JP2012117318A - 可動式覆蓋及び可動式覆蓋の設置構造 - Google Patents

可動式覆蓋及び可動式覆蓋の設置構造 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術の問題に鑑み、蓋本体の変形による車輪の間隔の変化が生じても、可動性能が低下しない可動式覆蓋を提供することを目的とした。
【解決手段】水槽50の上部に形成された開口部51を覆って閉塞可能な小型覆蓋本体2と、小型分割蓋体2を移動させることが可能な車輪7とを有した可動式覆蓋1であって、小型分割蓋体2は一対の小型蓋体本体10、11と、接続部材12を備えており、それぞれの小型蓋体本体10、11は接続部材12によって一方に対して相対的に回動可能に接続されており、小型覆蓋本体2が水槽又50を覆う際には、開口部51に対して前記接続部材12が上方の位置になるように小型蓋体本体10、11が傾斜している。
【選択図】図1

Description

本発明は、車輪等の移動手段を備えた可動式覆蓋及び可動式覆蓋の設置構造に関するものである。
従来、水処理施設には施設の目的や用途に応じて覆蓋が設けられている。例えば、浄水施設における水槽等(ろ過池など)の覆蓋は、主に水槽内における藻類の発生防止や、鳥類の糞やゴミの飛来防止等を目的として設置されている。また、下水処理施設における水槽等(沈砂池など)の覆蓋は、主に防臭や水槽内への転落防止を目的として設置されている。
この種の覆蓋は、水槽内の状態(濾過状態や沈殿状態)を確認する場合や、水槽内部の保守点検を行う場合、あるいは一般の見学者が水処理施設内を見学する場合などに開放する必要がある。特に見学者が施設内を見学する場合には、対象となる水槽等が一時的に開放されるだけであるので、覆蓋は容易に開閉できる構成であることが望ましい。そこで、覆蓋に可動用の車輪のような移動手段を設けて適宜可動させる技術(可動式覆蓋)が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の覆蓋は、覆蓋に垂直車輪と水平車輪を取り付け、L型レール内で規制することによって、可動性向上を図っている。具体的には、レール部材が垂直部と水平部を有し、垂直部の外側(レール部材に対して水槽側を内側とする)に覆蓋の車輪を配置して、その車輪が水平部の上を転がる構成とされている。
特開2010−24716号公報
特許文献1の構造では、施工時はレール間隔に対し車輪間隔を狭く製作して、レール内面と車輪に、ある程度隙間を空けて設置することにより可動性を良くしている。しかし、覆蓋が大型化すると、覆蓋の天面壁が自重や外力(例えば、積雪等)などにより撓み覆蓋の全体形状が変形してしまう場合がある。また、覆蓋を設置後の年月の経過により覆蓋の全体形状が変形してしまう場合もある。覆蓋の形状が変形し蓋が広がると、車輪がレール内面に当たり始め、徐々に可動性能が悪くなる場合があった。
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、蓋本体の変形による車輪の間隔の変化が生じても、可動性能が低下しない可動式覆蓋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、水槽又は水路の上部に形成された開口を覆って閉塞可能な覆蓋本体と、覆蓋本体を移動させることが可能な車輪部とを有した可動式覆蓋であって、覆蓋本体は一対の分割蓋体と接続部材を備えており、それぞれの分割蓋体は接続部材によって一方に対して相対的に回動可能に接続されており、覆蓋本体が水槽又は水路の開口を覆う際には、当該開口に対して前記接続部材が上方の位置になるように分割蓋体が傾斜していることを特徴とする可動式覆蓋である。
かかる構成によれば、それぞれの分割蓋体は接続部材によって一方に対して相対的に回動可能に接続されており、覆蓋本体が水槽又は水路の開口を覆う際には、当該開口に対して前記接続部材が上方の位置になるように分割蓋体が傾斜しているため、蓋本体の変形による車輪の間隔の変化が生じても、分割蓋体の回動による分割蓋体の傾斜が間隔の変化による水平反力を緩和し、可動性能が低下しない。
請求項1に記載の可動式覆蓋において、車輪部は、各分割蓋体の接続部材と対向する端部側に配されるものであって、覆蓋本体が水槽又は水路を覆う際には、接続部材を間に対向する関係の車輪部同士の間隔は、下方に向けて拡幅されていることが好ましい(請求項2)。
また、請求項1又は2に記載の可動式覆蓋において、覆蓋本体の形状は一対の分割蓋体によって逆V字形状となっていることが好ましい。(請求項3)
なお、ここでいう逆V字状とは、厳密な意味での逆V字状のみを意味するものではなく、逆V字状が多少変形されているものも含む概念である。例えば、逆U状、逆W状などの形状も含まれる。
請求項4に記載の発明は、接続部材は一対の分割蓋体の回動を規制する回動止めを有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可動式覆蓋である。
かかる構成によれば、接続部材は一対の分割蓋体の回動を規制する回動止めを有しているため、一対の分割蓋体が一方に対して回動し、可動式覆蓋が広がりすぎることを防止できる。
請求項5に記載の発明は、一対の分割蓋体のそれぞれの上面に覆蓋本体の設置を補助する係合部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可動式覆蓋である。
かかる構成によれば、一対の分割蓋体のそれぞれの上面に覆蓋本体の設置を補助する係合部材を有するため、可動式覆蓋の設置が容易である。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の可動式覆蓋と、可動式覆蓋の移動方向に伸延したレールとを備えており、車輪部の走行部は凹状であり、車輪部の走行部の凹状部分にレールが嵌った状態で走行部が回転して、覆蓋本体の移動が可能であることを特徴とする可動式覆蓋の設置構造である。
かかる構成によれば、車輪の走行部は凹状であり、車輪の走行部の凹状部分にレールが嵌った状態で車輪が回転して、覆蓋本体の移動が可能であるため、車輪のレールからの脱線を防止できる。
請求項6に記載の可動式覆蓋の設置構造において、車輪部の走行部は断面形状がV字状であり、レールは断面形状が山形であることが好ましい。(請求項7)
ここでいうV字状とは、厳密な意味でのV字状のみを意味するものではなく、V字状が多少変形されているものも含む概念である。例えば、U状、W状などの形状も含まれる。
請求項8に記載の発明は、隣り合う覆蓋本体が内外となるようにして可動式覆蓋が複数用いられており、それらに対応するレールが少なくとも2組以上設置されており、内外の可動式覆蓋が独立して移動可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の可動式覆蓋の設置構造である。
かかる構成によれば、隣り合う覆蓋本体が内外となるようにして可動式覆蓋が複数用いられており、それらに対応するレールが少なくとも2組以上設置されており、内外の可動式覆蓋が独立して移動可能であるため、隣り合う覆蓋本体が一方に対して内側或いは外側に一部又は全部を収納することが可能となり、可動式覆蓋の開閉が容易である。
請求項8に記載の可動式覆蓋の設置構造を採用する場合においては、内外の可動式覆蓋に対応するレールの設置位置の高さが異なることが好ましい。(請求項9)
本発明の可動式覆蓋によれば、それぞれの分割蓋体は接続部材によって一方に対して相対的に回動可能に接続されており、覆蓋本体が水槽又は水路の開口を覆う際には、当該開口に対して前記接続部材が上方の位置になるように分割蓋体が傾斜しているため、蓋本体の変形による車輪の間隔の変化が生じても、分割蓋体の回動による分割蓋体の傾斜が間隔の変化による水平反力を緩和し、可動性能が低下しない。
本発明の第1実施形態に係る可動式覆蓋を示す正面図である。 図1に示す可動式覆蓋の設置構造を示す斜視図である。 図1に示す可動式覆蓋の開動作を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係る可動式覆蓋の小型分割蓋体を示す分解斜視図である。 図4の接続部材近傍を示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る可動式覆蓋を示す分解斜視図である。(但し、簡略化のため、板部材を除く) 車輪とレールの位置関係を示す説明図である。(a)車輪とレールの要部拡大正面図、(b)(a)のA−A断面図である。 図7の小型分割蓋体の車輪とレールの位置関係をさらに拡大した要部拡大正面図である。 本発明の第1実施形態に係る小型分割蓋体を示す平面図である。(但し、簡略化のため、板部材を除く) 本発明の第1実施形態に係る小型分割蓋体の説明図である。 支持部材の設置位置を示す斜視図である。 支持部材の設置位置を示す拡大斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る小型分割蓋体の斜視図である。(但し、簡略化のため、板部材を除く) 接続部材の説明図である。(a)設置時、(b)覆蓋が変形等により蓋が広がった時である。 本発明の第1実施形態に係る可動式覆蓋の説明図である。 本発明の第1実施形態に係る可動式覆蓋の開状態の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る可動式覆蓋の斜視図である。 第2実施形態のレールを示す要部拡大正面図である。 第2実施形態のレールを示す要部拡大斜視図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置(図1)を基準に説明する。
本実施形態の可動式覆蓋1は、図1、2に示すように、水処理施設(下水処理場や浄水場等)における水槽50の開口部51の上側に配されるもので、大きさの異なる複数の可動式の覆蓋によって構成されている。
可動式覆蓋1は、小型覆蓋本体2と、その小型覆蓋本体2より大きい大型覆蓋本体3を有している。そして、小型覆蓋本体2及び大型覆蓋本体3は、それぞれ複数の車輪部材6を備えており、それぞれ独立して一定の方向に移動が可能である。また、可動式覆蓋1の長さ方向(図1左右方向)の両側が、水槽50の両側の縁52、53に配置されている。
水槽50の開口部51を閉鎖する時には、この可動式覆蓋1は、図2に示すように小型覆蓋本体2及び大型覆蓋本体3を車輪部材6の走行方向に隣り合う位置に配置し、水処理施設における水槽50の開口部51を覆っている。即ち、可動式覆蓋1により、飛来物や鳥のような動物が水槽内に落下することを防止でき、さらに下水処理場においては水槽から発生する異臭が周囲に拡散することを防止できる。
また、本実施形態の可動用覆蓋1は、図3のように大型覆蓋本体3の下方の位置に小型覆蓋本体2を移動させて、小型覆蓋本体2を収納することにより、水槽50を開放した状態にすることができる。これにより、水処理施設における水槽50の内部の状態を確認することができる。
水槽50には水55が流れているか、もしくは溜まっており、水槽50の縁52、53付近には、図2のように可動用覆蓋1を支持する支持部材5が設けられている。
以下、各構成部材について説明する。まず、小型覆蓋本体2について説明する。
小型覆蓋本体2は、図1に示すように、互いに接続された一対の小型分割蓋体10、11と、その接続部分に位置する接続部材12と、小型分割蓋体10、11のそれぞれの端部付近に位置する車輪部材6とによって構成されており、支持部材5上を車輪部材6の車輪7が回転することによって水槽50の開口部51の上方を開閉可能とされている。
小型分割蓋体10、11は、繊維強化樹脂(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)でその一部又は全体を形成されている。そのため、金属製の覆蓋等に比べて耐腐食性が高いという利点がある。またさらに、軽量化と同時にたわみ等に対する剛性を高くすることができるという利点もある。
また、小型覆蓋本体2設置時における小型分割蓋体10の縁52側端部15(図1左側)とそれと対向する小型分割蓋体11の縁53側端部16(図1右側)間の距離(即ち小型覆蓋本体2の全長)は、水槽50の開口部51の幅よりも長く、使用時には水槽50を覆うことができる。
小型分割蓋体10と小型分割蓋体11は、接続部材12を対称軸として左右対称の関係にあり、ほぼ同様の構成である。そこで、以下の説明では特に断りの無い限り、小型分割蓋体10について説明し、小型分割蓋体10と共通する部材については小型分割蓋体11の説明を省略する。
小型分割蓋体10は、図4に示されるように、板部材17と骨格部材18とを有しており、板部材17と骨格部材18とを固定して製作される。
板部材17は略長方形状の平板である。また、板部材17の長さは、骨格部材18の縦板21の長さに合わせられ、板部材17の幅は、骨格部材18の横板20の長さに合わせられている。
また、板部材17の短手方向の両外側には共に小型覆蓋本体2を搬送する係合部材32を備えている。
係合部材32は吊り輪形状のものであり、例えばアイボルトなどが挙げられる。この係合部材32によって、小型覆蓋本体2の施工を容易としている。
骨格部材18は、4本の縦板21と、縦板21同士を接続するように配置される複数の横板20とを有している。縦板21の向きはそれぞれの縦板21同士が互いに平行となるように配置されており、また、横板20の向きはそれぞれの横板20同士が互いに平行となるように配置されている。即ち、骨格部材18の形状は略格子状となっている。
縦板21は図4、5のように、それぞれの接続部材12側の端部付近に6つの孔を有している。孔は長手方向に3行2列の開口であり、ボルト37の軸を挿入可能である。
また、図4、5のように、それぞれの縦板21は接続部材12側端部に傾斜部39と前記傾斜部39の略中央位置に円弧状の切り欠き部40を有している。
傾斜部39は、図5のように縦板21の短手方向に対して10度〜60度傾斜している。小型分割蓋体10、11の切り欠き部40は互いに対となっており、それらの切り欠き部40同士を突き合わせることで切り欠き部40は円形に近い形状となる。切り欠き部40同士を突き合わせたときに形成される切り欠きの大きさは固定棒25の軸部31の外径よりも大きく、接続板22の開口36よりも大きい。
また、4枚の縦板21の内、両外側に設けられた外側縦板24には、車輪取付けリブ29が設けられている(図1、7)。即ち外側縦板24の外面側には、当該外側縦板24の表面(外側縦板24の側面)に対して垂直に車輪取付けリブ29が立設されている。
車輪取付けリブ29は、図1、図7等に示すように、小型覆蓋本体2を水槽50に装着した状態を基準として斜め方向に延びている。より具体的には、車輪取付けリブ29は、下端側が外側縦板24の端部側に向かうように斜め方向に延びている。
接続部材12に目を移すと、接続部材12は小型分割蓋体10、11を互いに接続する部材であり、小型分割蓋体10、11を互いに折れ曲がり自在に規制する部材である。図5、6のように接続部材12は接続板22と固定棒25を備えている。
接続板22は図5のように長方形状の固定部45とその固定部45の短辺に略半円状の接続部46を有している。接続板22の材質としてはステンレス鋼などが用いられる。
また、接続板22は、固定部45に6つの孔を有している。孔は長手方向に3行2列の開口であり、ネジ等の接続部材の軸を挿入可能である。また孔の間隔は縦板21の孔の間隔と一致している。
接続板22は固定部45と接続部46の両方に亘り円形の開口36を有している。接続板22の短手方向の長さは縦板21の短手方向の長さとほぼ一致している。開口36の大きさは固定棒25の軸部の外径とほぼ同じかやや大きい。
固定棒25は図5、6のように円板状の頭部30と円柱状の軸部31を有している。頭部30の外径は接続板22の開口36の外径よりも大きい。軸部31の外径は接続板22の開口36に挿入可能な大きさであり、その長さは、小型分割蓋体10の短手方向(横板20の長手方向)の長さよりも大きい。固定棒25としてはステンレス鋼管などが用いられる。
また、車輪部材6に目を移すと、車輪部材6は、図6、図7、図8に示されるように、車輪7及び車輪保持部材26からなっている。そして、車輪保持部材26によって小型分割蓋体10、11を支えながら、その状態で車輪7を回転させることにより、可動式覆蓋1をスムーズに移動させることができるものである。
また、車輪保持部材26は車輪取付けリブ29に取り付けられている。即ち車輪保持部材26は、一対の板であり、車輪取付けリブ29を挟み込み、図示しないボルト等によって車輪取付けリブ29に固定されている。
また、車輪保持部材26の先端は、車輪取付けリブ29から張り出している。そして当該張り出し部分によって車輪7が保持されている。
従って、図1、図7等に示すように、小型覆蓋本体2を水槽50に装着した状態を基準とすると、車輪7の走行面が傾斜方向に面している。
そして、図7、図8に示されるように、車輪7は車輪保持部材26と一体となって垂直方向に対して傾斜している。この傾斜の向きは、車輪7の回転軸が小型覆蓋本体2の内側に対して小型覆蓋本体2の外側の方が上方の位置となる方向である。
車輪部材6は、図9のように1枚の小型分割蓋体10、11に対して各車輪取付けリブ29に2個ずつ、合計4個設けられている。
また、図10に示すように、車輪7の水平方向に対する傾斜角δの範囲は10°以上、80°以下が望ましく、更に望ましくは30°以上、60°以下である。そして、この範囲以外では、車輪7の脱輪が発生しやすくなる場合や小型分割蓋体10、11などの重みを支えきれない場合が発生してしまう。
車輪7の走行部8は、図8のように凹状であり、走行部8の凹みにレール60が嵌っている状態で接触している。そのため、レール60が車輪7の走行部8の凹状部分に嵌った状態で車輪7を回転させることができる。したがって、可動式覆蓋1を移動させる際には、車輪7がレール60に誘導されるため、可動式覆蓋1のスライド方向を安定させることができる。
また、走行部8の凹んだ部分の形状は、車輪7の平面での断面形状がV字状となる形状である。なお、このV字状とは、厳密な意味でのV字状のみを意味するものではなく、V字状が多少変形されているものも含む概念である。例えば、U字状、W字状などの形状を含まれる。走行部8の凹んだ部分の形状がV字状であるため、走行時に自動調心機能を有する。
また、支持部材5に目を移すと、支持部材5は、図11のように固定部材61とレール60とを備えている。
固定部材61は、図12のように断面形状が略L字状の剛体であり、固定部材61の上部に位置する上部固定部65と下部に位置する下部固定部66を有している。固定部材61は図11のように縁52、53に沿って長尺状に伸延しており、水槽50の車輪7設置側の辺の一部又は全部に配されている。
レール60は略山形の形状をしており、図11、12のように固定部材61の角部を固定部材61の長手方向に一部又は全部覆っている。レール60には山型レールなどが用いられる。
レール60の方向は、可動式覆蓋1の移動する方向に合わせられるように、水平方向に設置されるものであり、水槽50の縁52、53に沿っており、また小型覆蓋本体2の幅方向でもある。レール60aと60bは互いに平行となっている。
レール60aは下部固定部66の水槽50側の上部の角部67を覆うように配されており、レール60bは上部固定部65の水槽50側の上部の角部68を覆うように配されている。即ち、レール60は、図11のように車輪設置側の水槽50の縁52、53付近に支持部材5の上部固定部65と下部固定部66とに設けられ、下側に配置されるレール60aは、内側に配置される小型覆蓋本体2用のものであり(水槽側)、上側に配置されるレール60bは、外側に配置される大型覆蓋本体3用のものである。また、レール60a、60bは固定部材61の角部67、68に沿って長尺状に伸延しており、固定部材61の角部67、68の一部又は全部に配されている。
ここで、小型覆蓋本体2の組み立て構造について図面を参照しながら説明する。
接続部材12近傍では、図5のように縦板21と接続板22が係合し、縦板21の孔と接続板22の孔にボルト37を挿入されてナット38で固定されている。また、小型分割蓋体10、11の縦板21の傾斜部39同士が一部又は全部が係合された状態で、図5、6のように小型分割蓋体10、11の切り欠き部40と小型分割蓋体10、11の接続板22に亘り固定棒25が挿入されている。即ち、図13のように、その固定棒25は小型分割蓋体10、11の縦板21に取り付けられた全ての接続板22に亘り挿入されている。
それ故に小型分割蓋体10、11が外側に移動する方向に力がかかった場合、即ち図14(a)から14(b)のように所定の角度以上小型分割蓋体10、11が広がった場合でも、小型分割蓋体10、11の傾斜部39同士の突き合わせにより、かかる変形を阻止することが可能であり、車輪7の脱輪が発生しにくい。
図10に示される小型分割蓋体10と小型分割蓋体11を接続した際に形成される傾斜角θの範囲は120°以上、180°以下が望ましく、更に望ましくは140°以上、160°以下である。
小型分割蓋体10では、図4に示されるように、骨格部材18の上に板部材17が重ね合わさっており、板部材17と骨格部材18はボルトや接着剤等で固定されている。
以上が、小型覆蓋本体2の説明である。
次に大型覆蓋本体3について説明する。なお、以下の説明においては、小型覆蓋本体2と共通する部材については説明を省略し、同じ番号を使用する。
大型覆蓋本体3は、図1に示されるように、小型覆蓋本体2と同様の構成を備えており、大きさを変えたものである。
大型覆蓋本体3は小型覆蓋本体2と同様、互いに接続された一対の大型分割蓋体62、63と、その接続部分に位置する接続部材12と、大型分割蓋体62、63の端部付近に位置する車輪部材6とによって構成されており、水槽50の開口部51を支持部材5によって開閉可能とされている。
大型分割蓋体62、63は、繊維強化樹脂(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)でその一部又は全体を形成されている。そのため、金属製の覆蓋等に比べて耐腐食性が高いという利点がある。またさらに、軽量化と同時にたわみ等に対する剛性を高くすることができるという利点もある。
小型覆蓋本体2の小型分割蓋体10、11と大型覆蓋本体3の大型分割蓋体62、63を比較すると、大型分割蓋体62、63は小型分割蓋体10、11に比べて、全体的に大型である。
具体的には、大型分割蓋体62、63は、走行方向の幅は小型分割蓋体10、11の走行方向長さとほぼ同じであり、図1に示すように大型分割蓋体62、63の長さ及び高さが小型分割蓋体10、11の長さ及び高さより大きい。より具体的に説明すると、水槽50の開口部51を覆い、図15で示される支持部材5に設置時の大型覆蓋本体3全体の長さL(即ち端部15から端部16)と高さH(車輪部材6の底面から接続部材12の頂点)は、小型覆蓋本体2全体の長さlと高さhより大きい。
また、小型分割蓋体10、11の各車輪取付けリブ29に設けられる車輪7同士の距離は、内側に配置される小型覆蓋本体2と、外側に配置される大型覆蓋本体3とでは異なる。すなわち、内側に配置される小型覆蓋本体2の車輪7の距離は、下側に配置されるレール60aの幅に合わせられ、上側に配置される大型覆蓋本体3の車輪7の距離は、上側に配置されるレール60bの幅に合わせられている。
可動式覆蓋1を設置する場合、図1、図7などに示されるように、車輪7をレール60上に載せて、車輪7の下側にレール60が配置されるようにしながら、接続部材12が水槽50の開口部51に対して上方に突出するように設置する。そうすると、可動式覆蓋1の自重は、車輪部材6で支えられる状態となり、作業者がレール60方向に可動式覆蓋1を押したり引いたりすることにより、車輪7が回転して可動式覆蓋1が走行し、容易に移動させることができる。
なお、可動式覆蓋1を移動させる場合の動力は、手動でも良く、また、空圧や油圧のシリンダーなどの公知の動力源を用いることもできる。
また、可動式覆蓋1には、内側に配置される小型覆蓋本体2と、外側に配置される大型覆蓋本体3とが設けられ、これらの車輪7は、別々のレール60a、60bに載せられて走行する。そのため、内外の小型覆蓋本体2と大型覆蓋本体3は独立して移動可能であり、小型覆蓋本体2と大型覆蓋本体3の位置を相対移動させることにより、小型覆蓋本体2と大型覆蓋本体3を重ねないでずらす位置関係にすることもでき、また、図16に示されるように、小型覆蓋本体2と大型覆蓋本体3を重ねて同じ位置にすることもできる。
したがって、水槽50の内部を確認する場合などには、図16に示されるような状態として簡単に開けることができる。
車輪部材6の車輪7は、図8のようにレール60に嵌っているので、可動式覆蓋1の移動を安定して行うことができる。また、車輪7の走行部8は、図1、2のように接続部材12が小型分割蓋体10、11よりも上方の位置になるように小型分割蓋体10、11が傾斜しており、さらに小型分割蓋体10、11の接続部材12側端部に傾斜部39を有している。それ故に、図14(b)のように例え小型分割蓋体10、11の傾きが小さくなるように変形し、小型分割蓋体10、11が外側に移動する方向に力がかかった場合でも、小型分割蓋体10、11の傾斜部39同士の突き合わせにより、かかる変形を阻止することが可能であり、車輪7の脱輪が発生しにくい。
また、レール60の断面形状は略山形であるので、傾斜角δが変化した場合にも、走行部8が嵌った状態を維持することができる。したがって、脱輪しにくく、製造の際に発生するバラツキなどにより、個々の傾斜角δが変化する場合に、特別な調整を行うことなく対応させることができる。
さらに、走行部8の平面での断面形状は逆V字状であるので、走行時に走行部8とレール60との接触状態を変化し難くすることができ、さらに自動調心機能を有する。
次に本実施形態の可動式覆蓋1の動作について説明する。
本実施形態の可動式覆蓋1は、車輪部材6の車輪7を走行させることで、水処理施設等の水槽に対して開閉できるものである。即ち、施設の管理者などが、可動式覆蓋1の車輪7の走行方向に外力等を加えることで、図3に示すように、当該可動式覆蓋1を水槽に対して相対的に移動させることができる。
上記した実施形態では、固定部材61上にレール60を敷き、その上に車輪7を移動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レール60を載せずに固定部材61の角部をレール60として使用してもよい。
上記した実施形態では、支持部材5の断面形状が略L字状のものを使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、断面形状が円弧状の高さの異なる円形レール81を用いても良い。具体的には第2実施形態として以下に詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
レール81は図17、19のように接触部82と支持部83を有している。接触部82は断面形状が略円形である丸棒状の部材であり、支持部83によって支えられている。また、車輪85の走行部86は図18のように断面形状が円弧状の凹みを有し、走行部86の凹みにレール81が嵌っている状態で接触している。
上記した実施形態では、小型覆蓋本体2と大型覆蓋本体3の2枚の開閉について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2枚以上の覆蓋にも適用できる。
上記した実施形態では水槽50の上方の位置で可動式覆蓋1を使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、水路の上方の位置でも可動式覆蓋1を使用できる。
1 可動式覆蓋
2 小型覆蓋本体(覆蓋本体)
3 大型覆蓋本体(覆蓋本体)
7 車輪(車輪部)
8 走行部
10 小型分割蓋体(分割覆蓋)
11 小型分割蓋体(分割覆蓋)
12 接続部材
32 係合部材
39 傾斜部(回転止め)
50 水槽
51 開口部(開口)
60 レール
62 大型分割蓋体(分割覆蓋)
63 大型分割蓋体(分割覆蓋)

Claims (9)

  1. 水槽又は水路の上部に形成された開口を覆って閉塞可能な覆蓋本体と、覆蓋本体を移動させることが可能な車輪部とを有した可動式覆蓋であって、
    覆蓋本体は一対の分割蓋体と接続部材を備えており、
    それぞれの分割蓋体は接続部材によって一方に対して相対的に回動可能に接続されており、
    覆蓋本体が水槽又は水路の開口を覆う際には、当該開口に対して前記接続部材が上方の位置になるように分割蓋体が傾斜していることを特徴とする可動式覆蓋。
  2. 車輪部は、各分割蓋体の接続部材と対向する端部側に配されるものであって、
    覆蓋本体が水槽又は水路を覆う際には、接続部材を間に対向する関係の車輪部同士の間隔は、下方に向けて拡幅されていることを特徴とする請求項1に記載の可動式覆蓋。
  3. 覆蓋本体の形状は一対の分割蓋体によって逆V字形状となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可動式覆蓋。
  4. 接続部材は一対の分割蓋体の回動を規制する回動止めを有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可動式覆蓋。
  5. 一対の分割蓋体のそれぞれの上面に覆蓋本体の設置を補助する係合部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可動式覆蓋。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の可動式覆蓋と、可動式覆蓋の移動方向に伸延したレールとを備えており、
    車輪部の走行部は凹状であり、車輪部の走行部の凹状部分にレールが嵌った状態で走行部が回転して、覆蓋本体の移動が可能であることを特徴とする可動式覆蓋の設置構造。
  7. 車輪部の走行部は断面形状がV字状であり、レールは断面形状が山形であることを特徴とする請求項6に記載の可動式覆蓋の設置構造。
  8. 隣り合う覆蓋本体が内外となるようにして可動式覆蓋が複数用いられており、それらに対応するレールが少なくとも2組以上設置されており、内外の可動式覆蓋が独立して移動可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の可動式覆蓋の設置構造。
  9. 内外の可動式覆蓋に対応するレールの設置位置の高さが異なることを特徴とする請求項8に記載の可動式覆蓋の設置構造。
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