JP2012117759A - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に製造できるとともに、高い熱交換性能を有する熱交換器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換器の製造方法は、Mgが0.3〜2.0mass%と、Siが1.5〜3.5mass%、または、Cuが1.5〜14mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板をその板の厚さ方向に複数枚積層する積層工程と、積層されたアルミニウム合金板を加熱して接合する接合工程と、を備えている。積層工程では、その表面に微細な溝が形成された前記アルミニウム合金板を少なくとも1枚配置する。接合工程では、積層されたアルミニウム合金板の全質量に対するアルミニウム合金板内に生成する液相の質量の比が5%を超え35%以下となる温度で接合する。
【選択図】なし

Description

この発明は、発熱したパワー半導体モジュール等を高効率で冷却するのに適した微細な流路構造を有する熱交換器、及び、その製造方法に関するものである。
現在、パワー半導体モジュール、マイクロガスタービン、燃料電池、小型冷凍空調機器などのエネルギーシステムの開発が活発に行われている。このようなエネルギーシステムでは、車搭載用や家庭用に適した小型化の要請が大きく、これを実現するための開発が進められている。
従来型の熱交換器では、冷却する装置本体のスケールを大幅に越えるものが用いられており、熱交換器を小型化すると熱交換器の効率が低下してしまい、装置本体の効率が著しく低下するという問題がある。このため、小型のエネルギーシステムの効率を向上させるためには、高効率の熱交換器を用いることが必要不可欠である。現在の熱交換器で所望の性能を実現しようとした場合、熱交換率が悪いことから極めて大型の機器となってしまい、望まれている小型のエネルギーシステムにすることが不可能である。
ところで、一般に伝熱工学の理論では、冷媒の流路が小さくなるほど、均質に加熱・冷却することが可能になるが、流路を微細で短い流路にした場合、熱交換が可能な熱量の制限が生じる。そのため、多数の微細な流路に高流速の冷媒を流すことができるようになれば、交換熱量を増加させて効率を上げられることができるものと期待されている。
この伝熱理論を熱交換器に当てはめて検討してみると、小型で高効率な熱交換器にするためには、第1に微細な流路を多数有している積層構造であること、第2に高流速冷媒を流すことが可能な高耐圧の構造であることが必須条件である。このため、特許文献1や特許文献2には、微細流路を有する金属板を積層し、拡散接合することによって熱交換器を製造することが提案されている。
特開2005−282951号公報 特開2007−333353号公報
ところで、微細な流路を持つ熱交換器の製造方法としては、アルミニウム合金板を、その板の厚さ方向に複数枚積層し、前記アルミニウム合金板の少なくとも1枚以上にはその表面に微細な溝を形成し、該溝が形成された面と隣り合うアルミニウム合金板の平面とが接合されることによって形成された流路に、加熱流体または冷却流体を供給する熱交換器を製造する方法が知られているが、溶融したろう材やフラックス等によって流路の目詰まりが生じる場合がある。また、接合箇所のろう付けフィレットやフラックスの残留により、流路内壁面に凹凸が形成されてしまい、流路内断面積が減少するという問題が生じる。更に、流路表面に形成された凹凸によって圧力損失が増大し、加熱および冷却流体が通り難くなるという問題がある。
このように、流路に目詰まりが生じると、加熱流体や冷却流体が通らなくなり、また、流路内断面積が減少すると、流体が通過する流量が減少し、所望する一体積層型熱交換器の熱交換性能が得られないという問題が生じる。このため、特許文献1や特許文献2では、ろう材の溶融が無く、流路の目詰まりや流路断面積の減少の懸念が無い拡散接合により金属板を接合している。
しかし、拡散接合により金属板を接合するには、流路部材を積層し、上下を加圧させて真空雰囲気中で加熱するため、大型の加圧装置が必要である。また、拡散接合では、その際、アルミニウムの酸化皮膜を除去する為の清浄化処理が必要であり、アルゴンイオン衝撃、グロー放電、或いは超音波付与など、特殊な工程が必要になる。
更に拡散接合では高温で加圧がなされる。金属は、一般に、絶対温度で融点の1/2程度以上の所謂クリープ温度領域では、それ以下の温度と比較して塑性変形が非常に容易に起きるようになる。拡散接合は、このクリープ温度域で行われるので、弱い加圧であっても容易に塑性変形が起き得る。特に、微細な流路となる溝が形成されたような面を接合面とした場合、溝の間の柱が加圧により変形し、元の溝の形を保つことが困難となる。このため、微細な流路が形成された熱交換器を精度良く容易に製造できないという問題がある。
さらに、拡散接合により金属板を接合した場合には、完全な無欠陥の接合が得られにくく、接合部分の信頼性が低い。このため、流路の接合部分から熱交換用の流体が漏れ、所望の熱性能が得られないという虞がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、容易に製造できるとともに、高い熱交換性能を有する微細な流路が形成された熱交換器及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる熱交換器は、
Mgを0.3〜2.0mass%と、Siを1.5〜3.5mass%、または、Cuを1.5〜14.0mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、断面積1mm2以下の流路であり、外壁からの間隔が0.1mm以上であり、流路間隔が0.1mm以上である、ことを特徴とする。
前記アルミニウム合金は、さらにMnを0.02〜2.0mass%、Crを0.02〜0.2mass%、Niを0.02〜2.3mass%、Tiを0.02〜0.3mass%、Zrを0.02〜0.5mass%のうち1種または2種以上を含有することが好ましい。
前記アルミニウム合金には、長径3μm以上の球状の共晶組織が10個〜3000個/mm存在することが好ましい。
前記流路の内壁面には継ぎ目がないことが好ましい。
本発明の第2の観点にかかる熱交換器の製造方法は、
Mgが0.3〜2.0mass%と、Siが1.5〜3.5mass%、または、Cuが1.5〜14.0mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板をその板の厚さ方向に複数枚積層する積層工程と、
積層されたアルミニウム合金板を加熱して接合する接合工程と、を備え、
前記積層工程では、その表面に微細な溝が形成された前記アルミニウム合金板を少なくとも1枚配置し、
前記接合工程では、接合温度をアルミニウム合金板の全質量に対するアルミニウム合金板内に生成する液相の質量の比が5%を超え35%以下となる温度とし、前記アルミニウム合金板の寸法変化が5%以下である、ことを特徴とする。
前記アルミニウム合金に、さらにMnを0.02〜2.0mass%、Crを0.02〜0.2mass%、Niを0.02〜2.3mass%、Tiを0.02〜0.3mass%、Zrを0.02〜0.5mass%のうち1種または2種以上を含有する合金を用いることが好ましい。
前記接合工程では、例えば、長径3μm以上の球状の共晶組織が断面で10個〜3000個/mm存在するように接合する。
前記接合工程では、例えば、前記アルミニウム合金板が固相線温度以上となる時間を20分以内とする。
前記接合工程では、例えば、前記アルミニウム合金が液相率5%以上の温度域にある時間を10秒以上とする。
本発明によれば、容易に製造できるとともに、高い熱交換性能を有する微細な流路が形成された熱交換器を提供することができる。
本発明の熱交換器の構成を示す図である。 Al−Si合金の2元系状態を示す図である。 図2の液相の生成過程を説明する図である。 Al−Cu合金の2元系状態を示す図である。 図4の液相の生成過程を説明する図である。 図4の液相の生成過程を説明する図である。 ろう付け後の球状共晶組織を示す図である。 試験片及び試験片の接合率、寸法変化率を説明するための図である。 本発明の熱交換器が組み込まれた熱交換装置を示す図である。 本発明の熱交換器が組み込まれた熱交換装置の内部流路を示す図である。 本発明の熱交換器を作製するための構成図である。 本発明および比較例の熱交換装置による、冷却水流量と熱交換量との関係を示す図である。
以下、本発明の熱交換器、及び、その製造方法について説明する。図1は、本発明の熱交換器の構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の熱交換器1は、アルミニウム合金板2が、その板の厚さ方向に複数枚積層されて製造される。この積層された複数のアルミニウム合金板2は、後述する熱処理によって接合されている。
アルミニウム合金板2は、Mgを0.3〜2.0mass%(質量%)と、Siを1.5〜3.5mass%、または、Cuを1.5〜14.0mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金である。
また、図1に示すように、複数のアルミニウム合金板2の少なくとも1枚には、その表面に微細な溝3が形成されている。このアルミニウム合金板2の溝形成面と、隣り合うアルミニウム合金板2の平面(表面)とが接合されることによって、熱交換器1の内部に流路4が形成される。この流路4に加熱流体または冷却流体が供給することにより、熱交換器1が熱交換器として機能する。
アルミニウム合金板2の表面に形成される溝3(流路4)は、その断面積が1mm2以下である。断面積が1mm2より大きいと、溝3により形成された流路4が大きくなり、均等に加熱・冷却することが困難になるためである。ただし、断面積が0.01mm2より小さいと、切削等による加工が困難となる虞があるため、断面積は0.01mm2〜1mm2が好ましい。
また、流路4の流路間隔は0.1mm以上である。流路間隔とは、流路内壁面と、その流路4にもっとも近い流路4の内壁面との最短距離である。流路間隔が0.1mm未満の場合は隣接する流路4と短絡して流路4が正常に形成されず、規定の断面積と異なる虞がある。
さらに、流路4の外壁からの間隔は0.1mm以上である。外壁からの間隔とは、外壁と最外側の流路4の内壁との最短距離である。外壁からの間隔が0.1mm未満の場合は、外縁部の流路4の接合が十分に行われない虞があり、流路4から流体が漏れる場合がある。
ここで、アルミニウム合金板2の接合について説明する。微細な溝3が形成されたアルミニウム合金板2を複数枚積層し、例えば、真空中で600℃程度の温度で熱処理を行うと、アルミニウム合金板2の内部の一部から液相が生成し、それが材料表面に染み出してきて接合をなす。この際、アルミニウム合金板2中のMg元素のゲッター作用により材料表面の酸化被膜が破壊、還元され、液相が相手材と濡れることが可能となり、接合が可能となる。
液相の生成メカニズムについて説明する。図2にAl−Si合金の2元系状態図を模式的に示す。Si濃度がc1である一方のアルミニウム合金材と他方の被接合部材を組合せて加熱すると、共晶温度(固相線温度)Teを超えた付近の温度T1で液相の生成が始まる。共晶温度Te以下では、図3(a)に示すように、結晶粒界で区分されるマトリクス中に晶析出物が分布している。ここで液相の生成が始まると、図3(b)に示すように、晶析出物分布の偏析の多い結晶粒界が溶融して液相となる。次いで、図3(c)に示すように、アルミニウム合金のマトリクス中に分散する主添加元素成分であるSiの晶析出物粒子の周辺が球状に溶融して液相となる。更に、図3(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、界面エネルギーにより小さなものからマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。従って、時間の経過や温度上昇と共に球状液相の数は少なくなっていき、また残った球状液相のサイズは大きいものとなる。次いで、図2に示すように、温度がT2に上昇すると、状態図より液相量は増加する。このようにSiはAl−Siの液相を生成し、接合に機能する。
アルミニウム合金板2中のSiの含有量が1.5mass%未満の場合、充分な液相の染み出しが無く、接合が不完全となる場合がある。一方、Siの含有量が3.5mass%を越えると、アルミニウム合金板2中のSi粒子が多くなり、液相の生成量が多くなるため、加熱中の材料強度が極端に低下し、構造体の形状維持が困難となる。したがって、本発明におけるアルミニウム合金板2中のSiの含有量は1.5〜3.5mass%となる。さらにSiの含有量を2.0〜2.5mass%とするとより好ましい。なお、染み出す液相の量は板厚が厚く、加熱温度が高いほど多くなるが、加熱時に必要とする液相の量は構造体の形状に依存するので、必要に応じてSiの含有量や接合条件(温度、時間等)を調整することが望ましい。
また、アルミニウム合金板2にCuが含有している場合にもSiが含有している場合とほぼ同等の、液相の染み出しによる接合の効果を得ることができる。
図4にAl−Cu合金の2元系状態図を模式的に示す。Cu濃度がc2である一方のアルミニウム合金材と他方の被接合部材を組合せて加熱すると、共晶温度(固相線温度)Teを超えた付近の温度T3で液相の生成が始まる。共晶温度Te以下では、図5(a)に示すように、結晶粒界で区分されるマトリクス中に晶析出物が分布している。ここで液相の生成が始まると、図5(b)に示すように、晶析出物分布の偏析の多い結晶粒界が溶融して液相となる。次いで、図5(c)に示すように、アルミニウム合金のマトリクス中に分散するAl−Cu化合物の周辺が球状に溶融して液相となる。更に図5(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、界面エネルギーにより小さなものからマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。従って、時間の経過や温度上昇と共に球状液相の数は少なくなっていき、また残った球状液相のサイズは大きいものとなる。次いで、図4に示すように温度がT4に上昇すると、状態図より液相量は増加する。図4に示すように、アルミニウム合金材のCu濃度が最大固溶限濃度より小さいc3の場合には、固相線温度Ts3を超えた付近で液相の生成が始まる。ただし、c2の場合と異なり、溶融直前の組織は図6(a)に示すように、マトリクス中に小析出物粒子が存在しない場合がある。この場合、図6(b)に示すように粒界でまず溶融が溶融し液相となった後、図6(c)に示すようにマトリクス中の局所的に溶質元素濃度が高い場所より液相が発生する。マトリクス中に生成したこの球状の液相は、図6(d)に示すようにc2の場合と同様に、界面エネルギーにより時間の経過や温度上昇と共にマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。温度がT3に上昇すると、状態図より液相量は増加する。また、液相の生成が進むにつれて固相拡散による液相の移動が進展する為、マトリクス中の球状の液相の個数は減少する。
このようにCuはAl−Cuの液相を生成し、接合に機能する。
アルミニウム合金板2中のCuの含有量が1.5mass%未満の場合は、充分な液相の染み出しが無く、接合が不完全となる場合がある。一方、Cuの含有量が14mass%を越えると、アルミニウム合金板2中のCu粒子が多くなり、液相の生成量が多くなるため、加熱中の材料強度が極端に低下し、構造体の形状維持が困難となる。したがって、本発明におけるアルミニウム合金板2中のCuの含有量は1.5〜14mass%となる。なお、染み出す液相の量は板厚が厚く、加熱温度が高いほど多くなるが、加熱時に必要とする液相の量は構造体の形状に依存するので、必要に応じてCuの含有量や接合条件(温度、時間等)を調整することが望ましい。
アルミニウム合金板2中のMgは、前述のように、ゲッター作用により酸化皮膜を破壊、還元することで、表面に染み出した液相が他方の被接合部材に濡れて接合をなすために必要である。アルミニウム合金板2中のMgの含有量が0.3mass%未満であると酸化皮膜が十分に破壊されず、接合が不完全となる場合がある。一方、アルミニウム合金板2中のMgの含有量が2.0mass%を超えると接合加熱の過程で表層にMgOが多く形成され接合が困難になる。従って、本発明におけるアルミニウム合金板2中のMgの含有量は0.3〜2.0mass%となる。さらに、Mgの含有量を0.5〜1.6mass%とするとより好ましい。
また、接合には大きく寄与しないが、熱交換器の性能向上のため、アルミニウム合金板2に、Mn、Cr、Ni、Ti、Zrの元素を1種または2種以上添加することが好ましい。
Mnはアルミマトリックス中にAl−Cu−Mn系の化合物を形成し、接合後の結晶粒を微細化する効果がある。このように、結晶粒が微細化することにより、接合後のアルミニウム合金板の強度を向上させる。また、前述の化合物の形成により、時効熱処理時に強度に寄与する析出物が主に化合物上に析出し、強度を高めることができる。Mnは0.02〜2.0mass%添加することが好ましい。Mnを2.0mass%を超えて添加すると、化合物が多くなり、液相発生箇所が多くなるため、接合加熱中に形状変化が起こるためである。また、0.02mass%未満の添加では有意な効果が得られないためである。
Crはアルミマトリックス中にCu−Cr−Al系の化合物を形成し、再結晶粒の成長を妨げ、接合後の結晶粒を微細化する効果がある。Crは0.02mass%〜0.2mass%添加することが好ましい。Crを0.2mass%を超えて添加してもその効果は変わらないためである。また、0.02mass%未満の添加では有意な効果が得られないためである。
Niはアルミマトリックス中にAlNiを形成し、時効熱処理時の強度を高める。また、Niを添加することで高温強度にも優れ、接合時に粒界に液相がしみ出している状態での変形を抑制する。Niは0.02mass%〜2.3mass%添加することが好ましい。Niを2.3mass%を超えて添加してもその効果は変わらないためである。また、0.02mass%未満の添加では有意な効果が得られないためである。
Tiはアルミマトリックス中にAlTiを形成し、再結晶粒の成長を妨げ、結晶粒を微細化する効果がある。Tiは0.02mass%〜0.3mass%添加することが好ましい。Tiを0.3mass%を超えて添加すると鋳塊製造時に巨大な晶出物が形成されるためである。また、0.02mass%未満では有意な効果が得られないためである。
Zrはアルミマトリックス中にAlZrを形成し、再結晶粒の成長を妨げ、結晶粒を微細化する効果がある。Zrは0.02mass%〜0.5mass%添加することが好ましい。Zrを0.5mass%を超えて添加すると鋳塊製造時に巨大な晶出物が形成されるためである。また、0.02mass%未満の添加では有意な効果が得られないためである。
なお、アルミニウム合金板2の材料の接合加熱中の強度は未溶融のマトリクスと液相に寄与しない金属間化合物とが担っている。
このため、本発明の熱交換器1は、接合の前後で流路寸法や形状の変化が殆どない。
また、このように構成された熱交換器1では、アルミニウム合金板2の接合面が同一組織となり、その流路4の内壁面に継ぎ目が生じない。このため、流路4の内壁面に凹凸形成されにくい。したがって、本発明の熱交換器1では、流路4内の加熱流体または冷却流体の流れを阻害するという問題は生じない。
次に、積層構造型熱交換器1の製造方法について説明する。本発明の熱交換器1の製造方法は、アルミニウム合金板2をその板の厚さ方向に複数枚積層する積層工程と、積層されたアルミニウム合金板2を加熱して接合する接合工程と、を備えている。
積層工程では、所定枚数のアルミニウム合金板2を用意する。アルミニウム合金板2は、前述のように、Mgが0.3〜2.0mass%と、Siが1.5〜3.5mass%、または、Cuが1.5〜14mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなる。アルミニウム合金板2は、例えば、一般的な製造方法である、DC鋳造、均質化処理、熱間加工を行うことにより製造される。また、アルミニウム合金板2は、DC鋳造ではなく双ロール連続鋳造圧延またはベルトキャスターにより鋳造してもよい。この場合、アルミニウム合金板2中にSi粒子が微細で密に分布するため、液相が染み出しやすく良好な接合性が得られる。
また、アルミニウム合金板2の少なくとも1枚には、その表面に微細な溝3が形成されているものを用意する。このアルミニウム合金板2の表面に形成されている微細な溝3は、機械加工による切削の他、押出による熱間加工等、いずれの方法で形成しても良い。そして、用意したアルミニウム合金板2を、その板の厚さ方向に複数枚積層する。
接合工程では、積層されたアルミニウム合金板2を加熱して接合する。例えば、積層されたアルミニウム合金板2を加熱炉に入れて、0.665Pa(5×10−3Torr)以下の真空炉中で加熱処理を施す。加熱温度は、アルミニウム合金板2内部に液相が生成する固相線温度以上であり、かつ、アルミニウム合金板2内部に生成する液相量が多くなり、強度が低下して形状を維持できなくなる温度以下の温度で加熱する。
なお、面接合や閉塞空間の接合では、窒素やアルゴンなどの非酸化性ガス中、更には大気中でもMgのゲッター作用が働き接合できる。これは、閉塞空間の場合、酸素の外部からの流入がほとんど無いため、ごく周囲の雰囲気により酸化皮膜が成長してもMgのゲッター作用で十分破壊しうる厚さにしかならないためである。ただし、この場合、炉中ガスの露点を−35℃以下に管理することが好ましい。
また、接合温度は、接合工程でのアルミニウム合金板2の最高温度であり、被接合部材であるアルミニウム合金板2の全質量に対するアルミニウム合金板2内に生成する液相の質量の比(以下、液相率という。)が、5%を超え35%以下となる温度の範囲とする。液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多過ぎて、接合加熱時にアルミニウム合金板2が大きく変形してしまい形状を保てなくなるためである。一方、5%未満では液相の供給が少なく十分な接合がなされない。より好ましい液相率は10〜30%である。
加熱中における実際の液相率を測定することは、極めて困難である。そこで、本発明で規定する液相率は状態図を利用して組成と温度の平衡計算によって求めるものとする。具体的には、平衡状態図計算ソフト(Thermo−Calc;Thermo−Calc Software AB社製)によって合金組成と加熱時の最高到達温度から計算される。
この接合加熱中に、アルミニウム合金板2のマトリクス中に生成した球状の液相は、接合後、図7に示すような特徴的な球状共晶組織となる。液相の供給が進むにつれて球状の液相の数は減少するため、適切な接合加熱がなされたかどうかは、球状共晶組織を数えることで判別できる。良好な接合性と接合時の材料強度のバランスが取れた場合、接合後に長径3μm以上の球状共晶組織が、断面で10〜3000個/mmであることを見出した。
この球状共晶組織の密度が10個/mm未満の場合、接合に寄与した液相が多すぎ、接合加熱中の強度維持が困難となる。一方、3000個/mmを超える場合、接合に寄与した液相が少なく、接合性が低下することになる。
このように、アルミニウム合金板2の溝形成面と、隣り合うアルミニウム合金板2の平面(表面)とが接合されることによって、熱交換器1の内部に流路4が形成される。
また、本発明の熱交換器1の製造方法では、被接合部材の内部に液相が生成するが、被接合部材の流動がほとんど起きない。例えば、ブレージング法では、ろう材が溶融し接合部に流動し、被接合材の隙間を充填することで接合を行う。その際に、多量に流動したろう材が微細な流路などは埋めてしまうこともある。また、接合部以外ではろう材の厚さに応じた板厚減少が起き、構造体の寸法変化が生じる。また、溶接では溶接部がビードなど溶接痕となり局所的な凹凸が生じる。
これに対し、本発明に係る接合方法では、わずかな液相が材料表面にしみ出し被接合部材間の隙間を埋め、接合部付近の形状変化や構造体全体の寸法や形状の変化はほとんどない。特に、液相率を5〜30%として本発明に係る接合方法を実施すると、部材の接合前に対する接合後の寸法変化は5%以内となる。これは前述のメカニズムに従い、接合に寄与する液相が被接合部材であるアルミニウム合金板2内部に生成するものの、マトリクスや液相の生成に寄与しない金属間化合物により、加熱中に被接合部材の形状が維持されるためである。
例えば、ブレージングシート(ろう材クラッド率が片面5%)を用いてドロンカップタイプの積層型熱交換器を組み立てた場合、ろう付け加熱後には溶融したろう材が接合部に集中するため、積層した熱交換器の高さが5〜10%減少する。従って、熱交換器1の製品設計においては、その減少分を考慮する必要がある。本発明の熱交換器1の製造方法においては、接合前後の寸法変化が5%以下であるため、高精度の製品設計が可能となる。
また、本発明熱交換器1の製造方法では、接合加熱の際、構造部材が固相線温度以上となる時間を20分以内とすることが好ましい。アルミニウム合金は、高温、低応力下では結晶粒自体の塑性変形に優先して結晶粒界でずれる粒界すべりによって変形する。特に、本発明のような固液共存域においては、粒界が優先して溶融しており、結晶粒径が小さいと単位体積中の粒界が多くなり粒界すべりによる変形が発生しやすくなる。固相線温度以上となる時間が20分を超えると、自重により粒界すべりが発生しやすくなり、大きな変形が発生するおそれがある。更に固相線温度以上となる時間を15分以内とすることがより好ましい。
更に、本発明熱交換器1の製造方法では、接合加熱の際、接合を確実に行うために、アルミニウム合金板2が液相率5%以上の温度域に少なくとも10秒以上あることが望ましい。液相率が5%以上になると液相のしみ出しが効果的に起こり始める。液相率5%以上の時間が10秒より短いと、しみ出しが起こるのに十分な時間が得られない虞がある。例えば、Al−2.0mass%Siは581℃で液相率5%となる。従って、Al−2.0Siの部材を本発明熱交換器1の製造方法で接合する場合、昇温して接合温度に至り冷却するまでの過程で、Al−2.0Siを用いた部材が581℃を超えている時間が少なくとも10秒以上あることが望ましい。なお、接合を更に確実にする為に、構造部材が液相率5%以上となる温度域に少なくとも30秒以上あることがより望ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1〜33、及び、比較例1〜11)
以下の実施例1〜33、及び、比較例1〜11では、本発明の効果を簡単に確認するため、表1に示す成分のアルミニウム合金から図8(a)に示す試験片を作成し、表1に示す接合条件で接合した場合について、接合率及び変形率から試験片の接合状態の確認を行った。
表1にアルミニウム合金板の成分及び接合条件として接合温度、雰囲気、フラックスの有無、接合温度での保持時間を示す。また、接合温度に対応する平衡液相率を合わせて示す。なお、平衡液相率は、Thermo−Calcによって組成と接合温度より求めた。これら表1に示す成分の合金鋳塊を作製した後、熱間圧延及び冷間圧延により、厚さ1mmの圧延板を得た。この板を切り出し、端面をフライスにより平滑にしたものを組み合わせて図8(a)に示す試験片を作成した。試験片の上下には図8(a)に示すような板厚1mmのステンレス板を配し、その上からステンレス線によって試験片を縛って固定した。なお、比較例7、8ではアルミニウム合金の接合面にフッ化物系フラックスを塗布した。
接合のための加熱は、真空或いは窒素雰囲気の炉中で所定の温度まで昇温後、5分間保持した後、冷却した。なお、昇温速度は、520℃以上で10℃/分とした。また、保持中の温度は接合温度±1℃以内となるよう制御した。実施例13、14、15、16においては保持時間を5分より長くした。なお、実施例13〜15では固相線温度828K(555℃)から600℃まで4.5分、冷却含めて固相線温度以上は(保持時間+6分)、実施例16では固相線温度790K(517℃)から600℃まで8.3分、冷却含めて固相線温度以上は(保持時間+11分)とし、それぞれ固相線温度以上の時間が14分(840秒)、19分(1140秒)、24分(1440秒)、29分(1740秒)となるようにした。また、表1に、アルミニウム合金板が固相線温度以上にあった時間及び液相率5%以上の温度にあった時間を記載した。
比較例9〜11については、接合温度での保持中に所定の加圧を行った。
加熱終了後の試験片は、図8(a)の点線で示した面の断面観察を実施し、接合率、変形率、及び長径3μm以上の球状共晶組織の数を測定した。接合率は、図8(b)に示す4箇所での接合部の長さの合計と、4箇所での接合されるべき長さ合計とを用いて、以下のように定義した。
接合率=(4箇所での接合部長さ合計)/(4箇所での接合されるべき長さ合計)
また、変形率を図8(c)に示す、a、a´1、a´2を用いて、以下のように定義した。
(変形率)={(a´1+a´2)/2a−1}×100%
a:試験片の天井部の接合前の幅
a´1:試験片の天井部の上側の接合加熱後長さ
a´2:試験片の天井部の下側の接合加熱後長さ
球状共晶組織の数の測定は、図8(a)の点線の断面においておこなった。250μm×100μmの視野を20箇所測定し、測定された球状共晶組織の合計数の2倍を1mmあたりの球状共晶組織の数とした。
測定結果より、接合率が95%以上を○、90%以上95%未満を△、90%未満を×と判定した。また、変形率が3%以内を◎、5%以内を○、10%以内を△、10%を超えるものを×と判定した。以上の結果より、各評価の判定に対して◎を5点、○を3点、△を0点、×を−5点と点数をつけ、合計点が8点以上を◎、6点以上7点以下を○、1点以上5点以下を△、0点以下を×と判定した。合わせて、球状共晶組織の1mm2あたりの個数を示した。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜33では、接合加熱時のアルミニウム合金中の成分、液相率、及び、接合条件が適正であったため、試験片が適正に接合がなされていることを確認した。特に、実施例2、5、6、10、13、20、21、23、24では接合率、変形率とも非常に良好であった。また、これらの実施例では長径3μm以上の球状共晶組織の個数が1mm2あたり10〜3000個の間にあった。
比較例1はMgの含有量が少なく、酸化皮膜が十分に破壊されなかったため、接合率が不十分であった。比較例2はMgの含有量が多く、接合が不十分であった。
比較例3は、Siの含有量が少なく、液相が十分に生成せず、接合が不十分であった。比較例5は、Cuの含有量が少なく、液相が生成せず、接合が全くなされなかった。比較例4、6は、SiまたはCuの含有量が多く、試験片に大きな変形が発生してしまった。
比較例7、8はフッ化物系フラックスとアルミニウム合金中のMgが反応し、フラックスの酸化皮膜破壊作用とMgのゲッター作用のいずれも十分に働かず、接合が不十分であった。
比較例9、10は固相拡散接合法による接合である。この方法では、接合率が不十分であった。また、材料の変形も大きかった。
比較例11は加圧を行いながら接合したものであるが、接合はなされたものの大きく変形してしまった。
(実施例34〜39、及び、比較例12〜19)
実施例34〜39では、実施例6、10の成分及び接合条件で、切削によって溝を形成した20×20mmの板を5枚積層して接合した。
実施例34、37、比較例12、13、15〜17では、0.1×0.1mmの溝を0.1mmの流路間隔で形成した。
実施例35、38では、0.3×0.3mmの溝を0.3mmの流路間隔で形成した。
実施例36、39では、切削によって1×1mmの溝を1mmの流路間隔で形成した。
比較例14、19では、0.1×0.1mmの溝を0.05mmの流路間隔で形成した。
比較例18では、0.1×0.1mmの溝を0.1mmの流路間隔で形成した。
また、比較例12、14、15、16ではアルミニウム合金の接合面にフッ化物系フラックスを塗布し、比較例13、14、17〜19では、接合温度での保持中に所定の加圧を行った。
それぞれの実施例及び比較例ごとに板を5枚ずつ積層し、表2に示す接合条件で接合した後、断面観察を実施し、流路の状態を観察した。評価は、前述と同様に接合率と変形率による評価とした。更に、外縁部の流路の断面を観察し、形状および接合状態を観察した。結果を表2に示す。
実施例34〜39では、接合加熱時のアルミニウム合金中の成分、液相率、溝の断面積、及び、接合条件が適正であったため、溝形成時と遜色無い形状で、流路が形成されていることを確認した。
比較例12、15、16では、フッ化物系フラックスとアルミニウム合金中のMgが反応し、フラックスの酸化皮膜破壊作用とMgのゲッター作用のいずれも十分に働かず、流路欠陥が生じて接合されなかった。また、比較例14、17では流路間隔が狭すぎて、流路欠陥が生じて適切な接合がなされなかった。比較例13、17では、接合はなされたものの接合欠陥が生じてしまい、流路が形成されなかった。また、外縁部の流路形状は、比較例14、19では、外壁との間隔が0.1mm未満であったため流路形状が変形し、正常な流路形状が形成できなかった。
(実施例40、41、及び、比較例20〜23)
実施例40、41、及び、比較例20〜23では、表3の成分及び接合条件で図9に示す様な熱交換器を作製し、耐圧試験および熱性能試験を実施した。熱交換器の作製方法は、表3に示す成分で、厚さ0.5mmで□50×50mmの大きさの板に□5×35mmの穴を2箇所開け、その間に溝幅0.3mmで、溝深さ0.3mmの流路用の溝を、0.3mm間隔で切削により加工した。この板を、90度方向に互い違いに20枚積層させ、その上下には厚さ5mmで□50×50mmの平坦な板で挟み込み、表3に示す接合条件で接合した。その後、20×50mmの四面に、M10×P0.75の内ねじを機械加工し、流路用配管にφ10mmで肉厚1mmのSUS304管にM10×P0.75のねじを加工したものをねじ込んだ。耐圧試験の評価は以下の通りである。
<耐圧試験>
作製した熱交換器を利用し、微細な流路に熱交換用の流体を模した窒素ガスを流し、水中で5分間、ガス圧の漏れ有無の確認を行った。加圧した窒素ガス圧力は0.1MPa、1MPa、5MPa、10MPaの4条件である。これらの条件で、実施例40、41、比較例20〜23の熱交換器を3個ずつ作製し、それぞれのガス圧で漏れ無しを○、漏れ有りを×として評価した。全てのガス圧で漏れのない熱交換器を判定○として、漏れがあった熱交換器を×と判定した。
実施例40、41による熱交換器では、いずれのガス圧でも窒素ガスの漏れは生じなかった。
これに対し、比較例20の拡散接合法による製造方法では、1MPa以上の高ガス圧力になると接合部分からガスの漏れが生じ、また、比較例21の拡散接合による製造方法では、0.1MPaの低圧力でもガス漏れが生じていた。
また、作製した熱交換器を使用し、一方の流路には、ポンプにより冷却水(入口温度条件:20±1℃)を、他方の流路には加熱水(温度条件:60±1℃)を流し、一方の流路における冷却水が加熱される温度を測定することで、熱交換量の測定を行った。図12(a)は実施例40の冷却水流量と熱交換量の関係を示すグラフであり、図12(b)は実施例41の冷却水流量と熱交換量の関係を示すグラフである。図に示すように、加熱水の流量増加に伴って熱交換量が上昇する傾向があり、十分な熱交換量を備えていた。なお、実際使用する熱交換器は、実施例の伝熱面積より大きく設計されるので、熱交換器として優れた性能がある。
図12(c)は比較例22の冷却水流量と熱交換量の関係を示すグラフであり、図12(d)は比較例23の冷却水流量と熱交換量の関係を示すグラフである。図に示すように溝の断面積が4mmと大きい場合、熱交換量が著しく低くなっていた。
本発明は、微細な流路構造を有する熱交換器、及び、その製造方法に好適である。
1 熱交換器
2 アルミニウム合金板
3 溝
4 流路
5 熱交換装置
6 冷却側流路用口金
7 加熱側流路用口金
8 冷却側流路
9 加熱側流路
10 フタ
11 流路用溝板

Claims (9)

  1. Mgを0.3〜2.0mass%と、Siを1.5〜3.5mass%、または、Cuを1.5〜14.0mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、断面積1mm2以下の流路であり、外壁からの間隔が0.1mm以上であり、流路間隔が0.1mm以上である、ことを特徴とする熱交換器。
  2. 前記アルミニウム合金は、さらにMnを0.02〜2.0mass%、Crを0.02〜0.2mass%、Niを0.02〜2.3mass%、Tiを0.02〜0.3mass%、Zrを0.02〜0.5mass%のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記アルミニウム合金には、長径3μm以上の球状の共晶組織が10個〜3000個/mm存在する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記流路の内壁面には継ぎ目がない、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. Mgが0.3〜2.0mass%と、Siが1.5〜3.5mass%、または、Cuが1.5〜14.0mass%とを含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板をその板の厚さ方向に複数枚積層する積層工程と、
    積層されたアルミニウム合金板を加熱して接合する接合工程と、を備え、
    前記積層工程では、その表面に微細な溝が形成された前記アルミニウム合金板を少なくとも1枚配置し、
    前記接合工程では、接合温度をアルミニウム合金板の全質量に対するアルミニウム合金板内に生成する液相の質量の比が5%を超え35%以下となる温度とし、前記アルミニウム合金板の寸法変化が5%以下である、ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
  6. 前記アルミニウム合金に、さらにMnを0.02〜2.0mass%、Crを0.02〜0.2mass%、Niを0.02〜2.3mass%、Tiを0.02〜0.3mass%、Zrを0.02〜0.5mass%のうち1種または2種以上を含有する合金を用いることを特徴とする請求項5に記載の熱交換器の製造方法。
  7. 前記接合工程では、長径3μm以上の球状の共晶組織が断面で10個〜3000個/mm存在するように接合する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の熱交換器の製造方法。
  8. 前記接合工程では、前記アルミニウム合金板が固相線温度以上となる時間を20分以内とする、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
  9. 前記接合工程では、前記アルミニウム合金が液相率5%以上の温度域にある時間を10秒以上とする、ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
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