JP2012116808A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯科用硬化性組成物の重合に伴う体積収縮を更に改善し、重合に伴う体積膨張も可能とする。
【解決手段】(I)オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物と、(II)カチオン重合開始剤と、を含み、(I)オキセタン化合物として、前記オキセタン環を含む官能基が下記一般式(i)で示される官能基を有するオキセタン化合物を少なくとも用いる歯科用硬化性組成物。
Figure 2012116808

〔前記一般式(i)中、Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用硬化性組成物に関するものである。
齲蝕や破折等により損傷をうけた歯牙の修復においては、修復作業の簡便さや審美性が高いことから、一般にコンポジットレジンと呼ばれる光硬化性の充填修復材料が用いられている。このようなコンポジットレジンは、通常、重合性単量体、フィラー(充填材)および重合開始剤からなる材料である。重合性単量体としては、その光重合性の良さから(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体が用いられている。
しかしながら、(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体は付加重合型のものである。このため、付加重合型のラジカル重合性単量体を用いたコンポジットレジンでは、その硬化機構に由来して本質的に重合収縮率が大きく、更に酸素による重合阻害を受け易いという問題を有している。また、修復を要する歯牙の窩洞に対して、コンポジットレジンを充填後、重合硬化させる際には、充填されたコンポジットレジンの表面、即ち、歯質から遠い位置から光を照射する必要がある。このため、コンポジットレジンの重合にともなう収縮が生じると、窩洞に充填されたコンポジットレジンと歯質との界面に間隙が形成されやすい。
このような問題を解決するために、オキセタン環を含む官能基を有するオキセタン化合物を用いた歯科用硬化性組成物が本出願人により提案されている(特許文献1、2参照)。ここで、特許文献1に示されるオキセタン環を含む官能基は、オキセタン環と、オキセタン環の3位に結合した1価の基および2価の基と、から構成される。そして、1価の基は、炭素数1〜10の1価のアルキル基等から構成され、2価の基は、オキセタン環の3位に結合するメチレン基と、このメチレン基に結合したエーテル結合を形成する酸素原子と、この酸素原子に結合する2価の芳香族炭素基と、から構成される。また、特許文献1,2に示されるオキセタン化合物を用いた歯科用硬化性組成物の重合収縮率は、0.4%〜3%程度であり、重合に伴う収縮が非常に小さいという特徴を有する。
特開2007−15946号公報(請求項1−3、表3、表4) 特開2007−31288号公報(請求項1、段落0031、表2、表3等)
これら特許文献1,2に示される歯科用硬化性組成物においては、重合に伴う収縮は、上述したようにかなり小さく抑えられている。しかしながら、重合収縮率を0.4%程度まで改善しても、窩洞内に充填された歯科用硬化性組成物の硬化物と、窩洞の内壁面との間に、剥離しようとする力が作用し、密着性が低下することは避けられない。それゆえ、従来の歯科用硬化性組成物と比べて、改善がなされたと言えども、硬化物と窩洞との界面に隙間が形成されたり、硬化物が、窩洞内から脱落してしまう可能性が残る。これに加えて、硬化物と窩洞との界面に隙間が形成された場合、この隙間から細菌が侵入して細菌感染を招いてしまう可能性もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、重合に伴う収縮がさらに改善され、重合に伴う体積膨張も可能な歯科用硬化性組成物を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科用硬化性組成物は、(I)オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物と、(II)カチオン重合開始剤と、を含み、(I)オキセタン化合物として、前記オキセタン環を含む官能基が下記一般式(i)で示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を少なくとも用いることを特徴とする。
Figure 2012116808
〔前記一般式(i)中、Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。〕
本発明の歯科用硬化性組成物の一実施態様は、(II)カチオン重合開始剤が、光酸発生剤であることが好ましい。

本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施態様は、(III)エポキシ化合物をさらに含むことが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施態様は、(III)エポキシ化合物が、脂環式エポキシ基を有することが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施態様は、(III)エポキシ化合物が、(1)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、下記一般式(ii)で示される基が結合したエポキシ化合物、および、(2)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、5員環〜8員環の炭化水素環を構成する炭素原子が結合したシクロヘキセンオキシド環含有単位を、少なくとも2単位以上有するエポキシ化合物、から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物からなり、かつ、下式(1)を満たすことが好ましい。
・式(1) 90/1≧(a×A)/(b×B)≧45/55
〔前記式(1)中、aは、(I)オキセタン化合物1分子中に含まれる前記オキセタン環を含む官能基の平均個数を表し、Aは、歯科用硬化性組成物中に含まれる(I)オキセタン化合物のモル比率(モル%)を表し、bは、(III)エポキシ化合物1分子中に含まれるエポキシ基の平均個数を表し、Bは、歯科用硬化性組成物中に含まれる(III)エポキシ化合物のモル比率(モル%)を表す。〕
Figure 2012116808
〔一般式(II)中、RおよびRは、水素原子または置換基を有していても良い炭素数1〜13の炭化水素基であり、RおよびRの合計炭素数は2以上である。〕
本発明によれば、重合に伴う収縮がさらに改善され、重合に伴う体積膨張も可能な歯科用硬化性組成物を提供することができる。
一般式(i)で示される官能基の立体障害の一例を説明する模式説明図である。 一般式(i)で示される官能基を構成するオキセタン環が開環した後の状態を説明する模式説明図である。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、(I)オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物と、(II)カチオン重合開始剤と、を含み、(I)オキセタン化合物として、オキセタン環を含む官能基が下記一般式(i)で示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を少なくとも用いることを特徴とする。ここで、下記一般式(i)中、Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。
Figure 2012116808
本実施形態の歯科用硬化性組成物には、カチオン重合性単量体として、(I)オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物が1種類以上用いられる。そして、1種以上のオキセタン化合物のうちの少なくとも1種が、一般式(i)示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するものである。この一般式(i)に示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物は、この化合物を単独で用いて重合した際には体積膨張する特異性を有する。このため、本実施形態の歯科用硬化性組成物を重合させて硬化物を得る場合、特許文献1,2に示される歯科用硬化性組成物を用いた場合と比べて、重合に伴う収縮の発生をより一層抑制することができる。それゆえ、窩洞内に充填された歯科用硬化性組成物の硬化物と、窩洞の内壁面との間との密着性がさらに高まり、硬化物が窩洞内から脱落したり、硬化物と窩洞との界面に隙間が生じる問題が大きく改善できる。
また、本実施形態の歯科用硬化性組成物では、使用する全ての重合性単量体に対する、上記一般式(i)に示される官能基を分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物の配合割合が多い場合には、重合に伴い体積膨張させることも可能である。斯様に、窩洞内に充填された歯科用硬化性組成物が、重合により硬化物となる際に体積膨張が生じれば、硬化物が窩洞の内壁面を押圧することになる。したがって、この場合には、歯科用硬化性組成物の硬化物と窩洞との機械的な勘合力が高まり、上記硬化物は窩洞内から脱落防止効果や、硬化物と窩洞との界面の隙間の発生防止効果をより一層高めることができる。
なお、一般式(i)に示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物において、重合に伴う体積膨張が生じる理由は以下の通りであると推定される。まず、通常、重合性の化合物を重合させた場合、重合収縮と言われる負の体積変化を生じる。これは、重合前の分子(重合性単量体)同士が重合可能なように隣接した状態で存在している場合の距離(分子間距離)から、重合後には、分子と分子との結合部の距離(結合距離)まで近づくためである。一方、本実施形態の歯科用硬化性組成物において必須成分として用いられる一般式(i)示される官能基を有するオキセタン化合物は、分子構造上、次のような特徴を有する。
すなわち、一般式(i)示される官能基を有するオキセタン化合物は、分子運動の自由度の低いオキセタン環の3位に、分子運動の自由度の低い芳香族基を構成するベンゼン環あるいは複素環が直接結合した分子構造を有している。ここで、オキセタン環の3位にベンゼン環が直接結合している場合を例として説明すると、ベンゼン環の2位(または6位)の炭素原子に結合する水素原子(または置換基)と、オキセタン環の酸素原子に隣接する2つの炭素原子に結合する水素原子とは、非常に近接し、この部分で立体障害が生じる(図1参照)。なお、図1は、一般式(i)で示される官能基の立体障害の一例を説明する模式説明図であり、具体的には、一般式(i)に示す官能基が、オキセタン環の3位に、芳香族基として置換基を有さないフェニル基が直接結合した分子構造を有する場合における立体障害を説明する図である。
このため、オキセタン環と、芳香族基を構成するベンゼン環との炭素−炭素結合の回転が阻害される。すなわち、図1に示す例では、符号Bで示される炭素−炭素結合の矢印R方向への回転が阻害されることになる。したがって、オキセタン環が開環する前は、一般式(i)で示される官能基の分子運動の自由度が著しく制限されることになる。
一方、重合反応により、オキセタン環が開環すると、オキセタン環に由来する炭素−炭素結合および炭素−酸素結合の回転自由度が著しく向上する。このため、図2に例示したように、オキセタン環の3位の炭素原子と、芳香族基を構成するベンゼン環の炭素原子との結合(図中、符号Bで示される結合)の回転運動、言い換えれば、オキセタン環の3位に直接結合していたベンゼン環の回転運動を阻害していた立体障害が解消される。これに加えて、オキセタン環の開環によって、オキセタン環を構成していた原子間結合の回転自由度も著しく向上する。なお、図2は、一般式(i)で示される官能基を構成するオキセタン環が開環した後の状態を説明する模式説明図であり、具体的には、図1に示す分子構造を有する官能基のオキセタン環が開環した後の状態を示す図である。
それゆえ、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物を用いて、重合反応を行った場合、分子同士が重合して分子間距離から結合距離へと変化したにもかかわらず、重合前のオキセタン化合物よりも、重合後の重合体の単位構造(重合前のオキセタン化合物に相当する部分)の方が、全体として分子運動の自由度が飛躍的に向上する。言い換えれば、1分子当たりで比較した場合、重合前のオキセタン化合物の立体的嵩張りよりも、重合後の重合体の単位構造の立体的嵩張りの方がより大きくなる。それゆえ、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物を用いて重合を行った場合、重合に伴う体積膨張が発現するものと考えられる。
なお、特許文献1、2に示されるオキセタン環を有するオキセタン化合物を用いた歯科用硬化性組成物の重合収縮率は、0.4%〜3%程度であり、重合に伴う収縮が非常に小さいという特徴を有する。しかしながら、特許文献1、2に示される重合収縮率は、本実施形態の歯科用硬化性組成物を硬化(重合)させた際に体積収縮が生じた場合と比べれば大きく、さらに重合に伴う体積膨張は実現できていない。この理由は、オキセタン環を有する官能基の分子構造が、オキセタン環の3位に、芳香族基が直接結合した構造ではない。すなわち、オキセタン環の3位の炭素原子に結合する原子は、アルキル基やアルキレン基等を構成する炭素原子などのように、ベンゼン環の一部を構成する原子ではない。すなわち、図1に例示したような著しい立体障害が生じる余地が無い。このため、オキセタン環の3位に結合する基の分子運動の自由度は、オキセタン環に結合する3位の基が芳香族基である場合と比べて、高い。
したがって、重合時のオキセタン環の開環に起因する分子運動の自由度の増大は、一般式(i)に示す官能基では、(A)図1に例示したような立体障害の解消による芳香族基の分子運動の自由度の大幅な増大と、(B)オキセタン環の開環に由来する分子運動の自由度の増大との和であるが、特許文献1,2に示されるオキセタン環を含む官能基では、(B)オキセタン環の開環に由来する分子運動の自由度の増大のみである。このため、特許文献1、2に示されるオキセタン環を有するオキセタン化合物のみを用いた場合、重合に伴う体積収縮を非常に小さくすることはできても、体積膨張までは得られないものと推定される。
以上に説明した本実施形態の歯科用硬化性組成物は、一般式(i)に示す官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物と、カチオン重合開始剤とを、少なくとも含むものであればよいが、必要に応じて、エポキシ化合物や、その他の添加剤を用いることができる。以下に、本実施形態の歯科用硬化性組成物を構成する各成分についてより詳細に説明する。
−(I)オキセタン化合物−
本実施形態の歯科用硬化性組成物において用いられるオキセタン化合物は、オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有する。そして、使用するオキセタン化合物が1種類のみである場合には、オキセタン環を含む官能基が一般式(i)で示される官能基を有するオキセタン化合物が必ず用いられる。
一方、使用するオキセタン化合物が2種類以上である場合には、少なくとも1種のオキセタン化合物が、オキセタン環を含む官能基が一般式(i)で示される官能基を有するオキセタン化合物である。この場合、歯科用硬化性組成物中に含まれる、全てのオキセタン化合物の含有量A、および、後述するエポキシ化合物等のように必要に応じて用いられるオキセタン化合物以外の重合性単量体の含有量Bの合計量に対する一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物の含有量Cの比率(C/(A+B))は、重合収縮率が従来よりも更に小さい歯科用硬化性組成物を得る観点からは20質量%以上であることが好ましい。さらに、歯科用硬化性組成物を重合時の体積膨張率を0%を超えるように制御することが容易なものにする上では、比率(C/(A+B))は、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、2種類以上のオキセタン化合物を併用したり、および/または、エポキシ化合物等のようなオキセタン化合物以外の重合性単量体を併用することにより、歯科用硬化性組成物の粘度や、重合時の重合収縮率や体積膨張率を所望の範囲に調整したり、重合により得られた硬化物の屈折率等の諸物性を所望の範囲に調整することが容易となる。
なお、重合時の重合収縮率は小さいほど好ましく、具体的には0.25%以下であるのが好ましい。また、前記したように体積膨張する、すなわち、体積膨張率が0%を超えたものにすることもでき、この場合、体積膨張率は0.02%以上であることが特に好ましい。また、重合時の体積膨張率の上限は特に限定されないが、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。体積膨張率を3%以下とすることにより、窩洞内で体積膨張した硬化物が、歯牙を内側から強く押圧することにより、歯牙が破損しやすくなるのを抑制できる。
また、オキセタン環を含む官能基が一般式(i)で示される官能基であるか否かを問わず、オキセタン化合物は、その分子中に、オキセタン環を含む官能基を2つ以上有していてもよく、2つ有していることが好ましい。この場合、重合により得られる硬化体の強度を確保することが容易となる。また、オキセタン化合物が、その分子内に、オキセタン環を含む官能基を2つ以上有する場合、全てのオキセタン環を含む官能基が、一般式(i)で示される官能基であることが好ましい。また本実施形態の歯科用硬化性組成物においては、オキセタン環を含む官能基が一般式(i)で示される官能基であるか否かを問わず、使用するオキセタン化合物は、揮発性、組成物の操作性の観点からは、オキセタン環を含む官能基の官能基当量が150〜500g/molものが好ましく、更に常温で液状のものがより好ましい。
なお、一般式(i)において、Arは、置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。ここで、1価の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、および、ピリジニル基、キノリニル基等の芳香族複素環基から選択できる。中でも芳香族炭化水素基が好ましい。この芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環を1つ以上含むものであれば、特に制限なく利用でき、ベンゼン環数としては1個〜6個が好ましく、1個〜2個が好ましく、1個が最も好ましい。ここで、芳香族炭化水素基としては、1価の単環式芳香族炭化水素基(すなわちフェニル基)、および、芳香族炭化水素基を構成する全てのベンゼン環が互いに縮合した1価の縮合多環式芳香族炭化水素基、が挙げられる。なお、1価の縮合多環式芳香族炭化水素基としては、ナフチル基などが挙げられる。また、1価の芳香族基が、芳香族複素環基であり、かつ、複素環を構成するヘテロ原子が、水素原子または置換基を有さない場合、オキセタン環の3位と直接結合する複素環を構成する原子は、ヘテロ原子の両隣りの原子以外の原子であることが好ましい。たとえば、複素環がピリジンである場合、3位、4位、および、5位から選択されるいずれかの位置の炭素原子がオキセタン環の3位と直接結合することが好ましい。
また、置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル等の炭素数3〜8のシクロヘキシル基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基等の炭素数1〜3のアルキル基;メトキシ、エトキシ等の炭素数1〜3のアルコキシ基;フッ素、塩素等のハロゲン原子が好適である。芳香族炭化水素基に置換している、これら置換基の数は4個以下が好ましく、2個以下がより好ましい。
また、一般式(i)に示されるオキセタン環の3位には、芳香族基と、その他の原子団とが結合している。ここで、オキセタン環の3位に結合するその他の原子団の構造は特に限定されないが、オキセタン環の3位に結合する原子団が、メチレン基を構成する2つの水素原子の少なくとも一方を有機基で置換した基、あるいは、オキセタン環の3位に結合するメチレン基と、このメチレン基に、エーテル結合を形成するように結合した酸素原子とを含む基、などが挙げられる。ここで、一般式(i)に示されるオキセタン環を含む官能基と、当該オキセタン環の3位に結合する原子団とを含む分子構造としては、下記一般式(iii)で示される分子構造が好ましく、下記構造式1で示される分子構造がより好ましい。具体的には、下記に例示する、分子内に一般式(i)で示される官能基を1つ有するオキセタン化合物、または、分子内に一般式(i)で示される官能基を2個以上、好適には2個〜8個有するオキセタン化合物が挙げられる。
Figure 2012116808
Figure 2012116808
なお、一般式(iii)中、Arは、一般式(i)に示すArと同様の芳香族基であり、R、Rは水素原子または炭素数1〜10の有機基である。ここで、R、Rとして選択可能な炭素数1〜10の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ベンジル基、フェネチル基等のアルキル基または置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基等があげられ、このうち水素原子またはアルキル基がより好適であり、その中でも水素が最も好適である。また、RとRとは、同一であっても互いに異なっていてもよい。
ここで、分子内に、一般式(i)で示される官能基を1つ有するオキセタン化合物としては、たとえば、下記に例示される化合物群から選択できる。なお、下記に示す構造式において、「0−10」として示される数値範囲は、0〜10の整数のうち、いずれかの値を取り得ることを意味する。
Figure 2012116808
また、分子内に、一般式(i)で示される官能基を2つ以上有するオキセタン化合物としては、たとえば、下記に例示される化合物群から選択できる。なお、下記に示す構造式において、「1−20」として示される数値範囲は、1〜20の整数のうち、いずれかの値を取り得ることを意味する。なお、一般式(i)で示される官能基を1つ以上有するオキセタン化合物を用いるよりも、一般式(i)で示される官能基を2つ以上有するオキセタン化合物を用いることがより好ましい。
Figure 2012116808
また、本実施形態の歯科用硬化性組成物は、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物以外のオキセタン化合物を必要に応じて併用できる。このようなオキセタン化合物としては、公知のオキセタン化合物が利用できるが、たとえば、下記一般式(iv)に示される官能基を有するオキセタン化合物を利用することができる。
Figure 2012116808
ここで、一般式(iv)中、Arは、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基であり、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10の芳香族炭化水素基以外の有機基である。
一般式(iv)に示す官能基は、オキセタン環が、(オキセタン−3−イル)基として存在し、この基がメチレン基に結合しており、更にこのメチレン基が芳香族炭化水素基Arとエーテル結合で結ばれた構造を有している。ここで、一般式(iv)に示される官能基を有するオキセタン化合物は、その分子中に、一般式(iv)に示される官能基を少なくとも1個有していればよいが、硬化物の機械的強度の確保等の観点からは、2個以上有していることが好ましく、2個〜8個の範囲内で有していることがより好ましい。
ここで、Rで示される炭素数1〜10の有機基としては、上記炭素数の公知の芳香族炭化水素基以外の有機基が制限なく採用できるが、好適には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシアルキル基、フェニルオキシアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、10−ヒドロキシデシル基等が挙げられる。また、アルキルオキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エチルオキシメチル基、プロピルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、6−メチルオキシヘキシル基、6−エチルオキシヘキシル基、3−プロピルオキシヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜10のフェニルオキシアルキル基としては、フェニルオキシメチル基、2−フェニルオキシエチル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(4−メチルフェニル)オキシプロピル基等が挙げられる。このうち炭素数1〜10のアルキル基がより好適であり、特には炭素数1〜10のアルキル基、その中でもエチル基が最も好適である。
また、Arで示される2価の芳香族炭化水素基は、芳香族環としては炭素数6〜14のものが好ましく、具体的には、ベンゼン環のような単環式芳香族環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環のような縮合多環式芳香族環が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル等の炭素数3〜8のシクロヘキシル基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基等の炭素数1〜3のアルキル基;メトキシ、エトキシ等の炭素数1〜3のアルコキシ基;フッ素、塩素等のハロゲン原子が好適である。芳香族炭化水素基に置換している、これら置換基の数は4個以下、より好適には2個以下であるのが好ましい。
また、一般式(iv)に示す官能基を有するオキセタン化合物において、その分子内にエステル結合を有する場合、このオキセタン化合物を用いて得た歯科用硬化性組成物が、そのカチオン硬化時に湿潤条件に曝されると、カチオン重合開始剤として用いる酸の作用により、エステル結合が加水分解して硬化体の物性が低下する虞がある。したがって、一般式(iv)に示す官能基を有するオキセタン化合物は、その分子内に上述したエステル結合を有しないものであることが好ましい。このようなオキセタン化合物としては、たとえば、下記に例示する化合物群から選択できる。
Figure 2012116808
また、一般式(iv)に示す官能基を有するオキセタン化合物としては、一般式(iv)に示す官能基を構成するAr基に、下記一般式(v)に示す基が2つ以上結合した官能基を有するオキセタン化合物を用いることもできる。この場合、Ar基の価数は2以上である。
Figure 2012116808
なお、一般式(v)中、Rは、一般式(iv)に示すものと同様である。
ここで、一般式(v)で示される官能基を有するオキセタン化合物としては、たとえば、下記に例示する化合物群から選択できる。
Figure 2012116808
また、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物以外のオキセタン化合物としては、下記一般式(vi)に示されるオキセタン化合物が最も好ましい。
Figure 2012116808
ここで、一般式(vi)中、Rは、酸素または炭素数1〜13の2価の炭化水素基であり、uは0または1である。なお、uが0の場合、一般式(vi)に示される2つのベンゼン環は、直接単結合で結合する。ここで、炭素数1〜13の2価の炭化水素基としては、一般式(iv)に示す官能基として例示したものが有する2価の、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rとしては、酸素原子、または炭素数1〜13のアルキレン基が好ましく、酸素原子または炭素数1〜5のアルキレン基が最も好ましい。
また、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物以外のオキセタン化合物として、上記に例示したもの以外の一般式(v)に示す官能基を分子内に2個以上有するオキセタン化合物を用いることもできる。このようなオキセタン化合物としては、たとえば、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,2−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]エタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]プロパン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ブタン、1,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ペンタン、1,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ヘキサン、1,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ヘプタン、1,8−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]オクタン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ベンゼン、4,4′−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ビフェニール、2,2′−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ビフェニール、ジエチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、トリチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、テトラエチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、トリメチロールプロパントリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、あるいは、下記に示す化合物群が挙げられる。
Figure 2012116808
−(III)エポキシ化合物−
本実施形態の歯科用硬化性組成物には、重合時の重合速度(硬化速度)を制御する観点からエポキシ化合物を必要に応じて添加することが好ましい。カチオン重合性単量体としてオキセタン化合物に加えてエポキシ化合物を併用した場合、カチオン重合性単量体としてオキセタン化合物を単独で用いた場合と比べると、硬化速度をより向上させることができる。
ここで、エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を有する化合物であれば公知の化合物が利用できるが、カチオン重合活性が高いことから、シクロヘキセンオキシド基等の脂環式エポキシ基を有するものが好ましい。ここで、脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物としては、以下の(1)〜(3)に示すエポキシ化合物が挙げられる。以下に、(1)および(2)に示すエポキシ化合物について詳述した後、(3)に示すエポキシ化合物について詳述する。
(1)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、下記一般式(ii)で示される基が結合したエポキシ化合物。
(2)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、5員環〜8員環の炭化水素環を構成する炭素原子が結合したシクロヘキセンオキシド環含有単位を、少なくとも2単位以上有するエポキシ化合物。なお、このエポキシ化合物において、分子中に含まれるシクロヘキセンオキシド環含有単位は2〜8単位であることが好ましい。
(3)上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物以外の脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物。
Figure 2012116808
ここで、一般式(ii)中、RおよびRは、水素原子または置換基を有していても良い炭素数1〜13の炭化水素基であり、RおよびRの合計炭素数は2以上である。
なお、一般式(ii)で示される基の中心炭素原子(4価の炭素原子)、および、5員環〜8員環の炭化水素環を構成する個々の炭素原子は、これら炭素原子に結合する周囲の原子団が非常に嵩高い密な状態にある。このため、これらの炭素原子の結合手の一つが、シクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に結合することにより、シクロヘキセンオキシド環の配座が固定される。それゆえ、上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物におけるシクロヘキセンオキシド基およびその周囲の原子団の体積は、通常のシクロヘキセンオキシド基およびその周囲の原子団の体積よりも小さくなる。
一方、上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物において、シクロヘキセンオキシド環を構成するエポキシ環が開環すると、シクロヘキセンオキシド環は、比較的自由な配座をとりうるため、シクロヘキセンオキシド基およびその周囲の原子団の体積は増加する。上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物を、少なくとも一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物と組み合わせて得られた歯科用硬化性組成物は、エポキシ基の官能基当量が小さい場合であっても、極めて速やかにカチオン硬化することができる。これに加えて、重合収縮をより一層抑制した範囲で、硬化速度の制御の観点から使用できるエポキシ化合物の添加量をより多くすることも容易である。また、上記(1)に示すエポキシ化合物に含まれるシクロヘキセンオキシド環数が2個以上である場合、および、上記(2)に示す分子内にシクロヘキセンオキシド環を2個以上含むエポキシ化合物においては、硬化物の機械的強度をより向上させることができる。
上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物において、シクロヘキセンオキシド基が有していても良いその他の置換基としては、一般式(iv)に示す2価の芳香族炭化水素基Arの置換基として例示したものが挙げられ、特に、メチル基等の炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。なお、シクロヘキセンオキシド基に結合するこれら置換基の数は4個以下が好ましく、2個以下がより好ましい。
また、一般式(ii)中、RおよびRとして示される炭素数1〜13の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル等のシクロヘキシル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。炭素数1〜13の炭化水素基の置換基としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子や酸素原子が挙げられる。また、炭素数1〜13の炭化水素基は、シクロヘキセンオキシド基であっても良い。
およびRの合計炭素数は、一般式(ii)として示される基を嵩高いものにし、シクロヘキセンオキシド環を構成するエポキシ環の開環前の状態において、シクロヘキセンオキシド環の配座を固定させる硬化を発揮させるためには、2以上であることが好ましく、2〜10の範囲内がより好ましい。また、RおよびRのいずれか一方が水素原子である場合は、同様の観点から、RおよびRの合計炭素数は、3〜10の範囲内であることが好ましい。
なお、RおよびRとして示される2つの炭化水素基は、互いに結合して環を形成していても良い。
ここで、上記(1)に示すエポキシ化合物に含まれるシクロヘキセンオキシド環数が2個以上である化合物としては、たとえば、下記に例示する化合物群から選択できる。
Figure 2012116808
また、上記(2)に示すエポキシ化合物において、シクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に結合する炭素原子を備える炭化水素環としては、5員環〜8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。また、炭化水素環は、環を構成する炭素数が同じである環が2つ以上の縮環したものであってもよく、環を構成する炭素数が同じである環が2つ縮環したものであることが好ましい。炭化水素環としては、たとえば、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロペンテンオキシド環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキセンオキシド環等の脂環族炭化水素や、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素が挙げられる。
上記(2)に示すエポキシ化合物としては、たとえば、下記に例示する化合物群から選択できる。
Figure 2012116808
こうした周囲が嵩高い状態の炭素原子が結合するシクロヘキセンオキシド基の炭素原子は、製造の容易さからシクロヘキセンオキシド基の4位のものであるのがより好適である。さらに、これらエポキシ化合物も、硬化時の吸湿による硬化体の物性低下を抑制する観点から、前述のオキセタン化合物と同様に、分子内にエステル結合を有しないことが好ましい。
上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物の中でも、入手の容易さや、硬化速度の向上のために、多量に用いても、重合収縮率を小さくし、体積膨張率が0%を超えるものに制御するのも容易である観点からは、下記一般式(vii)に示すエポキシ化合物を用いることが特に好ましい。
Figure 2012116808
ここで、一般式(vii)中、R〜R24は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキル基であり、各々の基は同一または異なっていても良い。また、R25およびR26は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R25およびR26の合計炭素数は2以上である。また、mは0または1の整数である。
また、同様の理由から、上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物としては具体的には、下記に例示される化合物群から選択されたものが特に好ましい。
Figure 2012116808
以上に例示した上記(1)および(2)に示すエポキシ化合物は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、上記(1)に示すエポキシ化合物および上記(2)に示すエポキシ化合物から選択される少なくとも一方のエポキシ化合物を用いる場合、オキセタン化合物とエポキシ化合物との配合比率は特に限定されないが、重合反応に対する水分の影響を大幅に低減することができ、口腔内のような高湿度条件下でも硬化がより容易となる観点からは、下式(1)を満たすことが好ましい。
・式(1) 45/55≦(a×A)/(b×B)≦90/10
式(1)中、aは、オキセタン化合物1分子中に含まれる前記オキセタン環を含む官能基の平均個数を表し、Aは、歯科用硬化性組成物中に含まれるオキセタン化合物のモル比率(モル%)を表し、bは、エポキシ化合物1分子中に含まれるエポキシ基の平均個数を表し、Bは、歯科用硬化性組成物中に含まれるエポキシ化合物のモル比率(モル%)を表す。
ここで、硬化速度をより大きくしたい場合には、式(1)に示す範囲内において、(a×A)/(b×B)の値をより大きくすればよい。また、エポキシ化合物を併用した場合における重合時の重合収縮を十分に抑制する観点からは、(a×A)/(b×B)は、45/55〜80/20の範囲内がより好ましく、45/55〜70/30の範囲内がさらに好ましい。
次に、上記(3)に示すエポキシ化合物について説明する。本実施形態の歯科用硬化性組成物には、重合収縮をより一層抑制する本発明の目的が十分に確保できる範囲内で上記(3)に示すエポキシ化合物を必要に応じて添加することができる。この場合、重合時の収縮が激しくなることを抑制する観点から、上記(3)に示すエポキシ化合物の配合量は、歯科用硬化性組成物中に含まれる全カチオン重合性官能基の総和を100質量部とした場合に、30質量部以下とすることが好ましい。
上記(3)に示すエポキシ化合物としては、硬化活性が高いことから、脂環式のエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物が好ましい。このようなエポキシ化合物としては、たとえば、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)グルタレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピメレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)スベレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ゼレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)セバケート、1,4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシメチル)ビフェニル、メチルビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]フェニルシラン、ジメチルビス[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メチル]シラン、メチル[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メチル][2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]シラン、1,4−フェニレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、1,2−エチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]シラン、1,3−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,5−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、1,6−へキシレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、あるいは、下記に示す化合物群が例示できる。
Figure 2012116808
以上に例示した上記(3)に示すエポキシ化合物は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
−その他の重合性単量体−
本実施形態の歯科用硬化性組成物には、上述したオキセタン化合物やエポキシ化合物等のカチオン重合性単量体の他に、必要に応じて、(メタ)アクリレート系単量体等の付加重合型のラジカル重合性単量体を配合することも可能である。しかしながら、付加重合型のラジカル重合性は酸素により重合阻害をうけるため、あまり多量に配合することは好ましくない。ラジカル重合性単量体を配合する場合、その配合量は、カチオン重合性単量体の配合量およびラジカル重合性単量体の配合量の総和(100質量%)に対して、30質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましい。
このようなラジカル重合性単量体を具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
−(II)カチオン重合開始剤−
本実施形態の歯科用硬化性組成物において用いられるカチオン重合開始剤は特に限定されるものではなく、公知の如何なるカチオン重合開始剤でもよい。このようなカチオン重合開始剤としては、ルイス酸あるいはブレンステッド酸、または加熱や光照射によりルイス酸あるいはブレンステッド酸を生じる化合物などが知られている。口腔内などの環境で速やかに重合させることが容易な点で、光照射によりルイス酸あるいはブレンステッド酸を生じる、いわゆる、光酸発生剤を採用することが特に好適である。また、加熱により酸を生じる、いわゆる、熱酸発生剤を利用することも好ましい。
光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、ピリジニウム塩化合物、および、ハロメチル置換−S−トリアジン有導体等が挙げられる。
これらの中でも、ジアリールヨードニウム塩系化合物およびスルホニウム塩系化合物が、重合活性が特に高い点で優れている。ジアリールヨードニウム塩系化合物の具体例を例示すれば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−ドデシルフェニル)ヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなるジアリールヨードニウム塩系化合物が挙げられる。
これらのなかでも、重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネートをアニオンとして有する化合物が好適に使用できる。また、求核性が低く、光照射を行わなければ重合性単量体との混合物として安定に保存できる点で、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレートをアニオンとして有する化合物が好適に使用できる。
また、スルホニウム塩系化合物としては、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンとからなるスルホニウム塩系化合物が挙げられる。
これら光酸発生剤は必要に応じて、1種または2種以上混合して用いても何等差し支えない。これら光酸発生剤の使用量は、光照射により重合を開始しうる量であれば特に制限されることはないが、適度な重合の進行速度と得られる硬化体の各種物性(たとえば、耐候性や硬度)とを両立させるために、一般的にはカチオン重合性単量体100質量部に対し、0.001質量部〜10質量部の範囲内で用いることが好ましく、0.05質量部〜5質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
上記のような光酸発生剤は通常、近紫外域の波長〜可視域の波長には吸収の無い化合物が多い。このため、重合反応を励起するためには、特殊な光源が必要となる場合が多い。それゆえ、近紫外域の波長〜可視域の波長に吸収をもつ化合物を増感剤として、光酸発生剤に加えてさらに配合することが好ましい。
このような増感剤として用いられる化合物は、たとえばアクリジン系色素、ベンゾフラビン系色素、アントラセン、ペリレン等の縮合多環式芳香族化合物、フェノチアジン等が挙げられる。
これら増感剤のなかでも、重合活性が良好な点で、縮合多環式芳香族化合物が好ましく、さらに、少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物が好適である。
このような少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物を具体的に例示すると、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、アセナフテン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン、ベンゾ[f]フタラン、ベンゾ[g]クロマン、ベンゾ[g]イソクロマン、N−メチルベンゾ[f]インドリン、N−メチルベンゾ[f]イソインドリン、フェナレン、4,5−ジメチルフェナントレン、1,8−ジメチルフェナントレン、アセフェナントレン、1−メチルアントラセン、9−メチルアントラセン、9−エチルアントラセン、9−シクロヘキシルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエチルアントラセン、9,10−ジシクロヘキシルアントラセン、9−メトキシメチルアントラセン、9−(1−メトキシエチル)アントラセン、9−ヘキシルオキシメチルアントラセン、9,10−ジメトキシメチルアントラセン、9−ジメトキシメチルアントラセン、9−フェニルメチルアントラセン、9−(1−ナフチル)メチルアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−(1−ヒドロキシエチル)アントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラン、9−アセトキシメチルアントラセン、9−(1−アセトキシエチル)アントラセン、9,10−ジアセトキシメチルアントラセン、9−ベンゾイルオキシメチルアントラセン、9,10−ジベンゾイルオキシメチルアントラセン、9−エチルチオメチルアントラセン、9−(1−エチルチオエチル)アントラセン、9,10−ビス(エチルチオメチル)アントラセン、9−メルカプトメチルアントラセン、9−(1−メルカプトエチル)アントラセン、9,10−ビス(メルカプトメチル)アントラセン、9−エチルチオメチル−10−メチルアントラセン、9−メチル−10−フェニルアントラセン、9−メチル−10−ビニルアントラセン、9−アリルアントラセン、9,10−ジアリルアントラセン、9−クロロメチルアントラセン、9−ブロモメチルアントラセン、9−ヨードメチルアントラセン、9−(1−クロロエチル)アントラセン、9−(1−ブロモエチル)アントラセン、9−(1−ヨードエチル)アントラセン、9,10−ジクロロメチルアントラセン、9,10−ジブロモメチルアントラセン、9,10−ジヨードメチルアントラセン、9−クロロ−10−メチルアントラセン、9−クロロ−10−エチルアントラセン,9−ブロモ−10−メチルアントラセン、9−ブロモ−10−エチルアントラセン、9−ヨード−10−メチルアントラセン、9−ヨード−10−エチルアントラセン、9−メチル−10−ジメチルアミノアントラセン、アセアンスレン、7,12−ジメチルベンズ(a)アントラセン、7,12−ジメトキシメチルベンズ(a)アントラセン、5,12−ジメチルナフタセン、コラントレン、3−メチルコラントレン、7−メチルベンゾ(a)ピレン、3,4,9,10−テトラメチルペリレン、3,4,9,10−テトラキス(ヒドロキシメチル)ペリレン、ビオランスレン、イソビオランスレン、5,12−ジメチルナフタセン、6,13−ジメチルペンタセン、8,13−ジメチルペンタフェン、5,16−ジメチルヘキサセン、9,14−ジメチルヘキサフェン等が挙げられる。
また、上記以外の縮合多環式芳香族化合物としては、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ナフタセン、ベンズ[a]アントラセン、ピレン、ペリレン等が好適に用いられる。
これら縮合多環式芳香族化合物のなかでも、生体に対する為害性を考慮すると可視光で重合を励起することが可能となる、可視域の波長に吸収を有する化合物が好ましく、可視域に極大吸収を有する化合物がより好ましい。また、これら縮合多環式芳香族化合物は必要に応じて複数の化合物を併用しても良い。
縮合多環式芳香族化合物の添加量も、組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は上述した光酸発生剤1モルに対し、縮合多環式芳香族化合物を0.001モル〜20モルの範囲内で添加することが好ましく、0.005モル〜10モルの範囲内で添加することがより好ましい。
さらに、より一層重合活性が向上を向上させる観点から、上記縮合多環式芳香族化合物に加えて、酸化型の光ラジカル発生剤を配合することが好ましい。酸化型の光ラジカル発生剤は、光照射による励起によって活性ラジカル種を発生させる機構が酸化剤的な作用(自らは還元される)を有する化合物である。このような酸化型の光ラジカル発生剤としては、励起により水素供与体から水素を引き抜いてラジカルを生成するタイプ(水素引き抜き型のラジカル発生剤)、励起により自己開裂を起こしてラジカルを発生し、次いでこのラジカルが電子供与体から電子を引き抜くタイプ(自己開裂型ラジカル発生剤)、および、光照射により励起して電子供与体から直接電子を引き抜いてラジカルとなるタイプ等が挙げられる。これら酸化型の光ラジカル発生剤は特に制限されず、公知の化合物を用いれば良いが、光照射を行った際の重合活性が他の化合物と比べてより高い点で、水素引き抜き型の光ラジカル発生剤が好ましく、なかでも、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物またはケトクマリン化合物が特に好ましい。
ジアリールケトン化合物を具体的に例示すると4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9−フルオレノン、3,4−ベンゾ―9−フルオレノン、2―ジメチルアミノ―9−フルオレノン、2−メトキシ―9―フルオレノン、2−クロロ―9−フルオレノン、2,7−ジクロロ―9―フルオレノン、2−ブロモ―9―フルオレノン、2,7−ジブロモ―9―フルオレノン、2−ニトロ−9−フルオレノン、2−アセトキ−9−フルオレノン、ベンズアントロン、アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ジメチルアミノアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,5−ジクロロアントラキノン、1,2−ジメトキシアントラキノン、1,2−ジアセトキシ−アントラキノン、5,12−ナフタセンキノン、6、13−ペンタセンキノン、キサントン、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、9(10H)−アクリドン、9−メチル−9(10H)−アクリドン、ジベンゾスベレノン等を挙げることができる。
α−ジケトン化合物の具体例を例示すれば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等が挙げられる。
また、ケトクマリン化合物としては、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)7−メトキシ−3−クマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3,3’−クマリノケトン、3,3’−ビス(7−ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。
これら酸化型の光ラジカル発生剤は単独または2種類以上を混合して用いて使用できる。また、添加量も組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は上述した光酸発生剤1モルに対し、光ラジカル発生剤を0.001モル〜20モルの範囲内で添加することが好ましく、0.005モル〜10モルの範囲内で添加することがより好ましい。
一方、熱酸発生剤としては、たとえば、カチオン部分が、4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウムであり、アニオン部分が、BF 、PF 、SbF 、SbF 、AsF で構成される、4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、等を単独で使用または2種以上を併用することができる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム
テトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウム トリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム
ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、2−ブテニルテトラメチレンスルホニウム
ヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム
ヘキサフルオロアルセネート、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム ヘキサフルオロアルセネート等を使用することができる。
ホスホニウム塩としては、たとえば、エチルトリフェニルホスホニウム テトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウム
テトラフルオロボレート等を使用することができる。
ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム
ヘキサフルオロアルセネート、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジ−p−トリルヨードニウム ヘキサフルオロアルセネート、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム
ヘキサフルオロアルセネート等を使用することができる。
熱酸発生剤として利用可能な市販品としては、たとえば、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(以上、旭電化工業株式会社製)、CI−2855(以上、日本曹達株式会社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160、サンエイドSI−180(以上、三新化学工業株式会社製)等が挙げられる。
なお、CI−2855(以上、日本曹達株式会社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160、サンエイドSI−180(以上、三新化学工業株式会社製)は、加熱以外に、光照射することによっても酸を発生させることができる。
これら熱酸発生剤は単独または2種類以上を混合して用いて使用できる。また、添加量も組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、一般的にはカチオン重合性単量体100質量部に対し、0.001質量部〜10質量部の範囲内で用いることが好ましく、0.05質量部〜5質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
−各種添加剤−
本実施形態の歯科用硬化性組成物には、さらに、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。
このような添加剤としては代表的には充填材(フィラー)が挙げられる。充填材を添加しない場合に重合時に体積収縮が生じる場合において、本実施形態の歯科用硬化性組成物に充填材を配合することにより、重合時の体積収縮の抑制効果をより大きくすることができる。また、充填材を用いることにより、硬化前の歯科用硬化性組成物の操作性を改良したり、あるいは、硬化後の機械的物性の向上を図ることができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物に対して充填材を配合する場合、その充填材の種類や配合量は、歯科用硬化性組成物の用途に応じて適宜設定すればよい。たとえば、本実施形態の歯科用硬化性組成物を充填修復材料として用いる場合には、歯科用充填修復材料の充填材として公知の充填材を配合すればよい。
充填剤としては、たとえば、非晶質シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物の粒子からなる無機充填材が挙げられる。さらに、これら無機酸化物粒子を高温で焼成する際に緻密な無機酸化物粒子を得やすくする等の目的で、上記の無機酸化物と少量の周期律表第I族の金属の酸化物とからなる複合酸化物粒子を用いることもできる。本実施形態の歯科用硬化性組成物に用いる充填剤としては、X線造影性を有することから、シリカとジルコニアとを主成分とする複合酸化物の無機充填剤が特に好ましい。
これら無機充填材の粒径、形状は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている、球形または不定形の、平均粒子径0.01μm〜100μmの粒子を目的に応じて適宜使用すればよい。また、これら無機充填材の屈折率も特に限定されず、一般的な歯科用材料に用いられる充填材が有する屈折率1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用できる。さらに、無機充填剤としては、より高い表面滑沢性や、対磨耗性を得るために、形状が球状もしくは略球状の無機紛体および/またはその凝集体を用いることが好適である。なお、ここで言う「略球状」とは、走査型電子顕微鏡で無機充填剤の写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子の最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で徐した平均均斉度が0.6以上であることを意味する。
無機球状充填剤の粒径等は特に制限される物ではないが、より高い表面滑沢性や対磨耗性を得る為には、平均粒径が0.01μm〜1μmの無機粒子および/またはこの無機粒子の凝集体からなる無機球状充填剤を用いるのが好適である。これら無機球状充填剤としては、単一の粒子系、および、平均粒径が互いに異なる2種類以上の粒子からなる混合粒子系、から選択されるいずれの態様でもよい。
また、重合性単量体とのなじみをよくし機械的強度や耐水性を向上させる観点から、無機充填剤を、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理方法としては公知の方法が採用できる。ここで、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロポキシメチル]オキセタン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。特に重合性単量体がカチオン重合性単量体である場合、カチオン重合性の官能基を有するシランカップリング剤である3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロポキシメチル]オキセタン等が望ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみを用いることができ、あるいは、2種類以上を混合して用いることもできる。
また、更に高い充填剤充填率と良好な操作性を両立する目的で、有機−無機複合充填剤も好適に使用できる。有機−無機複合充填剤とは、重合性単量体と、無機充填剤とを主成分とする重合硬化性組成物を重合硬化させた後に粉砕して得られるものであり、公知の製造方法によって製造される有機−無機複合充填剤が何ら制限なく用いられる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物に充填剤を配合する場合の配合量も特に限定されないが、歯科用充填修復材料として用いる場合には、重合性単量体100質量部に対して、50〜1500質量部の範囲内が好ましく、70〜1000質量部の範囲内とすることがより好ましい。さらに、これら無機充填剤、有機−無機複合充填剤等の充填材は各々単独で用いても良いし、材質、粒径、形状等の異なる複数種のものを併用しても良い。しかしながら、硬化後の機械的物性に優れる点で、無機充填剤単独、または、無機充填剤と有機−無機複合充填剤とを混合して用いることが特に好ましい。
さらに本実施形態の歯科用硬化性組成物には、必要に応じて、重合禁止剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤等の安定化剤、帯電防止剤、染料および顔料などの色材、香料、有機溶媒、増粘剤等の公知の添加剤が配合されていても良い。
特に本実施形態の歯科用硬化性組成物に、カチオン重合開始剤としてヨードニウム塩系開始剤を配合した場合、50℃程度の高温環境下、あるいは、室温環境下において、歯科用硬化性組成物を長期保存した場合に、歯科用硬化性組成物のゲル化を抑制できる観点から、ビンダードフェノール類およびヒンダードアミン類が配合されることが好ましい。ここで、ヒンダードフェノール類は、フェノール性水酸基の結合する芳香族炭素に隣接する二つの芳香族炭素の少なくとも1つが、第2級アルキル基、または、第3級アルキル基によって置換されているものを示す。中でもフェノール性水酸基の結合する芳香族炭素に隣接する二つの芳香族炭素の、両方が第3級アルキル基によって置換されている物が最も好適に利用される。このような化合物としては2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらヒンダードフェノール類は、必要に応じて複数の化合物を併用しても良い。これらヒンダードフェノール類の添加量は、組み合わせる他の成分によって異なるが、通常は上述したジアリールヨードニウム塩1モルに対し、ヒンダードフェノール基を0.001モル〜1モルの範囲内で添加することが好ましく、0.005モル〜0.8モルの範囲内で添加することが好ましい。
また、ヒンダードアミン類は、第2級または第3級脂肪族アミン化合物であり、かつ、このアミン化合物を成す窒素原子に結合するアルキル基の少なくとも2つ以上が第2級または第3級アルキル基であるものを示す。このようなヒンダードアミン類としては、公知の化合物が特に制限なく使用でき、たとえば、樹脂用の光安定剤として知られるヒンダードアミン類を使用できる。これらのなかでも、化学的に安定な環状アミンであるピロリジン類、ピペリジン類、ピペラジン類が好ましく、入手容易な点からピペリジン類がより好ましい。このようなヒンダードアミン類の具体例を挙げると、2,6−ジメチルピペリジン、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン−4−オン、N−メチル−4―ヒドロキシ―2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、N−メチル−4―ヒドロキシ―2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジ/2,4−ジイル][ (2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]ヘキサメチルレン(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノール、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン重縮合物等が挙げられる。これらヒンダードアミン類は、必要に応じて複数の化合物を併用しても良い。
ヒンダードアミン類の添加量も、組み合わせる他の成分によって異なるが、硬化後の硬化体物性に悪影響を与え難い点で、通常は上述したヨードニウム塩1モルに対し、ヒンダードアミノ基を0.001モル〜1モルの範囲内とすることが好ましく、0.005モル〜0.8モルの範囲内とすることがより好ましい。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は上記のような歯科用充填修復材料として特に好適に使用されるが、それに限定されるものではなく、歯科用接着材や義歯床用材料等その他の用途にも使用できる。
−歯科用硬化性組成物の製造方法、包装形態および硬化方法−
本実施形態の歯科用硬化性組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の製造方法を適宜採用すればよい。具体的には、本実施形態の歯科用硬化性組成物を構成する必須成分である、一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物およびカチオン重合開始剤に加えて、さらに、必要に応じて配合されるその他の配合成分を所定量秤取り、これらを混合すればよい。
本実施形態の歯科用硬化性組成物の包装形態は特に制限されるものではなく、その目的や保存安定性を考慮して適宜決定すればよい。たとえば、カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を配合した際には、本実施形態の歯科用硬化性組成物を構成する全ての成分を遮光した状態で包装することができる。一方、光照射を行わずとも室温でカチオン重合を開始できるような成分を重合開始剤として用いる場合には、保存中に重合・硬化してしまわないように、本実施形態の歯科用硬化性組成物を2つ以上の包装に分割しておき、使用直前に両者を混合するような包装形態が好ましい。
本実施形態の歯科用硬化性組成物を硬化させる手段としては用いたカチオン重合開始剤の重合開始機構に従い適宜、公知の重合手段を採用すればよい。重合手段としては、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、蛍光灯、太陽光、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の光源による光照射手段、あるいは、加熱重合器等を用いた加熱手段、または、これらを組み合わせた重合手段等が制限なく利用できる。光照射により重合させる場合には、その照射時間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよい。しかしながら、一般的には、照射時間が5秒〜60秒程度の範囲になるように、歯科用硬化性組成物を構成する各種成分の配合割合を調整しておくことが好ましい。同様に加熱時間および加熱温度も予備的な実験によって予め決定しておけばよい。
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
(1)実施例および比較例に使用した化合物およびその略称
1.一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物
一般式(i)に示す官能基を有するオキセタン化合物を、下記合成例1〜6により合成した。
<合成例1>
下記に示すオキセタン化合物(PXOH、分子量164.20)を、Tetrahedron,2002,58,7065−7074に記載の方法で合成した。
Figure 2012116808
<合成例2>
下記に示すオキセタン化合物(PX−E、分子量192.25)を、以下の手順で合成した。まず、100mlのテトラヒドロフラン溶媒中、5.28g(0.22mol)の水素化ナトリウム存在下にて、32.84g(0.2mol)のPXOHと34.4g(0.22mol)のヨードエタンとを氷冷下1時間反応させた。その後、更に4時間室温で反応させた。続いて、反応により得られた溶液に水50mlを加えた後、激しく攪拌しエマルジョンを得た。このエマルジョンをジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を分液ロートで分離した。分離した有機成分をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製単離し、PX−E(20g、収率51%)を得た。PX−EのH NMRの測定結果は次の通りである;1H NMR δ1.11(t,3H),3.42(q,2H),3.64(s,2H),5.05(s,4H),7.02−7.38(m,5H)。
Figure 2012116808
<合成例3>
下記に示すオキセタン化合物(PX2−B、分子量382.49)を、以下の手順で合成した。まず、150mlのテトラヒドロフラン溶媒中にて、10.56g(0.44mol)の水素化ナトリウム存在下、65.68g(0.4mol)のPXOHと38.86g(0.18mol)の1.4−ジブロモブタンとを、合成例2と同様に反応させ、精製単離した。これにより、PX2−B(20g、収率30%)を得た。PX2−BのH NMRの測定結果は次の通りである;1H NMR δ1.46(m,4H),3.37(t,4H),3.64(s,4H),5.05(s,8H),7.02−7.38(m,10H)。
Figure 2012116808
<合成例4>
下記に示すオキセタン化合物(PX2−H、分子量410.55)を、以下の手順で合成した。まず、150mlのテトラヒドロフラン溶媒中にて、10.56g(0.44mol)の水素化ナトリウム存在下、65.68g(0.4mol)のPXOHと43.91g(0.18mol)の1.6−ジブロモヘキサンを、合成例2と同様に反応させ、精製単離した。これにより、PX2−H(23g、収率31%)を得た。PX2−HのH NMRの測定結果は次の通りである;1H NMR δ1.29(m,4H),1.46(m,4H),3.37(t,4H),3.64(s,4H),5.05(s,8H),7.02−7.38(m,10H)。
Figure 2012116808
<合成例5>
下記に示すオキセタン化合物(PX2−X、分子量430.54)を、以下の手順で合成した。まず、150mlのテトラヒドロフラン溶媒中にて、10.56g(0.44mol)の水素化ナトリウム存在下、65.68g(0.4mol)のPXOHと31.51g(0.18mol)の1.4−ビス(クロロメチル)ベンゼンとを、合成例2と同様に反応させ、精製単離した。これにより、PX2−X(62g、収率80%)を得た。PX2−XのH NMRの測定結果は次の通りである;1H NMR δ3.64(s,4H),4.60(s,4H)、5.05(s,8H),7.02−7.38(m,14H)。
Figure 2012116808
<合成例6>
下記に示すオキセタン化合物(PXO2−X、分子量382.49)を、以下の手順で合成した。まず、150mlのテトラヒドロフラン溶媒中にて、10.56g(0.44mol)の水素化ナトリウム存在下、32.84g(0.2mol)のPXOH、23.23g(0.2mol)の2−エチル−2−ヒドロキシメチルオキセタン、および、31.51g(0.18mol)の1.4−ビス(クロロメチル)ベンゼンを、合成例2と同様に反応させ、精製単離した。これによりPXO2−X(21g、収率30%)を得た。PXO2−XのH NMRの測定結果は次の通りである;1H NMR δ1.11(t,3H),3.42(q,2H),3.61(s,2H),3.64(s,2H),4.43(dd,4H)、4.60(s,4H)、5.05(s,4H),7.02−7.38(m,9H)。
Figure 2012116808
2.一般式(i)に示す官能基以外のオキセタン環を含む官能基を有するオキセタン化合物
一般式(i)に示す官能基以外のオキセタン環を含む官能基を有するオキセタン化合物
として、下記に示すオキセタン化合物;OX−P(分子量192.25)、OX−2(分子量382.49)、OX−3(分子量410.55)およびOX−4(分子量482.61)を準備した。
Figure 2012116808
Figure 2012116808
Figure 2012116808
Figure 2012116808
3.エポキシ化合物
エポキシ化合物として下記に示すDEP−B(分子量236.35)およびDEP−D(分子量194.27)を準備した。
Figure 2012116808
Figure 2012116808
4.光酸発生剤
光酸発生剤として下記に示すIMDPIを準備した。
Figure 2012116808
5.縮合多環式芳香族化合物
縮合多環式芳香族化合物として、下記に示すDMAnを準備した。
Figure 2012116808
6.酸化型の光ラジカル発生剤
酸化型の光ラジカル発生剤として、下記に示すCQ(カンファーキノン)を準備した。
Figure 2012116808
7.オキセタン化合物およびエポキシ化合物以外のその他重合性単量体
オキセタン化合物およびエポキシ化合物以外のその他重合性単量体として、下記に示すBis−GMAおよびTEGDMAを準備した。
Figure 2012116808
Figure 2012116808
(2)硬化性組成物の調製
暗所下、重合性単量体に対して、重合開始剤を加えて均一になるまで攪拌・溶解し、硬化性組成物A〜Rを調整した。表1にその組成を示す。
Figure 2012116808
(3)無機充填剤の表面処理
球状シリカ−ジルコニア(粒径0.2μm)20gを、pH4.0に調整した塩酸80mlに縣濁させ、攪拌しながらシランカップリング剤として3−エチル−3−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)メチルオキセタン1.2gを滴下した。1時間攪拌後、エバポレーターで水を留去し、得られた固体を乳鉢で粉砕後、減圧下80℃で15時間乾燥した。乾燥後、得られた粉末を無機充填剤PF1とし、シリカゲルを乾燥剤としたデシケーター中で保存した。無機充填剤PF1の作製に際して、シランカップリング剤として、3−エチル−3−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)メチルオキセタンの代わりに3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1gで処理したものを無機充填剤PF2とした。
(4)有機無機複合充填剤の調整
60質量部のBis−GMAと40重量部のTEGDMAとの混合物100質量部に対して、予め重合開始剤として0.5質量部のアゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と略す)を溶解させたもの25質量部と、75質量部のPF2とを、メノウ乳鉢で混合し、ペースト化した。これを、95℃、窒素雰囲気下で1時間加熱重合した。そして、得られた重合硬化体を振動ボールミルを用いて粉砕した。得られた粉砕物を有機無機複合充填剤HF1(平均粒径;20μm)とした。
(5)ペーストの調製
無機充填剤PF1と有機無機複合充填剤HF1との質量比が40:60になるよう混合した。次に、この混合物82質量部と、18質量部の硬化性組成物Cとをメノウ乳鉢で混合し、得られた混合物を真空下、脱泡して気泡を取り除きペーストCを得た。また、ペーストCを作製する場合と同様にして、硬化性組成物D、M、Nを用いて、ペーストD、M、Nも調製した。
(6)評価
表2に、硬化性組成物A〜Rの硬化時間および体積変化率について示す。また、表3に、ペーストC、D、M、Nの硬化時間、体積変化率、曲げ強度および窩洞適合性試験について示す。
Figure 2012116808
Figure 2012116808
なお、表2に示す硬化性組成物の硬化時間および硬化性組成物の硬化前後の体積変化率、ならびに、表3に示すペーストの硬化時間、ペーストの硬化前後の体積変化率およびペーストを硬化させた硬化物の曲げ強度は、以下に示す手順で求めた。また、表3に示す窩洞適合性試験の試験方法および評価基準は以下に示す通りである。
−表2に示す硬化性組成物の硬化時間−
内径1.6cm、深さ1.1cmのポリプロピレン容器に、硬化性組成物0.9gを入れ、硬化厚膜を4mmとした。ついで照射距離0.5cmから歯科用の光照射器(TOKUSO
POWER LITE、株式会社トクヤマ社製)によって光照射を2分間行った。このとき、照射開始から、重合体表面を鋭利なピンセット先端で垂直に強く押しても、ピンセット先端が重合体に刺さらなくなるまでの時間を硬化時間とした。
−表2に示す硬化性組成物の硬化前後の体積変化率−
硬化前の液状状態の硬化性組成物を、重量既知の10mlメスフラスコに入れ、液面を標線に合わせた後、23℃インキュベーター中で一晩保存した。保存後、液面が標線に合っていることを確認し、その重量を測定した。測定した重量から硬化性組成物を入れる前のメスフラスコの重量を引き、更に体積で割ることで硬化性組成物の密度を算出した。以上の操作を3サンプル以上で行い、その平均値を組成物密度d1とした。
組成物密度d1の測定に用いたものと同じ種類であり、かつ、硬化時間の評価に用いたものと同様の硬化性組成物を、直径3cm、深さ1cmのポリプロピレン樹脂製の容器に深さ0.5cmまで入れ、歯科用光照射器αライトで10分間光照射し、硬化させた。硬化後、室温で30分放置し、デジタル比重計(ザルトリウス社製)を用い、浮力発生液体を水(水温23〜24℃)として密度を測定した。同様な操作を3サンプル以上で行い、その平均値を硬化体密度d2とした。得られたd1、d2から、下式(2)に基づいて体積変化率(%)を算出した。なお、式(2)において、体積変化率の値が正の場合は、重合に伴い体積膨張が生じ、体積変化率の値が負の場合は、重合に伴い体積収縮が生じることになる。
・式(2) 体積変化率={(d1―d2)/d2}×100
−表3に示すペーストの硬化時間−
ガラス板上に、直径が約6mm、高さが3mmとなるようにペーストを盛り、盛られたペーストの上方約5mmの高さから光照射器(TOKUSO
POWER LITE、株式会社トクヤマ社製)により光照射した。この際、太さ約0.4mmの針で照射光を遮らない様、盛られたペーストの上面および側面の硬さを調べ、照射開始から盛られたペーストの全体に針が刺さらなくなるまでの時間を硬化時間とした。
−表3に示すペーストの硬化前後の体積変化率−
デジタル比重計(ザルトリウス社製)を用い、浮力発生液体を水(水温23〜24℃)としてペーストの密度を測定した。同様の測定を3サンプル以上で行い、その平均値をペースト密度d1とした。
次に、直径1cm×1cm、深さ3cmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)モールドに気泡が入らぬようペーストを充填し、PP(ポリプロピレン)シートで圧接して歯科用光照射器αライトで10分間光照射し、硬化物を得た。硬化物を室温で30分放置した後、デジタル比重計(ザルトリウス社製)を用い、ペーストの密度測定と同様に硬化物の密度を測定した。同様の測定を3サンプル以上で行い、その平均値を硬化体密度d2とした。得られたd1、d2から、上記式(2)に基づいて体積変化率(%)を算出した。なお、式(2)において、体積変化率の値が正の場合は、重合に伴い体積膨張が生じ、体積変化率の値が負の場合は、重合に伴い体積収縮が生じることになる。
−表3に示すペーストを硬化させた硬化体の曲げ強度−
ペーストを、金型の孔(縦2mm、横2mm、深さ25mm)内に充填した後、孔の開口部をポリプロピレンフィルムで覆った。次に、ポリプロピレンフィルム上から、光照射器(TOKUSO POWER LITE、株式会社トクヤマ社製)にて1.5分間光照射しペーストを硬化させた。得られた棒状の硬化物を37℃で一晩保存した後、オートグラフ(島津製作所社製)を使用し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分で3点曲げ強度を各々5個の硬化物について測定し、その平均値を表3に示す曲げ強度として算出した。また、この際、曲げ強度の標準偏差も算出した。
−表3に示す窩洞適合性試験−
窩洞適合性試験は以下の手順で実施した。まず、厚さ5mmのポリテトラフルオロエチレン板に、直径4mm、深さ2mmの穴をドリルで掘り、模擬窩洞とした。次に、この模擬窩洞にペーストを充填し、模擬窩洞の開口部をポリプロピレンフィルムで覆った。その後、ポリプロピレンフィルム上から光照射器(TOKUSO POWER LITE、株式会社トクヤマ社製)にて1.5分間光照射することで、ペーストを硬化させた。模擬窩洞内に硬化物が形成されたポリテトラフルオロエチレン板を37℃で一晩保存した後、ポリテトラフルオロエチレン板の模擬窩洞が形成された面と反対側の面をハンマーで叩いた。そして、この際、模擬窩洞内の硬化物が脱落するか否か、および、硬化物が脱落するまでに必要なハンマーの殴打回数を以下の基準で評価した。
A:殴打回数が6回でも、模擬窩洞内から硬化物が脱落しない。
B:殴打回数が2回以上5回以下の範囲内で、模擬窩洞内から硬化物が脱落する。
C:殴打回数が1回で、模擬窩洞内から硬化物が脱落する。

Claims (5)

  1. (I)オキセタン環を含む官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物と、(II)カチオン重合開始剤と、を含み、
    (I)オキセタン化合物として、前記オキセタン環を含む官能基が下記一般式(i)で示される官能基を、分子内に少なくとも1つ有するオキセタン化合物を少なくとも用いることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
    Figure 2012116808
    〔前記一般式(i)中、Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。〕
  2. 請求項1に記載の歯科用硬化性組成物において、
    (II)カチオン重合開始剤が、光酸発生剤であることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の歯科用硬化性組成物において、
    (III)エポキシ化合物をさらに含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  4. 請求項3に記載の歯科用硬化性組成物において、
    (III)エポキシ化合物が、脂環式エポキシ基を有することを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  5. 請求項3または4に記載の歯科用硬化性組成物において、
    (III)エポキシ化合物が、(1)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、下記一般式(ii)で示される基が結合したエポキシ化合物、および、(2)置換基を有していても良いシクロヘキセンオキシド基の3位または4位の炭素原子に、5員環〜8員環の炭化水素環を構成する炭素原子が結合したシクロヘキセンオキシド環含有単位を、少なくとも2単位以上有するエポキシ化合物、から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物からなり、かつ、下式(1)を満たすことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
    ・式(1) 90/10≧(a×A)/(b×B)≧45/55
    〔前記式(1)中、aは、(I)オキセタン化合物1分子中に含まれる前記オキセタン環を含む官能基の平均個数を表し、Aは、歯科用硬化性組成物中に含まれる(I)オキセタン化合物のモル比率(モル%)を表し、bは、(III)エポキシ化合物1分子中に含まれるエポキシ基の平均個数を表し、Bは、歯科用硬化性組成物中に含まれる(III)エポキシ化合物のモル比率(モル%)を表す。〕
    Figure 2012116808
    〔一般式(ii)中、RおよびRは、水素原子または置換基を有していても良い炭素数1〜13の炭化水素基であり、RおよびRの合計炭素数は2以上である。〕
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