JP2012121872A - 免疫賦活剤 - Google Patents
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Abstract
Description
R1は水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の低級アルキル基若しくは低級アシル基を表し、
Xは-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4、-CO-CH2-、-CO-(CH2)2-、-CO-(CH2)3-、-CH2-CO-CH2-、-CO-O-CH2-、-CO-O-(CH2)2-、-O-CO-CH2-、-O-CO-(CH2)2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-O-(CH2)3-、-NHY-CO-CH2-、-NHYCO-(CH2)2-、-CO-NHY-CH2-又は-CO-NHY-(CH2)2-を表す。
ここで、Yは水素原子又は低級アルキル基を表す。)
(3)R2〜R5が水素原子である、(1)又は(2)に記載の免疫賦活剤。
(4)Xが-CO-O-CH2-である、(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活剤。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する免疫賦活用飲食品。
本発明の第1の実施形態は、免疫賦活剤である。
本発明で「免疫賦活剤」とは、動物生体内における免疫作用を活性化する薬剤をいう。免疫は、マクロファージ、好中球及びNK細胞等を介した非特異的防御である自然免疫系とT細胞及びB細胞を介した特定の対象のみに有効な特異的防御である獲得免疫系に大別できるが、本発明の免疫賦活剤は、自然免疫系及び獲得免疫系のいずれも活性化することができる。
本発明の免疫賦活剤の有効成分である以下の一般式(I)で表される化合物は、ブラシノステロイドである。前述したように、「ブラシノステロイド」(Brassinosteroid:以下、「BR」とする)は、植物生体内で生合成され、植物の成長調節、光形態形成、維管束形成制御、葉緑体機能調節、種子形成等に関与する生理活性物質である。ただし、本発明のBRは、以下の一般式(I)で表される構造を有するものであれば、植物生体内で生合成され、植物から抽出される植物由来のBRに限定されず、化学合成されたものであっても構わない。
本発明において、R2〜R5は、水素原子であることが好ましい。
「薬学的に許容される塩」とは、一般式(I)で示される化合物の塩、すなわちBRの塩であって、BRの特定の置換基(例えば、ヒドロキシル基)に基づいて、塩基又は酸を用いて調製された薬学的に非毒性の活性化合物の塩をいう。使用した塩基又は酸により塩基性付加塩と酸付加塩とに分類できる。
本実施形態の免疫賦活剤は、有効成分であるBRが食品として利用されるトマト等の野菜をはじめとするほとんど全ての植物に含まれることから、人体等に対する安全性が高い。また、後述する実施例で示すように低濃度でも免疫賦活作用を発揮し得る。したがって、本実施形態によれば、微量で副作用のない又は極めて小さい免疫賦活作用を有する免疫賦活剤を提供できる。
本発明の第2の実施形態は、医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、生体内の免疫を賦活化するため医薬であって、免疫作用の増強により疾患の予防及び/又は治療を目的とするものである。本発明の医薬組成物は、前記第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の医薬用組成物は、前記第1の実施形態の免疫賦活剤の有する免疫賦活作用を阻害又は抑制しない範囲で、製薬上許容可能な担体、及び/又は同一の若しくは異なる薬理効果を有する薬剤、例えば、胃腸薬等を含むことができる。
「製薬上許容可能な担体」とは、例えば、製薬上許容される、賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤又は潤滑沢剤をいう。
本発明の医薬組成物は、有効成分である前記第1の実施形態の免疫賦活剤に含まれるBR又はその薬学的に許容される塩を、プロドラッグの形態で包含することもできる。「プロドラッグ」とは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け、その結果として目的の薬理作用を有する活性形態を提供する化合物である。例えば、投与前は、BRとは異なる構造の化合物として医薬組成物中に存在し、投与後、例えば、消化管内で消化酵素の作用によってBR又はその活性型に変換される化合物をいう。或いは、ex vivo環境で化学的又は生化学的方法によってBR又はその活性型に変換される化合物も含み得る。
本発明の医薬組成物に含まれる前記第1の実施形態の免疫賦活剤の含有量は、使用する免疫賦活剤の種類及び/又はその有効量、医薬組成物の剤形(形態、大きさを含む)、並びに添加する担体の種類によって異なり、それぞれの条件において適宜選択される。
本発明の医薬組成物の剤形は、投与方法及び/又は処方条件によって異なる。投与方法は、通常、経口投与又は非経口投与に大別することができる。これについては後述する。
本発明の医薬組成物を製剤化するには、原則として当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Merck Publishing Co.,Easton,Pa.)に記載の方法を用いればよい。
本発明の医薬組成物の投与方法は、当該分野で周知の投与単位形態で投与することができる。投与単位形態には、例えば、経口投与、組織内投与(例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与等)、局所投与(例えば、経皮投与等)又は経直腸的投与等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、これらの投与単位形態のいずれを使用してもよい。ただし、上記のようにBRは低分子であり、腸管吸収性が高いことから、侵襲性が低く、投与が容易な経口投与であることが好ましい。
注射の場合、注入部位は特に限定しない。例えば、静脈内、動脈内、肝臓内、筋肉内、関節内、骨髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、皮内、腹腔内、鼻腔内、腸内、舌下等が挙げられる。好ましくは、静脈内注射、動脈内注射等の血管内への注射である。血流を介して本発明の有効成分である免疫賦活剤を直ちに全身に行き渡らせることが可能であり、また侵襲性が比較的低く、被検体に与える負担が小さいからである。
本発明の第3の実施形態は、免疫賦活用飲食品である。本発明の免疫賦活用飲食品は、摂取した動物の免疫作用を賦活化するための飲食品であって、前記第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として有効量包含することを特徴とする。
本発明の「免疫賦活用飲食品」は、飲食によって免疫作用を賦活化させることを目的とする飲食品である。ここでいう「飲食品」とは、ヒトが摂取する飲料、食物及び/又は健康食品のみならず、家畜(養魚を含む)、競走馬、愛玩動物又は鑑賞動物等に給餌される飼料、餌料又は食餌(ペットフード等)を含む。
本発明の「免疫賦活用飲食品」を、免疫賦活用飲食品組成物として、健康食品、機能性食品又は特定保健用食品のような製剤形態とする場合、前記第2の実施形態の医薬組成物に準じた構成にすることができる。例えば、製薬上許容可能な担体に代えて、食品上許容可能な担体を包含してもよい。ここでいう「食品上許容可能な担体」とは、例えば、日本の食品衛生法で規定された食品添加物等が挙げられる。また、免疫賦活用飲食品中の免疫賦活剤の含有量も第2の実施形態の医薬組成物に準じた含有量でよい。さらに、剤形も第2の実施形態の医薬組成物に準じた剤形、例えば、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤とすることができる。
本発明の「免疫賦活用飲食品」を加工食品とする場合、公知の加工食品に第1の実施形態の免疫賦活剤を有効量添加すればよい。加工食品には、例えば、パン類、麺類、スプレッド類(バター、マーガリン、ジャム、ふりかけ、ドレッシング、マヨネーズ等を含む)、パスタ、味噌、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等が挙げられる。また、飼料、餌料や食餌も同様に公知の飼料、餌料や食餌に第1の実施形態の免疫賦活剤を有効量添加すればよい。
免疫賦活用飲食品の製造は、基本的にはその形態の製造方法に準じて、適当な工程で第1の実施形態の免疫賦活剤を添加することで達成できる。例えば、製剤形態の飲食品は、第2の実施形態の医薬組成物と同様の方法で製造すればよい。投与形態も、経口投与であれば、原則として第2の実施形態の医薬組成物に準じればよい。また、加工食品や各種飲料等もそれらの公知の製造方法に準じて行えばよい。免疫賦活用飲食品の製造にあたっては、各種食品の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂を常法に従って添加することができる。また、通常食されている食品、例えば、米に本発明の剤を配合することもできる。
本発明の飲食品は、第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として含有することから、安全性が高く、経口摂取により、長期間にわたって日常的な継続的に摂取することが可能である。日常的な摂取により個体の免疫系を賦活化することで、感染性疾患をはじめとする様々な疾患の予防及び/又は改善をすることができる。
抗原刺激による脾臓細胞の増殖に与えるBLの影響を検証した。
(材料及び方法)
10g卵白アルブミン(Sigma社)と4mg水酸化アルミニウム(Pierce社)の混合液(0.2mL)をBALB/cマウス(雌、8〜12週齢)に腹腔内投与し、2週間後に脾臓を採取した。脾臓から細胞を単離し、10%ウシ胎仔血清(Cansera International社)及び5×10-5M β-メルカプトエタノール(和光純薬社)、20U/mLペニシリン(明治製菓社)、100μg/mLストレプトマイシン(明治製菓社)を含むRPMI-1640培地中で、5%CO2存在下37℃で培養した。BL(ブラシノ社)を10nMの濃度で添加した細胞及び非添加の細胞を、それぞれ抗原(10g/mL卵白アルブミン)で刺激して3日間培養し、脾臓細胞増殖の指標としてBrdUの取り込みを細胞増殖ELISA BrdU発色キット(Roche社)を用いて測定した。
結果を図1に示す。抗原刺激によって誘導された脾臓細胞の増殖が10nMという微量のBLの添加によって有意に促進された。通常、脾臓細胞は、約50%がB細胞で、また約40%がT細胞で構成される。したがって、BLは、獲得免疫系に寄与するB細胞及びT細胞の増殖を活性化すること、すなわちBLが免疫賦活作用を有することが立証された。
(材料及び方法)
BALB/cマウス(雌、8〜12週齢)に10g卵白アルブミン(Sigma社)と4mg水酸化アルミニウム(Pierce社)の混合液(0.2mL)を腹腔内投与し、0.2mLのPBSに溶解したBL(0、0.2、1、及び5mg/Kg体重)を1日おきに腹腔内投与した。2週間後に血清を分離し、抗原(卵白アルブミン)特異的な免疫グロブリン(IgG)の産生をELISAで測定した。ELISAには、二次抗体としてビオチン化抗マウスIgG抗体(Southern Biotechnology社)、ストレプトアビジン-HRP(Prozyme社)、発色剤としてTMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard & Perry Laboratories社)を用い、吸光度450nmを測定した。
図2に結果を示す。卵白アルブミン及び水酸化アルミニウム刺激によって誘導された抗原特異的抗体産生がBLの添加によって量依存的に有意に促進された。
自然免疫応答に対するBLの影響を検証した。
(材料及び方法)
BALB/cマウス(雌、8〜12週齢)に3%チオグリコレート培地(Difco社)3mLを腹腔内投与し、3日後に腹腔内細胞を採取、10%ウシ胎仔血清(Cansera International社)及び5×10-5M β-メルカプトエタノール(和光純薬社)、20U/mLペニシリン(明治製菓社)、100μg/mLストレプトマイシン(明治製菓社)を含むRPMI-1640培地中で、5%CO2存在下37℃で培養した。1×106/mLの腹腔内細胞を6ウェルプレート(2mL/ウェル)で3時間培養後、非付着細胞を除去し、付着細胞をマクロファージとして実験に供した。マクロファージは、BL 10nMの存在下又は非存在下で15分間培養した後、100ng/mLのR848(Invivogen社)又はLPS(Sigma社)で刺激し、1時間後にRneasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いてRNAを採取した。単離したRNA1gからPrimescript RT reagent kit(Takara社)を用いて、添付のプロトコルに従ってcDNAを合成し、Thermal Cycler Dice Real Time System II(Takara社)を用いてリアルタイムPCRを行い、サイトカイン(IFN-α、IFN-β、IL-12サブユニットp35、IL-12サブユニットp40、TNF-α)のmRNA発現の変化を検討した。リアルタイムPCRに用いたサイトカインの特異的プライマーは、表1に示す通りである。
結果を図3〜7に示す。図3はIFN-αの、図4はIFN-βの、図5はIL-12のサブユニットp35の、図6はIL-12のサブユニットp40の、そして図7はTNF-αのmRNA量を示す。なお、各図におけるmRNA量は、ハウスキーピング遺伝子であるHPRTのmRNA量との相対量で示している。
Claims (7)
- 以下の一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する免疫賦活剤。
R1は水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、
R2〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の低級アルキル基若しくは低級アシル基を表し、
Xは-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CO-CH2-、-CO-(CH2)2-、-CO-(CH2)3-、-CH2-CO-CH2-、-CO-O-CH2-、-CO-O-(CH2)2-、-O-CO-CH2-、-O-CO-(CH2)2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-O-(CH2)3-、-NHY-CO-CH2-、-NHYCO-(CH2)2-、-CO-NHY-CH2-又は-CO-NHY-(CH2)2-を表す。
ここで、Yは水素原子又は低級アルキル基を表す。) - R1が1,2-ジメチルプロピル基である、請求項1に記載の免疫賦活剤。
- R2〜R5が水素原子である、請求項1又は2に記載の免疫賦活剤。
- Xが-CO-O-CH2-である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫賦活剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する免疫賦活用飲食品。
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