JP2012117775A - 冷凍・冷蔵機器の負荷側装置 - Google Patents

冷凍・冷蔵機器の負荷側装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
冷凍・冷蔵用システムの負荷側装置(利用側)に相当するユニットクーラなど室内機の運転時に、冷却器のフィン表面に霜が付着しても冷却能力得られるようにファンモータのトルクを大きくした場合、フィンの空気通過抵抗が低くなったときの風速が大きくなり、除霜運転時に融解した水滴の露飛びが発生してしまう。
【解決手段】
冷却器の除霜運転時に、フィン表面温度又はファンの回転数がフィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値になったときにファンモータのトルクを低下させ、更に上記フィン表面の霜がすべて融解したときにファンモータのトルクを低下させる前の値に戻すようにして、トルクの大きいファンモータを使用しても除霜運転時に露飛びが発生せず、かつファン風量を低下させても除霜運転性能が低下しないようにした。
【選択図】 図6

Description

この発明は冷却・熱源機器類を構成して成る冷凍・冷蔵システムにおいて、対象物を冷却するための冷却機器となる負荷側装置に関するものであり、冷却運転時に上記冷却機能を賄う熱交換器(以下、冷却器と称する)のフィン表面に付着した霜を除去するための除霜運転を実施する際のファンの制御に関する。
従来の冷凍・冷蔵用システムの負荷側装置(利用側)に相当するユニットクーラなどの除霜方式には、冷凍・冷蔵倉庫内の温度が氷点である0℃以下などの、低い場合にはヒータや熱源側装置の圧縮機から吐出された過熱ガスによって直接又は間接的に霜を過熱して融解する方式が知られており、広く採用されているが、冷蔵庫内の温度が例えば5℃など、氷点である0℃よりも高い場合には、冷凍サイクル内の冷媒の流れを止めたうえで負荷側装置内の冷却器のファンを運転させ、冷蔵庫内の(氷点以上の温度の)空気を強制的に霜へ当てることによって霜を融解する除霜方式(以降、本方式をオフサイクルデフロストと称する)が採用されるのが一般的である。
このオフサイクルデフロスト方式によって、冷却器のフィン表面に霜が融解して凝結した結露水や霜がそのまま付着した状態で冷却器のファンを運転すると、付着した結露水や霜が水滴となって飛散し、負荷装置内部から機外へ飛散する(以降、露飛びと称する)可能性があり、露飛びが発生すると、冷蔵庫内の保管物や床に水滴が付着するため、保管物の品質が損なわれたり、冷蔵庫内の荷作業に支障が出たりするなどの不具合が生じる。
そこで、露飛びを発生させないための方法として、熱源側装置の圧縮機周波数や、冷媒流量を変化させるための冷媒流量制御装置、等を調整することにより冷却器フィンの表面温度が空気の露点温度以下とならないように制御する方法(特許文献1)や、フィンの表面に結露や霜付きが生じても水滴が飛ばないような小さい風量で運転する方法などが提案されてきている。
特開2005−147623号公報
冷凍・冷蔵用システムの負荷側装置(利用側)に相当するユニットクーラなど室内機の運転時には、冷却器の熱交換部分であるフィンの表面温度は、これと熱交換するユニットクーラ流入空気の露点温度以下となるため、冷却器表面には空気中の水蒸気成分が凝結して水滴が付着し、かつフィン温度が氷点下であるため凝固して霜に変化する。冷却器フィンに霜が付着すると熱交換効率が低下し、また空気の流路抵抗が増して風量が低下してユニットクーラの冷却能力が低下するため、装置はこの霜を除去して冷却性能を維持するために定期的な除霜運転を実施する。
ここで、冷蔵庫内の温度が0℃以上の場合においては、上述のオフサイクルデフロストが一般的であるが、このオフサイクルデフロスト時に、冷却器ファンの風量が大きすぎる場合は、フィン部分を通過する空気の風速が大きいために、除霜中に溶けた霜が水滴となってユニット外へ飛び出す露飛びがしばしば発生する。
このため、除霜運転の際に露飛びが発生しないファン風量となるように送風機の選定を行うことが一般的である。
これに対し、冷却器のフィン表面に霜が付着しても冷却能力が低下してしまうことを防止するために、ファンモータのトルクを高くして、霜が付着した際にもファンの回転数を維持して必要な熱交換風量を確保することが出来るように、ファンモータのトルクを高めにしたり、大きなトルクが得られる三相電源モータを採用したりする対策が為されているが、着霜時に必要性能が得られるような風量が得られる高いトルクに設定しているために、フィンの空気通過抵抗が低くなったときの風速が大きくなってしまい、除霜運転時に融解した水滴の露飛びが発生してしまう可能性があった。
また、上述の特許文献1に記載されている方法は、空調機のように室内温度が20℃前後と比較的高い場合に、冷媒の蒸発温度が、例えば0℃以上など、空気の露点温度よりも高くなるように、圧縮機の周波数や冷媒回路の流量制御装置等を制御することによって冷却器フィン表面への結露や霜付きを防止する方法であって、冷蔵倉庫等のように庫内温度が例えば5℃程度に制御される冷凍・冷蔵システムにおいては、この方法のように冷媒の蒸発温度を0℃以上となるような制御を行うことは難しく、これを実現するためには冷却器の伝熱面積を非常に大きくする必要があり、ユニットクーラの外形寸法を対応する冷蔵庫に対して非常に大きく設計する必要があるため、実際の製品設計における本方法の採用は困難である。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、除霜運転時に冷却器から露飛びの発生しないユニットクーラを得るものであり、特に、大きなトルクのモータを採用して冷却運転時の着霜に対する冷却能力の維持を図った場合においても、除霜運転時に露飛びが発生しないようなユニットクーラを得るものである。
この発明に係る冷凍・冷蔵用システムの負荷側装置は、熱交換器と、ファンと、上記ファンを駆動するファンモータと、上記熱交換器下部のフィン面に設けた温度センサと、上記ファンの回転数検出装置と、上記温度センサ及び回転数検出装置の値によって上記ファン及びファンモータを制御する制御手段と、を備え、上記熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転時に、上記温度センサ値又は上記ファンの回転数が、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値になったときに、上記ファンモータのトルクを低下させ、更に上記フィン表面の霜がすべて融解したときに、上記ファンモータのトルクを低下させる前の値に戻すものである。
この発明における冷凍・冷蔵用システムの負荷側装置は、除霜運転時に上記温度センサ値又は上記ファンの回転数が、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値になったときに、上記ファンモータのトルクを低下させ、更に上記フィン表面の霜がすべて融解したときに、上記ファンモータのトルクを初期の値に上昇させる等のように構成したので、トルクの大きいファンモータを使用しても除霜運転時にフィンからの露飛びが発生しないという効果が得られる。
また、冷却器フィンの表面温度によってファン風量を低下させるタイミングを制御するため、ファン風量を低下させても除霜運転性能が低下しない。
この発明の実施の形態1におけるユニットクーラの構造を示す模式図である。 この発明の実施の形態1における冷凍・冷蔵用システムの冷媒回路図である。 この発明の実施の形態1における着霜量と冷却能力の関係を示す図である。 この発明の実施の形態1における除霜運転時の冷却器フィン表面の温度変化を示す図である。 この発明の実施の形態1における除霜運転時の霜の融解形態を示す図である。 この発明の実施の形態1における除霜運転制御方法を示すフロー図である。 この発明の実施の形態1における除霜運転制御による静圧及び冷却器フィン温度の各パラメータの変化を示す図である。 この発明の実施の形態2における霜付き着霜量とファン回転数との関係を示す図である。 この発明の実施の形態2における除霜運転制御によるファン回転数の各パラメータの変化を示す図である。 この発明の実施の形態3における除霜時の風の流れ方向と霜の融解形態を示す図である。
実施の形態1.
図1はこの発明に係るユニットクーラの構造を示す模式図である。図において、ユニットクーラ1の内部には、冷蔵室などの被冷却空気を冷凍サイクルの冷媒と熱交換させるための熱交換器である冷却器2、ユニットクーラ内に空気を吸込み、上記冷却器2を経てユニットクーラ1から排出させるためのファン3、ファンを回転させるための動力を供給するファンモータ4が収納されている。冷却器2下部の上記熱交換器下部のフィン表面、又は上記フィン表面の温度に近い温度が得られる近傍には、温度センサ5と、ファン3の回転数を検出する回転数検出装置6が設置されており、温度センサ5で検知した温度信号や、回転数検知装置6からの回転数信号は、制御手段7に取込まれて演算され、ファンモータ4の出力値を変化させるための制御値に変換された後、ファンモータ4又はこれを動作させるためのインバータ装置などの制御機器(図示せず)に伝達される。
また、冷却運転中には冷却器2の空気吸込面(上流側)から空気吹出面(下流側)のフィン表面に霜2aが付着することを示している。
図2は冷凍・冷蔵用システムの冷媒回路図であり、システムの負荷側装置として使用されるユニットクーラ1と、冷凍サイクルを駆動するための冷媒を循環させ、ユニットクーラ1の負荷側で奪った熱を冷蔵室の外側に排出させるための熱源側装置8は冷媒配管で接続され、冷媒配管は液管9及びガス管10で構成される。
熱源側装置8は、圧縮機11、凝縮器12、レシーバ13、アキュムレータ14を備える。また、ユニットクーラ1には、液電磁弁15、温度式膨張弁16などの冷媒回路部品が配置されている。
次に図2を用いて、冷却運転時の動作について説明する。
圧縮機11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は凝縮器12に流入し、外気に放熱して自らは凝縮する。凝縮した高圧液冷媒はレシーバ13に貯留されたのち熱源側装置8を出て、液管9を通り負荷側装置であるユニットクーラ1に流れる。ユニットクーラ1では、冷却運転中は開放されている液電磁弁15を通過し、温度式膨張弁16により減圧されて低圧二相冷媒となる。この低圧二相冷媒は冷却器2により冷却対象の空気から吸熱して蒸発し、低圧ガス状態となってユニットクーラ1から流出し、ガス管10を通って再び熱源側装置8に戻り、アキュムレータ14を通って圧縮機11に吸入される。この動作により、利用側負荷から吸熱し、外気に放熱する冷凍サイクルを形成している。
また、図1において、ユニットクーラ1内のファンモータ4によってファン3を回転駆動させることにより、ユニットクーラ1の背面側(図1の右側方向)から負荷側の被冷却空気を吸込み、冷却器2で冷却器内部の伝熱管を流れる冷媒と熱交換させてユニットクーラ1の正面側(図1の左側方向)から吹出して、冷蔵庫内の温度を低温に維持している。
この冷却運転において、冷却器2の内側を通過する冷媒の蒸発温度は冷蔵庫内の温度よりも10度〜15度程度低い。例えば、冷蔵庫内の温度が0℃である場合の冷媒の蒸発温度は−15℃〜−10℃、また冷蔵庫内の温度が10℃である場合は蒸発温度が−5℃〜0℃である。
このとき、冷却器2のフィン表面やフィン近傍の冷却器構成部品の温度も上記蒸発温度と同程度の温度まで低下し、被冷却対象の吸込空気の露点温度よりも低下するために、冷却器2のフィン表面には吸込み空気に含まれていた水蒸気成分が凝結して水滴が付着し、かつフィン温度が氷点下であるため凝固して霜に変化する。
この冷却器のフィン表面の着霜量は、図3のグラフに示す通り、冷却運転時間経過に従って増加するが、フィン表面への着霜量が増加すると熱交換効率が低下し、また空気の流路抵抗が増して風量が低下してユニットクーラの冷却能力が低下するため、前述の通り、装置はこの霜を除去して冷却性能を維持するために定期的な除霜運転を実施する。除霜運転は例えば冷却運転開始から4時間経過ごとに実施される。
次に除霜運転の動作について説明する。除霜運転は、冷蔵庫内の温度が氷点である0℃以下などの冷凍温度領域で使用される場合には、冷却器2の着霜が生じるフィン付近に取り付けられたヒータ(ここでは図示しない)によって霜を直接又は間接的に加熱して除霜を行うが、これに対し、例えば冷凍・冷蔵装置を冷蔵温度領域で使用される場合のように冷蔵庫内温度が0℃を超えるような比較的高温であるときには、冷蔵庫内の空気温度が霜の融点である0℃よりも高いため、上記ヒータを使用せずに液電磁弁15を閉じ圧縮機11を停止させて冷媒の流れを停止させた状態で、ファン4のみをファンモータ3により回転駆動させて空気を循環し、循環空気から熱を奪うことで除霜するような運転を実施する。以降、このような除霜運転をオフサイクルデフロストと称する。
このオフサイクルデフロストにより除霜を行う際、ファン風量が大きい場合は、霜が溶けてフィン表面に付着或いは霜がフィン間で凝結した水滴が、通過空気によって剥離し、ユニットクーラ1の外側へ飛散する露飛びの問題が発生するため、露飛びが発生しないようなフィン間風速になるような空気流量まで低下させる必要がある。一方、ファン風量が低い場合には、空気から霜への伝熱量を低下させるため、除霜運転能力が低下し、除霜運転時間が増大し、通常の冷却運転への復帰が遅れるため、その結果冷却能力が不足して、冷蔵庫内の温度が上昇してしまう。冷却能力を確保しようとしてファン風量を増加させているために、除霜運転時に露飛びが発生してしまうのである。
図3は冷却器2の着霜量と冷却能力の関係を示す。
冷却運転時にフィン表面に着霜すると、図3に示すように着霜量が増大するのに伴って、冷却能力は徐々に低下する。そこで、着霜量が増大しても冷却能力を維持するために、例えば通常、ファンモータ4のトルクを高くして、霜が付着した際にもファンの回転数を維持して必要な熱交換風量を確保することが出来るように、ファンモータのトルクを高めに設計したり、大きなトルクが得られる三相電源仕様のモータを採用したりすることによって、着霜時にもファン3の回転数を維持することにより冷却能力の低下を防止する。しかし、除霜運転時にも高いトルク性能が維持されてしまって、除霜が進み冷却器2の通風抵抗が低下するのに伴ってファン3の回転数が上昇するため、前述の露飛びの問題が発生する可能性がある。従って、ファンモータ4のトルクを上げて能力低下を防止できるような設計仕様上の限界があり、この限界値は上述の着霜時の冷却能力を満足させるようなトルク値が得られないことが多い。
これに対し、この発明においては、一定の条件下において除霜運転時のファン3の風量を低下させた状態でオフサイクルデフロスト運転を実施するため、冷却器2の融解した水滴の飛散を発生させないようにするものである。
この発明の除霜制御方法においては、単純に除霜運転時にファン風量を低下させるのみではなく、除霜能力が十分に得られるように、冷却器のフィン全体に着霜しているような着霜量が多い除霜運転開始時は通常の冷却運転のファン風量とし、着霜量が減少してフィンの一部に融解した水滴が増加して露飛びが発生しそうな時にファン風量を低下させることによって、露飛びを防止し、かつ除霜時間の増大による総合的な冷却能力の低下を防止する。
図4は除霜運転時の冷却器フィン表面の温度変化を示す。
また、図5は除霜運転時の進行とともに、冷却器のフィン表面に付着した霜が融解していく位置やその順序等の特徴を示したものである。
図4により、オフサイクルデフロスト時の冷却器2内の霜の融解メカニズムと運転経過との相関を説明する。
通常、除霜運転開始時の冷却器2のフィン表面温度は霜(氷)の融点である0℃よりも低く、図4のように除霜運転開始からフィン表面温度は徐々に温度が上昇していき、融点の0℃に達する。融点まではフィン表面に付着した霜は融解せず、一定時間フィン表面温度は融点の0℃のまま上昇しない。
そして、冷却器2フィン表面温度が0℃以上になってから、霜が融解し始める。その際、図5(a)に示すように、ユニットクーラ1の冷却器2空気吸込側の鉛直下方(図5(a)の点Xの位置)からまず融解し、除霜運転経過とともに、徐々に冷却器吸込側の鉛直上方へと融解位置が移行し、その後、徐々にユニットクーラ吹出側の、冷却器空気出口側の霜が融解し始める。
従って、除霜運転開始時は冷却器空気入口側の霜が融け、該出口側は着霜したままで、除霜運転進行とともに、冷却器入口側が完全に融けて、出口側も霜が融けた状態(図5(b))に移行していく。
冷却器2吸込側の霜が融けた際は、水滴は吹出側に霜が付着したままであるから、これの風路抵抗を受けて冷却器から飛散することは無く、緩やかに下方に流れ出て、ユニットクーラ1の下方に設置した水滴受けのためのドレンパンへ落下する(図5(a)の点Xの位置)。
この後、冷却器2空気吹出側(出口側)の霜(図5(b)の点Yの位置)が融け始めると、融解した水滴は冷却器内を通過する空気に押されて冷却器から剥離して下流方向へと飛散し、冷却器の通過風速が大きい場合には、ユニットクーラ1から機外へ飛出し、前述の露飛びの問題が発生する。
そのため、冷却器の吸込側の霜が融け始めた時点ではファン風量は一定の大きい値を維持させ、冷却器下流側の霜が融け始めた時点でファン風量を低下させるように制御することによって、露飛びを防止することが可能になる。
以上で示した除霜制御において、冷却器下流側の霜が融け始めた時点を把握し、ファン風量を低下させるタイミング条件として、冷却器2下部に設置した温度センサ5の検知温度を計測し、冷却器のフィン表面温度が0℃となった時に、制御手段7によりファンモータ4の回転数を制御してファン3の風量を低下させる。
なお、この制御手段7は、冷凍・冷蔵倉庫内の低温環境に直接曝されて機器不良を発生させることがないように、通常は冷蔵倉庫の外側空間に設置され、冷凍・冷蔵装置内部の液電磁弁14などの機器や、冷却運転・除霜運転などシステム全体の運転を制御している。
図6は、この発明の除霜運転制御方法を示すフロー図である。
また、図7は図6の制御フローで示した除霜運転制御を行った場合の、ユニットクーラ内の静圧P及び冷却器フィン温度Tの風量Qに対する各パラメータの変化を示す図である。
以下、図6及び図7に従って、この発明による除霜運転制御を行ったときの動作を説明する。
図6は、冷凍・冷蔵装置を冷蔵温度領域で使用される場合のように冷蔵庫内温度が0℃を超えるような比較的高温であるときの冷却運転及び除霜運転の手順を運転フローで示したものあり、特に除霜運転時のファンモータ4の回転数制御の切換タイミングと切換時の温度因子等の制御パラメータの判断根拠を示した。
図中、ステップ1で冷却運転を開始すると、図1で示した制御手段7は、例えば冷却運転開始からの経過時間や冷却器2フィンの表面温度や冷却器の出入口配管を流れる冷媒温度が予め設定した除霜開始条件を満たしているか否かによって、冷却運転の継続是非を判断する。除霜開始条件を満たす場合は、圧縮機11を停止させて冷却運転を一旦停止し、ユニットクーラ1のファンモータ4は運転継続させてファン3によって冷却器2のフィン表面の着霜を融解するオフサイクルデフロスト運転を開始する。(ステップ2)
ここで、ユニットクーラ2のファンモータ4は、通常の冷却運転で定格の風量及び除霜運転で所定の除霜性能を確保するために決定した強いトルクと、上述において、冷却器フィン表面の水滴が飛散しないように決定した風量を得るための弱いトルクが得られるように設計されており、上記強いトルクと上記弱いトルクは、例えばモータの抵抗値を操作して段階的にトルクが得られるようにした制御や、インバータ等による直接的な回転数制御などの手段によって切換えられる。ここでは便宜上、モータトルクの切換値について、上記強いトルクを第一のトルク、及び上記弱いトルク値を第二のトルク、の表現を用いて説明する。
このようにトルクの切換え機構を設けたファンモータにおいて、オフサイクルデフロストの開始時は、ファンモータ4は第一のトルクで比較的大きい風量を得ながら(ステップ3)冷却器2フィンの除霜を行い、冷却器空気入口側の霜が融解し始める。
ここで、冷却器2下部の上記熱交換器下部のフィン表面、又は上記フィン表面の温度に近い温度が得られる近傍には温度センサ5の温度が0℃以上になれば、制御手段7はファンモータ4に対して、比較的小さい風量が得られるように第二のトルクに切換える。(ステップ4)
ステップ4においては、冷却器入口側の着霜はほぼ融解して、その水滴が冷却器下流側に流れつつあり、冷却器出口側の着霜が融解し始めていて、上記第一のトルクで得られる風量では、フィン表面からの露飛びが発生し始めている。ファンモータを第二のトルクにすることで、冷却器フィン上の空気流速は小さくなり、フィン表面上の霜がほぼ融解しかけると温度センサ5の値は0℃よりも高い一定の数値(T)にまで上昇し、制御手段7はここで除霜が完了したと判断して、ファンモータのトルク値を第一のトルクに戻し、同時に圧縮機11の運転を開始して冷却運転を再開し、このフローの開始部分に戻って、以降上記動作を繰り返す。
なお、このフローでは冷却運転を停止させる操作を加味した運転動作は省略している。
次に、図7において、上述の図6の運転フローにおける動作を、ファンモータ3の第一のトルク及び第二のトルクでのファン静圧−風量の関係を示した線図上での数値変化に置き換えて説明する。
ステップ1の冷却運転時のファンモータのトルク値は第一のトルクであり、冷却器2のフィン表面上に着霜が生じていないときは、ファン静圧−風量カーブ上では、点Pである。着霜が増加するに従って、静圧は上記ファン静圧−風量カーブ上を左側に移動し、除霜開始直前では点Pに至る。このときのフィン表面上の着霜量は、図上では便宜的にハッチングで示した部分の面積であると考えても良い。点Pでの着霜量は最大になっていて、フィン表面の温度センサ5が示す温度はTであり、もっとも低い温度である。
オフサイクルデフロストを開始するステップ2では、点Pから冷却運転とは逆に第一のトルクのファン静圧−風量カーブ上を、除霜の進行と同時に風量増大側に移動する(ステップ3)。
同カーブ上の点Pはフィン表面からの露飛びが発生する限界の風量値Qにおけるファンの静圧値であって、この静圧値Pと風量Qとの関係は冷却器2の仕様諸元や冷却器周囲の温度環境条件によって一義的に決定されるものであり、図7では図中に示したフィン表面の温度センサ5の値Tが0℃になる風量と一致する例を示している。
温度センサ5の値Tは、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値である。
ここで、第一のトルクにおける除霜運転を開始して、予め決定したフィン温度値が所定値(上述の限界値)になったとき(図中はT=0℃、ファン静圧−風量カーブ上では点P)に、制御手段7はファンモータのトルク値を第二のトルクに切換える(ステップ4)。そのときファン静圧−風量カーブは第二のトルクに移行し、静圧点はP´を示したのち、第二のトルクのカーブ上を右方に移動して点P´(風量Q´)に至る。フィン温度ではTからTに変化しており、この温度における風量Q´〜Q´間の低風量での除霜運転が、フィンからの水滴飛散を抑制する運転であって、冷却器の空気出口側の残霜が完全に融解するに至る過程である。
除霜が終了すると、ファンモータのトルク値は第一のトルクに切換わり、ファン静圧−風量カーブ上の静圧は点Pに戻ったのち、また冷却器フィン表面上の着霜の成長が徐々に始まる。
風量がQ´となるファンモータ4の静圧値P´値は、Q´<Qとなるようにモータトルクを選定すれば良く、当該Q´が得られるような第二のトルクの静圧−風量カーブを示す設計を行うと良い。
また、インバータ等を用いた制御であれば、第二のトルクを適宜変化させて、露飛びが発生しないような風量を保ちながら最大の除霜能力が得られるように調整することも可能である。
上記のように、熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転時に、上記温度センサ5の検出値が、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための所定値になったときに、上記ファンモータのトルクを低下させ、更に上記フィン表面の霜がすべて融解したときに、上記ファンモータのトルクを低下させる前の値に戻すことによって、トルクの大きいファンモータを使用しても除霜運転時にフィンからの露飛びが発生せず、また、冷却器フィンの表面温度によってファン風量を低下させるタイミングを制御するため、ファン風量を低下させても除霜運転性能が低下しないという効果を得ることができる。この発明によって、冷凍・冷蔵システムの様々な要求温度環境に合致した冷却性能を得て、かつ除霜運転時の露飛びによる冷蔵庫内の諸トラブルを無くすることができるような製品を供給することが可能になる。
実施の形態2.
実施の形態1では、除霜運転中のファン風量を低下させるタイミングを温度センサ5の検知温度により判断したが、実施の形態2ではファン3の回転数を検知することによって得たファン回転数の値によって上記タイミングを判断する方法を説明する。
図8は、冷却器2への着霜量とファン3の回転数との関係を示したものである。
冷却器2への着霜が始まると、冷却器2の通風抵抗が増大するのに従ってファンモータ4への抵抗が増大し、その結果ファン3の回転数は低下する。冷却運転後のオフサイクルデフロストを開始すると、図8の関係のように着霜量が減少するに従って、ファン回転数が低下した状態から徐々に回転数は上昇し、霜が完全に融解すると冷却運転開始時の回転数と同等になる。
冷却器2の空気出口側にのみ着霜(残霜)し、これ以上霜の融解が進めば露飛びが開始する直前の状態でのファン回転数Nは、冷却器の仕様、運転環境条件、設置形態等で決まる。そこで、運転する冷凍・冷蔵機器仕様の上記回転数Nを予め記憶しておき、オフサイクルデフロスト開始後にファン回転数がNの値になった時にファン風量を低下させる判断値としてファンモータを制御すれば、実施の形態1と同じく、冷却器入口吹出側の霜が融解し始めるタイミングで、正確にファンの回転数を検知するのみでファン風量を低下させることが可能となる。
また、本例では回転数をファン風量を切換えるための判断値としたが、ファン回転数だけでなく、上記回転数との相関があるファンモータ3の電流値を判断値としても同様の効果が得られる。
次に、図9において、上述の図6の運転フローにおける動作を、ファンモータ3の第一のトルク及び第二のトルクの各々で、ファン3の回転数−風量の関係を示した線図上での数値変化に置き換えて説明する。
図9は、この発明の除霜運転制御によるファン回転数Nの風量Qに対する各パラメータの変化を示したものである。図に示すように、風量Qと回転数Nとの関係は、風量が増大するに従って、徐々に回転数は増大する関係にあり、第二のトルクの場合のファン回転数−風量カーブは、第一のトルクのそれよりも比較的小さい回転数値を示す。
実施の形態1と同様に、図6における各運転ステップとの関係は以下の通りである。
ステップ1の冷却運転時のファンモータのトルク値は第一のトルクであり、冷却器2のフィン表面上に着霜が生じていないときは、ファン回転数−風量カーブ上では、点Nである。着霜が増加するに従って、回転数は上記ファン回転数−風量カーブ上を左側に移動し、除霜開始直前では点Nに至る。
オフサイクルデフロストを開始するステップ2では、点Nから冷却運転とは逆に第一のトルクのファン回転数−風量カーブ上を、除霜の進行と同時に風量増大側に移動する(ステップ3)。
同カーブ上の点Nはフィン表面からの露飛びが発生する限界の風量値Qにおけるファンの回転数であって、この回転数Nと風量Qとの関係は上述の通り、冷却器2の仕様諸元や冷却器周囲の温度環境条件によって一義的に決定されるものであり、図7で示したフィン表面の温度センサ5の値Tが0℃になる風量と一致する。
ファン回転数の値Nは、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値である。
ここで、第一のトルクにおける除霜運転を開始して、予め決定したファン回転数が所定値(上述の限界値)になったとき(ファン回転数−風量カーブ上の点N)に、制御手段7はファンモータのトルクを第二のトルクに切換える(ステップ4)。そのときファン回転数−風量カーブは第二のトルクに移行し、静圧点はN´を示したのち、第二のトルクのカーブ上を右方に移動して点N´(風量Q´)に至る。この回転数N´における風量Q´〜Q´間の低風量での除霜運転が、フィンからの水滴飛散を抑制する運転であって、冷却器の空気出口側の残霜が完全に融解するに至る過程である。
除霜が終了すると、ファンモータのトルクは第一のトルクに切換わり、ファン回転数−風量カーブ上の回転数は点Nに戻ったのち、また冷却器フィン表面上の着霜の成長が徐々に始まる。
上記のように、除霜運転時に上記ファン回転数の検出値が、フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための所定値になったときに、上記ファンモータのトルクを低下させ、更に上記フィン表面の霜がすべて融解したときに、上記ファンモータのトルクを低下させる前の値に戻すことによって、トルクの大きいファンモータを使用しても除霜運転時にフィンからの露飛びが発生せず、また、冷却器フィンの表面温度によってファン風量を低下させるタイミングを制御するため、ファン風量を低下させても除霜運転性能が低下しないという効果を、前述の実施の形態1と同様に得ることができる。
実施の形態3.
次に、実施の形態1と実施の形態2で述べた、冷却器2の温度センサ5の値、又はファン3の回転数が所定値になったときに、上記ファンモータ4の回転方向を逆に運転させ、熱交換器を通過する風の流れ方向を逆にして、融解した水滴が飛散してユニットクーラ1の機外に排出されないようにする方法について説明する。
前述の図5の説明の通り、ユニットクーラ1の冷却器2空気吸込側の鉛直下方からまず融解し、除霜運転経過とともに、徐々に冷却器吸込側の鉛直上方へと融解位置が移行し、その後、徐々にユニットクーラ吹出側の、冷却器空気出口側の霜が融解し始めることから、空気吸込側で融解した霜は、図5(a)の冷却器入口側下部の点X周辺からやや空気出口側に向って斜め鉛直下方へと落下してドレンパンに貯留するため、ユニットクーラから機外へ飛散することは無い。続いて、冷却器の下流である空気出口側の霜が融解すると、冷却器よりも下流方向にはフィンから落下した水滴に対する熱交換器構造物などの抵抗物が無いため、水滴はユニットクーラの空気吹出口へと落下し、特にフィンを通過する空気風速が大きい場合にはユニットクーラの機外に向って飛散しそのまま排出されてしまう。
図10はこの発明における除霜時の風の流れ方向と霜の融解形態を示す。
除霜運転時に温度センサ5の検出値がフィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値になるか、又はファン回転数5の検出値(或いはモータの電流値など)がフィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための限界値になったときに、ファンモータ3の回転方向を逆転させ、風の流れを逆にすれば良い。すなわち、図10の冷却器2の空気出口側(左側)から空気入口側(右側)へと空気が流れるようにする。これにより、空気出口側の着霜が融解して水滴となった後、流れ方向が逆になった空気流れによって冷却器の空気入口側へと逆流するが、この流れ方向には熱交換器のフィンや構造体などの抵抗物があるため、鉛直斜め下方(図の右方向)へと落下し、ユニットクーラの機外へと飛散することは無い。
また、上述の説明では、先に冷却器2の空気入口側の霜を融解させ、次にファン3の回転方向を逆にすることで空気出口側の霜が融けるように制御する例を示したが、先にファン3の回転方向を逆にして除霜運転を開始し、空気出口側の霜が融解し終わった後にファン3の回転方向を正規に(元に)戻し、空気入口側の霜を融かすように制御しても、同様の効果が得られる。この場合、温度センサ5は空気入口側の下方位置に設置しておくと良い。
以上のような冷却器2内の空気流れ方向を一時逆転させる方法で、水滴がユニットクーラ1の機外へ飛散を防止することができる。特に本実施例では、実施の形態1や実施の形態2と異なり、冷却器のファン風量を低下させないため、除霜能力を低下させずに効率良く除霜運転を行うことが可能である。
1 ユニットクーラ
2 冷却器
2a 冷却器フィン表面の霜
3 ファン
4 ファンモータ
5 温度センサ
6 回転数検知装置
7 制御手段
8 熱源側装置
9 液管
10 ガス管
11 圧縮機
12 凝縮器
13 レシーバ
14 アキュムレータ
15 液電磁弁
16 温度式膨張弁
Q、Q、QB、Q、Q´、Q´ 風量
P、P、PB、P、P´、P´ ファン静圧
N、N、NB、N、N´、N´ ファン回転数
、TB、T フィン表面の温度センサ検出値
X 冷却器入口側下部位置
Y 冷却器出口側下部位置

Claims (5)

  1. 熱交換器と、ファンと、上記ファンを駆動するファンモータと、上記ファンモータを制御する制御手段と、を備え、
    上記熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転中に、上記フィン表面の霜の融解状態に応じて、上記ファンの風量を変化させることを特徴とする冷凍・冷蔵システムの負荷側装置。
  2. 熱交換器と、ファンと、上記ファンを駆動するファンモータと、上記ファンモータを制御する制御手段と、上記熱交換器下部のフィン表面又は上記フィン表面の近傍に設けた温度センサと、上記温度センサの検出値によって上記ファンモータを制御する制御手段と、を備え、
    上記熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転時に、上記温度センサ値が、上記フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための所定の値になったときに、上記ファンモータのトルクを第一のトルクから第二のトルクに変更し、更に上記温度センサ値が、上記フィン表面の霜がすべて融解する所定の値になったときに、上記ファンモータのトルクを第一のトルクに戻すことを特徴とする冷凍・冷蔵システムの負荷側装置。
  3. 熱交換器と、ファンと、上記ファンを駆動するファンモータと、上記ファンモータを制御する制御手段と、ファンの回転数検出装置と、上記回転数検出装置の値によって上記ファンモータを制御する制御手段と、を備え、
    上記熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転時に、上記ファンの回転数が、上記フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための所定の値になったときに、上記ファンモータのトルクを第一のトルクから第二のトルクに変更し、更に上記ファンの回転数が、上記フィン表面の霜がすべて融解する所定の値になったときに、上記ファンモータのトルクを第一のトルクに戻すことを特徴とする冷凍・冷蔵システムの負荷側装置。
  4. フィン表面の霜がすべて融解する所定の値になったときに得られるファンの風量が、上記フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための上記ファンの風量を超えないように、第二のトルクを決定していることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の冷凍・冷蔵システムの負荷側装置。
  5. 熱交換器と、ファンと、上記ファンを駆動するファンモータと、
    上記ファンモータを制御する制御手段と、
    上記熱交換器下部のフィン表面又は上記フィン表面の近傍に設けた温度センサと、
    上記温度センサの検出値によって上記ファンモータを制御する制御手段と、
    を備え、
    上記熱交換器のフィン表面に付着した霜を融解するための除霜運転時に、上記温度センサ値又は上記ファンの回転数が、上記フィン表面の霜の融解した水滴をフィン表面から飛散させないための所定の値になったときに、上記ファンモータの回転方向を逆にして、熱交換器を通過する風の流れ方向を逆にしたことを特徴とする冷凍・冷蔵システムの負荷側装置。
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