる。
図6に示すように、連結具23は、孔21Hの内径よりも外径が小さいシャフト23Sと、シャフト23Sの両端部に取り付けられる、孔21Hの内径よりも外径が大きい頭部23Hとを含む。シャフト23Sが2つの棒状部材21の孔21Hに挿入され、シャフト23Sの両端部に頭部23Hが取り付けられることにより、2つの棒状部材21は互いに回動できるように連結される。このような連結具23としては、例えば、リベットが挙げられる。また、連結具23は、ボルトとナットとであってもよい。
本実施形態においては、例えば、連結具23のシャフト23Sの線膨張係数を棒状部材21の線膨張係数よりも大きくする。図7に示すように、シャフト23Sを棒状部材21の孔21Hに挿入するときには、シャフト23Sの外径dよりも孔21Hの内径Dの方を大きくしておく。炎の熱でシャフト23S及び棒状部材21の温度が上昇した場合には、シャフト23Sの膨張の方が孔21Hの膨張よりも大きくなるので、シャフト23Sの外径dが孔21Hの内径Dに近づき、隙間が小さくなるので動きにくくなる。このため、シャフト23Sと隣接する棒状部材21とが固定される。その結果、燃料電池モジュール20の使用時には、隣接する棒状部材21同士が固定されるので、SOFC1と炎との位置関係をより確実に維持できる。燃料電池モジュール20の使用が終了し、シャフト23S及び棒状部材21の温度が低下した場合には、孔21Hの内径Dよりもシャフト23Sの外径dの方が小さくなって、シャフト23Sと棒状部材21との固定が解除される。
また、棒状部材21の線膨張係数を連結具23のシャフト23Sの線膨張係数よりも大きくする。そして、シャフト23Sを棒状部材21の孔21Hに挿入するときには、シャフト23Sの外径dよりも孔21Hの内径Dの方を大きくするとともに、2つの頭部23H間の距離、すなわちシャフト長さhを棒状部材21の厚みHの2倍よりもやや大きくしておく。炎の熱でシャフト23S及び棒状部材21の温度が上昇した場合には、棒状部材21の厚みHの増加の方がシャフト23Sの伸びよりも大きくなるので、2つの棒状部材21の厚み2×Hが、シャフト長さhに近づき、隙間が小さくなる。このため、シャフト23Sと隣接する棒状部材21とが固定される。その結果、燃料電池モジュール20の使用時には、隣接する棒状部材21同士が固定されるので、SOFC1と炎との位置関係をより確実に維持できる。燃料電池モジュール20の使用が終了し、シャフト23S及び棒状部材21の温度が低下した場合には、2つの棒状部材21の厚み2×Hの方が、シャフト長さhよりも小さくなって、シャフト23Sと棒状部材21との固定が解除される。このように、棒状部材21の線膨張係数と連結具23のシャフト23Sの線膨張係数とを異ならせておくことで、燃料電池モジュール20の使用時には棒状部材21同士を固定し、使用しないときには棒状部材21同士の固定を解除することができる。
図8は、支持構造体の連結部の一例を示す図である。支持構造体20Sは、隣接する棒状部材21同士をボルト23Bとナット23Nとで連結し、両者を取付及び取り外しを自由とした連結部分22を一部に有していてもよい。このようにすれば、隣接する棒状部材21同士の連結を解除することで、燃料電池モジュール20を環状のみならず円弧状あるいは直線状等にすることができるので、燃料源の炎の形態に合わせて適切な状態にSOFC1を配置することができる。図5で示されているように、連結具23に支持体24を介して取り付けられているSOFC1は、耐熱性及び耐酸化性を有しており、導電性の高い金属線(例えば白金等)によって、例えば図4のモジュール回路になるように互いに接続されている。
図9は、本実施形態の変形例に係る燃料電池モジュールを示す図である。図10は、本実施形態の変形例に係る燃料電池モジュールの使用態様を示す図である。燃料電池モジュール20aは、SOFC1と、蛇腹構造のフレキシブルチューブ31及び支持体32を含む支持構造体30とを有する。SOFC1は、フレキシブルチューブ31の外周面に取り付けられた支持体32を介してフレキシブルチューブ31に取り付けられる。フレキシブルチューブ31は、例えば、外径が1cm程度の金属の蛇腹を用いることができる。フレキシブルチューブ31は、短い蛇腹を複数組み合わせてもよい。このような構造により、フレキシブルチューブ31は、伸縮及び曲げ伸ばし自在となる。
フレキシブルチューブ31及び支持体32は、例えば、耐熱合金(インコネル、ハステロイ、ステライト等)が用いられる。支持体32は、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物でフレキシブルチューブ31に固定され、SOFC1は、支持体32に、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物で固定される。支持体32は、例えば、人間の力で変形させることができるものであり、例えば、耐熱合金の針金が用いられる。このように、支持体32を変形させるようにすることで、燃料電池モジュール20aは、SOFC1と炎との距離を調整することができる。
図10に示すように、燃料電池モジュール20aは、フレキシブルチューブ31を環状にして、ガスコンロ110の周りに複数のSOFC1を配置する。ガスコンロ110の炎がSOFC1のアノードに接し、カソードが炎の外に配置されるように、支持構造体30のフレキシブルチューブ31及び支持体32が調整される。このように、燃料電池モジュール20aは、複数のSOFC1について、相互の位置関係を互いに変更できるので、SOFC1と炎との位置関係を適切な状態に設定できる。また、炎を生成する器具の形状や寸法に合わせて複数のSOFC1と炎との位置関係を調整できる。このため、燃料電池モジュール20aは、炎を燃料源とした発電において、発電効率の低下を抑制できる。
図11は、本実施形態の変形例に係る支持構造体の端部の一例を示す図である。フレキシブルチューブ31は、一方の端部31TTに連結部材33を取り付け、他方の端部31THに連結部材33を差し込むことにより、環状にすることができる。また、他方の端部31THから連結部材33を取り外すことにより、フレキシブルチューブ31を円弧状あるいは直線上等の形状にすることもできる。このようにすることで、図9に示す燃料電池モジュール20aは、燃料源の炎の形態に合わせて適切な状態にSOFC1を配置することができる。
図12は、本実施形態の変形例に係る燃料電池モジュールを示す図である。燃料電池モジュール20bが有する支持構造体40は、耐熱性を有する材料の長尺の網41と、支持体42を含んでいる。長尺とは、網41において、横方向の寸法に対する縦方向(SOFC1が配列されている方向)の寸法の比が5以上のことをいう。そして、それぞれのSOFC1は、支持体42を介して網41に取り付けられる。網41及び支持体42は、例えば、耐熱合金(インコネル、ハステロイ、ステライト等)が用いられる。支持体42は、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物で網41に固定され、SOFC1は、支持体42に、例えばガラスあるいはアロンセラミック等の絶縁物で固定される。支持体42及び網41は、例えば、人間の力で変形させることができるものであり、例えば、耐熱合金の針金が用いられる。このように、支持体42及び網41を変形させるようにすることで、燃料電池モジュール20bは、SOFC1と炎との距離を容易に調整することができる。燃料電池モジュール20bは、網41を用いるので、上述した2つの例と比較して支持構造体40の変形の自由度が大きい。このため、燃料電池モジュール20bは、ガスコンロのみならず、ライターや蝋燭等の炎を利用して発電することができる。次に、上述した例で用いるSOFC1について、より詳細に説明する。
図13は、本実施形態に係るSOFCの構造を示す断面図である。図13に示すように、SOFC1は、複数のアノード2と、複数のカソード3と、少なくともアノード2とカソード3との間に配置される固体電解質4と、隣接する固体電解層同士の間に配置される仕切り部5a、5cとを含む。
本実施形態において、複数のアノード2と、複数のカソード3と、固体電解質4と、仕切り部5a、5cとは、一体で構成されてSOFC1となる。ここで、本実施形態において、SOFC1は、複数のアノード2と電気的に接続される第1電極11及び複数のカソード3と電気的に接続される第2電極12とをさらに有する。このように、SOFC1は、第1電極11及び第2電極12をさらに含んでいてもよい。
図13に示すように、SOFC1を構成する複数のアノード2及び複数のカソード3は、それぞれ固体電解質4の厚みに由来する所定間隔を設けて配列されるとともに、アノード2とカソード3との一部が重ならない非重なり部6を有して交互に積層される。また、アノード2とカソード3とは、対向して配置される。図13に示すように、固体電解質4は、少なくともアノード2とカソード3との間に配置される。また、SOFC1は、隣接する固体電解質4同士の間であって非重なり部6側に仕切り部5a、5cが配置される。ここで、仕切り部5aは第1電極11側の非重なり部6に設けられ、仕切り部5cは第2電極12側の非重なり部6に設けられる。複数のアノード2は、第1電極11と電気的に接続されており、複数のカソード3は、第2電極12と電気的に接続されている。
このように、SOFC1は、固体電解質4及び仕切り部5a、5cでアノード2とカソード3とが分離されるとともに、第1電極11で複数のアノード2が電気的に接続され、また第1電極11と対向して配置される第2電極で複数のカソード3が電気的に接続される。このため、燃料Fは第1電極11に、酸素Aは第1電極11とは反対側に配置される第2電極12に供給すればよい。これによって、燃料Fの供給系統と酸素Aの供給系統とを簡易に形成できる。
本実施形態において、固体電解質4は、Ce0.85Sm0.15O2−δに示すようなサマリアドープセリア(SDC)等のセリア系、Zr0.81Y0.19O2−δに示すようなイットリアドープジルコニア(YSZ)等の安定化ジルコニア系、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3−δに示すようなLSGM等のペロブスカイト型酸化物系の材料を用いることができる。なお、固体電解質4の材料は、上述したものに限定されるものではなく、SOFCの固体電解質として適用可能な材料全般を使用できる。
本実施形態において、それぞれのアノード2及びカソード3は、白金(Pt)で構成された多孔質体である。また、第1電極11及び第2電極12は、アノード2及びカソード3と同じ材料、すなわち白金で構成された多孔質体である。SOFC1は、第1電極11側から燃料F(例えば、水素)が供給され、また、第2電極12側から酸素A(本実施形態では空気)が供給されることにより作動する。第1電極11側から供給された燃料F及び第2電極12側から供給された酸素Aをアノード2及びカソード3の内部に行き渡らせるため、第1電極11及びアノード2、第2電極12及びカソード3は、多孔質体で構成される。このような構造により、燃料F及び酸素Aがアノード2及びカソード3の全体に行き渡って反応するので、より多くの電力が取り出される。
アノード2は、白金の他、高温還元雰囲気で電子伝導性を示すものが使用できる。このような材料としては、ニッケル(Ni)、上述したSDCやYSZ等の固体電解質とニッケル(Ni)とのサーメット等がある。ここで、SDCとは、Ce0.85Sm0.15O2−δに示すような材料であり、YSZとは、Zr0.81Y0.19O2−δに示すような材料である。また、カソード3は、白金の他、高温酸化雰囲気で電子伝導性を示すものが使用できる。このような材料としては、例えば、CoFe2O4、MnFe2O4、NiFe2O4、BSCF等がある。ここで、BSCFとは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)の酸化物である。なお、アノード2及びカソード3の材料は、上述したものに限定されるものではなく、SOFCのアノード、カソードとして適用可能な材料全般を使用することができる。
なお、アノード2は燃料Fを、カソード3は酸素Aをそれぞれの内部に行き渡らせる機能を有していればよく、このような機能を有していれば、アノード2及びカソード3は多孔質でなくてもよい。例えば、アノード2又はカソード3が気体通路を持つ構造とすることができる。この場合、アノード2又はカソード3のいずれか一方には気体通路を持つ構造を用い、他方に多孔質材料を用いてもよい。
また、本実施形態では、アノード2とカソード3とを同じ材料(多孔質の白金)としたが、アノード2とカソード3とは異なる材料であってもよい。さらに、第1電極11は、複数のアノード2を電気的に接続していればよく、第2電極12は、複数のカソード3を電気的に接続していればよい。このため、第1電極11とアノード2とを異なる材料とし、第2電極12とカソード3とを異なる材料としてもよい。これによって、アノード2や第1電極11等に、より適切な材料を用いることができる。
上述したように、本実施形態において、仕切り部5a、5cは、積層方向に隣接する固体電解質4同士の間に設けられて、固体電解質4同士を接続する。このようにすることで、SOFC1に第1電極11及び第2電極12が形成されると、それぞれのカソード3と第1電極11との間及びアノード2と第2電極12との間に仕切り部5a、5cが配置されることになる。ここで、アノード2とカソード3との間で電子や気体(燃料Fや酸素A)の漏れが発生すると、SOFC1の単位体積あたりの発電効率が低下する。このため、アノード2とカソード3との間にある固体電解質4及び仕切り部5a、5cは、電子を絶縁し、ガスタイト(気体を透過させないこと)であることが好ましい。
本実施形態では、仕切り部5a、5cを、それぞれのカソード3と第1電極11との間、及びそれぞれのアノード2と第2電極12との間に配置するとともに、仕切り部5a、5cが、隣接する固体電解質4を接続する。これによって、SOFC1は、アノード2とカソード3との間における電子の絶縁及びガスタイトが確保される。仕切り部5a、5cは、電子の絶縁及びガスタイトを確保できる材料で構成される。本実施形態では、固体電解質4と同じ材料で仕切り部5a、5cが構成される。このようにすることで、電子の絶縁及びガスタイトを確保して、SOFC1の性能低下を抑制している。
固体電解質4と仕切り部5a、5cとを同じ材料とすることにより、SOFC1の製造が容易になるという利点がある。なお、固体電解質4と仕切り部5a、5cとは異なる材料で構成してもよい。これによって、より電子の絶縁やガスタイトを確保しやすい材料を用いて、SOFC1の性能低下をさらに効果的に抑制することも可能である。
仕切り部5a、5cに用いることができる材料としては、例えば、ジルコニア(二酸化ジルコニウム、ZrO2)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)、シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)、マグネシア(酸化マグネシウム、MgO)を用いることができる。特に、仕切り部5a、5cは、固体電解質4よりも電子伝導度が低い材料で構成することが発電効率を向上させる観点から好ましく、このような材料としては、ジルコニアが好ましい。
固体電解質4の厚みは、できる限り小さい方が好ましく、5μm〜35μm程度とすることができる。また、アノード2の厚み及びカソード3の厚みは、燃料Fや酸素Aを通過させることから、あまり小さくすることができないため、25μm〜50μm程度とすることができる。さらに、仕切り部5a、5cは、アノード2の厚み及びカソード2の厚みと同等にすればよい。
後述するように、SOFC1は、固体電解質4のグリーンシート表面上に、アノード2又はカソード3を印刷し、仕切り部5a、5cをアノード2又はカソード3の余白部(非重なり部6)に印刷し、これらを必要数積層した後、焼成することにより得られる。したがって、固体電解質4の厚み、アノード2の厚み及びカソード3の厚みの制御及び薄膜化は比較的容易である。なお、このような製造プロセスにより、固体電解質4はアノード2及びカソード3と密着し、一体となっている。
SOFC1は、一つのアノード2と一つのカソード3と両者の間の固体電解質4との組み合わせ(以下、発電単位という)で電力を発生する。この発電単位の理論起電力は1.14Vである。本実施形態において、SOFC1は、複数のアノード2及び複数のカソード3を備えるが、それぞれのアノード2は第1電極11で電気的に接続され、それぞれのカソード3は第2電極12で電気的に接続される。すなわち、SOFC1は、複数の発電単位を並列に接続したものとみなすことができる。このため、SOFC1での理論起電力は1.14Vとなる。なお、SOFC1全体は、第1電極11で電気的に接続された複数のアノード2と第2電極12で電気的に接続された複数のカソード3との1ペアで構成されており、複数の発電単位間で、いわゆるインターコネクタに相当するものは有していない。このため、SOFC1は、一般的な燃料電池でいう単セル構造と見なすことができる。
SOFC1において、一つの発電単位において発電に寄与する面積(電極有効面積という)は、アノード2とカソード3とが重なり合う部分の面積である。SOFC1は、複数の発電単位を積層した構造であり、このような構造によって、SOFC1全体の電極有効面積を大きくすることができるので、SOFC1の体積に対して、SOFC1全体からは大きな電流(電力)を得ることができる。すなわち、SOFC1は、同じ体積であれば、平板型や円筒型等のSOFCと比較して、高い電力密度を実現できる。このため、SOFC1は、小型化を実現しつつ、単位体積あたりの発電効率を向上させることが可能になる。
また、SOFC1は、それぞれ厚さが数十μmのアノード2と、カソード3と、固体電解質4とを積層したものである。したがって、SOFC1は、積層数を増加させても積層方向における寸法の増加は比較的小さい。このため、SOFC1は、平板型のSOFCや円筒型のSOFCと比較して、単位体積あたりにおける電極有効面積を大きくできるので、単位体積あたりの電力密度も大きくなる。その結果、SOFC1全体としての発電効率も向上する。
また、SOFC1は、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とが一体となって全体の強度を受け持つので、変形に対して強い構造となる。このため、固体電解質4を薄くしたとしても、複数のアノード2及びカソード3により、SOFC1全体の強度を確保できる。このように、SOFC1は、固体電解質4を薄くしやすい特性を有しているため、より大きな電流を取り出しやすい構造であるといえる。その結果、SOFC1は、全体の強度を確保しつつ固体電解質4を薄くすることにより、作動温度を低下させることができるという効果も得られる。具体的には、SOFC1は、300℃から600℃でも十分に電流を取り出すことができる。
また、アノード2及びカソード3を多孔質とした場合には、加熱時において、空隙が熱膨張を吸収し、アノード2、カソード3、固体電解質4の間に働く応力を緩和する。ゆえに、アノード2及びカソード3を多孔質とした場合、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とのそれぞれの材料の線膨張係数がある程度ばらついていても、アノード2、カソード3、固体電解質4の割れ等を抑制できる。
さらに、SOFC1は、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とをそれぞれ複数層積層させた構造なので、加熱時において、素子10は、全体的には均一に熱膨張し、局所的に大きな変形が発生しにくくなる。このような構造によって、熱膨張を均一化できるので、全体の反りを抑制できる。これらの作用によって、SOFC1は、耐熱衝撃性に優れるという利点がある。このように、SOFC1は、耐熱衝撃性に優れるため、急な温度上昇に曝すことが可能となり、迅速な起動が可能になるという利点もある。次に、本実施形態に係るSOFCの製造方法を説明する。
図14は、本実施形態に係るSOFCの製造方法の工程を示すフローチャートである。図15〜図23は、本実施形態に係るSOFCの製造方法の説明図である。図13に示すSOFC1を作製する場合、まず、図13に示す固体電解質4を形成するためのグリーンシートに、アノード2及びカソード3を形成するための電極層、及び仕切り部5a、5cを形成するための余白層を形成した単シートを作製する。そして、この単位シートを複数枚積層して積層体を形成した後、SOFC1の1部品単位の寸法に積層体を切断して乾燥させる。そして、乾燥後の積層体を焼成することにより、SOFC1が作製される。
まず、固体電解質4を形成するためのスラリー(固体電解質用スラリー)と、アノード2及びカソード3を形成するためのスラリー(電極用スラリー)とを作製する(ステップS101)。固体電解質用スラリーは、固体電解質4の原料となる粉末を粉砕用ボールとともにナイロン製ポットに入れ、これに溶剤、バインダー及び可塑剤を添加して10〜20時間混合して得られる。溶剤、バインダー及び可塑剤の含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10質量%以上50質量%以下、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%以下程度の範囲で設定することができる。スラリー中には、必要に応じて分散剤等を10質量%以下の範囲で含有させてもよい。
電極用スラリーは、導電性粉末粒子及び空隙形成剤を混合し、これに溶剤及びバインダーを添加して作製する。溶剤及びバインダーの含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10質量%以上50質量%以下、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%以下程度の範囲で設定することができる。電極用スラリー中には、必要に応じて分散剤等を10質量%以下の範囲で含有させてもよい。
固体電解質用スラリー及び電極用スラリーの作製に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、トルエン、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、ターピネオール等の有機溶剤を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる。固体電解質の原料となる粉末は、上述した固体電解質の材料の粉末であり、導電性粉末粒子は、上述したアノード及びカソードの材料の粉末である。本実施形態では、固体電解質の原料となる粉末としてSDCの粉末を用い、導電性粉末粒子としてアノード、カソードともにPtの粉末を用いた。また、電極用スラリーに用いる空隙形成剤には、例えば、アクリル系のポリマー等、焼成時に消失するものを用いることができる。このように、焼成時に消失する空隙形成剤を用いることにより、多孔質のアノードやカソードを簡単に作製できる。
固体電解質用スラリー及び電極用スラリーが得られたら、固体電解質用スラリーを用いてグリーンシート(未焼成シート)を作製する(ステップS102)。例えば、固体電解質用スラリーを、図15に示すポリエステルフィルム等の支持体130上に、例えば、ドクターブレード法等で塗布した後乾燥させることにより、厚さ1μmから100μmのグリーンシート120を作製する。
次に、得られたグリーンシート120上に、余白部122を残して電極層121を形成する(ステップS103)。例えば、図15に示すグリーンシート120の表面に電極用スラリーをスクリーン印刷等で印刷した後乾燥させて、厚さ10μmから100μmの電極層121を作製する。本実施形態において、隣接する電極層121間における余白部122の寸法gは、図13に示す第1電極11から第2電極12へ向かう方向と平行な方向(以下、電極延出方向という)における仕切り部5a、5cの寸法の約2倍である。なお、図15の矢印Nが、電極延出方向である。余白部122は、少なくとも電極延出方向において設ければよい。なお、本実施形態において、余白部は、電極延出方向と直交する方向にも設けてある。
ここで、電極延出方向において隣接する電極層121間の距離、すなわち余白部122の寸法gの1/2は、電極延出方向における仕切り部5a、5cの寸法となる。仕切り部5a、5cは、後述するように、余白部122に形成される余白層によって作製されるが、電極層121や余白層はスクリーン印刷等により形成される。このため、余白層や電極層121のエッジはシャープにならないので、電極延出方向における余白部122の寸法gが小さいと、余白層及び仕切り部5a、5cの形成が不完全になるおそれがある。
これを回避するため、電極延出方向において隣接する電極層121間における余白部122の寸法gを、電極層121の厚さの2倍以上とすることが好ましい。このようにすれば、電極延出方向における仕切り部5a、5cの寸法は、電極層121の厚さ程度を確保できる。その結果、仕切り部5a、5cが確実に形成されて、アノードとカソードとの間における電子や気体の漏れをより確実に回避できる。
図16〜図18は、SOFC1のアノード又はカソードに気体通路を形成する場合の工程の一例を示している。この場合、図16に示すように、まず、気体通路を形成するための気体通路形成剤127を、所定の本数グリーンシート120の表面に載置する。気体通路形成剤127は、空隙形成剤と同じ材料を用いることができる。気体通路形成剤127は、気体通路の内形形状に沿った形状である。
次に、図17、図18に示すように、得られたグリーンシート120上であって気体通路形成剤127を載置した部分に、余白部122を残して電極層121を形成する。図18は、図17のZ−Z断面を示すが、気体通路形成剤127上に電極層121を形成することにより、電極層121の内部に気体通路形成剤127が埋め込まれる。気体通路形成剤127は焼成時に喪失するものなので、アノード又はカソードに気体通路を簡単に作製できる。
次に、図19に示すように、余白部122(図15)に余白層123を形成する(ステップS104)。これは、図13に示す仕切り部5a、5cを形成するとともに、電極層121間の段差を減少させるためである。余白層123は、余白用スラリーをスクリーン印刷等で印刷し乾燥させることにより形成される。本実施形態において、仕切り部5a、5cは、図13に示す固体電解質4と同じ材料で構成するので、余白用スラリーは、固体電解質用スラリーを用いる。余白部122への印刷においては、余白層123に必要な厚さに応じて、余白用スラリーの粘度やスクリーン印刷の製版や印刷回数等を調整することができる。
なお、仕切り部5a、5cを、固体電解質4とは異なる材料で構成する場合、余白用スラリーを固体電解質用スラリーとは別個に作製する。この場合、余白用スラリーは、仕切り部5a、5cの原料粉末粒子に溶剤及びバインダーを添加して作製する。溶剤及びバインダーの含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10質量%以上50質量%以下、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%以下程度の範囲で設定することができる。余白用スラリーの作製に使用できる溶剤及びバインダーは、固体電解質用スラリーの作製に使用できるものと同じである。
このようにして、図19に示すように、グリーンシート120上に電極層121及び余白層123が形成された単位シート125が作製される。ここで、単位シート125は複数枚作製される(ステップS105)。次に、図20に示すように、複数の単位シート125−1、125−2、125−3、・・・125−nを積層台131上で積層して、図21に示す積層体126を作製する(ステップS106)。ここで、図20の矢印Nは、電極延出方向である。また、単位シートを示す符号25に付される数字1、2、3・・・nは、積層される単位シート125の枚数を示す番号である。
複数の単位シート125−1、125−2等を積層する場合、電極延出方向Nに向かって隣接する単位シート125−1、125−2及び隣接する単位シート125−2、125−3の位置を交互にずらした態様で、積層体126を構成する。なお、本実施形態において、最も上に載置されるもの、すなわち、単位シート125を積層する工程で最後に積層される単位シート(図21に示す例では単位シート125−4)の上には、図21に示すように、グリーンシート120が載置される。
次に、図21に示す積層体126を積層方向(図21の矢印Kで示す方向)に向かって加圧する(ステップS107)。これによって、複数の単位シート125を圧着して一体化させる。その後、部品単位、すなわち、一つのSOFC1単位で積層体126を切断する(ステップS108)。本実施形態においては、電極延出方向Nにおける余白層123の中央部(図21の点線)で切断するとともに、電極延出方向Nとは直交する方向における余白層の中央部で切断する。これによって、図22に示す部品単位積層体128が得られる。図22に示すように、部品単位積層体128は、電極層121が電極延出方向Nにおける両側に、積層方向Kに向かって交互に露出する。そして、露出している側とは反対側が、余白層123及びグリーンシート120によって部品単位積層体128の内部に封入されることになる。
次に、部品単位積層体128に脱バインダー処理を施す(ステップS109)。そして、乾燥させて脱バインダー処理をした部品単位積層体128を焼成することにより(ステップS110)、部品単位積層体128の焼結体が得られる。部品単位積層体128は、アノード、カソード、固体電解質及び仕切り部材が焼結されて一体となった焼結体である。
部品単位積層体128の脱バインダー処理及び焼成の条件は、使用する固体電解質の材料や電極の材料で異なるが、例えば、白金の粒子を電極層121として部品単位積層体128を焼成する場合、部品単位積層体128を大気中で400℃から600℃で1時間から2時間加熱保持して部品単位積層体128からバインダーを除去する。その後、大気中で1350℃から1500℃で3時間から5時間、部品単位積層体128を焼成し、焼結体を得る。部品単位積層体128の焼結体は、必要に応じて後処理が施される(ステップS111)。後処理は、例えば、大気雰囲気中における焼き鈍し処理である。これによって、図23に示すように、アノード2と固体電解質4とカソード3とが交互に積層され、かつこれらと隣接する固体電解質4の間に設けられる仕切り部とが焼結によって一体化された積層構造を有するSOFC1が完成する(ステップS112)。
なお、上記手順では、図13に示す第1電極11及び第2電極12は形成されないので、図23に示すように、SOFC1の電極延出方向Nの両側に第1電極11及び第2電極12を形成する。これは、例えば、上述した電極用スラリーをSOFC1の電極延出方向Nの両側に塗布して、乾燥、脱バインダー処理を施した後、所定の条件で焼成する。これによって、複数のアノード2を電気的に接続する第1電極11と、複数のカソード3を電気的に接続する第2電極12とが焼結によって一体化されて、第1電極11と第2電極12とをさらに有するSOFC1が完成する。本実施形態に係るSOFCの製造方法によれば、製造プロセスが比較的簡単であり、また、小さいデバイスも製造しやすいので、低コストで小型のSOFC1を作製できる。