JP2012122691A - 熱交換器用伝熱管、及び熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】水管内に冷媒管を配置した熱交換器の性能を向上させる熱交換器用伝熱管、及び熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換用伝熱管1は、水管20と、水管20内に配置され、冷媒が流れる冷媒管10とを備えている。水管20の外面にはコルゲート凹部21が螺旋状にコルゲート加工されている。コルゲート凹部21内には2条のコルゲート溝22が螺旋状にコルゲート加工されている。コルゲート凹部21のピッチをPcとし、2条のコルゲート溝22間の幅をWcとすると、2mm≦Wc<Pc/2の関係を有している。
【選択図】図3
【解決手段】熱交換用伝熱管1は、水管20と、水管20内に配置され、冷媒が流れる冷媒管10とを備えている。水管20の外面にはコルゲート凹部21が螺旋状にコルゲート加工されている。コルゲート凹部21内には2条のコルゲート溝22が螺旋状にコルゲート加工されている。コルゲート凹部21のピッチをPcとし、2条のコルゲート溝22間の幅をWcとすると、2mm≦Wc<Pc/2の関係を有している。
【選択図】図3
Description
本発明は、熱交換器用伝熱管、及び熱交換器に係わり、特に、貯湯式ヒートポンプ給湯機に好適に用いられる熱交換器用伝熱管、及び熱交換器に関する。
貯湯式ヒートポンプ給湯機(以下、「ヒートポンプ給湯機」ともいう。)に用いられる熱交換器としては、水が流通する外管(以下、「水管」ともいう。)と冷媒が流通する内管(以下、「冷媒管」ともいう。)との内外二重管構造からなる二重管式熱交換器がある。この二重管式熱交換器においては、冷媒管に腐食による孔が開くと、水と冷媒が混ざり合ってしまうことから、水又は冷媒の漏洩を検知して、ヒートポンプ給湯機を停止するための漏洩検知部、例えば漏洩検知溝を有する漏洩検知管が設けられている。この漏洩検知管を設けることによって、実質的には三重管構造を有する熱交換器が構成される。
一方、ヒートポンプ給湯機は、夜間に時間をかけて湯を沸かすものであり、水の流速が小さく、層流となる。そのため、熱交換器としての性能を向上させるには、ボトルネックになる水管の伝熱性能の向上が不可欠となる。
伝熱性能の向上を目的とした熱交換器の一例としては、水が流れる第一伝熱管(水管)内に、冷媒が流れる複数本の伝熱管を螺旋状にねじって構成した第二伝熱管(冷媒管)を配置したものがある(特許文献1参照)。この特許文献1記載の熱交換器によれば、水の圧力損失やスケール成分の溶出が小さく、伝熱促進体としての別部品を用いることなく、伝熱促進することができるとしている。
この種のヒートポンプ給湯機では、更なる高性能化とコンパクト化が望まれている。上記特許文献1に記載された熱交換器は、上述したように、水管内に冷媒管を配置した構成を有する内外二重管式の熱交換器であるため、水管と冷媒管とが内外面で互いに接合されたタイプの熱交換器に比べると、接触熱抵抗がほぼゼロになるメリットがある。
しかしながら、上記特許文献1記載の熱交換器では、水の濡れ淵長さが長くなるため、水管の直径が相当に小さくなり、単独で使用される水管と同じ直径を基準として比較すると、水の流速が非常に小さい。ヒートポンプ給湯機は、元々、水の流速が小さいことがネックであるため、このタイプの熱交換器を更に高性能化するためには、水管の熱伝達率(水側熱伝達率)の向上が不可欠である。
従って、本発明の目的は、水管内に冷媒管を配置した熱交換器の性能を向上させる熱交換器用伝熱管、及び熱交換器を提供することにある。
[1]本発明は、熱交換器を構成する水管と、前記水管内に配置され、冷媒が流れる冷媒管と、前記水管の外面に螺旋状にコルゲート加工されたコルゲート凹部と、前記コルゲート凹部内に2条の螺旋状にコルゲート加工されたコルゲート溝とを有してなり、前記コルゲート凹部のピッチをPcとし、前記2条のコルゲート溝間の幅をWcとすると、2mm≦Wc<Pc/2の関係を有してなることを特徴とする熱交換用伝熱管にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記冷媒管の外接円の外径をdcとし、前記水管の最小内径をIDとし、前記冷媒管の外接円の外径dc、及び前記水管の最小内径IDの差をDdとし、前記コルゲート溝の深さをHcとすると、0.25≦Hc/Dd≦0.63の関係を有してなることを特徴とする。
[3]上記[1]又は[2]記載の発明にあって、前記2条のコルゲート溝の間は、突条に形成されてなることを特徴とする。
[4]上記[1]記載の発明にあって、前記水管は、前記2条のコルゲート溝に対応する凹凸条形成部を有する一つの加工ロールにより、2条にコルゲート加工されていることを特徴とする。
[5]上記[4]記載の発明にあって、前記加工ロールは、前記凹凸条形成部を形成するコルゲート加工ロールと、前記コルゲート加工ロールを支持するバックアップロールとにより構成されてなることを特徴とする。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記冷媒管の外接円の外径をdcとし、前記水管の最小内径をIDとし、前記冷媒管の外接円の外径dc、及び前記水管の最小内径IDの差をDdとし、前記コルゲート溝の深さをHcとすると、0.25≦Hc/Dd≦0.63の関係を有してなることを特徴とする。
[3]上記[1]又は[2]記載の発明にあって、前記2条のコルゲート溝の間は、突条に形成されてなることを特徴とする。
[4]上記[1]記載の発明にあって、前記水管は、前記2条のコルゲート溝に対応する凹凸条形成部を有する一つの加工ロールにより、2条にコルゲート加工されていることを特徴とする。
[5]上記[4]記載の発明にあって、前記加工ロールは、前記凹凸条形成部を形成するコルゲート加工ロールと、前記コルゲート加工ロールを支持するバックアップロールとにより構成されてなることを特徴とする。
[6]本発明は更に、上記[1]記載の伝熱管を備えたことを特徴とする熱交換器を提供する。
本発明によれば、水管内に冷媒管を配置した熱交換器の性能を効果的に向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
(熱交換器の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、内管10と外管20とにより主に構成された二重管式の熱交換器の一例を示している。図示例による熱交換器1は、ヒートポンプ給湯機の水−冷媒熱交換器用の伝熱管として好適に使用されるものであり、外管20の内周面に形成された波形の凹凸面(コルゲート面)の攪拌効果により熱交換器の伝熱性能を向上させている。
図1において、全体を示す符号1は、内管10と外管20とにより主に構成された二重管式の熱交換器の一例を示している。図示例による熱交換器1は、ヒートポンプ給湯機の水−冷媒熱交換器用の伝熱管として好適に使用されるものであり、外管20の内周面に形成された波形の凹凸面(コルゲート面)の攪拌効果により熱交換器の伝熱性能を向上させている。
ヒートポンプ給湯機は、圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、及び外気を熱源とする室外熱交換器を備えた冷凍サイクルと、給湯用熱交換器、給水ポンプ、及び給湯タンクを備えた給湯サイクルとから主に構成される。熱交換器1の内管10内には、冷凍サイクルの圧縮機側からの高温・高圧のフロンや二酸化炭素などの冷媒が流れ、内管10と外管20の内周面との間に形成される環状路には、給湯サイクルの給水ポンプ側からの水が流れる。熱交換器1では、冷媒と水とが互いに逆方向に向流して流れて熱交換され、高温となった水(湯)が給湯タンクに送られる。
図2及び図3を参照すると、図2には外管20(以下、「コルゲート管20」という。)に内包される内管10が、図3にはコルゲート管20がそれぞれ例示されている。この内管10は、2本の冷媒管を互いに密接しながら絡み合うように螺旋状にねじって構成されている(以下、「ねじり管10」という。)。ここで、コルゲート管20とは、その内外面に波形のスパイラル構造を有する水管をいう。
(ねじり管の構成)
このねじり管10は、図1及び図2に示すように、冷媒が流れる冷媒管11と、冷媒管11の外周を覆う漏洩検知管12とからなる二重管構造である。漏洩検知管12の肉厚は、内部を流れる冷媒の圧力に対する耐圧が冷媒管11の耐圧以上となるように、冷媒管11の肉厚より大きく形成されている。漏洩検知管12の内周面には、長さ方向に沿って複数の漏洩検知溝13が形成されている。
このねじり管10は、図1及び図2に示すように、冷媒が流れる冷媒管11と、冷媒管11の外周を覆う漏洩検知管12とからなる二重管構造である。漏洩検知管12の肉厚は、内部を流れる冷媒の圧力に対する耐圧が冷媒管11の耐圧以上となるように、冷媒管11の肉厚より大きく形成されている。漏洩検知管12の内周面には、長さ方向に沿って複数の漏洩検知溝13が形成されている。
なお、漏洩検知管12の内周面には、複数の漏洩検知溝13が形成されたねじり管として例示したが、図示例に限定されるものではなく、例えば飲料用に使われない場合などは、漏洩検知溝を有しない冷媒管として使用することができる。
(コルゲート管の構成)
このコルゲート管20は、図1及び図3に示すように、コルゲート加工により管軸線Ta方向に一定の間隔をもって螺旋状のコルゲート凹部21が形成されている。このコルゲート管20のねじれ方向は、ねじり管10のねじり方向の逆向きとなっている。
このコルゲート管20は、図1及び図3に示すように、コルゲート加工により管軸線Ta方向に一定の間隔をもって螺旋状のコルゲート凹部21が形成されている。このコルゲート管20のねじれ方向は、ねじり管10のねじり方向の逆向きとなっている。
このコルゲート凹部21の両側端縁には、図1及び図3に示すように、管軸線Ta方向に一定の間隔をもって螺旋状をなす2条のコルゲート溝22,22が形成されている。この2条のコルゲート溝22の間には、コルゲート外面に向けて突出する凸条のコルゲート突起23が形成されている。このコルゲート突起23の外径は、コルゲート管20の最大外径ODよりも小径に設定されている。深さの異なるコルゲート溝22、及びコルゲート突起23を有する凹凸条部が管軸線Ta方向に沿って螺旋状に連続して形成されることで、コルゲート管20の内周面に形成されたコルゲート面の前縁効果を向上させている。
図3において、隣り合うコルゲート凹部21の間隔(コルゲートピッチ)をPc、2条のコルゲート溝22の最深部と最深部との間の幅をWcと定義すると、Wcは2mm以上(Pc/2)未満(2mm≦Wc<Pc/2)の範囲を満たすことが肝要である。2条のコルゲート溝22の最深部間の幅Wcは、ある程度の間隔を必要とするが、Wc=Pc/2の寸法関係になると、2条のコルゲート溝22が互いに重なり合って1条に製造されやすくなるので、コルゲート管20のコルゲート面を水が乗り越える際の水の攪拌効果と伝熱性能の向上とを図ることができなくなり、好ましくない。
ここで、図1〜図3において、コルゲート管20の最大外径をODとし、コルゲート管20の端末平滑部分の肉厚をTWとし、コルゲート溝22の深さをHcとし、コルゲート管20の最小内径をIDとし、ねじり管10の外接円14の直径をdcとし、コルゲート管20の最小内径IDとねじり管10の外接円14の直径dcとの差をDdとして定義する。なお、ねじり管10が一本の場合は、ねじり管10の外接円14の直径dcは漏洩検知管12の外径doとなる。
このねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Dd、及びコルゲート溝22の深さHcの関係は、0.25≦(Hc/Dd)≦0.63の範囲を有することが肝要である。このコルゲート管20の最小内径IDとねじり管10の外接円14の直径dcとの差Dd、コルゲート溝22の深さHc、及びコルゲート管20の端末平滑部分の肉厚TWが決まると、コルゲート管20の最大外径ODは、OD=Dd+2×(Hc+TW)の関係を満たす。
一定間隔の2条のコルゲート溝22を有するコルゲート管20であれば、コルゲート管20の最大外径ODに応じて、コルゲート溝22の深さHcを上記範囲に規定することで、コルゲート管20の外径ODを大きくし過ぎることなく、小型軽量であり、高性能な熱交換器1を得ることができる。ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Ddが、平滑管の外径と同じ寸法であれば、コルゲート管20に対するねじり管10の挿入性を犠牲にすることなく、熱交換器1の伝熱性能を向上させることが可能となる。それに加えて、流路は大きくなるため、高温部でのスケール析出による詰まりを防止することもできる。
コルゲート管20のコルゲート溝22と管軸線Taとのなす角をコルゲートねじれ角βcと定義すれば、コルゲートねじれ角βcを70°以上の高いねじれ形状とすることが望ましい。このコルゲートねじれ角βcの値を70°以上に規定することで、コルゲート管20の内周面に形成されたコルゲート面により、水が乗り越える際の乱流化を促進することができるようになる。その結果、ヒートポンプ給湯機の水−冷媒熱交換器において、水の流速が非常に小さくなって層流となるため、熱交換器1の伝熱性能の向上が図れる。
コルゲートねじれ角βcは、次式(1)で決定する。
ここで、コルゲートピッチPcと、2条のコルゲート溝22の最深部間の幅Wcとは、上述したように、2mm≦Wc<Pc/2の関係を有しており、コルゲートピッチPcは少なくとも4mmより大きい寸法に規定することから、コルゲートねじれ角βcは、次式(2)の範囲に設定される。
コルゲート管20の端末平滑部分の肉厚TWは、特に限定されるものではないが、例えば0.4mm≦TW≦1.2mmの範囲を満たすことが好適である。コルゲート管20の材質としては、熱伝導率や機械的強度を勘案して、銅、銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金などが好ましく用いられる。
なお、3条のコルゲート管の場合は、コルゲート管の攪拌効果を狙うため、コルゲートねじれ角βcが比較的大きくなるので、1条目と3条目がラップする可能性があると、3条以上のコルゲート溝の形成は困難となる。
(コルゲート管の製造方法)
コルゲート管20を製造するのには、一般的なコルゲート管の転造加工を用いることができる。その転造加工に用いられる治具の一例としては、図4に示すように、コルゲート面加工する円盤筒状をなす一つのコルゲート加工ロール31と、そのコルゲート加工ロール31の両側を挟持して支持する円筒状をなす一対の雄雌型のバックアップロール32,33とからなる加工ロール30が用いられる。このコルゲート加工ロール31、及びバックアップロール32,33のそれぞれには、支持孔31b,32c,33aが同一軸線上に形成されている。
コルゲート管20を製造するのには、一般的なコルゲート管の転造加工を用いることができる。その転造加工に用いられる治具の一例としては、図4に示すように、コルゲート面加工する円盤筒状をなす一つのコルゲート加工ロール31と、そのコルゲート加工ロール31の両側を挟持して支持する円筒状をなす一対の雄雌型のバックアップロール32,33とからなる加工ロール30が用いられる。このコルゲート加工ロール31、及びバックアップロール32,33のそれぞれには、支持孔31b,32c,33aが同一軸線上に形成されている。
このコルゲート加工ロール31は、図4に示すように、一定の間隔をもって螺旋状に形成される2条のコルゲート溝22と、この2条のコルゲート溝22の最深部と最深部との間に形成される凸条のコルゲート突起23とに対応する凹凸条形成部31aを有している。雄型のバックアップロール32は、大径部32aと小径部32bとが段差部を介して一体的に連結された段部形状を有している。
この加工ロール30は、図4に示すように、コルゲート加工ロール31の支持孔31b、及び雌型のバックアップロール33の支持孔33aの内周面に対して雄型のバックアップロール32の小径部32bを嵌め込み支持固定することで、一対のバックアップロール32,33の間にコルゲート加工ロール31を位置決め支持している。
この加工ロールの他の一例としては、図5に示すように、コルゲート加工ロール31、及びバックアップロール32,33を一体成形した加工ロール30を用いることができる。なお、図5において、図4に示す加工ロールと実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
このコルゲート管20の製造方法としては、加工ロール30を管軸線Taに対して傾斜した状態で素管の外面に連続的に押し付けながら、回転させるとともに、素管の外面内で公転させ、素管を所定の速度で引き抜く。これにより、コルゲート管20の内周面に一定間隔の2条の螺旋状のコルゲート面を形成することができる。加工ロール30の形状、回転速度、素管の引き抜き速度などを変化させることで、各種の加工パターンに形成することができることは勿論である。
以上の製法により、コルゲート溝22、及びコルゲート突起23を有し、深さが異なる凹凸条部からなるコルゲート凹部21が、管軸線Ta方向に沿って螺旋状に連続して形成されることとなり、コルゲート面を有するコルゲート管20が効果的に得られる。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)コルゲート管20内にねじり管10を配置した内外二重管式の熱交換器1においては、ねじり管10をコルゲート管20に挿入する際の挿入性を平滑管と同等に確保して、熱交換器1の性能を向上させることができる。
(2)平滑管と同様に流路が大きくなるため、スケール析出による詰まりを防止することができる。特に、ヒートポンプ給湯機は水の流速が遅いため、レイノルズ数が小さく、パス構成などでもレイノルズ数が変化する。そこで、この実施の形態に係るコルゲート管20によれば、ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Ddに応じて、コルゲート溝22の深さHcを規定した2条のコルゲート溝22によるコルゲート面の存在により、水が乗り越える際の水の攪拌効果を促進し、熱交換器1の性能の向上を効果的に果たすことができる。
(3)ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Ddに対してコルゲート溝22の深さHcが大きくないので、コルゲート管20の最大外径ODを必要以上に大きく設定する必要がなくなり、コンパクト化や軽量化を図ることができる熱交換器1を得ることができる。
上記実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)コルゲート管20内にねじり管10を配置した内外二重管式の熱交換器1においては、ねじり管10をコルゲート管20に挿入する際の挿入性を平滑管と同等に確保して、熱交換器1の性能を向上させることができる。
(2)平滑管と同様に流路が大きくなるため、スケール析出による詰まりを防止することができる。特に、ヒートポンプ給湯機は水の流速が遅いため、レイノルズ数が小さく、パス構成などでもレイノルズ数が変化する。そこで、この実施の形態に係るコルゲート管20によれば、ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Ddに応じて、コルゲート溝22の深さHcを規定した2条のコルゲート溝22によるコルゲート面の存在により、水が乗り越える際の水の攪拌効果を促進し、熱交換器1の性能の向上を効果的に果たすことができる。
(3)ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Ddに対してコルゲート溝22の深さHcが大きくないので、コルゲート管20の最大外径ODを必要以上に大きく設定する必要がなくなり、コンパクト化や軽量化を図ることができる熱交換器1を得ることができる。
以下に、表1、図6、及び図7を参照しながら、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例1〜3及び比較例1〜5を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例では、上記実施の形態の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
下記の表1は、図1に示す熱交換器1において検討した伝熱管の仕様を示している。表1において、ODはコルゲート管の最大外径、TWはコルゲート管の端末平滑部分の肉厚、Hcはコルゲート溝の深さ、IDはコルゲート管の最小内径、Pcはコルゲートピッチ、βcはコルゲートねじれ角、Nはコルゲート溝の条数、Wcはコルゲート溝の最深部間の幅、doは冷媒管(漏洩検知管)の外径、dcはねじり管の外接円の直径、Ddはコルゲート管の最小内径IDとねじり管の外接円の直径dcとの差である。
表1から明らかなように、最大外径ODが比較例1の平滑管よりも大きい実施例1及び2のコルゲート管、並びに最大外径ODが実施例1及び2よりも大きい実施例3のコルゲート管では、比較例1の平滑管に対する最大外径比、及び単重比の増加率は、10%未満に抑えられている。
熱交換器の水側熱伝達率を求めた方法を以下に示す。
表1の熱交換器の内管内には30℃の温水を流し、外管と内管との間に形成された環状路には20℃の冷水を流して熱交換させた。内管と環状路の流量、出入口温度を測定し、熱交換量Q及び熱通過率Kを求めた。内管内の熱伝達率は、出入口温度の平均値を代表温度とし、プラントル数Pr=μCp/λ(μ:粘性係数、Cp:比熱、λ:熱伝導率)とレイノルズ数Re=ρvdi/μ(ρ:密度、v:流速、di:内管の内径)を求め、Dittus−Boelterの式(Nu=0.023×Re0.8×Pr0.4)と代表温度での熱伝導率λから管内の熱伝達率αi−Nuλ/diを求めた。これより、管外の熱伝達率αo=1/(1/K−1/αi)として求められる。
実施例2と比較例1〜3との熱伝達性能を比較した一例が、図6に示されている。図6に示す熱伝達性能は、比較例1における平滑管の熱伝達性能を100%としたときのレイノルズ数に対する実施例2と比較例2及び3におけるコルゲート管の熱伝達性能を性能比率(%)としてプロットした。
実施例2のコルゲート管と比較例2のコルゲート管とは、コルゲート溝の条数Nを除く他の仕様と同一であるが、図6から明らかなように、レイノルズ数の増加に伴い、実施例2のコルゲート管は、比較例2のコルゲート管よりも、熱伝達比率(水側熱伝達率)が平均的に10%以上増加していることが分かる。特に、貯湯式のヒートポンプ給湯機で熱伝達性能の向上が難しい低レイノルズ数500のときは、比較例1の平滑管に対して熱伝達比率が20%以上増加しており、比較例1の平滑管よりも伝熱性能を上回っている。
実施例2、及び比較例2は、コルゲートねじれ角βcが同じであるため、攪拌効果は変わるところはないが、実施例2では、比較例2に比べて、局所的な流速変動の機会が多くなり、コルゲート管の内周面に形成された凹凸条のコルゲート面の前縁効果が作用し、伝熱面であるねじり管の外周面に形成される粘性底層が厚くなるのを妨げている。
一方、実施例2と比較例3とは、コルゲート溝の最深部間の幅Wc以外の仕様と同じであるが、図6から明らかなように、比較例3では、比較例2よりも、やや熱伝達性能が向上するものの、実施例2と比べると、伝熱効果は得られない。
比較例3は、幅1mmの2枚のディスクを加工ロールとして用い、2条のコルゲート溝を有するコルゲート管を形成したものである。比較例3では、2条のコルゲート溝の最深部と最深部の間が短く、凸条にならなかった。一方、実施例2のコルゲート管では、2条のコルゲート溝の最深部と最深部との間は凸条に形成されており、深さの異なる凹凸条が管軸線Ta方向に沿って螺旋状に連続することになり、コルゲート管の内周面に形成された凹凸条のコルゲート面の前縁効果を更に高めることができた。
レイノルズ数1000のときの実施例1〜3、比較例4及び5と、比較例1の伝熱性能、及び圧力損失を比較した。その結果を図7にまとめて示す。図7に示す伝熱性能、及び圧力損失は、比較例1の平滑管の性能比率を100%とし、ねじり管10の外接円14の外径dcとコルゲート管20の最小内径IDとの差Dd、及びコルゲート溝22の深さHcの比(Hc/Dd)に対する実施例1〜3、並びに比較例4及び5における伝熱性能と圧力損失とを性能比率(%)としてプロットした。
図7から明らかなように、コルゲート溝の深さHcが大きくなるに伴い、伝熱性能は向上しているが、比較例4のコルゲート管は、比較例1の平滑管より伝熱性能が低下している。比較例5のコルゲート管は、実施例1〜3とは異なり、伝熱性能の向上率より圧力損失の増加率のほうが大きくなる。コルゲート管の最小内径IDを固定すると、コルゲート溝の深さHcを確保するためにコルゲート管の最大外径ODを大きくしなければならず、コンパクトでなくなり、重量も大きくなってしまい、小型軽量化を図ることは困難である。
以上の説明から明らかなように、本発明のコルゲート管は、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機の要素で最大のネックである水冷媒熱交換器の水管側の伝熱性能をレイノルズ数の増加に伴い向上させ、給湯機システム全体の効率を向上させることができる。なお、例えばコルゲート管の外観形状は図示例に限定されるものではないことは勿論である。
1 熱交換器
10 ねじり管
11 冷媒管
12 漏洩検知管
13 漏洩検知溝
14 ねじり管の外接円
20 コルゲート管
21 コルゲート凹部
22 コルゲート溝
23 コルゲート突起
30 加工ロール
31 コルゲート加工ロール
31a 凹凸条形成部
31b,32c,33a 支持孔
32,33 バックアップロール
32a 大径部
32b 小径部
dc ねじり管の外接円直径
Dd コルゲート管最小内径とねじり管外接円直径との差
do 漏洩検知管の外径
Hc コルゲート溝の深さ
ID コルゲート管の最小内径
OD コルゲート管の最大外径
Pc コルゲートピッチ
Ta 管軸線
TW コルゲート管の端末平滑部分の肉厚
Wc コルゲート溝の最深部間の幅
βc コルゲートねじれ角
10 ねじり管
11 冷媒管
12 漏洩検知管
13 漏洩検知溝
14 ねじり管の外接円
20 コルゲート管
21 コルゲート凹部
22 コルゲート溝
23 コルゲート突起
30 加工ロール
31 コルゲート加工ロール
31a 凹凸条形成部
31b,32c,33a 支持孔
32,33 バックアップロール
32a 大径部
32b 小径部
dc ねじり管の外接円直径
Dd コルゲート管最小内径とねじり管外接円直径との差
do 漏洩検知管の外径
Hc コルゲート溝の深さ
ID コルゲート管の最小内径
OD コルゲート管の最大外径
Pc コルゲートピッチ
Ta 管軸線
TW コルゲート管の端末平滑部分の肉厚
Wc コルゲート溝の最深部間の幅
βc コルゲートねじれ角
Claims (6)
- 熱交換器を構成する水管と、
前記水管内に配置され、冷媒が流れる冷媒管と、
前記水管の外面に螺旋状にコルゲート加工されたコルゲート凹部と、
前記コルゲート凹部内に2条の螺旋状にコルゲート加工されたコルゲート溝とを有してなり、
前記コルゲート凹部のピッチをPcとし、前記2条のコルゲート溝間の幅をWcとすると、2mm≦Wc<Pc/2の関係を有してなることを特徴とする熱交換器用伝熱管。 - 前記冷媒管の外接円の外径をdcとし、前記水管の最小内径をIDとし、前記冷媒管の外接円の外径dc、及び前記水管の最小内径IDの差をDdとし、前記コルゲート溝の深さをHcとすると、0.25≦Hc/Dd≦0.63の関係を有してなることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用伝熱管。
- 前記2条のコルゲート溝の間は、突条に形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器用伝熱管。
- 前記水管は、前記2条のコルゲート溝に対応する凹凸条形成部を有する一つの加工ロールにより、2条にコルゲート加工されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用伝熱管。
- 前記加工ロールは、前記凹凸条形成部を形成するコルゲート加工ロールと、前記コルゲート加工ロールを支持するバックアップロールとにより構成されてなることを特徴とする請求項4記載の熱交換器用伝熱管。
- 上記請求項1記載の伝熱管を備えたことを特徴とする熱交換器。
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