JP2012121876A - (メタ)アクリレート化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明は、下記(1)〜(14)を提供する。
1分子中に11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、メルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物と、を反応させる第1反応工程と、
上記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを反応させる第2反応工程と、
上記第2反応工程により得られた化合物と、水酸基を有するパーフルオロ化合物とを反応させて、1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物を得る第3反応工程とを有する(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
また、本発明の製造方法によれば、簡便な合成方法により(メタ)アクリロイルオキシ基の官能基数およびフルオロカーボン部位の導入数を変更することができるため、硬化樹脂に対する機能の付与や性能の向上を図ることが容易となるため、非常に有用である。
本発明の(メタ)アクリレート化合物は、1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物である。
ここで、「フルオロカーボン部位」とは、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている繰り返し単位構造を意味し、直鎖構造および分岐構造のいずれであってもよい。
また、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
ここで、「ポリシロキサン部位」とは、シロキサン結合による繰り返し単位構造を意味し、直鎖構造および分岐構造のいずれであってもよい。
上記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;アリル基;等が挙げられる。
これらのうち、多官能のアクリレート化合物が容易に合成できる理由から、ジペンタエリスリトールテトラアクリレートから水酸基およびアクリロイルオキシ基(5個のR3に相当)を除いた残基であるのが好ましい。
これらのうち、合成における経済的観点理由から、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基であるのが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基であるのがより好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイルなどの炭素数1〜6のアルキレン基;ジメチレンエーテル基(−CH2OCH2−)、ジエチレンエーテル基(−CH2CH2OCH2CH2−)、プロピレンエチレンエーテル基(−CH2CH2CH2OCH2CH2−)など炭素数2〜20のアルキレンエーテル基;等が挙げられる。
これらのうち、合成等の際に使用する溶媒に対する溶解性が高い理由から、アルキレンエーテル基であるのが好ましい。
また、上記式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、下記式(II−1)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:14個)等が挙げられる。
また、上記式(III)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、下記式(III−1)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:14個)等が挙げられる。
また、上記式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、下記式(IV−1)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:14個)等が挙げられる。
更に、上記式(V)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、下記式(V−1)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:28個)等が挙げられる。
第1反応工程は、1分子中に11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、メルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物と、を反応させる工程である。
上記第1反応工程に用いられる1分子中に11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に水酸基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアクリレートとの反応により合成することができる。
上記ポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)などの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂環式ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート体;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、本発明の(メタ)アクリレート化合物を含有する硬化物の硬度を保持する理由から、イソシアヌレート体であるのが好ましく、着色を抑制する観点から脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体および脂環式ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であるのがより好ましく、強度の観点から脂環式ポリイソシアネート、特に、IPDIのイソシアヌレート体であるのが更に好ましい。
上記(メタ)アクリレートは、1分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するアクリレートである。
ここで、上記アクリレートは、反応後の(メタ)アクリレート化合物(第1反応工程における出発物質)が11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有しているため、上記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の数にもよるが、その具体例としては、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
上記第1反応工程に用いられるメルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物は、上述した1分子中に11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイルオキシ基と反応して水酸基を導入する化合物である。
メルカプト基と水酸基とを有する化合物としては、具体的には、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタノール、6−メルカプトヘキサノール、7−メルカプトヘプタノール、8−メルカプトオクタノール、5−メルカプト−3−チアペンタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、具体的には、例えば、アミノエタノ−ル、1−アミノプロパノ−ル、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物としては、例えば、ホスフィン酸類が挙げられ、具体的には、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、2−ヒドロキシエチルホスフィン酸、3−ヒドロキシプロピルホスフィン酸、4−ヒドロキシメチルフェニルホスフィン酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、より温和な条件で定量的に反応が進行する理由から、メルカプト基と水酸基とを有する化合物であるのが好ましく、2−メルカプトエタノールであるのがより好ましい。
第2反応工程は、上記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを反応させる工程である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートであるのが好ましい。
第2反応工程で生成される反応生成物としては、具体的には、例えば、下記式(10)〜(13)で表される化合物等が挙げられる。
第3反応工程は、上記第2反応工程により得られた化合物と、水酸基を有するパーフルオロ化合物とを反応させて、本発明の(メタ)アクリレート化合物を得る工程である。
ここで、水酸基を有するパーフルオロ化合物は、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、片末端または両末端に水酸基を有する重合体であり、例えば、下記式(14)で表される重合体が挙げられる。
ここで、上記ポリシロキサンは、主鎖がシロキサン結合で構成され、片末端または両末端に水酸基またはメルカプト基を有する直鎖状または分岐状の重合体であり、例えば、下記式(15)で表される重合体が挙げられる。
また、上記式(15)中、R16としては、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、アリル基等が挙げられる。
なお、上記式(I−2)で表される化合物は、上記式(11)で表される化合物の一方のイソシアネート基を水酸基を有するパーフルオロ化合物と反応させ、他方のイソシアネート基を水酸基を有するポリシロキサンと反応させて得られる化合物である。
また、上記式(I−3)で表される化合物は、上記式(11)で表される化合物の一方のイソシアネート基を水酸基を有するパーフルオロ化合物と反応させ、他方のイソシアネート基をジペンタエリスリトールテトラアクリレートと反応させて得られる化合物である。
第4反応工程は、上記第2反応工程および上記第3反応工程に代えて、上記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物および水酸基を有するパーフルオロ化合物を予め反応させて得られるイソシアネート基を1個有するフルオロカーボンと、を反応させて、本発明の(メタ)アクリレート化合物を得る工程である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第2反応工程と同様、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートであるのが好ましい。
また、上記パーフルオロ化合物は、上記第3反応工程と同様、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、片末端または両末端に水酸基を有する重合体であり、例えば、上記式(14)で表される重合体が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート化合物と上記パーフルオロ化合物との反応は、上記第1反応工程により得られた化合物との反応部位としてのイソシアネート基が1個残存するように、当量比(NCO/OH)を調整して行われる。
なお、上記式(I−2)で表される化合物は、上記第1反応工程により得られた化合物に対して、上記ポリイソシアネート化合物および上記パーフルオロ化合物を予め反応させて得られた化合物と、上記ポリイソシアネート化合物および水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを予め反応させて得られた化合物をそれぞれ反応させて得られる化合物である。
また、上記式(I−3)で表される化合物は、上記第1反応工程により得られた化合物に対して、上記ポリイソシアネート化合物および上記パーフルオロ化合物を予め反応させて得られた化合物と、上記ポリイソシアネート化合物およびジペンタエリスリトールテトラアクリレートを予め反応させて得られた化合物をそれぞれ反応させて得られる化合物である。
第5反応工程は、上記第3反応工程に代えて、上記第2反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物および水酸基を2個以上有するパーフルオロ化合物を予め反応させて得られる水酸基を1個以上有するフルオロカーボンと、を反応させて、本発明の(メタ)アクリレート化合物を得る工程である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第2反応工程と同様、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートであるのが好ましい。
また、上記パーフルオロ化合物は、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、両末端に水酸基を有する重合体であり、例えば、上記式(14)で表される重合体が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート化合物と上記パーフルオロ化合物との反応は、上記第2反応工程により得られた化合物との反応部位としての水酸基が少なくとも1個残存するように、当量比(NCO/OH)を調整して行われる。
また、本発明においては、上記第5反応工程において、上記ポリイソシアネート化合物および上記パーフルオロ化合物とともに水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを予め反応させることができる。
(合成1:メルカプトエタノールの付加反応)
まず、ジペンタエリスリトールアクリレートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体とを反応させて得られる上記式(4)で表される15官能アクリレート30.2gと、トリエチルアミン0.20gと、を酢酸ブチル15mL中で混合した溶液を調製した。
次いで、調製した混合溶液に、メルカプトエタノール1.14gを室温で滴下し、室温で15時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、上記式(6)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),2.8−2.5(m),1.2(m)
まず、合成1で生成した上記式(6)で表される化合物5.36gを酢酸ブチル20mLに溶解させた溶液を調製した。
次いで、調製した溶液にイソホロンジイソシアネート2.02gを添加し、50℃で6時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基とウレタン結合の存在を確認し、上記式(10)で表される化合物の生成を確認した。
合成2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、CF3(OCF2CF2)2OCF2CH2OH 3.19gのメチルエチルケトン(5mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(I−1)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),5.2−5.0(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),3.5−3.4(br),2.8−2.5(m),1.2(m)
(合成4:メルカプトエタノールの付加)
まず、ジペンタエリスリトールアクリレートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体とを反応させて得られる上記式(5)で表される15官能アクリレート30.2gと、トリエチルアミン0.20gと、を酢酸ブチル15mL中で混合した溶液を調製した。
次いで、調製した混合溶液に、メルカプトエタノール2.28gを室温で滴下し、室温で15時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、上記式(7)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),4.5−4.0(m),3.7(br),3.6(br),2.9−2.4(m),1.2(m)
まず、合成4で生成した上記式(7)で表される化合物31.7gを酢酸ブチル15mLに溶解させた溶液を調製した。
次いで、調製した溶液にイソホロンジイソシアネート6.16gを添加し、50℃で6時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシナネート基とウレタン結合の存在を確認し、上記式(11)で表される化合物の生成を確認した。
合成5でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、片末端水酸基変性シリコーン(X−22−170BX、信越化学工業社製)13.3gおよびCF3(OCF2CF2)2OCF2CH2OH 1.98gのメチルエチルケトン(8mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(I−2)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.2(m),5.8(m),5.2−5.0(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),3.5−3.4(br),3.0−2.5(m),1.1(m),0.5(m),0.1(m)
実施例2の合成6を以下の合成7に変更した以外は実施例2と同様の方法により上記式(I−3)で表される化合物を合成した。
(合成7:フルオロカーボン部位および(メタ)アクリロイルオキシ基の導入)
合成5でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、CF3(OCF2CF2)2OCF2CH2OH 11.03gおよびジペンタエリスリトールアクリレート(M−403、東亞合成社製)3.99gのメチルエチルケトン(6mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(I−3)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.3(m),6.1(m),5.9(m),5.3−5.0(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),3.5−3.3(br),2.8−2.4(m),1.1(m)
(合成8:付加体Aの合成)
200mLの茄子フラスコ中に、CF3OCF2CF2OCF2CF2OCF2CH2OH(1.99g,5.00mmol)のメチルエチルケトン(10mL)溶液、イソホロンジイソシアナート(1.10g,4.95mmol)および触媒としてジブチ錫ジラウレートを添加し、50℃で6時間撹拌した。
その後、両末端水酸基変性シリコーン(KF6001、信越化学工業社製)を3.95g添加し、更に、50℃で18時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、下記式(16)で表される付加体A(式中、pは10〜30の整数を表す)の生成を確認した。
合成2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、上記式(16)で表される付加体A(11.63g)のメチルエチルケトン(50mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(III−1)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.2(m),5.8(m),5.3−5.0(m),4.2(br),3.7(br),3.4(br),3.1−2.7(m),1.8−0.8(br),0.5(m),0.1(br)
(合成10:付加体Bの合成)
200mLの茄子フラスコ中に、片末端水酸基変性シリコーン(X−22−170BX、信越化学工業社製)12.84gのメチルエチルケトン(50mL)溶液、イソホロンジイソシアナート(1.16g,5.22mmol)および触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加し、50℃で7時間撹拌した。
その後、HOCH2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CH2OH(2.16g,5.27mmol)を添加し、更に、50℃で18時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、下記式(17)で表される付加体B(式中、pは20〜40の整数を表す)の生成を確認した。
合成2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、上記式(17)で表される付加体B(7.52g)のメチルエチルケトン(40mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(IV−1)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.2(m),5.8(m),5.3−5.0(m),4.2(br),3.6−3.5(br),3.0−2.6(m),1.8−0.8(br),0.5(m),0.1(br)
(合成12:フルオロカーボン重合部位の生成)
200mLの茄子フラスコ中に、HOCH2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CH2OH(4.63g,11.3mmol)のメチルエチルケトン(20mL)溶液、イソホロンジイソシアナート(1.25g,5.62mmol)および触媒としてジブチ錫ジラウレートを添加し、70℃で6時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、下記式(18)で表される化合物の生成を確認した。
合成2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、上記式(18)で表される化合物7.30gのメチルエチルケトン(40mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(V−1)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),5.2−5.0(m),4.2(br),4.1(br),3.8(br),3.5(br),3.0−2.5(m)
イソホロンジイソシアナート2.21gのメチルエチルケトン(20mL)溶液に、ジペンタエリスリトールアクリレート(M−403、東亞合成社製)11.05gとCF3(OCF2CF2)2OCF2CH2OH 3.98gとを加えて、70℃で14時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、下記式(19)で表される化合物の生成を確認した。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.3(m),6.1(m),5.9(m),4.4−4.0(m),3.6(br),3.5−3.3(br),1.1(m)
イソホロンジイソシアナートのイソシアヌレート化合物1.21gのメチルエチルケトン(5mL)溶液に、ジペンタエリスリトールアクリレート(M−403、東亞合成社製)2.01gとCF3(OCF2CF2)2OCF2CH2OH 1.46gとを加えて、70℃で14時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、下記式(20)で表される化合物の生成を確認した。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.3(m),6.2(m),5.8(m),4.5−4.0(m),3.7(br),3.5−3.4(br),1.2(m)
まず、上記式(4)で表される15官能アクリレートに対して上記式(I−1)、(I−2)、(III−1)、(IV−1)および(V−1)で表される化合物を1%添加してコーティング膜を作製し、水との接触角を測定し、上記式(I−1)および(I−2)で表される化合物を添加した各コーティング膜についてはオレイン酸との接触角もそくていした。
同様に、上記式(4)で表される15官能アクリレートのみで作製したコーティング膜および従来製品の耐指紋付着性を示すコーティング膜(VH322−F−2)の各接触角のデータを測定した。
これらの結果を下記第1表に示す。
上記式(I−1)、(I−3)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(19)または(20)で表される化合物と、15官能アクリレートとを下記第2表に示すグラム数で混合し、白濁の有無を目視により確認した。白濁が全くなく透明性が極めて高いものを相溶性に極めて優れるものとして「◎」と評価し、白濁がないものを相溶性に優れるものとして「○」と評価し、白濁があるものを相溶性に劣るものとして「×」と評価した。その結果を下記第2表に示す。
Claims (14)
- 1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物。
- イソシアヌレート環を有する請求項1に記載の(メタ)アクリレート化合物。
- 更に、ポリシロキサン部位を有する請求項1または2に記載の(メタ)アクリレート化合物。
- 下記式(I)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物。
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は水酸基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は12以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。X1は硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。) - 下記式(II)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物。
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は水酸基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は12以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。rは1〜50の整数を表す。X1は硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。) - 下記式(III)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物。
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は水酸基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は12以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。rは1〜50の整数を表す。X1は硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。) - 下記式(IV)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物。
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は水酸基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は12以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。rは1〜50の整数を表す。X1は硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。) - 下記式(V)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物。
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は水酸基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は12以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。rは1〜50の整数を表す。X1は硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。) - 請求項1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物を製造する(メタ)アクリレート化合物の製造方法であって、少なくとも、
1分子中に11個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、メルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物と、を反応させる第1反応工程と、
前記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを反応させる第2反応工程と、
前記第2反応工程により得られた化合物と、水酸基を有するパーフルオロ化合物とを反応させて、1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物を得る第3反応工程とを有する(メタ)アクリレート化合物の製造方法。 - 前記第3反応工程において、前記パーフルオロ化合物とともに水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを前記第2反応工程により得られた化合物と反応させる請求項9に記載の(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
- 前記第2反応工程および前記第3反応工程に代えて、前記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物および水酸基を有するパーフルオロ化合物を予め反応させて得られるイソシアネート基を1個有するフルオロカーボンと、を反応させて、1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物を得る第4反応工程を有する請求項9に記載の(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
- 前記第4反応工程において、前記ポリイソシアネート化合物および前記パーフルオロ化合物とともに水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを予め反応させる請求項11に記載の(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
- 前記第3反応工程に代えて、前記第2反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物および水酸基を2個以上有するパーフルオロ化合物を予め反応させて得られる水酸基を1個以上有するフルオロカーボンと、を反応させて、1分子中にフルオロカーボン部位と10個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物を得る第5反応工程を有する請求項9に記載の(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
- 前記第5反応工程において、前記ポリイソシアネート化合物および前記パーフルオロ化合物とともに水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを予め反応させる請求項13に記載の(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
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